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区民ライターがゆく!頑張る中京人・魅力再発見(飲食店・ショップ)六曜社

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2026年10月9日

六曜社(令和8年10月9日更新)

六曜社

 1950年(昭和25年)の創業以来、京都・河原町三条下ルで変わらぬ佇まいを見せる「六曜社」。地下と1階でそれぞれ異なる特徴を持ち、学生や文化人が集うサロンとしての歴史を持つ京都を代表する老舗喫茶店です。

 今回お話を伺ったのは、六曜社の1階店マスターを務める奥野薫平社長。かつてはプロ野球選手を目指し、音楽の道に触れ、そして他店での修行を経て実家の暖簾をくぐることになったという異色の経歴を持っています。そんな奥野社長に、六曜社が大切にし続ける空間へのこだわりと、京都に息づく喫茶文化への想いを伺いました。

 河原町の賑わいから階段を下り、一歩足を踏み入れると広がる、六曜社ならではのレトロで落ち着いた雰囲気。奥野社長は、この唯一無二の空間と喫茶店の役割について、人々が羽を休める「とまり木」や、語らいの「サロン」のような場所だと捉えています。

 奥野社長にとって、珈琲へのこだわりはありますが、そのカップ一杯のコーヒーが主役ではありません。「六曜社という一つの箱で、コーヒーを傍らにおいて、人と人が豊かな時間を過ごしてほしい」という想いが最も強く、何よりも来店する人々へ居心地の良い「場所」を提供すること、そして「どのようにお客さんをもてなすか」を第一に考えています。

 多店舗展開を行う大手チェーン店が増加するなかで、六曜社のような個人経営の喫茶店を取り巻く経営環境は厳しくなっています。そうした中でも奥野社長は、規模の拡大(多店舗化)を追うのではなく、「来店者にとっての幸せな日常を提供したい」という一本筋の通った理念を貫いています。

前田茶房

 家業を継ぎ、現在は1階店を切り盛りする奥野社長ですが、最初から喫茶店を継ぐ意志を持っていたわけではありませんでした。

 高校までは野球でプロを目指すものの限界を感じて断念し、その後は音楽活動を模索していました。その際、アルバイトを探していた時に求人をしていた「前田珈琲」に応募したことが、人生の大きなターニングポイントとなります。前田珈琲で働くうちに喫茶店のいろはを学び、前田親子が2代にわたって店を守る姿を間近で見たことで、「自分も六曜社を継ごう」という決意が初めて芽生えました。

 しかし、その後の道のりも挑戦の連続でした。前田珈琲で長く働く最中、自らの喫茶店への考え方との違いを感じる部分が出てきたことや、いざ家業に戻ろうと申し出た際にも、当時の経営状況の厳しさから家族(父親)に反対されてしまいました。そこから目標を独立に切り替え、約七年間の修行時代となった期間を経て、自分の店を東山区にオープンし、結果約3年間自力で経営することになります。 自分の店を持ち、生計を立てることの過酷さを身をもって知る中、お父様が入院され一時地下店を開けられなくなったことを機に、高齢ながら六曜社の経営を担っていた祖母(初代の妻)に直訴して家業を継ぐことが正式に決まり、今へとつながっています。

 京都には、大きなチェーン店から、昔ながらの個人経営の喫茶店、さらには若い世代が新しく始める小さなお店まで、さまざまなスタイルのお店が存在しています。奥野社長は、どれか一つの形だけが良いのではなく、いろいろな規模や個性を持ったお店が、それぞれ独自の役割を持って同じ街に共存していることが、京都の喫茶文化の強みであると深く理解しています。

 奥野社長は個人店ならではの価値を次世代へ繋ぐことに目を向けています。最近では、従業員を雇わずに一人で喫茶店を始める若い世代が、各地域の密着型で根差すように増えているようで、そうした新しい個人店がどのような思いで店を営んでいるのかに目を向けていくことも、喫茶文化を廃らせないために重要だと奥野社長は考えています。

六曜社 奥野 薫平(おくの くんぺい)様よりメッセージ

奥野薫平社長

 「個人店ならではの魅力や思いを多くの方に知ってもらい、『個人店を応援したい』と思ってもらえるような発信をしていきたい。」奥野社長のその言葉には、ただ自店を守るだけでなく、京都の日常に溶け込む個人喫茶店全体の未来を見据えた、温かい眼差しが込められています。

<詳細情報>

場所:〒604−8031 京都市中京区河原町三条下ル大黒町40

電話番号:075-221-2989 

ホームページ:https://rokuyosha-coffee.com/外部サイトへリンクします

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