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【レポート】 令和4年度総合教育会議(令和4年9月1日)

ページ番号310930

2023年3月31日

【テーマ】「ポストコロナ時代において、学校はどうあるべきか」

 令和4年9月1日、「ポストコロナ時代において、学校はどうあるべきか」をテーマに令和4年度京都市総合教育会議を開催しました。


【当日資料】

 会議での概要は以下のとおりです。また、会議全体の議事録は本ページ最下部の「会議の詳細はこちら」をご覧ください。

開会挨拶

門川 市長

 本日の総合教育会議の全体テーマは、「ポストコロナ時代において、学校はどうあるべきか」。

 近年のコロナ禍において、学校が「社会のセーフティネット」としての役割を果たす重要性が改めて認識されている。あらゆる社会課題が子どもの学びと育ちに大きな影響を与える中、それらの課題解決を目指していかなくてはならない。

 コロナ禍で一人1台のGIGA端末活用を進めているが、不登校の子どもたちへの個別最適な学びの保障、同時に、集団的、実践的な学びも必要である。さらに、国においては中学校部活動の地域移行が打ち出され、令和5年度から7年度を改革集中期間と位置付けられるなど、今後ますます教育環境は変化していく。

 京都市では、歴史と伝統を大切にしながらも、社会の変化に先んじて、変えるべきところは変えていくという想いで、様々な教育改革を実行してきた。様々な課題があるが、本日は多様な視点から忌憚のない意見をいただき、意見交換を行いたいと考えている。

意見交換「Ⅰ 不登校支援策」

綾野 小学校校長会会長

 授業に参加したいが書くことに困りのある児童が、端末を使うことによって書くことの抵抗がなくなり、スムーズに授業に臨めるようになったという事例や、不登校傾向の児童がオンラインでクラスとつながることができたという事例もあり、ICTが不登校支援に役立っていると感じている。

 また、コロナによる学級閉鎖の中では、双方向のオンライン授業を実施したことにより、子どもたちの学習保障がかなり達成できた。保護者からも、「オンラインでの授業があり良かった、大変効果があった」とのお声をいただいている。一方で、端末の扱いに関して故障等を心配する声も聞いている。

長谷川 中学校長会会長

 教室への登校、別室登校に加えて、家庭からGIGA端末での授業参加という段階が1つ増えたことで、生徒にも良いきっかけとなっている。また、不登校でなくても、困りや悩みを抱えており、なんとか学校に来ている子もいる。その子が様々な理由で学校を休んだ際にも、端末を持ち帰ることで授業へ参加でき、子どもたちの安心にもつながっている。

大澤 市P連会長

 ICTを効果的に活用し、子どもたちそれぞれの状況を把握することで、新学習指導要領で求められている「個別最適な学び」が実現していくことが期待できる。

 現代の子どもは、生まれた時からスマホがあるデジタル世代。端末を渡したらすぐに操作できる。しかし、先週開かれたPTAの全国研修大会では、日本は、情報リテラシーがアジアや世界に比べて遅れているという話があり、また、「子ども達はゲームをするときは端末をかなり上手に使うが、学習については上手く使えていないのでは」とのご意見もあった。ICTを子どもたちの学習にどうつなげていくか、PTAも京都市と一緒に考えながら取り組んでいきたい。

野口 教育委員

 ICTを活用し、不登校や障害のある子どもたちに対し、これまでできなかった支援ができるようになった一方で、コロナ禍を経て入学してくる大学生は、学生同士で話し合うことが非常に苦手であると感じている。

 私の担当する授業の課題では、学生たちは、最初に役割を決めてそれぞれできちんとこなそうとするが、学生間での相談や議論ができていない。学校において端末を使うのは良いことだが、その際は意見を交換し合う場面をぜひ作っていただきたい。

笹岡 教育委員

 ICT活用を進めていくとともに、対面でのコミュニケーションの必要性も、改めて見直さなくてはならない。現在、全ての市立中学校で生け花体験を実施している。子どもたちの顔を見ながら対面で実施しているが、「不登校の子が生け花体験があるからと学校に来てくれた」、などと担任の先生から嬉しい報告をいただく。

 学校の中だけではなく、外からのサポートもあることで、子どもたちの、ものの見方が広がり、学校の魅力も増していく。こうした体験が、子どもたちがこれから自分で何を学んでいくかを考えるうえでの1つのヒントになれば良いと考えている。

松山 教育委員

 不登校の子たちへのケアが大事であると同時に、普段から学校に通う子たちへのケアも怠ってはならず、学校教育においても、多角的な視点を持ちながら、様々なニーズに対応しないといけないと考えている。

 コロナ禍の学びの中で、ICTは非常に重要な役割をしているが、一方で、視覚的、聴覚的など様々な刺激で溢れている中で、刺激を受けることをやめる時間を作ることも、特に、小学生、中学生に対し、大事だと思う。そうしないと自分が何をしたいか内省したり、気づくことが減ってしまい、本当の意味での生きる力がなくなってしまうのではないかと考えている。

髙乘 教育委員

 「学力とはそもそも何なのか」、ということについて、当初は、言語的能力、読み書き、そろばんというような認知的な能力が中心の概念にあったが、最近は、目標を達成する意欲、目標に向かって粘り強く取り組む力、それを実現するための様々な創造性、多くの人たちとコミュニケーションをとりながらチームを組んで能力を発揮していく力、自分自身をコントロールする自己調整の力など、なかなか数値では評価しにくいが、人間が生きる上で必要なスキルなど非認知的能力が、学力の中心になってきているといわれている。
 学校教育で一番大事なのは、子どもの学ぶ意欲、生きる意欲をどう育てていくのかである。意欲さえあれば、学ぶツールは身の回りにたくさんあり、いつでもどこでも学びたい方法で学べるような時代になってきている。この間、コロナ禍での様々な議論を見る中で、子どもたちの学ぶ意欲や、将来の自分のあり様を思い描く能力が、今大事になってきていると感じている。

意見交換「Ⅱ 部活動地域移行・体力向上策」

奥野 教育委員

 諸外国からすれば、日本の部活動は特殊であり、学校が隅々まで面倒を見て、向き合っているのは、すごいことだと思う。もしかしたら、現状が理想的な形なのかもしれないが、今、働き方改革の観点等がある中で、持続できない形になってしまっていると感じている。先生にも得手不得手があるが、地域移行で完全に学校から部活動を切り離すというわけではなく、前向きな先生にはもちろん関わり続けていただきたい。

 開かれた学校づくりという大きなテーマの取組の1つであり、重要なのは、学校と地域等をつなぐ役割を担う統括コーディネーターの存在。人材の確保、予算、保護者の負担等、多くの課題がある。地域ごとに状況や環境が異なる中、1つずつ整理していく必要がある。ただ競技力を上げるのではなくて、その地域やニーズに適したスポーツ、またその地域に古くから根差している文化など、様々な分野で、地域と学校をつなぐ1つのツールという大きな視点で、部活動の地域移行を捉え、取り組んでいくことができれば良いのではないか。京都方式として、モデルケースを模索していただきたい。

門川 市長

 部活動の地域移行については、様々な課題があるが、全庁で課題と解決の方向性を検討する場を設けたい。教育委員会、子ども若者はぐくみ局、文化市民局、その他関係する局や、スポーツ団体、地域団体、市民団体含め、できるだけ早く検討チームを発足させ、課題を出し合い、方向性を決めていく。

稲田 教育長

 市長にご提案をいただいたので、吉田副市長にもご相談させていただきながら、各関連局と連携し、できるだけ早く全庁的な組織を作り、検討を進めていく。

吉田 副市長

 部活動の地域移行については、課題も多くあるが、地域コミュニティの観点からは非常に期待している。年代を超えた方との交流が生まれ、うまくいけば地域一体となった子育てにも繋がるのではないか。また、今はスポーツの充実というのは課題だと聞いているが、うまく仕組みを作っていける一つのきっかけづくりになるのでは。市長がおっしゃった検討組織については、障害者のスポーツ協会等にも入っていただきながら、広く議論ができればと思っている。

結びに

稲田 教育長

 昨年度、私が教育長に就任した直後の全市校園長会の中で、ICTによる学習指導の可能性の拡大は、子どもの人権保障の可能性の拡大であるということを申し上げ、障害のある子どもたち、不登校の子どもたちの学習支援に取り組んできた。この間、現場の皆様のご協力でここまで進めてこられたことを本当に嬉しく思っている。ただ、ICTはあくまで道具であり、人が人を教えるのが教育。これまでの教育実践を生かして「ICTを道具として使う」ということを充実させていきたい。

 部活動については、現在、学校現場の先生方の熱意に助けられているところだが、先生になりたい人を増やしていくには、やはり部活動の地域移行は不可欠だと考えている。必要な課題を、市長に提案頂いた組織でしっかりと検討していきたい。


門川 市長

 部活動の地域移行について、できるだけ早く先ほど申し上げた検討チームでの会議を開いて、あらゆる課題を拾い上げて議論し、京都ならではの取組として進めていきたい。

 本日は、非常に大事なご指摘をいただいたいた。ご指摘を踏まえ、様々な課題の解決に繋げていきたい。引き続き、よろしくお願いしたい。

お問い合わせ先

京都市 教育委員会事務局総務部総務課

電話:075-222-3767

ファックス:075-256-0483