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市長記者会見(2024年3月28日)

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2023年4月12日

「令和6年度執行体制」及び「山科・醍醐プロジェクト」について、京都市長が記者会見を実施しました。

 ※発表内容は、令和6年3月28日時点の情報です。

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記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

https://youtu.be/dhpq_FIHlII外部サイトへリンクします

市長冒頭発言

就任1カ月の所感

(松井市長)

こんにちは。よろしくお願いいたします。

 まず、発表案件に入ります前に、市長に就任して1か月がたち、3月市会も終わったところで、私自身の所感を簡潔に述べたいと思います。市長就任後ほとんど間もなく初めての市会に臨むことになりました。官僚や国会議員時代に国会に当事者として、あるいは官僚として、その国会との結節点、内閣官房にいた経験もあるわけですが、共通点もありますけれども、やはり二元代表制の中での市会と、それから市役所、市長という関係と議院内閣制における内閣と国会という関係性において違いがありまして、初めての経験で非常に緊張感を持って臨みましたし、緊迫した市会での御質問に答えながら、やはり二元代表制とはこういうものだなということを実感した次第でございます。いろんな会派、それこそ選挙で支えていただいたところもあれば、選挙の時は対立候補を応援された会派もありますけれども、主義主張は異なっても二元代表制の下で今後とも会派を超えて、しっかり市長として市会に向き合って、対等な立場での議論と、そして連携に努めてまいりたいと考えております。

 この1か月間、公務を行ってみて、そして市会を経験して改めて強く感じたことがあります。それは、私は久しぶりに庁外からの市長ということになるわけでありますが、特にこの28年間、門川市長、その前の桝本市長、京都というまちが抱える公教育の課題について本当に全力で取り組まれて、京都というまちの公教育は非常に良くなっていると思います。それは本当に実感として感じるわけで、学力というものもそうですし、それから地域の中核としての公教育というものは、コミュニティスクールが100%実施されているということも含めて、非常に教育のレベルアップ、特に初等中等教育のレベルアップというのは痛感しているところであります。

他方で、やっぱり私の人生の半分ぐらい東京で暮らしていますから、東京の人間から見たら、もうひとつ、この京都のまち、本来のポテンシャル、あるいは非常にこの10年、20年、いろんな意味で少子高齢化が進展はしていますし、それは京都だけの問題ではない、課題が山積している中で、もう一歩というところがあるわけでありまして、そこは端的に言えば、これは選挙期間中から私、申し上げていましたが、学生比率が日本で1番と言ってもいいぐらいの、少なくとも大都市においては圧倒的な学生比率でありながら、その若い学生たちが卒業後、京都に定着しない人口流出が続いている。そして、ファミリー世帯層も含めて、なかなか京都というまちが住むまちとして、あるいは働くまちとして魅力があるのかどうかという、そういう疑問も呈されているという、この課題にどうやって向き合うかということをこの1月も、あるいは候補者である間もずっと考えてまいりました。

 私は、一言で言うと、今日の資料にも書かせていただいているんですけれども、この京都で少なくともこの30年間、非常に飛躍的に進んで来た初等中等教育における競争力、あるいは競争力という狭い言葉だけで言い表すのは不適切かもしれません。その健全な初等中等教育における成果というものをもっと高等教育、これは京都市が責任を持って運営しているものはごくわずかの分野でありますが、京都には先ほど申し上げたように京都大学をはじめとして素晴らしい大学がある。例えば、高校と大学がもっと連携をしていっていいのではないか。そして、その大学での創造的な研究活動、教育活動をもっと高校段階からサポートする。そして、その大学における優れた教育、研究が実際の事業とか、あるいはその素晴らしい人材が京都に定着して就業する、あるいはクリエイティブな研究活動、教育活動、創作活動というものをもっと京都の場でしていただくための、この小中学校から高校、大学、そして大学を卒業し、それが事業化して、いろんな才能が開花していくというところを一言で言うとシームレスにつなげていく、そういった取組が非常に必要だという風に痛感をいたしております。

 私自身の人生は、いろんな意味で縦割りの壁を超えていく、あるいはトップマネジメントというものとボトムアップをどう繋ぎ合わせていくのか、それは政と官の役割分担とか連携も含めてそうなんですが、しばしばそこがバラバラになってしまう。政と官というこの縦の面でのバラバラもあれば、縦割りと横割り両方にバラバラになってしまうという部分をどう繋げていくか、どう戦略的に繋げていって、最終的には国の競争力、競争力という言葉はちょっと狭いですかね、国としての魅力アップ、そしてまちとしての魅力アップ、それにどう繋げていくかが私の人生の課題だと思うんですが、今、私がこの首長という立場に、京都市長という立場にあって、それは京都市だけでできるわけではありません。国や京都府と連携して、シームレスな改革を京都というまちで、特に人材こそがこのまちの宝であります、そして人と人がつながりあるコミュニティっていうものをどうつくり直すかというのが私の課題であります。それをどう実現していくかが今回の執行体制の御提案といいましょうか、私としての指示をしているというところに、繋がっているわけでございます。

 一言で言うと、文化首都・京都の魅力をアップするためには、その文化というのが趣味嗜好というようなものに留まらず、それが文化力として本当に地域のまちの豊かさになり、ある意味ではそれが経済の1つの起爆剤になっていって、文化と経済が車の両輪になって、この地域の魅力が花開いて、そして下世話なことを言えば、そういうことが担税力の強化になり、そして担税力の強化がまさに教育、福祉、あるいはイノベーション、そういったものをさらに創発する1つの拠り所になると、そういう風に考えているところであります。

 そのために、やはりまち全体として市役所だけで改革ができると思っていません。市民の皆さんや民間の有識者、あるいは民間の事業者など、様々な主体に積極的に市政に参画していただくとともに、市役所内部、これは国もそうなんです、今、公共人材というのがややもすればちょっと硬直化して疲弊化している。国が今、1番問題になっていますけれども、多くの有為な若い人材が国の省庁から途中で若い段階でリタイアしてしまう、転出してしまう。場合によっては、それは何かこういう局面で活躍したいということで転出するのではなく、ちょっと今の仕事が耐えられないという形で、有為な人材が国から流出しているというのは本当に残念なことです。京都市役所はそんな状態になっていないと思いますが、それでもそれは公共人材全体が若干疲弊化を強めている。このことに向き合って市役所内部でも、これは私が第1に注意しなければいけないと思いますが、もっと若手とか中堅の職員のその柔軟な発想や豊かな感性をこの市役所全体として取り入れていかなければいけないし、そしてその豊かな感性というのは、結局、一人一人にもちろん備わっているものもあるでしょうけれども、やっぱり市民の皆さんと、あるいは民間の有識者の方々と市政の在り方についてどういう風にやっていけばこのまちがもっと元気になっていくのか、あるいは今、私が申し上げたようなシームレスな課題を解決していけるのかということについて、部局横断で、しかも民間の方々と官民の垣根をなくして議論をするような風土を作っていく。

 ここにいらっしゃる方々はもう皆さん、すごく優秀です。私は長年、自らが当事者として官僚組織で働きましたし、政治家として官僚組織の諸君と議論をしてきましたが、京都市役所の職員の方々と、この一月間、議論して、今日はちょっと予定を大分大幅に上回って庁内の若手職員のこのプロジェクトチーム、試行的にやってきたプロジェクトチームの皆さんと話をしていても、そこにいらっしゃる方もいらっしゃいますが、思うんですけれども、やっぱりとても魅力的な有為な人材がいる。

 あとは、それをどう引き出していくかっていうのは、これは私の責任であり、また私と共にこの市役所の執政体制を支えていただく副市長を1番はじめとして、いわゆる理事者と言われるような方々がチームとしてそういう若い方々がもっとクリエイティブな仕事ができる、要するにまちを良くして市民を豊かにするということは、本来それはワクワクする仕事でなければいけないし、市役所の職員が暗い顔をしていたら市民も明るくならないと思います。その組織、あるいは風通しの良い組織を作る。ただ、組織を作ればこうなるというものではないです。むしろカルチャーです。京都市役所は比較的自由に物を言える組織だったと思うのですが、それをさらに良くしていく、そういう組織作り、風土作りというものを作っていくのが私の仕事だと思います。

 先ほども申し上げましたように、私の人生の課題というのは、組織や人間の間の垣根を低くすることでありまして、私は役人でしたから、司司というものの大切さというのはもうよく、痛いほど分かっているつもりでありますが、官と民、政と官、組織と組織、もっと言うと、ちょっと変なことを言うようですけれども、自分自身も選挙の時に感じたことでありますが、内なる自分の中にあるいろんな壁とか偏見とか、そういうものをできるだけ取り除いて自分自身が変わらなければ、そういう自由闊達な組織はできないと考えております。

 その際、私自身がこれまで自分の人生の中で関わった各界で御活躍されている方々のお知恵とか、いろんなアドバイスというのを今後はいただきながら、何よりも市役所の職員、私のスタッフの皆さんと共に、現場の感覚をちゃんと取り入れてワクワクできるまちをつくり、市民の皆様にお約束をいたしました突き抜ける「世界都市京都」というのを実現していかなければいけない、そんな決意をいたしているところであります。

令和6年度執行体制について

(松井市長)

 それでは具体的に、本日の発表案件の説明に移りたいと思います。

 2つの資料を配付させていただきまして、「令和6年度の執行体制について」という資料、そして「山科・醍醐プロジェクト」の資料を配付させていただいていますが、それぞれについてごく簡略的に御説明させていただきたいと思います。

 最初に、この「令和6年度執行体制について」でございますが、私が市長に就任いたしまして初めての組織改正と人事異動に今回向き合っているわけでありますが、この今申し上げたような喫緊の課題に対処して、スタートダッシュを図る新年度の体制は極めて重要でありますので、この資料に沿って御説明いたします。

 資料1ページをおめくりください。執行体制の3つの重点項目でございますが、執行体制の構築のポイントというのは3点、ここに書いたポイントがございます。文化首都を支える強い経済、そして市民のいのちとくらしを守る防災・減災、福祉・子育て施策の充実、そして市民参加型行政とデジタル化の推進ということで、先ほど申し上げましたように、突き抜ける「世界都市京都」の実現に向けて、シームレスな体制と政策展開を旨として、スピード感を持って、しかし、かつての私の苦い経験にあるように、焦るあまり足をとられるということなく着実に行っていきたいと思います。

 まず、1点目でありますが、本市が持続可能で魅力ある都市経営、そして日本中、世界中から住みたい、住み続けたい、働きたい、として選ばれる、そういうまちをつくるということが大事な課題であります。このため、人口減少対策の司令塔機能を強化するため、人口戦略室を新たに設置するとともに、我が国のみならず世界を視野に置いた企業立地や京都駅周辺の戦略的なエリア開発、学生のまちの魅力を生かしたスタートアップ支援などを担う部署の体制を強化したいと思っております。

 また、市民生活と調和した持続可能な観光を実現するために、新たなプロジェクトチームを立ち上げ、全庁を挙げて対策を加速させます。

 そして、2点目です。元日に発生した能登半島地震の教訓を踏まえて、市民の命と暮らしを守る自治体の役割を改めて肝に銘じて、防災・減災対策の強化を図るとともに、福祉・子育て環境の向上を図ってまいります。そのために、防災部門の体制強化とともに、各区役所における複数の課題を抱える方々に対する支援体制の整備、いわゆる重層的支援体制の整備です。あるいは児童虐待対策等を担う「児童相談所」及び「こども誰でも通園制度」を担う部署の体制強化などを行います。

 そして3点目、今申し上げた重要政策をはじめ、あらゆる政策に「新しい公共」の理念を取り入れて、市民、事業者の方々が主体的に市政に参画いただきながら、共に社会問題や地域課題を解決していくため、その体制を確保するために司令塔として、局長級の「企画監」を新たに設置いたします。

 また、全庁横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、今の時代やニーズに応じた市民参加型の行政の在り方を検討し、市民主体の京都市政を実現してまいりたいと思っております。

 併せて、これは京都の行政ということを考える時に、私は若干課題のある分野だと思っておりますが、システムの標準化への対応、あるいは行政手続のオンライン化をさらに進めるための体制をどう作っていくか。市民サービスの向上という視点に力点を置いて、行政のDX化をより統合的に推進していきたいと思っております。

 ちなみに、今、企画監と言いましたが、正直言うと、こういうことを言うと後で事務方から叱られるかもしれませんが、私はこの「サラカン(監)」というのにちょっと違和感がありまして、企画と監が合うのかというのは、実は命名的にはちょっと違和感を持っております。これは今後の課題だと思います。どういうことをやればいいのか、条例事項なのか規則事項なのかということもちょっと詰めなければいけないと思いますけれども、要は、さっき私が申し上げた、自由闊達な行政の在り方を議論する時に、この監という言葉はちょっと違うんではないのという話をしています。

 ただ、今、幾つかの部局で監というものをつけておりますから、これを本当は一旦精査して、議会と協議しなければいけないことなのかどうか、行政で判断できるものであれば、私が申し上げたような気風としっかり合うのかどうか。要するに行政組織というのは、世の中の組織の中で1番ある種の古い体制を引きずっている。それを少しでも新しくする時に、当然、行政の組織マネジメントというのは必要なんですが、できるだけ私は今の民間の潮流も取り入れて、アジャイル型とかティール型とかいろんな議論があります。その全てを取り入れられるわけではないかもしれないけれども、先ほど私が1時間半ぐらい若い職員の方々と議論しましたが、できるだけ半径5メートルでいろんなものを自由に言っていただく、それを部局横断的に半径5メートルの間隔で自分ごととして物事を捉えてフランクに意見交換する、それをできるだけフラットに市民の皆さん、あるいは民間の有識者、事業者の方々の意見も取り入れながら市政を見直す、これは私一人できるわけではないですね。この一月間もできるだけ自分自身の目で、行政というのを全面的に見直そうと思ってきましたが、なかなか一人では無理です。それを一人でやろうとしたのが私の人生の一つの課題です。だから、それはできるだけ多くの感覚を、行政組織の中にいる市役所の特に若い方々、若い方々はこれから30年とか、場合によっては定年延長ということを考えたら40年いるかもしれない。もっと流動的に仕事をしてもらうライフスタイルになると思いますけれども。だけど、これからこのまちに何十年も住んで、この市役所で何十年も仕事をする人たちが、この自分たちのまちを本当に良くしていきたいという気持ちをより強く持っていただいて、それをどんどん突き上げてもらいたい。それにこそ私は、京都というまちの将来があると思うし、その京都というまちの将来を良くするために、市役所は若い職員がこの市役所で仕事をして、しんどいかもしれない、しんどいこともあるけれどもワクワクするよねという風に思っていただける職員をどれだけ増やせるかが私にとって、とても大事なことです。

 私はそんな何十年もここで、当然のことながら、仕事をしないわけです。

 だけど、私の何らかの自分の人生の経験とか教訓を共有して、そういう次の世代、次の次の世代を支えるような職員の方々にこの市役所で育っていただかないと、そして、その人たちが京都の市民と交わって、市民の意識も場合によっては変えてもらわないといけないかもしれないし、恐らく市民の意識に寄り添って我々の意識を変えなければいけない方が多いと思いますが、そういう市役所を作っていかなければいけない。

 そのために、ちょっとこの企画監、典型的に言うと私の新しい公共を担っていただく企画監が監というのは、ちょっと工夫の余地があるかなと。こんなことを記者会見の場で言ってはいけませんが。そうなのですが、そういうことを会見の場では言っていません。さすがにもう少し前に言っていますが、皆さんにも考えていただきたいと思っております。

 以上が主な組織体制強化の概要でありますが、詳細な内容は3ページ以降に掲載しております。

これは私がここでその細かいことを説明するよりは、事務方から御説明した方がより正確かもしれませんので、別途の時間を設けております。私は以降のことは割愛させていただきます。

 人事異動です。これは私が申し上げなければいけません。資料はございませんが、少しだけ御説明させてください。

 既に報道がございましたけれども、副市長、教育長、さらに公営企業管理者の特別職については、私自身は自分自身の判断として市政の継続性を担保するとともに、それぞれ現職の方々のお人柄・能力・リーダーシップをこの一月間、私もじっくり拝見をいたしました。高く評価しております。引き続き、その任に当たっていただきたいと思っております。

 また、幹部職員の人事については、文化庁、京都芸大の移転を契機とした「文化と経済との融合」を更に推し進める人事配置を行うとともに、重要課題に対処する要職に推進力の高い職員を重点的に登用します。

 また、実行力のある女性職員の登用も進めており、来年度は新たに1名の女性区長を配置し14名の区長、担当区長のうち、半数以上の8名を女性が占めることになります。

 説明は以上ですが、私が先頭に立って先ほど申し上げた魅力ある京都を作っていく、そのためにしっかりと姿勢を前向きに、そしてリーダーシップを発揮しなければいけませんけれども、独りよがりにならないで、しっかり市職員の意見に耳を傾けて、しかし、硬直的ならないように常に揺さぶりながら、揺すぶり続けながら1歩1歩、しかししっかりと半年、1年たってみたらずっと停滞しているわけではないということを実感していただけるような市政運営に努めてまいります。

 以上が前半でございます。

山科・醍醐プロジェクト

(松井市長)

 では、引き続き、御質問をまとめてお受けするということで、もう1つの資料でございます。これは山科・醍醐をプロジェクトの立ち上げということでございます。

 今年度に続き、来年度につきましても周辺地域の活性化の取組に年度当初から全庁一丸となって取り組んでまいりたいと思います。その意味で、山科・醍醐プロジェクトについて、先行して発表させていただきたいと思います。

 私も選挙戦の時から言ってまいりましたが、私は市内の中心部に生まれ育った人間で、これはもう隠しようもありませんし、市内の中心部の良さも課題も分かっているつもりでありますが、この京都の洛北、洛東、洛南、洛西のどの地域も、もちろん洛中も含めて、それぞれ市民によるまちづくりの伝統、あるいは町並み、多くの魅力や可能性を持つと同時に、特に周辺部においては人口減少や若者の流出など深刻な課題があります。もちろん、市内中心部は中心部の深刻な課題がありますが、周辺地域はやっぱり人口減少とか若者の流出という課題に直面していると思います。西京区の洛西地域では、昨年から全庁で「洛西“SAIKO”(さぁ、いこう)プロジェクト」をスタートし、様々な取組を進めてきております。こうした取組をやはりどんどん他の地域でも進めていかなければいけない、その私としての第1弾を山科・醍醐地域で実践していきたいと思っております。

 なぜ山科・醍醐であるのかと。これは待ったなしの課題があるからであります。まず、昨年4月に外環状線沿道の地域で、賑わいあふれる居住空間づくりということを目指した都市計画変更を行いました。その効果を早期に発現させていかなければならないと思っております。

 また、京都駅に次ぐ利用者を誇り3線が結節する山科駅というのは、非常に高いポテンシャルがあると思います。そのポテンシャルを高めて、京都駅集中が目立ちますが、その東の玄関口として生かすことが極めて重要であると考えております。

 さらに、山科・醍醐地域には多くの魅力もあります。課題もありますけれども、魅力があります。それは交通利便であるということであります。中心部には地下鉄の東西線が走っておりますし、JR線、高速道路、京都都心部や大阪へのアクセスも非常に良好であります。大小様々なお店でショッピングを楽しめるというような買い物環境も一定程度ございます。そんな状況があります。

 また、実は保育所とか児童館とか小中一貫校など充実した子育て環境もありますし、スポーツ公園とか街区公園など、公園や豊かな自然環境も一定程度恵まれています。世界遺産・醍醐寺というのがありますし、毘沙門堂など古刹・名刹、伝統産業、京の伝統野菜など、多くの歴史観光資源がございます。

 さらに言えば、何より地域の皆さんの活動を中心とした安心安全、地域コミュニティというものがあります。かつて山科はちょっと治安面で課題を抱えていましたが、随分劇的に良くなってきています。これは地元の方々からも選挙戦も含めてよく伺ったことであります。歴史と伝統ある京都薬科大学や京都橘大学がございますし、この地域ならではの魅力的な資源があります。

 一方で、先ほど申し上げましたように、近年、この市の全体の平均と比べても人口減少が進んでおりまして、それが大きな課題となっています。

 今、申し上げましたように、山科・醍醐地域には大きな可能性、魅力があると同時に、大きな課題があります。この大きな可能性や魅力をさらに引き出して、大きな課題を解決していきたい。まずは、賑わいの核である外環状線沿道エリアを中心に、地域資源を生かしてあらゆる世代がワクワクするような山科・醍醐を目指していきたいと思います。

 その取組を強力に進めるために全庁体制での推進本部を設置いたします。坂越副市長を本部長にお願いいたしまして、副本部長に都市計画局長、山科区長、醍醐担当区長、本部員に関係局長級を配置し、力強く進めていきたいと思います。

 4月に第1回の本部会議を開催し、秋頃には取組の方向性、来年令和7年の3月頃には具体策を発表したいと思います。

 それでは、ここでプロジェクトの名称とロゴを発表します。プロジェクト名は、meetus(ミータス)山科-醍醐といたします。ロゴマークは御覧のとおりであります。

 意欲と熱意ある若手職員を中心に、市内のクリエイターにも参画していただいて決定させていただきました。ミータスには、「私たちと会おう」「暮らしを満たす」「未来を足す」など、地域の未来に向けた様々なメッセージを込めています。ちょっとダジャレもありますけれども。

 ロゴマークには、「meetus」の文字を一筆書きにした様々な「つながり」を、あるいは地域資源である人の暖かみや賑わい、豊かな自然を、形や色合いで表現させていただいております。

 みんながワクワクする、突き抜ける「世界都市京都」を代表するような山科・醍醐の地域を目指してまいります。

 この山科・醍醐に1つの今年度の地域の活性化のプロジェクトとして眼目あるんですが、私、全体として言えることは、この先ほど申し上げました京都駅周辺のいろんなエリア開発もそうなんですが、大きなチャレンジというのは大きな機会、オポチュニティだと思います。それは裏腹だと思います。この前もまさにこの場所でハーバードのケネディスクールの大学院生の皆さんに申し上げたんですが、京都駅の近くにいろんな歴史的背景で開発が遅れている、あるいはちょっと停滞していた地域が3地域あった。それはかつて遊廓があった、そして、ちょっといろいろ社会的にいかがかというような集団もいた、その地域、そして長年の被差別の対象となっていた地域、そして、在日と言われる方々がお住まいだった、ある意味では多様性のある地域、そういう地域は大きな課題を持っていますが、逆に言うと、あの京都駅の周辺の地域にそれだけの地域が残っている。そして、そこの地域にいらっしゃる長く住んでおられる方々ときちんと混ざり合う形で新しいまちづくりができるというのは、これは京都というまちの素晴らしい可能性だと思っています。

 同じように、今申し上げましたように、山科・醍醐地域というのはすごい魅力がある、そして私は特に言えば文教エリアとしてすごく発展の可能性があるし、交通の要衝でもある。その山科、ポテンシャルはあるけれども、やはり高齢化、人口流出というような課題をまさに最先端で抱えておられる地域だからこそ、逆に言うと可能性がある。

 京都全体として、私自身はいろんな課題を持っている、あるいはいろんなかつての歴史的な因習があって、そのこと自体がいろんな壁になっているものを突き崩したい。そして、その課題はまさにチャンスである、そういうまちをつくっていきたいと思うわけです。

 財政含めて、京都のまちは本当に深刻な課題を持っています。私が選挙に立候補する時に、何人かの方がいろんなコメントをおっしゃったのですが、そのコメントの1つに、「松井さん、わざわざあなた、自由な暮らしをしていたのに、何で京都に立ち向かうんですか。あんな難しいまちに。」と言われましたが、それは私のふるさと京都であり、大好きなまちであり、同時にいろんな課題がある一方、その課題を中長期的な視野を持って、今、私ができることを一歩一歩、先送りせずに、やれるものから取り組んでいくということによって、大きなフロンティアがこの1000年、1200年の古都に私はあると信じたから、自分の人生の第4章をここに捧げたいと思ったわけです。

 就任後1か月がたちましたが、自分の人生の中で自分が何を行わなければいけないのか、それは最初に申し上げたことなのでもう繰り返しませんが、いろんな壁を取っ払っていく。そして、いろんな課題をチャンスと捉えて新しいまちづくりに、これは私だけでできるわけではありません、私がその自分の人生、もう63歳、来月64歳です。高齢者一歩手前であります。私だけでできるのではなくて、特に若い、あるいは中堅の、もちろんここにいらっしゃる幹部級の方々は当然でありますが、次の世代にきちんと、私という人間が、自分の今までの3つの人生の中で何を感じた、あるいは、この前、私は先週、慶応大学で最終講義をしたわけですが、私という人間がどのようにできていて、どのような課題を私自身が持っていて、その課題をどう自分自身が壁を取っ払おうとしているのか、それをある意味では、若い職員には私の背中を見てもらいながら私を助けていただきたい、私を突き上げていただきたい、その第一歩が今回の執行体制、あるいは山科・醍醐プロジェクトの提案、あるいは京都市全体をどういう風に持っていきたいか、今、申し上げた私の思いであります。

 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

質疑応答

発表案件に関する質問

記者

 まず発表に関連することで2点、お願いします。1点目ですが、新たな執行体制について中でも特にこの点をという強調されるポイントがあれば教えてください。

 2点目ですが、周辺地域の活性化プロジェクトということで、洛西の次に山科という、順序的なことで何か意味があれば教えてください。

市長

 はい、ありがとうございます。特にここに、というのはないのですけれども、繰り返しになりますけれども、キーワードはシームレスということです。境界を越えるということです。これは私の人生のテーマであります。それが今回の組織再編に、あるいは今、申し上げたことをどこまで具体化できているかは皆さん方の御判断を待ちたいと思いますが、境界を越える。だけど、私は役人だから、それぞれの司司というものが大事だということも分かっているんですが、この京都市役所全体がいかにそのそれぞれの司司の利益というよりは市民の利益に、地域の利益にいかに直結する組織をつくるかということだと思います。

 なぜ周辺地域で洛西の次、山科かと。西だから次、東という単純なことではなくて、やっぱり洛西も洛西で、これはある意味では洛西のエリアに関して言うと東西線というものを私も開発当初から知っていますけれども、そこの期待を胸にあの地域に移り住まれた方もたくさんいらっしゃって、そこに対する今現状、太秦天神川で止まっているという状況の中で、いろんな課題があるという中で、そこをまず選ばれたというのも私、気持ちはよく分かるんです。

 私の中で、なぜ山科・醍醐地域なのかというのは、私もよく外環を通りますけれども、それこそ(都市計画)局長がおいでだけれども、都市計画を変更していただいて可能性はあるけれども、まだ何か動きが出ていないんです。でも、これからポテンシャルはすごくあるし、実際、市役所の職員なんかに聞くと、残念なことながら滋賀県にお住まいの方、結構多いんですね。残念でもないかな。それはそれでそれぞれ自由だけれども、そういう経済的なこともあるし、御家族のこともあるから自由だけれども、市役所の職員自身のことを聞いてみて、すごく山科区とか東西線沿線に住んでいる人が多い。率直に何人もの人の意見を聞いてみたんだけれども、やっぱりちょっと惜しい。もうちょっと例えば駅上がった時の賑わいをどう作っていくのかと。

 地域の方々の意見を聞いてももう一息、せっかくいろんなものは、制度的に器というか、都市計画の改革が進んでいるわけですが、では、これからまちづくりが新しく始まるというところで、ここで今、一押しする。一押しすると言っても、これ、別に洛西もそうですけれどもそんなにここに大きなお金を投じるような予算はついていないわけです。だけれども、市役所も含めてここのまちづくりをちょっと考えていきましょう、というちょうど今のタイミングで、都市計画変更がなされたところで、民間の事業者の方々も含めてここのポテンシャルを考えていただくというタイミング的に、今が一番いいタイミングではないかなと思ったわけであります。

 これはJRさんとも今後相談をして、京都駅の一極集中というのをどう緩和するか。市会でもいろんな御意見もいただきましたけれども、それは京都駅だけで考えるんではなくて、もうちょっと周辺のJR駅も含めて考えようとした時に、タイミング的にも今、この山科駅、あるいはそこから東西線を含めて考えるのが今、ちょうどいいタイミングではないかなと思った次第であります。 

記者

 組織体制について、今回松井カラーというのはどの程度発揮できたと思われますか。

市長

 先ほど申し上げたように、私は正直言うと組織、先ほどの監(サラカン)の話はやや出過ぎた話だったかもしれませんが、局の再編も議論しようかなと思いました。思いましたが、正直、この1月で第1次編成予算を市会に提案して、それを初めて市会で御議論をいただく。それから、いろんな課題をどんどん聞く中で、ほとんど自分自身が考える時間もなかったところで、例えば条例事項につながるような組織の改編というのは、これは今後、もうちょっとしっかり仕事をしていきながら考えていくべきだと思いました。

 そういう意味では、今回の組織改正について大粒ではないという風にお見えかもしれませんけれども、どちらかと言うと、これは自分の戒めなんですけれども、橋本龍太郎総理の橋本行革を企画し、自分自身もそこに身を置いた人間でありまして、省庁再編は意味があったと思うんです。でも、それは省庁再編にかけて、あれは実は1年間ぐらいしっかり議論して、どういう行政体制が必要なのかということを集中的に議論して、私自身もそこに関わった人間なんです。この1月で残念ながらこの京都市政の課題、そしてどこに重点化するべきかということについて、安易に組織をいじれるほど私にまだ見識はないです。

 そのような中で私が申し上げたのは、むしろ先ほど申し上げましたように、ある種のボーダーをどう越えていくのか、市民本位で越えていくのか、その意識改革を先行させたい、そういう意味でプロジェクトチームを作りました。実はこのプロジェクトチームは皆さんに御説明したものというのはごく一部で、私が本当に職員の皆さんに申し上げたいのは、こういう組織横断体制を作ったらうまくいくというのなら、内閣府は今みたいになっていないです。あれは私自身が設計に関わった者なんですけれども、あのように部局横断でそれを束ねれればいいかと言うと、そう簡単なものではない。むしろ職員の意識とか、気風を変えていくということを先行させていきながら、その中で本当に必要な骨格変更というのは何なのかということを考えた方がいいと判断した結果であります。

記者 

 若手職員の声を、どのような仕組みで取り入れていくつもりでしょうか。

市長

 若い職員のいろんな意識を変え、そしてその彼ら彼女らが民間の方々も含めていろんな方々と意見交換する仕組みというのは、ちょっとアメーバ型であって、プロジェクトチームのこういう風に組織しますということとはちょっと違うものなんで、とりあえずこれがベストかどうかは正直言って分からないです。分からないけれども、私はこういう部局横断のものを作っていただいて、そこに集う、当然のことながら、副市長や局長級の方々がそこの責任者になるわけです。当然、その下に部課長がいらっしゃるわけですが、そこが分からない方々にいろんなボールを投げてほしいと思っているんです。

 それから、若い方々もそのボールを投げ返す、あるいは自分でこういうボールをそこに投げかけるような、この組織外のいろんなカプセルみたいなものを作っていくし、それを我々が、我々というのは市長とか副市長がそれを裏打ちしていく。これは大変なことです。一言で言うと、なかなか簡単なことではないし、人的に誰がその庁内マネジメントを束ねになっていくかということも含めて。

 ただ、私はこのプロジェクトチームを作る中で、その組織の中で何人かの方々がそういうある種、若手、中堅との結節点になるような仕事の仕方を、このプロジェクトチームの遂行体制の中でつくっていだたくことが大事かなと思っています。 

記者

 新しい公共の推進チームがあると思うのですが、具体的に市民参加型の行政というのはどのようにしていかれるのでしょうか。 

市長

 これは新しい公共自身がある種、部局横断的なんですけれども、本当のこと言うと、私は一番期待したいのは、この中の組織改編の中にも少し芽出しはなっていますけれども、一番市民に身近で、実は部局横断で市民生活、地域の人々の生活に向き合っているのは区役所なんです。これは私、正直言って、最初の登庁日に区長の皆さんに御挨拶して、今日、また夕方、人事発令の節目で区長の方々とお会いしますけれども、いずれにしても実質的に区長の方々と意見交換をまだできていないのですが、今、市役所の組織、人員体制中で区役所がどういう体制を担っているのか、どういう問題があるのか。実は今日、たまたまその若手のお一人が意見をおっしゃっていただきました。区役所ではこういう状況があって、逆に言うと、その方の意見はすごくポジティブに、こういうふうにバックアップしてもらっているからいい仕事ができているという話でありました。区役所の区民との向き合い方において、リソースが足りているのか、足りていないのか。それからその日々のルーティンの仕事もたくさん区役所の中にありますが、そのルーティンの中でいかに市民のいろんな生活の課題に向き合うだけの考える余裕があるのか、あるいは、そこでいろんな市民の具体的な課題に向き合った人たちが、本庁にそれをどういう風に意見を言える、あるいは本庁の各部局の人が区役所で現場を見ている人たちにちゃんと意見を求めるだけの余裕があるのかないのか、あるいはリソース配分がされているのか、仕事上、余力があるのかないのか、ここをもうちょっと考えていかなければいけないんですけれども、本当は新しい公共的な考え方であれば、地域の住民に近いところの区役所から、そこをどう巻き込んでいくかということを考えなければいけないと思います。   

新しい公共はこの何部局か跨った組織にしていますが、そこだけでは駄目で、区役所の全体の声をどう反映していくか。これは、かつては門川市長時代に100人委員会という住民参加型の委員会があった。それはある時点で終わって、本当はそれが区役所レベルで、そういう100人委員会的な住民参加を実現していこうということで、それが続いているところと、なかなか継続していないところがあるという風に、まだ私としては仄聞しているレベルなんですが、その辺も、なぜ一部は続いて一部は続かなかったか、その課題も考えながら区役所の方々にどう参画していただくのがいいのか。場合によっては、それが労働強化になるかもしれないし、それだったらもっとリソース寄越せということになるかもしれないんですが、ちょっとそこは大きな、自分自身の中で一番引っかかっている点はそこです。 

記者

 新体制で市民生活と観光の調和推進プロジェクトチームを新設、また観光地の課題対策のための係長を増員するとあると思うんですけれども、間もなく桜の開花を迎えて、観光客が多く訪れる春のシーズンとなると思います。オーバーツーリズム対策への取組に対する思いを改めてお聞かせいただけないでしょうか。

市長

 とても大事なポイントだと思うんですけれども、今回、市会に一次編成の範囲で提案したもので、特急バスを走らせるとか、観光客のマナーの問題とか幾つかの取り急ぎ一次編成に盛り込んだものに加えて、やはり難しいのは地域的に、これは「山科・醍醐プロジェクト」にもそういう思いを込めているんですが、できるだけ早く西脇知事とも何らかの形で御相談して、これも短期的効果はどこまであるか分からないんですが、もう少し地域的な集中をいかに分散するかということだと思います。

 いろんな方に話を聞けば聞くほど、いや、オーバーツーリズムと言うけれども、うちはガラガラだと。むしろ、多くの地域の方々からは、「うちはガラガラやで」と言われているのは、何かどこか特定地域の地域課題だけ取り組んでるように思えるというような、極端に言えば、それぐらいの指摘もいただくことがあります。

 ですから、シーズナルな分散というのは、ある程度、インバウンドの方々が増えたことによってできたと思いますが、1日の中での朝晩という時間的な分散、あるいはもっと大きいのは、やっぱり東山とか嵐山周辺に非常に人々が集中して、混雑が起こってバスに乗れない、もう道路の日常生活に大きな支障を来たすような渋滞があるというところを変えるためには、もちろんこれから交通規制の在り方とかも、これは京都府警なんかともきちっと相談して考えなければいけない課題の1つですけれども、そう簡単にできないという感触を得ています。そうだとしたらやらなければいけないのは、やっぱりこの地域的な分散を、これも府と市の面子とかを捨てて、どういうふうに分散して周遊していただくか。あるいは、もっと長い間、京都に滞在していただいて、1泊2日だから非常に世界的に有名な観光地にどうしても行くということになるけれども、それをもうちょっと長い間滞在していただくような形でもっと、それこそ先ほど申し上げた世界遺産の醍醐寺、これなんかも桜の時期はそれこそ大変ですけれども、それ以外の時期だとこれだけの世界遺産で、これだけの国宝、重要文化財を抱えておられるところが比較的まだまだ受入れの可能性がある。そういうところを周遊していただく、その時に、京都市域だけで考えるのではなくて、京都府内の京都市域外の観光リソースというのもたくさんあります。それは宇治の平等院なんかはそうやってたくさんの方々が行っていただいてますが、これをやっぱり発掘し、もっと海外の方々に訴求力を高めていく必要があると思うんですね。少し前まで、私が若い時は伏見稲荷大社にあれほど人は来られていなかった。

 でも、その魅力をやっぱり多くの世界中の方々が知られたという、そのこと自体は素晴らしいけれども、他にもそういう地域がたくさんあります。そういう歴史的な神社仏閣だけではなくて、風光明媚な場所、いろんな場所があるので、そこをどういう風に知っていただくかという努力を早急に行わなければいけないと思っています。

 もちろん、その先にはいろんな試行的な試みもあります。私が公約で掲げたような市民優待価格制度というのは実現できないか、そんなことももちろん粘り強く、これは国土交通省にも相談してお知恵を借りながら、どんなやり方ができるのかということも考えていきますが、やっぱりまずやらないといけないことは地域的な集中、これをいかに分散するかという工夫だと思います。

記者

 それを今回のプロジェクトチームで推進していくということでしょうか 。

市長

 そういうことも含めて、例えば、それは人の流れですから、あの大変なコロナの時だって人流制限とかがいかに大変かというのはみんな分かっているわけです。市役所だけでできることではないので、いろんな情報発信、いろんなインフルエンサーに我々がどこまで訴求できているのか、あるいは観光協会とよく相談して、我々自身が京都のもっと観光について多くの人たちが入ってこれるような、そういうスマホアプリをもっとより良いものにできないかとか、いろんな工夫があって、それこそ庁内のいろんなプロジェクトチームもさることながら、これは若い方々の感性で、その同世代の方々とか海外の京都ファンの方々にどう訴えかけていったらいいのかということは知恵を出していただく。これは僕らの世代より若い方々のほうが、より魅力的なプランを引っ張り出せるんではないでしょうか。期待しています。 

記者

 今の話に関連して、なぜその観光と市民生活の調和を進める上で、グループ横断のシームレスな組織というもので取り組もうという風にお考えになったのでしょうか。 

市長

 観光のところの部局を見ていただいたら分かるように、観光だからといって、それこそ産業観光局だけでできることってすごく限られています。それは市バスの増便とか今回、御提案した特急バスをつくるというのは当然、交通局の仕事ですし、例えば自転車とかになると建設局になりますし、例えば歩くまちをどう作っていくか、新しいまちづくりをどうしていくかというと都市計画局になりますし、それから観光場所の分散とかというと産業観光局になりますし、それから今日は今、あえて聞かれていないので言いませんでしたけれども、宿泊税という問題もあります。そうなってくると行財政局になりますし、時々、観光何とかという二言を使われる方がいらっしゃいますが、ごみの問題になってくると環境政策局。これはもう本当に課題一つ一つが観光に現れている。観光とかまちの混雑とか、その住民の方々からの不満というものの要因が、いろんな要素が集約して不満になっているわけです。それは観光客にとっても必ずしもよくない。これはやっぱり部局横断で議論せざるを得ないんです。ただ、それだったら今までと同じであって、私が申し上げたいのは、では、どんなアイデアがあるのだと。

 例えば、企業の寄附でごみ箱を設置するというアイデアなんかは、たどっていけば、ある個人がこんな発想がある、そこのごみ箱を設置するのはいいけれども、では、どんなシステムで清掃の方々が回収するんだということなったら、今度、知恵を組み合せていかなきゃいかん。だから、こういうアイデアがあるんではないか、ああいうアイデアがあるんではないかということについて、むしろしがらみなく、先ほど申し上げたような若手のタスクフォースみたいなものはあんまり部局を代表してということではなくて、個人個人でこの問題について何か取り組みたい人はいないかという、ちょっとそういう個人の発意も含めて、それはある種、ひょっとしたらそこに、今日来ておられた方も、ある区の区役所で結局、市民の窓口をやっておられる方なんだけれども、その市民の窓口やるということもすごい大事な仕事なのですが、同時にそれこそ大学卒業した若者がなぜ流出してしまうのかということの根源を大学生なんかと一緒に議論するという、ある種の副の職務、主たる任務と従たる任務というミッションを持ってもらって、その従たる任務については自分の発意で、自分の本分はここだけれども、その本分に差し障りがない範囲内で、こういう自分のまちづくりにもコミットしたいという人を、部局を離れてそういう人を募れないかなというのが、こんなことを言うと本当にできるのかどうかがありますが、そういうものを作っていきたいというのが私の思いですね。

記者

 1つ目は、「洛西SAIKOプロジェクト」についてどういう風にお考えでしょうか。

 2つ目は、洛西と山科・醍醐のプロジェクトについて、どういうまちづくりを大切にしていきたいかという共通する部分、それぞれの地域の良さに違いがある中で、どういう風に広げていこうとお考えでしょうか。 

市長

とても本質的な話だと思います。洛西は、まだオンゴーイングなんで、洛西がどれぐらいの中核にあるものができて、その住宅、新しい商業施設の中身が少し変わる、あるいは医療施設が集合的に入るエリアができる、そして、では、実際バスが巡回していって、本当にJRとか阪急にどう繋がっていくのかということは、実際の運用を見てみないとなかなか判断しにくいわけです。

 それから、広い意味での洛西で言うと、沓掛とかを含めて言うと、やはり芸大の跡地というのをどういうふうにしていくか、これは決まっていないわけですね。だから、決まってないがゆえに、我々がどういうセールスをしていくのかということも含めての課題なんですが、やはり交通のアクセスが、あそこの住民の方々のもともと洛西地域を開発した時の約束と違うというところは、そこにあるわけです。だから、それをどう改善して、あそこの中に住民生活にとってより利便な集積をどうつくっていくのか。そして、日本中が今、直面しているある種、郊外型住宅地が、しかし高齢化によって例えば免許を返納される、あるいはこれも環境先端都市としてできるだけ歩いたり、カーボンニュートラルに向けて、もちろんEVとか前に進めていきます。だけど、その交通手段をどう確保して、公共交通をどう使っていくかというような共通の課題、その中でちょっとスプロール型に拡散してしまった住宅というものを、私はコンパクトシティについてはいろんな議論があるのも知っていますけれども、どういうふうにその方々が免許を返納して、高齢化が進んだ方々が利便よく暮らして、そして、その方々が公共交通の中で利便よく移動もできるという体制をどう作っていくかというのも、京都の中でそんな中山間地域でも何でもない郊外のエリアですけれども、やはりその交通ということについて非常に課題に直面している。しかし、非常にポテンシャルあるエリアだと思います。

 ですから、今、申し上げたようなあそこにどんな住宅ができ、商業施設ができ、どういう交通の利便が確保されていって、それこそシニアな世代もそうだけれども、若手、あるいは子育て世代がここならいいねと言って住んでくれるようなまちがどこまでできるか。それがもし何かやっぱりもうちょっと修正が必要だということだったら、それは修正を加えなければいけないし、ああ、意外とこれでうまくいくねということなのかもしれない。そこの事態を見守っていかなければいけないというのが今の思いです。

 後者の山科・醍醐地域との共通点はやっぱり交通ですよね。交通アクセスがある程度いいエリアに良好な事業環境、住宅環境を整備して、やっぱり今、域外に流れている人口流出の歯止めをかけて域内に住んでいただいて、そして本当に域内というふうにこだわらなくてもいいんです。僕は最終的には大京都圏が栄えて、その近隣のまちに住まれる方も含めて、それはみんながお互いに共存共栄でいくべきだとは思います。

 でも、やはり京都に住みたいし、京都で非常にアクセスが便利なところで、京都のいろんな町なかともつながって、そして、そのまち一つ一つが京都らしいコミュニティをそれぞれのエリアで持っていただければいいと思うんですが、やっぱり職住接近であったり、京都特有の密度の濃いコミュニティというものをそれぞれにどう作っていくかということが鍵だと思っていて、その中では、やはり交通アクセスにおいて課題を抱えているならその課題を通してあげる、その課題をぶち抜いていく、あるいは交通アクセスが良いなら、それ以外の分野でまちづくりの面で、いかにその住民たちが、これは私たちのまちだと思って愛情を持てるようなまちづくりを、それはそれこそディベロッパーの人たちの知恵とか事業者の知恵を借りながら作っていけるか、そういう意味で課題とポテンシャルの両方あるエリアだと思います。

 もっと課題がすごく大きくてシリアスな地域もあるんで、そこはもちろんその後、考えて、後というか、その順序の前後関係は、さっき申し上げたように、山科・醍醐の地域はまさに今がちょっと旬というか、都市計画を変えてここからまちづくりというところで背中を押したいという気持ちがあってここを先行させたわけですが、ほかの地域も、北のほうのエリアにしたって、あるいはもっと広大な伏見区のエリアだって、伏見区は恐らく1つで見られないですよね、沿線も違いますし。だから、やっぱり沿線ごとにある程度を見ていくという発想は必要かもしれないです。人々の生活の利便を考えた時には。

記者

今、コンパクトシティというお話もありましたが、それぞれの地域の今、住んでいる方の満足度とか、コミュニティの参加を含めて、そういう力を高めていって、住んでもらえるようなまちをつくるという風に理解はしていますが、京都市内における役割分担のようなものを進めるというようなこととは違うのでしょうか。 

市長

 役割分担っていうのを私らがあんまり勝手に書いてはいけないと思います。それはその地域の人たちがどのようなまちづくりするかが、まずあると思います。だから、例えば、ここは交通アクセスが便利で、私がさっきコンパクトシティについていろいろ議論があると言ったのは、私は増田寛也さんを個人的にも存じ上げているし、あの議論が、あるいは「地方消滅」という本がどういう背景でつくられてきたのか、どういう批判があるかというのもよく知っていますが、国全体としてこういうスプロール型に発展してしまった、この国土の均衡ある発展という名の下にスプロール型にやっぱり日本は発展したわけです。いくつも全総計画をつくって、それが人口減少の中でその地域を支え切れなくなってきている、地域の中にいるいろんなアクターも支え切れないし、行政も支え切れなくなっている中で、できるだけ多くの人たちが快適に、そして、安全に安心して生活できるまちづくりということを考えられて、増田寛也さんがあのような提言をされて、それが一部政策にもなっていって、それが逆に批判もある。私はそれに進むべきだと思っているわけではないです。

 というのは、その地域の人たちが、私たちは交通が不便でもいいと。でも、私たちのライフスタイルとして、このまちは郊外の中で交通は利便ではないかもしれないけれども、こういうまちならではの魅力がある、そこで例えば農業をやる、そこでネット環境さえあれば仕事ができる。私はいつも言うんですけれども、神山町みたいな生き方もあるわけですよ。

 だから、それは我々が行政としてこうだって決めつけるわけではないけれども、ただ、やっぱり行政として、ある種の集積を作り、京都らしいコミュニティを作り、そして、それはいろんな意味での通勤の利便性みたいなものを確保できた一定の集積を作ることは、大事ではないかと思っているということです。 

記者

デジタル化戦略推進室のことで伺います。先ほど市長もシステム標準化のことも述べられましたが、今後、デジタル化戦略室が取り組むべき課題として、様々デジタル化を進めるためには課題があるわけですが、どのようなことが京都市として進めば理想かということ、また国が2025年度末までの期限を区切っているわけですが、国に対し何か要望することを伺えますでしょうか。 

市長

 2つあり、1つはいかにユーザーフレンドリーなデジタル化を進めていくか。要するに、市民の皆さんが行政手続を行う際等、行政上に関わるいろんな情報を得る時に、今の京都市のDXの体制が本当にユーザーフレンドリーかどうかということです。これはやっぱりもう少し改善の余地があると思います。それは今回の区役所業務の改革の中でも、そこをもっとユーザーフレンドリーな情報システムのサポートをしながら、その業務の中身は効率化していく。そこで浮いたというか、より集約されたところで若干余剰が出た人材をより対面インターフェイスに向けていきたいという考え方があるわけです。

 そのためにも、もう少しこれは、私も別にそんな専門家ではないので、専門の立場の人たちのアドバイスを受けながら、そこのデジタル化全体をきちんと再設計する必要があります。その中で、これは他の自治体も含めて行政情報システムをどう統合していくか、これはもう本当に京都市と京都府も私もかつて役人をやっている頃からいろんな課題を抱えていたし、そこはいまだに引きずっている面があるんだとすれば、これはまだ、私はそこの実態をしっかり把握していませんけれども、この業務上のシステムとしてしっかりそれをより統合し、その国と連携を合わせて、かつてある自治体なんかは、国より先行してオープン化してしまって、そのオープン化を国がある程度統合するというものと逆にちぐはぐになって困っている北の方の自治体なんかもあるわけです。だから、この国と平仄を合わせてしっかりシステムの再構築というものを、市民の税金でシステムを構築はされているわけですから、それを有効に使って、そして何よりも市民の皆さんにとって利便性の良いものをつくっていかなければいけない。

 それから、もう1つ大事なことは、私自身もちょっとこのシステムを使ってみましたが、職員にとっても使い勝手が悪いと思います。この京都市のは。ほかの自治体と比較した時に、私はどうなのか分からないですけれども、これは恐らく職員に多様な働き方とか言いながら、職員の多様な働き方とかクリエイティビティを発揮させているかなというところは大いにありますね。

 なので、これもあまり私が具体的なことまで申し上げるべきではないと思いますが、今、私が申し上げたような全く何もシナリオにもないことを受け止めていただいて、ぜひ市役所の行政、このまさに今回、デジタル化戦略室と情報化推進室を統合するということによって、情報システム全体の効率性も高めて、そしてユーザーとしての市民にとっての使いやすさ、それと市役所の職員がそのシステムを使って行政サービスを提供しているんですから、その市役所の職員にとっても、より高度でより時間を有効に使えるような行政情報処理システムを作らなければいけないという風に、私は市役所の関係部局の人にお願いをして、あとはちょっと専門家の知恵を借りていきたいと思います。

 こういうのも本当は若い人たちが若い人たちの仕事の仕方の中で何が不便かということを、きちんと聞いた方がいいと思います。あるいは、民間の人たちと意思疎通やいろんな情報のやり取りした時に、もちろん機密情報の保持とかというようなことはしっかり確保しなければいけない、セキュリティも確保しなければいけないけれども、やはり民間の人たちと一緒にやり取りする時に、今、どんな体制でそれができるのかできないのか、民間企業も恐らく企業内での個人情報保護とかいろんなことの壁を乗り越えながら、そこに創意工夫を今、加えているところだと思うんで、その彼らから見た時に、本当に市役所の情報システムは使いやすいかどうかというのは、ぜひ担当部局の人に知恵を絞ってほしいと思いますね。 

記者

 なぜシームレスということが人生の課題だと思われるように至ったのか、理由を教えていただきたいです。市役所で感じた垣根がありましたら教えていただきたいです。また、シームレスな自分であるために実践されていることがありましたら教えてください。 

市長

 私の人生で言うと、やはり最初に34歳で首相官邸に入ったということです。それで、内閣官房の当時内閣参事官室というところ、今、内閣総務官室になっていますが、そこで首相の演説を書いたり、国会の質問取りをして、今、行財政局の職員も一生懸命頑張ってやってくれていますが、その質問取りが出てきて、それを各省庁に割り振ったり、答弁回収したり、最終的には自分自身も官邸に勤務していましたし、国会にいる時は国会の中に官邸の分室があって、内閣官房の分室があるわけですが、言ってみればそこはもうシームレスなんですよ。国のトップを支える仕事なんで。私は何とか省担当とかというのは全くなく。何とか省担当というのはなく総理に支えるという仕事をする中で、私が向き合うのは行政組織なんです。行政組織であり、それは時に省庁であり、時に局であったりするわけですね。時に課であったりするわけです。そこの行政の縦割りと直面しながら、総理にどう仕えるかというのが私の34歳の時に、ものすごい大きなカルチャーショックを受けた出来事なんです。

 それをいかに行政の縦割りを突破して、首相の思いというものをどう酌み取って、そして、それを最終的に国民というのは、国民に縦割りは関係ないんで、国民のそれぞれの悩みというのがあって、それは部局ごとに悩みがあるわけではないので、それにどう応えるかというのに直面したというのが私の人生の一大転換点で、その経験があるから僕は後に橋本行革を提案し、そしてその実態を見て政と官の狭間にいて、政界転出というのを志して政治家になったわけであります。政治家になっても、結局、同じ問題にずっと直面するわけです。

 そういう中で、司司の大事さは分かり、自分も司司で役所に入った人間であるし、それぞれの司司で仕事をしてきたんだけれども、その司司の利益の増進が合成されて、それが誤謬なく国民の利益になっていればいいんですけれども、それがなかなかなっていないというのが私自身の人生の中で、大きな自分の進路を決める契機になったところです。

 なので、ひょっとしたら私は過度にトップマネジメントにこだわったし、それが政治主導とか官邸指導につながってしまって、ひょっとしたら今、霞が関からこちらに来られている方々に御迷惑かけているかもしれないのですが、内閣人事局に至るまで私自身が自分で生んだと思っていますから。そうなんですが、それが私の簡単に一番分かりやすい例で言うと、それだけではないんですけれども、それは私自身がシームレスとか縦割りとか。継ぎ目ってあるんです、何でも。どんな省庁編成にしたって、どんな官邸主導を作ったって、そこには官邸と、政と官の継ぎ目ってというのがあって、それから組織と組織の継ぎ目があって、では、それを内閣府ができたら、内閣官房が機能強化したら継ぎ目がなくなるわけではないんだけれども、継ぎ目は継ぎ目としてできるだけ、でも、それを継ぎ目と感じさせないような行政をやらなければいけないという意味で、私はシームレスという言葉を使っているのであります。

 この市役所に入っての感想は、まだよく分からないです。日々、僕はできるだけ自分に向き合うとしていますが、自分に向き合う時間も不足しているし、まだ率直に皆さん方から見たって、こいつは何を考えているんだろうというのは、職員の皆さんは私の一挙手一投足を見ながら、松井ってどういう人間なんだろうと思っておられるだろうし、私もまだ1か月でどれだけ多くの、今日、初めて若い方々、30代ぐらいの方々が直接僕に対して意見を言ってくださる。それまでは、いや、ないわけではないですが、多くの場合は、副市長さんであったり、局長さんであったり、何とか監であったり、あるいはせいぜい部長課長さんぐらいが補足説明されてきました。ここから先に私がもっと若い方々と直接向き合うという局面を増やしていきたいです。それは同じように市民と向き合うというのもどこかのタイミングでつくっていかなければいけないんですけれども、まさに市民とより直接に向き合う仕事をしておられる若い方々にどう私が向き合っていくかという中で、考えていかなければいけないと思っています。

 内なる壁はもちろんあるわけです。私のこだわりとか。先ほどそのシームレスとか縦割りをいかになくしていくかというのも僕のこだわりであって、あまりそこにこだわり過ぎたら、逆に本末転倒になってしまうという部分もあって、そこは常に留意をしながら、政治主導というものを失敗してきて、私はやや何事につけ、ちょっとこだわる傾向があるので、そのこだわりというものを手放して、いい頃合いというものを探すというのが逆に言うと私の課題なので、そんな何でもかんでも、先ほど記者さんからは、本当に松井カラー出せているのかとか、あるいはそのプロジェクトチームをつくって本当に言っていることができているのかと。いや、それはいろいろ課題があるけれども、それは今の組織運営の発想の中で、どういうものができますか、という思いを伝えてやってみる、今の部局体制の中でやってみる、その中で、できること、できないことがあったら、次のステップに行こうと。これは私のやや性急なところとか、ややこだわり過ぎるという自分の内なる壁というものをどう手放していくかということだと思っています。

記者

 市長自身が垣根を越えるためにされておられることは何でしょうか。 

市長

 より1人の人間であることを忘れないということではないでしょうか。自分自身が1人の人間としてちゃんと、マシンにならない、1人の人間として自分が生きていくということ。それは、どうしても市長になってしまうとマシンになっちゃうんですね。日々のいろんな日程をこなしていく、各部局のいろんな日程をこなしていく、セレモニーに出る、そうではなくて1人の人間としての自分を取り戻す時間とかライフスタイルを持たなければ、やはり本来の自分が持っている今日申し上げたようなことから遠ざかるんではないかとは思っています。難しいですね、これは。だから、あまり働かない市長になるということが必要なのかもしれない。

 でも、これは皆さん、笑われるけれども、本当に僕はそうだと思うんです。1人の人間がちゃんと自分の人間らしさというものを確保できないで、人間らしい人様の生き方について、ああこう言えるかという時に。ちょっと自分は変わった人間なので、変わった人間なりの自分のライフスタイルとかは、昔みたいな、大学の教員時代みたいなわけにはいかないことは分かっていますが、その中で自分の原点みたいなことを忘れないようにいかにするかという、自分自身が1人の生活者でありたいとは思っているんです。簡単に言うと。

一般質問

記者

 小林製薬が製造した紅麹をめぐる問題で、京都市内の企業でも自主回収をする動きが出ています。市としてはどういった対応を求められたいか教えていただけますか。 

市長

 まず、これは私もびっくりしました。なぜびっくりしたかというと、私もこの会社の何かサプリメントみたいなものを頂いていたこともあったので。小林製薬の提供したもの、紅麹を材料にした健康被害については、これは今、京都市で言うと、医療衛生センターが窓口になってしっかり対応しているところなので、厚労省とよく連携をしながら、どこまでのその因果関係があって、どういう対応をするのか、それは市民の安全を確保するのは一番大切なので、きちんと情報連携を密にしながら、しかるべく市として対応が必要なことがあれば、しっかりやっていかなければいけないと思っています。今朝の時点では、既に相談も受けているようです。一般の市民からも、あるいは食品関係で小林製薬のものなのかどうかはちょっと私、今、正しく分からないですが、紅麹に関する問合せというものを受けているようです。

 いずれにしても今、現段階では健康被害についての申出は、市内からはいただいていないようですが、私自身も今、申し上げたように、そういうものを過去、健康にいいということで一時期とっていたということもありますから、それは不安に市民の皆さんが感じられるのは当然だと思い、きちんと情報収集して、本当に小林製薬のものだけの問題なのか、それとも何か共通した原料に由来する問題があってほかのところまで波及するのかどうかということが非常に心配でもありますし、それは当然、一時的にこの小林製薬のものを取っておられた方については統一的な対応が必要ですし、それ以外の原料由来のものがあるのだとしたら、それは食品関係の事業者の方々も不安に思っておられることもありますので、そこはいずれにしても、しっかり情報収集して何か問題があれば、これはもう直ちに厚労省に報告して、情報に地域的な精粗がないようにしっかり対応していくということに尽きるのではないでしょうか。

記者

 ライドシェアについて、4月から一部解禁されるということで、京都市などもその範囲に入っています。ライドシェアについては、市長の現段階でのお考えを伺えますでしょうか。 

市長

 ライドシェアについては、この議会でも答弁していますけれども、基本はまず利用者の安全・安心がどう確保されるかということですから、こういう公共交通の一翼を担っていただくので、その整備とか安全面でのチェックが果たされるということが第1点。

 第2点は、この京都のさっきも出たオーバーツーリズムの問題でもありますけれども、そのことによって本当にその観光集中に拍車が掛かるようなことがあったら京都市としては困ります。これが2点目。それから、3点目はやっぱり本当に、その2点目と関わりますけれども、どうしても個別の事業者の方々が入ってこられるということになってくると、やはり儲かるところに行こうという気持ちになってしまう。そうすると、そういうところに集中して、本当にマッチング率、もともと内閣府も指摘していたような、拾いたいけれどもなかなか拾えないというところに、しっかりそういうライドシェアが及ばなければ意味がないのに、それは結局、もうかるところ、要するに集中しているところに行ってしまって、そこが結局、共倒れになってしまう、道路混雑も招いてしまうということにならないように、仕組みをどうつくるかということだと思うんです。日本におけるライドシェアということを考えた時に、これだけ京都というまちが狭くて、なおかつ一部の地域に交通集中の弊害が出ている時に、では、規制を取っ払って好きにそれぞれの事業者の方々が勝手に走っていいよということになった時に、ものすごくアンバランスが生じてしまうということを、そのデメリットという面をどう除去していくか。

 私はライドシェアで利便性がよくなるという地域が増えるのであれば、これはもう大いに結構なことだと思います。そこを確保するために、やはりその交通量のコントロールが本当にどこまでできるか。それぞれの例えば地域で、私はここの地域で比較的タクシーが少ないところで、地域に例えば車庫も持っていて、そこの地域でやれるよという方々が各地域に分散してくれれば、これは恐らくウィンウィンになり得るものだと思うんですが、そこはどう担保されるか。その中で国土交通省が一つ、経過的なものとして提案されたやり方というのは、そこをある種、タクシー事業者の方々に束ねてもらって交通集中とか、逆に言うと、あんまりその収益性が高くないようなところも含めて配車できるような仕組みを、要するに新しいドライバーの方々が参入してうまくできればそれはいいし、さらに進めていってもいいし、そこの弊害がどこまで出てくるかということを見ながら。ただ、さっきの話で言うと、利用者の利便がよくなる、今までタクシーアプリで呼んでも呼べないというエリアが京都市内で言っても相当のエリアであります。時間帯によっては相当のエリアがあって、そこが解消されるということ自体は、私は今、申し上げた3点の懸念さえ回避できれば、大いに結構なことではないかと。その様子をまず見ていきたいということだと思います。

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