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門川市長記者会見(2013年9 月12 日)

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2023年4月12日

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定

 はじめに,2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定しました。これまで招致活動に懸命な努力をいただきました招致委員会をはじめ,関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。
 私も,政令指定都市の市長会で,いち早く招致決議を提案し,また,4年前には京都の商店街と連携し,いち早く横断幕を掲げるなど努力をしてきただけに,感慨無量であります。
 オリンピック・パラリンピックを契機に,日本への世界の関心が高まります。とりわけ,茶道や華道,あるいは日本料理,さらには,マンガ・アニメなど日本文化への関心が非常に高まっていることを,先だっての,京都国際マンガアニメフェアでも,改めて実感しました。また,観光都市としての日本の象徴である京都への国際的な評価も高まってきています。これを大きなチャンスにして,日本ならではの「おもてなし」など奥深い文化をしっかりと世界に発信していく。これが京都の責任である。そして「観光立国・日本」のために,京都が大きな役割を果たさなければならないと思っています。
 京都市では,2010年に,「5000万人観光都市」を実現し,次の観光総合計画「未来・京都観光振興計画2010+5」を策定し,「いよいよ旅の本質へ」ということで7つのプロジェクトを進めております。ILTMジャパンが京都で開催され,あるいは昨年,国際会議の開催件数が過去最高になるなど,おかげさまで順調に進ちょくしています。観光部を観光MICE推進室に再編し,国際会議の誘致に全力を挙げる。さらに,観光MICE推進室に観光おもてなし課長を配置。そして,観光おもてなし大使制度を発足させた。「「おもてなし」って言っても外国人に分かりませんよ。」ってかつては言われたんですけれど,この間のプレゼンテーションはありがたいことだなと思っています。
 しかし,ここで満足していてはいけません。次期観光振興計画を前倒しして策定します。2020年オリンピック・パラリンピックに照準をしっかりと合わせて,新たな観光振興計画の策定に直ちに取り掛かりたいと思っています。来月にも,関係者に集まっていただき,懇談会を立ち上げ,そして現在の取組をもう一度総点検します。
 とりわけ,私が大事だと思うのは,京都に伝わる日本の文化の価値について,京都人はもとより,日本人が再認識する。そして,同時に外国にしっかりと発信し,京都にお越しいただく外国人観光客の増加につなげていくことであります。すなわち,ソフト面・ハード面での取組を更に充実・強化していきたいと思います。
 例えば,多言語対応などで課題がございます。あるいは,宿泊施設の充実ということも大事であります。まだまだ,シーズンには京都は泊まれない。しかし,「泊まってこそ京都」であります。さらに最も大事なのは,コンシェルジュの養成であります。今年の1月に,京都大学と京都市で観光経営のリーダーを育てようということで,初めての10回連続講座を開催しましたけれど,大変好評でございました。そうした人材を育てる。世界に発信できる。また,外国人観光客一人一人に満足していただく。感動していただける。その人,その人に応じた提案ができる。そうしたコンシェルジュの養成というのが,日本の観光界全体の課題であり,これを京都が責任を持って先頭を走っていきたいと考えております。
 オリンピック・パラリンピックまで7年という年数があるわけですけれども,決して長くはありません。直ちに取り組む必要があります。現在の観光振興計画をしっかりと総括し,2020年開催に合わせて,次期観光振興計画の策定を前倒しすると同時に,様々な取組を実行していくことをまずお知らせさせていただきます。

「バスの駅」設置事業の開始について

 それでは,3点御報告いたします。

 1点目は,地域や民間企業の皆様と協働して取り組んでいく,新たな発想によるバス停の整備事業「バスの駅」であります。
 市バスの昨年度の旅客数は,前年度と比べまして1日当たり7千人の大幅増となり,経営健全化計画における目標の32万人を前倒しで達成することができました。これは,全庁を挙げて推進している「歩くまち京都」,公共交通優先のまちづくりに多くの市民の皆さんが御理解,御協力いただいた結果であります。お客様第一に考えて,利便性の向上を図る。そのために,運行の充実,あるいは,バス待ち環境の向上に積極的に取り組んでまいりました。そして,国の経営健全化団体を,3年前倒しで脱却することができました。いよいよ積極的な経営をより一層充実し,市民の足,観光客の足をしっかりと充実させていく時であります。
 利便性向上策の大きな柱がバス待ち環境の向上であり,バス停の屋根(上屋)やベンチ,バス接近表示器(バスロケ)などの充実に積極的に取り組んでおります。そして,さらに「バスの駅」の設置を進めていきます。バス停に隣接する民間等の土地などを無償で提供いただき,歩道が狭いことなどによりまして,バス停の設備の設置が困難な所に,地域の皆さん,民間企業の皆さんと共にバス待ち環境を育んでいきます。

 「バスの駅」には,バスの待ち時間を有効に安心・快適に過ごしていただこうということで,上屋やベンチとは別に,大型液晶ディスプレイを用いたバス接近表示器(バスロケ)や公衆無線LANに接続可能な環境,あるいは,今後,土地等の提供者との協議が調えば,飲食や物品販売施設なども設置を検討していきたいと思っております。

 「バスの駅」の設置の第一弾としましては,1日平均7千人が御利用いただき,春秋等の観光シーズンにはバスをお待ちになる方で溢れ返る「清水道」,地域の皆さんがバスの利用促進に一生懸命取り組んでいただいている「南太秦」,現在バス停の標識の設置すら困難な「太秦小学校前」の3箇所で着手します。

 清水道につきましては京都銀行さんに全面的な御理解を賜ることができました。南太秦については三菱重工さんに,御理解,御支援を賜ります。そして,太秦小学校前は,学校の敷地の一部を活用します。いずれも,現在は屋根もベンチもない状態ですので,大幅なバス待ち環境の改善になります。
 設置する上屋やベンチについては,「北山丸太」など京都産材で,温暖化対策,あるいは森林の育成のために取り組んでおります「みやこ杣木」を京都市域産材供給協会から御提供いただき,使用します。さらに,上屋の設計につきましては,構造計算,デザイン,作図について,木材の普及を通して地球環境の向上をテーマに研究されている「京都大学生存圏研究所」の五十田教授と,その研究室の方々に御協力いただきます。
 さらに先ほども申しましたが,南太秦学区では,地域の要望を受け,平成20年1月に「市バス70号系統」が開設されました。そして南太秦自治連合会の高岡会長がリーダーシップを発揮されて,地域の皆さんが「自分たちがお願いしたバス路線だ。みんなで乗ろう。」ということで,一生懸命利用促進されまして,4年間でお客さんが1.5倍になりました。100円の収入のためにいくらの費用がかかるかを,バス停に表示してみんなで増客運動をしており,初めは1日あたり636人の利用で158円かかったんですけれども,今は1043人になって107円になりました。間もなく黒字化できるということであります。
 この駅につきましては,「地域の足は地域で守る」,地域ぐるみの運動の拠点として,また,象徴として位置付けていこうということで,バスの駅の維持管理は,地元でやりますということを仰っていただいています。そこで,高岡会長に「バスの駅」の駅長さんになっていただこう。このように考えております。

 これら3箇所の「バスの駅」につきましては,平成26年3月に供用を開始いたします。さらに,本年度中にあと2箇所,民間の御協力をお願いしております。そして,来年度以降も5箇所は毎年つくり,バス待ち環境を向上させていきます。さらに,来年3月に予定の路線・ダイヤを大幅に拡充する新運転計画の実施などにより,市バスの利便性を高めまして,「歩くまち京都」,あるいは,「5000万人感動都市」を,なお深化させていきたい。このように思っています。

「119番通報時等における多言語通訳体制事業」の運用開始

 次に,119番通報や災害現場における,外国籍の方々との円滑なコミュニケーションを図るための,5箇国語による通訳サービスの開始についてであります。

 このサービスは,24時間・365日対応を可能としており,東京と政令指定都市の20都市の中では,西日本で初めての導入となります。年間約5000万人の方観光客が来られる京都。外国人も多く来られます。また,4万人の外国籍の方も住まわれています。
 京都市では,およそ6分に1件の割合で119番通報を受けております。年間84,000件を超え,過去最高となり,昼夜,通報者の国籍を問わず災害に対応いたしております。
 日本語によるコミュニケーションが困難な方から直接通報いただいた場合に,独自に作成した多言語会話集などを活用して対応しています。しかし,コミュニケーションがうまくいってないのが現実であります。また,救急活動などの災害現場におきましても,「外国語対応救急現場活動シート」などを作って対応しているわけですが,症状の的確な把握等に課題があり,通訳の体制づくりが喫緊の課題でございました。

 そこで,民間通訳業者の電話通訳サービスを活用して,使用頻度が高い「英語,中国語,韓国・朝鮮語」,そして母国語人口の多い「スペイン語,ポルトガル語」を加えた5箇国語による通訳を,24時間・365日可能とし,観光シーズンの10月1日から運用をスタートさせていただきます。
 利用手順につきましては,極めて簡単であります。外国人の方が119番通報をされますと,消防指令センターで直ちに多言語コンタクトセンターに接続し,そして3者間の同時音声通話によって,通訳を介して会話することができます。また,災害現場においては,救急隊員等が携帯電話で多言語コンタクトセンターに電話をしまして,携帯電話で,例えばスピーカー機能にするなどして,通訳機能が果たせます。本事業を通じまして,外国籍の方,観光客の方の緊急の事態に,また,急患時に,素早い対応していきたいと思っています。「おもてなし」の中でも最も大事なものは,安心・安全の確保だと思っています。

 5箇国語のリーフレットを観光案内所,ホテル・旅館,あるいは京都市国際交流会館,大学等に配架し,また,ホームページでアップするなど,広く発信してまいりたいと思っています。

 ちなみに,外国人の現在の年間の救護件数は約100件であります。ところが,今年に入ってから8月までの,外国語による通報は13件でした。年間20件ぐらいと思っていただいたらいいんじゃないかと思います。ということは,やはりコミュニケーションが不安だからということで,電話をされない。119番されない。あるいは日本語の分かる人が代わってされている。これが現状だと思います。これからは,遠慮なく,英語でも,ポルトガル語でも,スペイン語でも,中国語でも,韓国・朝鮮語でも119番してください。しっかりと対応します。

障害のある子どもの移動支援を充実します!~放課後支援・通学支援(ほほえみネット)を新たに実施~

 3点目ですけれども,障害のある子どもの家庭生活の安定を図るため, 10月から新たに「障害のある子どもの放課後支援・通学支援~ほほえみネット~」を開始いたします。

 障害のあるお子さんの放課後支援としましては,これまでから,学童クラブ事業や放課後等デイサービス,さらに,タイムケア事業等を実施しております。しかし,例えば,学童クラブ事業は,一般的には小学校3年生ですが,障害のある方については4年生まで対象にしています。しかし,5,6年生は対象にしておりません。あるいは,タイムケア事業が総合支援学校の中高生を対象としていることなどから,対象にならない障害のある子どもの放課後対策を求める声が多くありました。
 また,障害のある方の社会参加を目的として実施しています移動支援事業におきましても,経常的な活動であります通学時の送迎は対象となっておりませんでした。そのため,ひとり親家庭の保護者の方から,利用目的,対象の拡大を,お声として聞いておりました。

 この度,こうした御要望に応えまして,移動支援事業の制度拡大を図り,放課後支援,通学支援を実施いたします。
 放課後支援につきましては,保護者の就労,疾病等によりまして,昼間留守になる家庭について小学5,6年生及び総合支援学校以外に在籍される中学生等の障害のある子どもを対象に,2~3人のグループ単位でヘルパーによる放課後の見守りと送迎支援を実施いたします。
 また,通学支援については,ひとり親家庭で,保護者の就労,疾病等により通学時の介助者がいない障害のある子どもを対象に,ヘルパーによる通学時の送迎支援を実施いたします。
 なお,ヘルパーによる通学支援は,近畿圏の政令市では初の取組となります。

 今後とも,障害のある子どもたちの学びの場,生活の場の充実,安心・安全な居場所づくりに努力してまいります。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(119番通報における多言語通訳体制の確保について)

記者
 119番通報の多言語通訳は,外国人観光客の多い京都ならではの取組だと思うが,他都市での導入実績はどうか。
市長
 24時間5か国語対応しているのは,さいたま市だけで,京都市が2番目になります。24時間で英語のみの対応は相模原市が行っています。その他,運用時間を限定している都市はいくつかあります。

(東京オリンピックに係る振興計画について)

記者
 東京オリンピックに照準を合わせた,観光振興計画は具体的にいつ,どのようなことを考えているのか。
市長
 10月には関係者による懇談会を立ち上げ,観光振興計画の総括とオリンピックに照準をあて,課題の整理を集中的に行いたいと思います。これまで,文化団体,旅行関係者,宿泊施設関係者の方々と話をしている中で,日本文化について,外国人の認識が非常に高まっているのに対して,日本人自身が日本文化の十分な理解者になっていないということが挙げられました。それでは,外国に発信できません。まず,その問題を解消するため,効果的な情報発信を行っていくことが京都の責任ではないかと言われております。
 この3月に,富裕層向けの旅行商談会「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット(ILTM)」の日本版にあたる「ILTMジャパン」を京都で開催しました。外国の方は,京都のまちは,古都だという認識はされていますが,新たな文化芸術を創造していくまち,大学のまちだということは知っておられない。また,食文化の素晴らしさや世界遺産が17箇所もあることは,意外と知ってもらっていない。そういったことを改めて実感しました。例えば,アメリカ人に「1200年を超える悠久の歴史」について伝えると感動されますが,それを中国語に訳しても,何の意味もなさないです。その国その国の人にどう訴えるのか,的確な情報発信が求められています。
 また,外国人観光客の受け入れ環境整備,多言語対応も十分にはできていない。喫緊の課題であるイスラーム教徒受入に向けたハラル対応等についても,調査研究,勉強会を始めました。
 さらに,宿泊施設が絶対数として足りていない。京都は泊まれない,宿泊施設が取れない,これが常識になっています。こういうことではもったいない。 
 これらのことについて,総合的に議論していきたいと思います。私が今,申し上げたことの他にもたくさんあろうかと思います。概ね1年をめどに,観光振興計画を作りたいと思っております。作ってから実行するのではなく,議論を重ねながら,できるものは直ちに実施していきます。2020年オリンピック・パラリンピックに照準を当てて,早く取り組まなければならないものは,早く議論をして答申をもらい,ビジョンをしっかりと作っていきたいと思います。

記者
 観光振興計画は本来いつまでに作るべきだったものを,これから1年で作るのか。
市長
 現行の計画は,「未来・京都観光振興計画2010+5」ということで,2014年(平成26年)度末までのプランであります。したがって,本来であれば次期計画は,来年度3月(平成26年3月)に策定する予定でした。これを,平成25年夏または秋までに策定し,策定する前に実行しなければならないことは,実行させていくということで考えています。早ければ1年前倒しでやっていくということになります。

(バスの駅について)

記者
 歩道ではなく,民間の土地を無償で借りてバス待ちのスペースを設置するという事例は全国的に珍しいことなのか。また,年間5箇所ということだが,将来的に何箇所程度を目指しているのか。
市長
 こうして民間の御協力を得て,しかも京都ならではの大学の力,また林業関係者の力を得てやるのは初めてであります。ただ,民間の土地を事実上,使っている例はあるだろうと思います。例えば,歩道の隣に駐車場があり,そこが事実上のバス待ちのスペースになるということはあるかと思います。バス事業は全国津々浦々でされていますので,把握はしきれませんが,こうして計画的にやっているのは,珍しいのではないかと思います。志の高い,民間事業者等に感謝します。今後も,物理的なバス待ちスペース等となり得る場所があるところについては,お願いに上がって,ぜひ作らせていただきたいと思っています。将来的には,どういったインセンティブを用意できるかということについても考えていかねばならないかと思います。今回の場合も,京都銀行・三菱重工の御厚意でできたものだということは,しっかりと表示し,敬意を表していきたいと思います。

(新しい観光振興計画について)

記者
 新しい観光振興計画では,外国人に対して日本文化をどう発信していくのか。平成10年頃には約40万人だった外国人観光客が,現在は回復傾向にあるものの東日本大震災の影響によって減少している。オリンピックを機に外国人観光客をどう増やしていくのか。また,懇談会のメンバーはどういった方を,何人程度で想定しているか。
市長
 10年ほど前は宿泊外国人観光客は約40万人でしたが,東日本大震災の前年の2010年は約98万人まで増えました。震災により大きく減少しましたが,昨年は85万人まで戻りました。今年は全国的に伸びていますが,京都市でも,観光案内所のデータや二条城の実感から,円安の影響もあり伸びているだろうかと思います。世界で最も影響力をもつ旅行雑誌のひとつ,「Travel + Leisure(トラベル・アンド・レジャー)」誌で,昨年,日本の都市として初めて「京都」がベスト10に入り,9位になりました。今年はベスト5になりました。1位がバンコク,6位がローマ,9位がパリです。ありがたいことに日本の文化を象徴する京都に関心が高まっています。もともと京都は欧米に強いということがありますので,欧米の強みを生かすとともに,経済の発展が著しいアジア地域全体を視野に入れていかなければならないと思います。ヤンゴンからパートナーシティの提携を結んでほしいといった要望がありました。他にも各都市からありますので,そうしたことも充実させていきたいと思います。日本の文化,京都に伝わる日本の文化をしっかりと発信し,国に応じた情報発信を丁寧に進めていくことが大事であります。京都市の観光情報発信の在り方も含めて,抜本改革がなお必要ではないかなと考えております。全国的には,京都は高い評価をいただいておりますが,さらなる発展が大事かと思います。
 懇談会のメンバーですが,10人ぐらいと考えています。まだ,関係者にあたりを付けていません。途中で増やしていくということもあろうかと思います。

記者
 懇談会の後に行われる協議会の構成メンバーは。
市長
 文化,芸術,鉄道・バス等の運輸関係者,宿泊施設関係者,食文化を担っていただく方々,学識経験者,さらには京都ならではのおもてなし観光大使のメンバー等により取り組んでまいりたいと思います。

<その他の質疑>

(焼却灰溶融施設の建設工事の契約解除について)

記者
 焼却灰溶融施設建設工事の契約解除の問題について,市長はどのように受け止めているか。
市長
 住友重工の対応に驚愕しております。私自身は昨年8月,中村前社長にお会いしました。平身低頭謝っておられました。何度も何度も事故を起こし,市会でも何度も議論になり,地域の方も怒っておられました。直ちに契約解除することもできましたが,完璧な仕事をするので,もう一度チャンスが欲しいと言われました,「今年8月に完全な物を引き渡します。それができなければ,すべて住友重工の責任において,京都市に一切の迷惑を掛けずに撤収します」と言われ,文書でも出されました。それを我々は信頼し,期待していました。しかし,履行期限間際になって,溶融炉の心臓部でトラブルが発生し,さらには住友重工の責任で運転を中断されました。我々も市民の安心・安全に責任を持たなければなりませんから,学識経験者と本市職員による委員会において,客観的に調べ,本市として今年8月末までに工事が完了しないという判断を下しました。これだけ遅れているにもかかわらず,契約解除は受け入れられないとおっしゃることは,住友重工の社会的責任が問われることになると私は思います。反省も含めて約束を履行されるのが,住友重工にとって大事なことであると思います。

記者
 市会では市の判断が遅かったのではないか,そもそも契約が正しかったのかといった声があるが,どう考えるか。
市長
 この計画が立ち上がった時点では,国が焼却灰溶融施設を奨励し,補助制度も作りました。そして全国に,いくつもこういう施設ができ,専門家の意見も聞いたうえで,溶融施設の設置を決めました。私は,その時の判断は正しかったと思っています。私が引き継いだのは,5年数箇月前でありますが,当時はエコランド(東部山間埋立処分地)を可能な限り長期にわたって使うという目的のもと,溶融施設を住友重工がしっかりと完成させ,また専門家の方々の完成可能だろうという判断のもとに推進してきました。しかし,履行段階で,事故が起き,引渡し期限内での完成は不可能であると断言せざるを得ない状況になりました。結果として,溶融施設はできなくなったわけですが,エコランドを長期間にわたって使用していくにはどういう方法があるのか,学識経験者の御意見も賜りながら検討していきたいと思っています。

記者
 住友重工への賠償請求は,いつごろを目途に行うのか。
市長
 今,弁護士さんなどと相談しております。京都市に一切損害を与えないということが,住友重工の京都市に対する約束でございますので,支払ったお金を返還いただく。同時に,完成していない,事故続きの施設をきちんと撤去していただき,更地に戻していただくということを求めていきます。

(職員の不祥事について)

記者
 今年度に入って,職員の逮捕者が6人出た原因は何か。新たに監察体制を強化したが,どう指示しているのか。
市長
 私は今も第一線の現場を,時間を作っては見て回っておりますが,この5年,6年だけでも,職員の士気は大きく向上しております。昨日も市税,国民健康保険料及び市営住宅家賃の目標徴収率達成の業績により,職員を表彰しました。市税徴収率が実質的に過去最高で全国トップになる,国民健康保険料や市営住宅家賃の徴収率が過去最高になる,ごみ収集等について,市民の苦情がほとんどなくなり,感謝の声が届いているなど,職員のモチベーションが大きく高まってきていると思っています。職員を監視するという考え方だけでなく,人材を活性化し育てていく,ポジティブな方に展開し,いい仕事をして市民の皆様に喜んでいただいています。この5年間で職員は,2千人以上削減し,現場は非常に忙しいわけですが,それを職員の心意気でカバーするとともに,職場のチームワークで専門性を向上させる取組を進め,大きな成果が挙がっております。過去のような問題が起こる土壌は,無くなってきていると思います。
 ただ,残念なことに公務外の問題が,この間続きました。非常に残念であります。職員の士気や職場環境はずいぶん改善されてきましたが,緊張感が少し無くなっていると思います。一人一人がもう一度,緊張感,使命感,責任感を持って,たとえ私生活の時間であっても,市民のモデルとなるような行動を取るよう現場を徹底して指導していきたいと思います。監察監,統括監察員を9月1日付で発令し,監察体制を強化しました。その趣旨を徹底して,第一線の隅々に浸透させていきたいと思っています。

記者
 監察監がほとんど兼務となっており,これまでとあまり変わらないと思うが,どう考えるか。
市長
 今日も田中監察監が,現場を抜き打ちで監察に行っております。何かを新たに始めるときには,こういう時代ですから,人を増やすのではなく,一人一人が使命感のもとに,より多くの仕事を短期間でやることになります。しっかりと役割を果たしてくれると思います。

(東部山間埋立処分地の延命策について)

記者
 東部山間埋立処分地の延命策を協議するための検討委員会立上げに関するスケジュールは。また,どのような方向性で議論を導いてほしいか。
市長
 50年間使用できる東部山間埋立地が,溶融炉があれば70年間使用できることになる。この20年の差をどうするのか,今後ごみをどのように減量していくかということが課題であります。燃やすごみの減量については,京都市が全国に先駆けて行ってきました。京都市の市民一人当たりの燃やすごみの量は449グラムです。政令指定都市の平均は598グラムで,多い都市では700グラムを超えています。このように,京都市がごみの減量を進めてきた結果,5箇所あった焼却施設が3箇所になりました。
 ごみを減らす取組は,国内だけではなく,外国も含めてどのような取組があるのか,また,10年前には非常に先進的と言われた溶融炉ですが,それ以後,新たな技術もでてきていますので,そうしたことも含めて,少し時間をかけて本質的なことに迫る取組が必要だと思います。
 まずは,市民ぐるみで徹底して燃やすごみを減らす。さらに,焼却灰を減らす最新技術があるのか,埋立地が将来担保できるのかということを総合的に研究していかなければならないと思います。最新の情報をしっかりと把握できる仕組みを作り,また,日進月歩の科学の力を見通して,将来実現するような取組も含めて研究していく必要があると思います。
 京都大学を始め,京都には専門家がたくさんおられますので,そうした方々の知見もお借りしたいと思っています。

(東京オリンピック・パラリンピック開催に係るインフラ整備について)

記者
 オリンピック期間中の文化祭や,パラソフィア京都国際現代芸術祭の開催を控えているが,今後市全体のインフラの開発計画はどう考えているか。
市長
 2年後のパラソフィア京都国際現代芸術祭は,パイロットケースになると思っています。例えば,宿泊施設に関しては,大きなホテル,旅館等も大事ですが,最近非常に好評な町家を使っての宿泊施設を,京都市が進めている空き家対策や細街路対策などと融合していくなど,京都の歴史力,地域力を生かした取組も進めていきたいと思っています。
 したがって,大きな道路を建設するといったインフラ整備も否定はしませんが,市バス,地下鉄を便利にするなど,今ある公共交通をより充実させ,歩くまち京都,公共交通優先のまちづくりを進めていきます。国際会議のために国際会議場に来られる方のほとんどは,車を使わずに地下鉄やバスで来ていただいています。公共交通の利用が定着してきていますので,そういった取組を進めていきたいと思います。

(福知山花火大会の事故について)

記者
 福知山花火大会の事故を受けて,イベントが多い京都市において,特に祇園祭の宵山などでの対策について,京都市はどう考えているか。
市長
 京都市消防局が把握している露店が出店する行事は,年間226回あります。祇園祭の宵山,宵々山,宵々々山では,関西電力の協力によって,電線から電気を取っていますので,発電機は一切使われておりません。ただし,プロパンガスは使用しておられます。また,山鉾巡行の時には,極めて少ないですけれども,御池通のいくつかの露店では,発電機を使用しておられます。
 現在,京都市は,消防局におきまして,条例あるいは通達に基づく指導を徹底しております。また,福知山での事故以降,弘法さんや天神さん,春日大社のお祭りや嵐山のお祭りなどがございましたが,しっかりと届出を出していただき,事前に視察し,当日にも安全対策等のチェックをしており,今後もより徹底していきたいと思います。
 今後の取組としては,1点目は,自主防災管理計画を事業実施主体でしっかり作っていただき,届け出を義務付けることで,防火管理に責任感を持っていただきます。
 2点目は,火気を使用する露店商等に事前講習の受講を義務付けます。
 3点目は,火気を使用する場合は,消火器の設置を義務付けます。
 4点目は,届出が必要な範囲を拡大します。道路上や消火活動時に使用する場所,天神さんや弘法さんなど文化財のあるところで火気を使用する場合は届け出の義務があります。しかし,小中学校で行われる地域のお祭りや民地の広場でイベントを開催する場合は,届出を任意で出していただくようお願いはしていますが,十分ではありません。
 したがって,火気を使用する露店が開設される場合には,届出が必要な範囲を拡大し,地域の小中学校で行われるイベントや小さな河川敷で,露店が火を使う場合など,不特定多数の方が参加されるイベントについても届出を義務化することを検討しています。
 早急に,年度内に条例を議会に提案したいと思っています。条例化するまでは,要綱や通達を改正しまして,実質的に条例の内容をできるだけ早く実行してまいります。

記者会見資料(平成25年9月12日)

「バスの駅」設置事業の開始について

119番通報等における多言語通訳体制の運用について

障害のある子どもの移動支援を充実します!~放課後支援・通学支援(ほほえみネット)を新たに実施~

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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