平成28年9月号 予防タイムズ・リターンズ
ページ番号204168
2016年9月1日

後輩
先輩~。先日,一般住宅に訪問防火に行ったら,住宅がいつの間にか「ゲストハウス 京のお宿」になっていまして…。外国の人がたくさん大きなキャリーケースを持って出入りしてたんですよ。関係者の人にゲストハウスの中を見せてもらったら,住宅用火災警報器が付いていたので,大丈夫ですよね?
先輩
こらこら!それは本当に「住宅用火災警報器」だったのかい?「自動火災報知設備」だったんじゃないかな?平成27年4月1日から消防法施行令別表第1に掲げる(5)項イの用途は,面積に関係なく,自動火災報知設備が義務になったのは知っているよね?
後輩
えっ!知らなかったです。でも,受信機や発信機,ベルなどは設置されていなかったですよ。
先輩
それはね,「特定小規模施設用自動火災報知設備」と言って,受信機や発信機,ベルなどがなく,無線式の感知器が設置されているものだよ。火災の発生を感知し,知らせるための設備という点では,自動火災報知設備と同じだけど,特定小規模施設に限って設置が認められているんだ。
「ゲストハウス 京のお宿」には,住宅用火災警報器ではなく,「自動火災報知設備」か「特定小規模施設用自動火災報知設備」を設置する必要があるんだよ。

後輩
本当ですね,見落としていました。先輩,すみません。
ところで,「特定小規模施設」って何ですか?
先輩
「特定小規模施設」とはね,

後輩
なるほど,延べ面積が300㎡未満の(5)項イは「特定小規模施設」となり,「特定小規模施設用自動火災報知設備」が設置できるのですね?
先輩
そのとおり。実は,もともと(5)項イは,特定小規模施設に入っていなかったんだけど,平成26年度の法改正で(5)項イも新たに加わったんだよ。
後輩
平成27年4月1日から(5)項イの用途は面積に関係なく,自動火災報知設備が義務になったことで追加されたってことですよね。
先輩
そうだね。
後輩
ところで先輩,「特定一階段等防火対象物を除く。」ってどういうことですか?
先輩
「特定一階段等防火対象物」とはね,平成13年9月1日に新宿歌舞伎町で発生した雑居ビル火災を受け,平成15年に法令改正されたときに作られたもので,階段が屋内に1箇所しかなく,地階又は3階以上の階に飲食店や物販店舗,宿泊施設などの特定用途があるものを言って,消防用設備の設置基準も厳しくなっているんだ。
例えば,自動火災報知設備であれば,受信機は再鳴動機能が必要となったり,階段の煙感知器は垂直距離7.5mごとに設置することなどが強化されたんだよ。

後輩
と言うことは,延べ面積が300㎡未満でも,屋内階段が1箇所で3階建ての3階に宿泊の用途があれば,「特定小規模施設用自動火災報知設備」は設置できないんですね?
先輩
そうだよ。そういう建物は,再鳴動機能付きの受信機,発信機,ベルが必要な自動火災報知設備を設置することになるんだよ。法体系を表にすると下のようになる。しっかり勉強しておくように!

後輩
よく分かりました。これからきちんと勉強します。
先輩
ほかにも,小規模な施設用に開発された設備としては,令29条の4に基づく「パッケージ型自動消火設備」があるんだよ。通常,スプリンクラー設備を設置する場合,消火ポンプや消火水槽,消火配管工事などが必要だよね。でも,一定の条件を満たせば,施工が簡単にできる「パッケージ型自動消火設備」を設置できるんだよ。
後輩
へえー。「パッケージ型自動消火設備」? これも,初めて聞きました。
先輩
「パッケージ型自動消火設備」は,規模によってⅠ型とⅡ型の2つに分けられていて,Ⅰ型は延べ面積1万㎡以下,Ⅱ型は延べ面積275㎡未満に設置することができるんだよ。特にⅡ型は,最近の消防法施行令の改正によって,面積にかかわらず,スプリンクラー設備が必要となったグループホーム等の福祉施設向けに開発されたものなんだ。こっちも,平成16年5月31日消防庁告示第13号をよく読んでおくように!
後輩
法律が変わるだけでなく,実体に合う設備の開発も行われているということですね?

後輩
先輩,ありがとうございます。
ところで先輩,英語しか話せない外国の人がゲストハウスの相談に消防署に来られるんですけれど,先輩は語学のほうは大丈夫ですよね?
先輩
ん・・・,そこはよろしく頼む。
お問い合わせ先
京都市 消防局消防学校教育管理課
電話:075-682-0119
ファックス:075-671-1195