堀川水辺環境整備事業
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2021年4月1日
市民に親しまれる,憩いの水辺環境を目指して,京都市が平成9年度から取り組んできた堀川水辺環境整備事業が平成21年3月29日で完了し,堀川に清流が復活しました。
事業概要
2 事業区間 左京区下鴨上川原町81番地先(左岸側)
~中京区堀川通御池上る押堀町29番地1地先(左岸側)
3 延長 4.4km
4 事業費 約18億円
これまでの取組
堀川の歴史
堀川は,京都市のほぼ中央,堀川通に沿って北から南に流れる川で,平安京造営時に運河として開削され,約1200年の歴史をもっています。
平安時代には,主に北山連峰の木材資源の運搬に利用され,また,川のほとりでは貴族たちの屋敷,例えば堀川院や冷泉院,高陽院などが,邸内に清流を引き入れ庭園を潤していたといわれています。
近世は,農業用水や伝統産業の友禅染等にも利用されていました。
このような歴史をもつ堀川も,昭和に入ってから度重なる浸水被害が発生したため,昭和20~30年代の浸水対策事業により水源が断たれ,普段は水がなく,合流式下水道の雨天時の放流先としての機能をもつコンクリートで底張りされた水路となっていました。
この堀川に清流を蘇らせようという市民の願いは大きく,堀川の水辺環境の整備は,京都のまちづくりの大きな課題となっていました。
堀川水辺環境整備の基本方針
堀川の水辺再生への関心が高まる中,平成10年度に京都府・京都市共催で「京(みやこ)の川再生検討委員会」が開催されました。
同委員会から平成11年6月に「山紫水明の町づくり」をテーマとした提言が出され,その中で堀川は再生すべきモデル河川として位置付けられました。
京都市ではこの提言を受け,堀川に清流を復活させ,まちづくりと一体となった水辺空間の整備を行う「堀川水辺環境整備事業」に取り組むことになりました。
堀川水辺環境整備の基本方針
1.第二疏水分線の水を賀茂川を下越しさせ,紫明通・堀川通を経由して,今出川通から御池通の堀川の開渠部に導水し,せせらぎを復活させるとともに水辺空間の整備を行う。
2.都市防災上の観点から,堀川の河床に消防水利施設(ピット)を整備し,災害時の消火用水,生活用水としての利用を図る。
整備構想の策定に向けて
これまでにも堀川に清流を取り戻そうと,様々な活動が行われてきました。
また,「京(みやこ)の川再生検討委員会」の提言において,「川の流れを再生することは,川と市民との新しい関係を構築することであり,町並みと一体となった景観形成,住民の生活にとけ込んだ水辺の形成,防災文化の醸成は,住民を中心とした様々な市民の主体的な参画によって実現できるもの」として,市民参加の必要性が提案されています。
一方,京都市はこれまでから「市民とのパートナーシップ」を基本に「市民参加」を市政運営の柱に据えて,様々な取組を進めてきました。
今回,「堀川水辺環境整備構想」を策定するに当たっては,沿川住民の方々や市民の皆様の幅広いご意見を構想に反映させるため,ワークショップを開催することになりました。
堀川の整備対象区間は紫明通から堀川通を下り今出川通を経て御池通まで約4kmあります。今回は整備区間を河川や沿川の状況等によって5つのゾーンに分け,その場所に根ざしたワークショップを企画しました。
また,できるだけ多様な人々に参加してもらえるように,ワークショップ参加者は地元からの推薦と市民を対象に年齢別による一般公募を行いました。
堀川ワークショップの進め方
今回の堀川ワークショップは,ゾーン別ワークショップと参加者全員が集う全体ワークショップがあります。ワークショップの企画・運営・とりまとめには,ワークショップ参加者の有志による運営委員会を組織し,オープンな場で議論を進めてきました。
基本的にはゾーン別ワークショップで整備構想の検討を進め,全体ワークショップでは,他ゾーンの状況を把握し,全体としての整合性や統一感をイメージしました。
堀川ワークショップの主催は,地元代表,行政,学識経験者により組織された実行委員会が行い,ワークショップ運営上の問題点の議論や地元との連絡調整を行いました。
みんなで川づくり
堀川探検隊
まずは,今の堀川を見て歩こう!今回の整備区間を5つのゾーンに分けて,実際に現地を見て歩きました。堀川の川底に降りたり,周辺のまちもみてまわったり…。「川の底は意外と静かだなあ…」,「この石垣は値打ちがある…」,「こんなところにこんなものが…」等々,様々な発見がありました。
そのあとみんなで意見を出し合い,堀川点検のまとめをしました。
整備目標を語り合おう
点検のあとは目標を決めました。点検の時の意見をもとにカードをつくり,カードを選びながらどんな堀川にしたいかを語り合いました。
「自然あふれる…」,「歴史を活かす…」,「まちづくりのシンボルに…」,「防災機能を…」等々,様々なキーワードを含んだ目標がゾーン毎に語られました。
平成13年4月21日の第2回全体WSでは,ゾーン毎の目標をつつみこむ全体目標が決まりました。
目標からデザインへ
目標設定で心をひとつにした後は,いよいよデザインです。 整備の条件を整理しながら,一人一人が絵を書いてイメージを語り合いました。
しかし,デザインをまとめていく作業は本当に大変!何度も何度も目標に立ち返りながら,模型をつくったり,絵をはり合わせてみたり,他の川の事例を見に行ったり…。
デザインの枠組が見えてきたら,全体のバランス・統一感を意識し,ゾーン間で合同WSを開いたりして,一歩一歩確認しながらデザインをつめていきました。
そしてついに平成13年9月29日,最終となる第3回全体WSで,堀川の整備構想が発表されました!
ワークショップを終えて
平成12年12月からおよそ10ヶ月。堀川ワークショップは終了しました。
この間,実にWSの回数は82回,延べ参加人数は1,000人を上回りました。真剣な話し合いを続ける中で,意見の対立や意思疎通の難しさなど,いろいろありました。しかし,いいものをつくりたいという思いは同じ。だんだんと気持ちがひとつになり,本当の協働作業の結果,たくさんの思いが詰まった素晴らしい整備構想ができあがりました。
これらの経験は,よみがえる堀川とともに,これからのまちづくりの大きな財産となることでしょう。
各ゾーンの整備概要
Aゾーン
歴史遺産二条城に隣接するゾーン。
京都の顔の一つである二条城と地域活性化がテーマ。
西側の史跡石垣保存のため,現況に近い河川の高さで縦断線形を設定。
(コンセプト)
・二条城から東堀川までをトータルにデザインする。
・自然と歴史ある堀川,和みのある堀川
堀川二条から南を見たところ
Bゾーン
川の歴史性を残しながら,沿川にお住まいの方を中心に多くの方が利用しやすい川となるよう,歩道から川への近づきやすさ,バリアフリー,親水性を重要視。
現状よりも河床を上げる方向で構想を策定
(コンセプト)
・まちづくりの中心となりみんなが安心して接する身近な川
・堀川とその周辺の歴史に思いをはせる。
堀川竹屋町から北を見たところ
Cゾーン
堀川商店街に隣接し,中立売橋(堀川第一橋),下立売橋(堀川第二橋)といった石造りのアーチ橋や古義堂跡など,歴史が感じられるゾーン。
商店街の活性化と歴史の香る水辺づくりが大きなテーマ
(コンセプト)
・人が集まる魅力あるにぎわいの水辺
・四季を感じられ,自然と共生する水辺
・歴史を活かし,未来へつなぐ水辺
堀川下長者町から南を見たところ
Dゾーン
堀川としての形態を有していた最上流区間であり,歴史性を有する昔ながらの堀川の姿形が残るゾーン。
(コンセプト)
・堀川of堀川
・自然・季節・歴史の風情を感じられる堀川
・都会のオアシス
堀川一条から南を見たところ
Eゾーン
新しい堀川の起点となる加茂街道から今出川通までの約2kmの区間。構想段階で川の姿はなく,新たな川を作るため制約条件や課題が多く,また,川もイメージしにくい非常に難しいゾーン。道路の中央分離帯には地元に愛着のある樹木群があり,これを活かした整備について議論。
・現在の自然と調和し,自然の営みが感じられる水辺空間
・だれもが水に近づけ,ふれあえる親水整備
・地域住民が安全・安心に暮らせる多様な防災機能を備えた水辺空間
・地域に愛され,何度でも訪れたくなるようなシンボル性のある水辺空間
堀川水辺環境整備事業パンフレット
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お問い合わせ先
京都市 建設局土木管理部河川整備課
電話:075-222-3591
ファックス:075-213-1213