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人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.14(令和3年5月号)(HTML版)

ページ番号282062

2021年5月28日

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.14(令和3年5月号)

輝きピープル お笑い芸人 安藤なつさん

超高齢社会の人権を考える シルバー Q&A

いくつになっても
自分らしく
生活したい

ひとり暮らしの
お年寄りが
心配…

どう向き合えば
いいですか?

輝き☆People
超高齢社会の人権を考える
シルバー
Q&A

安藤なつ(メイプル超合金)
お笑いコンビ「メイプル超合金」のツッコミ担当として,個性的なキャラクターと明るいネタで私達に笑いと元気をくれる,安藤なつさん。実は子どもの頃から介護の現場に関わっておられました。今回は介護の仕事を通じて,高齢者にまつわる問題について答えていただきました。

自分たちの問題として
みんなで
考えてみよう!

だって高齢者に
なるんだよ?

安藤なつ(あんどう なつ) 
1981年1月31日,東京都生まれ。お笑いコンビ・メイプル超合金のメンバー。相方はカズレーザー。コンビでの活動ほか,ドラマではNHK BSプレミアム『ナンシー関のいた17年』ナンシー関役など。映画では『ラフ』田沼春子役で出演。そのほか,フジテレビ『志村流』にも登場。趣味は回転寿司めぐり,たこ焼きを焼くこと。特技はおしりを堅くすること。


――Q高齢者に対するイメージは?

――A小学生の頃から施設に遊びに行っていたから,お年寄りは人生の大先輩として身近な存在でした。

親戚が運営している障害者グループホームに小学1年生の頃からよく遊びに行っていたのですが,そこに高齢者の方もおられ,自然に接していました。物心ついたときからそうだったから,私にとってお年寄りは特別な存在ではありません。みんなでレクリエーションをしたり,一緒にご飯を食べたり。お箸の持ち方など食事のマナーを教えてもらうこともありました。
中学生になってから毎週土日にボランティアで介護のお手伝いをするようになり,高校生になってからはアルバイトに切り替わりました。どのようにケアするかは周りのスタッフさんから学んだことが多いですね。そして,20歳のときにホームヘルパー2級(当時)の資格を取得し,在宅介護の仕事を始めました。夜勤の訪問介護で,主な仕事はおむつ交換とトイレ介助。芸人として昼間活動していたので,夜間の方が働きやすかったのです。
ほとんどが要介護5の寝たきりの方で,一晩で15軒から20軒ほど回っていました。実はブレイクするきっかけとなった,2015年「M-1グランプリ」決勝の前日も夜勤で働いていたんですよ!

――Q高齢者の問題で気になることは?

――A相談相手がいないことから,被害者になってしまう。社会から孤立する「壁」の問題。

ひとり暮らしのお年寄りが増え,相談相手がいない状況になっているのではないかと思います。オレオレ詐欺など悪徳商法の被害者になってしまうのはこうした背景があるからでしょう。一方で,夫婦二人暮らしでも老老介護で疲れ果て,虐待に発展するケースもみられますよね。人手が足りない,他人は信用できない,お金のことなど様々な問題が考えられますが,誰かに相談するに至るまでの「壁」が厚いような気がします。介護は家庭の問題として捉えられて,他人の介入が難しいように思われているのでは?しかし,他人だからこそ節度を持って冷静に対応できることがあります。家族のことだからと抱え込まずに,状態が悪化する前に第三者が手を差し伸べられるように,余裕のあるうちに「頼れる関係」を築いていくことが大切だと思います。
また,普段の生活の中で高齢者と関わる機会が少ないと,どう接していいか分からないという若い人もいるのではないでしょうか。そこにも「壁」があるような気がしますね。そういう若い人たちが高齢者に接する機会が必要だと思います。


――Q介護の仕事で気付いたことは?

――A皆さん一人一人,違うということ。たとえ,言葉はなくても伝わることがある。

ホームヘルパー2級の講習でおむつ交換のやり方は教わっていたものの,現場で実際にやらないと分からないことが多かったですね。皆さんお一人お一人の意思や状態が異なるので,その方に合わせてやり方を変えていく必要があります。
言葉はなくても伝わることに気が付いた出来事もありました。安否確認のため夜間に訪問したおじいちゃんはもう話せない方でした。(お宅で勝手なことをするのはよくないことかもしれませんが)私が折り鶴を置いて帰ったら,おじいちゃんはその鶴を見て自分でも折ってくれたとか。その話を御家族からお聞きしたとき,介護の仕事をやっていて良かったなと感激しました。
「介護は大変」というマイナスイメージがありますが,実際にやってみないと分からないことがたくさんあるので,是非体験してみてほしいです。お一人お一人との出会いを楽しんでください。クセになったらやめられませんよ(笑)。


――Q介護に当たって特に心掛けていたことは?

――A認知症や身体の衰えがある場合でも,ご本人の意思を尊重していました。

欲求を普通に,自然に満たすことができるように接することを心掛けていました。たとえ認知症や身体の衰えがみられても,その人がどうしたいのか,どうすれば心地良いかを探りながら対応していました。特に羞恥心を感じさせないように気を配りました。例えばトイレの介助では「この人だったら何を見られても恥ずかしくない」と思ってもらえるように振る舞うことが大切です。もし粗相があったとしても,「お漏らししましたね」とは絶対に言わない。大人だったら,そんなことを他人に言われたら恥ずかしいじゃないですか。あくまで私の基準ですが,御本人の意思を尊重し,何か失敗された場合も安心してもらえるようにサポートしていました。


――Q高齢者とのふれあいを通じて伝えたいメッセージは?

――A一対一のコミュニケーションを大切に。当事者意識を持って接したい。

こちらが一方的に「ケアしてあげる」ではなく,「何かあれば手伝います」のスタンスで,その人の意思を汲み取れるよう,一対一の人間同士のコミュニケーションで関係性を築くことが重要だと思います。若い人でもいずれ高齢者になりますから,当事者意識を持って接することができたらいいですね。自分に置き換えて考えることがポイントですよ。
今回のテーマは「超高齢社会の人権を考える」でしたが,改めて考えると「人権」って何でしょう?自分が人権を侵害されて初めて気付くことかもしれません。誰もが人生の最期まで自分らしく生きる権利があることを忘れないようにしたいですね。

SOS!
相談はこちら
高齢者や御家族の方からの各種相談をはじめ,高齢者に関する虐待をはじめとした権利擁護についても御相談いただけます。

京都市
長寿すこやかセンター
075-354-8741

プレゼント
サイン入り色紙を差し上げます!
どしどし御応募ください!
安藤なつさんのサイン入り色紙を3名様にプレゼントします。
応募方法
以下のいずれかの方法で御応募ください。
(1)ハガキに郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号を記入のうえ,以下の宛先に郵送
(2)京都市共生社会推進室公式ツイッター「Live Together」(@kyosei_kyoto)を
フォローし,ハッシュタグ「#きょうCOLOR」を付けてツイート
※当選された場合はダイレクトメッセージにより,必要事項を確認します。
※いずれも必ず本誌への御意見・御感想をお書きください。
締切
7月30日(金曜)(当日消印有効)
宛先
〒604-8571(住所不要)
 京都市共生社会推進室
「きょう☆COLOR」Vol.14プレゼント係
★抽選結果の発表は発送をもって代えさせていただきます。


 京都市共生社会推進室公式ツイッター
「Live Together」
(@kyosei_kyoto)
是非フォローして
ください!

令和3年度 京都市人権レポート

令和3年度 京都市人権レポート
京都市人権文化推進計画に基づく事業報告書

京都市では,人権文化推進計画に基づき様々な取組を進めています。昨年度の取組の一部を御紹介します。

コロナ差別に関する取組
~断ち切ろう,コロナ差別~

新型コロナウイルス感染症に関連して,感染者やその御家族,医療従事者等に対する差別的な取扱い,誹謗中傷や,心ない書込みがSNSを中心に広がっており,社会的な問題となっていることから,お互いを思いやり,みんなで,新型コロナウイルス感染症を乗り越えていこうとする機運が高まるよう,様々な取組を行いました。

京都市の取組(抜粋)
・市民しんぶんにおける差別・偏見防止の記事掲載,ラジオ,テレビでの市長からの呼び掛け
・「断ち切ろう,コロナ差別。あなたも,私も,不安は同じ。」の啓発コピーを各区役所のモニター等に掲示
・セルフチェックチラシの発行
詳細はこちら
https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000265358.html


LGBT等の性的少数者に関する取組
~パートナーシップ宣誓制度,始めました~
「性の多様性の理解及びLGBT等の性的少数者の社会参加の促進プロジェクト」として,様々な取組を行いました。

・パートナーシップ宣誓制度を開始(令和2年9月)
・コミュニティスペース及び個別相談会の試行実施(令和2年10月、12月)
・企業向けパンフレットの作成(令和2年10月)
・有識者等による座談会の内容を収録したリーフレットの作成(令和3年4月発表予定)
詳細はこちら
https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000271168.html


「よりそい・つなぐ」相談窓口(京都市ひきこもり相談窓口)開設
~ひきこもりの悩み,一人で抱え込まずに相談してください~

ひきこもり状態にある方やその御家族に分かりやすい支援の入口として,これまで年齢によって2箇所に分かれていた窓口を,令和2年9月1日から,年齢を問わない1箇所の窓口にしました。

・相談電話番号 075-212-7808
・開設時間 月曜から土曜までの,午前9時から午後6時まで
※国民の祝日及び年末年始(12/29~1/3)は除く。
 電話・来所・訪問など,御希望に沿った方法で相談を受け付けます。
 お話をお聞きしたうえで,適切な支援機関につないだり,必要に応じて連携して問題解決のお手伝いをします。
詳細はこちら(https://www.city.kyoto.lg.jp/hagukumi/page/0000274419.html


里親支援事業
~はぐくみさんになりませんか~
これまでから児童養護施設等で実施してきた里親支援やショートステイ事業を総合的に実施する「きょうと里親支援・ショートステイ事業拠点(愛称:ほっとはぐ)」を令和2年10月1日に開設したほか,養育里親の愛称募集(愛称:はぐくみさん),様々な広報媒体や本市オリジナルのポスター・映像等を活用した普及啓発活動,里親経験者による講演会や里親制度の説明会等の実施など,里親に対する支援を総合的に推進しました。

〈きょうと里親支援・ショートステイ事業拠点(愛称:ほっとはぐ)〉
・対象地域 中京区・下京区・南区・伏見区
・実施場所 下京区下長福寺町264
 (阪急大宮駅より徒歩10分/JR丹波口駅より徒歩9分/
 バス停大宮五条より徒歩5分)
・開所時間 平日・土曜・祝日は午前9時から午後9時まで/日曜は午前9時から午後5時まで
詳細はこちら(https://hagukumisan.city.kyoto.lg.jp外部サイトへリンクします

 

我ら,企業市民

我ら,企業市民
更生ペンギンのホゴちゃんからのお知らせ
~協力雇用主を募集しています~

協力雇用主とは
 犯罪や非行をした人(刑務所出所者等)の自立及び社会復帰に協力することを目的として,犯罪や非行をした人を雇用し,又は雇用しようとする事業主の方々です。

協力雇用主の現状
 現在,全国に約23,000社の協力雇用主がいらっしゃいますが,実際に犯罪や非行をした人を雇用してくださっている事業主は,そのうち約1,500社に留まっています。また,建設業,サービス業,製造業が全体の8割を占めるとともに,従業員規模100人未満の事業主が全体の8割を占めています。犯罪や非行をした人の円滑な社会復帰・職場定着のためには,事業主の方々との適切なマッチングが重要です。そのため,幅広い業種の事業主の方々に御登録いただきたいと考えております。

建設業 53%
サービス業 14%
製造業 11%
卸小売業 5%
運送業 4%
電気・ガス・水道工事 3%
農林漁業 2%
(平成31年4月1日現在、法務省保護局資料による。)

協力雇用主の負担を軽減する制度があります
 刑務所出所者等を雇用して指導に当たる協力雇用主に対して年間最大72万円を支給する刑務所出所者等就労奨励金制度など,協力雇用主の負担を軽減する国の支援制度があります。

刑務所出所者等就労奨励金制度
(実際に雇用してくださった協力雇用主に最長1年間奨励金を支給します。)

就労・職場定着奨励金
 刑務所出所者等を雇用した場合,最長6箇月間,月額最大8万円をお支払いします。
※刑務所出所者等に対して,就労継続に必要な技能や生活習慣等を習得させるための指導や助言等を実施していただき,保護観察所にその状況の報告を行っていただきます。

最大48万円


就労継続奨励金
 刑務所出所者等を雇用してから6箇月経過後,3箇月ごとに2回,最大12万円をお支払いします。
※刑務所出所者等に対して,就労継続に必要な技能や生活習慣等を習得させるための指導や助言等を実施していただき,保護観察所にその状況の報告を行っていただきます。

最大24万円


身元保証制度
 身元保証人を確保できない刑務所出所者等を雇用した日から最長1年間,刑務所出所者等により被った損害のうち,一定の条件を満たすものについて,損害ごとの上限額の範囲内で見舞金をお支払いします。

最大200万円


トライアル雇用制度
 刑務所出所者等を試行的に雇用した場合,最長3箇月間,月額4万円をお支払いします。
※事前にトライアル雇用求人をハロ一ワークに登録していただくとともに,雇用保険に加入していることが条件となります。

最大12万円


職場体験講習
 刑務所出所者等に実際の職場環境や業務を体験させていただいた場合,講習委託費をお支払いします。
※社会保険に加入していることが条件となります。

最大2万4千円


事業所見学会
 刑務所出所者等に実際の職場や社員寮等を見学させることにより,就労への意欲を引き出します。


協力雇用主という社会貢献,やってみませんか。
京都保護観察所では協力雇用主になっていただける事業者を募集しています。
少しでも興味をお持ちの方は,遠慮なく御相談ください。
皆様からの御連絡をお待ち申し上げております。
相談・問合せ 京都保護観察所 ☎075-441-5141


協力雇用主  事例紹介
A社(京都市内)

刑期を終え,出所した人々の社会復帰を支える

テレビのニュースやドラマでは,犯罪に関して我々は加害者が逮捕されたこと,又は裁判で刑が決まったことまでしか知ることはありません。しかし現実の世界では,犯罪に関わった人々の人生はそれから先もずっと続きます。
罪を犯し,刑期を終えた人々は出所後,どのようにして社会復帰を目指すのでしょうか。出所者を雇用し,見守りながら支え続けている企業が,京都にあります。
A社は昭和40年代創業。廃棄物に関する業務を行っています。約10年前に「協力雇用主」としての活動を始めました。
きっかけは,刑務所や少年院から出所予定の人たちの生活相談,当面の生活拠点である更生保護施設の運営や,生活指導,就労支援などを行っている更生保護法人の知人からの誘いでした。
「当初はやはり,社内に拒否感はありました。しかし,これは意義のあることだと私自身が決心し,なんとか社員を説得して始めることにしたのです」とA社のA社長は語ります。

住む場所,仕事…
ゼロからのスタートを支える

刑務所から出所した人に必要なのは,住む場所と仕事です。A社長は会社の近くのアパートを借り上げ,住居を確保。生活をスタートさせるための最低限のものを用意します。
「冷蔵庫,テレビ,通勤のためのバイクなど…初期費用としてだいたい50~60万円はかかりますね。これは一旦,会社からの貸しということになります。これから働きながら,毎月返せる分だけ返してもらうようにしています」
さらに出所者には,借金があることも多いといいます。
「その場合,弁護士を立てて債権者と相談します。返せる借金は,一旦会社が肩代わりして精算します。これも働いて稼いだお金から少しずつ返してもらいます。当然,返してもらえなくなるリスクはありますが,この事業をやっている限りは仕方ないと思っています」
そんなA社長が出所した人を採用する際に,必ず本人に伝えていることがあるといいます。
「何より“嘘をついてはいけない”ということ。どんなことでも相談に乗るから,嘘だけは絶対につかないでほしい,と伝えます」
現在,30代から60代までの7名の出所者が働いています。A社長が心掛けているのは,常に従業員たちに声を掛けること。
「仕事の真面目な話でも雑談でも,何でもいいんです。とにかく話し掛けてみること。そうするうちに彼らの抱えている悩みや課題が見えてくることがあります」
罪を犯した人々は多くの場合,家族に何らかの問題を抱えているといいます。
「話をよく聞いてみると,温かい家庭というものを知らずに子ども時代を過ごした人が多いですね。いつも言うんですよ。『私は君の親父にはなれないが,親父代わりにはなれるよ』って」
A社では,父代わりの社長を筆頭に,家庭的な雰囲気がつくられています。

一人一人の顔つきが劇的に変わってくる

「出所者もそうでない人も,まったく対等に扱う,というのが我が社のモットー。同じ責任で同じ仕事を任せるのはもちろん,賃金や各種保険などの待遇で他の社員と差をつけない。当たり前のことですが,これが大切です」
従業員たちの顔つきは働く中で劇的に変わっていくとA社長は言います。
「まず,笑顔が増えてくる。顔つきが引き締まってくる。それに,不思議なことにみんな,だんだん若返っていきますね(笑)」
従業員たちが働くことで自信を取り戻し,ずっと疎遠だった家族と連絡を取る勇気を得たり,本当にやりたい仕事を見つけて“卒業”したりするのを見るのが何よりの幸せだ,と語るA社長。
これまでに,受け入れた社員が再び刑務所に戻ってしまった悲しい事例もあります。
「それでも,しっかり真面目にやっている出所者の頑張りを見ていると,この事業をやめることはできませんでした」
打ち込める仕事があれば,人は変わることができる。A社のみなさんは,これからも社会にそれを証明していきます。


社員の声
B さん
別れて暮らす家族との再会を目標に

 約9年前,更生保護法人からの紹介でA社に入社しました。現在は営業車に乗り,京都・滋賀エリアの各所を回っています。
 A社長に初めてお会いしたとき,「この人は腹を割って話すことができる,信頼できる人だ」と確信しました。親身に相談に乗っていただき,入社から1年を待たずして自分で部屋を借りて自立することができました。
 もうすぐ出所して10年になりますが,10年を目処に,別れて暮らしていた家族と再会したいと思っています。自分がどれだけ真面目に頑張っているのか,家族に見せることが目標でした。支えてくれた社長も,わたしのこの決心をとても喜んで応援してくださいます。

見て・知って人権 京の学生が行く

このコーナーでは,京都で学ばれている学生の皆さんなどに,取材や誌面作りに参加いただき,毎号,京都市の人権関連施設を1箇所ずつ紹介していきます。

第14回 高齢サポート・岩倉(京都市岩倉地域包括支援センター)

当センターで実習した私たちが紹介します!
京都橘大学 看護学部2回生 松井(まつい) 灯里(あかり)さん
京都橘大学 看護学部2回生 佐竹(さたけ) 彩音(あやね)さん

――高齢サポート(地域包括支援センター)とは,どんな施設ですか?
高齢サポート(地域包括支援センター)は,地域で暮らす高齢者の総合的な相談窓口として,京都市から委託を受けた医療法人や社会福祉法人等によって運営されており,市内61箇所に設置されています。各高齢サポートでは,保健師や社会福祉士,主任ケアマネジャーなどの専門職員が,高齢者やその家族からの介護や福祉,健康,医療等に関する相談に対応しています。また,一人暮らしの高齢者への訪問活動の実施や,地域の住民や関係機関などと連携した取組を通じて,高齢者が健やかに安心して過ごせる地域のネットワークづくりに取り組んでいます。
その一つである高齢サポート・岩倉は岩倉北,岩倉明徳,岩倉南エリアを担当しています。

――どのように高齢者を支援されていますか?
高齢サポートでは,高齢者が住み慣れた地域で生活できるよう様々な支援を行っており,特に岩倉地域で力を入れているのが,認知症高齢者の支援です。
岩倉地域は昔から精神科病棟を持つ病院や認知症関連施設が多いエリアでした。そのため,認知症の高齢者への対応がとても温かいことが地域の特長です。例えば銀行の渉外担当者や地元商店の人から,「あの一人暮らしのお年寄り,最近少し様子が気になるんだけど…」という相談が当センターに寄せられたことで,支援につながったケースも少なくありません。
また,当センターは積極的に「認知症」をテーマにワークショップを開き,住民の参加を呼び掛けてきました。結果,「高齢者のことなら高齢サポートへ」と認識いただき,高齢サポートを中心とした「地域全体による高齢者支援」が実現しています。
さらに,高齢者と地域の人々が集って楽しむイベント「オレンジカフェ」も開催。こうしたイベントを定期的に開催することで,地域における認知症への理解を広げています。
しかし新型コロナウイルス感染症の影響で,こうした屋内型のイベントの開催が困難になってきました。そこで当センターが始めたのが,使われていなかった地域の畑を活用した「いわくら農園倶楽部」です。地域でかつて農業を営んでいた人々の協力も得ながら,高齢者が野菜や果物を栽培。この取組に地域の児童館に通う親子や中高生などが加わり,新たな交流が生まれています。

――市民の皆さんに伝えたいことは?
京都市内各所にある高齢サポートでは,高齢者の方や家族からの様々な相談に対応しています。認知症に関しては,高齢サポートとの出会いから支援が始まります。
高齢者が認知症を発症し,診断を受けるまでに平均1年2箇月,診断を受けてから介護保険サービスの利用に至るまで1年5箇月の「空白の時間」が生じると言われています。その間に認知症は進行してしまうため,高齢サポートが早期に関わることにより,社会参加の機会をつくり,生きがいを持って生活ができる環境を提供することで,認知症の進行予防につなげていきたいと考えています。
できるだけ早い段階で電話したり,窓口に足を運んだりすることが,支援や介護を必要としない健康な生活づくりにつながります。どんなことでも,お気軽に御相談ください。

お話を伺った方
高齢サポート・岩倉
(京都市岩倉地域包括支援センター)
センター長
松本(まつもと) 惠生(しげお) さん

◆事務所
 2階建ての事務所には,保健師・看護師・社会福祉士・主任ケアマネジャーといった専門家が常駐し,相談対応や様々な事業の準備・調整を行っています。
 病院以外の現場で,看護師が他の専門職とどう連携して働いているのかを知ることができました。高齢者の皆さんをケアするための情報収集のあり方を学べました。

◆農園
 いわくら農園倶楽部ではトマト,きゅうり,さつまいも,いちごなどを栽培しています。収穫した作物は地域の児童館などで販売。栽培から販売までを高齢者や地元の人々が協力して手掛けます。
 今後,看護師も地域医療で活躍する機会が増えてくると思います。高齢者の方々との畑での作業を通して,病院の外でも人々の健康を支える看護師の役割を学ぶことができました。

◆イベント
 これまでに叡山電鉄八瀬比叡山口駅やおしゃれな結婚式場など個性的な会場で,高齢者と地域の交流イベント「オレンジカフェ」を開催してきました。高齢者の方々が様々な世代の人々と接する機会となり,いきいきとした笑顔が見られます。

新企画「高齢者とペット問題を考える」
 2021年2月5日(金曜),高齢サポート・岩倉で「高齢者とペット」をテーマとしたトークイベントがオンラインで開催されました。近年,一人暮らしの高齢者の多頭飼育や,認知症や他の病気でペットの飼育が継続できなくなるケースが増えています。こうした事態に対し,今後,誰がどのように,この問題を解決していくのか…専門家による講演やディスカッションが行われました。

◆御案内
 市内には61箇所の高齢サポート(地域包括支援センター)があり,それぞれ担当学区が分かれています。御相談の際は,お住まいの学区の高齢サポート(地域包括支援センター)まで,御連絡ください。

令和3年3月に「京都市再犯防止推進計画」を策定しました。

 京都市では,「やり直すことのできる社会と安心・安全なまちの実現」を目指し,国や民間団体等と連携しながら再犯防止の取組を進めます。
 具体的には,住居・就労の確保に向けた支援や保健医療・福祉サービスの利用に向けた支援など,以下の6つの柱に基づき,50を超える施策を実施します。

「京都市再犯防止推進計画」に掲げる6つの柱
(1)住居・就労の確保等による社会の居場所づくり
(2)ネットワークの充実による保健医療・福祉サービスの利用の促進
(3)非行の未然防止,犯罪等をした少年への継続した学びの支援
(4)犯罪等をした人の年齢や特性に応じた効果的な支援の実施
(5)民間協力者の活動との更なる連携,広報・啓発活動の推進による地域社会への理解促進
(6)「再犯防止×京都の文化力」の視点による取組の推進

「京都市再犯防止推進計画」は以下のURL又は右の二次元コードから御覧いただけます。
 https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000281846.html


私たちにできること
 再犯防止の取組は,保護司※1,更生保護女性会※2,BBS会※3,協力雇用主※4等の民間協力者により支えられています。
 一人でも多くの方がこうした活動に関心を持ち,理解していただくことが,民間協力者の活動の充実等につながります。また,更生を目指す人の人権が尊重されることは刑務所出所者等の更生意欲の向上につながります。
 様々な立場から更生を目指す人を見守り,支援する活動に御理解・御協力をお願いします。
 また,京都市では,「やり直すことのできる社会と安心・安全なまちの実現」に向けて,皆様からの寄付金を募集しています。いただいた寄付金は,民間団体の活動支援等,再犯防止に関する取組の推進に活用させていただきます。

●寄付についての問合せ先
保健福祉局 保健福祉総務課(TEL075-222-3366)

※1…犯罪や非行をして「保護観察」を受けることになった人の生活を見守り,様々な相談に乗ったり,指導を行ったりするボランティア
※2…女性の立場から,地域における犯罪予防の活動や子どもたちの健全育成のための支援活動などを行うボランティア
※3…様々な問題を抱える少年たちと,兄や姉のように身近な立場で接することで,少年たちの成長を助ける青年ボランティア
※4…5ページ参照

 

『Chance!!』が繋ぐ刑務所と社会

三宅 晶子(株式会社ヒューマン・コメディ 代表取締役)

 私の両親は銀行員でありながら社会活動家で,いつも困っている人のために活動していました。今でも一番尊敬していますが,少女時代は「誰も自分の話を聞いてくれない」という不満と,「両親を超えられない」という思いが常にありました。中学に入ると非行に走り,15歳で高校を退学となり,お好み焼き屋に就職。その後両親の支えがあって大学を卒業,一部上場企業に就職しました。そして2014年に退職。受刑者支援団体等でボランティアをする中で,やり直しがきかない出所者の現実を目の当たりにしました。出所しても住む場所がなく,ネットカフェなどで過ごすうちに所持金を使い果たすと,生きるために些細な犯罪をして刑務所に戻っていく人が非常に多いのです。
 そんな矢先に少年院からある少女の身元引受をすることになり,それをきっかけとして2015年に株式会社ヒューマン・コメディを設立しました。そして2018年3月に受刑者等専用求人誌『Chance!!』を創刊。年4回発行し,全国の少年院・刑務所等に配布しています。
 『Chance!!』では,募集企業の代表者のメッセージや写真を多く掲載し,採用後の生活をイメージしやすいようにしています。また,寮や社宅などの住居支援や,給料の日払制度などによる当座の生活費支援等,「最低限お願いしたいこと」を承諾していただいた企業に対し,私が代表者と直接お話しした上で,掲載の可否を決めさせていただいています。
 また,応募者からは,犯罪歴や再犯しないための決意,刺青や指詰めの有無など,A4サイズ 4枚にわたる『Chance!!専用履歴書』を書いていただきます。過去をさらけ出す必要がありますが,それだけに応募者の覚悟の有無が如実に表れます。
 応募総数は595件で,111名の方が内定しています(2021年2月19日現在)。中にはなんの前触れもなく行方不明となり,その際に会社貸与のスマホを持ち逃げしたり,その後お金に困って再犯したりする人がいる一方,雇っていただいた恩義を感じて一生懸命頑張る人もいます。掲載企業は総じて「一般の人よりもよく働く」と,出所者に価値をおいています。
 これまで1,200人以上の受刑者の方からお手紙をいただく中で,虐待や貧困など,不遇な環境で育った方が非常に多いと感じます。人が犯罪をする裏には,その人なりの背景や理由があることを知ると,自分が今犯罪をせずにいられる環境にあることに感謝せずにはいられません。本人が変わろうと思えば,人生は必ずやり直せる。失敗や間違いをゆるして受け入れることのできるやさしい社会を目指して,今後も前に進み続けてまいります。

プロフィール
1971年,新潟県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。貿易事務,中国・カナダ留学を経て株式会社大塚商会入社。2014年退職後,受刑者支援団体等でボランティア活動を行い,2015年株式会社ヒューマン・コメディ設立。2018年に日本初の受刑者等専用求人誌『Chance!!』創刊。アンガーマネジメントファシリテーター。依存症予防教育アドバイザー。刑務所や学校,保護司会,支援センター等で講演・講座多数。

「第5次京都市男女共同参画計画(案)」への意見を募集

京都市では,現在「第5次男女共同参画計画」(計画期間:令和3~7年度)の策定に向けて,検討を進めています。計画の策定に向けて,市民の皆様からの御意見を募集します。

募集期間
令和3年4月19日(月曜)~令和3年5月24日(月曜)【必着】

提出方法
郵送,FAX,電子メール又はホームページの意見募集フォームで御提出ください。
様式は自由です。

問合せ先及び提出先
住所
〒604-8101 京都市中京区柳馬場通御池下る柳八幡町65 京都朝日ビル8階
京都市文化市民局共生社会推進室 男女共同参画推進担当
電話 075-222-3091 / FAX 075-366-0139
電子メール danjo@city.kyoto.lg.jp

第5次男女共同参画計画(案)は以下のURL又は右の二次元コードから御覧いただけます。
URL https://www.city.kyoto.lg.jp/templates/pubcomment/bunshi/0000281858.html
文化市民局 共生社会推進室 男女共同参画推進担当(TEL075-222-3091)

同和問題の解決を目指して

 京都市では,平成28年制定の「部落差別の解消の推進に関する法律」を踏まえ,同和問題の解決に向け,教育や啓発,相談体制の充実に取り組んでいます。
 法務省による部落差別の実態調査の報告書(令和2年6月)では,人権意識は定着しつつあり,多くの人が部落差別は不当だと知っている一方で,交際・結婚相手が旧同和地区出身者かどうかを気にするなど,心理面での偏見・差別意識が残っていることのほか,インターネット上で,特定の地域を旧同和地区であるとしたり,差別的な表現で人をおとしめたりする書込みが増えていることが指摘されています。
 私たち一人一人が人権を大切にし,理解を深め,差別や偏見を許さないという態度を身に付けることで,人を「生まれ」や住んでいる地域を理由として差別することのない共生社会を目指しましょう!

コラム
 今から100年前の1922年3月,京都市岡崎公会堂(現ロームシアター京都)で全国水平社の創立大会が開かれました。
 「人の世に熱あれ,人間に光あれ」と結ばれる水平社宣言は,「人間を尊敬すること」による差別からの解放をうたっており,「日本初の人権宣言」とも称されています。

≪お知らせ≫

断ち切ろう,コロナ差別。
あなたも,私も,不安は同じ。
思いやりを大切に,みんなで乗り越えましょう。

みんなの人権110番  ☎ 0570-003-110
月~金曜(祝日及び年末年始を除く),午前8時30分から午後5時15分まで

令和元年度「四字熟語人権マンガ」京都市教育長賞 伏塚 はな乃 さん

京都まぁぶるスペース
 LGBT等の性的少数者の人や,その周囲の人たちが気軽に集まってお話し,交流していただける場として,コミュニティスペース「京都まぁぶるスペース」を実施しています。
 自分の性別への違和感や恋愛対象の性別等について,周りに話すことができる人がいない方や,性的少数者であることに悩みを抱えている人とどのように付き合っていくか悩んでいる方等,どなたでもお気軽に御参加ください。個別相談も同時実施します。


京都市共生社会推進室SNS やっています!
 京都市の人権関連イベントや企業向け人権啓発講座等の開催案内のほか,人権に関する様々な情報を発信しています。

facebook「きょうcolor」

Twitter「Live Together」@kyosei_kyoto

「パートナーとの関係は対等ですか?」
DVは年齢に関係なく起きる問題で,65歳以上の高齢者の相談も多くあります。お気軽に御相談ください。同性の相談員が,あなたからの電話を待っています。

京都市DV相談支援センター(女性被害者専用)
☎ 075-874-4971(月~土曜 午前9時から午後5時15分まで)
男性のためのDV電話相談
☎ 075-277-1326(第2・4火曜 午後7時から午後8時30分まで)


人権擁護委員による人権相談窓口
~1人で悩まずに御相談ください~

面談による無料相談
 いじめ,コロナ差別,虐待,セクハラ,配偶者やパートナーからの暴力,インターネット上での誹謗中傷など,人権に関することでお困りのことはありませんか?そんなときは,人権相談窓口を御利用いただけます。
 各区役所・支所で開催しますので,お近くの区役所・支所又は御都合のつく日程の区役所・支所を御利用ください。

※ 区役所・支所での相談については,相談当日,御予約なしでも相談いただけます。

相談日程(令和3年度) 全て午後2時から午後4時まで
山科区役所  4月22日(木曜)
全区役所・支所で一斉開催 6月1日(火曜) 6月1日は「人権擁護委員の日」
北区役所  5月20日(木曜)  
右京区役所  7月15日(木曜)  
中京区役所  8月19日(木曜)  
上京区役所  8月26日(木曜)  
東山区役所  9月16日(木曜)  
深草支所 10月28日(木曜)  
洛西支所 11月18日(木曜)  
下京区役所 11月25日(木曜)  
南区役所 12月16日(木曜)  
醍醐支所 12月23日(木曜)  
左京区役所  1月27日(木曜)  
西京区役所  2月24日(木曜)  
伏見区役所  3月17日(木曜)

共生社会推進室 偶数月の第4水曜日(要予約) 午後6時から午後8時まで

申込み 問合せ
文化市民局共生社会推進室
☎ 075-366-0322
FAX 075-366-0139


編集後記
 約100年前に世界中で大流行したスペイン風邪は,世界で約5億人が感染したとされ,終息に長い期間を要しました。
 その後,社会に変化をもたらした医療技術や情報技術の進歩は,新型コロナウイルス感染症を乗り越える際の希望となっています。一方で,インターネットの普及やSNSによるコミュニケーションは,コロナ禍において新たな形で人々の間の分断を助長させるおそれがあり,正しく使う必要があります。
 スペイン風邪においても,特定の集団に対する差別や偏見が起こっていたことが分かっています。先人たちの苦労と努力の結晶である医療技術や情報技術の進歩をありがたく活用させていただくと同時に,歴史から学び,差別や偏見のないこれからの社会へつなげていくことが,私たちに求められているのではないでしょうか。


<法務省委託事業>
人権総合情報誌 きょう☆COLOR vol.14 (発行 令和3年4月)
発行:京都市 文化市民局 共生社会推進室
☎075-366-0322 FAX075-366-0139
〒604-8101 京都市中京区柳馬場通御池下る柳八幡町65 京都朝日ビル8階
URL https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/soshiki/6-2-3-0-0.html
この冊子はホームページでも御覧いただけます。また,区役所・支所,市役所案内所ほかで配布しています。

京都市は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。

この印刷物が不要になれば「雑がみ」として古紙回収等へ!

京都市印刷物第033011号

お問い合わせ先

京都市 文化市民局共生社会推進室人権文化推進担当

電話:075-222-3096

ファックス:075-366-0139

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