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【レポート】 令和5年度総合教育会議(令和5年11月7日)

ページ番号325049

2024年4月11日

【テーマ】「一人一人の先生が輝ける職場づくり~教員の担い手確保に向けて~」

 令和5年11月7日、「一人一人の先生が輝ける職場づくり~教員の担い手確保に向けて~」をテーマに令和5年度京都市総合教育会議を開催しました。


【当日資料】

 会議での概要は以下のとおりです。また、会議全体の議事録は本ページ最下部の「会議の詳細はこちら」をご覧ください。

開会挨拶

門川 市長

 まちづくりの根幹となる、子どもたちの学び・育ち・生涯学習は、総合行政の中で支援すべきだと考えている。

一方、孤独や孤立、貧困、格差、さらに世界では分断をはじめ、様々な課題がある。本市においても不登校や虐待等、様々な課題がある中、学校現場の教職員、行政の職員が一丸となって、あらゆる努力を尽くし、的確に対応いただいている。

本日は、「一人一人の先生が輝ける職場づくり~教員の担い手確保に向けて~」という題材に視点を絞りながら、あらゆる課題を浮き彫りにし、新たな前進に向けて取り組んでまいりたい。

意見交換

奥野 教育委員

 コロナ禍における、ICTを活用した授業配信など、今までに経験したことのない取組にも、先生方が非常に一生懸命対応していただいた。

 日本では、不登校の子どもが増加傾向にあるが、例えば、1人に1台配備されているGIGA端末を活用して、不登校の子どもたちに個別最適な授業を届けるような取組を進めるべきであると感じる。

 また、教員は非常に仕事が多く、大変だというイメージが、世間の若い世代に浸透していると感じる。ホームページへの丁寧な情報の掲載に加え、若い世代の最も大きな情報源であるSNSを活用した伝達方法について検討する必要もある。

石井 教育委員

 教育実習の際に、学校現場がブラックな労働環境であると感じて、教員になることを断念してしまうケースもある。「教職課程での学びも面白い」かつ「実際に教壇に立った時も新たな魅力が発見できる」といった、両面の発信が重要である。

 特に最近は「個別最適な学び」という考え方が話題になるが、基本的に、子どもの学びと教員の学びは相似形であり、「個別最適な学び」とは、「学校が生きづらくないか」という問題意識だと感じる。この問題を解決するには、一人一人が自分を出しやすくなり、お互いに「おもろい」と思えるようになることが必要である。「自分はこう思う、こうしたい」ということをはっきり示したうえで、お互いに折り合いをつけるような関係性を作ることがポイントである。そういう意味では、教員は「やりたいこと」を誰かに聞かれることが少ない。「こうすべき」が多すぎて、例えば、どういった授業をしたいかについて聞かれることは少ない。だからこそ、一人一人の先生が輝けることは非常に重要であり、先生方がやりたいことを追求すれば、結果としてやるべきことも概ねフォローできる。

 また、「隣の学校が何をやっているか」といった視点で学び合えば、自校の課題もすぐに解決するケースもある。

 京都市は、条件整備にきちんと予算をかけていることが、他都市との違いだと感じる。それが土台にあり、教員のパフォーマンスが発揮されるが、さらに教員の業務改善、待遇改善、定数改善まで実施しないと、余裕は生まれない。また、単に空きコマを増やすだけではなく、教員自身がしっかり学べるような動機付けをいかにつくっていくかというような、ゴールイメージを明確に持っておくことが重要である。どのような業界でも、学んでいる人間は生き生きする。それが変化する社会において危機に対応していけるための最大の備えとなる。

笹岡 教育委員

 PTAの御協力のもと、学校現場の働き方改革が進んでいるが、それでもまだ先生方の心と体の健康を維持するのは難しいことだと感じている。先生方が輝いている姿を見て、子どもたちは教員になりたいと感じるはずなので、教員を確保するうえでは、「学校現場が楽しいこと」が第一であると考えている。

 私は京都府の「未来京都・人づくり懇話会」に参加しており、その中で、あるIT企業が、離職率を減らす取組として、賃金を増やそうと試みたが、社員によって重要視するものは異なり、例えば、人間関係や残業時間の縮減など、100人いれば100通りの人事制度が必要だという話があった。学校現場とIT企業は全く異なるが、アイディアとしては非常に有効だと感じている。公平性よりも個性を重んじて、一人一人に合った人事制度を構築すれば良いのではないか。学校現場では、「一人一人の子どもを徹底的に大切にする」というのが肝だと思うが、そのためにできることをやっていこうという熱い想いを人事制度に反映させることが重要ではないかと感じる。

松山 教育委員

 先日、アメリカのお寺で修行されている学校の先生方にお会いする機会があったが、その中には弓道や合気道などの自己研鑽をされている方も多かった。日本の先生方にも、学校と家以外の居場所が必要ではないか。そうした居場所で自己研鑽をすること自体が、先生の生活の張りにもなり、先生自身の魅力にもなる。いわゆる読み書きそろばんではなく、その先生のパーソナリティーが面白くて魅力的であるから、学校に行きたいと感じる子どもも多いのではないか。

 また、先生方から伺ったところによると、最近、不登校の子どもは増えているが、「いじめられているわけでも、勉強についていけないわけでもなく、何となく家のほうが居心地がいい」というケースが増えているとのことである。その原因はおそらく、学校で得られるものと家で得られるものの差がないためではないか。子どもたちが何を面白いと感じるか、そういった観点から分析していけば、「何となく」で不登校になる子どもを減らせるのではないか。

中本 京都市PTA連絡協議会会長

 今年度の市P連の活動方針の中では、「教育現場と保護者が一体となって、子どもたちの健やかな学びや育ちを支援することが重要な使命である」という考えを示している。また、「京都市型PTA」という五つの理念の一つとして、「学校・園との連携を大切にします」という項目を掲げている。さらに、10月5日の教師の日には、今回初めて、PTAから先生方への感謝のメッセージを発信した。

 児童生徒への指導をはじめ、学校の先生方は大変な苦労をされていると感じる。先生が楽しく仕事ができるようになれば、子どもたちも楽しく過ごせるはずなので、一保護者の立場としても、もっと何かできることはないかと模索している。

國重 京都市小学校長会会長

 本校で、ある教員が代表者授業を行った際に、「子どもたちが思いのほか良い意見を出してくれて、良い活動につながった。子どもに助けられた。また、授業を実施するに当たって、先輩教員のアドバイスのもと勉強したことを含め、自身の学びが非常に多かった。」と語っていたことが印象的であり、これこそ教師のやりがいである。

 今年度、校長会においても、教員自身が「どこにやりがいを感じているか」「どこにつらさを感じているか」といった項目についてアンケートを取り、どこから切り込んでいくべきかについて検討しているところである。教員の働き方改革について、保護者や地域の方に理解していただくといった意味でも、「教員が楽になるための働き方改革」ではなく、「教員が元気に子どもたちと向き合い、子どもたちにより多くのものを還元するための時間を確保するための働き方改革」を行うべきだと感じている。

山﨑 京都市立中学校長会会長

 私も30数年、教師生活を送ってきた中で、しんどい、難しい局面に出会った時も多々あったが、声をかけてくれる子どもや、子どもが頑張っている姿を見て、救われた経験がある。目の前の子どもと触れ合えることが、教員の一番の生きがいだと感じる。

 今の教員も、一生懸命働いてくれているが、子どもと向き合って接する時間を、もっと確保できたら良いと感じる。校長として、いかに若い教員が思い切って仕事をできる職場づくりをできるかが重要であると考えている。

制度改革については、政令指定都市の中でも京都市は非常に進んでいると感じるが、改めて、他都市の様々な課題も参考にしながら、勉強していきたい。

門川 市長

 若い世代に学校の動きをいかに伝えていくかということは非常に重要。また、ここまでの会議の内容から、「おもろい、楽しい、学校」「やりがいのある働き方改革、働き甲斐改革」が必要であるということを改めて感じている。

 私は教育委員会に30年以上在籍し、京都の子どもたちのために、教職員のためにと尽力してきたが、教職員8,000人のそれぞれの子どもが満足度の高い教育を受けられているかどうか、といったテーマについての議論はあまりしてこなかった。

 先生が、先生の家族も含めて、満足度が高くなければ、先生になろうと言う人も育たない。そのためには、情報発信に加え、教職員定数の改善や条件整備、教職員の処遇改善も重要である。

中本 京都市PTA連絡協議会会長

 今年度、全国PTA研究大会や指定都市大会に出席した際に感じたことだが、京都市のPTAが幼稚園、小学校、中学校、高等学校、総合支援学校の5校種の協議会から成り立っている点については、全国的にも珍しく、校種の垣根を越えた横のつながりが持てる利点がある。

奥野 教育委員

 中学校部活動の地域移行については、学校現場としては非常に難しい課題だと感じている。各教員の立場や得手不得手、能力の違いも踏まえ、一人一人の教員に合った形を模索して、教員側も選択できるような制度設計を行うことが理想である。

 教員の意見を吸い上げつつ、教職スタートパッケージ制度のように、部活動についても、地域の方々の潜在能力を引き出せるような制度設計ができれば良いのではないか。地域が部活動につながっていく良い機会でもあるので、複合的で難しい課題ではあるが、私もスポーツ界の人間として、また地域の住民として協力していきたい。

石井 教育委員

 学校の先生は、学校内外問わず、SNS上でも、教育サークルのようなもので繋がっていることも多い。サードプレイス的な発想のもと、教育という分野に限らず、自由に学び、様々な経験をしていくことが、総合的に先生方の自己研鑽につながるといった視点は非常に重要である。

 PTAや地域など、様々な繋がりがあることが京都の最大のポテンシャルである。地域や家庭、様々な社会が、真面目で頑張りすぎる教員を見守っていただくとともに、学校側からなかなか言い出しづらいことを、教育委員会が発信したり、賛同いただくPTAなどに代弁したりしていただければ、教員も楽になるのではないか。

吉田 副市長

 現代社会においては、家族ケアが非常に求められていると感じており、来年度に向けて、重層的な相談支援のネットワークの構築を進めている。例えば、ヤングケアラーの問題について、子どもだけではなく、家族の支援をすることで、子どもを助けることにもつながるのではないか。そうした取組が、結果として教員の負担軽減にもなると同時に、教員の視野を広げる一助にもなると考えている。

 また、令和6年1月に向けて、子育てポータルサイトという、情報発信サイトの開設にも着手している。子ども若者はぐくみ局、教育委員会など、局ごとに情報発信するのではなく、子育てにまつわる情報やイベントについて、網羅できるサイトを目指している。こうしたサイトにより、本市の子育て環境について、子育て世代に向けて発信をすると同時に、若い世代、例えば大学生にも伝われば、教員の確保にもつながるのではないかと考えているので、しっかりと取り組んでいきたい。

結城 総合企画局長

 教員の働き方改革については、非常に重要だと感じている。特にICTを活用した効率化、デジタル技術については日進月歩であり、日々新しい情報を把握しつつ、取り組んでいきたい。京都市全体としても、DX推進のための基本方針を定めており、幅広い分野でDXを進めようとしている。教育のDXについても、引き続きしっかり連携して取り組んでまいりたい。

福井 子ども若者はぐくみ局長

 スポーツ少年団、放課後まなび教室といった事業は、従来から学校現場にも協力いただいてきたが、教員の本来業務ではない側面もある。以前、ある地元の方から、「最近、地元の子どもたちの取組についての学校の先生方の関心が薄いように感じる」という話を伺った。未だに教育委員会、あるいは学校現場の先生方を頼る気持ちが、地域の方々にも根付いているということだと感じた。先生方が本来業務に注力できるよう、引き続き尽力していきたい。

 また、ヤングケアラーの問題などを把握するための一番のきっかけは学校現場であると考えている。あらゆる機会を通じて、ヤングケアラーの実態をしっかりと掴んでいくために、今後も教育委員会と連携していきたい。

結びに

稲田 教育長

 教員の働き方改革については、様々な議論がある。先週は、教育委員の皆様と、授業日数・授業時数の課題について議論を行った。余裕を持って楽しく教育に携われるような環境を整えることで、教員に生きがいややりがいを感じていただきたい。

門川 市長

 先生が生き生きと元気に、面白く楽しく仕事をされている姿は、子どもを元気にさせ、学校、地域に対しても良い影響を与える。

 この度、文化庁が全面的に京都に移転し、生活文化を大事にしようという機運が高まっている。京都のまち全体、市民の皆様が元気になり、新たな学びの場ができる。学校の先生も含めて、京都のあらゆる人が生き生きとして、日本中も元気にしようというのは、文化庁の京都移転の意味でもある。

 本日の会議を通して、世界から憧れられ、尊敬される、世界の平和や人々の幸せにも貢献できることが、京都の長年のまちづくり、人づくりの根幹であると改めて感じた。本日の内容を今後にしっかりと生かしていきたい。


お問い合わせ先

京都市 教育委員会事務局総務部総務課

電話:075-222-3767

ファックス:075-256-0483