市長記者会見(2024年9月26日)
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2024年10月9日
「市政の点検結果」及び「京都市特別顧問の追加任用」について、京都市長が記者会見を実施しました。
※発表内容は、令和6年9月26日時点の情報です。
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(発表案件1)市政の点検結果について
(松井市長)
おはようございます。8月20日の会見以来でございますが、8月20日の会見では、市長就任約半年ということで、その時点でのまちづくりについての思いを申し上げましたが、その後もこの8月・9月を含めて、特に7月ぐらいからいろいろな政策ミーティングというのを活発化させてきまして、御承知のように、市民対話会議というのを、都合19回開催させていただきました。そして特別顧問、今日もお一人追加の案件がございますけれど、特別顧問の方々とも、その顧問の就任の前からいろいろな意見交換をさせていただいていますが、就任後もそれぞれ複数回、意見交換をさせていただきまして、できる限り、この就任後約半年というところで、私としても一つの節目でございますので、市政についての点検の結果。点検と言うところ、非常に言葉がきついですけれど、私自身が自分の目で、市民、職員、外部有識者、これは特別顧問だけじゃなくて、成長戦略のアドバイザーの方々なども含めて、いろいろなところで意見交換を行ってきました。昨日も東京に行ってきました。東京でもベンチャーキャピタルの方々や、成長戦略のアドバイザーの方を含めて意見交換をしてきましたが、そういうこともひっくるめて今日のお話をさせていただきたいと思います。
配付の資料に基づいて御説明をさせていただきます。まず1ページですが、点検に当たっては、全ての政策分野につきまして、現状分析とか今後の方向の検討を行い、現行の行財政改革計画の総括、それから一昨日にコンプライアンス推進会議を開催させていただきました。そういったことも含めて、職員・組織の点検を自分なりに行ったつもりであります。
2ページを御覧ください。市民・有識者、今申し上げたように、対話を重ねております。全ての区役所・支所で市民対話会議を開催しまして、今さらにそれに加えて、分野別の市民対話会議を地域横断で行っているところですが、そこで出た意見は2ページに書いてありますが、私自身も非常に京都のまち、改めて京都のまちをいろいろと歩いてみて対話をさせていただいてみて、やはりすごくこんなポテンシャルのあるエリアが地方で、東京あるいは首都圏というちょっと巨大なエリアは、これはやはり賑わいはあるのですけど、当然のことながら賑わいはあるけど、コミュニティとしての雑ぱく感が非常にあって、それに比べて、やはり京都というまちはコミュニティがあって、それで賑わいもあるという、ポジティブにまず受け取ったうえで、しかしあえてやはり今点検という意味では課題ということで、いろいろな意見聴取をしましたところ、そこに書いてありますように、コミュニティが希薄になっている。これは、京都の人たちから見て、全国から見たら私は大都市の中でコミュニティが圧倒的にまだある方だと思いますが、あるいは担い手が不足している。学生、とにかくまちにもうちょっと関わりたいという学生はいるけど、入り方が分からないとか、企業なんかも今取組がどんどん進んでいますけれど、やはりもっともっと取り組んでいきたい、まちづくりに取り組んでいきたいというような声がありました。可能性、課題と共に可能性があったということだと思います。
有識者の皆さんの声も聞きましたが、やはり非常に暮らしに息づく様々な文化があって、その文化にインスパイアされたいということで、いろいろな多様なクリエイティブな方々が集まって来ているんじゃないかと。あるいはもっとこのアカデミア。これだけの大学があって、人口的にも非常に大学生が多いので、もっとそれを活用できるんじゃないかとか。あるいは今京都駅周辺の開発が進んでいます。特に今は南、あるいは東のエリア、あるいはちょっと京都駅から離れたエリアの開発が進んでいますけれど、もっと京都駅周辺の投資を活発化すれば、京都に足りない点が補正できるんではないか。あるいは、それと同じ話ですが、企業誘致の中でももっとなぜ京都は取り組まないのですかねと。これはある程度取り組んでいるのですが、職員が頑張ってくれているのですが、昨日も意見交換をしてきましたが、そういう御助言もいただきました。
3ページを御覧ください。私は京都の気づきとして、これは連休でしたかね、NHKさんの番組でもありましたが、地方創生ということで、やはり地域は密なコミュニティはあるかもしれないけど、どこへ行っても同じような人たちが集まっていて、息が詰まるというような話があって、都会に若い人たちと一緒に流れているという話がありますが、京都は140万人を超える大都市でありますが、私がまちのお店が好きなものですから、いろんなまちに行って、そのまちの中でお話をしていたりすると、この地域の繋がりで、いろいろなお店とか、その常連との関係とか、繋がりがすごくある。他方で圧迫感みたいなものは、やはりある程度の、大きなまちであるということで、ない。そういう圧迫感がなく、しかし地域の人と人との繋がりがあるという、ここは京都の微妙なバランスで、恐らく私も他の大阪であるとか、横浜であるとか、他の政令指定都市なんかと比べても、京都の特長だと思います。それはやはり文化の力だと思っています。こういう人々が出会って繋がっていくというこのまちの魅力というのは、東京から来られた人なんかでも京都である程度継続してビジネスをされたり、継続して京都に来られている方々は一様に指摘をされるところでありますね。他方で、コミュニティの力というのはすばらしいけれど、今のままでいうと、ちょっとコミュニティをこのまま維持するというのは非常に困難がある。特に団塊の世代とか、あるいは場合によってはその上ぐらいの方々も含めて、その方々がずっと地域コミュニティを担い続けておられて、その後の方々にちょっと断絶感があって、あと5年10年ぐらいが経ってきたら本当にどうなるんだろうなという危機感を私自身も直感しております。これは別資料ですけど、当たり前ですけど、団塊の世代の方々が、これは1990年、2005年、2005年というのは私が参議院をやっていたときですが、ここなんかは団塊のこの世代の方々が、まさにこの中軸で地域のコミュニティを担っておられる、これは私が新しい公共という発想を得たのもここのタイミングですが、その方々が残念ながら、ここの上の高齢層に入って、高齢層の中でもこの後、後期高齢層に入っていこうとしているのが、今の現状ではないかと思うのですね。で、そうなってきた時に、この方々が、ずっと地域の主軸を担ってきた人たちが、しかしやはりいずれ寄る年波でだんだん身体的にもしんどくなっているし、やはり私のこの今の職場の人たちに聞いても、その方々がこの何年間かで退室されていて、その後を継ぐ方々がちょっと見当たらないで、その方々が非常に重い責任を担ってこられたものだから、若い方々はそんなことは我々のライフスタイルの中ではできない、同じようなことができないという状況に立ち至っているという風に思います。
資料に戻っていただいて、したがって、このコミュニティの古くから支えてこられた自治会、町内会などのお世話役の方々だけじゃなくて、いかにそこに、その濃密なコミュニティのちょっと外側にいる若い人たちであるとか、企業の人たちとか、NPOとか、そういう方々を交ぜ込んでいくのかということがすごく大事だと思っています。
それから3つ目の点ですけれど、京都の暮らしは本当にいろいろな文化があって、人や企業は引き継がれ、引きつけられているのですね。京都はポテンシャルの宝庫であるという風に私は思っていまして、結局これは市役所内部でずっと議論してきたことですが、政策、組織、財政を集中的に議論してきました。いろんな分野ごとにバラバラに考えるのではなくてシームレスにつないで、やはりまち全体として課題解決に取り組んでいけるようなまちをどうつくっていくことが大事かということが、私の今の現時点での感想であります。
4ページ目でありますが、まさにそういう意味では、地域のコミュニティの繋がり、支え合いによる課題解決というのをどうしていくか、今申し上げたようなやはり担い手不足、そして若い世代を中心にして、従来よりは地域の繋がりが希薄化して、そして孤立。これは世代別でいうと、やはり1980年代ぐらいであった標準世帯というものが今崩壊して、最大の世帯は単身世帯、これは京都だけじゃないですよ。日本全体が単身世帯が最大世帯になっているんだけど、今の法制度とか社会制度が、やはり従来の標準世帯、夫婦2人プラス子ども1人、2人がいるという世帯を中心に考えられていて、そこのギャップというのをどう埋めていくかということが大事だと思っています。そういう意味では、地域、NPO、大学・学生などが交ざり合って新しいコミュニティをどうつくって交流をしていくかということが非常に大事。
5ページ目でありますが、人口減少、人口流出の問題もありますが、これもこの会見でもお話していることでありますが、やはり若い世代に選ばれる子育て・教育環境をどうつくっていくか。全国トップ水準の学力、これは、私は28年間の桝本市政、門川市政の1つの大きな成果だと思いますが、教育の面で非常に優れた成果を上げてきている。この京都のポテンシャルを生かして、いかに大学のまちでもありますし、この学力を生かして、先進的な学習環境を繋いでいくか、伝統文化を教育に入れていくか、食育、あるいは大学との連携、そういったことをしっかりと進めていって、選ばれるまちであり続けなければいけないし、そういう意味では、この間、京都府議会でも知事が答弁していただきましたが、私の公約に掲げた件で言うと、子ども医療費助成制度の充実に関して、これはトップミーティングでも知事とは話をしてきました。あるいはトップミーティングの背後にあるいろいろな打合せにおいても話をしてきましたが、これについて、私どもの要望も受け止めていただいて、検討会議を設けて議論していただくという表明をしていただいたのは、私は高く評価をしておりますし、感謝をしておりまして、これから京都府と連携して、この子ども医療費助成制度の拡充に向けて前進を遂げていきたいと思います。
6ページ目であります。文化を基軸とした豊かさの向上ということで、これはやはりコロナ禍のボディブローの影響が出てきていると思います。この文化の継承というのが危機的な状況にあるわけでありまして、やはりこの文化政策の間口を広げて、狭い意味での芸術文化ということだけではなくて、教育、産業、まちづくりなどをも含めて京都を、今後文化の力で魅力を高めていかなければいけない。多様な人材、私はアーティスト・イン・レジデンスでいう、アーティストという部分を、サイエンティストであるとか、エンジニアであるとか、あるいはクラフトマンであるとか、そういうものに置き換えて多様な人材を引きつけるような政策を打っていかなければいけない。
7ページ目は、市民生活と観光の調和でありまして、これからまた秋の観光シーズンを迎えるわけでありますが、非常に多くの方々が京都の魅力を高く評価していただいてることはありがたいと思いますが、やはりそれが市民生活を圧迫するようなことになってはいけないし、市民、観光客、事業者・従事者の三方よしの持続可能な観光に取り組んでいかなければいけないと考えております。宿泊税の議論もありますし、観光特急バスも実現したり、いろいろな交通の規制面での新しい取組も、東山であるとか嵐山であるとか、取組を始めていますけれど、さらに例えば、市民優先価格の検討も、これも国交省と議論を重ねていますが、これをさらに前に進めていかなければいけないという状況だと思います。
8ページを御覧ください。産業・経済の創造拠点としての京都の強みの磨き上げで、これはやはり私自身のキャリアから言っても、さらに取組を強化しなければいけないと思っています。要は攻めの都市経営というのは、ここの部分が職員も非常に問題意識を持った職員が、昨日も東京でまさにそういう職員とずっと意見交換をして、民間の方々も含めて意見交換をしてきましたけど、やはりもっと攻めて、オフィス空間をしっかりとつくって、そして産業用地を確保して、企業誘致、あるいはスタートアップの推進というものを進めていかなければいけないと思っています。府市連携のトップミーティングで半導体関連産業の振興という話もできましたが、この間の話で言うと、やはりメディアアートみたいな分野なんかも、非常に日本全体でいうと、半導体に匹敵するぐらいの大きな産業規模になっていますし、それは京まふも非常に成功裏に行われましたが、非常に世界中から注目を集めて、昨日も東京でフランス大使館の夜のピッチとかレセプションに参加して、大使、総領事とお話をしてきましたけど、やはり日本のメディアアート、京都なんかも非常に強みを持っているマンガとかアニメの世界に対する関心とか、フランスにおける盛り上がりを感じました。そういったものも含めてしっかりと創造的な企業・人材を呼び込んで、シームレスに経済発展に繋げていかなければいけない、そこは攻めの都市経営として非常に大事だと思っております。
それから、9ページでございます。戦略的なまちづくりということで、もちろんこの下の方に書いてある京都駅周辺などの今のプロジェクトの進行というのも非常に大事ですが、やはりまだポテンシャルを生かし切れてない。洛西、これは、去年の1つの我々としての重点地域だったわけですが、これをどう花開かせていくか、そして今年度、今まさに議論をしていただいているのですが、山科・醍醐エリアをどう発展させていくのか。そして三条京阪ですね、これだけ市内中心部にあって、こういうポテンシャルのあるエリアをどう開発していくか。開発というのは単に何か開発だけをしていくということでなくて、その地域の魅力をどう生かしながら発展させていくかということは大事ですし、私自身がこの地域、田の字の地域に自分自身も住んでいて、京町家というような非常に国際的に見ても、あるいは国内的に見ても、ものすごい財産であるところがやはりどんどん滅失している。ここはやはり施策の在り方も含めて考えていかなければいけないということで、これはしっかりと都市計画局を中心に議論をこれからしていかなければいけないエリアだと思っています。都市機能の集積と自然・歴史的景観の保全を戦略的に両立、推進していきたいと思います。
10ページをお願いいたします。安全・安心で災害に強いまちづくりは、これも当然でありまして、この間も能登半島でまた被災地に豪雨がありました。災害の頻発化・激甚化の中で、やはり消防団員の数が減少しているような問題もあります。他方でこれは課題と、その1つの可能性の両面があるという意味では、意外と消防団に若い方々とか女性の消防団員が最近増えているというか、そういう活躍も一部見られているということもあって、そういうことも含めてどうこの消防組織をさらに今後継続性を維持していくのか。あるいは、先日も臨時情報のありました南海トラフ地震、あるいは花折断層の地震等の大規模災害も想定した多様な主体、そして観光客が恒常的にいらっしゃる京都というまちで、どういう防災・減災、そしてもし災害が起こったときにどう対応をするのかということも大事だということを痛感いたしました。
11ページ、すみません、駆け足で申し訳ないですが、環境、自然と調和した持続可能な社会であります。これは非常に野心的な目標を京都は立ててきていて、野心的な目標を立てるというのは、例えば温室効果ガスの削減ペースだと、どうしてもこれまでの取組をしてくると、やはりあと一歩あと一歩というところ、削減ペースというのはやはり鈍化せざるを得ない状況の中で、いかにこの脱炭素化とか資源循環推進、生物多様性の保全・回復というものを一体的に実施していくか。あるいは農林業。京都は4分の3が森林でありますし、やはり農業用地も多いわけで、農林業の担い手をどうするかということも大事であるということが、この点検の中でも明らかになったわけであります。そういう意味では、これから経済、環境、社会の総合的な課題解決というものをどうしていくかというのは、これはなかなか新しいことというのはやりにくいですが、野心的な目標を着実に前に進めていかなければいけないと思います。
12ページ以降は、持続可能な行財政運営でございます。収支均衡をこの2年連続達成したということではありますが、財政状況は改善はしているものの、やはりインフレ経済になってきていて予断を許しません。
13ページ、将来負担も着実に改善はしております。過去負債の返済というのも、年度当初は10億円ということを積んでいて、さらにそれを積み増しするというような形で、着実に実施をしておりますが、しかしやはり指定都市の比較においては、まだ依然高い水準にあることは事実でありまして、これも油断はできないということであります。
14ページ、行財政改革計画に基づく改革の取組でありますが、課題を黒四角で示しております。行政だけではなかなか的確な対応が難しい様々な課題が山積している中で、公民連携が非常に大切でありますし、金利が上昇してきておりますので、将来負担のコントロールについても、やはり検討していかなければいけないと思います。
15ページでありますが、公共施設のマネジメント。これはやはりできるだけ総量を処分してそれを減らしていこうという考え方だったと思いますし、そこからできるだけ収益を得るということを、この間ずっと京都市は目標にしてきたと思いますが、やはり行財政改革計画が少し次のステージになる中で、京都の場合は、やはり本当に市民生活の向上とか経済の発展を考えた時に、私は総量削減目標をどのように定めていくのがいいのか、当然、維持管理経費を低減させていかないといけないことは事実でありますが、やはりこれは、市民課題の解決に向けて、京都が持っている貴重な資産というのを有効に活用する、その場というものをどう戦略的に活用していくかということを考えていかなければいけない。それを、何平米というものをどれだけ縮減するかという、そういうことを議論せざるを得なかった状況の次のステージで、やはりこれは攻めの都市経営ということで考えていかなければいけないと思います。
公共企業の経営については、上下水道局、交通局、着実に収支改善には努めてきました。しかし、その両部局は今般不祥事に直面しておりまして、いかに市民から信頼される体制をつくっていくのか。そして両方ともきちっと投資をしていかなければいけない時に、どういう風に戦略的な投資をするのか。そして緩みのない投資をどうしていくのかということは、非常に大きな課題だと思います。
市立病院は、過去最大の赤字で、令和5年度の決算で計上しています。これをどうするかということも、非常に私は赤字規模がちょっと半端ではないので、大きな課題だと思っております。組織・人員体制について言うと、今の雇用情勢の変化を受けた公共人材の確保、あるいはDXの推進など業務の合理化、そして職員のやりがい。コンプラ推進本部でも申し上げましたが、不祥事の背景に、やはり職員の課題意識にどう向き合っていくかということは非常に大事だと思います。
16ページ、すみません、先を急いで恐縮ですが、都市の成長戦略でありますが、これまでの税収基盤強化の取組、地方交付税の確保で、一般財源収入は増加し、令和6年度までに一般財源収入は185億円、その中ほどにありますように、増加をしています。他方で、個人市民税の納税義務者数は横ばいになっているような課題は残っておりまして、育ち始めた新たな価値創造の芽を都市全体の活力にどう生かすかということが大切だと思っております。
次のページ、17ページをお願いいたします。行財政運営の今後の方向性でありますが、一定の収支改善、行財政改革計画の極めて切迫した時点での財政状況で、収支改善を第一に取り組んできて、それは一定の効果を上げてきたことが事実でありますが、これまでの狭い意味での行財政改革、例えば、公共施設、今申し上げた総量削減方式が、今後のまちづくりという意味で、そういうことでいいのかどうか、もう少し広い視野で見なければいけないという風に痛感しております。それから、高齢社会の本格化、人口減少、施設の老朽化、物価高騰、そして担い手不足、計画策定時から外部環境が大きく変わっていまして、そういう施設の老朽化とか、施設をメンテしたりする時の人材をどう確保するかということの戦略的な取組がちょっと遅れているのではないかという風に考えております。そういう意味では、攻めの都市経営に注力して、戦略的な投資を行っていかなければいけないという部分があろうと思います。
18ページでございます。これはまさにコンプライアンス推進本部においでになった方々も多いと思いますが、やはり過去の一時期、京都市政は大きな困難に直面して、そのときに相当程度の改革を行われたと私は思っておりましたが、残念ながらごく一部ですが、その職員の規範意識とか、あるいは人、その背景として、人事異動等に課題があって、組織風土の緩みもある。そして、コンプラ推進会議で申し上げましたが、これを契機に職員アンケートを行って、7割が、真ん中にありますようにやりがいがあると答えている他方で、7割はやりがいがある、8割は働きやすい職場であると言っている一方で、4割の職員が、課題解決や新たな取組にチャレンジできる雰囲気がないと回答しているということは、私はこれを危機感を持って受け止めなければいけないということを感じております。組織としていかにチャレンジする機運とか、エンゲージしていく、その機運の向上を確保していくのか。これは人事だけではなくて、組織風土の問題もあろうと思います。
19ページにも繋がりますけれど、コンプライアンスを推進して、小さな不正、緩みというものをしっかり摘発できるような風土をつくると同時に、職員が使命感とかやりがいを感じる、このウェルビーイングという言葉をまち全体にも使っていますが、それらに対して、ここは率直に申し上げれば、やや指示待ちというような、例えばリーダーシップ、トップのリーダーシップがあるのはいいけれど、本当に職員同士がきちっと提案型で意見交換をしているのかどうか、そこも含めて日常から政策の決定、あるいはいろいろな業務の遂行に当たって、言われたとおりにやるということではなくて、職員自身が問題意識を持ち、あるいは市民とか有識者と常に意見交換をしながら、やはりボトムアップでもっと。京都市の職員は優秀ですから、これは私自身も感じますし、いろいろな外部有識者と話していても京都市の職員は、本当に他の地方自治体に比べてもとても優秀だし、中央省庁が今最近いろいろな課題を抱えていますが、それに比べても京都市の職員は非常にそれぞれが創意工夫もあるし、ただ問題は、それはお互いに部局横断で議論をして、政策提案をしていこうという前に、ひょっとしたらトップダウンでいろいろな政策が行われてきた、それはしょうがないですね、長い間のトップマネジメントがありますから、そういうものがあるとしたら、やはり職員がもっと意見交換をして、自分たちが創意工夫をして、政策を動かしていくんだという、そういう組織の風土をどうつくっていくか、これは恐らく国もそうでありますが、国の場合は、国会と政と官の関係でありますが、京都市役所においても同じようなことがあって、これはまち全体の施策・立案能力を高め、課題解決力を高めていくために、二元代表制の中でどう協力し合っていくかということもすごく大事なことだと思います。
20ページでありますが、今後のまちづくりの展望で、今申し上げた市民の生きがい、幸福感が多幸感があふれるまちというウェルビーイングは、実は市役所の職員自身の問題でもありますし、それは私ももっと市役所の職員と意見交換をしながら、彼ら・彼女らの中にあるいろいろなアイデアというものを政策的にどう吸い上げていくかということを考えなければいけない。京都ってどういうまちで、だから世界中、日本中から愛されているのか、どういう強みがあるのかということを考えて、そしていろいろな投資案件を取捨選択をしていかなければいけないということ、まち柄にふさわしい投資をどうしていくかということを考えなければいけない。そして何度も言いますけど、いろいろな人材をグローバルな視点で、やはりいかに京都に呼び込み交ざり合いを通じて、都市の魅力を高めていくかというぬか床のようなまち、そして新しい公共。私がずっと言っていることでありますが、市役所の職員だけが、市長だけがということではなくて、いろいろな方々が相互に支え合い、いろいろな提案をしていくという居場所と出番。居場所づくりも大事ですが、それぞれの方々に出番をつくっていくという新しい公共の考え方を政策立案から現場まで、行政の実施、市民対話に至るまで、どうつくっていくかっていうことだと思います。それからやはり大事なことは、京都だけが良ければ良いというモンロー主義ではなくて、大京都圏でその他の地域の隣接した自治体や京都府、あるいは国との関係をどう戦略的に組み立てて、この京都周辺に、京都市役所の職員であって、滋賀県から勤務している人、大阪から勤務している人も多いわけです。ましてや京都府下の他の自治体から通っている人も多いわけですから、この地域全体が発展していくようなまちづくりをどう捉えていくかということだと思います。
そして次のページ、最後でありますが、新京都戦略というものをつくりたいと思います。これは従来の行財政改革計画ということだけではなくて、もう少し成長戦略とか、攻めの都市経営というようなものも総合した、私の在任期間の一つのいわゆる計画期間として、新京都戦略というものをつくって、そこは政策・施策の方向性もさることながら、今申し上げた財政運営の方針もそうですし、組織とか人事の在り方、政策の決定、議論の仕方などの改革も含めた新京都戦略を策定していきたいと思っています。長期ビジョン策定と、むしろちょっと先行するかもしれませんが、それをやはり行財政改革計画の終期を待つのではなくて、やはりもうギアを切り換えなければいけないので、これの着手をしていきたいと思いまして、スケジュールとしては、この年末に向けて新京都戦略案を公表して、パブリックコメントを実施し、令和6年度中、年度末を目指して新京都戦略を策定・公表していきたい。当然のことながら、これと同時並行に長期ビジョンの議論が進むわけですから、この議論は長期ビジョンの中に、私としては、これはいろいろな審議会を立ち上げるわけですから、委員の方々にも理解をしていただいて盛り込んでいただきたいし、逆にこの新京都戦略で取り込めなかったものが長期ビジョンの中で出てくれば、新京都戦略をさらに改定する。できたてであったとしても、それは我々が気づかなかった点があれば、当然改定していかなければいけない、そんな思いで市政を点検し、そして、今後のビジョンづくり、これは四半世紀を視野に置いた長期ビジョンであります。私の任期の4年と言っても、残り3年半を視野に置いた新しい計画としては、新京都戦略というものをつくりたいというのが、現時点、就任7か月を経ました私自身の現時点での姿勢。自分なりの市政点検をし、それは当然自分1人でできませんから、いろいろな市役所のスタッフに助けていただき、そして市民対話でいろいろな気づきをいただき、そして特別顧問をはじめとした有識者の方々の御意見もいただきながら、この7か月間で今後の少なくとも4年間に向けての計画づくりに、自分のこの約半年、7か月の点検結果を次の政策展開に生かしていただきたいというのが、今日の発表案件の1でございます。
(発表案件2)京都市特別顧問の追加任用について
(松井市長)
発表案件の2でございます。これは京都市特別顧問の追加任用でございます。
1ページ目ですね、7月に京都市特別顧問として5人の方々を任用させていただいて、これはもう実は任用前から有識者としていろいろな意見を聞いてきたわけですが、その後7月以降、7月・8月・9月、約3か月間、それぞれ各委員の方々と複数回、そして割と大切なことと私が考えておりますのは、私自身のアドバイザーだけではなくて、職員がこの方々の知見を活用してほしいということで、私が入らずに職員だけで意見聴取をさせていただくという機会もつくって、もちろん私はその後で、その顧問の方からこんな感じでしたと感想を聞いたり、職員の方々から感想を聞いたりしています。それをやってきた上で、今回それは非常に私はやはり自分の市政の点検や今後の今の政策方針に大きく寄与していただいたと評価してるわけですが、加えて今回追加で1名、上山信一氏を特別顧問に追加したいと思っております。これは今、市政の点検結果の中で申し上げたように、今後この行財政改革計画、これはどっちかというと歳出削減ということで、削減型じゃなくて成長戦略もありますが、どちらかというとやはり数年前の厳しい財政状況、財政危機の状況の中で、削減をどう進めていくかというところに重点を置いていったものをさらに攻めの都市経営をしていかなければいけないという意味で、実はもうこの間、上山信一先生とは4月・7月・9月と3回、実は有識者としていろいろな意見交換をさせていただいておりまして、それは私だけではなくて、オンラインと対面も含めて私が意見交換をさせていただいているのに加えて、職員が東京に出張に行って、現地の東京で、上山信一氏の意見を伺うなどということもして、職員からも、上山信一氏の改革手法というものについての評価というものを私自身も聞きまして、経営コンサルタントであり、慶応義塾大学名誉教授の上山信一氏を10月1日付で、新たに京都市特別顧問に発令をさせていただきたいと考えております。
2ページ目に、経歴を記載させていただいていますが、上山さんは運輸省を退官後、外資系コンサルタント、パートナーも務められましたし、海外の大学の教授も務められましたし、そして私とは慶応義塾大学の総合政策学部の教授として10年間、共同授業も持たせていただきました。我が国の行政に行政評価とか、行政経営という概念を持ち込んだ方でありますし、最近一部自治体のアドバイザーとしての知名度が高いですけど、実は大阪府市だけじゃなくて、愛知県とか北九州とか、新潟県であるとかいろいろな地域で、多様な地域でアドバイザーを務めておられます。大阪も、今どうしても今の大阪の体制というイメージが強いかもしれませんが、実は關市長時代に改革提言を行っておられて、もちろん大阪と京都は事情が違いますが、それが同じように京都でできるわけではありませんが、いろいろな幅広い改革提案を行っております。私は官僚時代からの付き合いでありまして、お人柄もよく存じ上げていて、なかなか激しい一面もお持ちですが、同時に非常に熟した一面もお持ちで、この間職員も含めて、京都市政についていろいろな御意見を伺って、京都市政についても非常に的確な御意見をいただいております。そしていろんな気づきもいただいておりまして、その情熱、そして豊富な知識、それは海外の事例も御存じだし、ものすごく旅行マニアで、100か国以上の国を訪ねておられる。たしか100か国を超えていたんじゃないかな、すごくいろんな内外事情に詳しい方でありまして、その人間性とかネットワークも含めて、知見を借りたいと思いまして。特に新京都戦略の策定、あるいは公営企業である交通局とか上下水道局とか、あるいは、さっき赤字の問題を指摘しました市立病院の経営などのような、その実業面での改革についても、しっかりと御助言をいただきたいと思います。引き続き、先に発令した5名の特別顧問に上山信一先生を加えて、6名の外部有識者の御意見、さらに言うと成長戦略アドバイザーのような、それぞれの分野で非常に中堅とか若手の方々も含めて外部有識者の御意見を借りながら、新京都戦略を策定し、そして令和7年度の私が当初から責任を持つ予算編成に、その御意見をしっかりと、受け止めてまいりたいと思っております。
私からは以上でございます。
質疑応答
発表案件に関する質問
記者
京都市政の特出すべき点を選ばれるならどこでしょうか。
市長
はい、政策の面では先ほども申し上げましたが、やはり教育におけるこの28年間の実績というのはすばらしいと思いますし、それからやはりまさに教育の現場がそうだったのですが、地域をしっかりと、地域の参画を得て京都市の教育、人づくり、あるいは子育て環境の支援というものに財政的には非常に厳しい状況、構造的に京都市って財政が豊かではありませんよね。その状況の中でここまでの成果を上げてこられたというのは、私は優れた点であったのではないかなと思います。過去2代の市長の手腕も含めて、それは課題と可能性が裏表であるのと同時に、成果に課題がないかというと、そういうわけではなくて、先ほど申し上げたような、教育と言いながらそれを支えてこられた方々の地域の高齢化の問題もありますし、それから市役所全体からいうと、やはり長期間市役所内部の市長さんが続いてこられたということで、一々議論をしなくてももう通じ合ったトップマネジメントがあったと、私はそれがないわけですから、それから見れば、もっと市役所自身はこれだけ優秀な人たちがいるんだから、もっとボトムアップで、もっと人々といろいろな方々と混じって政策的な意見交換をしていただきたい。それを活性化していくということが、やはり市民と市役所の関係をより前向きに、市民が市政に参画するということをもう少し外部有識者であったり、市民の意見を受け止めて、市役所の大勢いる優秀な職員がどんどん議論をしていただくということを、そのこと自身をどうカルチャーをつくっていくかということは、大切な課題だと思いますね。
記者
もう一点、上山氏の市の特別顧問に就いた起用のことで伺います。先ほども新京都戦略だとか、上下水道局など、実情面での改革について、助言をということだったのですけれども、新京都戦略については一旦置いておいて、上下水道局だとか、公営企業についての助言というのは、どういった部分で、何を目指して助言を求めるかということと、どんな方向性を求められるのか伺えますでしょうか。
市長
上下水道局の今回の事案というのは、特に発注案件に絡んでいるので、事態の全容が見えていません。まだ勾留中であって、十分な事情聴取が伺えていないというところはありますけれど、やはり今後上下水道というのは常に設備投資をしていかなければいけない、事業体としていかに人員不足とかがある中で、施設が老朽化をどうしてもしていく中で、それをどう更新していくかという形態として、どう健全に運営していくかという意味では、恐らくそんなに遠くない将来、大きな投資をしなければいけない、ではそのときに上下水道利用料金をどういう風に設定していくのかということも含めて、やはり独立の事業体として経営マインドをどう持って、そして人材を確保して、そして市民の生活の利便をどう確保し、あるいは産業活動の優れた環境をどう整えていくかという意味で、経営面での指揮権を、これは上山さんはまさに、大阪でもそうです、他都市でもそうですが、そういう実業面での改革というのを行ってこられたわけです。そういう面での視点でしっかりとアドバイスをしていただきたいと思っています。私は上下水道局はしっかりと現時点でマネージは基本的にはされていると思います、一部の不祥事はあるけど。だからそこの不祥事の芽をどう根絶するのか、そして中長期的にできるだけ定例な料金で安全・安心な水質を確保するのか、それから環境負荷を下げていくのかということをしっかりと行うという、まさに経営改革をさらに上山先生の知恵を借りたいと思います。
これは実は交通局も同じだと思います。交通局も非常に創意工夫を今してくれています。今回の不正は非常に残念なことでありますが、これもやはり今の京都の担い手不足の問題、あるいは全体の車両のシーリング、これは要するに車庫の問題ですよね。車庫の問題があって、車両台数をこれ以上増やせないし、それを運転する運転手さんが不足していくという、この事業制約の中でいかに観光集中の緩和をしていき、市民にとって快適な交通手段を確保するのか、その中でバスと地下鉄のシフト、地下鉄シフトをどう進めていくのか、これも優れて経営面での知見が必要であるので、そのあたり、あるいは市立病院、これだけ京都の場合は高度な医療機関が大学病院、あるいは大学病院の系列もあるような日赤というような高度な医療機関がある中で、京都市立病院はどんな役割を担って、今の運営にどういう問題があって、今こういう赤字が発生しているのか、それをどう改善していくのか、何でも一般会計で補塡するというわけにはいきませんし、その状況の中で我々は経営改革という手法を取り入れていかなければいけない。それは儲けるとかということではなくて、市民に安定した行政サービスを提供するという意味での行政経営の発想で、事業体をどう変えていくか、御本人も改革屋という称号を自分自身でいつも言っておられるように、そこの知恵をしっかりと現場と、これも上山先生1人のトップランではなくて、現場の方々としっかりとコミュニケーションを取っていただいて、当然市の管轄部局の人間としっかりとコミュニケーションを取っていただいて、前に進めていきたいと思っています。
記者
行財政改革計画の点検でお伺いしたいのですけど、まず全体として、この計画をどう評価されていますでしょうか。要するにこの計画が必要だったのかということも含めて、よろしくお願いします。
市長
はい、必要だったと思います。置かれていた状況が、やはり本当に収入、歳入増が見込めない状況の中で、社会保障負担なども含めて非常に切迫した財政需要がある中で、ある程度その時点で削減目標を掲げてやっていくというのは、これはやむを得なかったと思います。ただ、これは後付けでは何でも言えますよね。後付けで言うならば、やはりもうちょっと歳入拡大、攻めの都市経営というものに力点、もちろん当時も成長戦略というのは位置づけておられますが、余裕がなかったのだと思いますね。だからそこはやはり我々はもうステージが変わっているので、やはりより攻めの都市経営とか、あるいは今御質問にあったような事業面で、今は取りあえず上下水道局も交通局もギリギリ黒字を確保できているけど、将来的な投資というようなものをどう進めていくかという意味では、予断を許さない状況の中で、単に数を削減するだけじゃなくて、ちゃんときちんとした投資をしていかなければ、特に上下水道なんていうのは回りませんから、そういうことを含めて次のステージの攻めの都市経営が必要な状態になっているんだと思います。削減計画自身はその時点では、やはりしょうがなかった。ただ、どうしても私なんかの目で見ると、京都市の財産をある平米からある平米を目標値にして縮減するというのではなくて、それは有効に活用したほうがいいじゃないと、将来の成長基盤になる、どんな公共施設をどういうふうに造って、それを部局横断でどう活用していくかによって、すごく大きな成長要因を作れるという、そういう発想をもう少しこれからも作っていくべきだと思いますね。
記者
今お話に出ました、その面積の話ですけど、この7万平米という目標というのは、これはもう基本的に撤回されるという理解でよろしいですか。
市長
これからは、これも新京都戦略の中で、いや、そうは言うもののやはり行政が肥大化して、不要な財産を持って遊休させているというのは、これは望ましくない、それはコストもかかりますし、機会費用を損失させていますから、そういう意味では全部をなしにするとかというのを、私が今ここで言うのは早計かもしれないと思いますが、私は有効活用という意味で、従来の全体の何平米を持っているかということよりは、どこにどういうものがあって、それをこの地域のこのものだったらもっと有効に活用できるんじゃないかと、端的に言えば、高級ホテルにお貸しして、毎年一定の1億円なら1億円の収入が得られると、これも非常に大事な施設マネジメントですが、それ以上にこの地域にこういう京都市有地があるならば、それを京都の成長戦略にどういうふうに生かせる、どんな施設で投資を誘引すればどう生かせるかという、その戦略性をもう少し重点をちょっとシフトしていくべきではないかなと考えています。
記者
同じように、投資的経費の一般財源のこの年170億円のキャップというのを、これも継続してかれるのですか。
市長
そういうシーリング系のものは1回見直します。全く野放図にできるかどうかは分かりません。これはもう例えば、公債発行額をどうするかというようなことについてもそうですが、やはり京都というまちの将来の都市経営的にいうと、攻めの部分も必要なので、やはりこれは上山先生なんかからも指摘を受けていますが、やはり京都って過小投資なんじゃないですかねというような議論もあるのです。これは分野によっては、トータルとして過小投資とか過大投資とかいうことよりは、この分野のこういう攻めの経営という意味では、ここはやはりもう少し投資をしたほうがいいんじゃないかというような部分もあると思いますので、あまり総量制限がまずありきということではなくて、ひょっとしたらその中で積み上げていったときにある程度の、それやはり財政的な制約要因もありますし、これだけインフレ経済になってきているので、今何十億とかという黒字があっても、これは市職員の人件費、人事委員会勧告をそのまま受け取ってやれば、それだけでも何十億円という増になってしまうので、あっという間に吹っ飛ぶのですね。ですから、全く総量制限的なものが全部要らないというわけではないですけど、一旦見直していくべきだと私は思っています。
記者
新京都戦略ですけど、いわゆる今までの行革計画みたいに、人件費を幾らか削減するとか、カットの部分というのは、こういう戦略に入っているのでしょうか。
市長
カットの部分がないとは言えませんね。例えば、よく市議会で言われることでありますが、敬老乗車証というのを元に戻すのですかというようなことを議論されますが、私は今の人口構成からいって、それを元に戻すというのはなかなか難しい。ただ、観光集中なんかに伴って、市民の観光配当みたいなものをどうつくっていくか、こういう議論はしていかなければいけないと思いますが、単純に時計の針を戻すようなことは私はできないということと、それからやはりカットする部分が全くなくていいのかというと、それほど甘い状況ではないので、それはちょっと分野別にもう少し精査することが必要だと思っています。
記者
もう一度確認ですけど、京都は過少投資、もしくは過剰投資でしょうか。
市長
過少投資の部分があるということです。
市長
もうちょっと都市の戦略的な発展を考えたときに、典型的にいうと、オフィス需要はあったとしても、京都の利便性があるところにそれだけのオフィス需要が賄われるようなオフィスがないというのはありますよね。ではこれは京都市がオフィスをつくるのかと言われれば、そういうことではないですよね。でもオフィス用地をどう確保して、その民間における投資を招き入れていくのかという意味で、その官だけじゃなくて、民も含めてもっと投資を前に進めていかないと、京都が発展する部分がやはり、発展の可能性をちょっと低めているのではないかということも含めた話だと思うので、全てが公共による投資ということではないと思いますが。
記者
2点お伺いします。まず1点目ですけれども、新京都戦略についてです。こちらは長期ビジョンと、具体的にどういったような違いがあるのかなというのをもう一回御説明いただいてもよろしいですか。
市長
長期ビジョンは25年を視野にして、2025年までは現行の基本構想なので、2025年から2050年までを視野に置いて、京都というまちが25年間でどんなまちとして発展していくのか、大きな意味での課題は何なのかという、どっちかというとやはり理念系というか、京都のまちの在り方ということをトータルに問いかける長期の25年、なかなか25年先のことを見通せませんけど、それをできるだけ見通そうということで、1999年には作ったものなので、それの後継ですね。新京都戦略は、それともちろん理念においては、共通する部分がなければいけないと思います。私が同じ市長として市民に問いかけるわけですから。ただ、これは私の残りの任期の3年半の中で、私が何に重点を置いて、行財政改革計画のどの部分は引き継いで、どの部分は見直すのか、あるいはそれ以外の例えば行政組織、私のように庁外の人間が市長になったという時に、この行政組織を私は少なくともこの3年半でこういう組織になってほしいという思いがあって、それを市役所の職員としっかりとこれから議論をして、これは基本的には行政の責任で、もちろんパブコメとかを受けますが、この3年半、我々がどういう市政運営をするのかという3年半を射程に置いた計画ですね。ですから、もちろん細かい実行計画。基本構想に25年のまちの在り方というのが、どうしても理念中心にこういうまちの在り方というものを。じゃあ具体的にそれをどう実行していくのか。少なくとも3年半でどう実行していくのかということが問われると思いますし、それから他にも恐らく御質問があると思いますが、私自身の市長公約の中で掲げたものを、その中にどう落とし込んでいくのか、市長公約というのは基本的に、私が4年間の市長任期の中で何をやるかということを書いたものですから、それをどう落とし込んでいくかということが、より具体的にそこにおいては記述されなければいけないとは思っています。
記者
もう一点ですけども、産業誘致のことを触れられたかなと思うのですけれども、今そういった取組としてサウスベクトルがあるかなと思うのですけども、こちらについて、駅南側がまとまったような企業用地というのはなかなか取りづらいかなという風に思っているのですけれども、今の現状についてどういう風に捉えているのかということと、課題、あるいは新たにどういった取組が追加で必要なのかというところをお願いします。
市長
企業用地はやはり用地を創出していく、要するに今全く農地としてめどが立たないようなところは転用する、これは別に農地を全部削減して、行政が社会主義的にやるということではなくて、要するに担い手から見ても、ちょっとこれは持て余しているような農地があれば、それを転用していくようなことも必要でしょう。そういう意味ではある程度まとまった用地、それは場合によっては、今までの市有財産を活用して、この用地であればもっと別の用地として企業が展開していただけるような用地もあります。そういうものを捻出して企業に提供し、企業だけではないですよ、いろいろなにぎわいをつくっていただくような施設のいろいろな提案を受けながら、それを例えば、サウスベクトルの中でやはりそういう機会を提供していくということはすごく大事だと思うのですが、例えば半導体の政策で府市で協議をしていますが、ここなんかもやはりそうは言いながら、半導体のファブを本当に、それこそ何ヘクタールとかというよりも、さらに大きな平屋建てのものでないと競争力がないですから、ああいうものを例えば、京都市内にどこまで提供できるかといえば、それは恐らく限界もありますね。その限界については、さっき大京都圏と申し上げたように、場合によっては京都は設計という部分を取りにいこうと、京都府下でもう少し用地、敷地に余裕があるところにファブを導入するとかということもありますし、それは例えば半導体産業だけじゃないですね、それはもういろいろな先端産業もそうですし、それはディープな研究開発拠点というものと、もうちょっとトライなものというのもあって、どういうものを京都が同じ設計拠点においても取りにいくのか、そこは周辺自治体ともちゃんと連携して、トータルとして競争力のあるパッケージをどう提供していくかということだと思います。それからあとは例えば、京まふをやっていて思ったのですが、京まふ、岡崎、大変たくさんの海外の方も来られて、台湾の方なんかもすごい来られてにぎわいましたが、やはり京まふを岡崎で、みやこめっせだけではなくて、マンガミュージアムをどう使うか、あるいは京都府下の学研都市みたいなところにある程度スペースがある、そういうところに例えば将来に展開できないのか、いろいろなことを実行委員の方々からも議論をしていて、メディアコンテンツについても例えば、京都市でいえば京都市内だけでも例えば、マンガミュージアムがあるけど、太秦で新しいものをどうつくっていくか、やはり京都府、京都市が提携しながらスペースはないわけじゃないですよね、京都市内でも、その新しく実は埋もれているスペースをどう活用していくのかという意味ではいろいろな可能性があるし、私自身は大規模な工場用地を提供できたら、それはそれでいいけれど、どちらかというと、そんなに大規模でなくても非常にクリエイティブな人材とか、クリエイティブな企業をどう京都に誘致していって、そしてそれがいろいろな京都の既存企業と連携しながら、京都のまち全体として横の繁栄の拡大につなげていくかということがすごく大事だと思っています。
記者
そういう意味で言うと、頭脳の部分というのですかね、研究開発をするような施設というところだと思うのですけども、その一方で観光需要もすごく旺盛で、ホテルが建っているところも多いと思うのですけども、そことの兼ね合いみたいなのはどういうふうに。
市長
観光は、私自身も観光を生業にした家庭で育った人間ですし、これは全然これからも大事にしていかなければいけない問題だと思うのですが、やはり一部に集中してしまうということですね。これは最初に京都を訪ねた方はどうしても有名なところに行きたいということで集中するのは、しょうがないのですけれど、できるだけ何度も来ていただいて、もっと暮らすように観光していただく、あるいは実際に暮らしていただく、その滞在時間を延ばしていくという形で、京都市民と近いライフスタイルの中で京都というまちを味わっていただくということで、観光というものを非常に狭い意味での観光と捉えずに、広い意味でもう少し滞在して、関係人口として京都のまちを楽しみながら京都で仕事をしていただくというような方々をどう増やしていくか、それから3つの分散、3つの集中をどう緩和していくかとか、観光客のマナーの問題、ごみの問題、総合的に、あるいは部分的な交通規制、これは京都府警なんかとも連携して、今回の東山なんかも相当現場で京都府警の方々と議論を重ねて、ああいう交通規制を展開していますし、駐車場なんかの制限なんかについても、やはり交通量、流量をしっかりと把握した上で、京都というまちが時々ある城塞都市とか、島のようなまちとかと比べて、流入制限というのが極めてしにくいまちなので、その中でどう交通量を制限していくかという、制限というよりは分散していくのかという取組を総合的にやらなければいけなくて、そういうことをやることによって、言葉は悪いですけど、有名スポットだけを巡る観光ではなくて、京都というまち全体の、さっき私が申し上げたような魅力をどう多くの方々に味わってもらうのか、それは私は日本人だけのことを言えば、もっと多拠点生活をしていただいて、京都に長い期間、一つの第2拠点でも第2拠点でもいいから京都に拠点を設けて、そこでしっかりとこの京都の奥深い味わい、あるいは周辺地域も含めて、自然も含めて、すばらしい環境があるので、そこ全体を味わっていただけるかということをインフルエンサーの方々にも発信していただくことも含めて考えていけば、ひょっとしたらそれは狭い意味での観光だけではなくて、京都経済の発展であるとか、あるいは京都における新たな事業活動を開拓していくということにつながっていくのではないかと思っています。
記者
8ページ目のところの産業経済の創造拠点としての京都の強みの磨き上げのところです。まとまったオフィスの空間とか、産業用地の不足などがあるというふうに御理解されていると思いますけど、これまでの政策的な課題として、点検をしていく中でどういう風な課題が今までであったのかなというのを、市長はどういう風にお考えですか。
市長
どこの部分ですか。
記者
例えばオフィスの空間と産業用地の不足であったりとか、産業、経済の投資の部分であったりが先ほどおっしゃったように少なかったというところがあると思いますけれども、京都市のこれまでの市政の政策面で。
市長
私は構造的に言うと、さっき上下水道局で言ったことは総論として、長期在任化の弊害とか、それをどう透明化していくかということの大切さを言いましたが、私は産業部局でちょっと京都はまず人的に言うと、人が代わり過ぎているんじゃないかと思いますね。産業部局、これは私が今の経済産業省、通商産業省にいたから言えたのですけど、通商産業省も昔は生き字引みたいな人がいはったのですよ。その工業団地について言うと、どこにどういうおやじさんがいて、その人の家庭環境とか、その人の事業活動も全部熟知していて、相談相手にもなれると、ところが在任が長過ぎてやはり不祥事が起こったのですね。それでそういう職種の方はどっちかというと、ノンキャリアの方でありましたが、そういうノンキャリアの方が長くいろいろな工業団地に日常的に、それこそバイクで行きながらおやじさんたちと話をしながら悩みを聞きながらみたいな人たちをなくしてしまったのです。それはやはり産業政策の足腰をすごく弱めた。今は時代が違いますから、工業団地とか町工場のことを知ってたらいいというだけではないのです。もっといろいろな産業の、あるいは事業活動についてのいろいろな多面的な知識が必要になってきますけど、ある種そういう本当に産業界との長年の関係で何が弱みで何が強みで、そのスタートアップのときに誰に誰を紹介したらいいのかというようなことを、やはり産業面でしっかりと支えていけるような人材を中長期的に育てていかなければいけない。これは恐らく今の時代でいうと、昔は工業団地の町工場の隅々まで知っていたらよかったかもしれないけど、今でいうと、いろいろな世界中の有望企業が中国にどういう企業があり、あるいはヨーロッパにどういう企業があり、アメリカにどういう企業があるかという、そういう産業事情を現地の人間のいろいろなネットワークを持って産業事業に習熟するような人材を僕はつくっていくべきだと思います。中長期にいったら、絶対にそういう人が必要です。それは国際的に活躍しそうな、そういう人を例えば海外に派遣して、若いときから派遣して、そして本当にスタートアップでも、あるいは伝統産業の人材不足とかについても相談に乗りながら一緒に課題解決ができるような人、これはそれこそ私はすごく可能性があると思うのです。なぜかというと、霞が関に比べて京都市役所は圧倒的に社会人経験職員が多いですよ。そういうことにしっかりと自分のネットワークを張り巡らせて、自分のスキルアップをしたいという人がすごくいると思います。だからこれをある種しっかりとちゃんとチェックは入れながら、そういう人材をどう育成していくか、あるいはそのときに府は京都市に比べたら、ある程度長期在任の人はいらっしゃるような気がします、京都市に比べたらですよ。だからそういう人材をどうつくっていって、民間人材もどう登用して、そして本当に産業政策を、今用地の話とかの質問をされたかもしれませんけど、用地というよりは産業政策とか、ネットワーキングのコア、ハブになれるような人材をどうつくっていくか、そしてそれは民間の方々とどう繋がっていくかということがすごく大事だと思います。これは昨日、実は私が東京で1時間半ぐらいベンチャーキャピタルの、これは基本は京都にも拠点を持っているけど、東京サイドから見ている人たちと話をしていても、そういう意味で例えば個人名で言うとこういう人がずっといて、ちゃんとあれだと相談に乗って、ベンチャーキャピタルでもいってもいろいろな人間がいるので、それをちゃんと選別して、スタートアップがカモにされないような、ちゃんとネットワークを築いてくれるような人的な人、例えばこの人って、その場にいた人、個人名は挙げませんけどね、こういう人がちゃんといてくれて、長くこういう人とちゃんと付き合って、我々の活動を支援してほしいし、変なものをやはりちゃんと抑制してチェックしてほしいという意見が昨日、一番多かったのはその意見でしたね。
記者
たくさん課題を挙げていただいたと思うのですけれど、市長が考えられる、一番何が目下の課題なのかというのをお伺いしてよろしいでしょうか。
市長
やはり僕自身がもっと交わらないといかんでしょうね、京都の課題と、それは職員さんがそれぞれの人生の中で、京都の課題の集積というのは何がしかのものを持っておられますよ、多くの職員が。そういうことをもっと交わらなきゃいかんし、市民対話はしたけど、やはり市民対話で1時間半とか2時間の中で30名とか、そういうぐらいの方の意見を伺うと、取っ掛かりはできたけど、もうちょっと深く話をしなきゃいかん、それは別に僕はいろいろな会合に出ていってはしごをするということではなくて、そういうことをしても恐らくあまり深まらない、もうちょっとゆっくりとこの人の話を聞かないかんということを、私自身がもうちょっと話を聞かないかんですよね。そして、しっかりともっと本音を吸い上げていかなければいけない。
記者
市民対話会議、もっと本音で話したいということだと思うのですけど、19回、市民対会議を重ねてこられたとおっしゃっていたと思うのですけど、その中で市民さんが一番解決してほしい問題とかを言っておられたと思うのですけど、市長の中で一番これを先に解決したいというのはありましたか。
市長
だから一番本質的には、この京都のコミュニティをどう次の時代にふさわしい形で維持、発展させる。ちょっと非常にパーソナルな答えをしちゃいましたけど、私自身の個人的にはもうちょっと課題の深掘り、もうちょっと自分でしっかりと物事をずっと考えている人と深くしっかりと話をしたいという個人的な話をしましたけど、それは同じことが市役所についても言えるわけで、市役所とか区役所が市民と、しかもそれを地域を担ってきて、すごく問題意識のある方々と深く話をして、そこの課題をどう吸い上げる組織をつくるかということだと思います。今申し上げた、産業政策人材についても、まさにそういうことですよ。深く話して、そしてきちっと相談相手になって、市民と共に政策の在り方を考える人材の厚みをどれだけつくるかというのが、それこそ僕は25年後のビジョンをつくるわけだけど、私が25年いるわけないじゃないすか。私がやらなければいけないのは、そういう市役所の組織に今皆がしたいと思っているであろう組織にするために、何らかのブレイクスルーをしなければいけない。それが私の仕事で、それは何かというと、地域で地域社会の将来の在り方をすごく真剣に考えて、もう頭が下がるような、もう今80代のおじいちゃんとかおばあちゃんとかが頑張って支えてくれてはる次の人たちをどう巻き込んでいくか。そういうことをしっかりと議論していけば、大学生も自ずと京都というまちに定着する率が、もう全員が定着するなんていうことは考えていないですよ。17%、18%しか定着していないんだとしたら、それが20%、25%になっていくというのは、その大学生、若い人たちを地域の課題にどう取り組んでもらうか、要するに彼らの出番をどうつくっていくかという、その出番がつくれる組織をどうつくっていくかということだと思います。あまり政策的に言うと、皆さんが記事にしにくい話をして申し訳ないけど。
一般質問
記者
地方公務員の給与改定のことですけれども、総務省が民間給与が比較的に高い地域に勤務する地方公務員に支給する地域手当の見直しを打ち出しまして、交付税などの削減についても撤廃ですね、減額措置を廃止するというような方針も出ております。ただ一方、もし現状の市町村単位で是正というのはかなったとしても、都道府県単位とか、都道府県、県境の場合、人材の流出だとか異動が懸念されるわけですけれども、ところが京都市職員の場合は、隣県から通う方もいらっしゃると聞いております。そうした状況がある中で、今回の国の改革について、どのように受け止められるのか、また懸念だとか、今後さらにどういった給与改定を期待されるか伺えますでしょうか。
市長
実際に国家公務員の手当についての一義的にはそういう話だったと思いますが、当然これは自治体についても、今後も議論をしていかれるんだと思いますね。それで今お話があったように、実際は京都市の職員も、京都市に住んで京都市で働いているという方々ばかりではなくて、隣県から、あるいは隣の大阪府から通っておられる方も少なからずいらっしゃるので、私は流れとしてはあまり市町村単位で細かく切るというよりは、実際に人は動いていますから、ある程度それをもうちょっと大くくり化するという、松本大臣の発想だと思いますし、事務方もそういう思いだと思うのですけど、そのことは理解はするのです。理解するのですが、それは例えば今10%の手当がついているものが8%になってくると、実質的には職員にとってマイナス改定になってしまうので、そこの段取りを地方自治体について、どういう制度をこれから提言されていくのか、あるいは人事委員会がそれも視野には入っておられるのですが、どういうふうにそれを受け止めて、どういう手当、どういうふうに処遇を確保するのがいいのかという判断をされるのかも含めて、これはちょっと慎重に見極めていかなければいけないと思います。ただ、トータルからしてあまり市町村単位で見るというよりは、もうちょっと広域で人が動いているので、それで見ていきたいという問題意識は、ある程度私は理解をするのです。ただ問題は、公共人材をある程度確保するために、私は処遇は正当な処遇をしていかなければいけないと思うので、その中で不利益にならないように、今の制度の中でどういう工夫が可能なのか、これはしっかりとこれから総務省の議論をウォッチして、そして人事委員会の方々の御意見を聞きながら判断していかなければいけないと思っています。
記者
こちらの関連ですけれども、京都市としては、京都市の人材を確保する、または優秀な人材を呼び込むために職員手当を独自にして上げるとか、そういったお考えというのは市長にはありますでしょうか。
市長
職員手当ということだけではなくて、トータルとしての処遇をどうしていくのかというのは、これは交通局なんか、本当に危機状態なのですよ、運転手さんが不足して。よくその原因を見ていくと、やはり運転手さんで若い方々でいうと、これは給与だけではないのですよね、やはり市営交通というのは、時間帯とか曜日とかが選べないですよね、市民の足ですから。そういう方々がどこへ逃げているかというと、タクシーの運転手さんですね。そうするといろいろなシフトも柔軟ですし、それから給与も高いという中で運転手さんが不足して、実際に減便せざるを得ない、実際に民間バスなんかは減便しているわけですが、京都市営交通だって、これは分からないです、今この状況でギリギリ回っている。そのときに本当にこの職員の働き方をどうしていくのか、あるいはそのときに定員をどうしていくのか、あるいは給与をどうしていくのかということは、京都市独自である程度考えていく、独自というのは、人事委員会勧告ベースでいいのか、それでは実際に働き手が見いだせないというときに、どうしていかなければいけないか、だからトータルで考えなきゃいけないので、今回の手当という問題だけではなくて、トータルで考えていかなければいけない、ちょっと頭の痛い問題だと思っています。
記者
明日、自民党の総裁選のことで開票が行われるということで、今は候補者が出ている段階でして、明日決まるということですけれども、どのような方がなるにしても、どんなことを新しい自民党総裁、または自動的に首相に選出されることになるわけですけれども、どんなことを新しい首相に期待するか伺えますでしょうか。
市長
それはやはり我々から言うと地方創生、やはり首都圏一極集中ではなくて、地域にいかに力をみなぎらせるかということに政策的には重点を置いてほしいし、これだけ災害が多発しているわけですから、国土強靭化ということについても、これはハードウェアだけじゃなくて、ソフトウェアも含めて、どうそれを確保していくのかという政策、それからこの間も安全保障環境、これは地方自治体の長が言うべき話ではないかもしれませんが、この間のいろいろな戦争であるとか地域紛争、さらに言うと近隣の国における非常に甚大な安全保障環境へのチャレンジみたいなものがある中で、しっかりと国益を追求していただける方にかじ取りをしていただきたいし、それから聞かれてもいないのに言うのもなんですが、野党も、私はよく国政でいうと、与党にも野党にも支援していただいて今ここにいるわけでありますが、野党も健全な政策論争をしていただきたいと思います。私は党首討論の中で、今まで最も印象的だった党首討論は2012年の11月の党首討論でありまして、やはりあのときの野田首相と安倍総裁、ああいう議論がしっかりと行われるような国会にしていただきたいと思いますね、野党も含めて。
記者
そうすると野田さんが立民についた代表に選出されて、当時の民主党政権が終わったときも野田さんでしたけども、何か野田さんについて思うことってありますでしょうか。
市長
野田さんという方は、本当に重心が低くて、そして目線がしっかりと庶民目線で、細かい政策の細部は官僚であるとかスタッフにある程度は任されますが、大きな大局を見る人なのですね。そのときは若干税と社会保障の一体改革で、大きな議論をして、ちょっとそのことと政権公約との関係とかの議論もあって、ああいうふうに党首討論で解散をされて、そして民主党を下野するということになって、いろいろな判断についての内部からの思いがあったのも見ていますけれど、少なくとも欠点を追及して、それを攻め続ける、それももちろんされますけれど、やはり政策論争、骨太の政策論争をされる方だと思うので、自民党でどなたが総裁になられるか分かりませんし、他の野党もありますけれど、骨太の政策論争をして従来型の、昔全国総合開発計画をつくっていたような時代の地域の均衡ある発展ということではないけれど、今の時代にふさわしい首都圏集中型ではなくて、それぞれの地域が個性を発揮して、日本というものが東京だけに集中していくと、いろいろな災害に対する弱みもありますから、やはりいろいろな地域がそれぞれの個性を生かして、自立的に発展できる、そして大都市というのが若干冷遇されているところもあるんです、今の地方財政措置上ですね、そういうことも含めて、やはりある程度の主要な日本の都市がしっかりと踏ん張って個性を出せるような政策を今後展開していただきたいと思いますね。それはもちろん我々が待っているだけではなくて、与党であれ、野党であれ、そういう議論についてしっかりと我々も提言していけるような自治体でありたいと思います。
記者
今の関連で、泉健太さんが3年間党首をやられて、今回落選されたということですけど、同じ釜の飯を食ったということで、泉さんのこの3年間の党首としての姿勢をどう見ておられるでしょうか。
市長
頑張られたと思います。私は立憲民主党に所属したことはないですが、旧民主党の経験で言うと、ああいう若いリーダーを選ぶけれど、あるいはそのリーダーを選んだ後、なかなか党運営で苦労されたことが多かったんじゃないですかね、ベテランの方々の扱いとかも含めて。その中でよく我慢して、そしてこんなタイミングで、こんな目標を掲げてとかということをいろいろと党内から冷笑を受けながらもとにかく踏ん張って、批判もされた、健全な批判をされてきたけど、それだけじゃなくて提案型の党運営にも努めておられたので、私としては泉健太さんに御苦労さまでしたという風に申し上げたいですね。お若いので、まだまだチャンスはあると思うし、そうですね、榛葉加津也さんも、私の同期の榛葉加津也さんが言っておられたけど、ああいう方々が野田さんを支えて、野党連携もされて、しっかりと与党・野党が健全な政策論争ができるような日本の政治風土をつくっていただきたいと思います。
記者
先日、京都府の西脇知事が子ども医療費の中学卒業まで拡充に向けて検討するという、代表質問で御答弁がありました。京都市も同じようなことを要望されたと思うのですけど、どのように取り組んでいかれますか。
市長
これはやはり大切なことで、私も公約に掲げさせてもらったし、これはこれまで何度か府市連携で子ども医療費の負担軽減に向けて取り組んできているので、しっかりと連携して、そう遠くない将来に、もちろん私のこの任期中のそんなに遅くならない時期にとにかく着手して、システムも必要ですし、今ちょうど小学校まで1医療機関で200円というのができて1年ですから、それを次の私から言えば、やはり中学校まで延ばすというのを府市連携で着手したいと、もちろん準備が必要ですし、今1年が経過したところですから、どれぐらいでできるのかも含めて、これから相談したいというふうに思いますし、当然他の自治体とも関係しますけれど、府市トップミーティングでもその議題は取り上げていきたいと思います。
記者
もうすぐ秋の観光シーズンの観光問題の対策をまとめてもらって、私たちも見せてもらったのですけど、改めて市長として例えば、この混雑対策とかマナー対策など多岐にわたっていますけれど、今季、市長としてこれはちゃんと重点的にやりたいであったり、こういう目標があるみたいなことについて伺えればなと思います。
市長
いや、もう従来、今、会見の最初の冒頭説明でも言ったとおりです。これが重点というよりは、それぞれの幾つかの柱で、やはりパークアンドライドにしても、あるいは観光マナーにしても、あるいはサブゲートをつくるというようなことにしても、1つの万能薬ってないので、どう組み合わせていくかということだと思います。ただ、やはりサブゲートで東福寺を使ってもらうとかと、いきなりそう言われてもできないので、旅前にしっかりとそういうルートを通じて、こういう観光ルートもあるから、そこで一旦降りて、京都駅を使わないこういうやり方がありますよとか、あるいは周遊観光でこういうパッケージがありますよというようなことを旅前、旅中、そして直前を含めてしっかりと提供していく、それから例えば手ぶら観光とか、ホテルを回ってもらって、ホテル機軸、京都駅機軸で回るのではなくて、一旦ホテルに入って、ホテルを機軸にするとか、いろいろなことでそれぞれ職員が創意工夫して、いろいろなアイディアを出してくれています。
交通規制についても、本当に京都府警に簡単に交通流入規制をやれとかと言ったって、我々は権限がないわけですから、京都府警と粘り強く議論をしながら、交通ルールをしっかりと把握して、京都府警と粘り強くやって、その中でどういう交通規制をやるか、あるいは駐車場なんかはある程度実験性のところもあると思います。ここの駐車場で一般の駐車をどう規制していくのか、止める時間をどれだけにしていくのか、それから交通のどういう巡回路で回っていただくような一方通行をどう入れるか、いろんなことを含めて集中を緩和する、マナーをよくする、そして分散をしていただく、そしてトータルからいうと、それは全部対症療法で、実際に起こっていることをどう緩和するかなのですけど、もっと言うと、やはり周遊観光1泊2日みたいな観光以外の京都との関わり方をどう増やしていくか、それをトータルとして私はそれぞれどれが1つというよりは、それをバランスよく、そしてできるだけ観光人口が1泊2日と日帰り観光というよりは、より長く京都に関心を持って、京都で時間を過ごしていただくという方向に誘導していければなというふうに思います。非常に職員がいろいろな知恵を工夫してくれていることは感謝しますし、今回の秋の観光シーズンが1つのまた実験、これをやってみたけど、それがうまくいかなかった、やはり集中してしまったというのは、次にちゃんとつなげていくようにフォローしていかなければいけない。観光特急にしてもそうですね、ある程度乗ってくださっているけど、じゃあ次にそれをさらに平日展開ってなかなかできないわけですね、さっきのボトルネック、運転手さんのボトルネックもあるし車両のボトルネックもある中で、どういうふうにそれを次に展開するかということを常に考えながら、評価しながら次につなげていくという、そのサイクルをつくっていくということが、あえて言えば私にとっては一番大事な点かなと思っています。
記者
野田さんの絡みなのですけど、野田さんの立候補時に内閣人事局の廃止などを訴えていらっしゃったのですけど、その辺についてどう思われていますか。
市長
内閣人事局は私は提案した人間なので、そこはちょっとつらいなと思いましたね。人事局、これも若干レッテル貼りのところもあるのですね、人事局が全ての悪ではないのです。人事局のプラス面もある。ただ、議員に恐らく安倍政権、菅政権の頃に比べて内閣人事局の問題点とか、あるいは弊害とかというものが随分岸田政権になって変わりましたね。それは、プラス面もひょっとしたらなくなったかもしれないし、マイナス面も緩和されたかもしれないけど、本当の意味での内閣主導というのをどう実現していくかということと、それからその弊害、かつてよく言われた忖度官僚というようなもの、これはどこの組織でもあることです。トップマネジメントを強化すると、どうしても、その下の人たちはトップがどう言うかなと様子見になって、その指示待ちになってしまう。これはメリットとデメリットがあるわけで、内閣人事局を廃止したら、それがうまくいくわけではない。ここら辺は正直に言うと、私は若干野党的な話だな。それで組織をつくったり廃止するってそんな簡単にできるわけでもない。むしろその組織に付随した意思決定、具体的な幹部人事の選定ということが大事なわけであって、あるいは組織の行き過ぎがあったら、それに歯止めをかけるようなアドバイザーをどうつくるかということが大事なのに、歯切れよさを求めて、何とか局を廃止するとか、何とか局を創設するとかという議論が先行しているというのは、ちょっと現代の民主主義の課題だと思いますね。なので本当に例えば政権交代が起こって、そういう風にされるかどうかは私は分からないと思っていますけどね。あるいはそういう可能性が低いから、あえて歯切れのいいことをおっしゃったのかもしれない。いや、政策をつくっている方ってどれだけ当事者意識を持って、これは難しいのですよ、政権公約を作るときに、当事者意識があって、本当にこれを作った時に、あんたは回せるのというようなことがたくさん、我々がかつて政権公約をつくったときもそういうものがいっぱいあって、これをやめようと言っても、いや、それではエッジが立たないよ、やはりちょっと歯切れよさも必要だからというバランスの中で、政策って取捨選択されているわけで、ましてやそれが党首選挙とかの中だと、陣営の中だけでやっているので、党職員もそんなに関与できない中で、どうしてもエッジを立てるということが出てくるというのは、これは総裁選挙だってそうだと思いますよ。総裁選挙だって、ではあなたが総理大臣になったときにこれをすぐにできるんですかというようなことを、やはりついおっしゃってしまって、後で軌道修正されるということがあって、これはやはり今の政治主導というか、今の政治を党員の票を意識したときに、歯切れのよさを求めるということと、実際にそれの政策運用に現実性があるかどうかというのは、非常に難しいバランスで、僕は民主党時代に一番苦労したのはそこですね。そういうことを言うと、君は過去完了(官僚)だと言われて、そんなことを言ったら政権なんかは取れないよという、それとの戦いなのですよね。でもそれはどの陣営だって、それは与党の政策を見たってそういう部分はあるし、野党になればその部分がやはりちょっと多いなとは思いますね。野田さんのような方であってすらですね。
記者
先日の人事委員会勧告のときに、市長の独り言として話されていた、東京に向けた独り言ということでおっしゃったことで、給与の比較対象となる民間事業所の選定の範囲について、一言おっしゃっていました。そのときの公務員という公共の仕事をされることに対して、そういった仕事を目指す人たちに対して給与をどうするかということで、比較するのはちょっと違うんじゃないかということもおっしゃってたと思うのですけれども、あの真意としては、要するに民間給与と比較する際に、もっと高い給与と比較すべきだという、それは事業所の範囲を中・小でなくて、もっと大企業寄りに比較するべきだという意味合いでおっしゃったのでしょうか。
市長
大学の教員という立場も含めて言えば、一人一人の学生が職業選択をするときに、自分たちのクラスメイトがどういうところに就職しているのか、あるいは自分が公務員試験を受けるか、民間企業に行くかというときに、どんな民間企業が説明会を開いてくれていて、ゼミの先輩がどういうところ、君、うちの会社に来いよというところの中で選択するというのは現実ですよね。もちろんパブリックサーヴァントですから、特権的な給与というのがあってはいけないと思うのですが、では現実に人事院勧告をするときに一定の規模の企業の給与、勤務条件と比較して、これが適切ということをおっしゃっているわけですが、ではその基準と、実際に学生たちがいろいろな職業選択の選択がある中でどこを選ぶかというときに、私は公務員が高い給料を提供する必要はないけれど、あまりにも自分の友人たち、あるいは自分の目の前に示された就職の条件に比べて、それがなかなかしんどい条件であると、やはり優秀な人材は趨勢的には取れない。我々が就職活動をしていた時期は、それであっても民間企業と比べて、自分たちのクラスメイトは倍以上の給料を取ってでも、それでも公務員を選ぼうという、そういう気負いみたいなのがありましたけど、やはりそういう時代ではない中で、優良な人材を採るときに、ある程度自分のそれぞれの人に示された選択肢の中で、本当にそこが魅力的な職場であるということを考えていかなければいけない。それは給料の面で勝つ必要はないけど、あまりにも差があると、人材を採り逃しますよね。それはさっき申し上げた、市役所でも中央官僚でも、あるいは交通局の職員だってそうだと思います。そこに例えば、タクシーの運転手さんだったら、ドライバーという運転技能を持っている人でいうと、タクシーがこういう、ハイヤーがこういう勤務条件を提供している中で、あまりにもそれが年収で動いて、何百万円という差があって、しかも働き方のフレキシビリティが全然違う、自分は子育てといったってシフトがあって、土日も休めない、早朝深夜勤務、泊まり勤務もある、そういう状況の中で、しかも年収ベースでいうと100万円以上の差がある、200万円の差があるとかということになってくると、それは人材を採れませんよね。そういう意味で、やはり当然バランスは必要だけれど、しかし今までの歴史もあって、一定の水準の企業と比較対照をして物事を決めるんだけど、その中で公共人材が払底しているとしたら、その採り方、基準のものさしの設定の仕方が時代に合っていないんじゃないかということも含めて考えていただきたいというふうに、私は川本さんにも申し上げているし、松枝先生にも独り言として申し上げたということです。それは我々が、これは独立の委員会ですから、我々市長が言うというよりは、私自身のつぶやきとして申し上げたのは、今申し上げたとおりのことであります。低い高いということよりは、本当に人材として、その奉職を検討している人材として、その人材はやはり意欲とか、理念だけ、理念とか夢とか目標だけで、実際に生きていけない、家族もあって、それを養っていかなければいけない状況の中で、何が一番良質な人材確保の点で大切なのか、ですから私がある雑誌で、公共人材確保を目指せというのは、昔、田中角栄さんが総理大臣だった時代に、やはり教員というのは、社会の中で人材育成の一番中核にいる教員に優秀な人材を確保しなければいけないということで、そこをしっかり政治がバイアスをかけながら人材確保をしようということで、あのときは必ずしも日教組とかが賛成していないのですけれど、だから社会党は微妙な立場だったんだけど、ああいうことを政治でおっしゃった。そういうことが本当は今回の例えば、総裁選挙のときにそういう議論を、公共人材をどう確保するかというときに、やはり政治の大きなところで議論をしていただかないと、それを例えば人事院とか人事委員会の具体的な細則でそのことを改善するというよりは、政治の意思を働かせなければいけないんじゃないかと私は本当は思っています。ただそれは1人の首長が人事委員会に対して申し上げる話ではないので、独り言で申し上げたということであります。
記者
全く話が変わるのですけれども、来月からふるさと納税の旅行券の取扱いが一部変更になると思うのですが、京都市でも旅行券による収入というのは、かなり一定の割合であると思っております。それに関して何か受止めですとか、なかなか市で個別に対応というのは難しいとは思うのですけれども、何か今後対応したいと思っていらっしゃることがあればお聞かせいただけますでしょうか。
市長
あれは厳しくなりますね。厳しいだろうけど、それを我々として一般論としては、今後もいろいろな国家予算要望などにおいて、我々の考え方を伝えていきたいと思いますけど、ルール変更がなされた以上は、そのルールの中で我々はしっかりと魅力的なふるさと納税の企画を考えて、京都を愛していただいている方々に貢献していただけるように工夫するしかないですね。国家予算要望では、やはり本当に例えば上限とかいうのが、今の旅行者の方々がどういうものを京都に求められているという意味においては、これはなかなか制約になっているということは訴えていきたいと思いますが、一旦決まったルールであれば、そのルールの中でいろいろと創意工夫していくしかないと思います。
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