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人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.10(2019年5月号)(HTML版)

ページ番号248872

2019年4月16日

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.9(平成30年12月号)

輝きピープル 元WBC世界フライ級王者・タレント 内藤大助さん

いじめは一生は続かない。今すぐにでも終わらせることができるんだ。

   ボクシングの元世界チャンピオンで,引退後はタレントやボクシング解説者として活躍されている内藤大助さん。内藤さんは現役ボクサーの頃から,中学校時代にいじめられていたことを堂々と告白されています。そんな内藤さんに,子どもの人権侵害として今もなお深刻な「いじめ」の問題についてお伺いしました。


――内藤さんは中学生の頃にいじめに遭われていたそうですが,きっかけはどのようなことだったのでしょうか。
   中学2年の時にクラス替えがあって,何年かぶりに幼なじみのA君と同じクラスになりました。その子がいじめの主犯格で,最初はからかいから始まりました。ある時,A君が同級生を集めて僕の方を見て,こそこそ話をして笑っているので,近付いていって「何を話しているの?」と聞いたんです。そうしたら彼らが「ボンビーが来た,ボンビーが来た」って言うんです。「ボンビーって何?」って聞いたら,僕の家が貧乏だということでした。A君は話がうまく,目立つ存在で,2学年上の不良とも仲が良かった。そうすると周りもあいつと仲良くしておこうと,クラスの中に8人ぐらいのグループができました。その中心のA君が僕の悪口を言い,それがどんどん広まっていったという感じです。


――そこから段々とエスカレートしていったのですか?
   最初は僕も抵抗していました。「やめてくれよ。そんなこと言うなよ」って。そうしたら今度は力で抑えつけられるようになりました。その頃の僕は身長が140㎝ ,体重が30㎏ 台で,クラスで一番小さかった。ある日,休み時間に後頭部をバチンと叩かれたんです。振り返ったら,叩いたヤツが「俺じゃねぇ」って言うんです。「俺は命令されただけだ」って。それで周りを見ると,A君たちがこちらを見て笑っていた,なんてこともありました。


――そんないじめが続く中,中学生なのに胃潰瘍(いかいよう)になったとか。
   そうなんです。いじめが続いていたので,その頃,1日5,6回以上はトイレに行っていました。毎日下痢です。中学3年の時に病院で胃カメラを飲んだら,胃潰瘍だと診断されました。
   また,こんなこともありました。ある日,A君に呼ばれて「おまえには暴力は振るわない」って言われたんです。僕は「ホント?」と一瞬喜んだのですが,彼が言うには「おまえに暴力を振るって顔に傷がついたら,いじめているのがばれて内申書に響くだろ。だからおまえのことを精神的に追い込んでやるからな」,はっきりとそう言われました。


――そうしたいじめは中学時代,ずっと続いたのでしょうか。
   はい。あまりにいじめが続くので,僕はどうしようと思って,「そうだ,媚(こび)を売ってでもこのグループの中に入ろう」と思いました。使いっぱしりでも,いじられキャラでもいい。ゴマをすってでも彼らのグループの中に入ろうと。それから中学卒業までは,金魚のフンみたいに彼らのグループについていっていました。とにかく親にも相談できなかったし,先生も,周りの生徒も,誰も助けてくれなかった。大げさかもしれないですが,生きることがつらかったですね。


いじめっ子に言いたいのは,「いじめは犯罪」なんだということ。

――内藤さんがボクサーになられたのも,いじめを克服するためだったそうですね。
   高校は彼らのグループとは別の学校だったのでいじめはなくなりましたが,実は中学を卒業してからもビクビクしていました。もし,道で彼らに会ったらひどいことをされたり,「あいつはいじめられっ子だったんだ」と言いふらされて高校でもいじめられるようになるんじゃないかと。高校を卒業して2年たった頃,上京し,工務店で働いていて,休憩時間にたまたま,本屋で格闘技の本を見つけたんです。その中にボクシングジムの紹介があって,「このジム,うちの近くじゃないか」と思いました。当時は「北海道に帰りたい」とずっと思っていましたから,このジムに通えば地元に帰ってもいじめから抜けられるんじゃないかと思ったんですね。


――ジムに行かれてどうでしたか?
   ジムに行ってみると,目標に向かって努力している人たちがいて,その人たちに感動し,僕もボクシングをやってみようと思いました。最初は僕にとって「いじめられっ子脱出計画」で,殴られるのをよける技術とかハッタリのためにと思って入ったのですが,次第にボクシングにのめり込んでいきました。いじめを克服するという自分の当初の思いとは別の方向でしたが,めっちゃ楽しかった。そしてある日,気が付いたんです。「俺,なんのためにボクシング始めたんだっけ」って。毎日のトレーニングは痛いし,怖い。でも心の強さがどんどん付いていった。例えA君が来ても「いい加減にしろ。おまえの言うことなんか聞かないよ」と言える自分がいた。
それに気付かせてくれたのがボクシングでした。


――かつてのいじめっ子とはその後,どうなったのですか?
   プロボクサーになって新人王になりました。そうしたら,地元で祝勝会をやってくれることになりました。祝勝会での挨拶の後,会場にいたら後ろから背中を叩く人がいて,振り返るとA君でした。彼が壁に貼ってあった「元いじめられっ子,新人王に輝く」という新聞記事を剥(は)がして,「おまえ,いじめられていたのか?」って聞くんですよ。「こいつよく言うな」って思いましたね。「いじめていたのは誰よ?」って言うから「お前のことだ!」って指を差して言ってやりました。そうしたらA君が「やっぱり俺か」と言って下を向いて黙ってしまった。そこで一気に今までのトラウマが消えていきました。「もういじめられない」と。僕にとっていじめが終わった瞬間でしたね。


――いじめられている人,いじめている人,いじめを傍観している人に伝えたいことは何でしょうか。どのように考え,行動すればよいのでしょう。
   いじめられていた時,僕はこう思っていました。「いじめは一生続くものだ」と。
でも,いじめは一生は続かない。今すぐにでも終わらせることができるんです。いじめられている子には自分を責めるなと言いたい。それからいじめている子に言いたいのは,いじめは,からかいの一種だとか言う人もいるけれど,叩いたり,人を傷付けたりすることは大人の世界では犯罪なんです。「いじめは犯罪」なんだと言いたいですね。また,いじめを傍観している子に言いたいのは,いじめに気付いたら止めることはできなくても声掛けぐらいはしてほしい。せめてこっそり先生に伝えるとかはしてほしいと思います。


――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
   僕は2年間,いじめに遭っていました。とてもつらく苦しい2年間でした。本当に地獄でした。でもね,そんな自分でもちょっとしたきっかけでみんなに応援される人間になることができた。こんな僕でもいじめを抜けられたのだから,みんなも大丈夫だよ,変われるんだよと言いたいですね。



Profile 内藤大助(ないとうだいすけ)さん
   1974年北海道生まれ。高校卒業後に上京し,19歳でボクシングを始める。1996年プロデビュー,1998年全日本フライ級新人王に。
   2007年にはWBC世界フライ級王座を獲得。ニックネーム「最短男」としてファンに親しまれ,一躍時の人となった。2011年に引退し,現在はタレントとして活躍中。講演では,いじめや夢,挑戦などをテーマとしている。著書『いじめられっ子のチャンピオンベルト』は実体験を織り交ぜた熱いメッセージが好評。

 

 

プレゼント サイン入り色紙を差し上げます!
内藤大助さんのサイン入り色紙を3名様にプレゼントします。どしどし御応募ください!
【応募方法】
   ハガキに郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号・「きょう☆COLOR」への御感想・御意見を必ず記入のうえ,以下の宛先へお送りください。(御応募はお一人につき一口までとさせていただきます。)
★抽選結果の発表は発送をもって代えさせていただきます。
【宛先】
   〒604-8571(住所不要)京都市共生社会推進室「きょう☆COLOR」Vol.10プレゼント係
【締切】
   2019年7月31日(水曜日)(当日消印有効)

 

こんな時どうする?!
Q いじめを受けているけれど,どうすればよいか分からない…
A 以下の窓口でも相談できます。


【京都市】
・こども相談24時間ホットライン
   ☎075-351-7834 (365日・24時間対応)
・いじめメール相談
   [email protected]
   (365日・24時間対応・ただし相談の受付から返信までに3日程度(土・日・祝・年末年始を除く)をいただいております。)

【京都地方法務局】
・子どもの人権110番
   ☎0120-007-110または075-231-2000
( 月~金曜日 午前8時30分~午後5時15分)
・子どもの人権SOSミニレター
   手紙で悩みごとを相談することもできます。ミニレターを御希望の方は「子どもの人権110番(0120-007-110)」までお電話ください。

世界を変えるための17の目標~SDGsによる人権の実現~

   SDGs(エスディージーズ)という言葉を知っていますか。これは,“Sustainable Development Goals”のことで,「持続可能な開発目標」と訳されます。
   2015年に国連で採択された17の目標と169のターゲットであり,2030年までに世界の全ての国・地域が,その達成に向けて取り組むこととされています。
   京都市では,最大の強みである文化力・地域力をいかし,これまでから市民,経済界と一体となって,福祉,教育,環境,経済,防災,地域コミュニティの活性化などに取り組んできました。
   こうした取組が評価され,今年,日本経済新聞の「全国市区・サステナブル度・SDGs先進度調査」(日経グローカル誌掲載)において,京都市が首位となりました。

   SDGsの実現には,「経済」,「社会」,「環境」といった分野の発展が欠かせません。その基本となるのが,「誰一人取り残さない」というキーワードです。これこそが,全ての人の人権を尊重し実現するというSDGsの理念を示しています。
   例えば,目標の1つである気候変動への対策も,この地球上で,日々,一人一人が安心・安全に生きるという人権のためにも必要なことです。
   では,具体的にどういったことが,これら17の目標の達成につながるのでしょうか。

目標2:飢餓をゼロに
   食事の際,「いただきます」や「ごちそうさま」といった,自然や命,あらゆるものへの感謝の心を持つことで,手つかずの食品や食べ残しによる「食品ロス」を削減することにつながります。

目標5:ジェンダー平等を実現しよう
   家事の役割分担や育児休業の取得から物を選ぶ趣味まで,日常の生活の様々な場面において,「女性だから」,「男性だから」と決めつけるのではなく,性別にかかわらず個性を尊重し,認め合うことが大切です。

   行政や企業の取組(6,7ページ参照)から,一人一人が実践できることまで,SDGsへ関わる方法はたくさんあります。2030年に向けて,全ての人の幸せの実現のため,何ができるか,考えてみませんか。


よしもと芸人とSDGsを学ぶ!「ヒューマンステージ・イン・キョウト2019」
  
1月26日(土曜日)に,ロームシアター京都において,人権啓発イベント「ヒューマンステージ・イン・キョウト2019〜それぞれが,それぞれの歩調で〜」を開催しました。今年は,SDGsの啓発に積極的に取り組んでいる株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシーから,司会の浅越ゴエさんをはじめ,京都にゆかりのある芸人の方々を大勢お迎えし,漫才や大道芸のステージが繰り広げられました。終盤には,村上副市長と出演者がSDGsにまつわるトークを展開。たくさんの市民の皆様に,笑いを通じてSDGsの目標や人権に関する取組を知っていただきました。

詳細なレポートはこちら⇒京都市共生社会推進室Facebook「きょうCOLOR」
 http://ja-jp.facebook.com/jinkenbunka/外部サイトへリンクします

 

我ら,企業市民

Dari K株式会社
企業理念は「カカオを通して世界を変える」
チョコレートによるDari K流フェアトレード

   Dari K株式会社は「カカオを通して世界を変える」という企業理念を掲げ,カカオ豆の輸入・卸からチョコレートの製造・販売までを手掛ける京都の企業です。証券アナリストから転身した吉野慶一(よしのけいいち)社長が,学生時代を過ごした京都で2011年に創業。「貧困をなくそう」,「働きがいも経済成長も」といった国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」(5ページ参照)にも通じるメッセージをチョコレートと共に世界に発信し続けています。店舗統括ディレクター兼広報担当の河村翔(かわむらしょう)さんに取組の経緯や成果についてお伺いしました。

インドネシアのカカオ豆と出会う 金融業からチョコ作りの道へ
  
吉野社長とチョコレート作りの出会いは,韓国旅行の折に立ち寄ったチョコレート店で見たカカオ豆の生産地を示す世界地図がきっかけでした。日本ではカカオ豆の産地といえばガーナが有名ですが,インドネシアは当時,世界第2位の生産地。なぜこの国は日本では知られていないんだろう。頭に浮かんだその謎を解くため,10代の頃からバックパッカーとして世界60 か国を旅した吉野社長は,カカオ豆の生産が盛んなインドネシアのスラウェシ島に向かいました。
   吉野社長が現地調査をした結果,インドネシアから輸出されているカカオ豆は,高品質のチョコレート作りには欠かせない,「発酵」という過程が省かれていることが分かりました。これでは日本に輸出できません。インターネットで調べたカカオ豆の発酵方法を現地の農家に教えると,カカオ豆のバイヤーだと勘違いされ,発酵したカカオ豆600キロを買い取ることになってしまいました。日本に届いたカカオ豆を転売することもできず,自分でチョコレートを作って,売るしかないと考えたといいます。
   外資系証券会社のアナリストだった吉野社長は,チョコレート作りは全くの素人。パティシエの手助けが必要だと考え,ハローワークに「カカオ豆から作るチョコレートの店をオープンしましょう」と求人を出しましたが,吉野社長が素人であると知ると皆,辞退してしまいます。結局,コーヒーショップでの勤務経験のある女性と2人でコーヒー豆の要領でカカオ豆を焙煎し,試行錯誤の末にできたチョコレートはとてもおいしかったといいます。

社名に込めた京都への熱い思い ビジネスと社会貢献を両立する
  
2011年にDari K株式会社を設立して,京都市内にチョコレートショップをオープン。社名のDariはインドネシア語で「~から」という意味で,Kはスラウェシ島の形がKの字に似ていること,ほんまもんが育つ国際都市KyotoのKにちなみ,「スラウェシ島と京都からカカオを通じて世界を変える」という熱い思いが込められています。
   同社のチョコレートは,当初は思うように売れませんでした。何度も経営危機を経験しますが,やがて女性層の固定客をつかみ,京都市内の高級ホテルの目に留まったことで販路を拡大し,少しずつ売上を伸ばしていきました。600キロあったカカオ豆も1年ほどでなくなりました。
   カカオ豆の価格は品質ではなく,需給関係に連動した国際相場で決まります。気候や政情にも大きく影響されるため,生産農家がよりチョコレートに適した品質の高いカカオ豆を作ろうという意欲が湧かず,結果として生産農家の収入増にもつながりません。
   吉野社長は,「高品質のカカオ豆調達」と「生産農家の生計向上」というビジネスと社会貢献の2つのポテンシャルに着目。発酵の徹底や100%トレーサビリティ(※1)などの品質面だけでなく,児童労働や強制労働がないなどの人道面,無農薬・減農薬・有機栽培などの環境面など,7つの側面から評価する「Dari Kスタンダード7か条」の達成度合いに応じて国際相場に上乗せしてカカオ豆を買い取る仕組を作りました。
   同時に,品質や生産性向上のための生産農家への技術指導も徹底しました。
   これにより,(1)生産者が高品質なカカオを生産すれば所得が上がる,(2)Dari Kは高品質なカカオ豆を確保できる,(3)消費者は良質なチョコレートを味わえるという三者にメリットがあるビジネスモデルを確立しました。
   その結果,わずかだった契約農家数が約300戸にまで増え,Dari Kのカカオ豆調達量も最初の年600キロから約10トンまで大きく伸びました。現地では「バイクを買うことができた」,「子どもを大学に行かせることができた」という契約農家からの話もあるといいます。Dari Kでは2016年に現地子会社を設立して駐在員を派遣し,スラウェシ島での取組を強化しています。

※1    トレーサビリティ…食品の安全性を確認できるように,生産・流通過程を調べられるようにする管理システム

SDGsにも合致   「1000年を紡ぐ企業」に認定
  
Dari Kが目指すのはこうした「生産者自らが勝ち取るフェアトレード」。また,「焼き畑からカカオ栽培への転作に向けた技術指導」「換金作物だけでなく自給作物を混植」「気候変動の適応策の導入」などの取組は,「貧困をなくそう」「緑の豊かさを守ろう」「気候変動に具体的な対策を」などSDGsの6項目の目標にも合致するものです。
   こうした成果が評価されて,2016年春には京都市が実施する「これからの1000年を紡ぐ企業認定」の第1回認定企業に選ばれました。地元・京都での一般の認知度も高まり,本店のある京都市北区の新大宮商店街で開かれるワークショップやセミナーが人気を集めています。また,同時期に企業認定を受けた株式会社坂ノ途中とのコラボ商品の発売や大手企業との連携,立命館大学や龍谷大学などとの提携の機会も増えています。
   2013年からは「消費者と生産者の距離をもっと近付けたい」という思いから,日本の消費者や取引先とカカオ生産者をつなぐカカオ農園ツアーを毎年開催してきました。これまで自分が生産したカカオ豆がどこで,どう加工・消費されているか知らなかった現地の生産者の意識に変化が現れ,消費者のために高品質で安全なカカオ豆を作りたいというモチベーションの向上につながっています。さらに,2018年2月には契約農家のリーダーら3人を大阪市の百貨店で開かれたバレンタインデーイベントに招待しました。
   河村さんはこのような取組を通じて,人や環境,社会に優しい消費のあり方が,少しずつ消費者の中にも浸透してきていると実感しています。
   河村さんは「もともと社会的なインパクトとビジネスを両立させるソーシャルビジネス(※2)分野に興味があり,チョコレートの製造・販売を通して生産者と消費者をつなぐ活動をしているDari Kに魅かれて入社を決めました。私もそうですが,前職が食品業界でないスタッフも多く,理念に共感して入社した多様な人材が在籍しています」と語ります。
   今では,河村さんのように志を同じくする20,30代の従業員が13人にまで増えました。フェアトレードを実現させ,SDGsの理念にも沿いながら,企業として確実に発展しています。

※2    ソーシャルビジネス…環境・貧困など様々な社会的課題の解決を,ビジネスの手法を通じて図る取組

 

見て・知って人権 京の学生が行く

 このコーナーでは、京都で学ばれている学生の皆さんなどに、取材や誌面作りに参加いただき、毎号、京都市の人権関連施設を1箇所ずつ紹介していきます。

第10回 京都市中央青少年活動センター
  
※   中京青少年活動センターから名称を変更(平成31年4月から)

お話を伺った方
中央青少年活動センター所長  松山 廉(まつやま れん) さん

ここはどのような施設ですか?
  
当センターは,若い人たちに活動・交流の場や機会を提供し,様々な形で社会に関わろうとすることをサポートしています。
   京都市の中心地という立地条件をいかし,近隣の中高生や大学生など若者が気軽に立ち寄ってくつろげるロビーを開放。館内には大小の会議室や和室,レッスンスタジオ,ピアノ室,音楽スタジオ,トレーニングジムなどがあり,13歳から22歳までの方はこれらの施設を無料,又は安い使用料で利用できます。
   また,年に一回,「オープンデイ」を開催し,普段この施設を利用しているダンスサークルやバンドの公演,ボランティア団体の活動報告を地域の方々に向けて発表・交流する機会を設けています。

相談も受け付けているそうですが,どのような相談ができるのですか。
  
生きづらさや就労問題に悩みを抱えた青少年への対応窓口のほか,恋愛や夏休みの過ごし方などの気軽な相談にも応じています。
   「子ども・若者総合相談窓口」では,人間関係や学校での問題,将来への不安などの悩みを持つ30歳代までの人の相談に対応。例えば,不登校やいじめで悩む生徒やその保護者からの相談を受け,公的機関等と連携しながら,適切な機関への紹介や寄り添い支援を行っています。
   学校時代に受けたいじめから,その後も人間関係をうまく築けないという悩みをお持ちの方からの相談もあります。在学中の生徒たちに限らず相談に応じていますので,気軽に御利用ください。
  国からの委託事業である「京都若者サポートステーション」では就労や働き方に関する悩みに対応します。一度は就労経験があるものの,職場でのいじめや労働環境などから退職し,それ以降,仕事に就けなくなった方からの相談が多いです。つらい体験で自己肯定感が低くなってしまった人たちが,ポジティブに自分を捉え直すことができるよう,取り組んでいます。

読者の皆さんにメッセージをお願いします。
  
当センターでは,青少年と関わり,相談を受ける職員をユースワーカーと呼び,若者に寄り添う存在として支援を行っています。悩みがある人にもそうではない人にも,気軽に話し相手になれる存在として接しています。
   例えば今,学校に行きたくない人,将来の方向性を見出せない人…そういう人はぜひ当センターを訪れてみてください。文化活動,スポーツ,ボランティアなど様々なことに取り組んでいる人々との出会いや交流を通して,新たな人生の選択肢が見えてくるかも知れません。
   また,中央以外にも,北,東山,山科,下京,南,伏見にも青少年活動センターがあります。センターでお会いできる日を,楽しみにしています。

私たち学生団体「ネイチャーキッズ京都」が,いつも利用している中央青少年活動センターを紹介します!

音楽スタジオ
   ギターアンプ2台,ベースアンプ1台,キ-ボード1台,ドラムセット,音響機材を完備。
ロックバンドはもちろん吹奏楽やコーラス団体の練習にも利用されています。年齢条件を満たせば低料金で利用可能。

京都大学大学院修士1 回生 久保 智洋(くぼ ちひろ)さん
   機材がひととおり揃っているので練習に便利。一般スタジオと比べて驚くほどリーズナブルなのも魅力!

レッスンスタジオ
   広さ100平方メートルで2面が鏡張りのレッスンスタジオ。ダンスサークルはもちろん,バレエやミュージカルなどの練習,ヨガ教室などにも利用されています。

京都女子大学3 回生 山口 紗世(やまぐち さよ)さん
   十分な広さがあるので,いろんな同好会やサークルが活用しています。センターでは一番人気の施設です。

ロビー
   友達とくつろいだり,自習したり,おやつを食べながら語り合ったり…出入自由で,誰もがリラックスできる空間です。Wi-Fiも利用可能。ファッション誌やイベント情報誌などの各種雑誌や新聞,ボードゲームなども設置されています。

京都女子大学4 回生 中島 梨宝(なかじま りほ)さん
   それぞれ自由に使え,気楽な雰囲気が魅力です。たくさんのチラシが置いてあるので,情報収集もできます!

施設情報
■所在地
   〒604-8147   京都市中京区東洞院通六角下る御射山町262(3階)
   TEL:075-231-0640 FAX:075-231-1231
■ ホームページ
   http://ys-kyoto.org/chuo/外部サイトへリンクします
■開所時間
   月〜土曜日 午前10時〜午後9時
   日曜日、祝日 午前10時〜午後6時
■休所日
   水曜日及び年末年始(12/29〜1/3)
■交通案内
   地下鉄烏丸線「四条」駅・「烏丸御池」駅から徒歩5分
   阪急京都線「烏丸」駅から徒歩5分

子ども・若者総合相談窓口
    ☎075-708-5440
   月〜土曜日 午前10時〜午後8時
   日曜日、祝日 午前10時〜午後5時
   (水曜日及び年末年始を除く)

京都若者サポートステーション
   ☎075-213-0116
   月〜土曜日 午後12時〜午後8時
   日曜日、祝日 午前10時〜午後6時
   (水曜日及び年末年始を除く)

京都市青少年活動センター
■開所時間
   月〜土曜日 午前10時〜午後9時
   日曜日、祝日 午前10時〜午後6時
■休 所 日
   水曜日及び年末年始
■対   象
   市内に在住、通勤又は通学する青少年(13歳(中学生)〜31歳未満)及び青少年を支援する団体

中央青少年活動センター
所在地:中京区東洞院通六角下る御射山町262
TEL:231-0640
北青少年活動センター
所在地:北区紫野西御所田町56(北区総合庁舎西庁舎内)
TEL:451-6700
東山青少年活動センター
所在地:東山区清水五丁目130-6(東山区総合庁舎内)
TEL:541-0619
山科青少年活動センター
所在地:山科区竹鼻四丁野町42
TEL:593-4911
下京青少年活動センター
所在地:下京区川端町13
TEL:353-7750
南青少年活動センター
所在地:南区西九条南田町72
TEL:671-0356
伏見青少年活動センター
所在地:伏見区鷹匠町39-2(伏見区総合庁舎内)
TEL:611-4910

平成30年度京都市人権レポート ~京都市人権文化推進計画に基づく事業報告書~

   京都市では,人権文化推進計画に基づき,まちや市民の暮らしの中に人権を大切にし,尊重し合う習慣が根付いた「人権文化の息づくまち・京都」を実現するための様々な取組を進めています。ここでは平成30年度の取組の一部を御紹介します。

「人権に関する市民意識調査」の結果がまとまりました!
  
京都市では,市民の皆様の人権に関する意識や関心,具体的な施策のニーズ,人権相談の現状などを把握し,今後の人権施策の推進に向け,より効果的な方策を検討するための基礎資料を得ることを目的に,人権に関する市民意識調査を実施しました。
   御協力いただきました多数の市民の皆様,ありがとうございました。
   調査結果は,今年度実施予定の京都市人権文化推進計画の中間見直しの基礎資料としても活用します。

【調査方法】
   調査対象:京都市内に居住する満18歳以上の市民3,000人(外国籍市民を含む。) 
   調査期間:平成30年11月1日~15日
   有効回答数:1,059件(有効回答率:35.3%)

子どもや高齢者,働く人,女性に関わる問題への関心が高い
  
「子ども」,「高齢者」に関わる問題には4割以上の人が関心を持ち,「女性」も38.1%の人が関心を持っています。また,前回調査(平成25 年度)から新しく追加した項目では,「働く人」に関わる問題は38.9%,「拉致被害者」は21.2%,「LGBT 等の性的少数者」は17.6%の割合となっています。

子ども  44.8%
高齢者  40.4%
働く人  38.9%
女 性  38.1%
障害者  33.4%
インターネット 32.8%
犯罪被害者  23.6%
拉致被害者  21.2%
外国人等  18.6%
LGBT等の性的少数者  17.6%
同和問題  17.0%
HIV・ハンセン病  11.5%
ホームレス  9.3%

人権問題に関する法律の認知度は6割前後
  
「障害者差別解消法」,「ヘイトスピーチ解消法」,「部落差別解消推進法」の「内容を知っている」と「言葉は聞いたことがある」を合計した割合は6割前後でした。なお,「世界人権宣言」の認知度は82.2%に上りました。

障害者差別解消法 59.8%
ヘイトスピーチ解消法 63.1%
部落差別解消推進法  63.9%

市民しんぶんの人権に関する記事や人権総合情報誌「きょう☆COLOR」を読む頻度は年代によって大きな差がある
  
全く読まない人は,70 歳代では20%を下回っていますが,10,20 歳代は約80%となっています。また,これらを読まない人はテレビやラジオ,講演会などの取組よりもインターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での取組を求める傾向があります。

70歳代で全く読まない人  15.8%
10,20歳代で全く読まない人  79.6%

人権侵害を受けたときに誰にも相談していない人は約4割
この5年間で人権侵害を受けたとき,友人や知人に相談をした人は34.7%に達する一方で,法務局や人権擁護委員に相談した人は3%と低いのが現状です。これらの機関が十分に活用されるよう,一層の周知が必要です。

人権擁護委員による人権相談
【みんなの人権110番】 TEL:0570-003-110
   この電話はお掛けになった場所の最寄りの法務局・地方法務局につながります。
   受付時間:平日午前8時30分~午後5時15分(全国共通)
   ※一部のIP電話からは御利用できない場合があります。

【インターネットでも相談できます。】
インターネット人権相談 で検索(パソコン・携帯電話共通)

詳細は,京都市情報館(京都市:トップページ(https://www.city.kyoto.lg.jp/index.html)⇒画面上部「暮らしの情報」⇒画面右下部「人権」⇒「計画推進」)に掲載しています。
冊子を希望される方は,共生社会推進室にお問合せください。

文化市民局 共生社会推進室(TEL 075-366-0322)


LGBT等の性的少数者に関する取組
  
LGBT 等の性的少数者(以下「性的少数者」といいます。)の方々については,各自治体や企業の取組,テレビや新聞報道等で次第に認知されつつあるものの,まだまだ社会の理解は十分ではありません。そのため,性的少数者の方々は,社会生活の様々な場面で偏見や差別にさらされ,精神的な苦痛を受けるだけでなく,社会参加が困難な状況に置かれています。市民意識調査(10 ページ参照)においても,「性的少数者の方々に関してどのような人権問題が起きていると思うか」という問いに対して,半数以上の方が「差別的な言動をされること」,「職場,学校等で嫌がらせやいじめを受けること」と回答しています。
   京都市では,正しい理解の促進のため,これまでから本誌における特集記事の掲載や啓発パネル展の実施などの取組を進めてきました。
   平成30 年度はこれらの啓発の取組に加えて,さらに以下の3 つについて全庁的な取組を行いました。

「多様な性に関する職員ハンドブック~職員が理解を深めるために~」の作成
  
本市職員が率先して性の多様性について理解を深めるとともに,状況に応じて適切な対応ができるようにするため,職員向けのハンドブックを作成しました。
   職員研修で活用するほか,民間企業等での研修等に活用いただけるよう,市公式ホームページに掲載しています。

ハンドブックはこちらから【URL】https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000244043.html
(京都市ホームページ「京都市情報館」トップページ⇒画面上部「暮らしの情報」⇒画面右下部「人権」⇒「計画推進」⇒「「多様な性に関する職員ハンドブック~職員が理解を深めるために~」を作成しました!」)

本市施設における多機能トイレの表示の見直し
   性的少数者の方々の中には,身体の性と心の性が異なる等のために,男女別の一般トイレを利用しづらいと感じ,性別を問わない多機能トイレを使いたい方がおられます。一方で,一見して男女別の一般トイレを使える方に見えるため,多機能トイレを使用した際に,周囲の方から誤解を受けてしまうことがあります。そこで,性的少数者を含む,外見上は多機能トイレが必要であると分かりづらい方々がより利用しやすくなるよう,本市施設の多機能トイレの表示(ピクトグラム)と使用に関する啓発文の見直しを進めています。

申請様式等における性別記載欄の全庁調査と見直し
   性的少数者の方々の中には,身体の性と心の性が異なる等のために,性別記載欄に性別を記入することに抵抗を感じるなどの困難を抱えている方もおられます。そこで本市では,申請書類等を全庁的に調査し,可能な限り性別記載欄の削除や記載方法の工夫などの見直しを実施しました。

文化市民局 共生社会推進室(TEL 075-366-0322)


ヘイトスピーチなど特定の民族や国籍に対する差別事象への対応
  
平成28 年に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ解消法)」が施行されたことを受けて,京都市では昨年「ヘイトスピーチ解消法を踏まえた京都市の公の施設等の使用手続に関するガイドライン」を策定するとともに,啓発チラシの配架や啓発ポスターの掲示などの取組を進めています。特定の民族や国籍の方に対して誹謗中傷を行う憎悪表現,いわゆる「ヘイトスピーチ」は許されません。多様な文化の違いを認め,互いの人権を尊重し合う社会を共に築きましょう。

総合企画局 国際化推進室(TEL 075-222-3072)

 

 

《お知らせ》

講座開催の案内   京都市主催 2019年度 企業向け人権啓発講座
  ※ 参加費無料
  ※ 対象は,京都市内に事業所を持つ企業等の経営者,総務・人事責任者,人権研修推進者等です。

第1回    インターネットと人権〜企業が加害者にも被害者にもならないために〜
●講演   佐藤 佳弘 氏(株式会社 情報文化総合研究所 代表取締役)
●日時   2019年6月14日(金曜日)午後2時~午後4時
●定員   70名(先着順)
●会場   京都市男女共同参画センター ウィングス京都 セミナー室(中京区東洞院通六角下る御射山町262)
●申込締切    2019年6月7日(金曜日)

第2回   「 自分ごと」として考える,多様な性と職場のあり方
●講演   山田 創平 氏(京都精華大学 人文学部 准教授)
●日時   2019年7月5日(金曜日)午後2時~午後4時
●定員   100名(先着順)
●会場   京都市男女共同参画センター ウィングス京都 イベントホール
●申込締切   2019年6月28日(金曜日)

第3回   外国人の雇用(仮題)
●内容   市内企業による外国人雇用実践事例の紹介等
●日時   2019年8月2日(金曜日)午後2時~午後4時
●定員   50名(先着順)
●会場   京都経済センター 6階 6-B(下京区四条通室町東入函谷鉾町78番地)
●申込締切   2019年7月26日(金曜日)

第4回   労働関係法令から読み解くハラスメント防止と企業の対応
●講演   京都労働局担当官
●日時   2019年8月30日(金曜日)午後2時~午後4時
●定員   70名(先着順)
●会場   京都市男女共同参画センター ウィングス京都 セミナー室
●申込締切   2019年8月23日(金曜日)

第5回   私たちは「同和問題」にどう向き合っていくか〜一緒に考えるということ〜
●講演   三木 幸美 氏((公財)とよなか国際交流協会 職員)
●日時   2019年9月25日(水曜日)午後2時~午後4時
●定員   100名(先着順)
●会場   京都私学会館 大会議室(下京区室町通高辻上る山王町561番地)
●申込締切   2019年9月18日(水曜日)

申込方法
   京都市ホームページ「京都市情報館」トップページ(https://www.city.kyoto.lg.jp/)から画面上部「暮らしの情報」→画面右下部「人権」→「企業啓発」→「企業向け人権啓発講座」を御覧ください。
   申込書(開催案内の一部)に必要事項を記入のうえ,FAX(075-366-0139)でお送りいただくか,電子メール([email protected])に必要事項を記載して送信してください。
   また,手話通訳・要約筆記・ヒアリングループ(事前申込みが必要です。)など,詳細については,各講座の開催案内を御覧ください。

夜間相談も始めました! 人権擁護委員による特設人権相談 ~1人で悩まずに御相談ください~(面談による無料相談)  
   いじめ,差別,虐待,セクハラ,配偶者やパートナーからの暴力,インターネット上での誹謗中傷など,人権に関することでお困りのことはありませんか?そんなときは,人権相談窓口を御利用いただけます。
   この度,昼間は忙しく相談することができない方にも御利用いただけるよう,消費生活総合センターの相談時間を変更し,夜間相談を始めましたので,ぜひ御利用ください。

相談日程(2019年度)
左京区役所(午後2時~午後4時)   4月18日(木曜日), 8月15日(木曜日), 12月19日(木曜日)
下京区役所(午後2時~午後4時)   5月16日(木曜日), 9月19日(木曜日), 1月16日(木曜日)
右京区役所(午後2時~午後4時)   6月20日(木曜日), 10月17日(木曜日), 2月20日(木曜日)
伏見区役所(午後2時~午後4時)   7月18日(木曜日), 11月21日(木曜日), 3月19日(木曜日)
消費生活総合センター   毎月1回,第4水曜日(要予約) 午後6時~午後8時(夜間)
※   相談日前日の正午までに電話又はFAXにて御予約ください。事前予約がない場合,消費生活総合センターの窓口は開設しません。
※   区役所については,相談日当日,御予約なしでも相談いただけます。

申込み・問合せは…
京都市共生社会推進室   TEL:075-366-0322   FAX:075-366-0139


編集後記
 いよいよ「平成」という時代の節目を迎えます。この約30年の間にも,私たちの人権に対する問題意識は高まりましたが,それでもなお,学校でのいじめ,会社でのパワハラ,性的少数者の方への差別発言など,日々,深刻な人権侵害についての報道が絶えません。
 人権課題の解決に向けて,まずは私たちが正確な知識を持つことが大切です。そして正しい知識を周りの人に伝えていくなど,小さな行動を起こすことが,新しい時代の私たちの社会を、誰一人取り残されることのない社会へと導いてくれることでしょう。

<法務省委託事業>
人権総合情報誌 きょう☆COLOR vol.10( 発行 平成31年4月)
発行:京都市 文化市民局 共生社会推進室
TEL:075-366-0322 FAX:075-366-0139
〒604-8101 京都市中京区柳馬場通御池下る柳八幡町65 京都朝日ビル8階
   この冊子はホームページでも御覧いただけます。また,区役所・支所,市役所案内所ほかで配布しています。

この印刷物が不要になれば「雑がみ」として古紙回収等へ!

京都市印刷物第313014号

お問い合わせ先

京都市 文化市民局共生社会推進室人権文化推進担当

電話:075-222-3096

ファックス:075-366-0139

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