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祇園新橋伝統的建造物群保存地区保存計画

ページ番号281763

2021年3月12日

 

昭和51年7月1日京都市告示第70号
京都市教育委員会告示第2号

 

1 保存地区の保存に関する基本計画

 

(1) 発祥と沿革
 祇園は祇園社をはじめとする鴨東の社寺や鴨川に接して開け,中世以来,庶民文化や芸能を育ててきたところであった。そして,江戸初期に完成した鴨川の築堤工事は,鴨東への市街地の拡大と遊興の地としての祇園の発展をさらにすすめていった。祇園の当地区は,祇園外六町に続いて,正徳2年(1712年),祇園内六町の茶屋街として,開発されたのがはじまりである。その後,当地区は,江戸末期から明治にかけて芝居,芸能と結びついてますます繁栄し,今日に至っている。

(2) 現況及び保存に関する基本的な考え方
 当地区は,主として江戸末期から明治初期にかけての質の高い洗練された、町家が整然として建ち並び,さらに美しい流れの白川や石畳,樹木などと一体となってすぐれた歴史的風致を形成している。
 現在,当地区内の建造物は,約75戸で,このうち伝統的建造物群を構成している伝統的建造物は,約70パ-セントである。これらの伝統的建造物は,京風町家が祇園という地で,その用に応じて変化し,本2階建町家茶屋様式という一つの洗練された型を完成させたのである。そのほか,基本となる本2階建町家茶屋様式の変化型として,大正時代に生まれた本2階建町家へい造り様式,本2階建町家数寄屋風様式などが見られる。このような伝統的建造物は,主として同種類ごとに群を構成し,それぞれに祇園の芸能,生活文化にふさわしい洗練された統一感を示している。
 当地区も近年,周辺のビル化などにより,その環境がしだいに変わりつつある現状にかんがみ,建築物等の修理,修景,復旧等については,当地区の伝統的建造物群の特性に応じて行うほか,良好な都市環境の整備を図るものとする。

(3) 概要
 当地区において,伝統的建造物群の特性を維持していると認められる約70パ-セントの建造物を伝統的建造物と定める。伝統的建造物については,主としてその外観を維持するため修理を実施し,伝統的建造物以外の建築物等については,当地区の伝統的建造物群の特性と調和するよう修景を実施するものとする。そのほか,当地区の保存のため必要な施設及び設備並びに環境の整備を行うとともに地区の保存のため必要と認められるときは,建造物等の修理,修景等に要する経費の一部について,補助金交付規則により補助するものとする。

 

2 保存地区内における「伝統的建造物」及び「伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件」の認定

 

(1) 伝統的建造物
 伝統的様式の外観をもつもので,伝統的建造物群の特性を維持していると認められるもの。
(2) 伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件
 白川通の石畳及び樹木

 

3 保存地区内における建築物等の保存整備計画

 

(1) 保存整備の考え方
 建築物等の保存整備にあたっては,次に掲げる当地区の伝統的建造物群の特性に応じて行うものとする。
特 性
 主として江戸末期から明治初期にかけての質の高い町家が整然として建ち並び,祇園の芸能や生活文化にふさわしく全体として洗練されたたたずまいを示している。
 これらの伝統的建造物群も外観のまとまり,白川との関係などにより次の二つの区域に分けることができる。
 新橋通に面する区域は,本2階建町家茶屋様式の建造物が軒をつらねており,白川沿いの区域は,茶屋の裏側をみせる本2階建町家川端茶屋様式などの建造物が建ち並び,白川の流れや樹木と調和している。

(2) 保存整備計画
ア 伝統的建造物については,主としてその外観を維持するため,次に定める基準(別表2)により,修理を実施するものとする。ただし,基準に規定のないものについては,その建造物固有の様式に従い修理を実施するものとする。
イ 伝統的建造物以外の建築物等については,当地区の伝統的建造物群の特性と調和するよう次に定める基準(別表2)に準じて修景を実施するものとする。

 

 

 別表2
1 建築物の外観の様式,材料及び色彩の基準 

 

建築物の外観の様式,材料及び色彩の基準
様式
材料
色彩
名称
構造
屋根及びひさし
壁面
本2階建町家住居様式木造真壁造りで,2階建とし,平入り形式とすること。(1)屋根は,切妻で日本がわらぶきとし,屋根軒裏は,たるき及び野地板をみせるものとすること。
(2)ひさしは,日本がわら(一文字軒先がわら)ぶきとし,ひさし軒裏は,野地板をみせるものとすること。
(1)壁は京壁とすること。
(2)1階は,出格子または平格子,引込み格子戸,腰下見板張り及び戸袋によって構成すること。
(3)2階は,ひじかけ付きガラス窓及びなげしによって構成し,すだれをかけるか,または出格子窓もしくは平格子窓及びなげしによって構成すること。
(4)犬走りには,駒寄せを設けること。
(1) 柱はひのきとし,その見掛り木部は1等上小節材とすること。
(2)造作材の見掛り木部は,1等上小節材以上の品質のものとすること。
(3)犬走りは,川砂洗出し仕上げ,モルタルこて押え仕上げその他これに類する仕上げとすること。
木部は,べんがら塗り,生地仕上げその他これらに類する仕上げの色彩とすること。

本2階建町家茶屋様式
木造真壁造りで,2階建とし,平入り形式とすること。2階の縁側は,張出しとすること。
(1)屋根は,切妻で日本がわらぶきとし,屋根軒裏は,たるき及び野地板をみせ,すだれ掛付きとすること。
(2)ひさしは,日本がわら(一文字軒先がわら)ぶきとし,ひさし軒裏は,野地板をみせるものとすること。
(1)壁は京壁とすること。
(2)1階は,出格子または平格子,引込みガラス格子戸,腰たて羽目板または腰下見板張り及び戸袋によって構成すること。
(3)2階は,手すり付き掃き出し窓,欄間及び戸袋で構成し,すだれをかけること。
(4)犬走りには,駒寄せを設けること。
同上
同上

本2階建町家川端茶屋様式
木造真壁造りで,2階建とすること。
(1)屋根は,切妻または入母屋で日本がわらぶきとし,屋根軒裏は,たるき及び野地板をみせ,すだれ掛付きとすること。
(2)ひさしは,日本がわら(一文字軒先がわら)ぶきまたは銅板ぶきとし,ひさし軒裏は,たるき及び野地板をみせ,すだれ掛付きとすること。
(1)壁は京壁とすること。
(2)1階,2階とも手すり付き掃き出し窓,欄間及び戸袋によって構成し,すだれをかけること。
(3)1階の前面には,目隠しへいを設けること。
同上同上

本2階建
町家数寄
屋風様式
木造真壁造
りで,2階建
とし,平入り
形式とする
こと。2階の
縁側は,張
出しとするこ
(1)屋根は,切妻で日本がわらぶきとし,屋根軒裏は,たるき及び野地板をみせ,すだれ掛付きとすること。
(2)ひさしは,日本がわらぶきまたは銅板ぶきとし,ひさし軒裏は,野地板をみせるものとすること
(1)壁は,じゅ楽壁とすること。
(2)1階は,下地欄間または飾り欄間付きガラス格子引違戸,下地窓,丸竹組格子及び腰割竹皮張りまたは腰杉皮張りによって構成すること。
(3)2階は,手すり付き掃き出し窓,欄間及び戸袋で構成し,すだれをかけること。
(4)犬走りには,犬矢来を設けること。
同上同上

本2階建町家へい造り様式
木造真壁造りで,2階建とし,平入り形式とすること。2階の縁側は,張出しとすること。
(1)屋根は,切妻で日本がわらぶきとし,屋根軒裏は,たるき及び野地板をみせ,すだれ掛付きとすること。
(2)ひさしは,日本がわらぶきまたは銅板ぶきとし,ひさし軒裏は,野地板をみせるものとすること。
(1)壁は,じゅ楽壁とすること。
(2)1階は屋根小壁付き羽目板へい形式の外観とし,ひさし付きガラス格子戸,つり出し格子窓及び飾り欄間によって構成すること。
(3)2階は,手すり付き掃き出し窓,欄間及び戸袋で構成し,すだれをかけること。
(4)犬走りには,駒寄せを設けること。
同上同上
本2階建町家高へい造り様式木造真壁造りで,2階建とし,平入り形式とすること。同上
(1)壁は,じゅ楽壁とすること。
(2)1階は屋根小壁付き羽目板へい形式の外観とし,ひさし付きガラス格子戸,つり出し格子窓及び飾り欄間によって構成すること。
(3)2階は手すり付き掃き出し窓,欄間及び戸袋によって構成し,すだれをかけること。
(4)ひさしの上部に,目隠しへいを設けること。
同上同上
本2階建町家飾窓付店舗高様式同上
(1)屋根は,切妻で日本がわらぶきとし,屋根軒裏は,たるき及び野地板をみせ,すだれ掛付きとすること。
(2)ひさしは,日本がわらぶきとし,ひさし軒裏は,野地板をみせ,幕掛け付きとすること。
(1)壁は,京壁とすること。
(2)1階は,町家風飾窓及び腰高ガラス引違戸によって構成すること。
(3)2階は,出格子窓または平格子窓及びなげしによって構成すること。
同上同上
和風邸宅様式木造真壁造りで,平家建または2階建とすること。
(1)屋根は,入母屋で日本がわらぶきとし,屋根軒裏は,たるき及び野地板をみせ,すだれ掛け付きとすること。
(2)ひさしは,日本がわらぶきまたは銅板ぶきとし,ひさし軒裏は,たるき及び野地板をみせるものとすること。
(1)壁は,京壁とすること。
(2)1階は,ガラス格子引違戸または腰高ガラス引違戸,下地窓または下地欄間及び腰すぎ板張りまたは腰すぎ皮張りによって構成すること。
(3)2階は,手すり付き掃き出し窓,欄間及び数寄屋風戸袋によって構成し,すだれをかけること。
同上同上

 

2 へい及びかきの様式,材料及び色彩の基準

 

へい及びかきの様式,材料及び色彩の基準
様式
材料
色彩
 
名称
構造
屋根
壁面
へい
屋根小壁付和風板べい
木造真壁造りとすること。
屋根は,日本がわらぶきとすること。
小壁は,京壁とし,腰なげしを付け,その下部は,たて羽目板張とすること。
見掛り木部は,1等上小節材とすること。
木部は,べんがら塗り,生地仕上げその他これらに類する仕上げの色彩とすること。
屋根欄間付和風板べい
同上
同上
腰なげしを付け,その上部は,飾り欄間とし,その下部は,たて羽目板張りとすること。
同上
 
和風塗りへい
同上
同上
壁は,京壁,しっくい塗壁またはプラスタ塗壁とし,幅木は,木製とすること
同上
 
かき
木竹がき
四つ目がき,建仁寺がきその他これらに類する京風の木竹がきとすること。
 
  
木または竹であること。 
 
生けがき
和風の生けがき
 
 
あらかし,うばめがし,かなめもち,さざんか,さつき,まさき等の和風の樹種
 

お問い合わせ先

京都市 都市計画局都市景観部景観政策課

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