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京都市消防局

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情報指令課

ページ番号216572

2017年4月3日



 平成29年4月1日,安全救急部情報通信課と警防部指令課が統合され,警防部情報指令課となりました。

 情報指令課が担当する業務の中で,最もわかりやすいのは「消防指令センター」です。御存知のとおり,消防指令センターは,火災・救助・救急の119番通報等の受付から,災害場所の特定,出動部隊の編成と出動指令,現場活動の支援などを一体的に行う,消防活動の中枢を担う重要な施設です。

 情報指令課の主要な仕事と言えば,この「消防指令センター」に関するものと「情報セキュリティ」に関するものの2つです。このどちらもが,ここ数十年における情報通信機器の驚くべき発展と深く関係があります。今回は,情報通信機器の変遷と共に進化してきた消防指令センターの歴史をひもときつつ,情報指令課について紹介したいと思います。

 消防指令センターの歴史をさかのぼってみると,その歴史の深さに驚かされます。

 まだ消防指令センターとは言えませんが,市内の消防署所に一斉に災害の発生を知らせる「一斉指令装置」の運用が開始されたのは,昭和26年1月1日のこと。当時の日本では,白黒テレビの本放送も始まっていませんでした。

 電話の普及状況についても,公衆電話すらほとんどなかったようです。また,電話局側が店舗などに電話を設置させてもらい,管理を委託する「委託公衆電話」が始まったのも,ちょうどこの頃です。もう少し普及が進むと,電話を掛けるときは公衆電話を使い,受けるときは電話を設置している近くの家庭で受けてもらい,そこから呼びに来てもらう「呼び出し電話」という方法がとられていました。

 このような時代のため,119番通報もあったとは思われますが,火災などの発見は,主に市内に設置された火災報知機,消防署等の望楼や消防署所への駆け付けでした。



 初代消防指令センター(昭和36年6月1日運用開始)

 高度経済成長期に入り,昭和35年にはカラーテレビの本放送が開始されました。ただし,開始当初は,カラー番組は1日1時間で,ほとんどが白黒番組でした。その頃になると,一般家庭への電話の普及も進み始めていましたが,まだ全世帯の1パーセント程度でした。

 そうした中,昭和36年6月1日,一斉指令装置が当時の最新鋭のものに更新され,初代消防指令センターの運用が開始されました。写真のとおり,規模も小さく時代を感じさせられます。とはいえ,市内全域の消防,救急の出動指令がここから発せられ,災害にいち早く対応する,新しい時代の消防体制が形づくられました。




 一斉指令装置の運用が開始されて以降,本格的な消防指令システムが導入されるまでの間,消防指令センターに欠かせないもうひとつの装置である無線設備の導入が進みます。

 京都市消防局最初の無線電話設備(30MHz帯)は,昭和26年1月20日に運用が始まりました。当時の基地局は市警本部と共用でした。また,初めて消防車に無線機(150MHz帯)を積載したのは,昭和35年2月24日のことです。そして,昭和62年3月20日には,固定無線電話設備(150MHz帯,消防系6波,救急系2波)の運用が49署所等で開始されました。


 初代消防指令システム(昭和62年4月1日運用開始)

 通信機器はどんどん進歩し,昭和40年代になると「ピッポッパッ」で掛けるプッシュホンサービスや電話ファックスサービスが開始されます。昭和59年には,本市においても電話交換機がアナログからデジタルへの移行が始まるなど,時代はどんどん電子化が進んでいきます。

 電子化を最も象徴するものは,パーソナルコンピュータ(パソコン)でしょう。世界初のパソコンの誕生については諸説あるようですが,入力や記録などの機能が備わった,いわゆるオールインワンのパソコンが出現したのは,昭和52年頃のようです。また,パソコンではありませんが,昭和58年には,任天堂から家庭用ゲーム機のファミリーコンピュータが発売されました。

 電子化が急速に進展する中,昭和61年10月1日,情報指令課の起こりとなる情報管理課が警防部に新設されました。

 そして,昭和62年4月1日に消防指令システムの運用が開始され,災害発生場所の確認(発信地表示),出動車両の編成と指令,現場情報や病院情報の提供など,119番通報の受信から消防車や救急車が災害発生場所に到着するまで,更なる時間短縮が行えるようになりました。


 第二代消防指令システム(平成10年4月1日運用開始)

 平成に入り,この頃から徐々に携帯電話の普及が始まります。総務省の統計データによると,平成元年度末時点での携帯電話・PHSの全国の普及率は0.4%。しかし,平成7年度末には9.3%,平成9年度末には30.5%まで増加していました。ちょうどその頃,平成10年4月1日に新しい消防指令システムの運用が開始され,同時に携帯電話からの119番通報の受信を開始しています。

 この第二代消防指令システムは,消防車等の位置をGPSによりリアルタイムに把握する車両動態管理システムを活用し,災害地点に最も近い車両順に出動部隊編成を行う「直近隊編成」や通報等を聞きながらコンピュータによる合成音声により自動指令を行う「自動音声指令」を全国で初めて導入しました。



 さて,初代消防指令システムの導入から第二代消防指令システムが運用開始されるまでの間にも,様々なシステムが導入されました。昭和63年には,「ヘリテレビ電送システム」,平成2年には,急病などの場合に自分で通報等の対処が難しい方がボタンひとつで通報することができる「緊急通報システム」,平成7年度には,大規模災害時に高所カメラ等の災害状況映像を,通信衛星を利用して総務省消防庁等へ送信し,即時応援体制を確立するための「災害情報画像伝送システム」などを導入しています。

 そうした中,平成5年3月29日,安全救急部の新設に伴い,警防部情報管理課は,安全救急部災害情報管理課となりました。

 平成12年頃からは,パソコンやインターネットが急速に普及し始めます。

 平成17年4月1日,消防指令センターは安全救急部から警防部に移管され,警防部指令課となり,災害情報管理課は安全救急部情報通信課になりました。

 平成20年頃になると,パソコンの性能は飛躍的に向上しており,災害指令情報を出動車両に伝達するための車載端末装置(ナビ)は,更新に伴って,性能,機能とも格段に向上し,今では欠かすことのできない装置となりました。

 また,インターネットはパソコンだけでなく,携帯電話でも利用されるようになり,平成21年3月には,聴覚言語障害者等が携帯電話のインターネット機能により通報するためのシステムである「京都市Web119」の運用が開始されました。

 さらに,大規模災害時に消防職員からWebで即時に情報収集を行う「即時災害情報収集システム」の導入,119番通報等における「多言語通訳体制」の運用開始など,時代の変化に合わせて様々なシステムの導入や体制の変更を行ってきました。


 消防救急デジタル無線(平成27年10月27日運用開始)

 携帯電話や無線LANの普及に伴って,無線電波の利用が大幅に増え,更なる利用拡大が見込まれることから,電波の有効利用のため,総務省において周波数の割当ての見直しと再編が進められました。その中で,消防救急無線については,電波法に基づく告示により,平成28年5月31日までに,150MHz帯アナログ方式から260MHz帯デジタル方式に切り替えることとされました。

 消防救急無線のデジタル化は,消防通信の非常に大きな転機であり,技術面だけでなく運用面や経費面にも大きな影響を及ぼすことから,平成21年度に関係所属による検討会を設置し,各種の検討を行いました。

 デジタル化に伴い,通信の秘匿性が確保されるとともに,使用できるチャンネル数が増えました。しかし,通信方式の変更に伴う電波特性の影響から,山間部では以前より通信可能範囲が広がった反面,市街地では,建物等の影響により無線が断続する事案が発生しています。そのため,現在もこうした課題に対応すべく,検討を行っています。

 第三代消防指令システム(平成27年6月2日運用開始)

 第二代消防指令システムについては,平成10年の運用開始から10年以上が経過し,機器の老朽化が進み,また,消防救急無線のデジタル化に対応させる必要があったことから,消防指令システム全体を更新することになりました。

 消防指令システムの更新に当たっては,単に機器を新しくするだけでなく,現状の機能を更にステップアップさせるため,現場活動の最先端で活躍する若手職員によりプロジェクトチームを組んで,検討が行われました。その結果を踏まえ,多様化する災害に的確に対応していくため,「情報収集機能」と「情報共有機能」を強化しました。

 具体的には,災害現場の指揮者にノートパソコンやタブレットを配備して,火災現場等で必要となる地図,航空写真,危険物等の保有情報,高所カメラやヘリテレビ映像などを,現場指揮本部においてリアルタイムで確認できるようにし,また,災害建物の裏側など現場指揮本部から死角となる場所をタブレットで撮影し,その映像を現場指揮本部や消防指令センターに送り,情報共有することで,部隊増強等のより適切な判断と活動方針の決定を可能とする「現場指揮支援システム」を導入しました。

 さらに,大規模災害を見据えた消防指令センターの機能強化として,119番通報を受信する指令台を7台から9台に増設したほか,1台の指令台を2分割して2人で運用する「大規模災害モード」を搭載,大規模災害時には最大18の指令台で,災害受信,出動指令の発令等を行うことができるようになりました。また,新消防指令センターは,床面積を約3割(170㎡⇒230㎡)増加したため,大規模災害時に職員を非常召集した場合の活動スペースなどが確保され,災害処理能力が格段に向上しています。



 ここで,安全救急部が発足した平成5年と昨年(平成28年)の消防指令センターにおける災害の受信状況をみてみましょう。救急の受信件数の増加は,救急需要の増大によるものであることは明らかですが,火災の受信件数の増加は火災件数の増加が原因ではありません。火災件数を比較すると,平成5年は312件,平成28年は256件で,56件減少しています。火災は,煙などを遠くから確認することができ,また,携帯電話の普及に伴って,より通報しやすい状況になっているため,増加しているのだと推測できます。ちなみに,平成28年中の災害受信のうち,約4割が携帯電話からの通報です。
119番受信状況

平成5年中

平成28年中

火 災

2,101件

2,531件

救 急

40,072件

85,260件

救 助

1,442件

その他

303件

928件

合 計

42,476件

90,161件


 消防活動をより迅速,的確に行うためには,市民の皆さんの個人情報を含む非常に重要な情報を有効に活用することが不可欠です。特に,消防指令システムには,欠かすことができません。そのため,消防指令システムの運用開始当初から,重要なデータの取扱方法や保護管理方法について定め,職員に対して各種の教育研修を行ってきました。

 第二代消防指令システム運用中の平成12年頃から,パソコンやインターネットの急速な普及と同時にコンピュータウイルスの爆発的な拡がりが問題となり,世界的に情報セキュリティに関するルール作りが進められました。

 平成15年には,「個人情報の保護に関する法律」が公布され,各自治体で個人情報に関する条例等が制定されたことを受け,京都市消防局においても,情報セキュリティに関する具体的なルールが定められました。その後も,社会情勢や情報技術の革新を反映し,その更なる具体化と強化を進めてきました。

 また,最近では,全国のセキュリティ事故を受け,総務省から地方公共団体における情報セキュリティに関するガイドラインが発出されたことから,京都市消防局においても,平成29年3月に情報セキュリティに関する基準等を再編しました。

 このように,近年,情報セキュリティの重要性は,ますます高まっており,職員全員が情報セキュリティ対策を確実に実施し,消防活動に不可欠な情報をしっかりと守っていけるよう,今後も必要な対策の強化を進めていきます。


 これまで,情報通信機器の発展と合わせて消防指令センターの歴史をたどってきましたが,時代と共に消防を取り巻く環境も大きく変化し,それに合わせて消防の仕事も大きく変化してきたことがよくわかったと思います。

 情報指令課の仕事の一つは,こうした情報通信機器の変化に合わせ,消防活動をより迅速に,効率的に,効果的に実施できるよう,環境を整えることといえるかもしれません。

 今や,あらゆる部署において,様々な情報通信機器が使用されています。環境を整えるというと,機器を運用する各部署との調整を行う地味な仕事にも思えますが,最新の情報通信機器の特徴を的確に捉え,それらをいかしたより良い消防活動をあらゆる部署に対して提案ができるクリエイティブな仕事でもあります。

 情報指令課は,消防活動の効率化や強化をサポートするとともに,消防指令センターという消防活動の中枢となる施設を運用する課として,引き続き市民の皆さんの安心,安全に貢献していきます。

お問い合わせ先

京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195