平成28年9月号 企画課News!
ページ番号204176
2016年9月1日

消火活動や救急・救助活動への妨害行為は,市民の安全を守るべき消防業務が脅かされ,市民に大きな不利益をもたらすことになります。
このような不法行為に対しては,悪質性,公務(消防業務)への影響等を勘案しながら,刑事訴訟法(以下「刑訴法」と言います。)に基づく告訴・告発を行います。


告訴は,犯罪の被害者やその他の告訴権者しか意思表示できないのに対し,告発は,誰でもできる点で大きく異なります。

被害の程度,その行為の悪質性,公務への影響等を総合的に判断し,告訴・告発の方針を決定します。
告訴・告発は,捜査機関の立件に向けた円滑な捜査活動を期する意味から,速やかに行う必要があります。
また,行為が悪質であったとしても,捜査機関により犯罪が成立しないと解される場合があるため,事前に提出先の捜査機関の担当者と調整を図っておくことも必要です。

公務中に,職員が,ある者から暴行を受けた場合,被害者である職員個人として告訴することは可能です。しかし,実務においては,職員個人として告訴するのではなく,組織として公務(消防業務)の適正な執行を図る必要があることから,消防局長又は消防署長が,当該行為者を公務執行妨害罪等(刑法第95条第1項)で「告発」することになります。
また,ある者が,消防庁舎内等で暴れ,市有物品等を損壊させた場合などには,物品管理者たる消防署長等を告訴権者として,当該行為者を,器物損壊罪(刑法第261条)(※)で「告訴」することになります。
なお,当然のことながら,人的・物的「損害」が発生した場合は,民事上も不法行為による損害賠償(民法第709条)を求めることになります。


1.書面による告訴・告発
告訴・告発は,書面又は口頭で検察官又は司法警察員(巡査部長以上の警察官等)に行うものとされています。(刑訴法第241条第1項)
実務では,犯罪の具体的事実,被害内容,組織の意思等を明らかにするため,口頭によらず,書面により行います。
なお,現場にいる警察官が犯罪行為を現認し,既に現行犯逮捕されている場合には,書面による「告発」を不要とする場合があります。
2.告訴状・告発状の提出先
原則として犯罪発生地を管轄する警察署長宛てに提出します。
様式について,特に法的な定めはありませんが,当局では,一定の書式により,手続きを行っていますので,作成の際には,総務部企画課に相談してください。

1.公務執行妨害罪(刑法第95条第1項)
職務を執行する公務員に対して暴行,脅迫行為等が行われた場合,公務執行妨害罪が成立します。
ここでいう「暴行」とは,公務員に対して加えられる有形力の行使を意味しますが,直接「身体」に対して加えられる行為だけではなく,「物」に対する有形力の行使も該当します。例えば,救急活動中に,救急車や救急器材等を損壊させ,活動を阻害した場合も,公務執行妨害罪が成立します。
2.傷害罪(刑法第204条)
暴行により職員が負傷した場合は傷害罪が成立し,それが公務中であれば公務執行妨害罪も同時に成立します。
3.器物損壊罪(刑法第261条)
消防車両,装備品等を損傷させたり,隊員の被服を破ったりする行為に対しては,器物損壊罪が成立します。
現場活動中であれば,公務執行妨害罪も成立します。

消防活動等に対する悪質な不法行為が発生したときには,迅速に告発等の方針を決定するとともに,捜査活動にも全面的に協力していく必要があります。
したがって,警察官又は検察官から要請された書類,情報,証拠品等(※)は,速やかに提出します。

お問い合わせ先
京都市 消防局消防学校教育管理課
電話:075-682-0119
ファックス:075-671-1195