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市長記者会見(2024年12月4日)

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2025年1月6日

「新京都戦略(骨子)」について、京都市長が記者会見を実施しました。

 ※発表内容は、令和6年12月4日時点の情報です。 

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記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

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また、当日の配布資料はこちらをクリックしてください。

(発表案件)新京都戦略(骨子)

(松井市長)

 おはようございます。朝9時からという早い時間からお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は9月の市政点検結果、これは記者会見でお話させていただきましたが、その点検結果を踏まえて、庁内で議論を重ねてまいりました、新京都戦略の骨子について御説明させていただきます。

 私の任期、令和9年度までの市政の取組をまとめた新京都戦略の骨子でございます。まず最初は、この新京都戦略骨子、お手元横長の資料を参照いただきたいんですが、この1ページ目、2ページ目です。表紙をめくっていただいて、策定に当たってということでございますが、京都市、基礎自治体として、福祉、教育、子育て、包摂性の高いまちづくりや京都経済の下支え、あるいは安心安全、こういう市民生活の第一はもちろんのことでありまして、それに加えて、今日申し上げたいのは、例えば、この後リーディング・プロジェクトを申し上げますが、それが全てではなくて、それに加えて何を重点的に、特にシームレスと言いましょうか、組織の部局横断で、先導的な取組をするものをリーディング・プロジェクトというふうにまとめて、それを中心に今日お話させていただくということを、まず踏まえていただけたらありがたいと思います。

 そのときの3つの姿勢という意味では、新たな京都を切り拓くということでございます。攻めの都市経営ということを何度も私は職員にも申し上げてまいりましたし、京都市会でも申し上げてまいりました。攻めの都市経営で京都の未来を拓く。そして、ずっと私がもう20年来申し上げてきた、新しい公共。全ての人に居場所と出番があり、つながりのあるまち、例えば市役所の内と外、官と民、あるいは京都市域というものだけよければいいということではなくて、内と外との垣根を低くして、多様な主体と地域の方々が対話を重ねて、共に社会課題の解決に取り組み、未来をつくるということが2つ目。それから3つ目は、市役所職員が変わるということで、創造的に市政改革を進める、そんな組織づくりに変革していきたいということでございます。

 3ページ目でございます。全ての人に居場所と出番がある。そして、その結果として突き抜ける世界都市京都をつくるということで3点書かせていただきました。まち中に夢中になれるものがあふれる。そしてウェルビーイングなまちづくりです。そして世界中から多彩な方々がつどい、ぬか床のようにそれぞれの市民、地域、企業、混ざり合って新たな価値を創造する。そんなまち、ぬか床のようなまち、そして日本中、世界中の人々から住みたい、働きたい、活躍したいと思われる、選ばれる、世界が憧れる唯一無二のまち、世界中他に京都のようなまちはないねと言い続けられるようなまちを目指していきたいと思います。

 4ページ目でございます。京都の価値・強みということですが、目指すまちの姿の実現に不可欠な京都の本質的な価値・強み、それは長い歴史の中で培ってきたまち柄と言えるものであり、それを再確認していきたい。それは文化・自然、そして精神性、そして、一番右側の箱は京都の強みです。非常に、これだけの140万都市でありながらコンパクトであるとか、大学生が非常にたくさん存在するとか、あるいは非常に、至るところに個性豊かな商い、まちの人々が交われるような商いが存在するサロンのようなまち、こういう京都のまち柄というものをさらに確認し、磨き上げていきたいと思っております。

 5ページ目でございます。私はそのキーワードとして3つの視点、京都の価値・強みを踏まえて「ひらく」、これオープンの開くと開拓の拓く両方です。「きわめる」、これも学究の究、それから極、究極の極。「つなぐ」、これは絆を持ってつなぐということもあれば、京都のよさを次の世代につなぐと、その両方の漢字を当てさせていただいております。

 6ページ、新京都戦略では、今申し上げましたように、政策、そしてしごとの仕方改革、持続可能な行財政運営の確立をちゃんと鼎立させて、特にリーディング・プロジェクト、最初申し上げましたようにリーディング・プロジェクトだけが全てではないですが、リーディング・プロジェクトというのは分野横断で先導的な取組というものを位置づけまして、そのリーディング・プロジェクトを強力に推進するというのを特徴づけていきたいと思っております。

 次、7ページでありますが、「ひらく、きわめる、つなぐ」というものの中に、実はこの11のリーディング・プロジェクトというのは、それをざっくり分けると「ひらく、きわめる、つなぐ」という3つの中に11が位置づけられ、もちろん、それは両方、この「ひらく」以外にも「きわめる」ということになるということはありますが、大まかに分けると11個のリーディング・プロジェクトを、その3つに分類しております。

 8ページ以下のリーディング・プロジェクトの御説明に入りたいと思います。まず、8ページ、1つ目です。「ひらく」の中で一番目は世界中からクリエイティブ人材がつどい・交じるテラスのようなまちプロジェクトということでありまして、赤松玉女学長が京都市立芸術大学の移転に際して、テラスのような大学を目指したいと。私、これは京都のまちも同じではないかと思っておりまして、世界中、日本中からクリエイティブな人材を集めて居住、あるいは一定期間滞在できる環境をつくって地域との交流、それは本当のコスモポリタンばかりということではなくて、やっぱり地域に根ざした交流を行っていく、それは恐らく京都市立芸術大学も同じだったと思うんですが、そして地域との交流をし、そしていろんな作品とか、あるいはそれは場合によってはビジネスプランかもしれませんが、制作・発表できる機会を創出していく。クリエイティブ人材を導入していくということです。それから海外の研究者、留学生がどんどんこれから各大学の意向を踏まえていっても増えていくと思いますが、その方々がしっかり京都の中で地域に根づいて活動をしていただくための相談窓口をちゃんと設置して、日本語とか、日本文化を学べる拠点を充実していくということが、今後の京都のまちの国際化の視点からも大切だと思っています。2番目、公共空間をまちに開くパブリック「テラス」プロジェクトです。私がずっと新しい公共ということを言ってきました。その一つは、こういう公共空間、まさにこの市役所をどう開いていくか。あるいは、いろんな区役所での試みもしております。そして先週は北鍵屋公園を訪問しましたが、いろんな公園、学校ホール、市役所前広場、そういう公共空間をいかに開いていくか。そして銭湯と挙げてますが、コミュニティの中核になるような民間施設が、さらに市民の皆さんが活用したくなるような在り方を見直していく、そして交ざり合う、つどい・つながり・交ざり合う機会を創出するということが重要だと思います。そういう意味では、いろんな施設についてそれを考えなければいけないんですが、私が最近申し上げているのは、図書館の機能の在り方ということ。京都は老朽化した図書館も多いですし、その図書館機能というものをさらに広がりを持って見直していくということも必要なのではないかと考えています。

 次の9ページお願いいたします。「ひらく」の3番目、市民生活と「観光」の両立プロジェクトでございまして、観光課題対策は今まさに秋の観光シーズン、ハイシーズンが一番ピークを越えたあたりだと思いますけれど、この秋もいろんな取組をしてまいりましたが、これからもその取組というのは続けていかなければいけないと思いますが、パイロットプロジェクトとしての市民優先価格、何とか実現にこぎ着けたいと思っております。そして本来の観光という語源に立ち返って、より奥深い魅力を生かした観光、広い概念の観光というものを推進していきたいと思いますし、MICEの誘致も強化していきたいと思います。

 次、10ページでございます。世界に唯一、京都しかないというまちを目指して知や技術を創発する企業立地促進プロジェクトでありまして、国内外の突き抜けた企業の立地や多彩な人材を集積して、経済や産業基盤を強化していく。府市連携で広域の半導体産業支援、あるいは半導体だけじゃないと思います。メディア芸術などの産業育成・企業立地。これは例示でありまして、様々な分野で京都が強みを持つような産業基盤をつくっていかなければいけないと思いますし、当然、そのためにはビジネス交流拠点をつくらなければいけませんし、オフィス・商業施設の供給促進にも力を入れていかなければならないのは言うまでもありません。

 5番目、世界にインパクトを与えるスタートアップ創出・成長プロジェクトでありまして、京都の強みは、やはり何と言っても大学の研究知、あるいは京都企業の高い技術力でありまして、長期目線で社会にインパクトを与えるグローバル企業を京都から創出するんだという思いでおります。ディープテックの事業化支援、世界を変えるようなスタートアップ企業を創出していくということが、我々にとっても一つの目標になってまいります。

 11ページ、次のページを御覧ください。6番、千年の都から今、長期ビジョンの議論を開始していただいておりますが、千年の都は次の千年に向けて、その文化を継承し、価値創造していかなければなりません。伝統産業とアートの融合による先進的な取組を進めてまいりますし、非常に感受性豊かな子供の頃から、伝統芸能をはじめとする文化芸術、あるいはモノづくりに直接触れる機会というものをつくっていく、あるいは食文化など、世界に誇る京都ならではの文化体験も得られるような環境を整備していかなければなりません。京都コンサートホールの大規模改修を機に、例えば北山エリア、京都コンサートホールがあるような北山エリアをもっと文化交流拠点としての機能を強めていくようなことも考えていかなければならないと考えています。

 12ページをお開きください。まち中に「学芸」があふれるプロジェクトでありまして、12月21日には東大の松尾先生をお呼びして、京都の市立高校生、府立高校生が数百人規模で、宝が池に集まって、松尾先生の貴重な講演だけではなくて、パネルディスカッションとか、ポスターセッションとか行うような、それは12月21日を一つの目標にしながら、今、府立高校、市立高校、先生方の探究型学習を行っていますけれど、まさに、こういう高大連携、あるいは府立、市立のこの壁を取っ払って、探究型学習をさらに加速していく、STEAM教育をさらに実践していく、そしてそれは何かというとグローバルな活躍、グローバルに活躍できるような人材を京都から輩出していくということが極めて大事でございます。大学・学生がまち全体を、地域活性化や社会課題の解決の力にもなっていて、出会いと交流を通じた京都への愛着を高めていく、昨日も夜QUESTION、その斜めのQUESTIONで大学生等を含めて、これから地域の課題に大学生がどう取り組んでいくか、それを我々市役所や、あるいは民間企業や、あるいは大学自身がどう支えていくかということを申し上げましたが、やっぱり若い方々が、大学生が10%占めるまちが、大学生がちゃんと地域に残っていただくための創造性を育み、そして地域としっかりつながり合うようなまちをつくっていかなければならないと思います。

 13ページ、これは今、申し上げた「きわめる」といいながら「つながる」要素が入ってきたと思います。今の大学生がいかに地域とつながるかというように、まさにこのつなぐとか、きわめるというのは、また、そのこと自体がプロジェクトによっては、その概念を横断するということであることは、今の例を考えていただければお分かりいただけると思うんですが、便宜的な分類として申し上げております。

 「つなぐ」の方に入ります。13ページ、8番目、市役所・区役所のつなぐ機能強化プロジェクトでありまして、やはり地域との結節点という意味では140万都市が市役所だけで、地域との結節点になるわけにいきません、市役所もそうありたいと思いますが、やはり区役所の機能をどう高めていくか、結節点としての区役所・支所の機能を強化して多様なコミュニティ形成を支援するというのは大きな役割だと思います。

 9番目、地域の絆で支え合う子育て応援プロジェクトで、これはまさに府市横断でこども医療費の支給制度をどう充実させていくか、2人目以降の保育料無償化の検討など、しっかりと子育て世帯の経済的負担を軽減していく、あるいはこの6年度予算でも提案して、制度として、今、非常に好調に運用されているような住宅取得・改修支援など、これもやはり子育てについて分野横断でしっかりと子育て世帯を応援し、定住・移住を促進していかなければいけないと思います。子供、若者の居場所、あるいは地域活動への参加による出番の創出ということも非常に大切でありまして、そういう意味では、公園やスポーツ施設をどう今後見直していくかということも大事であります。

 14ページ、10番目でございます。これは京都の固有の町並みをどう維持するかということでありまして、京町家、これがどんどん減っています。一つは京都の地価が上がり、固定資産税の負担であるとか、相続税の負担が上がっていて、世代交代ごとに、そういう京町家が滅失しているという、その危機的な状況にどう取り組むかということについて、負担軽減に向けて国と連携する、あるいは今後総合的なまちづくりを再構築していく。そして同時に、やはり水辺環境というものを大切にしていきたいと思います。鴨川、高瀬川というような川、もちろん桂川もそうですが、鴨川、高瀬川が持つポテンシャルを生かし、府市協調・公民連携でエリアの魅力をどう向上させていくか、これも大切なプロジェクトであります。

 11番目は、山紫水明の都。私は京都の文化がここまで発展してきたのは、この山紫水明というところに非常に大きな鍵があると思います。これをどう生かしてつないでいくのか、生物多様性・未来継承プロジェクトというのを位置づけております。京都の自然のすばらしさを身近に感じ、発見し、愛着を深める「生きものむすぶ・みんなのミュージアム」を創設するなどのアイデアも生かして、しっかりと生物多様性、未来承継ということを考えていきたいと思いますし、その中で当然地球温暖化対策なども推進していかなければいけないと思います。

 そして15ページ、しごとの仕方改革編でございます。今なぜしごとの仕方改革かということでありますが、私も2月25日に市長に就任して以来、早いもので9か月余りが経ちましたが、京都市の職員は非常に優秀だと思います。これは私自身も実感してますし、私がいろんな中央官庁含めて、あるいは他都市の方々含めて、皆さんやっぱり京都市の市役所の方々は、皆さん非常に優秀だという評価をいただいておりまして、それは実際のところ、いろんな市民の皆さんとも話をして、市役所、区役所の職員としっかり接していただいてる方々は、非常にそういう認識を持っていただいております。これまでも非常に、特にこの間、コロナ禍、あるいは厳しい財政状況の中でいろんな創意工夫を凝らしていただいてまして、冒頭に申し上げましたような子育て支援、教育、福祉、多岐にわたる課題に果敢に挑戦し成果も上げていただいてると思います。やっぱりプロとしての仕事振りはしていただいてるということ、私は評価しております。と同時に、しかし職員の不祥事がありましたときに、そのコンプライアンスの会議でも、その調査をいただいて、課題として挙がっておりましたが、やはりチャレンジする気風があるかということについては、職員自身がややこの間のいろんな行財政改革の中で縮み志向になってたんではないかという自己評価もありますし、私も職員の皆さんと話していて、そういう問題意識を私も共有します。そうであるならば、やはりこの市民とともにこの京都のまちづくりを改革する、私のこの新京都戦略の策定に当たって、職員自身がもっと結節点にならなければいけないし、もっと多様な市民と接し、そしていろんな市民の中にある、あるいは京都に関わっていただいてるいろんな学識者、有識者の知恵を積極的に、その知恵を借りに行く、そして意見交換しに行く、外部の人たちだけが知恵を持っているわけじゃなくて、実は中にはいろんな知恵はあるけれど、どうしてもこんなこと言っても無理だろうという発想の中で、やや縮み志向の中で、それがきちっと顕在化してなかった部分をちゃんと掘り起こしていくのも私の仕事ではないかと思っております。

 16ページに移りまして、この3つのポイントを挙げております。削減に軸足を置いた行財政改革、もちろん効率化とか、削減、私は必要な分野はあると思います。あると思いますが、その削減に軸足を置くんではなくて、政策本位の「しごとの仕方改革」には3つのポイントとして、思考停止に陥らず自ら課題を見つけ自由闊達な議論を楽しむ、今までやっぱり縮み志向の中で、その議論がやや抑圧的に捉えられていたんじゃないかというふうに、そういう議論しても駄目だろうとか、その自由闊達さというものをもう少し市役所の中で共有していきたい。それから、これ執務室を飛び出して、やはりいろんな有識者の意見を聞きに行く、場合によっては市民と対話する、そういうユーザー目線で対話を重ねて政策立案する。3つ目は、職員が安心してチャレンジできる。この我々にしても、職場の私は長としては、やはり心理的な安全性というのを確保して議論をさせてあげなければ、左のようなことだけ言っていてもいけませんので、それだけの環境とか、あるいは時間の余裕を生み出すために市役所の仕組みとか、しごとの仕方をどう変えていくかということでありまして、このそういうしごとの仕方を変えて、一番下の青い箱に書いてあるように、多様な主体と協働する。公共資産とか、公共空間、とにかく削減すればいいということではなくて、それをフルに活用していく、市役所自身をもう少しアップデートしていくという気概を持つ、そして創造的に市政を改革する職員・組織づくりを取り組んでいきたいと思っております。

 まず、17ページ、しごとの仕方改革編の多様な主体との協働というのは、まさに市民、地域、民間事業者との双方向のコミュニケーションをして、多様な主体が自分事として満足度を持って公共に関わることができるまちへ、これは要するに市役所の職員だけの問題ではないです。いろんな方々に当事者意識を持ってもらうために、議論に関わってもらうということが非常に大切だと思います。そして、そのための結節点になるのが市役所だということであります。あるいは区役所ではということであります。垣根を低くするための取組をしっかりしていかなければいけないということであります。

 18ページ、公共資産・公共空間のフル活用です。先ほど申し上げましたように、これまで庁舎施設の保有の量の削減です。何平米削減するかということが目的であったと、そういう目標ではなくて、我々が貴重な市民の財産を持っているものをより有効に活用するという視点で仕事を進めていきたいと思います。

 19ページ、すみません。時間がない、ちょっと駆け足になりますが、市役所のアップデートで、職員が新たなことにチャレンジできる環境と時間をつくるということであります。そのためにはいろんなものを合理化する、あるいはDX化。京都も積極的に進めてきてますが、まだまだ工夫の余地があるんではないかというのは、これはむしろ職員からもそういう意見が出てきております。それをして、下に書いてあるような古い言葉もありますけれど、いろんな効率化というのは我々は捨てたわけではないです。効率化の発想は必要です。効率化して、しかし、それはどちらかというとしっかり職員が自分で考えて、そしていろんな方々と意見交換して、新しい政策をつくり出すための効率化だと、私は認識しております。

 それから20ページ、次のページでございますが、創造的に市政を改革する職員・組織づくりとして、職員一人一人のやりがいを高めていく。先ほどウェルビーイングなまちといいましたが、職員にとってもウェルビーイングな市役所でなければいけなくて、それについてチャレンジする組織へということで5つの柱を立ててございます。その組織変革を進めていきたいと考えております。

 21ページで取組の方向性を示させていただいております。重複もありますので、これはお読みいただけたらと思いますが、このウェルビーイングの実現というのは、市役所の職員がウェルビーイングを実現できなくて市民のウェルビーイングをできるわけがないので、やはり市役所自身のしごとの改革ってのは、私にとっては非常に大事な柱でございます。

 22ページでございますが、施策やしごとの仕方の改革を進めるためにも、その大前提として、持続可能な行財政運営の確立というのは大事でありまして、不断の点検は、これは必要でありまして、限りある財源をいかに京都の値打ちを高める施策に重点配分するか。従来の歳出抑制に軸足ということではなくて、歳入と歳出双方の均衡、そして次世代にとって我々は何を残すのかということを考えていきたい。後ほど御質問があるような国家プロジェクトに関しても、やはり私はそういう姿勢で値打ちのあるまちをどうつくっていくのか。そのいろんな投資、いろんな施策が本当に将来の京都市民にとって値打ちがあるのか、それを考えるのが私の任務であります。

 23ページ、財政運営を目標として、特別の財源を講じない安定した財政運営、将来世代に配慮した財政運営というのが一つの柱、もう一つは、やはり過去負債、我々大きな借金、あるいは取り崩してはいけない過去負債というものがあるわけでありまして、やはりこれはしっかりと私も申し上げてきた。選挙のときも申し上げてまいりましたように、高齢化がピークを迎えるまでの、令和20年度までのできる限り早期に返済をしたいと思っております。

 24ページに移ります。中長期の財政試算です。これは令和7年度予算編成に併せて、改めてお示ししたいと思います。

 25ページ、組織人員体制でございます。安定した行政サービスの提供、その向上を図るためにも、最適な組織・人員体制の構築が必要でありまして、組織改革として行政需要に的確に、かつ迅速に対応できる組織体制の構築や、新しい公共という発想で言うと、その市民との対話、区民との対話の第一線を担う区役所の機能強化に取り組んでまいりたいと思います。

 26ページでございます。(2)に示してありますように、メリハリのある人員配置を進めてまいります。現行の組織数、職員数を基本として、今後の定員管理は、削減目標は設けませんが、業務量の大きな減少を見込む部署では執行体制を見直してまいります。あるいはその効率化することによって、そこが節減できるところは、執行体制を目指して体制を見直してまいります。

 27ページでございますが、戦略推進の考え方を以下にまとめております。データや知見というものはベースとして非常に大切であると思いますし、それをもとに戦略に掲げた取組を磨き上げ、毎年、毎年度の予算編成で推進事業を定めるとともに、市会としっかり議論して着実に取り組んでまいります。そして同時に、その取組状況、効果をしっかり計測できるような指標というものを磨き上げ、これ私は従来型の指標だけで管理できるものではないと思います。新たな、今申し上げたようなウェルビーイングということで言うと、新たな指標を検討しなければいけないものもあると思いますが、進捗管理をしてまいりたいと思います。併せて、新しい公共の推進や国、府、関係自治体との連携により戦略を推進していきたいというのが3、4に書かせていただいたところでございます。

 28ページ、戦略骨子の説明は概要、以上のとおりでございます。今回、私から御説明した内容につきましては、市会はもとより関係団体、各界の有識者の方々など幅広く御意見を頂戴し、さらに磨き上げていきたいと思います。皆さんから忌憚のない御意見をいただきたいと思っております。

 私からの冒頭の説明は以上でございます。

質疑応答

発表案件に関する質問

記者

 発表項目に関して2点お伺いしたいんですが、まず今回お示しいただいた新京都戦略において、市長が特に優先して取り組みたいと考えてらっしゃる項目と、その理由について併せてお伺いできますでしょうか。

市長

 ずっと私、市長就任以来申し上げてきましたが、やはり私の一つのミッションは、いろんな垣根ですね。これは省庁再編も担当しましたし、官邸機能強化も担当しましたけど、やはり垣根を低くする。これは今、省庁再編、官邸機能強化と言いましたが、一番大事なことは新しい公共でありまして、要するに人々一人一人にとっては行政の垣根というのは関係ないです。それは府と市の垣根もあまり関係ありませんが、市、それから役所であるか民間であるかということも、要は、いい社会が築ければ、よりよい公共サービスが提供されればいいし、それを自らが担っていくという当事者意識を涵養するということが非常に大切でありまして、そういう意味では垣根を低くして、そしていろんな方々が、官民公いろんな方々が交じり合って、大学生なども含めて、その新しい価値創造をしていくぬか床のようなまちをつくりたいということで、それを先ほど最初に冒頭に申し上げましたように、ひらく・きわめる・つなぐという3つの機能から、我々はリーディング・プロジェクトというのを発掘し、推進していきたいと考えています。そこが一番大切なところです。

 どの項目を優先するということは、そのプライオリティ、その順番がその1から11という、それは別に優先順序ではありません。あるいは逆に言うと、このリーディング・プロジェクトだけで全てができるということとも思いません。福祉などは、もう変わらず重要な京都のまちづくりの根幹だと思いますが、私が特に重視しておりますのは、クリエイティブ人材、世界中から内外から、日本中、世界中からクリエイティブ人材が集まって、その方々が地域も含めて集い交わるテラスのようなまちをつくる。国内外から多彩な人材を招いて、それがつどい交ざり合うという考え方は、私自身が非常に重視したい考え方でありまして、市役所の改革も、そういうまちをつくるときの結節点、触媒としての市役所職員の在り方というものを見直していきたいということが、私のこの新京都戦略において一番申し上げたいことでございます。外部からものを受け入れるということだけでは、地場は発展しないんじゃないかというような特定会派の御意見がありますが、私はそうではなくて、内外からすばらしい人材・企業を集めることによって、それが地域の、その地域企業や地域の人材と交じり合うということによって京都は豊かになる。それは京都の千年の歴史はそういう歴史であったのではないかと思っております。

記者

 もう1点が、少々細かい話になりますが、26ページあたりの話で、持続可能な行財政運営の確立のための、今回一つの要素として、メリハリのついた人員配置ということで推進されるという方針を示してらっしゃいますけれども、今後の定員管理でそれぞれの部局の変更ですとか、理由ですとか内訳等について、もしお考えになっているものがあれば御教示いただきたいというのと、もし配置変更等が行われた場合の人員というのは、どういう仕事をなさるのか、もし想定されているものがあれば伺えますでしょうか。

市長

 この行財政改革計画、新京都戦略の前の行財改革では、550人の職員削減数を目標としておりまして、それは1年前倒しで進めているんです。これは、どこか特定のということではなくて、いろんな部署横断で、極めて大切な仕事、市民生活の大切な仕事ばかりでありますが、その中でどうやって、例えばバックヤードの部分を効率化するかというようなことで捻出をしていただいたものであります。今後も、例えば区役所を重点化するといったときに、じゃあ区役所の定員を増やすのかというと、恐らく区役所業務の中でも、より一体的に、これは例えば山科区・伏見区にそれぞれの人員をつけるということではなくて、共通のシステム化を、例えばDX化を進めていくということで、それは本庁の中の、あるいは区役所横断のバックヤード業務として、より効率的にして、そこで得られた人員を、より例えば市民との相談に充てるというような形で、対面でなければならない相談に重点化する、そういう具合に、ここはDXでできるんではないか。あるいは古い採用形態が残っているようなものについて、それはある程度民間委託化ということも、私は民間委託化が全てだと思いませんが、そういうものを進めていくことによって人員配置が見直されるような職種もあるのはあるんですね。ですから、私はどちらかというとDX化で、より定型的な業務をより効率的に、それぞれの人が手作業で紙でやっているよりは、全体として、それは区役所横断で、例えば効率化してDX化してコンピュータ化することによって、そこにかかっている人員数を削減して、それをより対話的な業務に充てていくというような形で、メリハリのついた行財政改革は今後とも必要だと思っています。

記者

 前半におっしゃった、あらゆる施策を展開していくには当然財源が必要ですと。途中、財政運営の方針のところで、歳出の上限、いわゆるキャップを外していくという話がありました。一方で、特別な財源対策はしませんと。年35億の基金積立(返済)もしていくと。そう考えると、結局やれる財源というのは当然限りがあるわけでして、国みたいに国債を発行できるわけでは当然ありませんので、市長も常々おっしゃっている、過少投資をこれから転じていくということをおっしゃってますけれども、そう考えると、この過少投資の、どちらかというと逆に言えば今までは特別な財源対策をして、むしろ過大投資だったんじゃないかという見方もできると思うんですね。結局どの分野に投資してるか。

市長

 非常にロングスパンで見ればね。東西線にあれだけの事業費がかかったとかね。これは特別会計の事業費ですから一般会計と同じには位置づけられませんけれど、そういう部分もあったと思うんですね。長い歴史の中で言うとですね。

記者

 結局限られたその財源の中で、どのようにこの過少投資から転換していくのかというのをお聞きしていいでしょうか。

市長

 これは難しくて、個々の年度の予算編成の中で、どうやりくりをしながら。私は投資というのは、公債というのは、これは認められてるものもあるわけです。将来的なインフラづくり、あるいは施設ハードウエア、例えば私、図書館ということを言いました。あるいはコンサートホールも改修しなければいけない。こういうものは、やはり将来の資産になるものですから、それについてしっかり京都市債は発行して、あるいは公債というやり方で将来に投資するというのは当然一定程度必要であります。それはもう国ともしっかり協議をしながら地方交付税措置をいただきながらやらなければいけないものはあると思います。それ以外でいうと、過少投資といったときに、私はやはり、もっともっと京都の強みを生かすような投資を全体的にどう発するかというときに、投資主体が京都市だけではない投資というものがあると思います。例えば、大学であるとか企業であるとか、いろんな広域的な団体もありますので、そういうところと協調しながら、どういう投資を進めていくのか。例えば、小さな例かもしれませんが、先週私も申し上げた、一定皆さんの中の何社も取材に来られましたが、北鍵屋公園という公園の整備について、ああいう新しい事業者の知恵と力を資金力もいただきながら公園整備をして、そしてああいう北山産木材を使った集会施設をつくり、これから毎年かけて、あの公園をよくしていこうというプロジェクトが官民連携、公民連携で行われているわけでありまして、そういう発想をどう取り入れていくかというのは、これは今後の我々市役所がいろんな知恵とか人脈とか、あるいは民間企業を巻き込みながら、どういうものをつくっていくかということではないかと思います。

記者

 行財政改革計画の後継になる戦略だと思うんですけども、行財政改革計画でも投資の成長戦略ということで、確か市内の総生産を増やしていくとか、新規住宅着工戸数とか目標があったと思うんですけども、この目標は維持するのでしょうか。それとも撤廃になるのでしょうか。

市長

 具体的な目標は、今後具体的な、これはもちろん骨子ですし、パブリックコメントもいただきますし、市会の皆さんの議論もいただきます。そういう意味でパブリックコメントというか、これ今申し上げたように、これから市民の皆さんに意見もいただいていきます。その中で、やはり具体的などんな指標をつくるか。例えば、今申し上げた指標も、中には有効なものもあるかもしれませんが、ものによっては非常に外部的な要因によって左右されて、それが本当に市政改革の成果を計測するのにふさわしい目標なのかどうか。あるいは冒頭申し上げましたウェルビーイングなまちということを考えたときに、従来の指標では、例えば市内総生産が増えれば京都市が豊かになるのかといったときに、それも一つの指標かもしれませんが、もっと違う指標を採っていったほうがいいんではないか。少なくとも私が掲げるような目標値にふさわしい指標をどう採るかということも含めて、もう議論はスタートをしておりますし、今後そういうものも、きちんと市民の皆さんにも提示していきたいと思っております。

記者

 その提示の時期の目途というのはありますか。

市長

 少なくとも、この新京都戦略の骨子を皆さんにこれでお示しして、当然これ公開されて、いろんな方々、私もいろんな団体や企業や、あるいは学生や市民と対話する中で、これを今日からいろいろ使っていきたいと思います。それを提示して皆さんの意見も聞きながら、当然7年度予算というものを市会に提案しなければいけない。そこの段階で、ある程度提示できるものは提示したいと思いますし、それ以降も含めて、まだ例えば指標自身を、新しい指標をどうつくっていくかというものは、もうちょっと時間がかかるものはあると思いますので、一遍に何月何日までに、その指標を提示してということではなくて、これから段階的に、ここで掲げたものについて、恐らくこれは市会でも議論になると思いますし、それをどういうふうに、じゃあ具体的にそれを進行管理をしていくのかということは、これは市会とも対話しながら、そして市役所の中でも議論しながら具体化していきたいと思いますが、やはり予算要求の中で、ある程度のものを示していくという考えが基本だと思います。

記者

 あと、ちょっと細かい話になるんですけども、公共施設と公有地の活用のところで、公共施設のほうは確か7万平米ぐらいを目標にして、確か4万平米ぐらいは整理しましたと。公有地の方は100億円で売却したりするということで、もう既に目標達成しているという状況だと思うんですけど、門川市政でこれを進めていくに当たっての、この議論の過程の中で、やはり特に小学校跡地が象徴的ですけども、やはり公としての機能を引き続きしっかり果たしていくべきじゃないかと。当然もちろん小学校跡地の中に地域の人が使えるようなスペースがあったり、そういうのももちろんやってますと。でも一方で、やはりホテルになるのはどうなのかとか、そういう議論は多々ありました。この辺、過去をちょっと振り返って、どのように思われますでしょうか。

市長

 門川市政の改革という意味である局面で、ああいう形で本当に市会でも議論になってました。具体的にこれだけの金額が毎年その公有地の借地料として入っていて、何億円という金額が入っていて、それがどれだけ値打ちのあるものかというのは市会でも評価をいただいている声もあります。ですから門川市政におけるその議論というのも全く否定しないし、それはある時期の環境の中でいろいろ苦肉の策として、今進行しているものでも、京都の伝統的な歌舞練場を民間ホテルとの改築によって、それを修復すると。新しいものにするというような公共性というものが、例えば宿泊施設の抱き合わせで行われていると。それはそれぞれの意義があったと思いますし、土地柄によっては今後もそういう事例というのはあるかもしれないと思います。ただ、大前提として私が考えているのは、やはり公有地を減らせばいいというものではないだろう。それは貴重な市民の財産であって、その場所にそれがあるということを、とにかく毎年毎年の運転資金が欲しいがゆえに、それを安売りするようなことが。売ってはいないかもしれませんね。安貸ししてしまうというようなことは、これまでもないと思いますが、そういうことはやはりあってはいけないので、その公有地、公有の施設の意味合い、市民の財産としての意味合いをより戦略的、そして有効に活用するための資産活用を、これは組織横断で、そういうことを考えていかなければいけない。得てして、その当該施設の持っている部署が、例えばそれが福祉の部署だとしたら、福祉の部署としての活用の在り方を考えて、ちょっとなかなか活用の仕方が、この近隣の施設を含めてちょっとここは福祉としては、例えばですよ、意味がないとしたら、これは行財政の財政運営の方と含めて、じゃあ売却しましょうと。そうなるんではなくて、仮にもし福祉として、ここの施設だと近隣に施設もあるから、もうこれはある種、別の施設が代替しているとしても、いや、このまちに、この機能があるなら、じゃあそれは文化機能としては意味があるんじゃないかとか、あるいは産業集積をそこにつくっていくんだったら、このまちのこの施設というような意味があるんじゃないか。これをもう少し私の目から見たら、ちょっとやや削減という数値目標があったということもあって、ややその削減することに重きが置かれ過ぎていたんではないかなと。少なくとも経済のフェーズも変わっています。行財政のフェーズも変わっているので、有効活用に軸足を置きたいというのが私自身の率直な思いで、今おっしゃった問題意識と、ほぼ同じと考えていただいていいと思います。

一般質問

記者

 一般の質問になるんですけれども、まず国でも議論されていますが、年収103万円の壁について、見直しについて京都市としての受け止め、もちろん市の財政運営も含めて、影響についても併せてお伺いできますでしょうか。

市長

 103万円の壁、私、玉木雄一郎さんは昔からよく存じ上げていて、玉木さんの問題意識、あるいは国政選挙において、それが一つの大きな争点になって、国民民主党はそれなりの議席増を果たされたし、そのことは恐らく中央政界でも一定の配慮、そのことの重要性というのは認識されていると思いますし、私も労働者の所得増加、あるいは働き控えの回避に伴う労働力の確保という、玉木さんがこの間ずっとおっしゃってきたこと自体は、理解はできます。その基礎控除と給与所得控除の合計額が30年間据え置かれてきたということについて、例えば物価賃金の上昇との乖離があるんではないかという問題提起も一つの論理だと思いますので、見直しも含めて今政府・与党が動かれているというのは、理解はしております。他方で、これはいろんな方々おっしゃっている話ですが、地方財政を預かる身としては、これが仮に今、玉木さんがおっしゃっているような、その数字は今の物価水準という、もう30年間の物価水準とは違うと思いますが、最低賃金の比率だと思いますが、仮に玉木さんがおっしゃるように75万円引き上げるということになると、京都市の個人住民税は340億円の減収になります。これは本当にこういうことになったら、石破総理はいろんな地方財政についても言及されていますので、まさかそういうストレートにそんなことにならないと思いますけれど、こうなってしまうと、先ほども御質問がありましたが、今の京都の財政の運営は、もう一気に切り盛りできなくなってしまいますし、それが同時に恐らく、こんなこと私が余分な心配をすることじゃないかもしれませんが、地方交付税制度がどうなるのかとか、社会福祉財源はどうなってしまうのか。京都の地方財源だけではない問題も惹起すると思いますので、これはしっかり国政で各党も今鋭意、税制改正はじめとして、予算編成のプロセスの中で、どの程度国民民主党さんが提起された問題点を国政として吸収するのか。その際に、当然我々は知事会や政令指定市長会(指定都市市長会)もしっかり今の地方財政の現状を申し入れてますし、私も個人的に話ができる方には話を申し上げておりますので、しっかりこの地方財政、あるいは社会福祉制度、あるいは地方交付税制度というものを我が国がどう守っていくのか。そして、よりよくしていくのかという視点での総合的な議論が行われることを切に願っております。

記者

 ありがとうございます。

 もう1点、少々テーマが変わるんですが、今朝も朝から行われてますけれども、北陸新幹線の大阪延伸に関する与党PTに関してです。今、関係自治体ですとか関係の事業者に対するヒアリングがまさに朝から行われてますけれども、現状なかなか費用負担等含めて、詳細に検討する材料がなかなかない中でのヒアリングになると思いますが、それについて、市長の現状の受け止めをお伺いできますでしょうか。

市長

 北陸新幹線の延伸、今、小浜ルートが議論されているわけです。3ルートをこれからどうされるかという議論をされているんだと思いますが、私何度も市会でも、この会見でも申し上げてますように、北陸新幹線の延伸の国家的な意義については、私自身も理解をしております。問題は、それがこの今3ルートが言及されていますが、私にとっては、どのルートがいいとか悪いとかいうよりも、これが今のような小浜、そして京都を通って新大阪に延伸されるということについて、従来から4つの懸念を申し上げております。地下水が筆頭でありますが、その地下水への影響、環境影響です。それから、この長大なトンネルを掘削するということになるわけですから、その膨大な工事排出土をどこにどのように処分をするのか。それは経済的にも環境的にも非常に大きな負荷がその処分地にかかるわけです。これについての懸念。私は京都市の中にそんな土地があるというふうには認識しておりません。それから3番目は、非常に長期にわたります。その長期にわたって、それだけの工事が行われて、今、産業排出土の問題を言いましたが、それをどのように運搬するのか。工事車両がどういうふうに出入りするのかということを考えたときに、今議論されているような案でいきますと、私は相当長期間で京都市に非常に深刻な交通渋滞をもたらすんではないかと。それは私が市長をやっている時期ではないかもしれません。しかし、そういうことが、これはもう全ての4つの件について全て言えることですが、それが例えばこの今の秋の観光の時期に、そんな工事車両が通って、京都というまちはもつのか。4番目、以上ひっくるめた財政負担というものが、いや、国家的事業だから国が100%持ちますという議論を展開される方もいらっしゃるのかもしれませんが、今まで国家的事業であっても、地域に利益が及ぶものについては必ず地方負担が求められています。それは私の官僚としての常識であります。それが突破できるような政治経済状況を私は考えられません。その中で京都市が、この莫大な事業費、もう今想定されるだけでも5兆円を超えると言われていて、財務省は、それでは収まらないんではないかと、金利の見通しが甘いんではないかというようなことも言ってます。そんな議論がある中で、今4つの懸念を払拭できるのかどうか。私は極めて懸念を有しております。そのことは、私はもう直接間接に与党PTの責任者の方にも、あるいは官庁の皆さんにも申し上げています。同じことを市会で申し上げて、今ここで申し上げていることと同じことを、もし呼んでいただくならば、どこでも、どこでもと、私の日程もあります。今日PTやってますけど、この記者会見飛ばして行くというのは、私はやはり、それは京都市政をつかさどる人間として今日は行けませんけど、呼ばれていませんけれど、私の公務が許す限りにおいては、極力東京に出かけていって、呼んでいただくなら、今の思いを同じことを申し上げたいと思います。

記者

 少々追加になるんですが、今4つの御懸念も前から示してらっしゃると思うんですけれども、こういったことがまだクリアになっていない段階で、このようなPTでヒアリングをするというのは少々性急にも感じられる部分が個人的にはあるんですけれども、それについて市長としては、この進め方について何か思いになられますか。

市長

 いえ、すみません。私は与党PTがどんな議論を重ねて、どういう経緯で今ヒアリングをしておられる、どういう基準でヒアリング先を選定されているのを存じませんので、そこの在り方についてコメントする立場にはありませんけれど、私としては今申し上げたようなものは、じゃあ詳細が明らかになってないから今申し上げたような懸念は伝えられないかというと、もう巷間伝えられる新聞報道等で伝えられるような議論を年内にしようとされてるのであれば、これは詳細が明らかであってもなくても、私の立場は、より直接的にオープンな場で申し上げるべきではないかと。もう既に申し上げてますよ。申し上げてますし、記者会見でも市会でも申し上げて、直接も申し上げて、PTの幹部に申し上げてありますが、さらにそれは議論をしていただく上で、今が時期尚早ということではなくて、むしろ今の私の立場を聞いていただくことのほうが適切ではないかと思っております。

記者

 今月、古都京都の文化財が世界遺産登録30年を迎えます。あまり節目としての盛り上がりはないかもしれないんですけども、ここに来て市民生活の影響も多少なりともあると思いますし、一方で、これだけ多くの観光客がいても、文化財の維持には人材や資金の面で大変だという面もあると思います。市長して今感じられている課題、もしくは今後取り組みたいことなどあれば教えていただけますでしょうか。

市長

 京都市の財政の中で、本来はもっと文化財、京都が保有している文化財、京都がというのは、京都のまち全体でいろんな神社仏閣、あるいは旧宅、いろんなところにすばらしい文化財がある。これについて京都市がもっと、その保存あるいは継承に力になればいいんですが、なかなか財政的な余裕がなくて、そこに十分な資金を振り向けられてないということは、これからの京都市の一つの大きな課題だと思います。と同時に、私が申し上げたいのは、今のこの京都の財政の中で、それをやるというよりは、国家的に、この例えばインバウンドの観光も国家的に、日本という国に来ていただいて、日本という国のすばらしさをいろんな世界中の方々に見ていただいてるわけですから、その一つの大きな誘因になっている、すばらしい文化財の保全にもう少し国家的な財政投入をしていただけないかということは、事あるごとに私どもは文科省、文化庁にも申し上げてますし、これはいろんなところで文科省以外の官房長官にも申し上げたりとかいたしておるところであります。具体的には、この間、文化庁の予算というものも少しずつ見直しをしようという議論は起こっているんですが、いつも都倉長官とお話しするのは、本当に文化庁の予算を抜本的に強化するような予算編成を求めていただきたいというふうに申しておりますし、私自身も、京都市においても芸術や文化を振興するという議員さんの機運がありますけれど、やはり国全体として、その文化芸術立国というのをどう推進していくか。これは議連もあるんですね。ですからそういうところも含めて、しっかり文化庁予算を、それこそ倍増するぐらいの気持ちでやっていただきたいなと個人的には思っています。それから、これは観光庁にこの前国家予算要望のときに伺ったときに申し上げたんですが、やはり例えば、今年度の税制改正要望には入ってなかったようですが、いわゆる出国税、これは観光財源になっていますが、これは相当文化庁にも交付されています、その財源がですね。これを本当にもう一回抜本的に、我々も宿泊税を議論してますので、国全体としても、例えば出国税の議論をもう一回議論していただいて、観光文化財源として、ちょっと抜本的強化をしていただけないかという話を観光庁長官にも申し上げて、観光庁長官も非常に趣旨としては共感していただいたと思います。じゃあ具体的にどう動けるかということになると、もう予算編成のこの時期でしたので、来年度予算編成にどれだけ動けるかは別として、そういうこともあらゆる機会を通じて、我々の中の財源捻出も、これはなかなか厳しい財政状況の中でも工夫ができないかとは考えますが、より広く国家的な配慮が必要なんじゃないか。それを訴えていくのは京都の市長や、あるいは西脇知事とは連携して国家予算要望をさせていただいてますので、府市連携してしっかり取り組んでいきたいと思います。

記者

 先ほど、秋の観光シーズンの取組のことがありました。より奥深い魅力を生かした観光の推進をするという発言もありました。今期は京都市としては混雑対策であったり分散対策などされています。今ちょっと途中なのであれかもしれないですけど、今期のこの施策であったり対策について、松井さんの目から、どういうふうに効果的なことであったりとか、課題こういうふうにあるなみたいなところについて、所感をいただければと思います。

市長

 私が一番根っことなるのは、やはり京都のまちの在り方が、とにかく有名な観光地だけ周遊していただくようなまちの在り方から、少しずつ変えていくということは中長期的にやっていかなければいけないと思いますが、他方で、今ある混雑に対してどう立ち向かうかということも大事でありまして、そういう意味では今年の6月の頭から始めた観光特急バス、従来の記者会見で、大体土日ですが1日2,000人あまりの利用者があって、それなりに効果を上げてますという話でしたが、これは例えば11月3日、一番直近でいうと3,900人御利用いただいておりまして、やはりこういう取組というのはそれなりに意義があるんではないかなと思っております。それから、これは検証も必要ですけれど、東大路通りの交通規制を今回京都府警と連携して行っていただくことになりました。これも、これは検証しなければいけないんですが、私も事あるごとにタクシーの運転手さんとかいろんな人に聞きますし、自分も通るときがあるので、私自身の体感では、やはりある程度効果が出てるんではないかなと思います。それから例えば、この五条坂のところの駐車場ですね。あそこも清水坂の観光駐車場も、これはちょっと数字がありまして、例えば東大路交差点から駐車場入り口までの、特に西行きはですね、9月26日が平均19分33秒だったのがこの10月10日から11月22日のうちの10日間で見ていると、それが11分31秒になっているとかいう数字が出てきておりまして。これは上りで言うと6分56秒が3分15秒と。具体的に効果も、計測可能な効果も現われています。なので今、一例だけ申し上げました。いろんなものについてこういうふうに効果検証していかなければいけないと思いますが、具体的にやればやっただけの効果がある。それが抜本的改善というふうに地域住民の方、あるいは観光客の方に捉えられているかどうかは今後の課題もありますが効果はあるので、それを検証して。特にバスというのはなかなかバス全体の保有台数の限界、それからよりしんどいのは運転手さんの確保という問題があって、なかなか我々もちょっと手足が縛られた状況の中でもがいているような状況もあって、本当はもっとこういうものを打ちたい。例えば、観光特急バスってもうちょっと走らせたいと思っても、じゃそれだけの台数があるか、車庫があるか、運転手さんがそもそもいるのかという問題があって、なかなか本当だったらもっとやりたいのができないところは歯がゆいところがあるんですが、いわゆる対症療法かもしれませんがごみの問題とかマナーの問題とかも含めて一定効果が上がっています。例えば、地域ぐるみでスマートごみ箱設置というのを企業の御篤志でいただいているということだけでなくて、そのごみ袋を交換するとかいうことについて地域の方に御協力いただいているとか。清掃局(環境政策局)の方々がしっかりそれを無線で傍受して、しっかり小まめな回収に行っているとか。それこそ地域ぐるみ、企業、そして行政がスクラムを組んで対策をするというのは一定の効果はあります。それを今後、どういうふうにさらに充実していくかというのは、財源や人員というような、いろんな縛りがある中で工夫していくということに全力を挙げていきたいし、もっとまち柄としてですね。例えば、先日も言ってたんですが教育旅行といったときにこれはもう旅行者とか学校さんの御理解がなければいけないですが、じゃ観光名所だけを行くのが教育旅行なのか。もっと例えば、大学での受け入れみたいなことを今後開拓していって、もっと学習型の教育旅行というものを。これは旅行者の方々も協力していただかないといけないですが、このいわゆる有名名所周遊型の観光というものとちょっと違う、もう少し奥行の深い観光シーンを創っていくということと、今の観光集中の輸送機関の問題、駐車場の問題、交通規制の問題、あるいはパークアンドライドの問題、マナーの問題、いろんなものをとにかく今、起こっている問題をできるだけ軽減していくという地道な努力と両方やっていきたいと思います。

記者

 1点だけ。また別の話なんですけど、前原さんが維新の共同代表になられました。松井さん、前原さんとすごい長い縁があるとは思いますので。

市長

 長い、あるときは険しい、あるときは温かい。長年の関係があります。

記者

 これまで前原さんとの関わりで思うところであったりとか、さらに少数与党の状況です。野党の在り方がすごく問われています。その前原さんに対するエールみたいなところがあればなというのがあります。

市長

 そうですね。私は2期12年で国政をリタイアした人間です。国政で長く活躍されるのはどの党派であっても、これは市政でも府政でもそうだと思いますが、長く選挙を経て住民の信託を受けて政治のかじ取りをされるというのは並大抵のことではないと思いますし。やはり前原さんも政治生命をかけて、時には冷酷な、時には体を張った判断をされているんだと思います。今、恐らく前原さんの政治生活の中で一つの大きな節目でこれからどういう政党を目指していかれるのか、維新の会さんも今いろいろ新しい代表になられて一つの節目の時期にどのような役割を果たされるのか。党派とかいろんな考え方の違いはあったとしても、国民の負託を受けて政治をつかさどるという、その貴重な仕事に就かれている前原さんが今後も御活躍されることを心から願っております。

記者

 政党をころころ変えられたりして維新に行かれたりとかしている、この状況とかいうのは松井さん的にはどういうふうに見られてますか。

市長

 余計なことをつぶやいたからいかんのかもしれませんが。私はそれぞれ4度目の人生ですから、私もそういう意味では転職し、職業をころころ変えているということになるかもしれません。自分はそれぞれの職種において、自分は一つの組織で仕事を節目まで全うできたというのは自分にとって幸運だったなと思いますね。いろいろ所属政党が変わっている方はもちろん御自身の都合で変わられている方もいらっしゃるかもしれませんが、政界というのは離合集散がつきものであって、そういう荒波の中で人生を送っておられている中で奮闘されているので、そのことについて私が政党をたくさん変えているからどうこうということは申し上げたくはない。ただ自分は、いろんな意味でそういう天の配剤によってそれぞれ一つの職場で仕事ができてきているというのはありがたい。それでもね、夜露の社会人人生ですから、一芸で、一徹で数十年仕事をされているという方は、これはこれで大変な御尽力もあるし、まあそれぞれじゃないですか、人生。はい。

記者

 前原さんは、共同代表の記者会見のときに野党協力に関して何らかのルールに基づいて一本化の意志を持つべきみたいなことを言及されているんですけれども。この野党が一緒になるということに対して、松井さんとしてはこの点はどういうふうに御理解されてますか。

市長

 これは私、従来から今まで全部、市長としてのコメントでなく私、個人としてのコメントですが、従来から申し上げているのは、やっぱり数を得るために何をするかということをこの間、少なくとも平成からいろんなものが続いてきて、私もその一部に当事者として関わっているわけであります。やっぱり数を得るためにという政治のリアリティも大事でありますが、何を行うための結集であるのかということを大切にしていただきたいなということだけは申し上げたいと思います。

記者

 先月、施行されたケアラー支援条例のことで伺いたいと思います。ケアラー支援条例の議案が議員の共同提出で市会に提出されて可決成立したと。その中の第13条の中で、市が必要な財政措置について、必要な財政上の措置を講じるものとするというふうに、かなり財政についてちゃんと確保するようにということを定めている条例となっております。今後、その次年度の予算編成時期というのもありますけれども、こうした条例についてまず可決したということについて、どのように受け止められるかということと。今後、予算上、どのように配慮していくか伺えますでしょうか。

市長

 はい。ケアラーの問題は、私もいろんな当事者の方々からもお話を聞く機会があって、とても切実な問題だと思います。市会で熟議を重ねられて、全会一致で条例が成立したということを重く受け止めなければいけないと思います。我々も条例が成立した時期がこの時期だからということもありますが、この条例に向けていろいろ議員が御尽力をされていたということを重く受け止めて予算編成、今からできることに限りがあるかもしれませんが、とにかく最大限その条例の趣旨を尊重して予算編成に当たらなければいけないと思います。やはり全党、全会派一致で御議論されてきて、こういう枠組みができたということを尊重し、真摯に対応しなければいけないと思っています。

記者

 先ほど、少し言及のあった宿泊税について、新京都戦略に関わってくる部分だと思うんですが、先日の議会でも言及があったと思うんですが、改めて御自身が考える方針とそれに至る理由、考えの部分をお伺いできますでしょうか。

市長

 はい。宿泊税、我々が環境と市民生活のさらなる調和を目指さなければいけない。そのために、やはり市民は税金を払っていただいたり、地域に貢献していただいているわけですが、宿泊者の方々はやはり来訪者として京都の魅力を味わっていただいている。そのことが結果として一部の集中などにより市民生活を圧迫している部分をいかに軽減するか。それからやはり京都というまちのすばらしい文化資産。文化資産というのは、いわゆる文化財だけではなくて、京都のまちの魅力というものを高めていって、観光客も度々訪れたいと思えるようなまちを続ける。それから大切なことは、市民の皆さんが、観光客が来て、当然私の実家もそうですけど観光事業者、お土産物屋さんとか宿泊関係者とかは泊まっていただいたりしてそれなりの利益があるわけでありますが。一般的に見て、自分の市民生活にとって観光客がどういう意味があるかということがあまり理解できない方がいらっしゃいます。要するに、理解というか実感できない方がいらっしゃいますね。そういう方々にとって、やっぱり観光客の方々がいらっしゃってるがゆえににぎわいがある、あるいはこういう税収があって、そのことが市民の生活もよりよくしているんだ。あるいは、市民の共通財産であるいろんな文化財を含めて京都のまちが、あるいは京都の街並みが豊かに維持されているんだという実感を市民の方々に持っていただくということが、いろんな欧州における市民と観光客の対立みたいなものがエスカレートした状況を見ると、その市民に観光というものが市民生活に本当によりよい配当を授けてくれているんだという意識を持っていただくために、宿泊者の方々には申し訳ないけど、もう少し御負担をいただいて、それを市民にも見える形で市民生活の改善、あるいは環境と市民生活の両立、あるいは調和ある、さらなる調和というものに振り向けていくということがすごく大事であって。今、直近で出ている48億円ぐらいの税収がありますが、これについて相当、数十億円規模の増収を図るような税率見直しをしていきたい。市会でも申し上げましたように、200円区分というものも含めて、それを見直していきたいというふうに考えております。より詳細は、じゃあ具体的にどんな事業に使っていくのか、そのための財源はどの程度必要とされるのか等々、観光事業者、徴収事務に当たっていただくので、観光事業者の方々の理解も得られるように。もちろん幅広い市民の理解を得られるように具体的な税率、そしてトータルの金額、あるいはその刻みというものについて考えていきたいと思っています。

記者

 ありがとうございます。まさに具体的な議論のところが必要になってくると思うんですけれども。例えば、上げる方法、何円上げるとかパーセントで考えるのかでしたり、あと時期ですね。どれぐらいまでというのを考えるのか、ちょっと細かい部分になるんですけれども、お考えをお伺いできますでしょうか。

市長

時期については、これから我々が具体的な案を固めて、協議をし、そして最終的には条例にしなければいけないし、総務大臣の許可(同意)も必要ですから。そういうことも含めて、いついつまでにとは言いませんが、私は市長選挙のときに「やはり普通に順調にいっても2年程度かかるでしょう」というふうには申し上げておりました。それより早まるということはなかなか今後のいろんな、仮に税率が決まったとしても、それを実際にシステムとしてちゃんと観光事業者の方に周知徹底して、実装しなければいけないということも含めていくと、やはり実際の宿泊税の引上げというのは私が選挙戦に当たって申し上げていたような時期より早まるというのはちょっと難しいんじゃないか。できるだけ大まかに言えば、その時期程度にはまるように今後していきたいと思いますが。これあまり拙速に押し切るようなことをするのではなくて、しっかり関係者の御理解もいただきたいと思うものですから、あまり今この時期にという言い方はこれ以上は避けておきたいと思います。

 それから税率とかについては、まだいろんな御意見もあるんですね。例えば、徴収事務の上でどれぐらい。徴収される方々にとっての事務負担というのを考えていかなければいけませんし、それからやはり御負担される方々の公平感がどれぐらい保たれるかということも考えていかなければいけないと思います。比較的低額の金額でお泊りになられる方、それから今、京都の場合は非常にゴージャスな宿泊施設もありますから、そういうところは一泊何十万円とか、あるいは百万円とかいうものもあります。どういう区分にしていくのか、率にするのかという、あるいは徴収する上でそれは納得感が得られるのかどうかということも含めて、具体的な区分額か、率なのか、刻み、そういったことについて詳細な議論を詰めていく段階だと思っております。

記者

 今、来年度予算編成の作業をされていると思いますけど、市長が公約に掲げられた第2子以降の保育料無償化ですね。今の市長の中の検討状況を教えてください。

市長

 私の公約の重点項目の一つですので、真摯に取り組んでいきたいと思いますが、ちょっと財政的には相当な規模のものなので、今の予算編成の中でいつの段階でそれを織り込めるのか、今鋭意精査中であります。

記者

 改めてなんですけれども、年間10億円以上固定でかかってくるわけですけれども。それでもなお、やられたいという目的といいますか、市長はなぜやられたいんでしょうか。

市長

 いえ、それは公約ですしね。それからやはり私も子育て世代の方々とか、保育園の方々とも話をしてますが、財源的にねん出するのはなかなか容易なことではありませんが、やっぱり子育てされている方々というと、保育園に行く期間というのはそんなに限られている中で、自分がやはり実際に子育てしていろんな負担がある中で、いつ軽減してもらえるのかと。自分の頃には軽減されないのかというような声もありますから。あまり悠長に先々のということでもいかがとは思っています。ただ、本当に財源、先立つものがなければできませんので、それをいつ頃、具体的にお示しできるのかはちょっと今、鋭意予算編成の中で今後、検討していかなければいけない点であります。

 当然、申し上げているように私は何でも無償化、負担軽減することだけが子育てを改善するという方法だとは思っていません。ですから、それはずっと申し上げていますように、まず住まいから入ったわけでありますが。あるいは府市トップミーティングの中で、子供の医療費というようなものについても一定の俎上に上がっている中で我々は計画的に経済的な負担、あるいは健康面の負担というものをどう軽減していくかということを考えて、しかし市長公約ではありますのでしっかり自分の任期の中で実現できるように最大限、努力していきたいと思います。

記者

 先ほどの話ともちょっとかぶるんですけれども、観光の中で市民への還元といいますか、という話があったと思うんですが。今回の新京都戦略の中に入っている市民優先価格への挑戦というのも、意義や目的というのは、そういったところに置いておられるという認識なんでしょうか。

市長

 市民優先価格もそうですね。タイミング的に市民優先価格がいつ頃実現できるか。これから交渉、それから関係事業者もいるのでそんな簡単に見通せないですけど、国交省と鋭意御相談をして、どんな制度だったら実現できるか。あるいは関係者、あるいはそういう制度が実装されたとして、悪用されないような制度にもしなければいけないものですから、それはやっぱり結局住民票とどう紐づけるかということも必要になってくるので。制度ができたからと言って、すぐできるわけじゃないですが、それを実現するときに難しいのは、公営企業の独立原則というのがあって、公営企業にじゃ我々が財源をどこまで入れられるかというのは、おのずと規律が必要でありますので。そういうことも考えながらですが、私の頭の中でいうと、ひょっとしたら宿泊税財源も含めて、そういう新しい交通体系の整備の中で生かせるものもあるのではないかなというふうに頭の中では思ってますが、これは宿泊税の取得ということについて、いろんな方々の納得もいただかなければなりませんし、今後の市民優先価格のどんな具体的なシステムを作り、それをどういう関係事業者をどういう形で巻き込んでいくのか、どういう決算の仕方をするのかということとも関わってくるので、今、確たることまでは申せませんけれど、それなんかも私の頭の中では宿泊税を引上げさせていただいたときのこういう制度を実装するというのも一つの使途ではないかとは考えています。

記者

 すみません。北陸新幹線について、もう一度教えてください。先日の酒造組合の方がいらしたときに、地方自治体の負担割合がゼロになることはないという、自分の常識では、とおっしゃって。そこまで今までおっしゃってなかったなと思って、勝手ですが市長の…。

市長

 言ってませんでしたか。そうですかね。

記者

 市長の危機感がこの間、ちょっとずつ高まってこられているのかなと勝手に拝察しているんですけれども、その4つの提示されている懸念のポイントについて、「慎重にも慎重な検討が必要」とおっしゃってますが、どういう具体的なプロセスがあればその懸念が払しょくできると思って考えておられるのか教えてください。

市長

 まだ当然、ルートも決定されてないし、決定してくれという意味じゃないですよ。要するに、どのルートをより詳細にどこを通って、どれぐらいの深さでどういう工法でという、より具体的な話が提示されているわけではないので。例えば、地下水にどれぐらい影響を与えるのか。やっぱり深さとか、どういう層、どの辺りで突っ切るのかと。当然、ボーリング調査とかもされているから、ある程度データはお持ちなんだと思うんですけれども。そういうことの詳細が分からないときに確たることは言えないですよね。ただ懸念は持ってます、非常に。というのがそれぞれについてあるわけです。例えば、排出土というのは何立米というものがあって、それって例えば、京都市内でまさか処分地を求めておられるわけじゃないですよね。我々は無理やと思いますが。じゃ京都府下であるのか。あるいは他府県に、あるいは海域に処分するとかいうようなことがあり得るのか。私はどれを取ってみても、これだけのものというのはなかなかそう簡単には見つけられないと思うんですが、そういう目算はおありなんですか、ということはもちろん聞いてみたいし。当然のことながら、じゃどれぐらいの工事車両って出入りするんですか。例えば、こう来られて、どこからどれだけのものを運び出して、資材を運び出す。搬入したり、搬出するのにどれぐらいの、それがどれぐらいの期間でどれぐらいの台数のトラックが出入りするのか、なんてことも。どの道を通るかということ、どのルートを通るかによってはその道がどんな混雑状況にあるのか想像できないですね。

 それから今、申し上げた最後の点は、皆さんがおっしゃったように、これは特に最近一部のPTの幹部の方が、「いやいや、国家的事業なんで地方は心配しなくていいんだ」とおっしゃるわけです。本当に心配しなくていいのかと言ったときに、私の今までの自分の人生の常識でいうと、あるいは私が今、他省庁から国土交通省以外の役所から得ている情報から言うと、そんなことは、京都市の負担がないなんてことはないでしょうというふうに皆さん、声をそろえておっしゃるわけです。その多寡はありますよ。だからそういうことを考えてみると、より詳細なルートとか具体的な工法とか、具体的な工事について教えていただかなければ確たることは言えないことは事実なんですが、同時により詳細なことが明らかになれば、その懸念が払しょくされるのかと言うと私にはその懸念がそんな簡単に払しょくされるとは思えないので、そうだとしたら私はその懸念に直面したときに、首長として責任ある判断をしたときに私がどのような態度を取ることになるのかということの想像はしていただいたほうがいいんじゃないかというふうには思っております。答えになりましたでしょうか。

 想像していただいたほうがいいというのは、その事業を主体として考えておられる方々に私がどう反応するかということは、今申し上げたようなことを申し上げれば当然、私が、詳細が決定したときにどのような判断を、通行し、駅を造る当該市を所管する市長がどういう判断をするかということを事業主体の方々に想像していただきたいということであります。あるいは事業を決定する主体となる方々に想像していただきたいということでありますね。

記者

 かなり釘を刺されたように聞こえるんですけれども。

市長

 私の今の考え方を申し述べたわけであります。私はPTの責任者でもありませんし、国の機関の代表者でもありませんので。ただ地域の自治体の首長がこういう懸念を伝えていて、その懸念というのが払しょくできるような具体的な国策としての事業の在り方が得られるならば、それは是非説得していただきたいと思います。

記者

 その懸念を払しょくするために何が必要。

市長

 今申し上げた4点の懸念、それぞれについて説得力のあるデータ、根拠です。それは私だけではなくて、例えば、環境面についてその水質、水脈の私専門家ではありません。地盤の専門家ではありません。そういう環境の専門家なども含めて、ちゃんと市民がよりどころとして、これは安心できるなという確信を与えていただかなければ、私は当然、同意できないでしょうね。

記者

 先ほどの北陸新幹線に関連してなんですけれども。言わずもがなかもしれないですが、この今3案、詳細が検討されていますね。この3案に関して、どのルートがいいとかいうのを表明するお考えはないと。

市長

 はい。その3案それぞれに今、私が申し上げた4つの懸念というのはそれぞれ内包しているのではないかと思います。私は、その3案それぞれのベネフィットを計測するデータも持っていません。なので、私はどちらかと言うと懸念の問題を言ってますが、その懸念というのはベネフィットが上回るかどうかというような問題かどうかも含めて、その懸念。私が申し上げた懸念というのを社会的コストとしてどう計測するんだ。あるいは、どう関係者に納得を得るのかというのは極めて重要な問題であって、私はだからどの案だったらいいとか、どの案だったら悪いということではなくて、どの案も共通で今、申し上げた懸念は。もちろん程度は違うかもしれませんよ、それぞれ。それぞれの懸念はあると思います。

記者

 まあ、そういう懸念がある中で、早期整備を求める声もあります。石川県を中心に米原ルートへの再考を求める声が上がっています。米原ルートは、技術的課題ですとか、東海道新幹線の輸送力の問題とか、いろいろ諸課題が2016年の事業決定時から挙げられていて、当時からそんなに状況は変わってないと思うんですが、米原ルートについてはどのようにお考えでしょうか。

市長

 いや、それは私は判断する今、立場にはないと思います。米原ルートであっても、もちろん京都市を通過して、駅を利用して駅舎を増築すると、そういうことがあるのならばそれはそれでまた別問題かもしれませんが、今申し上げている4つの懸念というのは、基本は今の俎上に上がっているものについて、PTで例えば、私がこれから召喚されるのかどうか分かりませんが、もし召喚されたときに申し上げるべき懸念として申し上げたので。これ前から申し上げているように、その国家的事業のどのルートがいいかということについて、私が提案する権限もありませんし。私がそれを申し上げると議論にさらなる混乱を招くだけだと思いますので、米原ルートに限らず、その京都府下の先生方の一部がおっしゃっているようなルートについても私はここでコメントするつもりはございません。

記者

 市バスとかの市民優先価格のことで、どんなふうな価格設定とかスパンを想定しておられるのか。

市長

 これは、まだです。実際、それこそ京阪が運賃値上げを表明されましたけど、市バス全体の事業としてもぎりぎりなんですよね。なので、市民優先価格を、それは例えば、宿泊税をもろに、例えば、公共交通につぎ込むとかいうことができたらもちろん値下げすることはできるんですけど、やっぱり公営企業原則から言ってそれを一般会計で補塡するということは、我々は原則しないという大原則があるものですから、そうだとすると今の市バス運営のぎりぎりどれぐらいの価格設定をし、その減収分を含めてどれぐらい域外の方々に御負担していただいたら帳尻が合うかということをどういうふうにシミュレーションするのかということも必要になってきます。それから今後の例えば、市民優先価格というのは今申し上げましたようにある程度ちょっと先のことになるので。その頃までに本当に運転手さん不足がどこまで解消して、今、運転手さんの処遇も改善しなければいけない、もう集まらないですから。そういう燃料費も上がっている状況の中で、本当に市バス運営がどうなっていくのか。あるいは、どんなシステムを作って、それから民間事業者にもそれは同じ路線でこっちだけがやってしまうと民間事業者に影響を与えるので、じゃ民間事業者にそれを協調していただくためにどんな対応が必要か。それも例えば、財源が必要かもしれません。そういうことを含めて考えなければいけないので。まあ、私の常識で言うと、ものすごく大幅な市民優先価格で、え、こんなに安くなるのというようなことにはならないけれども、できるだけ市民優先価格と言う以上は、多少なりともと思っていますが。差をつけるというのは明らかです。恐らく、市民と非市民の間で一定の金額の差、これは恐らく何十円という差では収まらないと思います。けれど、どのレベルで差をつけるか、下げて、上げてなのか。そこの幅はちょっとこれからいろんなものを計算して、いろんなシステムにどれだけの費用が構築され、システム構築にどれぐらいの費用が必要かということも含めて精査しないと分からない。まだその前の段階でようやく市民優先価格はこんな考え方でいくということについて、ようやくある程度事務的に国土交通省さんとお話を前に進めているというぐらいのところなので、ちょっと今の段階ではそれ以上は。

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