住民票の写し等の不正取得に係る被取得者への通知実施要領
ページ番号132222
2024年11月1日
制定 平成22年10月 1日
改正 平成25年 2月 1日
平成30年 3月30日
令和 3年10月 1日
1 目的
住民基本台帳法では,市区町村長は,住民に関する記録の管理が適正に行われるよう必要な措置を講じることとしている。
また,京都市個人情報保護条例(以下「条例」という。)においても個人情報の保護に関し,必要な措置を講じることを市長等に求めている。
偽り,その他不正な手段により,住民票の写し等の交付を受けた者(以下「不正取得者」という。)に対しては住民基本台帳法や戸籍法等による罰則が課せられるが,住民票の写し等に記載された個人情報を不正に取得された者(以下「被取得者」という。)に対して通知する法令上の規定がなく,不正取得について被取得者は把握する方法がない。
被取得者に対する通知を行うことが,「個人情報の保護」及び「基本的人権の擁護」につながることから,被取得者に対して,不正取得の事実を知らせる措置を行うものである。
この要領は不正取得された事実を被取得者に通知することにより,個人情報を管理する行政としての責任を果たすとともに,通知の実施を公表することにより,将来の不正請求・不正取得を抑止することを目的とする。
2 定義
(1)不正取得
偽り,その他不正な手段により請求を行い,住民票の写しや戸籍謄本等を取得することをいい,具体的には次のいずれかに該当するものをいう。
ア 取得者が「住民基本台帳法第46条(第2号に該当する者に限る)」又は「戸籍法第135条及び同第136条」に違反した旨の判決が確定したもの
イ 不正の事実が判決等で確定していないが,取得者への聴取又は裁判中の供述等により,不正な手段により請求を行った事実に争いがないと認められるもの
ウ ア又はイに係る公訴事実等には含まれないが,その様態から同一事件として不正に取得された蓋然性が極めて高いと認められるもの
(2)住民票の写し等
住民票の写し,住民票記載事項証明書,住民票の除票の写し,住民票の除票記載事項証明書,戸籍の附票の写し,戸籍の附票の除票の写し,戸籍(除籍・改正原戸籍)の謄抄本又は記載した事項に関する証明書,届書等の記載事項証明書
(3)通知
住民票の写し等の不正取得があったこと及びその内容等について被取得者に知らせること。
3 通知の根拠
(1)個人情報保護のための措置
ア 条例では,個人情報を取り扱う実施機関に対し,個人情報の保護に関して必要な措置を講じることを求めている。(条例第3条第1項及び第12条第2項)
イ 被取得者本人が不正取得の事実を認識し,必要な対応を行うことができるように通知することが被取得者の権利・利益を保護することにつながる。
(2)住民票の写し等の適正管理のための措置
ア 戸籍事務及び住民基本台帳事務は,市区町村長が自らの判断と責任において,その事務を誠実に管理し及び執行する義務を負う(地方自治法第138条の2)
イ 住民基本台帳法では,市区町村長は,住民に関する記録の管理が適正に行われるよう必要な措置を講じるよう努めなければならないとしている。(同法第3条第1項及び第36条の2第1項)
ウ 住民記録等の適正な管理のため,不正取得が行われた場合,事案の全体像を把握するとともに,二次被害や再発の防止に努めることが求められる。
(3)不正請求・不正取得を抑止するための措置
被取得者への通知,不正取得者への通告及び本制度の実施を公表することにより,将来の不正請求・不正取得の発生を抑止する。
4 不正取得者に対する住民票の写し等の返還の要請と通告
市長は,不正取得者に対して,不正取得した住民票の写し等の返還を求めるとともに,被取得者に不正取得者の氏名などを通知する旨の通告を行う。
ただし,不正に取得された蓋然性が極めて高いと認められる場合には,取得者に正当な請求であることが分かる疎明資料の提出を求め,提出がない場合は被取得者への通知を行う旨を通告する。
5 通知の方法及び手続
(1)不正取得に関する事実の把握
法務局・警察等関係機関からの照会等により,住民票の写し等の不正取得の事実を把握した場合,情報の継続的な把握に努め,不正取得に関わる交付請求書等については廃棄せず保管するものとする。
(2)不正取得に関する事実確認
不正取得について検察官通知文書,裁判所回答文書,法務局及び京都府等関係機関等の公文書等によりその事実を確認する。
(3)通知を行う場合の要件
次の要件を満たす場合に,被取得者に対して通知を行う。
ア 対象となる取得行為が,2(1)ア~ウのいずれかに該当していること
イ 不正取得された住民票の写し等に係る交付請求書が保存されていること
ウ 被取得者の所在地が確認でき,通知ができること
(4)通知の対象者
ア 区長等は,不正取得された住民票の写し等の交付請求書に請求の対象として記載された者に通知を行う。
ただし,世帯全員の住民票の写しや戸籍謄本,複数人分の戸籍の附票の写しに係る請求等で,請求の対象者が一人に特定されない場合等には,請求時点の住民票の世帯主又は戸籍の筆頭者に通知を行う。
イ 区長等は,被取得者の所在地が転出等により確認できない場合は,他の市区町村に所在地等の確認について協力を求める。他の市区町村から通知に関し,所在地等の確認について協力依頼があった場合,区長等は当該確認に協力することができる。
(5)通知の方法
ア 事前の意思確認
区長等は,通知の対象者に対し文書等により不正請求があったことを通知し,事案の概要に関する説明を受ける意思の有無等について確認する。
イ 面談
面談は,原則として通知の対象者本人に対して,住民票の写し等の交付事務及び人権擁護を担当する管理職員(課長級以上)(以下,「職員」という。)が行う。
(6)通知内容の決定
区長等は,通知の決定を行う際に,(7)イによる申出があった場合に必要となる資料提供に係る決定を,あらかじめ行っておくものとする。
なお,資料提供の内容については,条例に基づき判断を行うものとする。
(7)面談による説明内容
ア 次に掲げる項目について説明を行う。
(ア) 通知を行う理由
(イ) 不正取得の事実関係
・ 不正取得が行われた時期及び場所
・ 不正取得者の氏名及び住所(所在地)
・ 不正請求の種別及び取得された証明書の種別
・ 不正取得に係る刑罰等
(ウ) 住民票の写し等の交付の仕組み
・ 第三者や弁護士等からの交付請求の仕組み等
イ 面談時に通知の対象者から不正取得に係る住民票の写し等の交付請求書等及び添付書類の写し等(以下,「交付請求書の写し等」という。)について,資料提供の申出がある場合は,次の方法により資料提供を行う。
(ア) 通知の対象者は,申出書に必要事項を記載し,面談を行う職員に提出する。(別紙様式)
(イ) 前項の申出書を受理した職員は,通知の対象者に対し,条例第15条第2項に定める書類の提出又は提示を求め,その場で対象資料の提供ができない特段の事情がある場合を除き,決定の内容に基づき速やかに交付請求書の写し等の閲覧又は写しの交付を行う。
(8)通知を行う場合の留意事項
通知を行うことにより,被取得者の生活の平穏を侵害するおそれがあることから,通知の対象者に対しては,本人の希望を確認するとともに,本市が確認した客観的事実以外の憶測等により被取得者の名誉やプライバシーを侵害したり,いたずらに不安感を与えたりすることのないよう留意する。
また,通知は,被取得者自身の権利や利益を守るために行うものであることなど,通知を行う意義と理由を十分に説明し,理解を得るよう努める。
6 通知後の対応
(1)人権侵害等の相談
被取得者から,不正取得に関連した人権侵害等の相談や問題提起がされた場合には,人権擁護等関係部署及び関係機関が連携して適切な対策を講じるとともに,相談の内容に応じて関係機関への連絡等の対応を行うものとする。
(2)その他の相談
被取得者から債権・相続等の相談があった場合には,法律相談等を行っている機関を紹介する。
7 文書の保存年限
この要領に基づき保管,作成又は取得した文書は,当該文書が完結した日の属する年度の翌年度から起算して3年間保存する。
8 その他
この要領に定めるもののほか,要領の施行に際し必要な事項は,文化市民局と関係区が協議して定める。
附 則
1 この要領は平成22年10月1日から施行する。
2 この要領は,施行の日以降に不正取得の事実が裁判により確定したものについて適用する。
附 則
1 この要領は平成25年2月1日から施行し,平成24年7月1日以降に不正取得の事実が裁判により確定したものについて適用する。
附 則
1 この要領は平成30年3月30日から施行し,施行の日以降に不正取得の事実が裁判により確定したものについて適用する。
附 則
1 この要領は令和3年10月1日から施行し,施行の日以降に不正取得の事実が確認できたものについて適用する。
別紙様式
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