嵯峨鳥居本伝統的建造物群保存地区保存計画
ページ番号281764
2021年3月12日
昭和54年2月22日京都市告示第185号
京都市教育委員会告示第4号
1 保存地区の保存に関する基本計画
(1) 発祥と沿革
嵯峨野は早くから開けたところで,平安京以前からの歴史が重畳し,今も多くの歴史的文化遺産を残している。
この嵯峨野の西北に位置する鳥居本地区は,室町末期頃,農林業や漁業を主体とした集落として開かれた。その後江戸時代中期になると愛宕詣の門前町としての性格も加わり,江戸時代末期から明治・大正にかけてこの愛宕街道沿いには,農家,町家のほかに茶店なども建ち並ぶようになった。
(2) 現状及び保存に関する基本的な考え方
当保存地区は嵯峨野の西北愛宕街道に沿った長さ約600メ-トル,面積約2.6ヘクタ-ルの地域である。その中ほどにある化野念佛寺を境として上地区と下地区に分けると愛宕神社の一の鳥居に近い上地区は主としてかや葺の農家風,下地区は町家風の建物が周囲の美しい自然景観を背景に建ち並び,すぐれた歴史的風致を形成している。
現在,当保存地区の建造物のうち,伝統的建造物群を構成している伝統的建造物は約
50%である。これらの伝統的建造物は,大部分江戸時代末期から明治にかけて建てられ大別される。
近年,化野念佛寺の参拝客の増加や社会経済事情の急激な進展により当保存地区もしだいに変化しつつある現状にかんがみ,建造物の修理,修景,復旧等については,当保存地区の伝統的建造物群の特性に応じて行うほか,住民の生活向上を配慮しつつ良好な生活環境の保全に努めるものとする。
(3) 概要
保存地区の保存は,伝統的建造物群及びこれと一体をなす歴史的風致を保全することにある。
このため,当保存地区内において,伝統的建造物群の特性を維持していると認められる約50%の建造物を伝統的建造物と定める。
伝統的建造物については,主としてその外観を維持するため修理を行い,伝統的建造物以外の建造物については,当保存地区の伝統的建造物群の特性と調和するよう修景を行うものとする。
そのほか,当保存地区の保存のため必要な施設及び設備並びに環境の整備に努めるとともに地区の保存のため必要と認められるときは,建造物の修理,修景,復旧及び管理に要する経費の一部について,京都市伝統的建造物群保存地区補助金交付規則により補助するものとする。
2 保存地区内における「伝統的建造物」及び「伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件」の認定
(1) 伝統的建造物
伝統的様式の外観をもつもので伝統的建造物群の特性を維持していると認められるもの。
(2) 伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件
生垣,樹木
3 保存地区内における建築物等の保存整備計画
(1) 保存整備の考え方
建築物等の保存整備にあたっては,次に揚げる当保存地区の伝統的建造物群の特性に応じて行うものとする。
特 性
主として江戸時代末期から明治・大正にかけての建物が,愛宕街道に沿って建ち並び,それが周囲の美しい自然景観と一体となって風趣あるたたずまいを示している。
これらの伝統的建造物群は,当保存地区の中ほどにある化野念佛寺を境にして上地区と下地区に分けることができる。
愛宕神社一の鳥居に近い上地区は主としてかや葺の農家風の建物が軒をつらねており,下地区は主として格子のあるむしこ造りや下屋付平家建の町家風の建物が建ち並んでいる。またこれらの建物は,周囲の生垣,竹・さくら・もみじ等の樹木及び背景となっている山なみともよく調和している。
(2) 保存整備計画
ア 伝統的建造物については,主としてその外観を維持するため修理を行うものとする。
イ 伝統的建造物以外の建造物については,当保存地区の伝統的建造物群の特性と調和するよう別に定める基準(別表)に準じて修景を行うものとする。
ウ 伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる生垣及び樹木については,その保存に努め,その他必要に応じて修景を行うものとする。
4 保存地区内における建築物等及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件に係る助成借置等
建造物等の修理,修景,復旧及び管理に要する経費の助成については,市長が定める。
5 保存地区の保存のために必要な施設及び設備並びに環境の整備
次のような事項の実施に努める。
(1) 説明板,標識等の設置
(2) 防火水そう,消火栓等防災施設の整備
(3) 道路・側溝等の整備
(4) その他地区の保存に必要な施設等の整備
様式 | 材料 | 色彩 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 構造 | 屋根及びひさし | 壁面 | |||
く ずや | 住居様式 | 木造真壁造りで平家建とし,平入りまたは妻入り形式とする。 | 屋根はかや葺で入母屋または片入母屋とする。ひさしは日本瓦葺で軒裏は垂木及び野地板を見せる。 | 壁はしっくい塗りまたは京壁とし,腰は羽目板よろい張とし,平格子及び引込み格子戸によって構成する。 | 柱は桧またはこれに準ずる材で,木部の見掛りは,上小節以上とする。 | 木部は生地仕上げまたはべんがら塗とする。 |
店舗様式 | 同上 | 同上 | 壁はしっくい塗または京壁とし,腰は羽目板よろい張とし,台格子,腰高障子戸ま たは格子戸及び戸袋によって構成する。 | |||
平家建町家 | 住居様式 | 木造真壁造りで下屋付平家建とし,平入形式とする。 | 屋根,ひさし共に日本瓦葺で切妻とする。軒裏は,垂木及び野地板を見せる。 | 壁はしっくい塗または京壁とし,腰は羽目板よろい張とし,出格子,平格子及び引込格子戸によって構成する。 | 同上 | 同上 |
店舗様式 | 同上 | 同上 | 壁はしっくい塗または京壁とし,腰は羽目板よろい張とし,腰高障子戸または格子戸及び戸袋によって構成する。 | |||
む し こ 造 町 家 | 住居様式 | 木造真壁造りで,中2階建とし,平入形式とする。 | 同上 | 壁はしっくい塗または京壁とし,腰は羽目板よろい張とする。1階は出格子,平格子及び引込格子戸によって構成する。2階はむしこ窓をつける。 | 同上 | 同上 |
店舗様式 | 同上 | 同上 | 同上 ただし,1階は腰高障子戸または格子戸及び戸袋によって構成する。 | |||
中二階建町家 | 住居様式 | 同上 | 同上 | 壁はしっくい塗または京壁とし,腰は羽目板よろい張とする。1階は出格子,平格子及び引込格子戸によって構成する。2階は平格子及びむしこ窓によって構成する。 | 同上 | 同上 |
店舗様式 | 同上 | 同上 | 同上 ただし,1階は腰高障子戸または格子戸及び戸袋によって構成する。 | |||
二階建町家 | 住居様式 | 木造真壁造りで,2階建とし,平入形式とする。2階壁面は1階壁面より後退とする。 | 同上 | 壁はしっくい塗または京壁とし,腰は羽目板よろい張とする。1階は出格子,平格子及び引込格子戸によって構成する。2階は平格子及びむしこ窓によって構成する。 | 同上 | 同上 |
店舗様式 | 同上 | 同上 | 同上 ただし,1階は腰高障子戸または格子戸及び戸袋によって構成する。 | |||
2 へい及びかきの様式,材料及び色彩の基準
様式 | 材料 | 色彩 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 構造 | 屋根 | 壁面 | |||
へい | 屋根小壁付和風板べい | 木造真壁造りとする。 | 屋根は日本がわら葺とする。 | 小壁は京壁とし,腰なげしを付け,その下部は,たて羽目板張とする。 | 木部の見掛りは,上小節材とする。 | 木部は生地仕上げまたはべんがら塗とする。 |
屋根欄間付和風板べい | 同上 | 同上 | 腰なげしを付け,その上部は飾り欄間とし,その下部は,たて羽目板張とする。 | 同上 | ||
和風板べい | 同上 | 同上 | 壁は京壁またはしっくい塗とし,幅木は木製とする。 | 同上 | ||
かき | 柴垣 | 柴 | ||||
四つ目がき | 竹 |
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