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京都市消防局

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平成28年9月号 ザ☆予防

ページ番号204170

2016年9月1日



 平成4年6月に危険物取扱者乙種第4類の資格を取得したことがきっかけで,火災現場の消火活動やガソリンスタンドの査察がしたいと思い,私は京都市職員採用試験(消防職)を受験しました。

 平成4年10月に採用されて今年の10月で24年になります。これまでに消防隊,予防課,総務課企画広報係,救急隊を経験しました。

 平成28年4月から北消防署予防課で危険物を担当しています。予防業務の目的は火災予防です。査察を実施しても,消防法令違反の是正や火災危険の排除をしなければ無駄になります。


 平成27年,上京消防署予防課で勤務していたときの事例を紹介します。

 長年,その建物は自動火災報知設備が未設置であり,消防署の再三の指導にもかかわらず未改修のままでした。過去の指導記録には,所有者から「今,忙しいから来るな…」等の理由で,査察の拒否が続いていたと書かれています。私は,どのように指導すれば自動火災報知設備を設置してもらうことができるか,考えました。そして,電話等ではなく,直接,所有者と面談することが改修への第一歩と考えました。

 【阿  部】 「こんにちは,上京消防署の阿部です。お伝えしたいことがありまして…。」

 【所有者】 「ああ,その件ですか。」

 【阿  部】 「以前から,担当者が御説明していることですが,この建物には自動火災報知設備が必要です。」

 【所有者】 「費用が掛かることはできません。」

 私は,これまでの査察経験から,人によって話し方や説明の仕方を考えて消防法令違反を是正させてきました。これは,査察の経験を積み重ねることで身に着いてきました。

 過去に,査察を拒否していた所有者には,落ち着いた話し方で,「自動火災報知設備という消防用設備は,火災が発生すれば煙や熱を自動的に感知し,ベルを鳴らして人々に火災を知らせるものです。この建物は複合用途のテナントビルです。もし火災が発生し,気付くのが遅れたら,多くの人命と建物の被害が心配です。」と丁寧に説明しました。電話ではなく,直接,所有者と面談し,根気強く説明しました。

 ある日,所有者から「自動火災報知設備の設置を前向きに考えます。」との返事がありました。その後,「自動火災報知設備を設置するので相談に行きます。」との具体的な設置についての相談があり,約1箇月後には,建物に自動火災報知設備が設置されました。


 所有者は,費用が掛かることを理由に,長年,自動火災報知設備の設置を拒んでいましたが,落ち着いた話し方で根気強く説明した結果,所有者の意識を変えることができ,自動火災報知設備の設置につながりました。皆様の参考になれば幸いです。

 私は,これまでの査察経験を後輩に伝承して,消防法令違反の是正を2倍,3倍に加速し,災害に強く,誰もが安心して過ごせる「安心都市・京都」の実現のため,全力で頑張ります。


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京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195