市長記者会見(2025年4月8日)
ページ番号340175
2025年4月9日
「京都駅東南部エリアにおける市有地の活用に係る契約候補事業者の選定結果」について、京都市長が記者会見を実施しました。
(補足)発表内容は、令和7年4月8日時点の情報です。
記者会見動画
発表案件
市長
こんにちは。よろしくお願いいたします。
まず、発表案件の前に、この度ミャンマー中部で発生した地震におきまして多くの方々が亡くなられました。心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思います。
京都市では、昨日(4/7)発表させていただきましたように、市民の皆様からの温かい善意を被災地の支援に充てられるように、昨日から京都市役所本庁舎及び分庁舎に救援金箱を設置させていただいております。また、京都市職員有志による救援金も募集いたしております。お寄せいただいた救援金は、日本赤十字社を通じて救援活動支援に充てさせていただきたいと思っております。被災された全ての方々の一日も早い御回復、被災地の早期復旧を心からお祈り申し上げます。
本日の発表案件に移らせていただきます。3月末に「新京都戦略」を発表させていただきました。その中で、リーディングプロジェクトとして、世界中からクリエイティブな人材が集い交わるテラスのようなまちをつくるというプロジェクトでは、日本中、世界中からアーティストに代表されるようなクリエイティブ人材を京都に呼び込み、そして、地域との交流によって新たな価値を創出するという政策目標を掲げてまいりました。
今日発表させていただくのは、京都駅東南部エリアにおける市有地の活用についてこれまで進めてまいりましたが、この東南部のエリアは、あるいはその東側のエリアというと、京都市立芸術大学が開校して1年半がたちました。そして、チームラボのミュージアムというのが今順調に準備が進んでおりまして、この秋に開業される予定というふうに伺っております。
そして、この駅と京都市立芸術大学の間には、共創HUB京都の整備というのも着々とこれから進んでいくということが見込まれておりまして、新たな都市空間の創造に向けて順調に進んでいるところでありますが、本日は、京都駅の東南部エリアの市有地の活用について契約候補事業者の選定結果について、発表させていただきたいと思います。
1ページ目を御覧ください。最初に、選定された契約候補事業者の御紹介ですが、次のページ、1枚めくっていただきまして、提案者は有限会社カイカイキキ、代表者は村上隆さんでございます。いろんな事業、ここに書いているような事業を展開されていますが、最も有名なものは村上隆さんのアート作品の制作販売ということでございます。また、こちらはアーティストマネジメントも行っており、村上隆さんをはじめ世界中で活躍されるアーティストが多数所属されています。
5ページをお願いします。ほかにも様々なコラボレーション企画を手がけておられるのは、御覧になったとおりでございます。
6ページ、お願いします。京都市との関わりで言いますと、何と言っても昨年の非常に記録的な来場者、45万人の来場者を記録した「村上隆 もののけ展」大成功で、特に若い方々、大学生まで京都の大学生は無料で入場していただくということで、非常に大きく賑わって、地下鉄東西線の東山駅の乗降者数が記録的な数にのぼったということからも分かるように、非常に大きな反響をいただきました。
そして、村上隆さんにおかれましては、ふるさと納税においても非常に御協力をいただきまして、累計6億円を上回る寄付を集めることに御協力をいただいたところです。
次のページをお願いします。「都をどり」、昨年の「都をどり」は150周年でありましたが、その看板やぼんぼりのデザインなど、伝統文化と連携したプロジェクト、そして、ラジオ番組、京都のラジオ番組での発信、私と対談もさせていただきましたが、そういった点でも御協力をいただいたということです。
次のページ、公募条件でございます。9ページをお願いします。これは地図でございますが、この京都駅から900メートルの距離にある1,572平米の市有地の公募を行うために、10ページ、こうした有識者7名で契約候補事業者選定委員会というものを設置いたしました。その中で、主な活用条件としてこの4つの条件を活用条件として提案内容を御審議いただいた結果、有限会社カイカイキキを選定いただいたということでございます。
12ページを御覧ください。提案内容及び評価ポイントでありますが、13ページをお願いします。まずは、この概要はここに書かせていただいたとおりでございますが、カイカイキキ京都スタジオということで、約50名のスタッフが勤務をされるアートスタジオを整備するということで、建物は高さ19メートルの地上3階建て、用途は全て村上隆さんのアート作品の制作を行うためのアートスタジオということになります。
今回の計画においては、計画から施工に当たって、市内業者を積極的に御活用いただくということになっておりますし、スケジュールとしては、一番下でありますが、令和8年度中に竣工、そして制作活動を開始していただくという御予定になっています。
次のページを御覧ください。一つ目の点、これは埼玉県の三芳町のスタジオで培ったノウハウ等が活用できるので、長期にわたって安定した施設運営が期待できるということで、御提案では、地域が取り組む清掃活動などにも積極的に御参加いただくというような内容もございますので、選定委員会からは、地域の誇りとなる企業になってほしいというような御意見をいただいております。
次のページをお願いします。2点目として、非常に村上隆さんは、私が今さら申し上げるまでもなく、海外、国内ともに大変大きな発信力、そして大きなフォロワーの方々をたくさんお持ちでありまして、この強力な発信力、創造力というのは、文化芸術都市・京都としての評価をさらに高める効果が期待されるということでございます。
16ページを御覧ください。3点目は、京都スタジオで働くスタッフの半分は、市立芸術大学をはじめ市内の芸術系大学や専門学校からの積極的な採用ということを予定していただいておりまして、将来的には制作拠点、このカイカイキキさん、村上隆さんの制作拠点を京都に移転いただくということで、さらなる雇用も生まれ、現在のスタッフの方々の移住も期待できるということでございます。
以上が今回の選定結果についての内容、選定委員会の皆様方、先生方に御議論いただいた内容でございまして、まさに私が掲げる「突き抜ける世界都市京都」をつくるという意味で、まさに国際的な評価も高い突き抜けたアーティスト、人材である村上隆さんのスタジオがこの京都にできるということで、京都駅東南部エリアのまちづくりが加速するのみならず、非常に京都自身の芸術文化都市としての位置づけがさらに高まるというふうに私は期待いたしております。
17ページ、今後の京都駅東南部エリアのまちづくりについて、若干補足的に御説明したいと思います。次のページをお願いします。
チームラボミュージアムでありますが、今年の秋頃にはこのチームラボのミュージアムが開業する予定でございまして、もう今建物は引渡しをされて、今、中のいろんな設備の設営を鋭意行っていただいているというふうに伺っております。チームラボは、東京の豊洲にあるチームラボプラネッツでは、年間の来場者数が250万人を超えておりまして、これは単一のアート集団による美術館としてはギネス世界記録、世界で最も来場者が多いというのが豊洲のチームラボプラネッツでありますが、この京都でも非常に大きな来場者を期待いたしておりまして、これがエリアの活性化の起爆剤になるというふうに期待をしております。
19ページをお願いします。さらに、これは翌年度、令和8年度でありますが、国際的な体験型アートセンター「Superblue Kyoto」と、京都で活動する職人の伝統工芸品やアーティストの作品の展示を行うギャラリーが開業予定でありまして、このエリアは、もともともう5周年になります、小劇場「THEATRE E9 KYOTO」というのもありますが、文化関連、芸術関連施設が集積するエリアになるというふうに私は期待しております。
20ページをお願いします。加えて、そのちょうど上、北側のエリアは共創HUB京都、まさに社会課題の解決につながる産業創出やコミュニティ形成、人材輩出の拠点となるような共創HUB京都。あるいは、これもこの前先日発表いたしましたが、JR東海グル-プさんによる商業開発と日本電気硝子株式会社の本社機能を備えた複合施設が、ちょうど線路際のところにできると。これは令和10年の開業を目指して、今、様々準備中ということでございまして、京都駅東南部エリア、あるいは東部エリア一帯が新たな京都の芸術あるいは経済の拠点として、今着々とその拠点整備に向けて一歩踏み出しているということを今日は御説明させていただいた次第でございます。
私からの発表は、以上でございます。
質疑応答
発表案件に関する質問
記者
当該施設は、基本的には市民が気軽に利用できるような設備はないとお見受けします。一方で、京都市の市有地、公共財産である市有地を売却するからには、市民への還元も必要になると思われますが、現状、この事業計画において市民の利用できるスペースの確保ですとか、施設を活用した展覧会の開催など、市民への還元策というのはあるのでしょうか。
市長
これは、アートスタジオですし、お分かりのとおり、村上隆さんの作品というのは極めて内外とも高評価でありまして、その資産価値も非常に高いものですから、やはりどうしてもセキュリティをしっかり管理した上で工房として制作を行われるということになります。
したがって、そのサイト自身に市民の方々が出入りして展覧会が行われる、要するにギャラリーのようなものということになるということではないという。最初からそれはきちんと御説明をいただいているものであります。
しかし、やはり村上隆さんのような方がその芸術の創造拠点を京都に持たれるということの意味合いというのは極めて大きいと、私どもは考えておりますし、また、このスタジオを整備されることをきっかけに、これは例えば東京でもGEISAI(ゲイサイ)という公募展を開催されたりしております。したがって、ここに制作拠点を持たれることによって、やはり京都の中で村上隆さん自身が若手アーティストの発掘とか支援ということに力を入れたいというふうにもおっしゃっていただいていますので、制作拠点を京都に持っていただいて、この用地に持っていただくことによって、波及的な効果は私は十分発揮されるというふうに考えております。
先ほど申し上げましたように、ここでの実際働いておられる方々は、地域に混じっていろんな清掃活動に貢献するというようなことも含めて、公的な色彩は十分にあるというふうに考えております。
記者
先ほども御説明があったんですけれども、東九条地域では、芸術を生かしたまちづくりを進めています。チームラボの施設が秋には開業するということで、地元住民の期待も大きいと思われますが、一方で、近年、ホテルですとかゲストハウスが多数進出していて、地価も高騰しているという中で、住民としてはなかなか住みづらくなるんじゃないかという懸念の声も聞かれます。こういった懸念をどのように解消していくんでしょうか。
また、併せて、東九条のエリアでは市有地がほかにもありまして、大きなところで言いますと、上下水道局の跡地ですとか、あと山王小学校、こちらの活用方針について決まっているものがあればお願いします。
市長
これは非常に大事なことで、もちろんこういう拠点ができてくれば、当然地域としての魅力が向上していくわけですから、それは我々自由主義の経済体制にいるわけですから、若干土地としての魅力がアップして地価が高まってくるというのは、これはもう自然の摂理だと思います。
ただ、記者さんがおっしゃっている意味合いは、そこだけが地域とのバランスを欠いて活動が行われるということではなくて、やはりエリアマネジメントということで、いろんな事業者が地域の方々と混じわって、その地域をちゃんとバランスよく、そして円滑に発展させていくということが非常に大事ですので、そういったエリア内の事業者の事業活動、あるいはその地域の方々としっかり協力をするということは、先ほど清掃活動の一例を挙げましたが、そういうことは非常に大事で、エリアマネジメントを円滑にしていくというための協議会などが、これからつくられていくことを私どもとしては期待をいたしております。
そして、御承知のように、先ほどの写真って出ますかね。ここにはあまり書いてないかな。ただ、京都駅の南側には、この地域一帯にも、例えば上下水道局の跡地であるとか、あるいは元山王小学校であるとかというような市有地があります。ここも含めて、まだ何も決まっておりませんけれども、しっかりといろんな事業者の御提案もいただきながら、あるいは地域の方々としっかり対話を重ねながら、この京都駅の南側を芸術・文化ゾーンとしてどうさらに発展させていくのかということは、これからそれこそ、我々京都市としてもエリアをどう発展させていくのかとよく考えた上で、市有地の戦略的と言うとちょっとギスギスしますけれど、地域ともしっかり話合いが行われて、なおかつこの地域がこんなにのぞみが停車するところにこんな市有地がまだ残っている、エリアの開発余力があるというのは非常に日本国内でも珍しいエリアでありますので、しっかり慎重に考えながら魅力的な地域開発を行っていきたいと思います。
記者
細かいところで恐縮なんですけれども、今後、制作拠点を京都に移すことも想定されていると思うんですけれども、村上隆さん御自身が京都に住まれるということも考えられているのでしょうか。
市長
個人のことですから、居住について私があまりどれぐらいということはありませんが、住所はもう既に京都に移しておられるはずです。確か、それは東日本大震災の後だったと思います。ただ、やっぱり今の主たる御自身の創作拠点は埼玉県にある。その機能を今回の用地を取得されて、まさにそういうスタジオを造られるということを一つのきっかけというか、一つの拠点にしていく。さらにその重心を京都に移行させていきたいというふうにはおっしゃっています。
ですから、今直ちに埼玉のほうをどうされるのかというのは、私どもも承知しておりませんけれども、今後、さらにここだけではなくて、京都でもっと規模的にどうなるのかちょっと私も村上さんの場合、どれぐらいの、恐らく埼玉県の実際の今のスタジオというのは相当大きいんじゃないでしょうか。そこの機能をどれぐらいどういうふうにシフトしていかれるのか、詳細は存じ上げませんが。希望としては、将来的には創作拠点を京都に移行していきたい。これがその到達点ではなくて、これが一つのステップであるというふうには伺っております。
記者
制作拠点という言葉が分かりにくいなと思っているんですけれども、これは、その複数拠点というようなことなのか、それとも、ここが主要な拠点として考えられているのでしょうか。
市長
いやいや、これは一つの拠点でしょう。今回の用地取得はその一つの拠点であって、これが全ての拠点ではない。したがって、ちょっと私もそこまで承知していませんけれども、埼玉の拠点は今も維持しておられるわけでしょうし。その一部をここに、先ほどの従業員の規模、スタッフの方々の規模から言っても、恐らく村上隆さんのカイカイキキのスタッフ全部と、今回の用地で全部ということではないと思います。
したがって、恐らく何らかのウエイトは埼玉にも関東の拠点とここが並立するような形になるのではないかと思っております。それを、さらに京都に拠点を埼玉の方からされるのか。ちょっとそこは、埼玉の方をどうされるのか私は詳細に存じませんし、コメントする立場にありませんが、より京都における拠点を、さらにここだけではなくて将来的に発展も含めて考えておられるということは、そのようなことはおっしゃっていました。かつて、私がラジオなんかで御一緒したときなんかも。
将来的には、もっと京都に重心を移していきたいと。今もお住まいはあるけれども、それをさらに創作の自分の拠点を京都に重心を移していきたいという時の、その一つのステップだと理解しています。
記者
今回、村上さんがこちらに応募された経緯として、例えば去年の「村上隆 もののけ京都」が1つのきっかけかと思うんですけれども、京都を選ばれた経緯など、村上さんから何か御発言か御説明というのはあったのでしょうか。
市長
私もラジオ、展覧会にも行って村上隆さんに御案内いただいたというのが、村上隆さんと最初にお会いしたのは、もののけ展、御本人に御案内いただいたということでしたし、その時もゆっくりお話ししましたし、その後、ラジオの番組なんかでも御一緒したり、あと、いろんなところでお話を、いろんな式典みたいなところでお話を何度か伺っているんですが、やはり、京都のことをすごく気に入っておられるし、やはり創作拠点として京都がいいんだとおっしゃっていたのは、風光明媚ということはあるかもしれないけど、自分は別に風光明媚とかいうことだけではなくて、アートの拠点というのは必ずしもそういう、例えば私も今回鴨川に比較的近いところだから手を挙げていただいたのかなと思いましたら、必ずしもそういうことではなくて、やっぱり全体として京都のまちの魅力、それから、いろんなアーティスト、若いアーティストなんかの卵。先ほど御説明もしましたけど、芸術大学も近くにあるとか、京都市立芸術大学だけではなくて、様々な芸術系の大学があって若い人材がいるというようなこと。あるいは、今、お住まいがあるのは具体的な場所は申し上げませんけれど、やっぱり京都のまちの魅力、食も含めて、世界で一番パンがおいしいんだということとか、非常に生活文化としての京都を気に入っていただいているし、もちろん、私どもとしても、村上さんのような方がぜひ京都で制作拠点を京都に、ぜひ我々としてはお迎えしたいと。どこかからひっぺがすなんていうことは下品なことは言いませんけれども。京都でもっともっと制作してくださいということは申し上げてきた経緯もありますし、御本人も、そのトータルとしての京都というまちの魅力を評価していただいている御発言は、多々これまで私は伺っております。そういうところを訴求して、いろんなアーティスト、内外で活躍するアーティスト、あるいは経済人、いろんな方々を京都に引っ張ってくるのは私の仕事だと思っていますし、市役所の大きなミッションだと思っておりますので、そういう意味では、ありがたい御判断をいただいたというふうに思っています。
記者
先ほどの質問に関連するんですけれども、公募という形ではありますが、市のほうから何らかの働きかけがあって、誘致ということなのかなと思うんですけれどもいかがでしょうか。
市長
ただ、誤解のないように申し上げますと、私は内外のすばらしいアーティスト、クリエイター、才能はみんなウェルカムであります。したがって、この用地も実際の選定委員会が作成される前からこういう用地がありますよということは、これは我々のプロジェクト担当のほうから内外に発信しています。そういう状況の中で、村上さんも関心を持たれたし、実を言うと、ほかにも関心を持たれた事業者もいらっしゃるという意味では、我々、この具体的な土地についてのその選定というのは、村上さんを我々が恣意的にということはありません。
ただ、ぜひ京都にすばらしい才能の方々をお迎えしたいというのは、基本的には我々はどなたに対しても。その中で、村上さんの才能とか、その求心力とか、あるいはフォロワーの大きさというのは、これはもう明らかでありますから、村上さんにも京都でぜひ拠点は持っていただきたいという話を申し上げておりました。
ただ、具体的な土地の選定に関していうと、これは選定委員会が全く中立公正な立場で募集をいただいて、それに村上さんも一事業者として応募いただいて、そして厳正な選定の中で選ばれたということではございます。
記者
今回の当該の土地が長い間かけて市有地にされてきたところということなので、でもちょうど去年の12月から公募をかけられたと思うのですが。
市長
はい。でも、公募の前からこの用地があるということは、これは皆さんに告知、2年ぐらい前から告知されているので、それは恐らく関係者の方々は広く知れ渡っていたと思います。
記者
手を挙げられたのは、カイカイキキ1社だけだったのでしょうか。
市長
はい。問合せとかはほかにもあったらしいですけれど、私は詳細に関わっていませんので知りませんが、最終的に手を挙げられたのは、カイカイキキさんだけだったと伺っております。
記者
京都駅南側の市有地の活用が次々と決まっている印象です。チームラボしかり、今回の村上さんもしかりです。改めてエリアとしての利便性はあるとは思うんですけれども、このエリアの次々決まっていく要因というか、開発がうまく進んでいくその要因としては、市長としてどういうふうに分析されていますか。
市長
それは、やっぱりあれじゃないでしょうかね。もちろん、市役所のスタッフも随分広報してくれていますし。やっぱり交通の利便性、のぞみの駅から歩いて徒歩圏にこれぐらいの用地があるということ。それから、やはり近くに鴨川が流れているとか、あるいはもちろん先に決まっているチームラボさんとか、あるいはスーパーブルーの存在。あるいは、先ほど記者さんからの御質問にもお答えしましたけど、その近くにもまだまだ京都として元山王小学校、あるいは隣接の上下水道局の用地であるとか、開発余力があって、我々が文化・芸術を拠点としたまちづくりをしていきたいということを掲げているということは、一定の誘因にはなっているんではないかとは思っております。
記者
一方で、ここの特に何がメインだというのが京都はすごく歴史のある土地です。開発されていくことに対して、住民の方から、まちが変わっていくことの危機感であったりとか、歴史が忘れ去られてしまうんじゃないかなみたいなことがあります。
市長として、歴史と今変わっていくことの混ざり合いのことであったりとか、一方で、過去の遺産をどういうふうに継承していくのかということはすごく市としても大事だと思うので、その辺、どういうふうに御理解されていますか。
市長
それはすごく大事なことであって、崇仁の地域に京都市立芸術大学ができたときも、そこをすごく大切にして、ジェントリフィケーションと言うと言葉は難しいですけれど、そのまちを総とっかえするというようなことではなくて、そのまちの歴史をしっかり認識していただいて、その歴史を踏まえて地域住民と共存していただくということはすごく大切なことだと思います。
この東九条のエリアに関して言うと、やはりこれからいろんな意味で文化・芸術というのを、文化の例えばいろんな国籍の文化、あるいはルーツの文化というものが融合していく。私は、京都というまちは、そういう融合を繰り返して独自の文化を発展させてきたと思っておりますので、そういう意味では、そういうもともとの東九条のエリアのバックグラウンドも含めて、そこにむしろ魅力があるんじゃないかと。そこが新しい、その従来の東九条の歴史的な背景、文化的な背景もひっくるめて、その地域と共存しながら新しい芸術・文化の在り方を考えていくというような、私はそういう前向きな方々が入ってきていただいていると思うし、入ってきていただいた後も、その地域住民と遊離するのではなくて、むしろ混ざり合いながらその地域の歴史というものをしっかり尊重しながら、共存・発展していただきたいと考えています。
記者
先日、梅小路公園の方でも芸術とかアートとかも含めたJRなどと連携協定を結ばれたと思うんですけれども、改めて、京都というまちを文化・芸術都市にしていくということで、どういったところに強みがあるとか、ほかの都市でも文化・芸術に力を入れている都市もあるかとは思うんですけれども、京都の売りであったりとか、そういったところについて、改めて意気込み等を教えてください。
市長
ほかの都市でも、もちろんいろんな芸術・文化についてのまちづくりの取組って非常に積極的に行われていて、私は京都が学ばなければいけない点ってたくさんあると思います。
その上で、やっぱり京都は長い歴史と文化があります。そして、人口の1割を超えるような大学生がいらっしゃることから分かるように、大学もあります。神社・仏閣があります。そして、ものづくりの都市としての基盤が、特にこの京都駅の周辺部、あるいは南側にはそういうものづくりの発展基盤もあります。
そういう意味では、そういった要素が若い人たちが、大学生、あるいは芸大だけでも、芸術学部、芸術大学だけでも数校の大学がある。あるいは専門学校もある。そういう若い人たちの芸術・文化の担い手がいるというのは、これは恐らく京都のその量も質も非常に高いということが京都の圧倒的な強みであると同時に、やっぱり経済的な発展。先ほどの京都駅のこちらの複合施設のここの駅のところもそうですけれども、やはりものづくりのまちとしても非常に高度な産業拠点としての京都の魅力があると。それが、遊離せずに複合的に混じり合っている。そして、京都駅の西側でいうと、例えば市場がある、KRPというある種の開発拠点のようなまちがある。そういう食あるいは新しい京都の先端産業の集積地がある。そして、そこにそれこそ梅小路公園と鉄道博物館もあれば、水族館もあるというようなこの厚みというのは、やはり我々の大きなアドバンテージだと思うので、これを最大限活用していくというのが我々の戦略ですね。
記者
そういった活用策というところがあると思うんですけれども。市としては、どういったことができるというふうに思っていますでしょうか。
市長
我々は、例えばその中で言うと、これから特に京都駅の南側という意味で言うと、京都サウスベクトルということがありまして、ここをもう少し産業拠点として有効に活用していきたいなと思います。
例えば村上さんの話なんかも、これはいわゆる工房というかスタジオでありますが、そういう村上さんのスタジオみたいなものも大事ですし、事業所としていろんなものづくりをしていただくというのも大事ですし、新たな研究開発をしていただくということも大事ですし。
我々は、割と貪欲にそこは京都駅の南側に多様な機能があるし、もっとそれが交流とか、あるいは京都の我々としては大きな課題である子育てみたいなものの拠点。私が前回もリブラボ、ライブラリーみたいなものを拠点にしながら、子育て世代にとっても非常に有効なまちづくりにしていきたいというようなことで言うと、これは工房というのはプロフェッショナルな場所ですけど、そういう交流拠点みたいなものも、南区は人口も増えてはいるんですね。大きく増えてはいないですけど。そういう意味では、まだ京都市内中心部に比べれば、比較的先ほど値上がりしているという話はありました。もちろん、値打ちが上がっていけば値上がりしますけれど。しかしながら、南区なんかで言うと、比較的ファミリー層がまだまだ手が届くようなマンションなんかの開発も行われていて、そこをもうちょっと子育てとか、人々の交流の場みたいなものを強化していくと、さらに京都駅の南側のエリア、あるいは京都駅の周辺部の機能というのは高まるかなということで。
今申し上げたように、一つに絞り込むというよりは、割と貪欲にこの京都駅周辺部というのは様々な可能性があると思いますし。もっと言うと、京都駅のいろんな周辺部。これも言うと、今日の会見の趣旨が違ってきますけど、例えば山科・醍醐地域には、あるいは洛西の地域には洛西の地域のそれぞれのポテンシャルがあると思うので、それを多面的に発揮させていくために、我々市役所が知恵を絞り人々と対話をし、そして誘致努力をしていくということだと思います。
記者
先ほどの質問、皆さんの質問とも少しかぶってきてしまうんですが、まさにエリア全体のお話で、この秋にチームラボ京都の開業を控えていらっしゃって、住民の方にお話を聞くと、やはり工事車両だったりとか、人の流れが変わることによっての懸念もあるという中で、市長は貪欲にという言葉を今お使いになりましたが、これからに向けて、地域との対話をされていく、市長自身がそういった機会を持たれるというお考えはあるのでしょうか。
市長
はい。個別に例えば、大きな工事は実はチームラボさんは終わっていて、後は、むしろデジタル機器などを搬入されて、どう設営されるかということだと思うので、ある意味では、工事車両の出入りという意味では、ある程度山は越えているんだと私は認識していますけれど、やっぱり私もTHEATRE E9 KYOTOなどは何度か足を運ばせていただいて、ああいう小劇場も大好きですし。ああいう小劇場文化と、こういう非常にアート性が高くてデジタルアートで非常に最先端、世界も例えば、私も豊洲は行ってないですが麻布台なんかは行って、本当にたくさんの国々の方が、外国人のほうが圧倒的に多い。そういう方々が来られる施設と、例えばE9のような小劇場文化というのは、これは一般的に言うとちょっと違う種類の人たちが来る。でも、そこが混ざり合うことによって面白い。逆に新しいケミストリーで新しいものが生まれると思うので、やっぱりこの地域には、もっともっと足を運んで、先ほどお話をさせていただいたようなエリアマネジメントというようなことについて言うとしっかり下支えという意味では、南区の区役所であるとか文芸担当の職員であるというところがしっかり下支えをしながら、地域の発展につなげていくということがすごく大切だと思います。
一般質問
記者
3月末に南海トラフ巨大地震が発生した場合の被害想定が発表されました。最大死者数は、前回の想定から約700人多い約1,600人で、約6万4,000棟が全壊・焼失するとの試算が示されました。この見直しを踏まえまして、京都市の地域防災計画や備蓄計画などを見直す考えはありますでしょうか。
市長
はい。南海トラフ地震は、京都市も当然のことながら特措法に基づく防災対策推進地域に位置づけられていますから、今後、さらに詳細な情報をいただきながら、我々として我々の防災あるいは災害時の対応ということについて、見直すべき点は見直していかなければいけないと思っております。恐らくは、備蓄とか、避難時の体制とか、そういったことは不断に見直していかなければいけないと思うんですが。
ただ、言えることは、京都市の場合は、これは第4次地震被害想定では、この南海トラフよりも花折断層による地震のほうが圧倒的に建物全壊・焼失約12万棟、死者が京都市で約4,000人、約20万人の被災、避難者というようなことを見込んでおりまして。規模としては、こっち側より大きいんです。
したがって、だからといって、ただ南海トラフのこの想定を見直されたということによって、我々が全くそれをより大きなものを見込んでいるから十分ということを言うつもりはありません。それをより精査して、常に我々の備蓄は本当に大丈夫なのか、あるいはいろんな避難所は大丈夫なのかということをしっかり見直していかなければいけないので、これから、国あるいは京都府としっかり情報をいただきながら、絶えざる対策は進めていかなければいけないと思いますが、より規模の大きい避難想定をしたものを我々は持っているので、そことの関係。ただ、連動する可能性もありますし、いざ南海トラフが動いたときは、恐らく物流から何から全部変わってきますので、そこは絶えざる見直しは必要だとは思っております。
記者
2点目は、いよいよ13日から大阪・関西万博が始まるということで、これまでの会見でも教えていただいているんですけれども、改めて万博に期待することと、春の観光シーズンですけれども、観光客の混雑に拍車をかける恐れがないのか、また、昨日、基準値を超える濃度のメタンガスが検出されたようですけども、危険性はないのかですとか、懸念があればお願いします。
市長
いよいよ1週間切りました。私もサイトに足を運んで、やはり期待に胸が高まる思いであります。23日にサイトに行きましたが、その翌日に大阪・関西万博きょうと推進委員会ということで、オール京都の取組をこれまでのものを総括させていただいて、いろんな府市協調で取組を進めていかなければいけない。そのことは一々申し上げませんけれども、それに加えて、私はやっぱり京都には実際おいでいただくと、多くの方々においでいただかなければいけない。やっぱり京都の魅力は、京都ブースでも発信していきますが、やっぱりおいでいただいてなんぼのものだと思うんです。そのときに、この大阪・関西万博の日程の決め方がどう決まったのかとか、その当時、市長ではありませんから分かりませんけれども、ちょうど桜のシーズンが終わった。一番桜のシーズンのピークが終わったところ。秋の紅葉より前に終わるのは終わるんです。したがって、我々から言うと、いろんな観光事業者からヒアリングしていても、順調に御予約をいただいています。なので、しっかりと通年というかこの秋にかけて、桜とか紅葉の時期で考えているような観光対策、もちろん、これは時限的にこの期間だからやれることもあって、そういうものを延べにこの半年間というわけにはなかなかいかないと思いますが。多くのお客様が来ていただいて、そして、いろんな観光周知に伴う課題がピークを越えないように、いかにそれを観光客の皆さんを受け止めていくのかということは、我々もこの春の桜のシーズンが一巡したからといって気を緩めずに、しっかり対策を講じていかなければいけないと思います。
その上で、やっぱり我々は京都を楽しんでいただく。同時にそのときに周遊観光していただいて、1箇所に集中しないでいろんなすばらしい隠れた名所とかいうのもあるということを周知していきたいし、いろんな観光のモラルの問題も普及、旅マエ、旅ナカを含めてしっかり皆さんから共有していく。
そして、同時に先ほど京都駅の南側、あるいは京都駅周辺部の開発でもありましたけど、その来ていただいた方々をもっと京都に、「あ、京都って住む拠点としても、あるいは経済活動をする拠点としても、あるいは研究開発を行う拠点としても素晴らしいんだな。」というふうに考えていただくような、例えばテックツアーみたいなものをできるだけ造成して、京都を観光地だけじゃなくて京都というまちの魅力を多くの内外のお客様に味わっていただくような工夫をしていきたいと思っています。
記者
メタンガスについてはいかがでしょうか。
市長
メタンガスは、すみません、ちょっと私も、まだメタンガスについてあれがどの程度の危険性があるものなのか、昨日でしたっけ、それはまだ私も把握できていないので。ただ、いろんな方々と話をすると、割と多くの方があれを心配しておられることは事実ですので、協会の人とかと話をすると、それはもういろんな対策を講じていますとか、あるいはそんなに爆発するようなことはありませんというふうに言われているんですが。実際、ああいうニュースを聞くと、しっかり事実関係を解明して、そして対策をさらに協会を含めて国にも求めていきたいと思いますし、やっぱり安全に楽しんでいただかなければ、特にお子さんたちが見ていただくときに、やはり保護者の方々の不安もあるので、それは解消と対策に努めていかなければいけないと思っています。
記者
2点伺いたいんですけれど、まず、1点目は、米の備蓄、開放されてからしばらくたちますけれども、あまり値段が下がってないなという感覚がありまして、どのようにそれを考えていらっしゃるかということ。
もう1点については、アメリカのトランプ政権による相互関税について、昨日も石破首相がトランプ大統領と電話会談しましたけれども、今後、国内産業には非常に大きい影響を受けることもあると思うんですけれども、どのように政府に期待されるか、お考えを伺えますでしょうか。
市長
はい。トランプ関税は、これはやっぱり京都もその一部ですが、日本経済、世界経済に大きな影響を与える可能性があると思うものですから、政府、経済産業省の情報を収集しましたら、まずは短期支援ということで、特別相談窓口を設置する。あるいは資金繰り支援というものを、弱いところに影響がダイレクトに来る可能性があるので、それを実施しておられるということですので、その経済産業省の対応を含めた政府の対応を見ながら、しっかり京都の場合は、特に今申し上げた地域企業の相談窓口という意味では、商工会議所に一元化しておりますので、今回で何か具体的な負のインパクトが出てきたことについて、常にアンテナを高くして、相談してどういう対応をするかということを機動的に動けるようにしておきたいと思います。一方で、今、まさに総理も早急にアメリカ政府と交渉するというようなこともおっしゃっていますので、しっかり政府において冷静に対応していただきたいし、これからの通商交渉によって状況がいろんな意味で変わる可能性もありますので、それを見極めた上で万全の体勢を取っておきたいと思います。政府には、もちろんしっかりと対応していただきたいということを要望しておきたいと思います。
米ですね。米も私もずっと限られた機会ではありますが、生産者の方のお話も伺い、生産者からいくと、生産者から見てお米の値段ってそんなに上がってないらしいですね。この前、「侍タイムスリッパー」の安田監督と話しても、常用で米作をしておられるけど、これが全然いまだに赤字ですとおっしゃっている。要するに、生産者にとってこれが米の価格の高騰が、その分が、じゃあ収入増として物すごくよくなっているかというと、なかなか厳しい状況は変わっていない。
小売の価格も、これもちょっといろいろ農協などではそんなに上がってないという話も聞きますし、やっぱり一部、スーパーとかは値段が上がっているのも、私も実感していますので、間で、どっかでうまくマーケットに解消してない、備蓄米の話も含めて、需給の緩和ということになかなかつながってないのは何なのかなと、構造的に何なのか。この前もJAの関係の方に聞いたら、それが難しいんですと。結構ブローカー的な人たちが今の相場を見ながらなかなか出しておられないんじゃないかと、マーケットにとかいう話を。これも、しかし臆測ですね。ただ、我々としては、ぜひこれは府市も連携しなければいけないし、農林水産省にも働きかけて、できるだけそういう備蓄米も含めて最終的に消費者の値段がこういう高騰ではなくて、何らかの形でもう少し需給が安定するように、流通のどこに問題があるのか、私も詳しくは分かりませんが、しっかりその対策を国にも働きかけて講じていかなければいけないと思います。
私は、ある程度、農家の方々がこれで米づくりについて、しっかりこれで少し救われたなということになるのならまだいいですけれども、農家の方々は、引き続き売渡しの価格はそんなに上がらない。だけど、消費者がこんな状況というのは、何か流通面でもう少し課題があるのではないか。その米の流通ということになってくると、やはり農林水産省、あるいは担当部局を通じて、農政局にもそこのとこについて、今の我々の持っている不安感、あるいは地域経済の一端を担う行政として、しっかりこれからも改善を要請していきたいとは思っております。
記者
今のところに関連したものが1点。もう1点、別のことで伺いたいんですが。
まず、アメリカの相互関税の関係で、現状、特別相談窓口は商工会とか商工会議所さんのほうに設置されているんですけれども、そういったところと連携をして、どういった影響が出るのかというところを具体的に詳細な部分を見ていかれたりとかというお考え、協議会的なものをつくられたり、そういうお考えはあるのかというのが1点と。
全然別なんですけれども、4月1日から一部の自治体でのカスハラに対しての条例が施行されていますけれども、京都市さんのほうで、何かそういった条例を制定されたりとか、罰則に関してさらに強化されたりというお考えは今あるのでしょうか。
市長
はい。1点目のアメリカの追加関税措置についての経済対策という意味では、これはしっかり日々株式相場への影響、あるいはそれが全体的な金融経済に影響があるものですから、そこを注視しながら、今直ちに協議会をいつつくるとかいうことよりは、政府の対応、それから経済界の対応、実際の経済実態を注視しながら機動的にそういう体制が組めるように今情報収集をしているところであります。これは、知事とも府市ともにしっかり現場で情報収集した上で、必要な直ちに経済界と協議をするということを、そういう方針は共有しているところでありまして。
ただ、今、週の半ばでいつどういうということは、今ここでは申しませんが、状況に応じて臨機応変に対応できるように、日々、担当部局双方、例えば府市、あるいは経済界、それぞれが相互に連絡を緊密に1日何回も連絡を取っているという状況でございます。
カスハラ。いろんな事件、事故、テレビの関係のものもありますし。やっぱりカスハラのみならず、いろんなハラスメントというのは、我々は風通しのよい職場をつくっていかなければいけない。そして、市民の皆さんと職員がしっかり対応していかなければいけないので、そこのルールはしっかり氏名の名札の問題を含めて対応していかなければいけないと思っております。
直ちに今私どもが条例を改正してという提案をするということは考えておりませんけれども、市役所の職員の皆さんに対しては、とにかく、もちろん今世の中全体がいろんな不安とか不満も多い中で、社会全体がストレスがたまっていると思いますね。ですから、一部の市民の方々の中でもそういうストレスがたまっていて、どうしても行政に対してそういうものがはけ口になってしまうということについて、やはりそれは自ずとあるルールに基づいて対応していかなければ、我々は逆に市民対応は成り立ちませんので、そこのルールは徹底していきたいと思います。できるだけ職員の皆さんには、そういうルールをつくりながら、しかし対話ということを遮断しないような仕事の仕方ということを考えなければいけないということで、直ちに条例ということではありませんが、昨日も若手職員も含めた車座ミーティングをしまして、これからの働き方改革の中で、例えば市民の方々からいろんな苦情をどう受けるのか、それがしかしやっぱり部署によっては、ところどころすごく苦情対応だけで仕事にならないというようなことについて、それについて受け止めるのは受け止めながら、やっぱり仕事をちゃんとさせていただくような体制をどうつくるかって、いろんな工夫、これはいろんな行政が、地方行政もそうですし、地方省庁もいろんな工夫をしていますので、そういう工夫をしながら、しかし市民との対話を大切にするという根幹を失わないように。そして、その根幹を守るためにも、やっぱり現状面でのちょっとここは行き過ぎたというところは、しっかり市民の皆さんにも理解していただく。その取組を総合的にやるわけで、それをやった上で本当に条例改正が必要であれば、それは議会とよく相談をするということではないかと思っております。
記者
文化・芸術の話に戻して恐縮なんですけども、文化・芸術都市京都の顔となっている、京都市京セラ美術館について、新年度から学芸員の運営体制を変えられたということで、2点ほど確認したいんですけれども、さっき御紹介された「村上隆 もののけ京都」で45万人集めたり、ふるさと納税で100億超、今回も拠点になったのは、業務委託をしていた長谷ビルチームの皆さんの力というか、人との繋がり、信頼関係があってのことだったと確か載っているんですけども、遠くの方だけじゃなくて、学芸員の皆さんが国内最後と言われた展覧会を成功させて、その信頼関係があるからこそ、もうやらないとおっしゃったのに京都でも独自のものを作って、実施してくださったっていうことにつながったと思っています。なんですけど、新年度から長谷ビルチームの学芸部門の委託をやめるという判断をされました。今おっしゃったみたいに、技術も世界に限らず、人とのつながりとか信頼関係で成り立っているものだと思うので、市からは運営費、委託費が高いというので削減するという理由をお聞きしていますけれども、お金で買えないものを切ってしまったのではないかなと心配しておりまして。改めて、市長に長谷ビルチームの仕事をどう評価されてきたかということと。今回学芸部門の委託を止めるということをなぜ判断されたのか教えてください。
市長
はい。まず最初に、長谷ビルグループさん、そしてそれをさらに担ってこられた人脈の結節点のような方がいらっしゃって、これは、あれはいつでしたっけね。2月でしたっけね、(別の)記者さんから、ちょっとベクトルの違う御質問を今の同じテーマについていただいたような気がいたしますけど、難しいとこです。記者さんがあのとき御質問された視点と、今のご質問の視点というのは、実はどうバランスを取るかということだと思うんです。これは、民間、いわゆる民営化路線とか、PFIとか、PPPとか、ああいうところの中の一番しんどいところですね。今おっしゃったような結節点にある方の人脈とかいろんなネットワークの中で、あれだけすごい展覧会ができたというのは、私はその時も、あの時記者さんからの御質問にも答えたと思いますが、給料が高い安いとかいろいろ議論があのとき御質問がありましたけど、やっぱりそれだけの値打ちのあるものをつくってこられた御尽力については、心から私は感謝しておりますし、評価していますし。先日もある場面で、あるアート系の場面でお会いして、その方ともお会いして、これまでの御協力に心から感謝を申し上げました。同時に、これは、京都市も随分前から平成27年に京都市美術館再整備基本計画というのをつくっていまして。そのときに言っていることは、私はこれ、正しいと思うんですが。平成27年ですよ。「美術館活動の基盤をなす学芸員部門は直営体制を基本とし、広報や資金調達など民間の人材ノウハウが生かせる部門については、民間活力の導入も視野に」といって、この両者のバランスをどう取るかということを言っているんです。
やっぱりこのバランスのとり方において、京都市京セラ美術館の運営について、内部で私がというよりは、内部で様々議論をしていただいて、やっぱり学芸員というのは美術館の命なんですね。学芸員が優れた学芸員が育ってくるという、それが実際の常設展も含めて底力になるし、それは市民のアートへの関心をどう高めていくのか、アートを楽しんでいただくのか、よりよい美術館をどうつくっていくか。そこの内部で随分議論していただいた上で、やはり自前の学芸員と民間委託している企画の部分とが、若干、バランスにおいて問題があったんではないかという議論を散々この間、現場でしていただいた上で、そのバランスをより適切に取るということで、これから学芸員の、本体の学芸員については直営を基本とする。だけど、むしろ広報とか、いろいろな企画という意味では、委託をした方々の知恵を、あるいはネットワークを生かしていく。そのバランスを取るしかないです。
したがって、私が申し上げたいことは、これまでのすばらしい業績、あるいは成果、先ほども申し上げましたけど、「村上隆 もののけ京都」を筆頭に、あるいはふるさと納税をこれだけ活用するとかいうことも含めていろんなアイデアを出していただいたことに心から感謝をし、できるだけ、今後とも可能であればそういう知恵は我々としてはお力をいただきながら、しかし、基礎体力としての美術館の学芸員体制というものは強化していかなければいけないし、それが美術館の基礎力の蓄積を高めていくために、そこはある程度直営を維持したほうがいいんではないか。むしろ、そちらに舵を切ったほうがいいんではないかというのが今回の判断であります。
その状況の中で、我々は、これは美術館というのはどうしてもこれでものすごく儲けるなんていうことは難しいものだと思います。真面目にやればやるほど。その中で、ある程度公費負担というのを我々はしていかなければいけない。これは、確か(別の)記者さんが書かれた記事の少し後に同志社大学の先生が、じゃあ、一般財源を投入している、あるいは別の言い方をすれば、赤字が美術館にとって悪なのかという、割と大きな記事が京都新聞さんから出ましたけど、まさに我々は、これもバランスの問題であって。やっぱり公共の美術館を維持するということについては、あまりに民営化で収益を出してということだけでは美術館の基礎体力にならない。それは、市としてしっかり応援していかなければいけない。これは、我々正直言って、将来宿泊税の収入が得られたら、そこについてしっかり京都の若者に対して優れた美術の体験をしてもらうということは、これは市の責務として、そこは一般財源というか、例えば宿泊税財源も含めて我々が一般会計の中から投入しなければいけないということはあるわけで。赤字とか一般財源を投入するということについては、これもバランスだと思います。あまりにもそれが膨らんでいき過ぎると、これは我々行政として市民の貴重な財源をつぎ込み過ぎという、あるいはそこに依存しがちということになってしまうと、やはりどうしても官の運営としてはいかがかと思いますが。やはり、それをある程度の幅に収めながら、優れた芸術・文化都市をつくっていくという京都市のまちとしてのミッションというものを考えながら判断していかなければいけないと思っておりまして。方向としては、学芸員の直営化に戻しつつも、しかし経費は削減して、一般財源の投入金額というのを削減しているというのは、今のトレンドでありますので、そのトレンドの中でふさわしいバランスをしっかりキープし、そして何よりもこの美術館の運営について、芸術・文化都市として恥ずかしくない、美術館としての基礎体力としての学芸員の水準、あるいはアートの水準というものを確保していくのが我々の目標です。
したがって、記者さんのおっしゃっていることもしっかり我々は心に刻みながら、そういう民間の方々の企画力とか、広報力とか、ネットワークというものをフルに活用しながら、しかし、基本としての学芸員の力というものはもっとこの館に蓄えていかなければいけないと思っています。
記者
美術館、博物館で学芸員は命とおっしゃるのに全く同感でして、そもそもいつまでいてくださるのか分からない、働く人の側に立ったら、いつまでこの美術館で仕事できるのか分からないという不安定な状況で今回のように切るとかいう、縮小するという判断があるということを企画を考えると、直営できちんと人を育てる、抱えるということは大事だろうと思うんですけども。それで結局長谷ビルのお一人を学芸員にお迎えになったのは評価していいのかなと思うんですけれども、それでもなお正規の学芸員が4人というので新体制で、会計年度任用職員は6人、その場しのぎと私は思っておりまして、もう一人採用したいというお考えもあるようですけれども、今後、長期に継続的にどれだけ文化芸術都市の顔としての美術館をどう発展させていくのかということを考えたら、きちんと人を育てていかなといけないという局面に立っていると思うんですね。リニューアルからもう5年もたっているんですけれども、まだスタートっていう感じかと若干してまして。今後、人をどう、学芸員をどう育てていくかということで、もし展望があればお願いします。
市長
もう少し現場を含めて、私も議論したいとは思っています。だけど、おっしゃるように、まだまだ過渡的な段階かもしれないと思います。そこの民間委託していた方と、それから実際の直営部分の学芸員とのコミュニケーションが今まで十分だったのか。それを、ある程度直営の学芸員中心で主体でいくとしたときに、今のような体制においてまだ時限性のものが残っているけど、これをどこまでより良くしていけるのか。それは、先ほどおっしゃったような、財政的なものとの絡みもありますのでよく考えながら。とても大切な事業ですし、そもそも京セラさんに多額の御寄附をいただいて、民間のお力をいただきながらこれだけのリニューアルをしたわけですから。その民と公というものがどう連携していくのか。それは、運営上もどう連携していくのかということは、これからも大きな課題だと思いますし。記者さんのおっしゃる厳しい御意見もしっかり受け止めながら、私はもう少し学芸員の体制、処遇というのは良くしていきたいとは思っています。
記者
昨今の山火事の被害のことについてお伺いします。京都市北部を中心に山間部が多いですけど、昨今の山火事を受けて、市長として何か担当部局に指示されたこととかというのは、特に何かありますでしょうか。
市長
はい。火災は、我々は常に京都というまちの非常に、まちづくりの一番根本の意味での消防活動というのは、私も信頼しているし、常にコミュニケーションは大切だと思っています。
この間、恐らく夏の少雨とかいろんなことが影響。あるいは、冬の気候ということも含めて影響していることだと思うんですが。従来は、冬場のたき火とかによる山火事というのが多かったんですね。ですから、そこをしっかり起こさないようないろんな広報活動を含めて、呼びかけを含めてやってきたというのが実績で。そういうたき火由来のようなものではないような山火事が増えているということを含めて、これはちょっとよく分析をして対応しなければいけないと思うんですけれど。じゃあ、具体的にどうこの京都市域の4分の3を占める森林を抱えるまちとして、これは担当部局とよくお話をさらに対話していかなければいけないなとは思っています。
一方で、これだけの面積について、なかなか山の管理も今手を十分に入れられているとはなかなか言えない。これは京都だけの問題じゃないですよ。その状況の中で、乾燥由来とかそういったもの、防火体制の広報で対応できるものは対応していると思うんですが、それによらないような気候変動に伴う対策とか、それが起こってしまったときの対応とかいうことについて言うと、これはどのまちも今回、大規模な山火事があったところは御苦労されているように、それだけの十分な対応があるのか。しかし、その確率に備えてどれぐらいのものを一自治体の消防でやるのがいいのか、これはもう少し広域でやったほうがいいのか、そこら辺も含めて、私もこの山火事の多発、それを森林自治体としての京都市の考え方、それを京都府はさらに広大な森林を抱えるわけですから。この辺りはしっかり府とも、いきなり何でも知事と私が話をするということではなくて、府市を含めて、農林部局、そして消防体制。消防体制は、広域消防体制を今整備しようということで府市ともに連携をしておりますので、その中の一つの議題として取り上げなければいけないかなと思っています。
記者
防火面というのはもちろん大切なことですけど、今回の場合、かなり範囲が広がって避難の在り方であったりとか、未然に防ぐことも大事ですけど、起きたときの市民に対する避難の在り方であったり、先ほどおっしゃったように山林の整備みたいなことであったりとか、ソフト面でやっていかないといけないことがあるのかなと考えますが、その辺のことについてはどうですか。
市長
まさに御指摘のとおりだと思います。それは、ソフト面の特に本当に起こってしまったときに、どうそれを鎮火するか。あるいは、鎮火になかなか時間がかかるというのが、この間の我が国の中の事例であって。それは、逆に我が国はこれだけの湿度がある中で比較的それを今までは押さえ込んでいただけど、気候変動とかある中でそれが押さえ込めない事例が出てきたということを考えながら、避難あるいは鎮火のためのいろいろな広域消防体制の整備。それは、しっかり議論していかなければいけない。御指摘のとおりだと思います。
記者
先日のフジテレビの問題で、第三者委員会が中居正広さん以外の事案についての調査をして、BSフジテレビの報道番組プライムニュースのキャスターである反町さん、ハラスメント行為があったと認定しました。市長は、市長就任前からBSプライムニュースに出演してこられましたけども、もしコメントがあればということと、現場でハラスメントを耳にしたようなことはなかったのか、お伺いできればと思います。
市長
はい。やっぱりハラスメントはいけないですよ。それは、どなたであろうとそれはいけないと思います。事実関係も存じませんし、相当前ですね、十数年前のことですので。私がテレビに出演させていただいて、そのスタッフとのやり取りを見ていて全くそういうことは感じませんでした。今までは。
ただ、もしそれが事実としてそういうものがあるということであったら、それはなかなか許されないものであると思いますし。我々もそのようなことが起こらないような組織運営に努めていかなければいけないと思います。
反町さん個人については、私はジャーナリストとして非常に鋭い視点を持っておられたし、そして、いろんな取材力、あるいはああいう討論番組でのある種の司会者としての力量、あるいはその前の調査力を含めて、私はそのジャーナリストとしての反町さんに対する評価は全く変わりませんが、我々が見ていないところでそういうことがあったんだとしたら、それは我々としてはしっかりと受け止めなければいけないと思います。そのことについて、私が個人の、あるいは組織内での言動について承知する立場ではないので、その点については一般的な今ハラスメントについてのコメント以上のことは差し控えたいと思います。
記者
ちなみに、市長は何年ぐらい前から出演を。
市長
どうですかね。よく覚えてないですけど。ただ、私が官房副長官の頃には取材対応とかでは、プライムニュースは何年前かな。10年以上になるのかな。ちょっとよく覚えてないですけど。ただ、それ以外の取材も含めていろいろお話をする機会は多いので、私は立派なジャーナリストだとずっと思っていましたし、今も私自身が知る反町さんについては、知らない側面があるということについて、私はコメントできないですけど。それから、ハラスメント自体は、私は許されてはならないことだと思いますが、そのことでその後のお話をしておりませんし、コメントはできませんけれど。長い付き合いの中で、そういう部分を私は見たことはないですね。だからといって、私がこのことについて弁護する立場でもありませんし。
記者
別件で、また今度は柔らかい話なんですけど。先日、記事に書かせていただいたんですが、京都市さんで名刺、職員さんが使う名刺の公費負担ができるようになったということで、3月から運用見直しということです。地方自治体、省庁も以前はそうだったと思うんですが、多くの自治体で名刺が私費で負担するということが行われていた。昨今の情勢の変化を受けて、見直す自治体が札幌市とか滋賀県とかもそうなんですけども見直されているという中で、国への勤務の経験も踏まえまして、なぜこんな風習があったとお考えか。
市長
それはね、非常に傲慢な風習なんですよ。私どもも最初に入ったときに、安月給で、しかも名刺代って今よりむちゃくちゃ高かったんですよね。しかも、特急で人事異動があったらすぐに作らないかんと。特急で発注すると1箱何千円と、当時ね。僕が2年生ぐらいのときとか払わなきゃいかん。これっておかしいですよねっていう話をみんなしているわけですよ。それはなって、歴史があって、要するに、役人というのは名刺切らんでええねんと。ええねんと関西弁では言わないですよ。名刺を切らないもんだと、役人というのは。民間の人が来て、民間の人が名刺を差し出して、こっちは課長なんか、何とか課長と書いてあったりして、向こうはもう分かってるんだから、名刺はもらうもんなんだと。切らなくていいんだと。いやいや、実際切りますよね。交換しますよねと。いや、そうなんだけど、そういう建前で名刺代なんていうのは支出しないと。これは、ある種の官尊民卑なんです。だから、それを経費として支出しないということ。やっぱり対等の立場でお互い、日本の名刺交換だけ日本はすごく名刺交換やり過ぎという文化だという批判もあるけど、やっぱり対等の立場でお互い挨拶して名刺を交換するということについて、それを公費で見ないで済ませるというところ自身が僕はおかしいと思ってました。
でも、もうあれじゃないですかね。役所、霞が関は僕が辞める頃は、そろそろ皆さんプリンターの性能がよくなってきて、プリンターでシートをあれして、自分でみんなシートを当時は買ってたかな、2000年ぐらいというのは。こういう紙のミシン目が入っている。あれを、だけど職場のトナーで刷ってもいいよというぐらいまで来てましたよね。
今は、その紙代とかも持っているのかな。ちょっと最近の状況、昨日OBが来てたので、どうなってんのと言ったら、そのOBも辞めてからしばらく経ってるからどうですかね。恐らく紙代ぐらい出してんじゃない。紙代とトナー代ぐらい出してるんじゃないですかねと。やっぱりあれはおかしいですよねと。あんなの、当然会社として、組織として、それはしっかりフラットで対話をするということを促しといて、それを自腹で持たせるという発想自体が、その背景として、役人は名刺切らんでいいんだという発想自体がおかしいので。当然のことだと思う。遅きに失した。失してはないけど、いつでも改めることは改めたらいいと思いますけど。本来は、僕は根っこにあるのは官尊民卑の文化だと思ってます。だから、改めるべきです。
記者
市長は3月に運用を改めるまでは、公費だったんでしょうか。
市長
いや、私の公費、私費の管理は、すみません。私費をある程度預けて、どこの部分を私費でやっているかというのは市長公室に任せているので、ちょっとよく分かりませんが。私は自分で名刺屋に行ったりはしてません。すみません。

配布資料

記者配布資料
- PDFファイルの閲覧には Adobe Reader が必要です。同ソフトがインストールされていない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Reader をダウンロード(無償)してください。
お問い合わせ先
総合企画局プロジェクト推進室(TEL:075-222-4178)
総合企画局市長公室広報担当(TEL:075-222-3094)