門川市長記者会見(2015年2月5日)
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2023年4月12日
市長記者会見(2015年2月5日)
平成27年度当初予算(案)について
まず,平成27年度当初予算案についてです。予算編成過程の透明化を図りたいということで,先だって来年度予算編成において私が特に重点を置いた点等について御説明申し上げました。
それ以後,編成作業に全力を傾けてまいりまして,ほぼ固まりましたので,本日概要を御説明申し上げます。詳細につきましては後日担当から御説明させていただきます。
予算編成に当たって重視した視点は,大きく2点あり,「東京一極集中を打破し,「人口減少社会」に挑戦すること」と「行財政改革の断行」であります。まず,東京一極集中を打破し,「人口減少社会」に挑戦する,そのために,4点を重視しました。
1点目が,京都経済の活性化と安定した雇用の創出です。景気は回復傾向と言われていますが,京都市民の皆様や中小企業の関係者が実感するにいたっておりません。これを実感できるよう,よりきめ細かい事業を展開してまいります。
2つ目が,文化芸術の振興であります。来年1月に,いよいよ京都会館がロームシアター京都としてオープンいたします。また,京都国際現代芸術祭,美術館の再整備等々,世界の文化首都・京都の創造,発信に向けて努力してまいります。そのことによって,都市格が向上する,文化芸術によって経済が活性化する,そんな取組も進めてまいります。
3つ目が,子育て環境,教育環境の充実であります。子育て環境を日本一にしていこう,そんな取組を力強く推進してまいります。昨年は555人 という過去最高の保育所受入枠を拡充し,4月に待機児童ゼロを達成しましたが,今年の4月には,その2倍近い1,047人分を新たに確保します。
また,病児,病後児保育,きめ細かい保育体制を充実します。京都府とも連携しまして,保育料,あるいは医療費など,子育て世帯の経済的負担を軽減するための取組をさらに前進させます。「京都で子育てして良かった,京都で学んで良かった」,こんなことが実感できるまちづくりを推進してまいります。
4つ目が,安心安全の取組です。橋や住宅,保育所などの耐震化を進めます。また,大雨への備えにも万全を期してまいります。
さらに,地域の皆様や京都府警とも連携して「世界一安心安全・やさしさあふれるおもてなしのまち京都」をつくってまいります。
昨年7月に「世界一安心安全・おもてなしのまち京都 市民ぐるみ推進運動」協定を警察と締結しました。協定締結以降,刑法犯認知件数は減少傾向にあり,昨年は,約1万9,150件と昭和62年以降で初めて2万件を切りました。かつて,4万2,000件,それが,一昨年2万1,000件,それを平成32年度には1万件台の半ばまでもっていこう,そのスタートにふさわしい年に,地域ぐるみで全力投球してまいりたいと思います。
観光客にとって安心・安全なまちは,京都に住むお年寄り,障害のある人,子ども達にとっても安心・安全なまちです。そんな両立した取組を進めてまいります。
こうした4点の重点に基づきまして平成27年度当初予算を編成をいたしました。
国の緊急経済対策の有利な財源等を最大限活用した2月補正予算と一体となって,京都ならではの地方創生を推進してまいります。
予算の規模は一般会計で7,504億円となりました。これは過去2番目の規模となる積極予算でございます。特別会計,公営企業会計も合わせた全会計では実質608億円の増となっております。中小企業融資制度預託金について企業の資金ニーズに応じた予算としており,この要素を除いた実質608億円の増です。
一般会計も実質189億円の増となります。厳しい財政状況の中にあっても,子育て,教育,福祉などの一層の充実,さらに橋の耐震化等,防災,減災対策などを,着実に進めてまいります。
大きな2点目は,行財政改革の断行であります。財源を確保し,福祉や教育,安心安全の取組を進めてまいります。さらに,京都市が返済に責任を持つ市債残高を着実に縮減していく取組も強力に進めました。
昨年10月の予算編成前の段階では,引き続く社会福祉関係経費の増等に より,198億円の財源不足が見込まれておりました。全庁を挙げて行財政改革に取り組みました。例えば職員数は,一般会計で150人を削減,この4年間で720人の削減になります。京プランで目標に掲げた4年間で600人を大きく上回る見込みでございます。私が市長に就任した時の職員数は,全会計で1万6,153人でしたが,来年度は1万3,210人,となり,8年間で約2,940人を削減することとなります。率直に言いまして,仕事はどんどん増えております。例えば,観光振興の分野においては,191の事業を盛り込んだ「京都観光振興計画2020」を昨年10月に策定しました。そのうちの130事業,約7割の事業に来年度着手してまいります。そういう中で,職員は増やさない,いや減らしていくという非常に厳しい状況ですが,職員のモチベーションは高まっております。しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
巨額の財源不足でしたが,行財政改革によって,81億円の財源を捻出しました。また,市税収入も10月時点では,大幅な減を見込んでおりましたが,国の経済対策,本市の様々な経済対策も相まって,9億円の増が見込めることになりました。しかし,この9億円の増ということは,対前年度比0.4%の増です。「観光等全国から京都は元気ですね」,という評価はいただきますが,税収につながっていない。このあたりが大変な課題であります。今税収が厳しい,しかし,将来,税収増に必ずつながる,そうした先行投資として取り組んでいる,こんな段階ではないかと思っています。
少し税収が増えますと,制度上,地方交付税が減るという問題もあります。昨日,国にもこうした矛盾をしっかりと解消して地方財政を支えていただく,そうした国の財政制度でなければならないということを提言,申し入れしてきました。
さて,先ほども申しました実質市債残高の着実な縮減であります。子どもや孫の世代に負担を残さないために,本市が実質的に返済に責任を持つ市債の残高を全会計で184億円,一般会計で35億円減らします。
市債残高については,私が市長就任後,財政改革有識者会議を設置し,公開のもとで議論いただき,その提言を踏まえまして,国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除いた市債の残高を,減少する生産年齢人口1人当たりで増加させないという本市独自の極めて厳しい目標を定め,縮減に取り組んでまいりました。
22年度全会計で1兆9,427億円から,5年間で1千億円減らすということでしたが,来年度予算では,5割上回って1,511億円減。
一般会計では,500億円減らすということでしたが,686億円減らすという予算になっております。
将来の税収増につながる政策に今懸命に取り組み,行財政改革をしっかりと進めていく,同時に,国に対して制度改革を求めていく,そして,特別な財源対策に頼らない自立した財政基盤の確立に引き続き努力してまいります。
市会での議決をいただき,スピード感を持って,経済,文化,子育て・教育,安心安全,さらに,京都から地方創生を牽引していく,そんな取組を進めてまいります。
市内産木材の需要拡大など山村地域振興について
次に,京都における地方創生の一つのテーマである山間地域の活性化の取組のひとつ「市内産木材の需要拡大など山村地域の振興」について説明いたします。
京都市の森林面積は,全国平均の67%を上回る約75%に上ります。先日,京都市で開催された地方創生の第一回のシンポジウムで,石破大臣も京都の森林面積の多さに驚いて,そのことを話しておられました。
千年を超えて,都を守ってきたと言える,この豊かな森が今,厳しい状況にあります。この森林を美しく保ち,また,大規模な土砂災害から地域を守り,さらに,地方創生を京都で実現していく,そうした総合的な取組を進めることが求められています。中でも,地域の林業の活性化はとりわけ重要であり,そのための市内産木材の需要拡大が喫緊の課題であり,木の文化を大切にしていく,京都市ならではの取組を進めていく必要があります。
本市では,平成25年9月に「京都市公共建築物等における木材利用基本方針」を定め,小中学校の校舎,あるいは,最近では上京区総合庁舎等で,たっぷりと市内産木材を使っております。また,学校図書館の机や椅子などに市内産木材を使っていくという取組が,林業に従事される方々の大きな励みになっております。同時に,民間への需要拡大を進めるため,住宅や店舗等のリフォームにおける市内産木材の利用助成を行ってきました。
日本の木材市場の7割を輸入材が占める厳しい状況にありますが,昨今の円安や地方創生の流れ,あるいは環境問題等の観点から,国内の林業に注目が高まってきております。「追い風」とも言えるこの機会に,市内産木材の魅力を発信し,需要を拡大することによって山村地域の振興に繋がる取組を積極的に展開してまいります。
具体的には,市内産木材の屋外広告物,看板への利用・普及を図るとともに,建築用材への利用を拡大するため,加工施設の整備助成を行います。また,地域の農業特産品の開発,販売に対する支援,それらを複合的に実施することで,山村地域に暮らす農林業者の所得の向上,あるいは6次産業化を総合的に推進し,地域を元気にしていきます。
取組は3つでございます。
1点目は,屋外広告物,看板への市内産木材の普及促進であります。
本市では,御承知のとおり,景観政策に大変な力を入れており,多くの市民の皆さんの御理解をいただいております。とりわけ,屋外広告物,看板は,都市の景観を形成する重要な要素として位置づけまして,国内でも最も厳しい規制を行っています。同時に,美しい看板には,表彰制度等を設け,市民ぐるみで京都の美しい景観づくりを進めてきました。
この間の取組で,屋上の看板,赤い看板,チカチカと光る電飾看板等,29,000点を撤去ないし是正していただき,8割を大きく超えて,条例に適合し,景観にマッチするものとなりました。多くの方から,美しくなったと高い評価を得ています。なお,引き続き,努力しております。同時に,この看板,屋外広告物への市内産木材の利用助成を実施して,京都ならではの景観を創生していきたいと考えております。
今回の具体的な支援の内容ですが,新たに看板等を設置される際に,市内産木材をお使いいただける場合,商店などの事業者を対象に1件当たり10万円を上限として,市内産木材の材料代の9割相当を助成します。
看板は,非常にPR効果が高い屋外広告物です。京都では昔から,老舗のお店では,ひのきやけやきに著名な書道家やお坊さんの書が刻まれた看板が使われてきたという例もあります。木の文化を大切にする京都らしい町並みを形成していくことで,品質の高い,高級な木材の魅力を発信します。これを市内産木材の需要拡大に繋げていきたいと思います。
2点目は,右京区京北地域の製材加工施設への整備助成です。
戸建て住宅のほか,集合住宅にも対応できる加工やツーバイフォーパネルの加工が行える設備の導入と,その建屋の整備にかかる事業費6億6,000万円の半額を助成します。
国内産木材の値段が非常に高いということで,ツーバイフォーパネル等の加工には,輸入材が多く使用されてきましたが,円安等で,輸入材の値段が少し上がり,国内産の値段が少し下がっています。こういう状況で,市内産木材を集合住宅や,ツーバイフォーパネル等に積極的に活用するため,製材加工施設の整備助成を実施します。現在,市内産木材の利用が,12立方メートルですが,これを200倍の2,400立方メートルまで高めます。これは,40年生の杉12,000本分に相当する数字で,京都市が把握する市内産の木材の年間取扱量に匹敵します。また,10ヘクタール相当の森林から産出される計算となります。これにより,市内産木材の需要拡大に直結するだけでなく,京都市内で製材,加工されることで,コスト改善が図られて,競争力の強化にも繋がっていくと考えております。
3点目は,山村地域における新たな特産品の開発です。
ここに,わさびを持ってきております。京都市の山村地域でつくられる特色ある産品は,都市部の消費者にとって大きな魅力であります。京都の食文化を支えていただける京野菜がその典型でありますが,それらの特産品の生産体制の強化や,新たな商品開発を進めることで,山村地域の農業振興に繋がる大きな可能性を秘めています。
とりわけ,今後力を入れる産品の1つとして,「わさび」を取り上げていきたいと思っています。わさびの栽培地と考える宕陰地域の樒原は,にほんの里100選にも選ばれた美しい棚田景観を有する,非常に美しい地域で,ここの強力な特産品となるよう育てたいと考えております。
わさびの生産には,水質が要となりますが,この樒原は清らかな水に恵まれています。そして,一般的に棚田と呼びますが,樒原の棚田は,武士の鎧の形に似ていることから鎧田と呼ばれています。この棚田景観を守り,新たな特産品として,わさび栽培を進めようという話が出てきており,そのために,農道,あるいは水路などの営農環境の整備を支援します。
併せて,「ほおずき」で有名な,隣接する越畑地区とも連携して,将来は観光にも繋げていくことで,宕陰地域全体の活性化を図っていきます。さらに,その隣には,「ゆず」で有名な水尾という地域があります。非常に厳しい状況にありますが,地域の方と一緒になって,地域の活性化,地方創生のモデル作りに取り組んでまいりたいと思っています。
2つ目の産品は,「京の花街(はなまち)みょうが」であります。
花街みょうがは,まだ,生産者も少なく,あまり認知度が高くないですが,京都大学大学院農学研究科の協力を得て,開発した大型で,紅色の発色が良く,香りの良い「新京野菜」の一つです。左京区広河原地域において,有志による加工研究グループが,古くからこの地域に伝わる漬物や佃煮等の伝統をいかしながら,商品開発を進めておられます。その取組の中で,新京野菜として栽培が始まった花街みょうがを使った「しば漬け」等の漬物を新しい特産品として売り出すことが予定されております。
これらの漬物の量産と同時に,品質の確保,向上のために加工施設の整備を支援していきます。
併せて,先ほど申し上げた,鎧田等の宕陰地域の樒原におきましても,花街みょうがを特産品として発信したいという思いがありますので,この地域での試験栽培についても支援します。
以上3点御説明いたしましたが,地域の方々と連携し,こうした成功事例を積み重ねながら,拡大していきます。京都市の市域面積の約75%を占める森林地域や山村地域において,必死にがんばっておられる地域の皆さんと農林家の皆さんと力を合わせて,全力でがんばっていきたいと思っています。
質疑応答
報告案件に関する質疑
<市内産木材の需要拡大など山村地域振興について>
(京北地域における製材加工施設への支援について)
記者
既存の施設への支援を拡充するということか。
市長
京北地域の製材加工施設を支援します。この施設は,かつて赤字で閉鎖の危機に直面しましたが,コストを下げるため,原材料として使用する輸入材を取り入れたことで,採算性を向上させて,危機を乗り切りました。一方で,市内産木材の使用が12立方メートルまで低下してしまいました。
今回の製材加工施設の整備支援により,市内産木材の市場で需要のあるツーバイフォーパネル等への加工が可能となります。そのための大胆な投資を行います。
記者
一箇所の施設拡充に3億3,000万円の予算を使うということか。
市長
そのとおりです。他の地域で,意欲ある構想があれば,また支援していきたいと思っています。
(樒原地域におけるわさび栽培について)
記者
現在,この場所(樒原地域)で,わさびは栽培されているのか。
市長
本日お持ちしたわさびは,樒原地域で自生していたものですが,現在,樒原地域でわさびは栽培されていません。過去,広河原地域では栽培されていたようです。
記者
わさびの自生を受けて,栽培も可能であると考えて,栽培に向けて支援を行うということか。
市長
樒原地域は,水が非常にきれいな所で,ここで収穫されるお米はおいしく,そこで作ったお酒もおいしい。しかし米の値段は下がり,気候の関係で,米の生産量は多くありません。それで休耕田が増えている状況です。手間暇かけて,質のよいわさびを作れば,将来,樒原の「鎧田のわさび」ということで売り出すことも可能であると思います。
記者
和食において,わさびは大きな役割を占めている。「京都のわさび」として売り出していけると考えているということか。
市長
京野菜は高品質であり,市場でも信頼を得て,高い値段で取引されています。品質にこだわり,わさびをそのような商品に育てていきたいと思います。
あるいは,鎧田のわさびを見に観光客の方に訪れてほしいと思います。私も市長になるまで,鎧田という呼名を知りませんでしたが,にほんの里100選に選ばれている,非常に美しい棚田で,ちょっとよその棚田とは違う雰囲気があります。是非また,お越しいただきたいと思います。
(広河原地域の花街みょうがについて)
記者
花街みょうがの加工施設の整備支援について,予算年度と金額はどの程度になるか。
市長
27年度当初予算で,広河原地域において1,160万円を計上しています。花街みょうがについても,京都らしい名称で,色も形もよいものができたと思っています。
<企業立地補助制度(京都市の対策)について>
記者
27年度予算では,京都経済の活性化,雇用の創出対策として企業立地 助成に3億円増額している。国は地方創生の一環で東京から本社機能を移した企業に税を優遇する新制度を導入するが,京都市など大都市圏は基本的に対象外となる。神戸市では,市が独自に本社を移転した場合に,投資額の7%を補助し,国と同水準の仕組みをつくったが,京都市では,同様の制度を独自につくる予定はあるか。
市長
これから国会で議論されるわけですが,東京一極集中を打破し,地方創生を推進していく趣旨と極めて矛盾した制度設計になっている。これは,一昨日も,私自身が国に出向き,改めて要望してまいりました。昭和38年に制定された区域線引きをそのまま活用し,市内の一部区域(近畿圏整備法に規定される「既成都市区域」)を移転促進区域から除外するなど,ありえないことだと思います。従って,国の制度の矛盾を京都市民の税金で補填するということではなく,是正をきっちり求めていくことが一番大事だと思っています。引き続き取り組んでまいります。
例えば,西陣地域の生産量は,40年前と比べまして,8%に落ちています。空き家がいっぱいできています。そこの職人が,本来の仕事ができない,もったいないことであります。ここに,東京のものづくりやデザイン等をやっておられる企業が拠点を移して,京都の伝統産業の力と新たな東京のデザインとをミックスした時に,新しいものができるのではないかということを今一生懸命訴えて,あらゆる取組をしています。
このような京都市を大都市だとひとくくりに考え,人口が増えている福岡市に移すときは市税の優遇が受けられるという矛盾に対してはあまり的確な反論はありません。
しっかりと要望していくことが大事だと思います。同時に,企業立地を促進していく,そうした体制も含めた取組をこれからも進め,制度の拡充も図ってまいります。
<子どもの貧困対策について>
記者
子どもの貧困が最近話題になっているが,こうした問題に今後どのように取り組んでいくのか。
市長
来年度予算において,高所得者を除いた世帯の3人目以降の保育料無料化を府市協調で行うとともに,学童保育や保育所の充実など,子育てしながら働ける条件づくりを行ってまいります。また,学力を保証するため,学校教育の充実,放課後対策はもちろんのこと,NPOとの連携も進めていきたいと思っています。
親の貧困が,子どもの学力向上や自立を妨げないようにするためには,一つの取組だけではなく,総合的な取組を進めることが大事ですので,若者支援の取組にも全力を挙げて取り組んでいます。引き続き,子育て環境の充実に取り組んでまいります。
また,単独の定時制高校をつくる取組も進んでいます。教育行政は,大きなくくりで言うと,大学は国,高校は都道府県,義務教育は市町村となっていますが,京都市では,戦前から高校を設置し今に引き継がれています。
京都市として,単独の定時制高校をつくることで,結果として貧困対策の大きな力になると思っています。
記者
定時制高校設置の進捗状況は。
市長
詳しくは教育委員会から発表しますが,来年度の予算案の中に入っています。
なお,私が市長に就任した時は,地下鉄が1日当たり4,600万円の赤字で,市バスも巨額の累積赤字を抱える状況でした。これが今では,地下鉄は,経常損益はいまだに赤字ですが,来年度予算では,1日当たり400万円と大幅に減少しています。市バスは,利便性向上による増客に向けた取組と市民の皆さんの御理解,御協力により,雪だるまのように積もっていた累積赤字を解消して,来年は一般会計からの支援を受けない自立した予算になりました。
また,国民健康保険も巨額の累積赤字を抱えていましたが,来年度は,制度発足以来初めて,全ての保険料率を引き下げ,一人当たり2.5%の保険料減額ができるようになりました。この4年間で保険料の徴収率が90.6%から93.1%と上ってきており,これだけで7.5億円の財政効果があります。
市バス,地下鉄に乗っていただくことにより,予定されていた地下鉄の料金改定が回避されるように,市民の皆さんが一丸となって努力した分,きちっと還元していく。こういった取組を市民の皆さんの理解も踏まえて進めていきたいと思っています。
報告案件以外の質疑
<京都国際ホテルの跡地活用に係る要望について>
記者
阪急不動産に提出された要望書について,民間企業同士で売買が終わった後,首長が要望書を出すのは異例なケースだと思うが,市長の想いは。また,市内中心部でセカンドハウスや別荘的な目的でマンションが開発されていることについてはどうお考えか。
市長
旧京都国際ホテルが50年の歴史に幕を下ろされ,マンション開発をされている阪急不動産が,その土地を取得されていたということが明らかになりましたので,要望書により,「旧京都国際ホテル跡には,マンションよりもホテルがふさわしい。また,日本の観光立国のためにも,京都が役割を果たさなければならない。」ということをお伝えいたしました。
京都観光の最大の弱点は,宿泊施設の不足です。世界遺産の周辺,かつまとまった土地というのは京都市内の中心部にそうはありません。なんとしても引き続き宿泊施設の用地として活かしていただきたいとお願いしましたので,誠実に検討していただけるものと考えております。
セカンドハウスについてですが,これは非常に難しい問題であります。
昨日,一昨日は,東京で京都を感じていただき,京都に来ていただくことを目的とした,「京あるきin東京2015」に行ってまいりました。これまでは2週間の開催でしたが,5年目を迎える今年は1箇月間の開催になり,京都に御縁のある196の事業者,大学等に,114の事業を展開していただきます。
また,イベントの一環として,外務省の飯倉公館において,外資系企業の招致セミナーと外国の大使との交流会を開催しました。交流会には,中国の駐日大使も急遽お越しいただくなど,101箇国の大使を含め250人の方にも御参加いただき,京都への関心が高まっていることを実感いたしました。セミナーでは,外資系企業の方から,日本で事業を展開する際に京都に支社を置いたという話をしていただきました。エジンバラの方でしたが,日本に家族を連れてくるときに家族の同意が必要で,その際に,奥さんが出した条件が,「自然豊かな,文化の香りのする教育条件のいいところ」だったそうで,探せば京都だったとのことでした。このように,様々な方に京都に移り住んでいただいていることを改めて実感いたしました。
一方で,立派なマンションが建つものの,その7割が首都圏や海外の方が買っておられるということも言われております。東京より安いという感覚でマンションを買われてしまいますと,京都市民が買えなくなってしまうという問題もありますので,その対策については,地方創生の課題も含めて現在研究しております。
<テロ対策について>
記者
イスラム国による日本人殺害事件の関係で,国内のテロ発生も懸念されている中で,観光客も多く,外国の認知度も高い京都市では,何らかのテロ対策を検討しているのか。
市長
テロの拠点になりかねない通信拠点や,テロに利用される可能性のある電力施設,ガス施設等の対策については,国民保護法に基づく取組として,警察,自衛隊等々と連携し,きちっと進めております。現在は,それらの取組の点検を行っております。また,世界一安心安全なまちをつくるため,警察と強力な連携関係ができておりますので,あらゆる情報交換を進めて,取組の徹底を図ってまいります。
飯倉公館での交流会で,岸田外務大臣は,テロによる犠牲者へのお悔みと復興等への激励,日本人が人質になった際に対応していただいたことに対する感謝の意を表明されました。本市が進める文化交流,経済交流,観光,これらは平和があってのことであります。平和の実現には相互理解が大事であります。京都は約40年前に,世界の国々の方が,民族,宗教,国家体制の違いを超えて,京都に自由につどい,そして,新たな文化を創造し,世界の平和に貢献する,「世界文化自由都市」を宣言しています。本市では,この宣言を理想として,取組を着実に進めていきたいと思っています。
トルコへの旅行が相次いでキャンセルされているとも聞いております。過剰な反応にならないように,外務省等の安全情報を正確に把握して,情報提供を行うなど,外務省や警察庁との情報共有も必要だと思います。
記者会見資料
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京都市 総合企画局市長公室広報担当
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