区民ライターがゆく！頑張る中京人・魅力再発見（飲食店・ショップ）六角ちきりや茶舗

　六角東洞院の東にお店を構える「六角ちきりや茶舗」は、大正10年頃に創業されたお茶屋さんです。「ちきりや(千切屋)」は、1550年代に西村与三右衛門貞喜が三条室町西入で法衣商を開いたのが始まりとされ、その後、「千治(ちじ)」、「千總(ちそう)」、「千吉(ちきち)」に分家し、京都の商業を発展させた一門で江戸時代には百軒ほどの家々があったとされております。

　「六角ちきりや茶舗」は、「千吉」に奉公していた秋山覚兵衛が分家し、その150年ほど後に「七代目・秋山覚兵衛」へ丁稚奉公をしていた初代 若林栄二郎氏が、秋山氏からのれん分けをいただき、1910～1920年代頃に創業したのが始まりです。

　そこから100年ほど事業は引き継がれ、4年前に3代目の若林孝二郎さんから、4代目の若林大督（だいすけ）さんに店主が引き継がれました。若林大督さんは、店主になられる前は住宅関係のお仕事をされていましたが、「ここで生まれ育ち、店舗は生活の一部であり、現在自治連合会長を務める父と、地域の方の憩いの場となっているお店をずっと見てきました。そのため、簡単にお店をたたむべきではないと思いましたし、自分の子どもにも、生活と働くことがつながっているということを知ってもらいたい」と話され、曾祖父から続くお店への思いを語られました。

　そして、もっとたくさん地域の方に気軽に立ち寄ってもらえるような場所にしたいと、店構えの改修も決め、現在の姿にリニューアルされました。初めての方でも気負わず安心して入れるような、お茶の香りが漂う明るい雰囲気があり、2階の喫茶には「ちきりや」の茶びつや古時計、桐たんすなど、長い歴史を感じさせる品々が置かれており、落ち着いた雰囲気もあります。

　「独居の方も増えているので、若い人や高齢者の方にたくさんお越しいただき、自然に繋がれる場所であったり、家以外でホッと一息つける場所であったりと、そんな居場所になれたら嬉しいです」と若林さん。「京都のお茶屋さん全体が盛り上がって、お茶に触れて知ってもらう機会を増やし、日常に取り入れて楽しんでいただくためにお茶文化を広めていきたい」と、茶葉の販売やお茶を使った甘味が楽しめる喫茶のほか、お茶の淹れ方を学べる体験も行われていて、お茶が持つ魅力を伝えられています。

　また、このような新しい取組を進めるために、新たに新卒採用も行いました。同じ目標に向かって励む社員が増えたことで、今ではお店で働く方々との会話を楽しみにお越しになるお客様も増えたそうです。

　近頃はSNSやネットなど、自ら情報を取りに行かないと知り得ない事が多くなってきたので、カフェで友人と対面で話すなど、能動的にコミュニケーションをする場所と時間が必要だと感じています。日常の中に自分が心地よいと思う居場所が一つでも二つでもあると、自然と情報が入ってくると思います。当店もぜひそんな場所の一つを目指して、皆さんの日常生活に彩りを添えられたら嬉しいですね。

★3代目　若林 孝二郎（こうじろう）さんからもメッセージをいただきました！

　店主をしていた頃から、自治連合会長や学区消防団長などの地域活動をしてきました。地域の方々がつながることが、まちの安心安全を守ることにつながります。しかしながら、地域活動は楽しいと感じていただかなければ続きません。まずは、地域活動がどのようなものか知っていただきたいと思いますので、ぜひ地域行事に参加してみてください。
　また4代目が皆様の憩いの場となれるよう、店づくりをおこなっています。日彰学区をはじめとした皆様に、ぜひお立ち寄りいただきたいです。

＜詳細情報＞
　六角ちきりや茶舗
　所在地：中京区六角通東洞院東入三文字町226-2
　電話番号：075-221-5948
　会社ホームページ：https://rokkaku-chikiriya.com/