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京都市教育委員会

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第2次答申 2

ページ番号6367

2012年12月25日

 

 2 新たな堀川高等学校における教育活動と,それを支援する教育条件の在り方

 

 新たな堀川高等学校を創造するにあたっての基本的な考え方に基づき,21世紀に向けた堀川高等学校の在り方の方向性について提言する。

 

(1)「個を生かす教育システム」の確立
 「変化と多様化に対応し主体的に選択する力,未来を切り拓くたくましい創造性と他者を尊重する豊かな人間性」を育成する観点に立ち,「個を生かす」ために,画一から多様への転換を図る次のような教育の在り方が必要であると考える。

 

① 教育内容の多様化
 基礎基本の徹底を基盤に,教育課程の多様化・柔軟化を図り,生徒の主体的な学習意欲をひきだす。
ア 従来の教科・科目の枠を超えた総合的な科目の設置
イ 多様な科目の設置と選択幅の拡大
ウ 的確なガイダンスを前提とした,生徒自身による個人カリキュラムの編成
エ 単位認定の弾力化

② 教育形態の多様化

 多面的な施設設備の充実・整備を行い,ソフト・ハード両面から生徒一人ひとりの学習活動を支える。

ア 従来の教室の枠を超えた少人数演習形式の講座や多人数講座の開設

イ 学年の枠を超えた複数学年参加型講座の開設

ウ 他校や大学・研究機関等での学習の実施

エ 学校施設から出て,調査・研究を行なう学習(フィールドワーク等)の実施

③ 教育方法の多様化

 生徒が興味をもって学習し,学習内容を定着させることができるよう,従来の講義形式に加えて,生徒自身が経験を通して学ぶ啓発的経験学習や,一定の課題に対して試行錯誤を伴いながら学んでく課題解決学習等の要素を取り入れた多様な教育方法を導入する。
ア 演習形式の授業の積極的導入
イ 主体的な学習を促す課題研究の導入
ウ 最新の情報機器を活用した授業の導入
エ 他校や大学関係者,社会人等,学校の枠を超えた講師の招聘

 

 生徒一人ひとりを尊重し,主体的な学習活動を通して進路の実現を図り,生徒の自己実現を支援する「個を生かす教育システム」は,進路指導を体系化したシステムであるとも言えよう。
 進路は高等学校教育の総和である。近くは,卒業してどこに進むのか,遠くは,自己の人生をどのように生きるのか。これら近い未来と遠い未来の自己を実現していく過程において,今がどのような意味をもつのか。このことを主体的に考えさせることが必要である。
 主体的に進路を選択する力を育成するためには,生徒一人ひとりの個性を熟知し,その伸長を図る丁寧で適切なカウンセリングが欠かせない。 相談機能を充実させるとともに,ホームルーム等の特別活動において生徒の主体性を育むことが重要な課題である。
 また,学校生活においては,生徒と生徒,生徒と教職員の交流や協同を通して,生徒が自己を見つめ,主体性を確立していく過程が重要であり,そのような機会の創出が求められる。
 これらの内容を実現するためには,施設設備の整備・充実とともに,教職員一人ひとりの総合的な指導力の一層の向上が不可欠である。

 

 

(2)わが国の科学・文化の新たな担い手を育成する専門学科の創設
 本構想委員会は,わが国の科学・文化の進展に資する人材の育成を図るため,大学における専門研究への円滑な接続を目的とする新しい専門学科の創設を提言する。
 新たな堀川高等学校において,活字離れや理科・数学離れなどの今日的課題に対応するため,人間とその営みについて学び,自然について学ぶ新しい専門学科を創設したいと考える。
 新しい専門学科における教育は,国語及び数学・理科の教科内容を高度化・深化させることを基軸として,多彩な学習内容と学習形態及び学習方法を設定して行なうものとする。すなわち,多様かつ高度な学習経を通して,生徒自身が自己の個性を発見し,自らの進むべき専門分野を主体的に選択する能力を開発する教育である。
 新しい専門学科においては,大学における多様な専門研究への対応を図ると同時に,その前提である大学進学を実現するための総合的な学力を培うことについて,効率的な指導を推進する。

 

① 国語・数学・理科等の学習内容を高度化・深化させ,主体的学習活動を通して専門分野の基礎的研究を行う能力と態度を養い,その学習内容を基盤として高等教育に接続することを目的とした次の学科を設置する。
ア 人間の文化・社会及び行動等について探究する能力と態度を養う学科
イ 自然の現象及び原理・法則等について探究する能力と態度を養う学科

② 大学・研究機関等との連携を図り,科学・文化に関する高度な専門教育にふれる機会を設定する。

③ 国際化や情報化に対応することはもとより,社会の進展に貢献する意欲・能力を培う。

④ 大学進学に対応する総合的な学力を伸長する。

 

 

(3)学習内容の精選・充実による魅力ある普通科教育の展開
 新たな堀川高等学校における普通科教育においては,基礎基本の充実・徹底を図ることを通して,生徒一人ひとりの可能性を追求することが重要である。画一的・単線的な教育活動から,多面的・複線的な教育活動への転換を図り,生徒の主体的な学習活動を実現することが求められる。
 生徒の興味・関心,適性,能力に対応して,教科・科目の学習内容を精選・充実することにより,生徒の個性に応じた多様な選択を軸とする, 従来の枠にとらわれないカリキュラムを編成することが必要である。
 新たな堀川高等学校の教育機能を生かして,生徒の個性と能力をより一層ひきだす魅力ある普通科教育を展開する。

 

① 学習内容の精選・充実を基に,基礎基本を徹底し,生徒一人ひとりの個性と能力の伸長を図る。

② 地域との連携を一層緊密にし,伝統文化の継承や地域を重視した学習内容を系統的に履修するシステムを構築する。

③ 多様な生徒に対して一層きめ細かな指導を展開し,学力の充実を図り大学進学等,生徒一人ひとりの進路希望を実現する。


 

(4)「教育センター機能」による実践的教育研究
 新たな堀川高等学校における教育活動の高度化・深化を図り,授業改善を推進するため,教員の授業研究はもとより,多様な実践的教育研究を積極的に推進することが不可欠である。また,中等教育全般の一層の活性化を推進する視点からは,中学校との連携を緊密にするとともに,大学等研究機関との提携を視野に入れることが求められる。先駆的な教育実践に関する情報発信基地として,京都市立高等学校はもとより,市立学校全体のさらなる充実と発展を図るべく,新たな堀川高等学校に「教育センター機能」を付帯する。

 

① 新たな堀川高等学校の特色ある取組をより充実させるため,中学校教員,教育関係者等と協同して実践的教育研究を推進する。

② 堀川高等学校の教育機能を活用し,中等教育全般における国語・数学・理科等に関する生徒の学習活動の在り方について,実践的研究を推進する。

 

 

(5)「コミュニティカレッジ」による新しい生涯学習
 京都市立高等学校21世紀構想パイロット校として,新たな堀川高等学校の人的・物的教育機能を市民に開放するとともに,その教育施設・機能を活用し,京都市に集積している多様で多彩な学習資源を,生徒・教職員・市民に還元する新しい生涯学習事業を展開する。
 学校の枠を超えた学習の在り方を追求し,生徒・教職員・市民の相互交流を図ることにより,「個を生かす教育システム」を支援する。

① 生徒の学習の場,研究発表の場として活用し,また,受講生徒に対する単位認定制度を検討する。

② 教職員を講師として公開講座を行うとともに,研究発表の場,研修の場としても活用する。

③ 京都市及び周辺における国際的なレベルの学術・文化・芸術等に関する学習資源を活用して,高度な生涯学習活動を推進する。

 

 

(6)高度情報社会に対応し,学習活動を支援する施設設備の整備・充実
 多様で多面的な学習活動を展開する新たな堀川高等学校においては,高度情報社会に対応し,特色ある多様な教育を可能とする施設をめざすとともに,新しい生涯学習や人と環境に配慮した施設・機能の整備を図ることが求められる。
 多彩な学習活動を支援するために,汎用型教室をはじめ,大講義室・小教室等,従来の学校・教室・学年の枠にとらわれない機能的・効率的な在り方を前提にした施設設備が必要である。
 堀川高等学校の立地条件と敷地面積を最大限に活用することを前提に,施設の多目的運用を図るため,利用方法により形態を変更し得る移動式壁を設置するなど,柔軟な対応ができる施設をめざすことが必要である。
 また,学校の個性を生かして,画一的でなく,新たな「校風創生」の契機ともなり得る施設設備の充実を図ることが肝要である。小学校跡地については,現在,京都市においてその活用が検討されているところであるが,近隣の統合跡地については,新しい生涯学習,開かれた学校としての機能を有する新たな堀川高等学校と一体化した利用形態を視野に入れることが必要である。

 

① 高度情報社会に対応し,特色ある多様な教育が可能となる施設「個を生かす教育システム」に対応し,生徒一人ひとりの興味・関心,適性,能力,進路希望に基づく主体的な学習を促し,個性と能力を最大限に伸長する施設・機能が求められる。ホームルーム教室における教育機器の充実,コンピュータの積極的な活用,インターネットなどを利用できる新しい通信機能の充実など,高機能かつ多機能な学習空間を創設することが必要である。また,新たな堀川高等学校の核として,図書館の充実を求めたい。生徒・教職員・市民が十分に活用できる蔵書数,スペース,また情報図書館としての機能等,核たるにふさわしい先駆的な在り方を求めたい。

② 生涯学習時代にふさわしい魅力ある新しい学校像京都には,国際的なレベルの学術・文化・芸術等に関する学習資源が集積しており,大学をはじめ,博物館施設,外国文化センター等の各種機関が市民に向けた講座を開催している。新たな堀川高等学校においても,これらの学習資源を活用するとともに,学校の特色を生かした専門性の高い教育機能を市民に開放することが重要な課題である。生徒の学習の場であるという本来の機能に十分留意しつつ,市民にとっても利用しやすい空間の構成・配置を考慮することが求められる。

③ 人と環境に配慮した施設・機能の整備  新たな堀川高等学校には,「普遍の学び舎」という名にふさわしい静謐さ,また,あたたかさとゆとりを有し,人と人がふれあえる場を創出する施設・機能が必要である。語らいや憩いの場としてのオープンスペース,開放的な食堂等,潤いのある環境整備が求められる。また今日,地球規模で提起されている環境問題への対応として,エネルギーの有効利用・環境緑化等を図ることが重要である。同時に「人にやさしい」快適な環境の整備に配慮しなければならない。周辺環境との調和,学校敷地の緑化や段差の解消,エレベーターの設置等,施設・機能の整備を図るべきである。

④ 耐震性などを備えた防災拠点としての整備今日,学校には,生徒の安全確保を図ることはもとより,災害時における地域住民の避難施設としての重要な役割が求められている。阪神・淡路大震災による教訓から,建物の耐震性とともに,電気・水道等のライフラインの確保も不可欠の要素であり,非常災害時における地域の防災の拠点として,その能力を発揮できる施設設備を充実し,防災機能を整備することが必要である。

 

 

 

 

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