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市長記者会見(2025年2月5日)

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2025年2月17日

「令和7年度当初予算(案)~「突き抜ける世界都市」の実現に向けた本格展開~」について、京都市長が記者会見を実施しました。

(補足)発表内容は、令和7年2月5日時点の情報です。

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京乃つかさが記者会見のポイントを解説します。

記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

https://youtu.be/SLdMWViMmCE外部サイトへリンクします

また、当日の配布資料はこちらをクリックしてください。

(発表案件)令和7年度当初予算(案)~「突き抜ける世界都市」の実現に向けた本格展開~

(松井市長)

 皆さん、こんにちは。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 令和7年度当初予算(案)について、皆さんに御説明をさせていただきます。横長の、このパワポの資料に基づいて御説明します。ちょっと分量が多いので、長くなるかもしれませんがお許しください。

 最初に私、ちょうど市長選挙から約1年が経ちまして、まだ市長に就任してからは1年経たないんですが、今回この約1年を経て、こうやって皆さんにお目にかかれ、そして政策の説明できるということを大変ありがたいなと思っております。1年を振り返りますと、(市長に就任したのが昨年の)2月25日ですから、もうほとんど3月からの議会に日がない段階で市長に就任いたしました。それまでは、予算の骨格は門川前市長が出してこられたものについて、その2月末から市役所の職員の皆さんと話をする中で、自分なりの個性を出すことに腐心したつもりではありますが、それでもやはりその骨格という意味においては限界がありました。今回は、それを私が一から責任を持つ予算ということですので、これはやっぱりステージが異なる予算になったと思います。

 令和6年度予算に関して言うと、一次編成の目玉は能登半島地震を受けての防災・減災対策の強化、あるいは市役所の職員の方が、私の選挙公約の中で実施できる目玉として、観光特急バスというものを走らせるというようなものも盛り込んだ予算でございました。一次編成にさらに肉づけした二次編成という意味では、「京都安心すまい応援金」。これは後ほどお話をさせていただきますが、この創設ができたというのは私にとっては手応えがあったものですし、やはり世界の多彩なクリエイティブな方々を京都にお招きして、京都の市民の方々、地元の方々、あるいは地元の企業との交ざり合いによる新しい価値を創造するという取組、あるいはバス路線の維持・補助金の創設、そういったもので、一定の令和6年度予算と補正(予算)は出したと。それをさらに伸ばしていくというのは、今回の令和7年度予算編成だと思います。

 その間に、私自身、これまで大体月に1回ずつ記者会見やってきたところで申し上げていることですけど、全ての区・支所単位で市民対話会議を開催する。あるいは、それぞれいろんな分野ごとの市民対話会議を開催する。その他、本当に市政懇とかいろんな形で地域の住民の方々、あるいは地域団体の方々、NPO、あるいは企業、大学の皆さんと意見交換を行ってきた。さらには6名の特別顧問を任命して、その6名の特別訪問のみならず、成長戦略推進アドバイザーであるとか、区役所単位でまちづくりのアドバイザーのような方もいらっしゃいますので、そういう方々、有識者の方々とも積極的に意見交換してまいりましたし、皆さん御承知のように、私はできるだけ京都のまちを自分の足で歩いて、そして本当にいろんなところで、お店とかで横に並んだお客さんの話を聞くとか、そういうことは大切にしてきたつもりであります。

 そんな中で、やっぱり京都の課題。典型的に言うと観光課題でありますが、そういう課題。あるいは地域の担い手、町衆ということで、私がずっと京都の地域の住民の方々の地域自治に対する取組というのは高くこれまでも評価してきたんですが、そこがやっぱりだんだん高齢化して、担い手不足になっている。そういう意味で、あるいは伝統産業というのが、担い手が非常に不足している。そんなことの課題も、深刻な課題も実感しましたが、同時にいつも言っていることですが、自分の人生半分ぐらい東京で生きてきた人間から言うと、やっぱり京都の素晴らしい地域資源の豊富さ、可能性というものも改めて実感した1年であったと思います。

 そういう意味で、私は課題というのはチャンスでもあるというふうに考えて、それをチャンスというふうに捉えるか、あるいは課題をそのまま放置するか、積極的に提言を打てるかどうかによって都市経営というのは明暗を分ける。でも、そういう意味では、今回はある程度、その課題に対して向き合って、そしてそれをチャンスとして捉えるような編成にしていきたいというふうに考えているものでありますし、昨年12月に皆さんに御説明した新京都戦略の骨子、これについても、多数の御意見をいただきました。そして、約1,900件のパブリックコメントいただいていますが、それ以上に、いろんなところで、私自身がいろんな方々から意見を受けた。それは件数にカウントされていないようなものまで含めてたくさんの御意見をいただいて、これについては今、鋭意受け止めて、新京都戦略(案)としてしっかり市会にもお示しして議論ができるようにしていきたいと同時に、そこで得た新京都戦略を骨子、あるいは案をつくるに至って、いろんな方々からいただいた御意見というのは、令和7年度予算編成でもできる限り受け止めていきたいということで、盛り込んだつもりであります。

 資料に則って御説明したいと思います。最初2ページでございます。もう、これはもう皆さんから言えば耳にタコができたということかもしれませんが、「居場所」と「出番」があるという、どちらかというと包摂的な概念と、やっぱりまちとしての個性をさらに伸ばしていくというこの2つの、一見相反するというふうにも見られがちな概念を両立させていきたいというのが私の基本的な考え方でありまして、この矢羽根、3つ書かせていただいていますが、やっぱり結果としてまちに夢中があふれるまちをつくりたい。いろんなことに夢中になる人たちがたくさんいるまちをつくりたい、そして誰もが幸せを感じて、生きがいを持って活躍できる「ウェルビーイングなまち」を目指したいということが1つ。

 もう1つは、いろんな世界中から、あるいは日本中から多彩な人々が集って、それが市民とか、地域の団体とか、企業とか、多様な主体と交ざり合って、そこから新しい価値を創造する「ぬか床のようなまち」、京都を作りたい。

 それから、どこか、東京を目指すとか、大阪を目指すとか、ロンドン、ニューヨークを目指すというのではなくて、京都ならではのよさというものを引き出して、そして世界中の人がそこに住みたいな、働きたいな、そこに訪ねたい、何度も訪ねたいなと思えるような、唯一無二のまちをつくっていきたいということでございまして、そこら辺は新京都戦略にある程度概念として盛り込んだところでございます。

 3ページをお願いいたします。基本姿勢ですが、4つ。市民生活が第一だということ。そして新たな伝統に根ざしてはいるけれど、新しい京都を切り拓いていく。そして私がもうこの20年来申し上げていることですが、もっと言うと30年間、阪神・淡路(大震災)以来ずっと言い続けていることですが、新しい公共。市役所の人間、あるいは国の官僚だけが、あるいは政治家だけが公を担うのではなくて、できるだけ多くの市民の皆さん、あるいは企業の方々も含めて公を担っていく。そして、我々は官と民、内と外の垣根を低くして、結節点として公をいろんな方々が担っていく。いわば結節点のような、ハブとしての役割をもう少し強めていきたい。

 そして、こういうまちづくりをする上で市役所とか職員。昨年いろんな不祥事で御心配もおかけをしましたが、市役所・職員がもっと明るく市民と対話をしながら、そして風通しよく仕事ができる、机の上でだけ政策は考えても煮詰まってしまうことが多いですが、できるだけ市役所・職員の風土も変えていきたいと思っております。

 次のページをお願いします。3つの視点はひらく、きわめる、つなぐでありまして、それぞれ漢字を2文字ずつ当てさせていただいております。オープンであると同時に、フロンティアを開拓する。そして、学究都市、大学都市として究める、学究も大事でありますが、それを職人芸としての極めということも大切にしたいし、そして次の世代に責任ある改革をしなければいけない、今の時代がよければいいということではなく、多少負担が今あったとしても、それを未来に、将来世代に先送りしないという、つなぐ、あるいは京都の素晴らしい伝統を、次の時代にいかにつないでいくかということと、横の絆、つながりというものを大事にするというのが3つの重要な視点だと思います。

 次のページをお願いします。政策の基本方針は6つ挙げさせていただいておりまして、1つは文化の力で新たな魅力・価値を創造する。2つ目は包摂性。そして3つ目は都市の活力と成長を支える産業をやっぱり育てていかなければいけない。そして、4つ目は未来を担う子ども・若者を育む。5つ目はこの京都の素晴らしい文化というのは、豊かな自然、三山や鴨川、桂川をはじめとした山、川、そして豊かな水、こういう自然環境と調和する持続可能なまちをつくっていきたい。6つ目が、やはり安心・安全で災害に強いレジリエントなまち。これは我々自身も被災する可能性がありますし、もっと大きな災害が別のまちで起こる可能性も、これから長期でいうといつ起こってもおかしくない。こういう考え方にのっとって、「リーディング・プロジェクト」として強力に推進していきたいというのが、今回の予算編成の大きな考え方、基本方針でございます。

 次、資料の7ページでございます。先ほど申し上げましたように、実質初めての通年予算、編成作業でございます。今年度が種まきとなる基盤づくりだとすれば、世界都市の実現に向けた本格展開予算だと思います。もちろん、ここがゴールではありません。もっと足の長いプロジェクトがあるので、正直言うと、例えば今年、ホップ、ステップ、ジャンプという意味でいうと、ステップでありまして、ジャンプをするためには、制度的なものが必要。それは後で申し上げますけれど、例えば非常にまちづくりについて長期の計画を立てなければいけない。まちの在り方については景観をどう維持していくのかということについては、そういうものはしっかりとした議論が必要ですし、例えば財源として、新しいことをやるための財源というものを、宿泊税を提案して、それをもってまちづくりを進めていく、観光と市民生活の両立をする。

 それはまだ、宿泊税は今のこの令和7年度は現状のままなものですから、あるいはいろんな、例えば市民優先価格のようなチャレンジというのは、観光と市民生活の両立の非常に大きな、私にとっては、金額が大きいか小さいかは別として、考え方として非常に大きなジャンプなんですが、そういうものができるというのは、やっぱり制度的にもう少し時間かかりますから、ここがゴール地点ではありません。その先がさらにありますけれど、私としては基本的には、やはり本格展開予算だとは感じております。

 8ページ、お願いします。8ページでちょっと詳しめに説明しようかと思ったんですが、後のページの途中のいろんな政策ごとのところを割愛しようかと思ったんですが、ちょっと後のほうも含めて少しお話するんで、8ページはこの(1)、(2)、(3)で、ではどんなものが入っているのかということだけ簡単に申し上げますと、1点目は市民生活を守る、この下の下線を引いてある施策、これはいろんなものがありましてね、地域企業、DXの推進、市民生活と観光の調和・両立、あるいは救急隊の増隊、あるいは健診機会の充実、いろんなものが入っていますが、市民生活を守るという意味では一つのくくり。

 それから2つ目は人口減少ということで、これも第2子以降の保育料の無償化というのが今回の予算の一つの大きな目玉でありますが、「安心すまい応援金」、この充実も大事ですし、公園を魅力あるものにしていく。教育の中身を変えていく。後で御説明します。

 3つ目は京都の価値を、強みを生かした先導的・挑戦的な政策、取組ということでありまして、スタートアップ、これは世界と社会にインパクトを与える。この2つはちょっと似ているようで違うんですね。その取組、あるいは海外企業誘致は、逆に京都の企業、地域企業を海外に応援していく、展開してもらう、あるいは区役所とか学校という場をどう作って交じり合いを作っていくか、様々なものがありますが、この予算のポイントとして3つ挙げさせていただきましたし、そして、特徴として、府市協調・オール京都。府市協調というのは皆さんに何度も言っている話ですが、オール京都というのは、経済界とか、社会団体とか、教育界とかも巻き込んで、できるだけ京都の総力を挙げて、いろんな方々と連携していきたい、それはまさに公民連携の新しい公共でもあります。

 そして、京都は今回、ある程度財政危機という非常に危機的な状況からは次のステージに来たとは思っていますが、それでも後で御説明しますが、そんなに豊かな財政、打ち出の小槌があるわけでありません。だけど我々には、素晴らしい人材が京都にいらっしゃっていただいてるわけだし、市役所の人にもたくさんの政策的なアイデアがあります。お金が裕福でなくても、知恵が裕福な、そんなまち、京都でなければいけないので、先ほど申し上げた公民連携、あるいはゼロ予算での新しい事業の取組、知恵を出していきたい。それが我々の予算のポイントであります。

 次のページをお願いします。ここは、府市協調。後でこれはもう説明すると長くなりますので、府市協調弾というのを並べてみました。後でよく御覧ください。先週でしたか、知事が会見して、たくさん府市協調という言葉を御説明いただいたということになって、我々も「まるっと京都」なんかはここに「まるっと京都」とは書いていませんが、その類似の概念まで含めて、10個余り書かせていただきました。ちょっと説明すると長くなります。

 次、これは新しい公共の推進でありまして、これは要するに多彩な方々と一緒になって、公の政策を展開していこうというようなものを並べさせていただいて、後で話をしますがゼロ予算、典型的に言うと、トヨタ自動車さんとのドライブレコーダー映像を活用した消防活動への実証実験みたいなものはゼロ予算でありますが、新しい、日本でも有数の新しい取組で、そういう知恵とネットワークを生かした予算編成、ゼロ予算まで含めた政策展開を目指していきたいと思います。

 次が11ページですね。予算の概要でありますが、予算規模はそんなに大きく変わっていません。皆さん、攻めの経営と言う割には予算規模、横ばいじゃないかと思われるかもしれませんが、ちょっとよく見ていただくと、実をいうと令和6年度予算は第一次編成、第二次編成の合計で重複カウントがありますので、そこの重複を除くとほぼ横ばい、プラス1億円。実は、これは一般財源としての投入ではありませんけれど、中小企業融資制度のこの残によって変わるものがありまして、そこが令和6年と7年の数字が違いまして、この中小企業融資制度の預託金を除く予算規模で言うと、281億円増になりますので、実質的には、実は令和6年度に比べて大幅に増加はさせていただいておりますが、しかし、例えば投資的経費について、我々が後で御説明する自分たちのライン、ある程度の安全ラインというのを見込んでいるのに対して、少ないと思われるかもしれませんが、ここら辺については後でまた御説明させていただきます。

 一応、規模としては過去2番目の規模にはなっております。スクラップアンドビルドをしっかり行いまして、限られた財源の中でしっかりと取り組ませていただいているつもりでありますし、施設の計画修繕なんかは、できるだけ前倒しするなど、これまで以上に施設的に言うと老朽化対策は推進する予算になっております。

 歳出・歳入のそれぞれの内訳について言うと、歳入については市税収入が3,361億円。そして過去最高を更新する見込みであります。

 歳出については12ページ。社会福祉関連経費が令和6年度に比べて84億円の増、そして今申し上げた中小企業融資制度預託金は280億円の減、この分だから年度でプラスに出てくるわけですね。それから投資的経費は、これ実は市庁舎整備が終わったと、あるいは醍醐のエリアでの小中一貫校の建設がもう4月に開校なので終わったということで、その分の令和6年度に比べて大規模工事が終了して減となりますけれど、消防指令センターの整備など、老朽対策も計上しておりまして、そういう意味ではしっかり必要なものは計上させていただいているつもりでございます。

 それで、予算については収支均衡を維持しておりまして、併せて公債償還基金の計画外の取り崩し、いわゆる過去負債の返済については、これ昨年も同じ考え方でありましたが、計画どおり10億円を予算レベルでは計上しておりまして、これで令和2年度末に最大642億円あった残高は、いわゆる過去負債について言うと、425億円まで減少をいたしておりますし、今後7年度の補正予算と合わせて年35億円を目安に返済していくというスタンスに変わりはございません。

 13ページ、お願いします。今後の行財政運営につきましてですが、歳出抑制に軸足を置いた財政運営でなく、歳出上限を設定せずに、京都のまちの魅力や市民生活の豊かさのさらなる向上を図り、担税力を強化する持続可能な行財政の確立につなげていくという方針であります。市民参加の下で、できるだけ財政状況の見える化を図りつつ、社会経済情勢に応じた不断の点検を行って、限りある財源と人員を、京都の価値を高める施策へ重点的に配分する。価値を高めるものが何であるのかということで、私がいろんな事業について慎重であったり積極的であったりというのは、皆さん、もう御承知のとおりなんで、改めて御説明をする必要はないと思います。

 こうした考え方で、来年度予算を編成しておりますけど、財政的に一時ほどは切迫しておりませんけれど、しかし、引き続き、いつも申し上げることですが、人口の1割を大学生が占めております。地域の4分の3が森林・農地であります。そして木造家屋がやっぱり圧倒的にほかのまちに比べて多いということもありまして、京都ならではのこの都市特性はプラスにも働きますが、税収面では依然として課題は残っておりまして、また、インフレが進む中であらゆるコストが上がっております。私は人件費などもしっかり上げるべきだと考え方でありますが、そういう問題、あるいはこれからの人口減少の課題、そして経済の先行きに不安定要素があるというようなことを考えれば、引き続き緊張感を持って財政運営に取り組んでいく必要があると考えております。

 15ページに中長期の財政収支試算、これ見通しというよりは試算なんですね。というのは、いろんな諸条件でこれが本当にこの見通しが、試算が正しいのかと言われれば機械的に行ったものであります。

 次のページ。今後の30年間の目途を、見通しを立てています。この資料を出しているのは財政が安全だということではありません。これをつけているのは機械的に、例えばこれ以外のリスクがあって、もっと実際の収入が下がるという可能性がありますし、いろんな公債費など、あるいは人件費がもっと上がってしまうという可能性もあるわけです。

 機械的に算出しただけでこれぐらい。これは何を意味するかと言うと、公債発行額を年間450億円程度を守って、そのラインが守ったとしてどうなるか。そのときに、これ見ていただいて分かるように、右側の発行額を見て、公債費がある程度の段階で、どちらかと言うと収束して安定していく。その前提で初めて、見ていただいて一番下の濃い青のところを見ていただきたいんですが、いろんな例えば社会福祉関係経費、これもっと増えるかもしれませんよね。それから人件費、これだって分かりません、物価の上昇に応じては。それを維持して、比較的公債発行限度額を一定程度に収められたとしたとして、それ以外の歳出が、見ていただいたら分かるように増えないんです。これで本当に収められるかどうかも分からないんです。何とか、あんまり拡散的なことをやらなければ何とか収支は持つというレベルであって、これで収まるという保証はないし、逆に言うとこれを、例えば投資的経費を、これから私は過小投資の部分があって、もっともっと京都は投資が必要だと思っていますが、それをどんどんやっていくと、ここが圧迫されて、この青い線がもっと食い込んで下に行く可能性があるということを、念頭に置かなければいけないということで、この30年間の試算を出しているんです。これは安心だという試算ではなくて、なかなかしんどいよということを自戒しなければいけないために、つけさせていただいてるものだということを御理解いただきたいと思います。

 そして、本来はその後、18ページ以降のものは、私、今日ここで御説明しないというふうに思っていたんですが、そうはいっても記者会の皆さんには、事前事後を含めて事務的にいろんな補足説明する機会もありますが、この映像だけ見ておられる方もいらっしゃるので、ごくかいつまんで御説明したいと思います。

 19ページを見ていただくと、新たな価値、魅力・価値を創造し続ける政策ごとの取組の<1>という大きな項目で、令和7年度予算で118億円を計上させていただいています。その中身というのは20ページから21ページ、そして22ページにかけて、その主な取組というのをリストアップしております。

 ちょっと20ページ、戻ってもらっていいですか。ここの新たな魅力・価値を創造し続けるまちというくくりで政策メニューを書かせていただいたものは、例えば先ほど申し上げた多彩なクリエイティブ人材を受け入れるという事業、あるいは次世代の担い手、支え手の育成も見据えて、子どもたちが文化にもっともっと幅広く触れる体験をしてもらおう、これ私、京都の圧倒的強みだと思います。ほかのまちに絶対真似できない、そういうところをもっと子どもたちに機会を提供していきたい。

 それから、文化遺産の保存と活用、こんなに文化遺産があるまちなんだけれど、文化遺産に対する保存・修繕に対する京都市の財政というのは、非常にこれは、皆さん長く取材されている方は御存知のとおり、なかなかこれでは不十分なんですけれど、やっぱり非常に足りない。それについてはもう少し、少しずつ手当ができないか。

 それから海外からの相談・対応。世界からもっともっと人材とか投資を呼び込まなければいけないけど、では外国籍市民に対して、ちゃんと生活の情報が行き届いているかと言うと行き届いていない。これは実を言うと大学ともっともっと連携して、もっと加速していかなければいけないものですが、一応今回は環境の充実というようなものの芽出しをさせていただきます。

 次のページをお願いできますか。そして、これはもう観光ということですが、観光は2つあります。これは「まるっと京都」ですね。さっき申し上げました府市協調をさらに進めていけないかということで、府とよく相談していきたいと思っておりますし、海外のクリエイティブ層は京都の素晴らしい観光資源として、トレッキングルート、京都トレイルというものがものすごく魅力だというクリエイティブ層が多いんですね。こういうものをもっと整備できないか、今はまだ人を呼び込めていない花背・八丁平地域も素晴らしい資源がありますが、そういうところを補修する。金額的には少ないですけれど、こういう自然と観光というものを、もっと魅力を磨いていきたいと思いますし、それから、やっぱりMICEを誘致するときに、我々国際会館なんかはホールの整備でちょっとはざまに当たるような時期、どうしてもMICE誘致で力が落ちるようなときに、もっとユニークベニューを活用して、京都の魅力を発見していただけないかというようなことも行っていきたいと思いますし、先ほどの再掲ですが、クリエイティブ人材の受入れ環境、そして若者と交ざってもらう。

 それからもうちょっと足が長いプロジェクトですが、美しい町並みを維持・保全する。これは京都市の中心部ですね。中心部の美しい町家なんかの保全のための在り方。これ審議会でこれから議論をいただく話ですから、これ急に私が、市長がこれやりたいとか言ってすぐできるわけじゃありません。町並みに関して言うと、やっぱりしっかり専門家の議論が必要でありますが、そういうものも手をつけていきたいと思いますし、次のページをお願いします。

 例えばデジタルマップの活用、観光地の混雑分散化、あるいは京都駅の混雑緩和、あるいは地域の散乱ごみ対策、ごみの減量の仕組み作り。これは本当に民間と我々の環境政策と、しっかり地域が連携したものができないか。

 それから、この下のこの市バスの市民優先価格は、大分いいところまで来ておりますので、何とか見通しをつけて、これを挑戦して実現していきたい。そして、それが実現できるような状況になってくると、それを実装するために、どういうふうに市民を識別するか、当然それは何らかの形で、電子的に市民であるか市民でないかということの実証をしていく。もしその制度ができれば、将来的にいろんな市バスの価格対応なんかも、ひょっとしたらいろんな対応ができる1つのプラットフォームが整うことになるかもしれません。

 それから、細かなことかもしれませんが、やっぱり公共トイレについてのアップグレードであるとか、もう市民がもっと観光の意義を実感できるような環境をつくっていきたいと思いますし、これも大事なことで、本来であれば今年度でもたくさんの投資的経費を計上したかったけれど、やっぱりなかなかそういうわけに行きませんが、やっぱり学校体育館は避難所になるわけで、ここの空調をどう入れていくかということについて、我々はまだ調査段階でありますが、これは計画的に相当程度やっていかなければいけないという段階にあると思います。

 次、お願いします。そして、2つ目の、さっきの上の鍵の、この包摂性の鍵で、令和7年度予算で293億円掲げております。ちょっと趣旨は飛ばしまして、具体的な取組でいいますと、こちらにありますように、例えば区役所とか学校というパブリックスペースをどう使って、いろんな方々がもっと対話をして、地域課題の解決を目指すような取組。新しい公共そのものでありますが、それをもっとできないか、学校をもう1回地域に戻していく。地域がよくしてくださった学校というものをもう1回地域に還元していく。区役所も庁舎も全く同じことであります。

 それから、図書館。私も図書館で、これ市会でも議論をしましたが、京都はいろんな図書館があります。老朽化しているものもありますが、これをまちづくりの拠点になるような新しい多機能な図書館づくりというものの考え方をつくっていかなければいけないし、新しいネットワークも作っていかなければいけない。京都は大学の図書館もあります。そういう意味では、いろんな公的図書館のネットワークをどうつくっていくか、そして図書館以外のパブリックスペース、例えば子育ての拠点みたいなものと図書館をどう組み合わせていくのかということを、いろんな地域ごとに考えていく。その新しい図書館づくりに着手をしなければいけないと思います。

 それから、先ほども申し上げましたが、人と人をつなぐ結節点をどう作っていくか。それから地域で見守り、支え合う仕組みという意味においては、例えば、これはケアラー条例が可決されましたけれど、このケアラー支援をどうしていくか、あるいは性被害とか、いろんな問題、DVとかある、若年女性等への支援をどう強化していくかということも大切かと思います。

 次、お願いします。そして、さらに福祉・健康の分野で言うと、医療的ケアが必要な方を受け入れる施設に対して、どんな支援をしていくのか。重度障害を受け入れる目的で行うデイサービス、グループホームの施設改修費を補助する、あるいは、スマホとかアプリを活用して、認知症の方の見守りの仕組みをどう体制を強化していくか。

 それと京都の健診率が低いものですから、胃がん検診の新規対象者向けの個別推奨と、自己負担全額を初回無料にするとか、あるいは受診勧奨の取組を強化するというような形で、オンライン予約など、受診しやすい環境を作っていく。あるいは妊婦、それから実は妊婦だけじゃなくて、そのパートナーを対象とした歯科健診、歯周疾患予防健診の充実。これ、口腔の健康維持というのは、非常に健康寿命の延伸につながるものですから、そういうものも充実させていきたいと思います。

 次、お願いします。さらに次は3番目のくくりの都市の活力と成長を支える産業。1,259億円といいますが、実は先ほどの預託金の部分がありますので、実はそんな大きくはないです。

 次のページをお願いします。ここは、私、やっぱり経産省の役人であったものですから、やっぱり産業基盤をちゃんと作っていきたいというふうに思っておりまして、これは地域企業のしっかりDXとか、海外展開支援、販路開拓というものを支援する。それから素材研究からデザイン、実装までを含めた半導体産業振興における体制を構築する。これは府市協調弾であります。

 それから伝統産業を、新しい用途をどう開発するかといった事業者との連携、商品開発の新しい事業者と連携して、伝統産業にもう少し新しい息を吹き込んでいきたい。

 それからDX支援など、これは非常に好評を得ておりますので、地域企業の成長の下支えのための政策ですね。

 それから、さらに言うとスタートアップの話でありまして、先ほど申し上げました世界と社会にインパクトを与える。世界にインパクトを与えるというのは、やっぱりディープテック、特にライフサイエンスを中心としたディープテックは、やっぱり世界にインパクトを与えるようなスタートアップを支援していきたい。

 同時にもう1つ大事なのは、社会にインパクトを与える、社会課題解決型のスタートアップというのも、これは京都らしいプロジェクトとして、これ地域金融機関とか大学の方々でも非常にこれ熱心な方々もおられますんで、それを応援していきたいと思いますし、とにかくもう少し、例えばオフィス、これは経営人材が不足しているしオフィスが不足している。そういうもののオフィス支援という意味では、従来の金額の大規模テナントオフィスとか、レンタルラボの立地助成金は上限3倍にするというようなこともしますし、できるだけ我々の産業観光局に、非常に熟練のチームがいます。そのチームを強化して海外展開支援、あるいは海外の企業誘致、国内の企業誘致、さらに力を入れていきたいと思います。

 はい。次、お願いします。次は4つ目のくくりで、これはいわゆるはぐくみですね。これは431億円を計上しておりまして、これは今回の予算の目玉である第2子以降の保育料の無償化を4月から実施していきたいと思いますし、国のモデル事業として新生児の先天性代謝異常等検査の対象項目を22疾患にして、府市協調でモデル事業として実施していきたい。

 それから妊産婦とか育児についての相談体制を強化していきたいし、それから「京都安心すまい応援金」、この2年度限りの事業でありましたが、大変好評なので、これは、もともとは2年間で確か560件ぐらいの枠を取っていたんですけど、それを2年で800件に、倍増近く大幅に拡充して応援していきたいと思いますし、さらに安心すまいバンクを創設して、空き家情報を公開してマッチングしていきたいと思いますし、こどもまんなかの公園魅力アッププロジェクトというのを推進していきたいと思っております。

 はい、お願いします。さらに言うと「探究エキスポ」。これはさらに教育というのは、学力は非常にいいんですけれど、さらにそれを京都型で個性のある教育を実現したいということで、これも府市協調ものですが、「京都探究エキスポ」、昨年の12月21日にやったものは非常に好評だったものですから、これを今年はさらに規模を拡大して、できたら非常に名刹と言われるようなお寺を活用して、そこのお寺で、言うたら1泊2日で、こんなことあんまり今言ったらいけないんですよね。生徒さんたちが実行委員会をつくって、どんなのやろうかというふうに考えているんで、そこをあんまり我々が先に言ってしまうのよくないんですけど、私の考え方としてはお寺をいくつか協力をお願いして、そういうところで合宿形式で、お寺の本堂とかをお借りして、皆さんが1泊2日で寝食をともにして議論するような機会があると、すごく子どもたちの探究心をさらに刺激するのではないか、そういうことを強化できないですかねという話を知事と今させていただいているところであります。

 環境に関する探究教材というのも、もっともっと開発して、しっかりワークショップを通じてやりたいと思いますし、さっき学力は大分いい成果が出ていると言いましたが、やはりもっとコミュニケーション教育であるとか、あるいは英語教育であるとか、そして大事なのはSTEAM教育ですね。こういう文理融合のSTEAM教育の充実に向けた協力関係をさらに府市で強めていきたいと思いますし、それを京都の場合は高大連携、それはもっというと中学校から高校へ連携し、高校から大学に連携し、大学からスタートアップにシームレスで展開していきたいと思いますし、これは教育の問題だけじゃないですが、さっきの防災というものも含めて、やはり学校体育館の空調設備をいかに維持する、防災機能をどう高めていくか。それから地域がいろんな活動、地域活動を支援するという意味でも、これは大事で、こういうふうに再掲、再掲と出てきているというのは、局をまたがった政策がそれだけ多いということですね。

 はい、次、お願いします。5つ目でありますが、これは自然環境と調和する持続可能なまちで123億円。

 次のページ、お願いします。これは、「生きものむすぶ・みんなのミュージアム」構想。これ別に、何か大きな箱物を造るというよりは、さっき図書館、多機能の図書館みたいなものを考えるというような話をしましたが、いろんな箱物を分野横断で、これは環境政策局とか、これは教育委員会とか、これは文化市民局とかいうことではなくて、分野横断でいろんなものを、いろんな、例えば施設を使いながら京都らしい学びを展開していきたいということであります。

 それから、サーキュラーエコノミーを体現するビジネスモデルの創出。やっぱり環境と経済を両立させる取組。

 そして、水源涵養、災害防止に寄与する天然林化に向けたサポート体制。先ほど申し上げたトレッキングルートの開発であるとか、美しい町並みの維持・創造というのは都市計画局だけの問題ではなくて、どういうふうに、ではどういう市内産の木材を使った住宅を造っていくのか、補修をしていくのかということを含めて、環境なんかも視野に置いて、また産業面も視野に置いて展開をしていきたいと思っております。

 次、お願いします。最後、安心・安全で災害に強いレジリエントなまちで、これは375億円を計上しておりまして、次、お願いします。これはもう言わずもがなでありますが、公共インフラというのは、私は、これは昨年度の第一次編成予算でも申し上げたことですが、しっかりこれ老朽化対策、これそして、いろんな最近上下水道をめぐる他地域の問題も出ています。

 それから、京都市の問題もありますが、しっかりインフラ整備、もう1回再点検するものは再点検しなければいけないと思いますし、これは「まちの匠・ぷらす」、これもそこそこ使われていますが、これしっかり使っていただいて、やっぱりその地域の防火対策、耐震対策につなげていきたいと思っておりますし、先ほど、昨年令和6年度予算の話でも言いましたが、密集市街地対策に向けた大規模修繕の促進に向けた計画策定、あるいは先ほどこれも何度も計上でありますが、空調、学校体育館の空調。そして、やはり京都の場合は、市民のみならず観光客が非常に大量に、常に滞在されるまちなので、そこの安全ということも含めて、万全を期していきたいと思いますし、ハザードマップ、これWEB版でもうちょっと水害、土砂災害とか、想定区域をより分かりやすく重ねたものを、WEB版で作っていきたいと思っております。

 次、お願いします。そして、当然のことながら、この消防体制、これは、京都は日本の中で誇る消防体制を持っていますが、さらに南部消防指令センターの共同運用、これは投資的経費もかかります。先ほど申し上げたゼロ予算という意味では、トヨタ自動車さんとの共同によるドライブレコーダー映像を、消防活動に活用するという実証実験に取り組みたいと思いますし、さらに救急隊、最初に申し上げましたが、やはり救急需要が非常に増えております。この救急隊を増隊していきたいと思いますし、電話相談窓口も充実していきたいと思います。

 ということで、次、お願いします。以上、申し上げて、ちょっと長くなって申し訳ないです。もうあと駆け足で行きますが、リーディング・プロジェクトごとの予算額は、こういうふうに参考までにつけておりますが、これはもうスキップしていただいて結構です。

 それから、項目別の予算額もちょっともう時間が長引いてきていますんでスキップしていただいて、46ページ、補正予算。令和6年度2月補正予算について言いますと、今、国の経済対策と歩調を合わせて、できるだけ活用させていただいて、物価高騰が続く中でも生活者支援と事業者支援を両立させていきたいと思っておりまして、令和7年度当初予算と一体となった予算編成をしていきたいと思っております。

 そして、市民生活・事業の下支えに23億円の予算を計上しておりまして、11月補正において京都市くらし応援給付金で84億円計上。今回の補正予算では国の交付金を活用して、市民生活を支える地域公共交通の支援に使わせていただいております。

 そして、京都経済を支える中小企業等のさらなる成長につなげていくための生産性向上、経営基盤強化につながる取組を後押ししていきたいと思いますし、市民の安全・安心につながる防災減災・老朽化対策では、この106億円をこの令和6年度補正予算に計上させていただいておりまして、災害時の避難所運営資機材の拡充、あるいは道路・河川等の防災減災対策、学校の長寿命化対策、防犯活動への支援などを令和7年度当初予算と一体的に推進しております。

 47ぺージをお願いします。その他、394億円のうち、政策的な事業に38億円を計上しておりまして、府市協調のバッチをつけさせていただいておりますが、「京都駅周辺まるごとゲートウェイ」を推進する、あるいはこっちが先ほど申し上げた、ちょっとまぎらわしい名前ですみません、「安心すまい応援金」のほうで応援金、あるいはそれに加えて木造住宅、京町家の耐震診断派遣の予算額を充実する。

 さらには国民健康保険料、これは今後引き上げをせざるを得ません。その保険料の引き上げ幅の軽減措置に向けた支援、あるいは区役所・支所の住民票発行窓口における案内業務のさらなる委託化などの予算を計上させていただいております。

 令和7年度当初予算、令和6年度2月補正予算(案)の説明は以上でございまして、全ての人に「居場所」と「出番」のある、「突き抜ける世界都市」の実現に向けて、引き続き邁進していきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、ホップ、ステップ、ジャンプ、やはりもう少し長期で時間がかかるものは、これは7年度には入りません。いろんなものの、例えば投資的な事業について言っても、皆さんもお分かりのようにいろんなものが残っています、まだまだ。例えばコンサートホールをどう改修するとか、あるいはスポーツ施設をどう整備するかとか、あるいはまちづくりをどんな、今後町並みを整備していく、そのためにどんな支援をするのか、そこら辺の話になってきますと、やはり宿泊税の収入も得て、そしていろんなシステム、先ほどの市民優先価格もそうですが、いろんな例えば市バスに乗るときの住民識別のそういうインフラが整った段階で、さらにこれを展開していって、さらに長期的な、私は京都のまちに対する投資的な事業も前に進めていかなければいけない。今日何度も出てきている学校の、例えば空調の更新もそうですし、例えば体育館における空調設備をどう入れていくか、この辺のところがまだ入り込んでいません。それに向けての調査をするという段階ですので、そこら辺がフルに入ってくるのはさらに令和8年度という風になってくるとは思います。

 この機会に、一点私自身のことも含めて、給与について併せて御報告をさせていただきたいと思います。

 昨年12月25日に、23年ぶりに開催させていただいた特別職報酬等審議会から答申をいただきました。その際にも、審議会の答申は社会情勢の変化や他の政令指定都市の状況等、多角的な視点で、外部の有識者の方に十分議論をいただいた結果でありまして、これはもう基本的に最大限尊重する必要があるという認識を、昨年にもお示ししたとおりでございます。

 私、公共人材の確保というのが、この間非常に切迫した課題になっております。市役所の職員も、優秀な職員がまだまだ市役所を志願してきていただいていますが、途中でやはり退職する職員というのは、国ほどではないかもしれませんが市役所でもいます。やっぱり、しっかり公共的な仕事に働く方々は、処遇を進めていく必要があると思っておりまして、それは特別職も同じではないかと考えております。

 公共人材の確保という観点からも審議会からの答申を受けまして、特別職の給与についても、本来あるべき水準にするべきであるという風に考えておりまして、市長及び副市長の月例給について、審議会の答申どおり改定させていただきたいと考えております。

 なお、集中改革期間中ということを理由に据え置いていた期末手当の支給月数、これはもう当然一般職はずっと国と全く同じ比率でありまして、それに対して、市長・副市長はもちろん国の指定職と同じく低い水準でありますが、0.2か月分引き上げて、特例的な措置である給与カットについては、今年度末で終了させていただきたいと思います。これについて、関係条例については2月市会で提案させていただきたいと思っております。

 私からの冒頭の説明は、長くなりましたが以上でございます。よろしくお願いいたします。

質疑応答

発表案件に関する質問

記者

 今回、京都というまちを思い描くまちにしていくための本格展開予算であり、ホップ、ステップ、ジャンプのステップに当たると御説明いただきましたけれども、初めての通年予算を編成し終えての今の満足度と、あるいはステップに移行させたかったけれども、盛り込むことがかなわなかった点、施策がありましたら教えてください。

市長

 これは市役所の職員、幹部から、中堅の方々を含めていろんな方々と議論をしたので、現時点で盛り込むべきものは盛り込めたと思っております。特に、やっぱり財政の状況を考えると、先ほどの国民健康保険の府への納付金の不足額が半端ではない水準になっているとか、あるいは全体の財源で見ると、そんなに余裕があるわけではない。例えば、障害者福祉の関連で、本来であれば国がある程度補助で見られるべきものが、地域の都市特性というものが超過負担というのが生じていて、それが何十億円レベルで生じているというようなものがあったりとか、予算編成する上ではなかなか悩みは多かったです。悩みは多かったけれど、何とかこの予算の収支の中で、そして今の税収の見積りの中で、それなりに自分の個性、京都市のこれからのまち、それこそ今、長期ビジョンの議論もしておりますし、新京都戦略の議論をしているような主な項目については、個性は出せたかなと。ただそれは、もう少し、先ほどから何度も言っているように、例えば、やっぱり体育館の空調とかをもう少し早く、いつ災害が起こるとも分からない、真夏に災害が起こったときに熱中症になってしまいますよね。だから早くやりたいけれど、しかしそれは一気に早くはできない。やっぱり計画的にやらなければいけないし、どんな方式でやるのかということも議論しなければいけない。だからそういう意味では、ステップにとどまったものもあります。

 それから、人口流出は、最近も新しい数字が出ていますが、なかなか歯止めがかかっていない。我々も、先ほど申し上げた第2子以降の保育料の無償化、あるいは安心すまい応援金というような、できる限り京都の財政の中で思い切ったものを展開しているつもりですが、それでも人口流出に歯止めがかからない中で、大学生にどうやってこの京都のまちに残ってもらうかというようなことについて言うと、もっと大学と連携しながら、京都府の制度とかともっと連携しながら、さらに大学生が京都に残ってくれる、そして京都で仕事をしてくれるようにつなげるような取組を、これはもう大学コンソーシアムなんかとも連携して、もう少し考えていかなければいけない。今回の予算の中にもある程度盛り込んでいますが、まだまだ深掘りする余地はあると思っております。

 そういう意味で、先ほど、ホップ、ステップ、ジャンプといったときに、ステップである程度のもの、私どもの問題意識のものは盛り込んだけれど、じゃあメニューがタイミング的にこれで全てフルスロットルに踏み込めているかというと、まだまだこれからいろんな事業、さっきの京都らしい町並みをどう保全するかなんていうのは、これは一朝一夕にできるわけじゃなくて、いろんな審議会の方々の御意見を聞きながらまちづくり、じゃあ我々はどんな規制の在り方を考えるのか、あるいはそれに対するどんな支援をしていくのか、これは宿泊税をいただいて、それをどんな助成をするかということになってくると。これは次の年度、さらに令和7年度の先にどんなものを作っていくか、観光と市民生活の調和といったときに、観光特急バスを走らせているけれど、今のバスの運転手さんが恒常的な不足の中で、平日にこれ以上観光特急バスが走らせられない、あるいは、土・日も含めてこれ以上台数が増えない、増やしたって運転手さんがいないという状況の中でどうやって運転手さんを確保するか、もっと言うと、京都の中で車庫をどう確保するか、そういうことを考えていかないと、これはもうちょっと踏み込みたいと思っても、まだ踏み込むにはボトルネックのようなものがあって、それが制度的ボトルネックであったり、人為的ボトルネックであったり、そのボトルネックの解消というもののためには制度を変更するとか、あるいは人員をちゃんと獲得しなければいけない。これは鶏が先か卵が先かの話なんですが、そのためにもしっかり公務労働で働く人の処遇というものはしっかり確保して、人をそこに張りつけなければいけないというような課題があるので、今の話で言うと、じゃあ全て盛り込んだかというと、時間的にも、段階的にも、これからさらにいろんな制度、あるいはいろんなプランを作っていくという段階の前の段階のものは幾つかあるということです。

記者

 今の質問と重なるところもあるかと思うんですけれども、市長がかねてから掲げておられる新しい公共ですとか、突き抜ける世界都市京都といった理念、ビジョンに基づいた事業というのが数多く盛り込まれたと思うんですが、率直に、松井カラーというのはどのぐらい出せたとお考えでしょうか。

市長

 今と同じなんですけど、現時点で、タイミング的にいろんな制度的なさらなる熟考、あるいは制度の実現というものが必要なもの以外は極力盛り込んだつもりです。もちろん、もう少し財源の余裕があれば、あれもやりたい、これもやりたいというものはありますけど、そこを今ここで私が申し上げるのは適切ではないと思うので、それはやっぱりジャンプのところに含めて、ちゃんと財源を確保して、そこの中でフルスロットルのものをさらにどう作っていくかということだと思いますね。

記者

 ありがとうございます。今の財源の話に関連してなんですけれども、過去に取り崩した公債償還基金の積戻しをしなければならないですし、先ほどの将来の長期見通しの中でも、社会保障費がこれからどんどん膨らんでいくという中で、政策的な経費、事業に使える予算というのはかなり限られたのが実情だったんじゃないかと思います。その意味で予算の捻出はかなり苦労された部分もあったかなと思うんですが、その辺りはいかがでしょうか。

市長

 私も苦労していますが、ここにいる職員の皆さんが非常に苦労していただいているのをひしひしと感じるので、逆に、だからこそ値打ちのあるものに限定してやらなければいけない、私がやりたいと思ったものを何でもすぐ全部盛り込めるかというと、そうはいかないということだと思いますし、ちゃんと堅調に税収が見積りどおり上がって、そしていろんな節減できるものが節減できて、予想外、例えば交付税が思ったほど来ないとか、これは例えば税収が上がってくれば交付税は当然減ってきますが、あるいは、例えば府の、先ほどの国民健康保険の納付金の金額なんかも我々だけでは分からないわけですね。そういうものの中で、ある程度もう少し余裕が出てきたらやりたいというものはもちろんあるわけで、そこをやっぱりある程度安全サイドで見なければいけないし、その安全サイドとチャレンジというのをどう両立させるか、少なくとも芽として、概念として我々がチャレンジしたいものは、何らかの形で盛り込んで、それが将来、例えばある程度のプランができたときには、さっきの学校の体育館の空調整備についてももっと踏み込んで計画的に行きたい。だけどその前のまず基本的な調査をし、どういう形で整備するかということをつくらずに、いきなり場当たり的にこの学校行ける、この学校行けるからこういう風にやろうという風にしていっても、かえって血税の無駄遣いになるものですから、あるいは将来の借金というものについて発散しかねないものですから、そこは慎重さと、それからやはり知恵を出して、芽は出しておきたいというものを、とにかく今回は苦労しながら、私だけではなくて、ここにいる職員の皆さんがいろいろ知恵を絞って、それこそ本当は働き方改革に反するかもしれないけど、いろんな残業もしてくださったりしながらつくった予算ですね。

記者

 いろいろと御説明いただいたんですけども、あえてこれで一つ選ぶとしたらどれを選ばれるかなというのを。

市長

 いや、それはなかなか一つって言えないですけど、皆さん的に言えば、やっぱり公約に掲げた大きいもので言うと、やっぱり第2子以降の保育料の無償化というのは、京都の今の財政規模からいうと、私自身もこれを行くかなということを相当悩みながら決断したものではあります。

 あとは、だから金額の多寡ではないですね。やっぱり攻めの都市経営という意味では、例えば産業誘致、企業誘致なんかも、金額的にはそんな大した金額ではありませんが、これはやっぱりしっかりチームを作って、もっと、もっと、これは日本の中で、やっぱり企業誘致のライバルっているんですよね。京都はそういう気風が形成されてきたのはここ数年ぐらいで、やっぱり京都がそこまでがつがつしなくてもいいんじゃないかと、僕は前、参議院をしてたときには何かそんなものを感じましたけど、今はそれが大分変わってきています。例えば福岡とか、神戸とかしのぎを削るところに負けないぐらいのチームを作って、その熱意を持って、すごい人材とか企業を引っ張り込んでくるんだと、それはIVSを3年連続で開催するとかいうことも含めて、府市協調でやっていく。それからやっぱり産業政策は、どうしても産業の活動領域は広いものですから、京都市域だけじゃなくて、府、あるいはほかの他府県も含めて、広域で連携して、取ってくるものを取ってくるということが必要なので、そこも含めて大事だと思います。

 それからやっぱり文化は、これはもうちょっと文化にお金を使うためには、さっきの町並みも含めて、やっぱり宿泊税というような財源も含めて、しっかりもう少し思い切ったものを作っていきたいんですけれど、やっぱり文化を磨くというのは、京都のキラーコンテンツだし、それから文化と接合領域で、私、学芸という言葉を新京都戦略で使ったりしていますが、その学術都市で大学とどう連携するかというのは、これはやっぱりまだ大学コンソーシアムも新しい体制になられたところで、もうちょっと突っ込んで大学コンソーシアムと連携しながら、大学と自治体がどう連携していくのかということも含めて、これは国際化ということも含めて、一部入ってますけど、そういうことも含めて、やっぱりもう少し踏み込んで磨いていきたいというものは、しかしその芽は全部一応入れ込んだとは思っています。でも学生がどうやって京都の企業に就職するかというインセンティブをもうちょっとつくるとか、そこら辺はもうちょっと大学としっかり話し合った上で、そして京都府としっかり連携して、さらに踏み込んでいきたいとは思います。

記者

 もう一点なんですけれども、この1年間で府市トップミーティングというものを重ねられて、様々、教育についても、半導体についても様々な話が行われて、今回の当初予算編成の中で、府市協調でやられたトップミーティングが今回の当初予算編成でどう意義があったかというのを伺えますでしょうか。

市長

 いや、やっぱり秋とかにフリートーキングができたというのは大きいと思います。逆に年末から年始にかけて言うと、お互いそれをどういうふうに財源の中ではめ込んでいくのかということになってくるから、そこは逆にあんまりお互いがやってしまっても駄目ですけれど、やっぱり春、夏、秋というような形で年に3回ぐらいやっていって、補正玉につなげるとか。特に秋は来年度に向けて何を重点化するか、そういう意味では金額的には非常に少ない小さい金額ですけど、例えばやっぱり府市連携で若い人の探究型の学習を応援するというのは、単に教育面での効果だけじゃなくて、その後のスタートアップとか、京都というまちにそのアカデミア、要するに高校の連携というのが大きくて、これは大学の先生方を巻き込むんですよ。それから堀川高校なんか典型的にそうですけど、堀川高校自身がいろんな全国の中学校向けに探究型学習のコーチングみたいなことをしたりしてるんですよ。そういう意味では、若い方々を新しい事業を京都に引っ張り込んでくるときに大学を巻き込んで、いかにクリエーティブな探究型の活動をしていくか、そういうことをやっているまちだということを印象づけるか、それから大学の先生方にもその意識を持っていただくか、これはすごく大事で、予算の金額以上に、このことが京都とまちの次の時代を作っていくことになると思うし、そういう大学生なんかが伝統産業にもっと触れてほしいんです。大体100人ぐらいのクラスで伝統産業西陣織の現場を見たことある人はって手を挙げても1人も手を挙げないですよ。それはやっぱおかしい、もったいないので、そういうことも含めて、しっかり若者の探究型の教育、従来の詰め込み型の学力とかいうことじゃなくて、新しい知識を究めて、そしてそれを自分がどういうビジネスにつなげていくのか、自分の人生を何にかけていくのかみたいなことをもっともっと刺激する余地が伝統産業にしても、神社・仏閣にしても、そして非常に先端的な企業にしても、大学にしても、いろんなものがあるまちの魅力をこのまちはまだまだ活用し切れてない。だからそこを広げていくことによって、いろんな展開があると思います。

 なので私は、教育委員会とかだけではなくて、大学政策だったら総合企画局であるとか、あるいは産業観光局や経済界、あるいは伝統産業とつないでいく局横断の取組をするという、このカルチャーが大事で、今日はあんまり説明しませんでしたけど、新京都戦略で一定程度、職員の働き方とか組織改革の議論をしているのは、そこを我々も部局の中の垣根を横断して、京都のまちをいかにわくわくするまちにしていくのか、次の時代を引っ張り込んでいくのかということを、この京都の魅力をフル活用するということが大事で、そういうものはある程度、金額は小さくても織り込めたと思っています。

記者

 ありがとうございます。もう一つは、2月補正予算案の中でも触れられていますが、国民健康保険料の引上げ案のことですけれども、事務方の方からは説明いただいていますが、市長のほうから改めて、なぜ引上げが必要なのか伺えますでしょうか。

市長

 これは、今、政令市の中でも京都は本当に保険額は少ない負担、そして京都府下の市町村の中でも、本当に京都は保険料が低く抑えられてます。それは、これまである程度府のほうの基金に余裕があったということもあったでしょう。そしていろんな経済状況もあったということですが、保険料引上げというものをずっと慎重に取り組んできて、一般財源で補塡をし続けてきた。ただ、これは、私はもうこの一般財源で補塡をして、保険料をそのまま据え置くというのは、私にとっては、市民の皆さんの負担、それなりのウエートの方が国民健康保険に加入しておられますから、その方々の負担を考えたら、私にとってはそのほうがいいですよ。だけど、これを一般財源で、もう金額の桁の違う金額、先ほど申し上げてるような新しい政策とは桁の違う金額をどんどん投入して、それは終わりがないです。この状況の中で言うと。それはやっぱり保険の基本的な原則にのっとって、やはり保険会計の中である程度回していく、もちろん我々は一般財源で引き続きある程度サポートしていきますよ。引き続きサポートはするけど、それをこんな多額の金額を投入し続けるというのは、国民健康保険加入者以外の市民がむしろ多数ですし、次の世代ということを考えたときに、利用実態というのは、高齢層が中心なって利用してますから、どうしてもやっぱり一般財源で補塡し続けるというのは、世代間の負担ということを考えていっても、この状況は続けられない。ちょっとここまで保険料の引上げができなかったというのは、私はちょっと遅かったのではないかなと。だからできるだけそれをならして、負担増についてはならしていきたいと思いますけれど、もう少し早く、私がもし1年少し前に市長だったら、去年の段階で、府への納付金がこれだけの金額になった段階で、もう基金はありませんからね、その基金を消化するというのも一つの考え方だったと思いますけど、私だったら違う考え方を取ったのではないかと思いますが、それを言い出しても仕方ないし、今後のことを考えたら、やっぱり広い市民の負担の在り方を考えたときに、今までの一般財源による補塡というのは、ちょっと持続性がないと判断しました。

記者

 特別職の報酬に関して、答申通りに変える予定についてもう一度伺えればなと思います。先ほど、公共人材の処遇改善を進める必要性については伺いました。あともう一つ、自主カットを終了する理由についても改めてもう一度伺えればなと思っております。

市長

 これは2つあって、私の問題意識はどちらかというと、職業公務員の最高ポストである副市長の処遇がこれでいいのかというところが起点にありました。公職選挙で選ばれる私について言うと、やはり市長選挙でも争点になっていたものですし、私自身はやはり現時点での行財政の集中改革期間の中で門川市長が3割カットという判断をされたというのは理解したし、それは自分の目で点検するまでは、3割カットは私はまず継続するしかない、フェーズは変わってると思いましたが、それは自分自身が市政の見直しを行うまでは、それは継続しようと思って、今年度、今、続けているわけでありますが、市政を点検する中で、やはりまだまだ私は市政を見直していかなければいけないし、国民の皆さん、市民の皆さんに負担をお願いするということは、襟を正さなければいけないけれど、他方で、本当に市長、副市長、これも公共人材でありまして、そこと一般の職の公務員の給与というのは関連していますから、そこについて選挙を争う市長がその選挙を意識して何割カットというようなことの議論を継続するというよりは、しっかり第三者、学識者の方々に社会情勢の変化を含めてどれぐらいが適切なのかという判断をしてもらおうと、私は当然引下げになると思っていました。京都市の特別職の給与はちょっと高過ぎると思っていましたが、それがある程度の引下げということになりましたので、そこはそこにお願いする以上は、私は基本的にそれを尊重するというのが首長としての責任ではあると思いますし、それは副市長のような職業公務員の最終ポストで働いている方々が、それこそこれは勤務時間ということ関係なく、土・日も含めてフルに働いていただいている方々の処遇として、やはりこういうところにしっかり働いていただく人材を確保できなければ、一般職の公務員にしても、やっぱり自分たちの到達点がここかということになってしまうと、別の職に転職される方が多いというのも、私はそこは関連してると思いますので、今回は審議会の答申というのをしっかりと受け止めて、それを尊重する。そしてできるだけ早く尊重するという意味では、この2月市会において条例を提案させていただきたいというふうに考えるに至った次第であります。

記者

 確認で、2月議会に提案して、もしも可決されたら来年度からそれを適用するという理解でいいですか。

市長

 はい。

記者

 ありがとうございました。抽象的な質問になるかもしれないですけど、先ほど、人と人とがつながる結節点は強くしていかないといけないということがありました。具体的な場所として、松井さんは図書館であったりとか、学校というハードのイメージのことをおっしゃっていて、区役所の役割を強化しないといけないよねというふうなことをおっしゃっていました。多様な人が交ざり合う場所を松井さんの中でずっと1年間考えていらっしゃって、いろんな人に出会ってきた中で、何かもうちょっと具体的にこの結節点というのはどういったものなのかみたいなことについて、ちょっとお伺いできればなという感じです。

市長

 ある一定の時期、その結節点としての非常にいい役割を果たしたのは、私は学校運営協議会だったと思います。それは場所としての学校で行われている協議会ですけども、教育の現場に地域の、必ずしもPTAでもない、もう子育てをはるか昔に卒業されたような高齢の方、あるいはまだ子供がいないような若いマンション住民のような方々が、学校を舞台にしながら教育の在り方をどう考えるかという中で、実はそれは学校教育以外の地域の防犯をどうしていくかとか、災害時にどういう対応するか、あるいはお互いの交流事業をどういうふうに企画するかというようなことに展開したという意味では、それがすごく機能したと思います。ですから、ただそれが非常に高齢化していて、15年前ぐらいの私の議員時代の一番の中心地における学校運営協議会に比べて、やや疲労感が出てきているし、新しい世代の人たちが、そこにもうひとつかつてほどは入ってきていないというふうに感じましたので、そういう場をどういう風に作っていくか、今度は逆に学校という場を使って、その地域活動をその学校という広場を使って何をやるか、あるいは公園という広場を使ってどんな催物をやるか、あるいは北鍵屋公園にこの前私も行ってきて、職員のインタビューもしましたが、ああいう今まで人があまりいなかった公園という場に、民間企業の御支援もいただいて交流施設を作って、そこでどんな活動をしていくのかということを、民間企業の協賛も得ながらつくっていって、そこで公園を管理する協議会というのが行えて、この公園を使ってどんなイベントをしていこうかということを企画していただく。これは私が、今、例えば京都の特徴としては、いわゆる区民運動会、東京の人に区民運動会って言ったら、品川区民運動会みたいなやつやるんですかと、そうじゃなくて、学校ごとに運動会やるとか、学区ごとにこんな事業をやるというような、例えばふれあい祭りみたいなものをやるという、ああいうものをどういうふうに、どういう場で、誰が集まって企画するのかという、そのソフトウエアをどう展開していくか、全部同じだと思うんです。府民運動会も担い手はどんどん、どんどん高齢化している。ふれあい祭りも本当に20年前に私が知ってた同じ人たちが主催者としてふれあいまつりをやってる。そこに学生をどう入れ込むか、地域でもっと学生も取り込みたい、地域の住民を取り込みたいと思っている、地域企業がどう入っていくかという新しいモデルを作っていきたい。この前、ビジョンの総合計画審議会でちょっとフライングして言ったんですけど、私は市政協力委員制度というのは京都の歴史が作ったすばらしい取組だと思うんですけど、これがやっぱり高齢化して固定化しているというのを、将来的には、これは私が市長やってる時代にはできないかもしれないけれど、10年後になるか、20年後になるか分からないけれど、市政協力委員というこんな制度をもっと上手に、町内会の方々だけではない方々をどう巻き込んでいくのかというようなことも含めて、こういうすばらしいインフラを京都は持ってるわけですから、じゃあその構成員をどうつくり直していくのかということも、今後、将来的に議論しなければいけないことだと思います。公共空間をつくるときに、この前も馬場さんというアーバニスト、都市プランナーで日本でトップを行かれてる方の話を聞いて、京都ってすごいんですよと。これは京都府の領域ですけど、鴨川っていう公共河川の上にあんな床というものを認めるという制度を作って、それを組合に投げて、ああいう鴨川の情緒も保ちながら、お店の接客とか、飲食もそこでさせるようなことをやってきた京都というまちですから、公共の場所というものをあんまり狭く捉えずに、いわゆる街区公園だけではなくて、あるいは学校だけではなくて、パブリックスペース、この市役所も市役所前の広場も、この屋上もそうですが、いろんな場所を使って人々がカフェのような接点をどう作っていくかって、実は山ほど地域資源にあふれたまちなので、本当に過疎の限界集落のようなところで小規模多機能自治なんていう取組をしていて、本当に人々を安否確認も含めてどうやって作っていくかということを物すごく苦労しておられるところから見れば、京都はたくさんの場もあるし、たくさんの主体、若い人たちもいるので、その人たちが参画して物事を作り上げるお祭り、あるいはいろんな事業というものを、これからいろんな形で展開する、そのサポートを区役所にはしていただきたい。区役所はやっぱりそういう形で区民ともっと、もっと密接に接する、その余裕をじゃあ区役所の職員にもつくることも含めて私の仕事だと思っているんです。

 だから、市役所の職員もできるだけ市役所以外のいろんな人たちと話をしながら、そういう結節点になるというのは、場だけではなくて、職員一人一人が結節点になるというような気持ちでやっていただいたら、しんどい部分もたくさんあるけど、こんな面白い仕事はないんじゃないかなと。霞が関で勤めた人間にはそんなものはほとんどないんですよ。これは地方自治を体験した人でしか分からないまちづくりの面白さ、人と人と接してコミュニティを作っていく面白さというのを、もっと若い人たちに体験してほしい。だからそのためには、仕事の働き方改革とか、若い人たちがどんな仕事で、今、多忙を極めてるのかということを一つ一つ解きほぐしていって、もっと人々と接して、新しいコミュニティを作ることに時間と知恵を使ってほしいし、その中から新しい施策の知恵が出てくると私は信じています。

記者

 府市協調のところでちょっと教えていただきたいんですけれども、今回の予算も1億円以上が府市協調の事業ということで、一つの特徴なのかなという風に思うんですが、松井市政、西脇府政だからこそできていることというのは、どういったものがあるんでしょうか。

 これまでも京都市と京都府というのは、当たり前のように府市協調というのはやられてきたのかなとは思うんですが、今回1年やられてみて、この布陣だからこそできていることというのは、これまでとはどういう違いがあるんでしょうか。

市長

 例えば、ずっと言うと、私は門川市政の時代でもいろんなことやってこられたと思います。コロナ禍で、今回CDCという提案が府市協調で出て、これはどっちかというと府が主体で、我々は府の事業に対して趣旨は賛同して、これからどういうふうに中身を作っていくかという段階ですけど、ただ、私と西脇知事との関係になって、二人で話をしたのは、できるだけ事務方から積み上げてきた難しい、例えば大都市特例みたいなもの、そういうものが残っているわけですよね、制度的に。そういう長年なかなか難しい問題というものをまずお互い言い合うというような、いや、これまでのトップミーティングや府市の会合がそうだったというのは、私は現場にいないから分からないけど、そういう長年の困難な課題をどう解決するかということを、ずっと1年に一度話し合って交渉しているという、なんか昔の労使交渉みたいなことではなくて、ちょっと今不適切ですね。そういうことではなくて、できるものからやりませんかと、それが年に1回大仰にやるというよりは、年に何回かやって、アイデアレベルのものも含めてやりませんかということは、これは私も申し上げたし、知事もそういうことをおっしゃった。それは私が市長に就任した直後に二人で食事をして、もう本当二人きりでどうしようかという話をしたときに、そういう場を作るということについて、私もぜひそうしたいと、知事もぜひそういう場をつくろうと、二人で一杯やりながら話をしようじゃないかと言って話をしたような、根本的な、何て言うかな、信頼関係というか、何かできることをやりましょうよと、動かせることをやりましょうよということが一つ。

 それからもう一つは、そのときに知事も私も同じ思いだったんですが、自分らが動けば、必ず府庁の人も市役所の人も動いてくれると思うよと、実は解決したいと思って、市役所の人もそうだけど、何かトップが意地になってるような部分というのが今までなかったとは言えない。それはいろんな時代においてですね、そうじゃなくて、自分らができることを示して、一緒にやれるということを示したら、府庁の職員も市役所職員の方々も、もともとの素地としては仲よくしたいという気持ちがもう大分出来上がっているので、後は我々が前向きな話で、岩を転がしていけば転がっていくよというのが、我々二人が最初に話をしたときの話なんです。だから、まだまだ未解決の問題は残っていますよ。残っていますけど、それができないと、今度やっても何の成果があったんだというようなカルチャーではなくて、やれることからやっていきませんかといったときに、そっちのほうが圧倒的に多いんじゃないかというところが起点としてあったし、それから、知事も、僕がえらいなと思ったのは、最初、府立高校と市立高校の合同学習みたいなことを私が提案したときに、分かった、いいと思う、自分もやろうと思うと、我々お互いに私学やけど、私学の人間がこういうのをやるのもええもんやとか言いながら、やろうとなったときに、で、どんなふうにやりましょうかというときに、市長、それはな、やっぱり教育委員会に投げようと、投げることによって、やっぱりこれは主体的に考えてもらったほうがいいと、だから我々が全部決めたらあかんというところじゃないですかね。

 これは、私は最初に、市長、これは最初の1次編成だったか、2次編成ときに、トップダウンですか、ボトムアップですかと言われたときに、私は迷わずボトムアップと言ったんですが、そこはそういうことだと思います。あんまりトップミーティングで全部仕切ったら、そのときは何かできるかもしれないけど、結果として、組織のカルチャーにならない。私はやっぱり、それぞれの府庁の人も市役所の人も優秀でいろんなことやりたいと、府民本位、市民本位のことをやりたいと思っているので、そこの方々が真剣にやる気を持っていただかないと前に進まないし、逆にそこが動き出せば、ああこんなこともできるんじゃないかという、逆に我々が提案を受けるという、今、そういう部分もありますから、そっちの方向に今、好循環に動こうとしてるので、そこの好循環をできるだけさらにちょっとずつでも加速していきたいと思っているんです。

記者

 ありがとうございました。あと、あえて、この1年の府市協調の課題というか、府に注文じゃないですけど、求めていきたいことみたいなのは何かお感じになったことはありますか。

市長

 それはもちろんありますよ。例えば、今の国民健康保険料の話なんかも、やっぱり府内で統一したい、もっと言うと、国も含めて一元的なものにしてほしいと思いますよ。だけど、それはやっぱりお互いの立場があって、京都府も京都市だけを相手にしてるわけじゃなくて、他の市町村を相手にしていて、その中には、過疎地域の市町村のようなところがありながら、そこに対する支援と、例えば京都市のようなところに対する支援というのを同じように、あるいはいろんなものの両立を同じようにできないという部分もあって、突き上げられてるところもおありでしょうし、我々は基礎自治体として、我々独自の、当然、住民に向き合っていろんな批判を受けながら、じゃあどう財源確保するかというような、宿泊税のところなんかは、我々はやっぱり向き合わなければいけない、今は私もまさに向き合って、なかなかつらい御意見もたくさんいただいてますが、そこをお互いに、西脇知事と私の場合は、お互いの立場というのは、ある程度分かろうとしようとしてるということはあるかもしれません。それは知事に関して言うと、すごく思います。

 例えば、聞かれてないのに言うのもなんですけど、北陸新幹線について、私がニューカマーとしてピュアな意見を言って、知事は6年のその間、知事としてのキャリアがある中で、知事が言えること、私が言えることというのは、それぞれ制約があったとしても、本音レベルで話をしていれば、ある種、それはお互い意思疎通をした上で、どういうふうに国に対して、あるいは与党に対して、我々が持っている懸念点を伝えるかというようなことについても、もしこれ府市がばらばらだったら、なかなかこういう形で国の方々、あるいは与党の方々に対しても我々の持ってる懸念、あるいは、知事の言葉で言うと、施工上の課題というものがしっかり伝わらなかったんじゃないかと、そこはやっぱり我々がきっと結束して、我々が共有する課題というのをしっかり伝えていこうというようなことができたから、ある程度、ワンボイスで、国、あるいは与党に対して、我々が持っている今の課題点、懸念点というものについてお伝えできたのではないかと思います。

記者

 産業支援の施策にかなり力を入れられているのかなと思うんですけれども、今、松井市長が思われる京都経済の課題であったりとか、例えばなんですけど、このままだったらちょっと廃れてしまうんじゃないかという懸念があるとか、今考えておられる経済についてお伺いしていいですか。

市長

 たくさんのすばらしいスタートアップとか、新しい新規企業もあるんですが、やっぱり一時の京都から大学発ベンチャーみたいなところが出てきて、それがどんどん一部上場企業になってというのが幾つも相次いで、今でもそういう企業はありますが、そのレベルの企業が、だあっと輩出した時期に比べると、規模の大小だけではないですけど、その次に来るようなものが本当に順調に育ってるかというと、今先端で走っていただいている企業の方々が、やっぱり自分たちの次に、もう自分たちも後ろからどんどんプレッシャーかけてくるようなものがもっと出てきてほしいという意見は聞きます。そこは、だからもっと、もっと京都のベンチャーの都としての京都の継続性、発展性という意味においては、さらにそれを、追いかけていくものをどう作っていくか、何兆円という規模のものは、ニデックさんの後生まれてましたっけね。もちろん今もHORIBAさんなんかも急成長しておられるし可能性はあると思いますけど、やっぱりそういうものをさらに作っていくというための努力、京都の財政力だけでそれがすぐできるわけではないけど、そういう機運を作っていくということが一つ。

 それから、実は伝統産業ですよね。伝統産業が持っているすごい職人技とかがあるにもかかわらず、それが今のままの状況だと、あと10年このままだと、結構今、70代、80代の方々が頑張っておられたところがどうなっていくかというのは、私はすごく心配で、そこを若い人にどうつないでいくかということ、ブリッジをどうかけられるかということは課題としてあります。なかなか妙案がないんです。インターンシップをもっと、インターンシップって言ったって、今、我々が主催するインターンシップって、むしろお金払ってもらってインターンシップって言って、今の学生に言ったらはあって言われますよね。みんな給料もらってワークショップってやるもんですという風に思ってるわけですから。そうだとしたら、もっと早い時期に本当の意味でのワークショップをどういう風に作っていくのか、あるいは、もっと本当に生徒さんの時代に京都の持つ伝統のも技、匠というものをどうしてもらうのか、教育委員会の方々がこの30年間、本当にものすごい御尽力をされて、これだけ学力を向上されたのはすばらしいけど、いわゆる学力だけでこれからの社会のフロンティアが拓けるとは思わないので、そういう伝統とか、京都ならではの文化みたいなものについての地に足のついた知識とか、体験とかいうものを京都は増やしていかないと駄目なのかなと。そこを謳っていて、自分の反省も含めて言うと、大学とキャンパスとその学生の自宅とバイト先、その三角形をくるくる回ってるということ以上に、地域に定着していない、接路していない。私、昔、卒論でやってたからそういう言葉を使うんですけど、あるいは地域のいろんな企業とか、実社会と触れてない。これをもうちょっと作っていかないと、やっぱりこの京都のすばらしい素地が次の時代につながっていかないような気がしますね。

記者

 ちょっとだけなんですけど、一時は大学発ベンチャーが出てきてと今おっしゃったと思うんですけれど、それがだんだん減ってきてしまった原因というか、それは産業基盤がしっかりしていないからという風にお考えなんですか、

市長

 いや、そんな産業基盤だけの問題じゃないと思いますが、ただ、大学の先生方、私も大学人だったので、私、理工系じゃないからあんまり責任持ったことは言えないけど、やっぱり大学の先生方はすごい自分の専門性とか、自分のゼミと特定の企業に就職させるということの関係はあれですけど、大学の研究成果みたいなのが社会的にどう応用される可能性があるかということを積極的に売っていこうというところが、日本の大学は乏しいと言われています。大学の中でそういうファンドもあるし、産学連携を支援していこうという機構はできてるんだけど、起業家から見たときに、それが使いにくい。非常にシーズオリエンテッド過ぎて、ビジネス的にどう展開できるかという、そういう産学関係につながってないという話を聞くのと、やっぱり独立行政法人化とかの関係もあって、大学の伸び伸びとした研究というのがうまくいってなくて、それは本当に民間資金の獲得でうまく回れば好循環で、今言ったスタートアップにつながっていくということになるんでしょうけど、アメリカでできてるようなこと、欧米でできるようなことが日本でできてないというのは、何か大学側の科研費の申請とか一つ取って見ても、ものすごくそういうところに大学の先生方も労力を取られていて、本当の伸び伸びとした創造的な研究に、この30年、20年余り、独法化ですから20年余り、ちょっと力を注げないので、今、文科省なんかも多少反省してやり方を変えているようですが、やっぱりこれは自治体だけではなくて、国も含めて、産学連携の在り方を見直さないといかんのじゃないですかね。

記者

 最たるもので、下水管のトラブルと言いましょうか、長くかかっておりますけれども、ちょうど予算の編成の時期に、その前だと思うんですけど、36ページでは水道下水管の部分でいくと390億円というような規模が計上されておりますけれども、昔から言われていることではありますけれども、今、ホップ、ステップ、ジャンプ、市長の言われる言葉で行きますと、この部分への意識というのはどんなことでしょうか。

市長

 これは特別会計事業なので、一般会計と同じようなわけにはいかないんですけれど、ただ、上下水道局もこの問題については、昨年の元日に能登半島地震があって、上水道、下水道とも大変大きな被害を受けて、そのことが被災地の生活、経済活動全般にものすごく深刻な打撃を与えたので、管路更新、あるいは耐震化も含めて、前向きに進めていかなければいけないし、将来的にはそれをどうファイナンスしていくかということも含めて、事業として非常に重い課題を担っていて、これは本当に中長期的にどうしていくかという課題があるんですが、それが今回、こういう形で、京都市内も幾つか事故がありましたし、さらに、陥没事故のようなものが存在していて、国からも一定のものについて緊急点検を求めるというのがあって、京都の場合それは対象外なんですけれど、しかし、自発的に緊急点検をやらなければいけないということで、今日一部報道がありましたが、それは急遽、緊急点検をしなければいけないというふうに考えています。

 それから、緊急点検をして、できるだけ早く発見するというのも大事なんですけど、同時にやはり、こういうインフラですので、どうしても腐食とか、損傷というものは出てきますので、それをしっかり更新率を上げていくということに取り組まなければいけないということだと思います。

 なかなか全体の利用がそんなに需要が大きくなっていない中で、それをどう賄っていくかという頭が痛い問題もありますが、それは非常に重要な課題だと意識しております。

記者

 2問だけお願いします。国保について補足でお伺いします。先ほど御説明いただいたお話で、役所の論理というか、説明としては分かるところではあると思うんですけれども、加入者にとってはやはり単純に引上げに尽きるところだと思いますし、特に低所得層が多いところですから、非常に重い判断なのかなとは思います。それで問題なのは、引上げが来年度だけではなく、さらにその先も続く見込みがあるというところだと思います。なかなか今後に向けてプラス的な要素も今のところは見当たらない中で、やはり加入者の方に理解いただくためにも、そこの今後の展望の部分というのは非常に大事だと思いますけれど、その点いかがお考えでしょうか。

市長

 なかなかしんどい話ですね。これまで据え置いてきたので、激変緩和していくということで段階的に上げていくということなんですが、ほかの市町と比較しても、ちょっとこれでは継続性がないし、じゃあ一般財源でずっと穴埋めを続けていくというわけにもいかないので、できるだけ丁寧に説明していくしかないし、そもそも、この健康保険制度をどういう風に府域での統一的な両立を実現していくのかとか、これも国は長期的なスパンでそれを求めておられますから、それを早めていくというのはそんな簡単にできるとは思わないし、国全体として国民健康保険という制度をできるだけ一元化するということは引き続き求めていきつつ、丁寧に説明するしかないんですが、これだけ高齢化、そして医療費の高騰という中で、この負担を一般財源で補塡するというのはもう限界ではなく、もう少し早くそのことを始めていくべきではなかったかというのは、率直なところで、これも丁寧に御説明していくしかないと思います。こういう形で解決できるという妙案はないんですけど。

記者

 分かりました。もう一点ですけれども、今回の予算で文化に対する予算の使い方についてお伺いしたいんですけれども、よく国の文化庁を巡る問題として、国は文化に対する予算の割合が少ないというところが問題としてよく言われていますけれども、文化庁のある京都市さんも、過去の予算を見ていくと、文化に対する一般財源を割く割合というんでしょうか、文化市と名のる割には、少しちょっと心もとないのじゃないかなと、個人的に思っていました。

 松井市長になって、その辺りちょっと変わるんじゃないかという期待の声みたいなのも聞いたことはあるんですけれど、実際、新年度予算、本格編成だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

市長

 私は芽は出したつもりなんですが、やっぱり文化観光都市だと思うんですね。国際文化観光都市、そこは文化を磨かなければ、あぐらかいていてもみんな京都に集まってくるということではなくて、やっぱり外の方々をもてなして、本当に非常に特別な名所、旧跡だけを回ってもらうんじゃなくて、幅広い京都のまちの文化、生活文化も含めて磨く努力をしていかなければいけなくて、そのために今の財源の状況で言うと、やはりある程度、宿泊税も含めて使わせていただいて、観光事業者の方々も理解する声、なかなかしんどいよという声、あるいは一部制度についてまだミスコミュニケーションがある方もいらっしゃるかもしれませんが、その方々に理解していただくためにも、やっぱり観光文化を磨いていくんだということに使ってくれるならまだ理解するよという声を私もたくさんいただいてるんです。そういう意味では、やっぱり観光というのは京都の文化があるから観光に来るんだと、そこをしっかり磨いていくんだと、それは文化財もそうですし、町並みもそうですし、あるいは観光客のもっと即物的な交通対策とか、そういうことも含めて、しっかり、しっかり、京都をたくさんのお客様に見て、楽しんで、滞在していただいて、さらにもうちょっと言えば、ここに住んで仕事をしていただけるというふうにつなげていくために磨いていかなければいけないので、私は今年度の文化予算で十分だとは思わない。もっとしっかりと投資もしていかなければいけないと思ってます。

他方で、今まで以上に財源が乏しい中で、いろんな寄附を募って、いろんな文化的な事業をやってくださる知恵を今まで京都市役所人が随分出してくださっていることも事実なので、さっきゼロ予算の話でも言いましたけど、まさに一般財源を投入するだけが予算の使い方ではなくて、民間の寄附というようなものも上手に活用させていただきながら、スポーツ施設なんかでも、宝が池のアーバンスポーツなんかもそうですけれど、一般財源でどんどん投入するものもあれば、民間の御篤志をいただきながらそれを磨いていくという発想も含めて、財源は有効に活用していきたいと思っております。

記者

 追加で質問させていただきます。オーバーツーリズムの対策の関係でお尋ねします。充実事業として、裏観光の推進ですとか、コインロッカー情報の一元化とか、ちょっと地味ではありますけれども、大事な話があるのかなと思う一方で、私も対症療法の域は出ないのかなと思います。少し目新しさには欠ける部分はあるんですけど、その辺りはいかがでしょうか。

市長

 これは対症療法と言われたらそうかもしれませんけど、やっぱり美しいまちを作っていくというのは、ごみの処理の問題とか、今までスマートごみ箱という特定の民間企業の御厚意にある程度依存していた部分を、できるだけそれを幅広くしていこうとか、スマートごみ箱をつくればいいというだけじゃなくて、もっとその数も増やし、そして市が設置するごみ箱でどういうふうに回収していくのか、やっぱり地域の方々も含めて、京都方式というか、大きな機械式のごみ箱をだあっと並べるというだけだったら、表参道とか、大阪の市街地とかもあるんですけど、我々はやっぱりそこはちゃんと行政が連携して回収するという、これも本当のこと言うと、どこまで行政が出ていくんだというのはあるけれども、しかしそこはやっぱり一歩踏み込んで、行政も出ていく、その代わり地域の方々も若干汗をかいていただくという、三者連携というものを作っていくという形で、対症療法かもしれないけど、やっぱり美しいまちをつくるということについて言うと、やっぱその地域の人たちがまちを愛する当事者意識を高めていただくという意味でも、そこはやっぱり私は本質的な取組だと思います。

 それから、今回、秋も大分やったんですけど、例えば、磯田先生に出ていただいて、同じ嵯峨嵐山地域でも、全然知られていない観光資源というものをしっかりアピールしていく。これは京都市内でもまだまだできる要素があると私は思いますし、市内と府下の連携、あるいは他の道府県との連携、例えば、寄附を導入したニセコなんかとの共通の返礼品を提供するという民間の仕掛けとか、そういう地域をできるだけ幅広く巡回してもらうというのは、私の考える都市間競争、人の奪い合いとか、取り合いだけではなくて、むしろ円滑に回ってもらうことによって違う京都を味わっていただく。あるいは、今はまだ人知れずすばらしいものがあるとしたら、そこをちゃんと掘り起こして、世界の人たちにもお伝えしていくことが大事であるということ。

 それからもう一つあるのは、やっぱり市民の、これは対症療法というよりは、市民の観光客に対する意識、私もいろんな人と食事をしながらとか、あるいはちょっと一杯飲みながらとか、コーヒーを飲みながら話をすると、観光客いらんねんと、自分の人生と関係ないし、自分の生活と関係ないし、むしろ困ってるんだという声がやっぱりあります。多数ではないかもしれないけど。でもそうじゃなくて、観光客に来ていただいてるおかげで、例えば子供たちにこんな体験ができるんだとか、あるいは多少でもずっと言ってるのは、本当に僅かな金額でもバス料金が値下がりするとか、あるいは値上げが回避できたとか、そういう自分たちの市民生活の実感に見える化して、観光客の方々に来てもらってるからこういうことができているんだと、例えば、学校体育館の空調にしても、観光客とか、一定の滞在者がいるから、ちょっとでも加速して整備ができてるんだという意識を持ってもらうというようなことを、やっぱり町全体の在り方として、外の人は要らないというふうな排外的なまちにしたら、京都は自滅行為になると思うので、そうならないように京都のまち全体の気風を、観光客も外部の人もウェルカムなんだと、おもてなしをするという文化を閉ざさない、それをむしろしっかり継承していきたいというところに使っていきたいと、施策は使っていきたいと思っています。

記者

 市バスの運賃に関して、これまで、当面引上げは行わないというふうにおっしゃっておりましたが、新年度の市バスの運賃引上げについてのお考えはいかがでしょうか。

市長

 当面、今の均一料金区間、我々が先導性を持っているところについて引上げを検討しているわけではありません。ただ、私がずっと申し上げているように、今日も、私が愛する某飲食店、チェーン店が値上げを表明されたというニュースに接しましたが、やっぱり今の人件費、諸物価が高騰している中で、もう絶対にそれを据え置くということで、本当にそれが事業として継続できるのかどうかということを市民の皆さんにも考えていただくような取組を我々は進めていかなければいけないと思います。要するに、この状況でバスの運転手さんが足りなくて、四、五十人の欠員があって、より切迫した課題としては、減便とかを考えざるを得ない状況に陥っている中で、じゃあどうやってバスの運転手さんを集めていくのか、そうすると、それは多少なりとも魅力的な処遇をしていかなければいけない。今、タクシーに流れているものを引き戻さなければいけない、担い手として新しい人たちを呼び込まなければいけない。そのときにどんな経費がかかっていくのか、これからの為替相場がどうなっていくのか、燃料費がどうなっていくのか分かりませんけれど、そのものをどういうふうに市民が負担していくのかということを考えていかなければいけない。その中で我々も、宿泊税のようなものをこの独立会計原則の中で、こういう観点なら使っていけるというものは使っていきたいし、それから国の中で、燃料費が高騰した中の助成金みたいなものはできるだけ取っていきたいし、市民負担をまず上げるということではなくて、まずできるだけ据え置きたいという気持ちは、まさにそのつもりなんです。先ほど、国民健康保険料の話についても指摘がありましたが、やっぱり年金生活でしんどい状況をしておられる方々に、移動の足にこれ以上の制約をかけたくない。他方で、しかし本当にその担い手の今後のことを考えていったときに、民間のバス事業者さんなんかは、これは京都の地域交通を支えていただいてる担い手のパートナーですけれども、もうドル箱路線でも減便せざるを得ないという状況に置かれている中で、本当にどうやって公共労働を確保していくのかということも含めて、我々も知恵を絞りますが、市民の皆さんに考えていただいて、いろいろ御理解いただく中で、じゃあ今後、市民優先価格が実現したときにそれをどういう価格体系にしていくのかということも含めて考えていかなければいけないと思います。

一般質問

記者

 1点だけ、昨日、町家の審議会が開かれまして、町家の減少に歯止めがかかっていないということがありました。その審議会の中でもいろいろ議論があったんですけれども、松井さんとして、この町家が、例えば民泊であったりとか、店舗で使われることもあったりとか、生活文化の継承・保全というのは大事な考え方だと思います。ある意味、町家も観光の文化財であると思います。町家の使い方であったり、在り方について、松井さんの考えを伺えればなと思います。

市長

 審議会でこれからの町家を含めた景観の在り方も議論していただきたいと思ってるんですが、やっぱり町家は文化だと思います。そしてそういう意味では、居住していただくのが一番いいですが、居住以外の営業でお店に使っていただいたり、ギャラリーに使っていただいたり、そういうことも含めて、京都の伝統的な建築物が存置して、それが町並みとか、京都の生活文化の継承という形で使われるというのが望ましくて。それがいまだに滅失の状況はほぼ同じ割合で、滅失の率は微増してるぐらいの状況で、やっぱり着実に減っている。この状況に何とか歯止めをかけたい。今までやってきた、今日も御紙に書いていただいたように、条例の効果とかが一定あったことは事実かもしれません。それがなければもっと加速していたかもしれませんが、やはりこれを将来的にこのまちを保全するために我々はどんな支援ができるのか。それからどんな都市計画規制の在り方、あるいはその制度の在り方をどう運用して、それを残すという方向に誘導していくような措置、それが規制制度も助成措置も含めて考えていかなければいけないかなと思っています。それからやっぱり町家の活用の在り方は、今言われたような活用の在り方以外に、さっき探究型学習とか、あるいはまち全体で美術展をどういうふうに進めていくかというときに、やっぱり町家を使っていろんなアートの展示会をやる、写真展をやる、KYOTOGRAPHIEなんかもこの4月からまたありますけれど、そういうものの魅力というのもありますし、町家で、例えばオフィスとしてクリエイターの方々が町家の中で勤務するということについて、何て言うんですか、文化の薫りの中で仕事ができるということを施行されるし、そういうラボのようなものも使うという動きも出てきてますので、そういう町家の使い方のさらに多様な機能というものも追求していきたいと思いますし、それを少しでも減らさずに残していくための制度の在り方を考えていきたいと思っています。

記者

 1点、北陸新幹線について伺いたいんですけれども、1月に入って福井県と石川県で市長が様々な発言をされていまして、福井県では小浜までの先行開業の意欲を示されたりですとか、一方で石川では、地元議員の方を中心に米原ルート再考を求めるような声が高まっている状況もあると思うんですけれども、それぞれのこれらの意見に対して、市長としてどう御覧になっておられるのかとか、現時点で受止め、お考えなどがあれば伺えますでしょうか。

市長

 ルートについて、前もそうですけど、私が今、国が検討されているもの以外のルート提案をする、あるいは、どこがいいとか、悪いとかいうのは、私は慎重であるべきだと思うので、それについてはコメントしないつもりであります。

 ただ、私は4つの懸念というのをずっと申し上げてきているところでありますが、私どもが申し上げているのと同様に、それぞれの地域が、それぞれの地域のいろんな課題に即して、いろんな御意見とかをおっしゃるのは、それは当然のことであろうと思うし、それは我々が懸念を持っているのと同様に、それぞれの地域が課題を持って、そしていろんな御意見をおっしゃるのは、それぞれ当然のことだと思います。それを国、あるいは与党、鉄道・運輸機構含めて、しっかり受け止めて、日本海国土軸というものをどう形成して、国策的な意義、国家的な意義というものを実現していくかというのを考えていただきたいと、私としては要望する以外ありません。

 我々としては、従来と同じ4つの懸念を抱いておりまして、国家的な意義は理解しますけど、地元の市長としては、その4つの懸念が解消されないと、なかなかその先には行きにくいという状況であります。

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