平成29年2月号 情報通信課通信
ページ番号213291
2017年2月1日

テレビのニュース番組やスポーツ中継において,現地とスタジオを結ぶ音声や映像の中継を思い出してみてください。高速道路の渋滞状況,盛況なイベントの様子を上空から撮影し,ライブ映像で伝えていますよね。ごく当たり前のように視聴していますが,上空を高速で移動するヘリコプターから映像を伝送するということはそう簡単なことではありません。消防の世界でもヘリによる上空からの撮影映像を消防指令センターに伝送し,災害現場活動の支援情報として活用していますが,その仕組みについて紹介します。

災害現場活動をどのように展開するか判断するうえで,特に指揮者は局面ごとに変化する災害状況を把握していかなければなりません。災害状況に応じ,ヘリから地上を撮影し,火災の延焼状況,林野火災における燃焼範囲,河川の氾濫域など俯瞰ならではの映像情報を消防指令センターや現場指揮者に届けています。
ヘリにはカメラや送信機を搭載し,地上には移動するヘリを追尾するアンテナなどの受信装置を置き,電波で映像を送受信しています。

使用する周波数帯の特性上,送信側のヘリと受信装置との間に電波を遮蔽する山林や高層ビルがあると映像は受信できません。また,互いの離隔が遠くなればなるほど受信電界レベルは下がります。京都市消防局ではより広く受信できるよう比叡山無線中継所にヘリテレ受信アンテナを設置し,約70km圏をカバーしています。



一方,ヘリからさらにはるか上空の人工衛星に電波を送るシステムが技術的に確立されました。こちらの「ヘリサット」です。
ICT技術の進歩に驚かされることも度々ですが,10数年前は未来の通信システムと言われた技術が開発され,本市のヘリの1機「あたご」にも導入しております。

さきほどヘリテレに関する記述の中で,山林やビルなどが電波の遮蔽物になると説明しましたが,ヘリの上部には大きなブレードが高速で回転しています。これはやはり電波の送信障害になります。ヘリサットはヘリが飛行しながらも常に衛星を捕捉しつつ,さらに高速回転するブレードの間隙を射抜くように電波を発射する間欠送信が大きな特徴です。(まぁ知らなくても消防活動そのものに何ら影響ありませんが,技術的には相当高度なニッポンのテクノロジー!まるで地球から宇宙への壮大なるやぶさめですよね。)
ヘリテレでは受信圏外となる地域が多くある中で,ヘリサットはほぼ日本列島をカバーできますので,ヘリテレ受信圏外での災害であっても消防庁や防災関係機関において早期に空撮映像を取得することが可能となりました。
京都消防が京都市域のみで消防活動を完結するなら,ヘリテレで十分かもしれません。しかし,全国で相次いで発生する大規模災害にも対応していくことが私たち京都消防にも求められ,全国消防の一部としてその期待に応えてこその京都消防でありたいものです。

さて,最近よく耳にするのがドローンですね。津波や土砂災害など自然災害の発生状況を撮影する災害情報収集用途として,あるいは孤立地域へのAED搬送や水難救助事故での救命浮環搬送などの用途として研究が進められており,ドローンを導入している消防本部もあります。
実用にはハードルが高いですが,いずれ消防車両に積載し運用する日が来るかもしれません。
空撮映像は,地上からは視認できない視覚情報を取得できます。映像技術は年々進化していますので,将来的には4Kヘリテレができているかも?もちろん映像をただ見るためのものではありません。活動方針樹立の一助につながってこそのシステムとして,鳥の目を被害の軽減に活かしています。
お問い合わせ先
京都市 消防局消防学校教育管理課
電話:075-682-0119
ファックス:075-671-1195