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市長記者会見(2025年5月16日)

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2025年4月9日

「琵琶湖疏水施設 国宝・重要文化財への指定」について、京都市長が記者会見を実施しました。

(補足)発表内容は、令和7年5月16日時点の情報です。

記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

https://youtu.be/Ex-GIe7ke0U外部サイトへリンクします

また、当日の配布資料はこちらをクリックしてください。

発表案件

市長

 こんにちは。本日は、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。

 まずは、今日の発表案件について御説明を申し上げます。

 お手元のパワーポイントの資料、事前にファイルあるいは紙でお届けしていると思うんですが、それに基づいて御説明を申し上げます。

 最初、1ページ目でございますが、国の文化審議会において、琵琶湖疏水の施設を国宝重要文化財に指定することについて答申が出されることになりました。24か所が重要文化財に、そしてそのうち5か所が国宝に指定されます。

 4ページ目を御覧ください。琵琶湖疏水は、明治23年の竣工以来、舟運、かんがい、発電、現在は水道など、京都のまちを支える総合的な役割を通じて、京都の再生、すなわち当初においては、京都というまちは人口も大幅に減少して、京都のまちの存亡の危機と言われたときの京都の再生とその後の発展、市民の暮らし、産業、文化を支える都市基盤施設でありまして、今も現役の施設でございます。5ページ目でございますが、琵琶湖疏水には、文化財、産業遺産、観光資源としての側面もございます。6ページ目でございますが、本日の文化審議会の答申によって指定された後、官報による告示を経て、国宝・重要文化財となる手順となっております。

 9ページ目、国宝として指定される1つ目は第一隧道でございます。当時、日本最長の隧道でございまして、工期短縮のためトンネル工事としては日本で初めて竪坑工法を採用して建設されました。10ページ目、2つ目は第二隧道でございます。そして11ページ目、3つ目は第三隧道でございます。12ページ目、4つ目はインクライン、桜の名所として有名であります。私も今年桜の時期に通らせていただきましたけれど、船を台車に載せて運んだ建設当時、世界最長の傾斜鉄道であったインクラインでございまして、そのインクラインの下部のトンネル「ねじりまんぽ」も指定の対象となります。13ページ目、5つ目は南禅寺水路閣でございます。こちらは紅葉の名所として有名な場所でもございます。14ページ目を御覧ください。以上の5か所につきまして、文化審議会の答申では、西洋技術の習得過程にあった明治中期において、当時の土木技術の粋を集めて築かれ、世界的に高い評価を得た類いまれなる構造物であるという評価をいただいております。次のページ、15ページ目でございますが、自然と人工、伝統と近代の景観が織りなす京都の比類ない風致を育んだ琵琶湖疏水の代表的遺構であり、文化史的意義も極めて深いことということが評価でございます。近代の土木構造物としては初めての国宝になります。

 17ページ目を御覧ください。国宝に指定される5か所に加えて、記載の19か所、合計24か所が重要文化財に指定されます。21番、22番、23番は関西電力さん、24番は真宗大谷派様の所有でございまして、京都市は残り20か所を所有いたしてございます。18ページ目以降は、重要文化財として指定されるものの説明ですが、私からの説明は長くなりますので割愛をさせていただきます。29ページに飛んでいただきまして、扁額について御紹介申し上げます。第一疏水の各隧道の出入り口部分には、石の扁額が設置されておりまして、明治の元勲をはじめとする先人たちの揮毫が彫り込まれております。30ページ、重要文化財に指定される施設について、文化審議会の答申では、都市近代化に係る多岐にわたる機能を集約した大規模な施設であることや、明治維新後に衰退した京都の再興を支えた京都の近代化を象徴する都市基盤施設であるといった評価をいただいております。

 32ページ、附指定として、施設に関連する備品や文書など附属的に指定されるものもございます。

 36ページ、魅力創造・情報発信についてでございますが、京都市としては、関係者としっかり連携しながら琵琶湖疏水の魅力発信を行ってまいります。主なものとしては、びわ湖疏水船と散策路「そすいさんぽ」の取組がございます。37ページを御覧ください。4月2日のことでございましたが、三日月知事と琵琶湖疏水に関する契約を締結した場所でもある琵琶湖疏水記念館は、琵琶湖疏水の役割などを紹介する施設で、文化観光推進法に基づく文化観光拠点施設の認定を受けてございます。琵琶湖疏水は、明治期から京都のまちの再生と発展を続けた施設でございます。また文化財、産業遺産でもありながら、今もなお総合的な役割を果たす現役の施設でもございます。

 大阪・関西万博が開催されているこの時期に、明治28年に左京区岡崎で開催された内国勧業博覧会と深い関係にある琵琶湖疏水が国宝・重要文化財に指定されるというのは、極めて感慨深い、運命的なものを感じます。今回の国宝・重要文化財への指定を受けて、京都市としては琵琶湖疏水を適切に維持管理し、未来にしっかりつなぐとともに、琵琶湖疏水の魅力創造、情報発信をさらに進め、文化を基軸としたまちの魅力、豊かさの向上につなげてまいりたいと考えております。

 私からの冒頭の説明は以上でございます。

質疑応答

発表案件に関する質問

記者

 今の最後のお話にも重なるんですけれども、今後、琵琶湖疏水の歴史や価値をどのように発信していきたいでしょうか。また、インクラインや南禅寺には既に多くの観光客の方が来訪しておりますけれども、オーバーツーリズムに拍車をかけるんじゃないかという危惧はございますでしょうか。

市長

 今申し上げたような琵琶湖疏水の歴史的経緯、そして現役の施設として使われている、特に水道は、もう京都市の水道はほとんど琵琶湖由来、この疏水から水源を得ているものがほとんどでございます。これをしっかり守り伝えると同時に、できるだけ多くの、これは市民も含めて、もちろん観光客の方々にも大いに見ていただきたいんですが、市民の皆さんには、先人が京都の危機的なときに、本当に命を落とされた方もたくさんいらっしゃいます。その先人の努力の結果、京都の産業発展、そして文化的な発展の礎をつくられたのがこの琵琶湖疏水に関する様々な施設であるということを、より幅広い方々に知っていただきたいと思います。

 そういう意味では、疏水船、これは私もできたら三日月知事と一緒に乗りたいなと言っているんですが、日程がなかなか難しくて、なお、おかげさまで疏水船は非常に高い予約率を誇っておりますので、なかなかまだ行けてないんですが、私自身もしっかり乗って中を見たいと、隧道の中も見たいと思いますし、多くの市民の皆さんにも親しみを持って、現役の施設が重要文化財、国宝に指定されたということの意味、その歴史的意味を知っていただきたい。

 そしておっしゃるように、部分的には今でも観光スポットとして非常に高名なところもありますが、琵琶湖疏水というのはスパンがあるものですから、山科も通りますし、滋賀県に抜けるわけですから、そういう意味では広域観光の一環として、山科からまたさらにに南側にはすばらしいお寺、国宝もございますし、それから三日月知事からも、府市連携で広域観光を推進しているなら、むしろ府県を超えた広域観光も今後考えていくべきじゃないかという御提案もいただいていますので、そういう意味ではより集中を避けて、幅広い観光資源に多くの観光客は、船に乗っていただく、あるいは歩いていただくというような形で楽しんでいただきたいと思っております。むしろ、集中を緩和する方向に運べるように努力していきたいと思っております。

記者

 まず、今回国宝ということで、国の宝ということになったんですけれども、これから先の話になるかもしれませんが、これを世界の宝、世界遺産という形での展開というのはお考えだったりしますでしょうか。もう一点は、滋賀県との連携について、広域観光とおっしゃいましたが、どのように取り組んでいかれるのかお伺いします。

市長

 もちろん京都は世界遺産のまちでありますが、これをいかに保全し、発展させていくという意味では、より多くの方々にまずこれを、日本の近代史上に残る遺構、そして大切なことは、過去の遺物じゃなくて現実に今それが京都の産業や経済、文化の現役施設として使われているということを世界に向けても発信していきたいと思っております。もう一つは何でしたっけ。

 記者

 滋賀県との連携。

市長

 滋賀県は、私も個人的に言えば私の本籍地は滋賀県でして、先祖のお墓も滋賀県にあって、やっぱり京都と滋賀というのはすごく歴史的な結びつきが強いですよね。その場合には、いつも三日月知事と話をする中で、京都は観光客がいっぱい来はるけど、JRで言えば2駅なのに、滋賀県に行かれる数が限られていると言いますが、やっぱり私は広域観光で、京都のすばらしさ、京都市内のすばらしさもあるけれど、京都府下にもすばらしい観光資源もあるし、そして滋賀と京都ってやっぱり水の結びつき、水だけじゃなくてもちろん陸路の結びつきもありますが、歴史的な結びつき、あるいは食の結びつき、いろいろな意味でえにしが深いエリアでございますので、いろいろな形で、例えば万博で来られた方々が大阪から京都、さらに滋賀に回っていただく、こういう万博イヤーならばこそ、滋賀県の情報を京都府市の情報提供しているところに置いていただくというようなことも含めて、これからより積極的に考えていきたいと思いますし、今申し上げたことだけじゃなくて、例えばトレッキングとか、あるいはサイクリングとか、そういう面でももっともっと滋賀県との連携というのは高められる部分があるんじゃないかというふうに思っておりまして、これは府市のトップミーティングでも、特に西脇知事が関西広域連合で副連合長として三日月知事とはペアを組んでおられるということもあって、また知恵を絞っていきたいねという話をしているところであります。

記者

 今回、答申をされるということを受けて、率直な受け止めとしてはいかがでしょうか。

市長

 さっき申し上げたつもりなんですが、内国博覧会のときのいろいろな近代の遺構、そして現役のものが万博イヤーに文化庁、あるいは国に認められるに至ったというのは、運命的なものを感じておりますし、私自身も今実は京都は内なる危機を秘めているというふうに思います。観光客の方々がたくさん来ていただいて、今日も政令市の会合があって、ちょっと私は早めに行って、ほかの自治体の首長さんとか、あるいはそこに来られている昔なじみの与野党を含めた超党派の議員連盟の方々がお見えになっていたので、京都はいいですよねというふうに多くの方がおっしゃるんですけど、実は京都は曲がり角にあって、そういう意味では、明治の時期に非常に危機感を持った京都の方々、それは政府もそうですし、産業界の方もそうですし、市民もそうですが、京都の再興ということを考えていただいた。今我々も1つの曲がり角に来ている中で、例えば大学まちということでは、日本の冠たる大学まちだと思うんですが、同時に少子化の中で、大学の中では募集停止をされるようなところもあります。産業界という意味では、一時期はスタートアップから大きなグローバル企業が育ったけれど、その後をどう続けていくのか。あるいは京都の伝統的なものというものが徐々に少子化、高齢化の中で、世代交代とともに伝統産業であるとか伝統的な町並みというものがやや崩れつつある。あるいは、観光客のたくさんの方に見ていただいているのはいいけど、そこと市民生活の調和というものがどこまでできているかという意味において様々な課題を抱える今、先人たちが危機感を持ってまちの再興に心血を注がれた、それをもう一度私はオール京都で、あるいは場合によってはより広域な形で、例えば関西圏というものがどういうふうに首都圏に対してより存在感を発揮し、そして日本国の在り方としても人の一極集中というものではなくて、様々なまち、地域による特徴がある国にしていくのか、ひょっとしたらそれは北陸新幹線にあるような国土軸というものをどう考えるかというようなことまでつながった、京都のまちだけではない、この国の課題というものをいま一度我々は、明治期に先人たちがどういう努力をなされたかということをかみしめるべき時期にあるのではないかなと思っております。

一般質問

記者

 1点目が4月30日に五条高倉付近で発生した水道配水管の漏水に関連しまして、基本的には年1回実施されている点検方法の在り方ですとか、回数を見直す考えはありますでしょうか。また、初期ダクタイル鋳鉄管の更新を水道局のほうでは現在進めておられると思うんですけども、今回漏水の原因である鋳鉄管の更新を優先する考えはありますでしょうか。

 市長

 基本的に年1回の点検というのはしっかりやらなければいけないと思っているんですが、まず今緊急調査を実施中でございます。その調査も受けて、さらなる点検が必要なのかどうかしっかり検討していきたいと思います。

 そして正直に言うと、京都はほかの政令市に比べると、鋳鉄管自身は、前の鋳鉄管自身の延長というのはちょっと桁が違うんです。桁が違って少ないんですね。少ないところがたまたま今回ああいう形で漏水を起こしてしまったということをもう一回反省しながら、しかし同時に必要なことは、鋳鉄管の部分だけじゃなくて、大阪で先日同じような漏水が起こったのは、あれはダクタイルですから鋳鉄管よりは新しいものだったんです。もちろん大阪と京都は事情も違いますし、京都のほうが耐用年数は短く厳しく見ているということもあるんですが、なので鋳鉄管だけではなくて、ダクタイルも含めて、しっかりどこを点検するかということについて、もともと我々は用意された点検の計画を持っておりますが、それをもう一度緊急調査も踏まえて、4月30日は随分全国に報道がなされました。市民の皆さんも、この域外の皆さんも、本当に日本のインフラは大丈夫なのかという改めての問い直しがあるので、我々も従来の常識、あるいは大阪の場合は65年耐用年数と思っていたのが60年であれだけ大きな穴が空いたわけですが、我々はそれよりは厳しく見積もってはいますが、本当に大丈夫なのかということは、もう一回緊急調査も踏まえて再検討したいと思います。

 記者

 関連してなんですけども、基本的な考え方ということで、点検を増やすためにも相当な予算が必要になってくると思います。一方で、今回はもうほぼ1日で復旧活動が終えられたと思うんですが、埼玉県の八潮市で起きた下水のほうで事故が起きれば、人が亡くなるという事例もありましたけども、上水の場合はあまりそういうことも。 

市長

 構造が違いますからね。

記者

 構造が違うのでという中で、考え方の発想の転換で、点検を増やすのではなく、事案があったら対応するというような考え方に切り替えていくというのも1つかなと思うんですけども、それはいかがでしょうか。

市長

 そういう考え方もあると思います。今申し上げたことは、点検を増やすということを申し上げたのではなくて、緊急調査もした上で、点検もした上で、本当に必要なことは、そういう事故をできるだけ減らすと。どうしてもこういうインフラ絡みのことはゼロにはできないかもしれませんが、できるだけ減らす。あるいは、何か起こったときに被害を最小限にするということが基本だと思います。そういう意味では、従来のメンテナンスの在り方も含めて考えていかなければいけないとは思っております。あまり予断を持って、例えば点検回数を増やせばいいのかというと、例えば上水と下水とか、実際どうやって点検するのかという新しいイノベーションも起こっていますし、そういうやり方があるのか、それではいずれ限界があるとしたら今記者さんがおっしゃったようなことも含めて、可能性をあまり限定せずに考えていきたいと思います。

記者

 先ほども少し触れられたんですが、京都ノートルダム女子大学の学生の募集停止を発表しました。伝統ある大学になりますので、市長の受け止めと、市の大学政策に影響はありますでしょうか。

市長

 私実は前から、ノートルダムさんのお話は非常にインパクトのある話ですが、例えば短期大学の募集停止というのはもう既に幾つか起こっておりましたので、大学まちというふうにプライドを持つのはいいことだけれど、決して安穏としていられる状況ではないということは、前から大学政策の担当部局には申していたところであります。

 そういう意味では、全国的にはこれは非常に顕著で、全国に比べれば京都はまだましということかもしれませんが、大学というのが京都のまちの成り立ちに非常に大きなウエートを占めるだけに、逆に言うとちょっとした現象でも大きな影響があります。比率としては少なくとも影響がありますので、これから大学とともに歩むまちとして、京都はまちの政策の在り方も含めて考えなければいけないんじゃないかと思います。京都で学ぶこと、それは小中学校、高校もそうですけれど、大学生として京都で学ぶことの価値、これは私はいつも言っていることなんですが、せっかく京都で学んでいるのに、大学と自宅とアルバイト先の3点をずっとぐるぐる回っているような学生が意外と多くて、本当の京都の社会、あるいは文化、あるいは伝統産業とどう関わっているかというところの接点が少ないんじゃないか、そこをもっと増やして、京都のまちの課題を大学生自身が我が物として捉えて、そこに参画してもらうような形にできないか、それが逆に言うと京都で学ぶことの意味、京都で学ぶということの価値をどう高めるか。

 それから、大学も非常に競争環境が厳しい状況の中で、例えば今外国人の留学生はむしろ増えています。そういう状況の中で、それは大学によって違うかもしれませんが、主要な大学はこれから国際化を進めようとしている中で、そのときにお互いの教員の融通、あるいはよく言われるんですが、もちろん大学間の競争とか個性は必要でありますが、一定程度共通科目みたいなものを持って、そして教員を融通し合って、例えば登山に例えれば3合目、4合目までは共通で、例えば日本語学習の機会を提供する、あるいは外国留学生の方々に日本文化についてより幅広い知識、経験を持っていただく。今後の京都というまちが分離分断を生まないで、外国からの研究者とか留学生の方々も地域に溶け込んでいただくということも非常に大事なことなので、そういうサポートが何ができるか。大学間でお互い協力し合って、大学コンソーシアムというのもあるものですから、そういうところが私は、最初の大学コンソーシアムができたときに比べると、できたときはすごい熱がありました。日本で唯一の先行事例でありましたが、それをもう一回見直して、大学まちとしての京都が、お互いの大学同士がどういう連携ができるか、そこに京都市のようなものがどういうふうにかすがいとして入っていけるのか。そして同時に、大学生が京都で学ぶというのは、ほかのまちで学ぶことに加えて付加価値があるんだということをもっとプログラムを多彩にして知ってもらう、社会と交わっていただく、そのことが地域社会の担い手の高齢化、減少ということのサポートにもなる、お互いウィンウィンの関係がつくれるんじゃないかと。そこは大学政策の部局だけではなくて、市民生活を担当している文化市民局の部局ももっと関わって、大学と地域、あるいは大学と産業、大学と文化、そういった関わりをもう少し強めていって、京都で学ぶことの意義、これは大学に限りません。幼稚園であれ小学校であれ中学校であれ高校であれ、京都で学ぶことの価値をいかに高めていくか。

 私がずっと言っているのは、いろいろなものを無償化するということも、そういう発想も市民の負担、国民の負担軽減という意味では非常に大事なことでありますが、価値をどう高めていくか、私が新京都戦略の中で「学芸があふれるまち」にしたいというのは、京都に既存するいろいろな知的人材、あるいは職人さん、伝統産業の担い手みたいな人たちをさらに活性化して、それを教育と相乗効果を持って活性化していくということの重要性によって、大学まで含めた京都で学ぶ価値というものを高めていきたい、それは生涯学習の振興ということにもつながると思います。

記者

 途中でおっしゃった共通科目の話と関連するんですけれども、少子化の中でそもそも大学が多過ぎるんじゃないかという考えがあると思いますけども、統廃合、再編すべきという意見もあると思いますけれども、京都市というよりは国政の話になるかもしれないですけども、そのあたりはいかがお考えでしょうか。

市長

 私は大学人でもありましたので、公権力が大学の統廃合というものについて安易に口にすべきではないというふうに思っています。ただ、大学間の連携、ある程度学部の少ないような単科的な大学がお互い連携をしながらどうやって教養教育を深めていくのか、これは大学の自主性、大学自身、あるいは相互の連携の中でどんな連携があるのかということはぜひ考えていくべきではないかと思って、それを京都市が数が多いとか少ないというようなことを言うべきではない。

 ただ、サポートはしていかなければいけないと思います。さっき申し上げた社会との接点をどうつくっていくか。あるいは、私がずっと言っているのは大学間の交じり合い。京都という都市は交じり合いということを大切にしたいと思いますので、そういう意味では、例えば京都市立芸術大学という非常にアートに伝統があるわけで、それが芸術系の学部がないような大学とどう連携するのか。あったとしても、例えば逆に京都市立芸術大学には哲学科なんかはないわけでありますが、例えば哲学がある京都大学とどう連携するのか。あるいは、より産業に近い分野で言うと工業繊維大学のような、国立の大学のことを私が言うのは僭越かもしれないけれど、そういうところと連携することによって新しい価値が生まれるし、実を言うと大学コンソーシアムが京都で先行的にできたというのは、やっぱり京都のまちのコンパクトなサイズの中で、大学同士、先生方がお互い仲がいい、近いところでいろいろな活動を共有しておられる、これはやっぱり京都の個性だと思います。東京とか大阪ではそういうものは見られないと私は思いますね。これをもうちょっと活用していただくというのは、そういう環境整備に我々は汗をかいていくべきだと思います。

記者

 新京都戦略のことで1点伺いたいと思います。新京都戦略のリーディングプロジェクト、案から具体的に目標数が定められたところで、専門的技術的分野の外国人材を令和5年の約8,000人弱から令和9年は1万6,000人にすると定められています。2倍にするというのはなかなか野心的なのかなと思っていて、市長として人材の育成について、どういうふうに進めていくのか、具体的に話を伺えたらと思います。

市長

 私は、*(アスタリスク)イン・レジデンス、要するにアーティストだけではない、サイエンティストも居てもいいし、フィロソファーも居てもいいし、アントレプレナーも居ていいし、エンジニアも居てもいいし、クラフトマンも居てもいい、和食の料理人もすばらしい人は京都にたくさん居ますし、いろいろな人材を内外を問わず、ひょっとしたら西陣織、友禅染というようなものについて海外の人材がその美しさに引かれて、弟子入りしてきたいというような人たちがいたら、それはとにかく大歓迎で、できるだけ京都のそれぞれの分野で突き抜けた才能を持っている方々、あるいは突き抜けた技術、技芸の持ち主というようなものを大事にしていきたいし、それはもう内外問わずすばらしい人材をできるだけ招致していきたい。

 招致して大事なことは、その方々が一般の市井の方々とどう交じっていただくか、そのことを含めて腐心していかなければいけないと思っておりまして、私が突き抜ける世界都市と言ったときに、企業誘致も頑張っていきたいと思いますが、より大切な企業の、例えば中小企業かもしれないけど、零細な企業であったとしても、この技術、この色合い、こういう作品をつくれるのはこの人しかいないというような方々をどう集めてくるか、あるいは、京都の中にそういう方々はいらっしゃるけど、後継者が不足していて、このままだと自分の代限りというような方々、あるいはちょっと体がしんどくなったらそれで途絶えてしまうというようなことをできるだけ途絶えさせないで、内外の人材を集めていきたいというのがその趣旨でありまして。これは*(アスタリスク)イン・レジデンスという施策だけではできないことであって、私が来年度に向けて議論しなければいけないと思っているのは、例えば部活の地域展開というのが求められています。これはもう切羽詰まっています。教員の働き方改革の中でも切羽詰まっていますが、そういうところに学校という場を使いながら、すばらしい京都のいろいろなお師匠さん、匠の方々の技というものをもっと学ぶ、共有する、そういう場をつくっていけないかと。例えば教育ということも含めて、今申し上げたような多彩な人材というものを社会の中で共有し、そして子供たちにもその接点を設ける。私は正直に言うと、学習塾産業を否定するつもりはありませんよ、自由な活動が行われたらいいと思いますが、昭和の時代のような受験教育で詰め込み型教育、6年のものを4年に縮めて残りの2年間は問題を解く訓練をすると。答えがあるものは、問題の解法を効率的に教えるということで優秀な人材は生まれたかもしれないけど、やっぱり今の時代は答えがないもの、世界に類例のない技術というものをどうつなぎ、そして新しいものにそれを展開していくかということが問われているときに、いろいろな機会を子供たちに提供したいし、それは大人たちも一緒に生涯学習の中で学ぶ、一緒に体験をする、そういう機会をいろいろな意味でつくっていきたいんですね。ですから、私は京都市の教育委員会というのはすばらしい教育成果を上げていると思いますが、さらに一歩進んで、地域と教育をどう結び合わせていくか、地域にあるすばらしい突き抜けた人材を、子供たちを一つの契機にして、入口にして、子供たちだけじゃなくて老若男女にすばらしい人材をどうつないでいくかということに腐心していきたい。

 そこら辺は、今基本構想の後釜の議論を総合計画審議会で御議論いただいていますが、そこら辺でもそういう話題が出ておりますので、それを踏まえてさらに新京都戦略も、これは改定版をつくり、令和7年度だけではなくて令和8年度以降の我々の政策制度を、常にそういう意味で、少しでも一歩でも前に進めたい。財政的にはなかなか厳しい団体なので限界はありますけど、その分、文化庁、今回の国宝・重文指定も、やっぱり文化庁の方々が京都に来てくださったというのが私はすごく大きいと思います。文化庁の方々が船に乗っていただいている、あるいはインクラインを歩いていただく、産業遺構というものが現実に生きていてというのを見ていただいたというのは大きかったと思います。ですから、京都府と京都市だけではなくて、国の力も借りて。今申し上げたような、私は京都市でまず進めたいけど、国の課題ではないかなと思います。キャッチアップ型ではなくて、むしろいろいろな才能を集めて、日本のすばらしい文化というものを次の時代につないでいく、私はそれを京都市が先鞭をつけたという自負があるわけであります。

記者

 西田昌司参院議員がひめゆりの塔の展示内容、歴史の書き換えがあると発言しました。丁寧な説明なしにひめゆりの塔の名前を出して、講演をしたこと自体非常に不適切だったとして、発言撤回と謝罪をされました。この一連の発言について、松井さんの御所感を伺えればなと。

市長

 西田昌司先生は、私も個人的にも随分長い間、最初の西田先生の選挙で共に戦ったところから御縁があって、皆さんどう思われるか、西田先生がどう思っておられるかは別として、私は政策についての考え方について全く同じでなくても、西田先生の非常に真摯な政策とか国に対する思いというのは、私は西田先生ならではのものだと思っています。

 今回の発言についてのコメントは、歴史認識とかに関わるものなので、直接的には御遠慮申し上げたいけれど、西田先生が随分いろいろな批判も受けられましたよね。その中で私がちょっと伺ったのは、鳩山由紀夫(元)総理、私のかつての上司でありますが、鳩山(元)総理のような方とも西田先生が歴史観を巡って意見交換をされたというふうに伺いました。そういう意見交換をされて御発言について若干修正を加えられた、それは、私は西田先生らしいなと思いますし、それから私自身も、これは初めて2月4日に嘉数の丘の「京都の塔」というものに伺わせていただいて、慰霊式に参列させていただいて手を合わさせていただいた。こういう紛争と分断の時代だからこそ、過去の歴史で非常に悲惨な戦争が行われて多くの方々が犠牲になられた、京都も沖縄の地で多くの方々が命を落とされた、そのことについては謙虚に向き合うことが必要だし、京都は近代ではなくて、近世、中世を含めて多くの戦乱で命を落として、焼け野原になったのが京都のまちでありますから、それだけ平和の価値、あるいはいかに戦争というものを今後回避していくべきか、あるいは戦争回避の大きな要因となるような文化の振興、あるいは国際交流、地域間交流の振興というものに意を注がなければいけないのが京都だと思います。そういう意味では、私自身も謙虚に過去の歴史を見詰めて、そして将来の平和、そして豊かな文化を構築し、国際的な交流、親善交流を推進するという役割を果たさなければいけないということの思いを新たにしたところであります。

記者

 それに関連して、先ほど若干修正されたのは西田先生らしいということでした。けど一方で西田氏は、沖縄の場合、地上戦の解釈として「むちゃくちゃな教育をしている」という発言を撤回するのかと問われて「しない」と言っています。この発言を撤回しない、「めちゃくちゃな教育をしている」ということについて、松井さんの認識としてどういうふうに捉える。

市長

 保守思想家であり、保守政治家としての西田先生が戦後教育の在り方も含めて、沖縄の問題だけではなくて、戦後教育の在り方がよかったかどうかという御自身の信念に基づく御発言だと思います。地方自治体の首長としての私がそれについて論評するということは、僭越であるというふうに思います。そうした考え方の方が日本の中にたくさんいらっしゃることも事実です。そうした考え方に必ずしも賛成されない方々もたくさんいらっしゃるけれど、それはそれぞれの歴史観、あるいは思想信条の中で御発言しておられるわけでありますし、ましてやそれは国政を担われる方々がそれぞれの党派に応じて、歴史観、あるいは思想信条が違うということについて、違う立場の人からいろいろ批判対象になるかもしれませんが、ここで地方自治体の首長として私が発言すべきではないんじゃないかと思います。

記者

 先ほど水道管の漏水の事故の件で質問がありましたが、4月30日の漏水事故のときに市民の方が一番に頭に浮かんだのは、埼玉県の八潮市の下水管が原因となった道路陥没事故かなと思います。市のほうでも国の要請に基づいて、下水管についてもこれからさらに詳しい調査をしていかれるということですが、市は一定、埼玉の事故の直後に独自の点検をされている中で、今回改めて下水管の調査に取り組む意義、費用が4億8,000万円かかってきて、一部国費の負担もあるということですが、改めて点検に取り組む意義を教えてください。

市長

 上下水道というのは能登半島地震でもはっきりしたように、我々の生活を支える基本的なインフラであります。我々は高度成長期にインフラ整備をしてきて、そのものが一定の年限を経て老朽化している、これは上下水道にとどまらない、ほかの道路にしても、橋梁にしても同じような状況がある中で、やはり社会的なインフラの重要性というのももう一回かみしめて、そしてその中で、地方財政に限りがある中で、国家的にどれだけのサポートをしていただきながら進めていくのか。当然湯水のように突っ込むような財源はない中で、さっきタシロさんからもお話がありましたが、どういうやり方が一番合理的なのか、それも含めて考えながらやらなきゃいけない。とにかく安全ということで、あらゆる財源、人材を投入できればいいんですけれど、その財源、人材、例えばいろいろな点検を行う、これはほかのインフラもそうですけど、そういう人材も今実は不足している状況の中で、どういうやり方が一番効率的なのかというのは、これは京都市だけではなくて、ほかの自治体、あるいは国全体のレベルで共有しながら、一番効率的な社会インフラの更新の在り方というものについて研究していかなければいけないんじゃないかなと。そのときには、従来はこういう方針で点検してきたという常識にとらわれないで、新しい考え方、あるいは技術の導入も含めて考えていくべきだと思いますし、管理者含めて、しっかりほかの都市事例というものも見て、一番有効なやり方が何なのかということは研究してほしい、従来の保守的な考え方だけではだめだと思います。

記者

 下水の調査に関連してなんですけれども、費用が4億8,000万円かかってくるという中で、当初予算の範囲で調査を取り組まれるということですが、ほかの事業を圧迫するような懸念というのはないのか、お聞かせください。

市長

 ほかの事業を、何。

記者

 当初予算の範囲内で国の要請に基づく点検に取り組まれるということですけれども、国費を除いても3億円以上かかってくるという中で、当初に予定されていた事業を圧迫するおそれ。

市長

 それは、そうしない範囲でやってもらわなければいけないし、もし圧迫するようでそれが市民生活の安全に関わるようであれば、我々も考えなければいけないとは思います。

記者

 もう一点なんですけれども、これも先月の4月に京都市内のゲストハウスにおいて、イスラエル国籍の方が宿泊施設から戦争犯罪に関わっていないというような誓約書の提出を求められたという事案があったと思います。今回、行政指導ということには至らなかったというふうにお聞きしておりますが、昨年6月にも同じようにイスラエルの方に対して、市内別の宿泊施設で拒否があったという中で、京都で2件相次いだことの受け止めをまず教えてください。 

市長

 私どもが大切にしなければいけない京都の町柄というのは、異なるバックグラウンドの方々に対してそれを否定しない、できるだけお互いの立場というものを相互理解をしながら、京都というのは自由な国際的な文化交流を促進するというのが、ある意味では市としての、国是という言葉がありますが、市としての大きな方針であるべきだと思っております。もちろん宿泊事業者の方々も、特定国が関わったような人道的な問題について、ある種その方の正義感のもとでいろいろな言論、表明をされるということには自由があります。一方で、日本国内においては、例えば旅館業法というものの中で、宿泊者についていたずらな差別があってはいけないということが明確に規定されているわけですから、それに従ってもらわなければいけない。

 これは厚生労働省のほうにも随分確認をしました。要するに宣誓なるものが宿泊の条件だとしたら、これは恐らく旅館業法違反。ただ、これについてはそういうことも確認して、我々も宿泊事業者の方とずっと接してきていて、そういうことではない、そのことを理由として宿泊拒否をしないということは明らかにされている。その限りにおいては、任意の署名ということについて、旅館業法違反とまでは言い切れないというのが厚生労働省の考え方でありますが、いろいろな形で宣誓が行われるということ自体は、やはり旅館業法の趣旨に照らせば必ずしも適切なものではない、そんなことは何日にもわたって我々の担当のほうから当該事業者の方にも御説明をしております。事業者の方々も趣旨は理解するけれど、ある程度事業者の方の人道的な感覚についての思いを表現させてほしいし、宿泊客についてもそれを理解してもらう意味でこういう行為を求めているんだということの中で、今正直言うと旅館業法の施行という意味においては、我々はこれ以上の権限がないということは事実であります。

 一方で、これが本当に望ましいことかと言えば、私はあまり望ましいことではないという考え方を持っておりまして、担当からも随時そのことは伝えておりますし、また同時に、旅館業法は規定していないかもしれないけれど、例えば人権の問題として地方法務局などにもこういう情報を提供して、こういう行為が人権的な視点で正しいのかどうか、あるいはそれは是正を求めるべきではないのかということについては常に情報提供しながら、地方法務局においても、行き過ぎたようなことがあるならばそれはしっかり御指導いただきたいというようなことについて、情報提供等、共有をしているところでございます。

 いずれにしても、やっぱり国際観光都市の京都でありますので、旅行者本人にとっては何の罪もない話について、圧迫的な感覚を受けるというような行動は、できれば事業者の方々には慎んでいただきたい。一方で、今申し上げたような法的な限界があることも事実でございます。

記者

 今回は旅館業法には抵触しない、よって行政指導には当たらないという点で、市長がおっしゃったように観光都市としてこれからもこういった事案があるかもしれないと懸念される中で、改めて行政としての関わり方、今回のようなグレーゾーンの事案に対してとか、行政としてどのように関わっていくのか改めて教えてください。

市長

 ここら辺の話になってくると、なかなか自治体とかまちのレベルで、例えばどこまで条例的なもので、今の旅館業法でそれ以上踏み込めないというときに、京都市独自のものができるかというとなかなか厳しいかもしれません。その中で、行政としての意思、これは先般、府市トップミーティングでも申し上げました。例えば五山の送り火ということについて、これは航空管制として我々は権限があるわけではないけれど、京都に長年根づいた慣行、それは御先祖を送るという行事としての、我々は畏敬の念を払わなければいけないし、できるだけ静謐な環境の中でそれを行いましょうという市民の合意というものについては、仮に法的権限がなかったとしても、我々は申し上げるべき点は申し上げていかなければいけないと思います。

 その上で、権限がないことについてなかなか従っていけないということについては、ものによってはそのルールの在り方について、国レベルなのか自治体レベルなのか分かりませんが、さらに検討していかなければいけない課題があることは事実だと思います。

 ただ、旅館業法について今我々が直ちにそういうふうに動けるかというと、旅館業法に基づいての考え方を厚生労働省に照会しながら、できるだけ事業者の方々に我々はコミュニケーションを密にしていきたいということで、これまでもコンタクトをしているところですし、これからも状況がどう変化するかによって、よく注視していきたいと思っています。

記者

 北陸新幹線についてお伺いしたいんですけれども、先日、建設促進同盟会の大会が開かれまして、京都府などが示した課題の解決が不可欠だということで、小浜・京都ルートで新大阪駅までの早期開業を求める決議がされたと思います。今回の採択の結果、市長からコメントをいただければと思います。 

市長

 それはもちろん報道等でも存じておりますし、京都府さんはそこに関わっておられますから、我々は京都府とも常に密接な連携をしておりますので、そういう決議が行われたということは承知していますし、その決議に当たって一部の自治体関係の方々が執られた行動についても承知をいたしております。

 我々としては従来のスタンスと変わらないんですが、私の言葉で言うと4つの懸念ということを従来申し上げてきて、国策上の日本海国土軸、あるいはリダンダンシーを持たなければいけない、これは私は理解するわけでありますが、京都市という自治体から見たときに4つの懸念、あるいは西脇知事が7つの課題という言い方をされていますけれど、もちろん7つのうちには京都市域外の2つの項目もありますが、例えば西脇知事がおっしゃったもので言うと文化的・歴史的資源への影響というようなことも、これは私の4つの懸念ということに入っていませんでしたが、随時ここでも申し上げているように、そういう文化的・歴史的資源への影響というようなことも含めて、我々は少なくとも自治体の首長というお立場をいただいている限りにおいては、そこの懸念の解消が今図られているというふうに認識していません。

 そして、この前も言われたことですが、もっともっと説明会をしないのかということを求めないのかということについては、そもそも私どもがこれを要求して、京都市域を通して、日本海国土軸を通してくださいと私たちが要求している話ではないので、我々から言うと4つの懸念、あるいは西脇知事がおっしゃった7つの課題ということ、京都市域で言うと歴史的・文化的資源への影響ということも含めて、例えば5つの課題、懸念についてしっかりとした答えが得られない限りにおいては、国策上の課題をどう実現していただくか、これは国策的に、あるいはほかの地域も含めて議論はなされるべきでしょうけど、我々はやはり懸念、課題の解消というのができていない以上、そして我々がそれを求めているわけではない以上、それを急いで何とかしてください、急いで我々が調査をするという立場にはないと思います。必要な情報をしっかりと提供していただいて、我々は慎重に判断をするということ以上にはないと思います。

記者

 今少しお話があったんですけれども、大会の中で石川県の知事が、米原ルートを含めて検討し直すように声を上げたりですとか、採決では石川県の議員さんですとかが一部賛同できないとして退席されたということで、地方自治体でも足並みが乱れているのかなというふうに思いますが、そのあたりについては市長はどう思っておられますか。

市長

 私が京都としての懸念認識を持っているように、それぞれの地域は地域の課題、問題意識があるのは当然ですし、それは当然それぞれ違います。石川と福井も違うでしょうし、石川、福井と京都も違いますし、大阪もまた微妙に違うかもしれません。ですから、それぞれがそれぞれの判断で行動されるというのは、それぞれの事情があってのことだと思いますし、それは私としては、そういう御判断もあるんでしょうというふうに思うというのがまず第一点。

 第二点目は、これは私もいろいろな状況の機会などに馳知事とお話をする機会があります。馳知事は本当に京都のことをよく理解してくださっています。これはまた事柄が違う話ですが、文化庁の京都移転について最も推進してくださったのは馳知事でありまして、それは何かというと、別に京都をえこひいきするということではなくて、京都の持っている魅力とか価値というものをすごく理解してくださっているのが馳知事でありまして、私が以前、馳知事とのLINEのやりとりで皆さんから御質問をお受けしたこともありますが、馳知事は京都のことを地元の首長と同じぐらい愛してくださって、価値を認めてくださっていることには感謝しかありません。そのことは私も感謝を申し上げました。ただそのことと、具体的な北陸新幹線の延伸ルート選定について私が何かを申し上げるべきかということは、私は切り離すべきだと思っておりまして、それはやっぱり国策上の課題ということで、国策に沿って一番適切なルートというものを御議論いただくのが筋であろうし、それを個別の自治体があれがいいとか、あれが悪いとかいうようなことを言うべきではないというふうに思っています。あれが悪いというか、自治体としてこれは困る、この問題がクリアされない限りは市民、府民に説明できないというところは、これは絶対死守しなければいけないけれど、あっちがいいんじゃないか、こっちがいいんじゃないかという話を個別の自治体がそれぞれの違う背景の中で言い出したら、こういう問題、国家的な課題については収拾がつかないというのは、私自身の過去の職歴の中でも十分理解するので、その点について私はコメントを差し控えたいというのは、従来言っているとおりであります。

記者

 今最後のお話にもあったんですけれども、各自治体がそれぞれ好き放題言ってしまうと、大きなプロジェクトが進まないという話だと思うんですけれども、今若干そういった足並みが乱れているというような状況になってきている中で、国に求められていることというのは、範囲外の話にはなりますけれども、どういったことなんでしょうか。

市長

 国においては、なかなか御苦労が多いと思います。機構であるとか、国土交通省の鉄道局様におかれては本当に御苦労をおかけしていると思います。私もかつて国の官僚でしたし、与党野党を含めた国政に身を置いた人間ですので、大変御苦労をおかけしていると思いますが、できるだけ我々のような深刻な懸念意識を持っているところに対しては、我々も誠実でありたいと思いますが、国におかれても誠実に情報を提供していただき、我々の懸念についても正面から受け止めていただけたらありがたいと思っております。

記者

 先日なんですけど、修学旅行の歓迎式あったと思うんですが、そのときに修学旅行生がオーバーツーリズムでバスに乗り遅れてしまったりだとか、ちょっと困っていることがあるんですと担当者の方がおっしゃっておられたんですけど、松井市長として修学旅行生にもっとさらに来てほしいとお考えなのか、それとも来てほしいとお考えの上で、何か対策をとろうとお考えなのか、そこら辺をお伺いしてもいいですか。

市長

 もっと来てほしいと思います。子供の数は減っていますから、全体を右肩上がりにというわけにはいかないとは思いますが、今の状況で言うと宿泊費も、やはり日本中は上がっていますけど、京都の上がり方というのは、これは市場の需給関係にもよりますから、やはりほかのまちに比べれば上がっているのではないかと思います。いろいろな諸費用もかかります。そして、従来の季節的な割引とかも徐々に縮小されるという傾向もある中で、私どもも財政的には非常に厳しい中で、アオハルギフトをはじめとするような民間の御寄付なんかもいただきながら、京都でより有効な修学旅行体験、学習ができるような環境を整備していかなければいけないと思います。

 私どもが子供の頃、修学旅行に行っていたときって、みんなで騒いで、夜中大騒ぎして、翌日バスの中で寝ていたりしましたけど、今私の家業からいただいている情報から聞いても、皆さん修学旅行について真剣に学習しようという意欲も最近はおありで、だからこそ我々はしっかり京都で学んでもらう、歴史、文化を学んでいただくというメニューも充実させなければいけないし、将来的に京都で学んでいただいたり、京都に住んでいただいたり、京都で働いていただいたりする誘因にしていくかということをよく考えていく、将来世代の京都ファンをつくる一番起点になっている事業なので、何とか我々としては観光事業者の方々と連携をしながら、観光事業者だけじゃない、例えばそれこそ大学をもっと見てもらうというのも1つの可能性としてあるでしょうし、京都のいろいろな専門的な企業もありますし、団体もありますから、そういうものを体験していただくということのプログラムを充実させていきたいとは思っております。

記者

 北陸新幹線延伸について、先ほどの建設促進大会で馳知事が、京都での課題解決が困難な場合は米原ルート再検討というのを提言する一方で、3日後の会見では、年内に京都の課題を解決するべきと言いながら、現行ルートで困難な場合は米原ルート再検討とおっしゃったと。要は、年内に解決しない場合は米原ルートを再検討するべきだというふうに提言している内容だと理解したんですけども、年内に課題解決する見通し、兆候はあるんでしょうか。

市長

 寡聞にして、私はそういう兆候は感じ取れておりません。

記者

 3月下旬に自治体向けの説明会があって、約1か月半経っていますが、前進したとか、住民の理解が進んだとか、そういうことはお感じになったことはあるんでしょうか。

市長

 3月25日でしたっけね。それ以降、私は新しい情報に接しておりません。それは私の勉強不足かもしれませんが。

記者

 ということは、この1か月半弱ぐらいの間にほとんど進展していないと。馳知事は、年内に課題解決するべきだと期限を切ったような発言をしているんですが、ということは残り半年で解決する見通しはほとんどないように思えるんですが、市長の見通しはどうなんでしょうか。

市長

 カレンダーをちゃんと作って仕事をするというのは、僕らが役人時代も政治家時代にも教わった一番基本だと思うんですね。馳知事のカレンダーでそういうふうにおっしゃっていることは事実なんでしょうけれど、カレンダーというのはいろいろな方がカレンダーを作られるので、そのカレンダーだけが1つのものなのかどうかは私は存じません。

 ただずっと言っていることですが、我々は急いでください、いついつまでにデッドラインを設けてこれを解決してくださいという立場ではないんです。我々が誘致しているならそういう発言もあると思うんですが、我々が誘致しているわけではないんです。一番適切なことは、日本海国土軸をしっかり整備して、いつ来るか分からないような、あまり来てほしくない大災害が来たときに、日本国という国が経済、社会がどういうふうに回るような仕組みを作るのか、そこのカレンダーはやはり国政上作っていただくべきではないでしょうか。その中で、いつも言うことですけど、狭い小さな視点かもしれないけれど、我々が大切にしなければいけないのは、私は京都市長なので、京都市民の不安、懸念に対して誠実に答えるのが私の仕事なんです。それができない限りは、小さい視点、狭い視点かもしれないけど、私は首を縦に振ることはできない、それは私の職責であります。その職責というものは尊重していただきたい。私は市民に選ばれている人間ですから、そういう職責感を持っている人間が不適合だという判断であれば、それはそうかもしれませんが、私は自分自身としては、そこは誠実でありたいと思っております。

 国策上のカレンダー、あるいは課題感、そのスピード感については、ぜひ国家的な視点で大いに御議論いただきたいし、それは馳知事がおっしゃるような考え方もあるんでしょう。あるいは別のルートをおっしゃる方もいらっしゃるのかもしれません。だけど、どういうやり方が一番適切に国家的な課題を解決できるのかは、ぜひ国政上の論点として皆さんで御議論いただきたい。

 我々は、テーブルに乗せられたものが、京都市民にとってそれは不安感、懸念感の解消ができるのかどうかということについて、正面から向き合うのが私どもの仕事だと思っております。

記者

 建設促進大会での決議文には、丁寧な説明、情報発信という内容も盛り込まれたんですが、市長がおっしゃっていた住民向け説明会をするべきだということがいまだに実行されていないんですが、これに対してどうお感じになっているでしょうか。

市長

 ずっと私が申し上げていることは、私どもが早くこの事業を通してほしいと、国家的にはそうかもしれませんよ、でも京都市としてそう要望しているなら、私どもが国がやらないなら住民向け説明会をするという判断は、私どもが急いでいるならあるかもしれませんが、私どもが急いでるわけではないんです。ですので、私どもが市民からいただいた税金を使って、国においてしかるべき調査をこれからして説得的な説明をされるべきものについて、私どもが独自でやるというつもりは現時点ではありません。国がもう十分な、これでもか、これでもかというものがあって、それについて我々がどうしても懸念が解消できないというときに、それは我々独自の見方というもので判断をさせてください、我々自身もこういう専門家がいますからって、将来的にそういうものがないかと言われれば、それはあるかもしれませんよ。だけど現時点で、国がまだ3月25日の説明会以降、新しい情報提供が私の認識している中ではない中で、それを我々独自で先生方をお願いして検討するというような状況ではないと思います。

記者

 最後に、京都の市議会議員に郵送された「自由同和」という冊子の中に、西田先生が安倍元総理の意思を引き継いで北陸新幹線を延伸していると言いながら、北陸新幹線はトンネルが多いので防空壕としても使えると、安全保障上有益だという趣旨の主張をしているんですが、これは国家的プロジェクトとして、そういう目的、意味合いが含まれるというふうに考えていらっしゃるでしょうか。

市長

 すみません、それは私、詳細にお聞きしたことがないので、どんな根拠でどういうふうにおっしゃっているのか、おっしゃる際のトンネルってどういう構造で、どうやってそこに市民が避難をするのか伺ってみないと分からないので、今せっかく御紹介いただきましたが、それは私は読んでおりませんし、今直ちに私は理解できないです。

記者

 トンネルなので防空壕として使えると。安全保障上、重要な意味を持っているという趣旨なんですが、かいつまんで言うとですね、そういうことは想定し難いような気もするんですが、必要性も含めて。

市長

 今の御説明だけでは、趣旨が私には頭が悪くて理解できないので、理解できないことについて、私が理解できないから間違っているというほど傲慢ではないので、私には今の御説明だけだと理解できないというだけのことに留めたいと思います。

記者

 ありがとうございます。

記者

 先ほど、西田参院議員のひめゆりの塔に関する発言に関連した確認をさせていただきたいんですけども、市長はひめゆりの塔ですとか、沖縄に行って戦争に関する展示、施設を御覧になったことはありますか。

市長

 昔にあります。ただ、詳細に覚えておりませんで、それが西田先生がおっしゃるようなバイアスがかかっていたのかどうかという記憶はありませんが、私にとっては悲惨な歴史の大きな大きな1ページであったと、ああいうことを絶対に繰り返してはいけない。犠牲になられたのは沖縄の方々であり、沖縄県民だけではなく京都の方もいらっしゃったし、京都の方がいらっしゃってもその数の多い少ないという問題ではなくて、同じ日本人があれだけ大きな犠牲を全国各地で受けた、京都は第二次世界大戦の戦災というのは比較的軽微だったかもしれないけれど、私は東京に長く住んでいました。東京の東のエリアというのは私の大好きなエリアでありますが、大空襲であれだけの命を落とされたということについては、私は慰霊碑に何度も伺いましたが、絶対に繰り返してはいけない。そのときに、どこの国が悪かったか、日本の何が悪かったか、色々議論があるでしょうけど、そこで犠牲になられた方々は、そういう主義主張と関係なく犠牲になられているわけでありまして、そのことの重みというものは、これは少なくとも公の世界に生きている人間は絶対に忘れてはいけないことだと思います。

記者

 ちょっと話が変わるんですけども、市長は日頃原発に関して、ベースロード電源として必要という趣旨の発言はされておりますけれども、先日報道発表されました関西電力・・・では、原発に依存しない電力供給体制の構築を求めるというふうに、基本的には従来どおりな内容になっておりました。内容は市長の考えと相入れる部分があるのではないかと思うんですけども、いかがでしょうか。 

市長

 京都市は当然市会の決議もあります。それに制約を受けている部分もございます、二元代表制ですから。その中で、私はこれからの地球温暖化の時代において脱炭素の取組を進める中で、少なくとも私が市長にいる間において、脱原発というのが達成されるとは思えないです。ベースロード電源としての原子力発電の有用性というものは、私は認識しております。

 その状況の中で、関西電力様に対して私どもが株主として従来ずっと提案をし続けてきた。そのことの歴史を踏まえる中で、できるだけ我々は、むしろ関西電力としっかり対話をすべきではないかと。安全性をどう確保するか、それから中長期的に言うと、原発依存の比率を下げていくというのは私は必要性は感じます。その対話の努力がこれまで京都市政において十分行われてきたかというと、提案はするけれど、その後どんな対話をしてきたのかというふうに聞いても、具体的な返事がまだ私は得られていないんですね。そうでなるならば、これは私もまだ自分レベルでの対話を関西電力様と、表敬訪問とかそういうことはありますが、もうちょっと突っ込んだ今後のエネルギー政策についての、あるいは自治体の環境エネルギーに対する取組についても意見交換ができておりませんので、提案するのはいいけれど、その先に言いっ放し、否決されて終わり、それだったら私はポーズとしてやっているんじゃないかと。ポーズとしてやっているわけじゃないんですよ。関係者を含めて非常に真摯な思いでやっているんですよ。だけれど、そういうふうに受け止められてもしょうがないんじゃないかと。なので、提案するのはいいけれど、提案した上でどういう努力をお互いができるのかということのその先がない株主提案というのは、私にとっては意義が薄い。なので、今は事務的にいろいろな意味で関西電力様とやりとりをさせていただいています。どんなふうに今後の将来の環境エネルギー政策を一歩でも半歩でも前に進める、そのための提案であれば、私は意味がある。

 なので、提案の内容は少しずつ見直しながら、しっかり関西電力さんと対話をして、将来のこのまちの環境エネルギー政策を一歩でも前に進める、そのためにできることにつなげていくための提案であればという方向で、徐々に少しずつ私の思いというものを、当該部局、あるいは京都市会の決議を含めて、京都市会の施策とのすり合わせを今自分の中ではしつつあるというのが、今の現時点での私のスタンスです。

記者

 また話が変わるんですけれども、ガソリン税の暫定税率について、自民党、公明党、日本維新の会で廃止に向けた協議を進めてられていますけれども、この協議については市長の所感を教えていただきたいのと、仮に廃止された場合、京都市の減収額というのは幾らになる見込みなんでしょうか。

市長

 減収額の数字とかは、手元に資料はありますけれど、それを私が今申し上げるのは控えたいと思うんですが、国政上、これは私もかつて国会議員でありましたし、どちらかというと税を取られる側の産業を代表するような省に身を置いていた人間でありまして、この暫定税率というのが、本当は当面の間ということで始まったものがこういうふうに恒久化しているということについて、過去にも何度も国政上の課題としても議論をされてきて、少しずつ変わってきているものでありますが、それについてはいろいろな思いがあります。本源に立ち返って、これからのインフラ整備の在り方、それをどういう形で賄っていくのがいいのかということを含めて、責任ある議論をしていただきたいということであります。地方自治体としていろいろな課題があります。だけど、地方自治体だけの課題で、長が絶対それは無理というふうにも言えない、構造的な制度の本源的な問題があることは事実ですので、そこが国家的にどういう議論をされる中で、当然我々は、例えば総務省であるとか国土交通省であるとか、地方行政に密接にかかわるような省庁と日常的にお付き合いしているので、その中で地方の財源をどういうふうに確保していくのか、そして国の制度をどういうふうに改変していくのかということは、絶対反対とか絶対賛成ということではなくて、国政上の議論をにらみながら、しっかり各省とも相談をしていかなければいけないと思っております。これは恐らくほかの自治体も全く同じだと思います。

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