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テーマ「受け継がれてきた京都ならではの伝統文化」

ページ番号4460

2012年7月31日

  • コーディネーター
     上平 貢会長(京都市芸術文化協会理事長)
  • 司会・進行
     茂山七五三委員(大蔵流狂言師,京都能楽会理事長)
  • パネリスト
     池坊由紀委員(華道家元池坊次期家元)
     井上八千代委員(京舞井上流家元)
     金井秀子委員(京都市女性協会理事長)
     中村弘子委員(千家十職塗師宗哲十二代)
  •  

    京都の風土・生活の中で育まれてきた京都の文化・伝統芸能

    金井委員 ( 京都の伝統的な生活文化(衣食住)について)

     

        長らく我が国の伝統を支えてきた昔の生活文化が,京都においては今日もなお衣食住にその姿を表している。外のものをうまく吸収して,とけ込ませていくのは,京都人の技であり,京都が大切に受け継いできた伝統文化を次の世代に残していくことが大切である。

     

    フォーラム002

    池坊委員 (伝統文化としての生け花について)

     

      生け花は,500年の歴史を持つ文化である。初めは花を仏前に供えて,国の繁栄,家族の安泰を願う思いが込められた素朴なものであった。
     京都の四季折々の景色,自然の美しい京都の風土は,京都人の色彩に対する鋭敏な感覚を培い,伝統文化を育んできた。暮らしの中に精神性を見いだし,哲学的な意味を持たせ,華道,茶道として発展させたのは日本独自であり,伝統文化の醍醐味である。
     京都人は文化の発信者であり,また受信者でもあり,両者の良い循環ができている。
     一人一人が文化の発信者,受信者としての意識を持って,文化を伝えていくことが大切である。

    井上委員 (京都で生まれた京舞・井上流について)

     

       伝統芸能に携わる私たち芸能者の使命は,人の生きる姿を舞台の上で表出し,形にならないものを形にすることである。作り手ではあるが,受け手がいないと成り立たない世界であり,両者の共有する空間,共有する時間に支えられている。
     「京都」という特殊な環境が芸能を成り立たせており,京都の人は自分自身が発信者であることを感じてほしい。
     一つの舞台を支える伝統産業品(着物,扇,楽器等)が,京都には身近に存在している。それらを支え,守り,継承するために,市民の方に御支援いただきたい。

    中村委員 (千家十職塗師の仕事について)

     

       戦後,最も伝統文化が否定された時代に,当時の京都市立美術大学で,西洋美術の最先端を学び,西洋的な自己表現に傾倒したが,家業との違いを考え,茶の湯に関することを独学した。
     千利休が考案した茶の湯は,人と人が語りあう場。そして,人と人との心の交流の場である。また,人とものが出会う場所,ものとものが出会う場所が茶室である。出会うものを創るのが私どもの家業である。利休が亡くなった後に,私の家業もその一つであるが,千家十職の十種類の職人が自然に集まり,茶道具を完成させた。
     その家に伝わるデザイン,寸法を代々伝え守ること,いわゆる不易ということと,代々の茶人が使いやすいように変えていくこと,好みや流行ということ,これらが自然に仕組まれて,今日に至っている。変わらないものと変えるもの,双方が大切である。

    優れた審美眼を持った受け手から考える京都の文化芸術

    上平会長

     

      受け手の優れた審美眼が大切ということや,京都人が持っている研ぎ澄まされた目利きということについて,皆さんの御意見を伺いたい。

    金井委員 (京都人の先見の目,目利きについて)

     

        日常生活の中で,芸術作品に触れることの多い京都の暮らしが,京都人の審美眼を育んできた。外国でも西陣織が評価されるほど,日本の伝統芸術に対する理解者が出ており,日本の精神を備えた作品がどんどん創られている。京都人として,文化芸術を理解して発信していくことを次の世代に伝え,子供たちに教育していく必要がある。

    伝統を守り伝えていくことの必要性とその工夫

    井上委員 (舞踊愛好者を増やしていくための工夫)

     

     作り手の立場としては,見る人を育てることが必要である。今までは,作り手である私たちと受け手であるお客様との垣根がはっきりしすぎていたのではないか。
     芝居,バレエを見るという感覚で,舞踊を見ていただくことが必要であり,舞台を交流の場として,お客様との接点を見つけていきたい。

    市民

     

     「みんなで語ろう京都の文化芸術」ということであるなら,もっと意見交換できる場を最初から持ってほしい。また,若い世代の方に関心をもっていただく努力が必要である。
     京都を舞台にした素晴らしい映画があったが,映画も文化芸術の一部であり,関心をもっていただきたい。

    池坊委員 (次の世代に生け花を伝えていく工夫)

     

      小さな頃から本物に触れて,美意識を育てていく環境が大切である。触れる場を作り,触れさせる人を育てるという2つの側面が必要である。多くの人の知恵の結集で,京都が文化の世界でリーダーシップをとれるまちになれるばと思う。私も努力したい。

    金井委員 (京都の良さを再認識する必要性,生活文化を守り伝えるための努力)

     

      例えば,祇園祭は世界に誇る祭であるが,京都人にとっては日常生活の一部になって,当たり前のように感じられて,感動しなくなっている。他にも京都には世界に誇る最高の芸術品がある。京都のよさを再認識して,子ども達に教え,大人も共鳴し合うことが大切である。

    中村委員 (条例を制定する必要性)

     

     条例の中で,市が文化芸術に対して積極的な姿勢を見せてもらうことは大切であるが,市の姿勢を見せるだけで終わらせたくない。今,文化芸術を楽しみ,受け手となっているのは市民である。市民が文化芸術を盛り上げてくださることが大切である。
     楽しみ手である市民がまず動いて,そして市の後援をいただく。京都の文化芸術を今度は市民が育てていくためにつくる条例である。

     

    フォーラム001

    お問い合わせ先

    京都市 文化市民局文化芸術都市推進室文化芸術企画課

    電話:075-222-3119、075-222-3128 (京都芸大担当)、075-222-4200(政策連携担当)

    ファックス:075-213-3181

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