毘沙門堂門跡で「文化財防災研修会」と「文化財市民レスキュー合同消防訓練」を実施!! ~令和5年度 夏の文化財防火運動の取組~
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2023年8月10日
令和5年7月24日(月曜日)山科消防署では、夏の文化財防火運動の取組の一環として、毘沙門堂門跡(山科区安朱稲荷山町)において、区内の大学生を対象とした文化財防災研修会を実施するとともに、文化財市民レスキュー合同消防訓練を実施しました。
文化財防災研修会の開催
文化財防災研修会は、夏の文化財防火運動の期間中、橘大学文学部歴史遺産学科の学生の皆さんを対象に、平成22年から実施しています。
例年、管内の文化財社寺において境内等を巡り、実際の建物や文化財を見ながら社寺関係者の方々から説明を聞くとともに、京都市消防局が進める文化財防火に関する取組について解説する研修会です。
この取組は、学生の皆さんに文化財の防火・防災について学んでもらい、文化財の大切さを若い世代の人たちに伝えることを目的に行っています。
文化財防火に関する当局の取組
全国に先駆けて、京都市消防局で取り組まれてきた様々な文化財防火への取組について、消防職員が説明しました。
○ 文化財市民レスキュー体制
普段の防火啓発や火災の際に駆け付けて初期消火等に御協力いただく、文化財社寺周辺の市民によ
る協力体制(文化財市民レスキュー体制)で、社寺ごとに文化財市民レスキュー隊を結成しています。
(市内238体制)
○ 文化財セーフティカード、文化財タッグ
文化財対象物での火災発生時に、仏像や絵画等の美術工芸品の搬出・未搬出の情報収集を迅速に
行い効率的に搬出するため、搬出に必要な情報の整理に用いる2種類のカード「文化財セーフティカード」
と「文化財タッグ」を ⑴社寺側、⑵消防署、⑶現場指揮隊が共有し、火災発生時に有効に活用します。

消防職員が文化財防火の取組について説明
毘沙門堂 青木執事長からの講話
毘沙門堂門跡の青木執事長から、毘沙門堂門跡の由来や文化などの説明を受け、貴重な文化財を後世に守り伝えるために、日々火災予防に努めていることなどの講話をいただきました。

毘沙門堂 青木執事長からの講話
文化財の見学
青木執事長の案内で、本堂から霊殿、宸殿を説明いただき、霊殿の天井に描かれた守護龍や、宸殿の動くふすま絵(逆遠近法の手法が用いられている珍しいふすま絵)など、多くの美術工芸品を見学しました。

文化財見学の様子

文化財市民レスキュー合同消防訓練の実施
毘沙門堂門跡の自衛消防隊が、火災発見から119番通報、消火器を使用した初期消火活動と、仏像の搬出活動を実施しました。



文化財市民レスキュー隊と京都橘大学学生の文化財市民レスキュー訓練
安朱学区自主防災会の文化財レスキュー隊6名と京都橘大学学生3名が駆け付け、毘沙門堂門跡自衛消防隊長から、「初期消火と仏像搬出」の依頼を受けた後、消火器を使用した初期消火活動と、仏像の搬出活動を実施しました。



安朱消防分団と公設消防隊による放水訓練
公設消防隊の指揮隊長が到着!。毘沙門堂門跡自衛消防隊長から、指揮隊長に「建物内に逃げ遅れた人が1名あり!」と「火災拡大中」の状況報告が行われました。それを受け、公設消防隊が逃げ遅れた人1名を救出。さらに安朱消防分団と公設消防隊で放水活動を実施しました。


毘沙門堂門跡 青木執事長と山科消防署 岡本署長から講評
「文化財を後世に守り伝える大切さを、本日改めて実感し、地域の皆様と一緒に今後も文化財を守ってまいります。」と毘沙門堂門跡 青木執事長から力強いお言葉をいただきました。
また、山科消防署 岡本署長が、安朱学区自主防災会文化財レスキュー隊と、京都橘大学学生に、訓練参加のお礼の言葉を述べるとともに、文化財関係者・地域(自主防災会、消防団、学生)・消防が連携し、一体となって文化財を守り、後世に引き継いでいくための協力をお願いしました。


参加した学生の声
参加した学生の皆さんからは「文化財の大切さを改めて実感した。」「文化財はみんなで守らないといけない。」など、非常にうれしい感想をいただきました。その他の感想も紹介します。
・ 京都の文化財がこうして守られてきたことを初めて知った。
・ 地域の方が社寺と一緒に文化財を火災から守っていることに感心した。
・ 一度でも火災になると、文化財は二度と同じ姿に蘇らない。みんなで守っていかないといけないと感じた。
今回、訓練に御協力いただきました毘沙門堂門跡をはじめ、安朱学区自主防災会文化財レスキュー隊、京都橘大学の皆さん、ありがとうございました。
お問い合わせ先
京都市 消防局山科消防署
電話:075-592-9755
ファックス:075-591-1999