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市長記者会見(2024年8月20日)

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2025年2月5日

「市長就任半年を迎えて」及び「京都市特別職報酬等審議会の開催」について、京都市長が記者会見を実施しました。

 ※発表内容は、令和6年8月20日時点の情報です。 

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京乃つかさが記者会見のポイントを解説します。

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記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

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また、当日の配布資料はこちらをクリックしてください。

(発表案件1)市長就任半年を迎えて

松井市長)

 皆さん、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。今日は2件ございまして、1つ目は、お手元に資料配付させていただいていますが、市長就任約半年ということで、その半年を迎えての現時点での私の思いを御説明させていただきたいと思います。

 お手元の資料を御覧いただきながら御説明をさせていただきたいと思いますが、2月25日に市長に就任しまして、寒い時期の選挙、そして京都マラソンを挟んでの京都市長の就任、早いもので半年だなと思うと、一定の感慨がございます。この間、私自身がまちづくりや市民活動の様々な現場をお訪ねさせていただきました。時間の許す限り自分の足で京都のまちを歩き、京都に暮らし、働く方々との出会いや対話を通じて、まちのありようを私なりに見つめ直してまいりました。

 1つの例を挙げれば、夏の時期にですね、各地の商店街などで七夕夜市とか、いろいろな夜市が開催されていて、祇園祭や今般の五山の送り火もそうですけれど、いろいろなお祭りごとに地域の人たちが関わっておられる姿を見て、子どもたちや若い方々もたくさん参加される、こういう行事がたくさん行われているということは、京都の大きなポテンシャルだという風に改めて感じました。学生をはじめとして、京都のまちは15万人の学生がいるわけですが、若い世代と地域をどうつなげ、コミュニティの課題解決につなげていくのか、公民の垣根を越えた継ぎ目のないシームレスな政策展開が必要だと改めて感じております。資料に基づいて振り返って、現在進行形の私の気持ちを率直にお話をさせていただきたいと思います。

 最初の1ページ目を御覧ください。就任以来、ちょうど能登半島地震が選挙の直前であったということもありまして、防災減災、あるいは、選挙時の争点でもあった観光課題といった喫緊の社会問題の対応に力点を置かせていただいたのが第一次編成予算です。第二次編成予算は、人口流出の抑制、この人口流出も私は選挙の中で非常に危機感を持って訴えさせていただきましたが、人口流出の抑制につながるような安心すまい応援金、あるいは創業支援や企業立地促進の強化など、新たな文化的価値や強い経済の創出につながる施策を打ち出せたのではないかと思っております。加えて、令和4年度に引き続いて令和5年度も収支均衡予算となり、持続可能な行財政運営が着実に前に進んできたと思っております。

 二元代表制のもとで緊張感のある市会の質疑というのを、市会は毎月のように開催をされていますが、特に3月市会、5月市会で私として初めて二元代表制というものを経験して、これは単純な与党野党ということを越えて、是々非々の議論が行われている、そういう市会との質疑というのも私にとっては新鮮な経験でありました。

 防災減災に関して言うと、最初申し上げました能登半島地震もそうですが、先般の南海トラフ地震臨時情報の発出も含めて、いつ大きな地震があっても不思議ではないというこの日本列島に生きる我々の課題というものを再認識しております。京都は特に京町家をはじめとして、木造住宅や密集市街地が多いという特性もあります。地域コミュニティとか関係団体と連携した災害への備え、耐震化や災害の対策の促進など、市民生活を守る取組がとても大事だということを実感しているところでございます。

 2ページ目をお願いいたします。かねてから申し上げておりますように、組織や人と人との間の垣根を低くすることは、これは私の、大げさに言えば人生の課題でありまして、京都市においても、行政と市民、官と民、官というのは公と置き換えてもいいかもしれません。公と民、部局と部局、それぞれの部局ごと、あるいは教育委員会というような組織もありますが、垣根を低くして、対話を重ねて政策を形成する風土づくりに半年間それなりに努めてきたつもりでございます。

 市民対話会議というのは、今週で全区役所・支所、14か所の市民会議を終えることになります。加えて、テーマ別でも文化、そして昨日は福祉医療の現場で第一線を支える方々との対話を重ねまして、今後、テーマ別の市民対話も開催していきたいと思います。いろいろ意見を交換して、私自身が10年ぶりに京都に帰ってきて、政治活動、選挙活動を通じていろいろなことを感じてきましたが、やはり市民の方々からいろいろな多様な御意見、多様だけど共通した御意見をいただいてきたというのは、京都の魅力と課題を再発見するという意味でも私にとって貴重な対話でありましたし、それをしっかり整理して、これからのまちづくりに生かしていきたいと思います。

 また、京都市役所内部でも、新しい公共や市民生活と観光の調和を検討する部局横断のプロジェクトチームを創設させていただきまして、私自身から言うと、就任当初に比べて職員が部局を越えて議論するということについて、当初やっぱり遠慮もあったと思います。どっちかというと、門川市長、たくさんの業績を残されましたが、門川市長が求心力を持って、トップダウンで個別の部局と個別部局について、過去の京都市役所における経験も踏まえて、非常にいろいろなプロジェクトを推進力を持って推進してこられたけれど、逆に言うとトップマネジメントが強化されると、国の政治でも同じでありますが、各部局部局が自らの発意で部局横断で議論をするというのは、やっぱりその分弱くなる傾向があると思います。これはどっちが良いとか悪いとか言うんじゃなくて、在任期間が長くなるとそうなりますね。要するにハブアンドスポークで、ハブが強くなって、スポークのところで個別撃破していくと。そうすると、本当はそれぞれの部局横断で談論風発で議論するというカルチャーを、やっぱり京都市役所は取り戻していっていただきたいと心から願っておりまして、その兆しが私は確実に広がっている、それは今のプロジェクトチームや、「Mebuki Lab」と言われるような若手・中堅の職員が組織横断で議論するというような気風が確実に広がりつつあると私自身は思っております。

 また同時に、各分野の第一人者として、政策的な知見もさることながら、人格も含めて私が尊敬する特別顧問も任用し、この方々ともいろいろな意見交換をしてまいりました。あるいは、その特別顧問任用前も含めて、特別顧問としては任用してないような有識者との意見交換というのも行ってきました。それを私自身の知恵にするのではなくて、私としては、京都市役所の優秀な職員の共有財産にしてほしい、そういう方々の知見から、それを全部取り入れられるとは限りませんけれど、市役所の職員がいろいろな気づきをいただいて、それは使えるかもという風に、ベテランから若手に至るまでいろいろな方々が、いろいろな私が信頼する有識者からの知見に気づきをいただいて、政策的な発案や議論を深めていただければいいと思っておりまして、そういう庁内のシームレスな政策立案・展開というものを今始めているという状況でございます。

 ちょっと長くなりました。少しスピードアップします。3ページ目、私は公約で、就任後半年間で市政の内容や市役所職員の姿勢や意識を集中的に点検すると申し上げました。これは、かつての事業仕分けとかそういうものではないということは最初から申し上げていることでありまして、私はこの間、比較的最初の間はいろいろな行事に追われていた面もありますが、この2か月、特に6月ぐらいから7月、8月と政策的な議論をする時間をある程度とってこれたと思います。

 その中で、総点検というよりは、事業をどうあるべきかということについての、単にチェックするというだけではなくて、じゃあどうしたらいいんだということも含めて、いろいろな御意見を聞いてきておりまして、いわゆる総点検も最終盤に入っておりまして、最終盤というのはなかなか終わりはないですけど、とりあえず一区切りをつける終盤に入ってきておりまして、市民対話や外部有識者の御意見も踏まえて、行財政改革計画の総括とともに、9月中にはその結果を公表したいと思っております。

 4ページでございますが、今日は、この半年間の市政運営の中で見えてきた京都の課題と可能性、今後の方向性について、議論の途上にあるものも含めて、現時点で私がお話できることをお話しようと思います。

 5ページをお願いします。行財政運営の課題で、次のページをお願いします。職員の姿勢・意識改革であります。この点は、先日コンプライアンス推進本部で申し上げましたが、たまたまかもしれませんが、私が市長に就任してから幾つかの不祥事、不適切事案が明るみに出ております。私はこのあたりの問題については、桝本市政、門川市政で相当程度、京都市政改革が行われてきたと、当時参議院議員時代もございましたけど、そういう風に考えておりましたが、やはりまだその残滓が残っているという風に言わざるを得ないと思います。そういう意味では、先日コンプライアンス推進本部を公開で開いて、そこで申し上げたとおりでありますが、多くの職員は極めて高い誇りと使命感を持って前向きに真摯に業務を遂行しているものの、一部の職員といえ、倫理感の欠如、不祥事につながるような組織風土が残っているということは、私は強い危機感を持っております。これについては、この上の方の矢印の方にありますように、服務規律、コンプライアンスの徹底をしたいと思いまして、市長をトップとし、3人の副市長を副本部長とする推進本部を立ち上げまして、そのもとに、特別会計事業であってもその特別会計に任せずに、本庁自らも入った調査検証チームを立ち上げて、外部有識者の目も入れながら全庁的な点検を今行っています。逮捕されている職員などは、まだ接見不可能な人物もおりますので、その全容が明らかになっているわけでありませんが、これは可及的速やかに点検を実施して、原因・課題を分析し、再発防止策を検討したいと思います。そして、最低限それはやらなければいけないんですが、それにとどまることなく、職員の使命感とかやりがいを高め、活発に議論する風通しのよい組織風土づくり、これにさらに注力しなければならないと思っております。

 次のページ、お願いします。財政収支は着実に改善してきました。しかしながら、私は財政収支が改善したからといって、過去やってきた改革を全部元に戻すような、時計の針を戻すようなことは考えていません。デフレ時代の行財政改革から次のステージに向けて改革を続けなければいけないと思います。1つ目の矢印、政策の点検結果を踏まえて、やはりまちづくりの目標を達成するための資源投入について検討しなければいけないと思います。私は京都の市政というのは、投資不足の分野というのもいくつもあると思います。それに対してしっかり投資をしなければいけないけど、そのときの投資の在り方、一方的に市役所は税金で投資を行うということでいいのかどうかということも含めて、あるいは、その投資先について重複がないか、縦割りの弊害でそれぞれの施策メニューごとにばらばらのものがあって、市民目線で見たら、それはもっと有効に活用されるべきというものがないのかどうか、見直すべきものは果断に見直さなければいけないと思っております。

 将来のまちづくり、人づくりのために、どこにどういう機能が必要か、そのときに、例えばある施設が文化のある面であったとしても、それはその事業のためだけに役立つのではなくて、それに関連してもっと幅広い、例えばコンサートホールを見直すんだとしたら、コンサートホールはコンサートに来る、京響友の会で何千円というチケットを払ってくれる人たちだけのためのコンサートホールであっていいのか、そこまでお金を払えないかもしれないけど、家族連れで流れ出てくる音楽に接したい、植物園に家族連れてきた人が音楽にも触れ合うような、そういう組織でなければいけないし、それぞれの学校本体で投資も必要かもしれないけど、それは学校だけのための施設ではなくて、それは地域にしっかり還元していかなければいけない。なぜならば、京都の学校が非常に素晴らしい成果を上げているのは、地域の人たちが学校づくりに寄与しているからでありまして、素晴らしい学校ができたんだとしたら、それは当然のことながら地域にすばらしい学校という場を還元していかなければいけない、そんな風にどういう施設をつくるかということ1つをとってみても、そのつくり方、使われ方というものを見直す必要があると思います。

 それから、身近なことで言うと、いろいろな人とまちで歩いたり対話をしたりする中で、私が多くの方々から耳にした話は、公共施設のトイレですね。例えばトイレ1つ、例えば地下鉄のトイレ、文化会館のトイレ1つをとってみても、京都というまちのトイレがどんなに便利か、不便なのか、あるいはきれいなのか、汚いのか。清潔には掃除されているけど、施設がいかにも古いのか。そういうことをしっかりと市民目線に立って判断していかなければいけないというふうに思っております。

 市民生活や安心安全を支える社会資本、あるいは公共人材、これは今日の2つ目の事案にもつながりますけれど、公共人材の維持・確保のためにどれだけの資源をこれから割かなければいけないかというようなことを考えると、若干収支均衡予算で黒字が出ていたとしても、その分の黒字というのは、本当に私はぎりぎりの水準の黒字だと思っています。

 次のページをお願いします。これからは、京都の課題と可能性について、私から実感を含めてお話ししたいと思います。

 9ページをお願いします。1つ目、市民対話会議などで特に多く寄せられた話でありますが、私はずっと言ってきた京都の町衆の力、町衆という言葉は狭すぎるとしたら、それは市民の力という風に言うべきかもしれませんが、多くの地域で自治会など地域団体の方々からは、特に地域コミュニティを支える担い手の不足、減少について切実なお声がありました。これはいろいろな地域で対話を開催させていただいていますが、やはり共通の課題であるということを再認識しております。同時に、地域で意欲的に活動されるNPOや学生、あるいは地域協働の活動というのがこの10年間で格段に変質しているというふうに私は感じておりまして、その方々をどういう風に結びつけていくのか、これから時代に即した持続可能な地域コミュニティの在り方を考える必要があると思っておりまして、私は地域コミュニティが住民同士のつながりや地域の安全安心は言うに及ばず、文化・経済など幅広い領域の交流や創造の基盤として、京都の発展を支えてきたと考えておりまして、これをさらに次の時代につなげていくためにどのような形がいいのか、地縁団体とNPO、学生、地域協働を有機的に結びつけていく仕組みの在り方ということを考えなければいけない。ここに当たっては、私は、市役所と区役所の関係をどういうふうに整理し、区役所の機能をいかに評価するかということを考えていかなければいけないと思っています。また、この下の方でありますが、若年子育て世代が市外に流出している現状を含めて、若者世代に選ばれる、それは若者世代ということだけじゃないですよね、子育て世代、次の時代にも選ばれ続ける子育て・教育、居住環境の向上というのが非常に大事でありまして、子育て・教育について、私は京都は、それこそこの28年間、私の前任、前々任の市長さんたちが非常に日本でも最先端のまちづくりを行ってきておられると思いますが、さらに子育て世代の方々の居場所の創出や、大学、社会、世界とつながる創造的な教育実践に向けて、先ほど申し上げました公園の魅力向上、公共施設・空間の有効活用、あるいは西脇知事との府市トップミーティングで合意した市立高校・府立高校の連携であるとか、高大連携による探究型教育「STEAM教育」、各大学や大学コンソーシアム京都との連携強化も含めて、やはりしっかりと子育て、人材育成のまち京都というものを強化していかなければいけないと思います。住まいは、前回の記者会見で御説明した「京都安心すまい応援金」の受付がちょうど明後日、22日から始まります。今ある住宅に手を入れて住んでいただくというのは、京都のまさにまち柄にもつながる価値観であり、是非御利用いただきたいと思います。

 次の10ページ、お願いできますでしょうか。文化を基軸とする豊かさの向上というのは、これはウェルビーイングの向上にもつながる重要なテーマだと思っております。内外の多彩な才能等の出会いや交流を通じて、多種多様な文化が京都のまちでは花開いてきましたが、今後も海外のクリエイティブな人材をいかに京都に招き、そして地域の知的交流、クリエイティブな人材がお一人で来られて、禅寺でお庭を見られてもいいんですけれど、それにもう少し地域の方々とそういう方々が交ざっていただくということを、我々としては、活発にインセンティブをつけて推進できないかという風に思います。

 それから、子どもや若者を含む市民が伝統文化・音楽・現代アートなど、多様な文化に触れる機会を創出する、子育てのための無償化を進めるとか、私は公約に掲げたことは誠実に実行したいと思いますが、やっぱり京都で人が暮らすこと、あるいは育てることの値打ちというものがいかに高いかということを市民に実感していただき、外部から京都への定住を選択肢として考える方々にその魅力をアピールする、そのためにも、子どもたち含む市民の皆さんが多様な文化に直接触れる機会を、圧倒的な機会の提供を、他のまちに比べて京都は行わなければいけないという風に感じております。私の実感として、この下の方ですが、この半年間でさえ京町家の減少とか町並みの崩れというのが一部エリア、一部エリアというのはこの近辺のエリアであります。目に見えて進んでいまして、強い危機感を持っております。これは先人たちが継承し育んできた、あるいは戦争の惨禍を逃れてきた京都の価値というものが、じわじわと今不動産価値が上昇していて、そのことは当然のことながら相続税の負担なんか大きくなる。そうなってくると、代替わりごとにそれを売却して、残念ながらいろいろなマンションに転化していく、そういう姿を見ていて、この町並みというものをどうやって、この京町家の滅失というものに歯止めをかけることができないのかどうか、あるいは京都のまちづくりという意味で、メリハリのついた都市計画ということを私は選挙の時から言ってきましたが、もっと大胆に規制の緩和を、相当程度この数年間それをやってきましたが、それを実行に移すというエリアもあれば、やはり本当の京町家の町並みというものをどう生かしていくべきか、そのための支援措置や規制の在り方、この両面から考えていかなければいけない、このあたりは、私はこれからの京都のとても重要な課題だと思っています。

 11ページをお願いします。市民生活と観光の調和は、もう何度も申し上げてきたことであります。実は、今回の五山の送り火においてもそのような御議論を、私は直接何人かの方から御指摘をいただいたところがありますが、やはり観光というのはとても大事で、文化観光都市でありますが、市民の方々が観光受入れについての共感を持っていただかなければ持続性がありません。観光については、分散化ですね、時期、季節、あるいは地理的分散、あるいは時間の分散、朝夕含めた時間の分散、そういう分散をどう促進するのか、あるいは市民の方々に共感を持ってもらえるような、例えば観光特急バスのすみ分けというのもその1つでしたし、市民優先価格はなかなかそう簡単にはいきませんけれども、少しでも何らかの形で、市民に観光の配当というとちょっと即物的でありますが、それを実感していただくようなことができないのか、府市連携の周遊観光は以前にお話をしたところであります。そういったものをしっかりと進めていかなければいけないと思います。それから、後段の方ですが、産業の創造拠点としての京都の強みというものを再認識する必要があると思います。明治の初期に陛下が東京にお出ましになられて、京都のまちは火が消えたようになってしまう、そのときの期間を京都の人たちは共有して、岡崎エリアの開発を含めて、大きなまちの改革を行ったわけでありますが、私は、産業の創造拠点としての京都の強みというものをいま一度再認識して、それを抜本的に強化しなければいけないと思っております。それは国の産業政策の潮流も捉えなければいけない、そういう点も踏まえた産業企業立地の推進をしなければいけない。これは着実に実績は上がってきていますが、さらにこれを加速するための磨き上げをどうしていくのかということが必要でありますし、やはり最初から言ってます京都のまち柄にも関連しますが、多彩な人材が内外ともに交ざり合って、いろいろなイノベーションが起こる。あるいは、京大発ベンチャーという言葉もありましたけど、スタートアップの創出の加速を、京都大学もそうですし、他の大学の知的資源というものをもっともっと活用できないかということで、今後、府市連携で半導体関連産業の振興であるとか、京都ブランドというと安っぽく聞こえますけれど、京都なら働きたいとか、京都ならアンテナを立てたいというような企業とか人材が実は内外に多くある、そこをもっともっと取り込める、そのポテンシャルが私はあると思っております。IVSというのに私も参加をさせていただきましたが、あの熱気、あるいは創造性あふれたIVSを来年も京都で開催するということを誘致に成功いたしました。3年連続でIVS京都で開催する、そういうものを成果にしっかりとつなぎ上げていきたいと思っております。

 これからの京都のまちづくりの展望についてお話しします。13ページをお願いいたします。まち柄、ぬか床、新しい公共というふうに書かせていただきましたが、やはりまち柄として、何度も言ってるように、人に人柄が、国に国柄があるように、京都というまち柄は何なのかということをもう一回再認識しなければいけないと思います。これは、おそらく京都にずっと生まれて育ってきた人たちは当然のことだと思ってることが、半分ぐらい東京にいた人間から言うと、当然ではないんです。いつも私は東京で講演のときに話をします。京都市内の丸い輪っかをかけて、4キロ内にどんなものがあって、その何キロ以内に山際が迫っているというこのコンパクトなまち。東京で言えば、皇居周辺の山手線の中の内側に全部収まるようなところにどれだけのものが、豊かな自然があり、生活文化があり、そして高い時間密度の中で人々が暮らし仕事ができていくのか、あるいは、古いものに手を入れて長く使っていくという、これは長い歴史が教えてくれた価値観であり、それは同時に私は世界に誇れる価値観だと思います。そういう自然も含めて、このまち、そういうものを混ぜていくこのコンパクトなまちというまち柄、そして多彩な才能が京都というところに日本中から人が集い、場合によっては海外の文物がそこに輸入されて、そしてそれが交ざり合って都市の魅力を高めてきた、それをさらに攻めの都市経営につないでいきたい。ぬか床というのは、適度な塩分と水分がなければいけないし、撹拌しなければぬか床は饐えてしまいますから、そのぬか床を混ぜる役割を、京都市役所だけではなくて、京都市民とか、いろいろな経済界の方々、文化人も含めてぬか床を混ぜるようなまち柄をどう作っていくか。そのこととも関連しますが、新しい公共と私が言ってきたのは、誰かが誰かの役割ということを固定的に考えるのではなくて、場合によっては支える人が支えられ、支えられている人が支える側に回るということによって、それぞれの個性を発揮しながら、いろいろな主体が生き生きと活躍できる。居場所と出番、特に出番がある、多くの方に出番をつくるまち京都を作っていかなければいけないと思います。

 次のスライドをお願いします。そういう意味では、次期総合計画、もうスライドはほぼ最後のほうになりますけれど、これからのまちの在り方ということをしっかり議論をする、私はこういうタイミングで京都市長に就任させていただいた、だから京都市長に手を挙げたというわけではないんですが、こういうタイミングで京都市長に就任させていただいたことの責任を今ひしひしと痛感しているわけですが、長期ビジョン、総合計画という名前は僕はあまり好きな名前じゃないんですね。まちの総合計画って社会主義じゃないんだから、ただ用語としては、そういう審議会もありますし、それを今変えるつもりはありませんが、大事なことは、その長期ビジョンだと思います。それは1999年に、それこそ今もいろいろお知恵をいただいている鷲田先生なんかが書き手になられた京都の基本構想というものが25年間の役割を終えようとしています。2025年から2050年に向けての長期ビジョンを策定する、この議論を秋から本格化させたいと思います。そして、場合によっては長期ビジョンと議論と連動して、そこの出来上がりを待たずにやらなければいけないのは、総括をする行財政改革計画の次、この長期ビジョンと連動してどんな戦略を作っていくのか、具体的にはもっと短期的な戦略をどうつくっていくのか、もう行財政改革計画という言葉は使いたくないないけれど、京都のまちの新しい戦略をどう作っていくのかということも今我々が取り組まなければいけないことだと思います。こういった議論も通じて、そして今私が申し上げた課題感、そして我々が取るべき重点施策の方向性、今日はこの程度にとどめたいと思いますが、お示しさせていただきました。

 やらなければいけないのは、令和6年度予算は、私にとってはフルスペックの予算ではありませんでした。私にとっては、やはりそれはそうですね、2月25日に就任して、令和6年度の予算を一次編成、二次編成に分けて皆さんにお示ししたわけですから、それはフルスペックなわけはありません。でも、令和7年度予算は、今度はフルスペックの予算編成にしなければいけない。そのときに令和7年度だけではなくて、行財政改革計画を次のステージに移す、ある程度中期的な計画、さらに言うと長期の京都のまちはどういうまちで、京都のまちは何を大切にしなければいけないのか、どういうところに投資が必要なのか、そこをある程度見取図を描きながら、令和7年度のフルスペックの予算編成にこれから取りかかっていきたい、それが就任後半年を経ました私の現時点での皆様にお示しする立ち位置でございます。

(発表案件2)京都市特別職報酬等審議会の開催について

(松井市長)

 発表案件の2件目を御説明させていただきます。これは、最初の3月市会で代表質問や市長総括でも御質問をいただきました。市長の報酬はどうするんですか、門川市長は行財政改革の集中改革期間中に3割カットしておられる報酬をどうするんですかということを聞かれて、私はそれは、当面自分の政策が見直しができるまでは、収支均衡が達成していたとしても、それは当面、門川市長の最終的な3割カットを続けると申し上げました。

 ただ私は、ずっと自分の持論は、自分の思いということは別にして、公共人材というものをしっかり確保するということは、日本のすごく大きな課題だと思います。デフレ時代でいろいろなストレスがあって、公共はまず身を切らなければいけない、そういう時期もあるでしょう。その価値を私は全面的に否定するわけではありませんが、1割カットするのか、2割カットするのか、3割カットするのか、半減するのか、その時々の市長さんが、ある種、選挙のこととかいろいろなことを意識しながら、カットを市民に向けてアピールするというようなやり方というのをそろそろ見直した方がいいんじゃないかというふうに、私はその当時から内部では申し上げてきました。それは、きちんと公で働く人の報酬というものを、どういう報酬を定めるのが適切なのかということは、それは私のような当事者が関わらないところで、きちっと有識者において冷静な議論をしていただくべきではないか。そうでないと、政治家がどうやったら大衆の心をつかめるかということで、ある種、いろいろなこと、選挙も見据えてそのことを判断して提示するというような風潮は、本当に中長期的に見て日本の政治や社会のためにいいのかどうかということを、私は部内では問いかけてきました。

 その1つの結論は、この時期に一度、市長・副市長の給与、議員報酬をそこに含めるべきかどうかというのは、正直言うと悩みました。それを我々が提案するのがいいのかどうか悩みましたが、個人的に、若干の方々の意見を聞いたことがないと言ったらうそになりますが、そこは議会は議会としての判断はあろうと思いますが、そのときに、報酬審の審議対象になっているものの中で市役所だけ議論するのではなくて、それは同じ公職を担っている二元代表制のもう片方についても御議論はいただいたらいいのではないかと。その上でどうされるかは、議員報酬については私どもが決めることではなくて、議員の皆様方が総意で昨年決められた1つの結論もある、そのことは十分承知していますが、審議会では並んで報酬の在り方を議論をしていただいて、御答申いただく。その上で、議会はどうされるか、我々はどうするかということを判断するべきではないかというのが、就任後半年の1つの節目で、次にフルスペックの予算編成をする前に、ある程度成案を得るのが適切ではないかなというのが私の見解でありまして、こういう提起をさせていただくという次第であります。それは、公共人材をどういう風に処遇するのかということも含めて、私はそれは京都というまちのまち柄にも関わることだと思うから、まさにこの時期で1つの御議論をいただく、第三者の方々、有識者の方々に御議論いただくべきではないかというのが今回の報酬審の開催についての私の思いであります。私からの発表案件は以上でございます。

質疑応答

発表案件に関する質問

記者

 1つ目の就任半年の質問からなんですけれども、いろいろ観光特急バスの運行が開始されたりなど、いろいろあった半年かと思うんですが、御自身の達成度合いといいますか、御自身の評価をどのようにされているでしょうか。

市長

 自分自身は、あんまり評価は市民の方々が、節目節目で、市民の評価を受けるべきだと思いますが、自分自身としては、着実にはやれているとは思います。一次編成の、「まちの匠・ぷらす」に代表されるような防災・減災に対する、今お話があった観光特急バスのようなオーバーツーリズム対策について、ごみの問題とか含めて、ある程度のことはできておりますし、「京都安心すまい応援金」というのは、ある意味では、色合いが出た政策だったと思います。

 それから、自分自身で言うと、やっぱり市民対話をここまである程度やってこれているというのは、区役所の皆さんの意識も含めて、あるいはそこに関わっている地縁支援団体の方々に対して、ある種私の思いをある程度お伝えし、どっちかというと、私の思いをお伝えするというよりは、その方々、市民の意見を聞くという意味において、一つのスタイルをつくれてるとは思っております。

 それから、府市の関係は、これは私と西脇知事の主観もさることながら、いろんな我々、両方で議論をした関連の方々から言うと、府市の関係は、やっぱり新しいステージに入ったんではないかなという御評価をいただくこともありまして、周遊観光は、予算化、双方いたしましたし、今も弾込め中のもので、次の年度に向けて、一緒に予算化できないかということを検討してるものもあります。

 それから、府立高校と市立高校の連携は、12月21日の行事でありますが、松尾豊先生をお招きしての、それを1つのターゲットにして、夏休み期間も含めて、府立市立のたくさんの高校が探究型学習を既に、その12月21日に向けて始めておられるようなことが始まっているというのは、単に12月21日のイベントを作っただけではなくて、学校の枠組みを超えた探究型学習をどうするか。それを、例えば東大の松尾先生、あるいは、特別顧問である東大、これも東大の公共政策大学院の教授でもある、慶応大学の教授でもある鈴木寛さんのような方々に、どういう高校生が発表するのか。彼らの胸をどう借りて、議論をしていくのかっていうのは、確実に高校間の府立市立の垣根を越えたと思うし、それは高大連携につながっていくと思いますし、私は今、そこに京都の大学コンソーシアムの方々なんかも入ってきていただいて、京都の大学が、こういう高校生も、市立府立を超えた枠組みでの探究型学習をどう受け止めて、京都が、大学のまち京都っていうのは、僕はあんまり油断できないと思っていまして、これは少子化が進んだから、もっともっと京都の大学のまちの魅力を高めていくために、京都の大学がどう連携するかということについても刺激を与えるような、そういう種をまけてるという部分はあると思います。

 ただ、公約で、前もある記者の方から鋭い御質問いただいたように、公約に書いた大玉がまだ実現できていないというようなことはよく認識していますから、そこはフルスペックの中で、府市協調の中で、どれだけのものを次の年度の予算に盛り込めるか。そこも含めて、府市協調ってのはこれからが正念場だと思っております。

記者

 審議会の方の質問になるんですが、改めてどうしてこのタイミングで行われるのかというのを、お伺いしてもいいでしょうか。

市長

 はい。今申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、やはり市のトップの報酬含めて、やっぱり、私個人の感触で言うと、今政令指定市の中で言うと、カット前の報酬は結構高い方にあるんですよね。そこまでのものが、私は、市長について必要かどうかというのは、正直言って、私自身はある感情を持っていて、市長は私はある程度の名誉職であっていいけど、ただその報酬がどうあるべきか、公共人材の一つの尺度になると思います。

 それから、私は副市長というのは本当に普通の特別職公務員ですし、これはある種の京都市役所の公務員のトップの責任を負う、政治家以外としては。その方々に対して申し訳ないなと思いはありますけれど、しかしそれもある種連動すると言えば、連動するのかもしれませんけど、自分自身のものと、ちょっと副市長とは、私は感覚が違うんですけれど、やっぱりそこを外部の目で見直して、何が適正な報酬なのか。これぐらいの仕事をしていて、ある種、プライベートの生活を相当程度犠牲を払う公共に奉職するということの意味というのを、最近人事院勧告とか、人事委員会の勧告も徐々に潮流が変わっていますが、そこをもう一回、もう長年これは議論してないわけですよ。そのこと自体が、私はちょっと変だと思いますよ。変だと思われませんか。何十年も、毎年、人事院勧告、人事委員会勧告が出されてるけれど、要するに何割カットするかが争点になってるというのは、ちょっとこれは、いや、政治家である市長はそういうもんかもしれないけれど、副市長までそこにリンクしてるというのは、私はちょっとどうかなと思います。

 ただ、私がこの報酬審の議論について予断を与えるようなことは言うべきではないですけれど、私自身の思いはそういう思いがある中で、これはどういう結果になるか分からないけど、報酬審は、やっぱり半年でここで、次のフルスペックの予算編成とか、京都のまち柄を決めるいろんなものを動かすときに、そこを待ってから動かすんではなくて、やっぱりは就任後半年のタイミングで、しかるべき議論をしていただくのが本筋かなと。議論を開始するとしたら今だろうなという風に思いました。そうでなければ、ずっとこうやって、本給の水準を何十年前のまま置いたまま、政治家が身を正す、襟を正すという意味で、何割カットをするという議論が続くというのは、どうなんでしょうかね。そのことが健全なのか、どうなのか。私はやっぱりきちんと一回議論を、有識者、外部の方に議論していただくほうがいいと思っています。

記者

 よろしくお願いします。先ほどから何度かおっしゃってる、令和7年度のフルスペックの予算編成っていうのは、具体的にどういう風なものをイメージされてるのか、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

市長

 さっき御説明したような、先ほどのスライドで、私はこのまちの課題を説明し、課題とかの説明をし、それをより具体化したようなものにしていかなければいけない。あるいは、選挙公約で、有権者の皆さんにお示ししたもので、まだ手がついてないようなものはある。それについてはやっぱり真剣に検討しなければいけない。フルスペックというのは、それは完成系という意味ではないですよね。ただ、私が予算編成の当初から関われる、私自身が、もうそれこそ言い訳のできない予算編成だと思うわけであります。そのときには、自分の持ってる京都のまちの課題意識というものを反映して、それはもちろん段階があります。令和7年度でどこまでのものが盛り込めるのか。あるいは、経済環境、社会環境も変わってるかもしれないから、それは令和8年度にならざるを得ないかもしれないけど、ただ、私自身が編成当初から責任を持つという意味において、フルスペックと申し上げたわけで、それは先ほどの京都のまちの課題感、その課題の、あるいは可能性というものを、より魅力あるものにしていくための施策を並べるということであって、それはまさに今、政策ミーティングを毎日のように連ねてるものの結果が、それに反映されるということだと思っています。今日お示しするのは、だからそういう意味で、現時点においての私の課題意識とか、京都のまちの可能性についてお示ししたということであります。

記者

 ありがとうございます。あと、市長になられる前のときに、脱しがらみについて、何度かお話しされてたと思うんですけれども、そのときにおっしゃってたのが、市長になってからが本当の勝負で、しがらみの中に身を埋めて、本当に世の中を変えられるのかということをおっしゃってて、いろんな人を説得しながら前に進むことは難しいけれども、彼らとつき合いながらかじを切れるのか、ということをおっしゃってたんですけれども、半年やられて、まだまだなところあるかもしれないですけれども、実際に舵を切るスタートができてるというふうに思われているのか、あるいは実際にしがらみに埋めてみて、何か今実感してることとか、そういうあたりを教えてください。

市長

 それはしがらみはありますよね。私が、私の選挙を応援していただいた方が、ある政策について非常に強いこだわりがある政策があっても、皆さんお察しのとおり、それは私はなかなかしんどいなと思ってる政策はあるわけですよ。それは、人間、選挙で応援していただいたっていうのは、義理と人情という意味から言うと、それは何とかその方の御意見には耳を傾けなければいけない。だけど、それはいろんな財政制約とか環境制約の中で、私は京都市民、特に将来の京都市民に対して、それはどうしても首を縦に振れないなというのは、そういう政策があるとすれば、それはしがらみと私がいかに戦うかということでしょう。そういうことは、別に一つではなくて、複数あるんじゃないかと思いますよ。だけど、それは選挙で選ばれて、選挙で支持をしていただいたら、じゃあそのとおりやるのかどうかということも含めて、それは、それを審判されるのが現在の民主主義ですから、その民主主義の審判に耐えるようなものを考えていかなければいけないし、しがらみというのを否定はしないけれど、そのしがらみとどう戦って、戦うというのは、一方的にそのしがらみが悪いということだけではなくて、それをどう説得するかということも含めて、全ての政策とか制度には経緯がありまして、利害関係者がいて、ステークホルダーがいて、政策とか制度が出来上がってるわけですから、それを見直すというのは、一つ一つ抵抗があるわけであります。それは例えば、この最初の説明の中で申し上げた不祥事事案について言うと、やっぱりいろんな過去の経緯で、ある種の選考採用が行われていて、そのことがひょっとしたらその事業の一つの不適切な慣行、発注の温床としてあった。これは恐らくその現場にいた人たちは、しがらみというものと感じておられたんじゃないでしょうかね。だけどそれは乗り越えていかなければいけないですよ。それが乗り越えていけないような弱さが組織にあるとしたら、それはやはり乗り越えるための改革をしていかなければいけない。そういうものは、京都市政の問題というよりは、世の中の常として随所にそういうしがらみというのはあると思います。それを一つ一つ、しがらみだっていうことで、だーっとこれを全部ドミノ倒しに倒すようなマジックがあるならば、革命期のような時代でない限り、そういうマジックは僕はちょっとないと思いますね。それ一つ一つ、どういう理由でそういう制度が出来上がってきたのか。

 どういう経緯の中、例えば、京都でいえば、京都の保育園というものに対して、ある種の予算措置がなされていて、それは、ある意味で京都の保育所の経済を支えてたかもしれないけど、それは本当に適切だったかどうかっていうことを含めて、非常におそらく保育園と京都市っていうのは、密接な、子育て環境をよくしていくために、いろんな関係があったけれど、それを何年か前に見直されたわけでしょう。そういうことも1つの、私はしがらみだと思いますね。それを、しがらみだけど、じゃあ本質を損なうことなく、ちゃんと子育てを社会で行うという本質を損なうことなく、だけどこれは財政支出の仕方としてどうだったのか。適切だったのか、違うやり方のほうがいいんじゃないかというような議論があり、それをまた揺り戻して、また現場が多少苦しまれることがあって、じゃあそれをどう補正していくかと、こういうやりとりというのは、まさにしがらみはいろんな利害関係にはあって、その中でたくさんの方々が子育てに奉職されている。その方々の処遇をどう良くしていく中で、子育て環境を良くしていくかということを考える中で、いろんな試行錯誤を、これまでも京都市政としてきたと思うし、それは今後もそういう部分というのは、避けて通れないと思います。

記者

 あと、すいません。市長になられる前のところからまた振り返りたいんですけれども、京都は東京とか全国から見たときに、これまでの東京での御経験もあって、ちょっと惜しいっていうふうなおっしゃり方もされてまして、でももうちょっと頑張ればやることたくさんあるのに、あと一押しを、攻めの姿勢をっていうのはそのときからおっしゃってたと思いますけれども、この半年いろいろ点検とかもされてみて、今も同じような考え方をされているのか、そのあたりをちょっと教えていただけますか。

市長

 はい。基本同じです。京都の人は、京都の持ってる魅力が、まだ京都にずーっと住んでる人は、それを普通のことだと思ってる。私から見たら普通のことじゃない。例えば、さっきの町内会の問題もそうですよ。この町内会の人たちが、これだけ危機感を持ってすごい責任感を感じてるというのは、もう逆に東京ではないんじゃないですかね。それはすごい財産だから。だけど、その今の町内会とか地縁組織の在り方を、そのままでは25年後にもつかもたないかって言われたときに、もたないような気はする。だけどその危機感がある京都のまちだからこそ、コミュニティの強化のために何ができるかということを、もっと必死になって、知恵を絞った方がいいと思います。そういう、何て言うのかな。悪いということじゃなくて、京都の魅力が、もっと京都のポテンシャル、京都だったら働いてもいいとか、ほかのまち行くのは嫌だけど、東京から引っ越すのは嫌だけど、京都だったらいいと思ってる人が、日本中、世界中にいるんじゃないか。そこをもっと、京都人は、分かってくれはる人は分かってくれはったらええねんっていう感じかもしれないけど、都市間競争とか国家間競争の時代に、やっぱりもうちょっとプレアップしないと、都市経営としては、もっと攻めていったほうが、より有効なんではないかという風に、いまだに思っています。

記者

 市長の強みは、視野の広さと視線の深さだという風におっしゃってる時もありましたけれども、この半年で、それを御自身で。

市長

 私、そんなこと言いましたか。

記者

 はい。

市長

 自分で?

記者

 はい。そういう風におっしゃってる時があったんですけれども、その視野の広さと視線の深さを、この半年で何か生かせた、どういうふうに生かしてきたなっていうのがあれば、お願いします。

市長

 それ、すいません。それは、言ったとしたら非常に僭越な発言ですから、そんなことはないですけど、あえて言うならば、私のことなどよりもはるかに長い間、この京都市に住んで、京都市民と対話を重ねてきたたくさんの職員がいるっていうことですね。それはやっぱり謙虚に受け止めなければいけないと思います。

 それから、その職員の相互の議論というものをもっと活発に行うことによって、京都市の、京都市政の知恵は、もうちょっと深まるんではないかと思います。

 だから、それはある種、視野が広いとか視線が深いとか、そういうことはすごい限りがある話で、それは、市職員双方がいろんな持ってる知見をもっと、忌憚なく意見交換、部署を超えて意見交換して、政策を練り上げるというカルチャーを作るということは、これは私のような人間が、ニューカマーがやらなければいけないことの一つだと思うし、それからたまたまさっきも言いました、幸か不幸か、基本構想を改定する時期に市長を務めているということは、これはいろんな人の京都のまちについての思いとか、京都のまちの魅力とか課題というものを、もう一回糾合して、京都のまちは何に投資すべきかということを、知恵を絞るべきだっていう、それを半分東京にいた私だから、逆に、あるいは庁外で育った人間だから、私はそれについて、より大きな役割を果たさなければいけないという思いはあります。

記者

 よろしくお願いします。行財政改革計画なんですけども、次のステージの改革ということで、これまでの改革で言いますと、歳出でいうと人件費のカットとか、補助金の削減とかっていうところが代表的な例だと思うんですが、このあたり、歳出に関してはどういうふうにイメージされてるのかということと、先ほどちょっと行財政改革っていう名前を、何かあんまり使いたくないみたいことおっしゃったと思うんですけど、名称とかそういうのも変わっていくんでしょうか。

市長

 はい。それぞれ御指摘、ありがとうございます。行財政改革計画という言葉を使いたくないと私は言っています。名前はまだ決まってないですよね。決まってないけど、本来だったら、その次の次の時代の行財政改革ということを考えなければいけないということなんですけど、それはもう行財政改革という言葉の響きが、どうしてもやっぱり削減系の響きが、平成の約30年間、その削減削減という時代、デフレで削減の時代だったんで、削減とか、行財政改革という発想は必要なんだけど、より大きく京都のまちの戦略を、どう作っていって、例えば同じ投資を、例えばどれぐらい先延ばしするかとか、投資を縮減するかという発想よりは、やらなければいけない投資について、どうそれを取捨選択するかとか、あるいは、これまでと全然違う。デフレ時代と違うんで、金利が発生するという前提の中で、全体の投資規模をどれぐらいに設定して、そしてそれを財政的に回るようなものにする中で、どう取捨選択するか。

 で、そのためには、おっしゃったような、改革っていうものを捨て去るというわけではないんですよ。やっぱりそれは、無駄なものはやめて、選択と集中というのは必要だけれど、その中身を評価をし、従来型のものを単純に延長するんじゃなくて、あるものを、多面的な機能を持たせていくという、部署横断のようなことでですね。そういう投資の在り方も考えなければいけない。そういう投資の在り方で考えなければいけない時に、いろんな投資案件をわーっと今、線表にしながら、自分の中でというか、市役所の職員の皆さんと共に、鳥瞰、鳥の目で眺めていく中で、じゃあ、こういう投資は受けられるのか、受けられないのかみたいな話は、当然シビアに、私の頭で言うと、こういう投資ですらどこまでできるか分からないのに、こんな投資で、本当に京都市民にとって受益があるのかどうかも分からないようなものを、受けられるかどうかという話は当然あって、それは私の中ではずっと常に、この投資があるのはこの投資やろなって、この話を聞いたら「あ、こっちもあったな」とかいうものがある中で、動向をいろいろ議論してみても、なかなかそこには入ってこないなってていうものもあるなと思いながら、今考えてる。で、これはだから従来型のデフレ型の行財政改革計画で、全部、基本的何割カットでいきましょう、休止でいきましょうとかいうものとはちょっとステージが違うと。当然人件費も上がってくるし、光熱費も上がるし、金利も上がっていくということは、将来の負担という意味では、かさばる部分があるわけで。それじゃあ、それをそろばん合わせするのも、そろばん合わせやるのは専門家、私よりはるかな専門家がたくさんいますけど、本当にそろばんが合うかどうかということも考えながら、じゃあまちとして、どういう戦略的投資をするかということを決めるのが、次の時代の行財政改革計画で、それを私は行財政改革計画とは呼びたくないということであります。

記者

 イメージとしては、成長戦略とか、そういう戦略的なイメージなんですか。

市長

 そうですね。ですから今までの行財政改革計画の中にも成長戦略ってあったと思います。だから、今までの行財政改革計画を全否定するもんでは全くないんですよ。ただ、その成長戦略的なものが、より大きなウエイトを占めるということになるんじゃないでしょうか。

記者

 先ほどの市長の給与の話について、もう少し伺いたいです。先ほど公共人材確保するのは大きな課題ですと。で、長年議論していないのは変だという話の中で、デフレ感覚の話がありました。今、社会情勢すごいインフレであったりとか、物価高みたいなことになっています。そういう社会情勢も踏まえた上で、議論してもらいたいという感覚でよろしいんでしょうか。

市長

 はい。もちろんそういう社会情勢はあると思います。と同時に、私自身、市長給与に関して言うならば、今の政令市、私、何でも政令市との比較というのは、適切かどうかっていうのはあると思いますけど、都市経営の責任者という意味でおいては、それはいろんな他の並びの同じような規模の都市において、どのような水準であるかということを含めて言うと、私は、今の水準が必ずしも、それを上げてくれという意味で言ってるわけではないというのが大前提として、ひょっとして誤解があるかもしれないんで、そこはむしろ適正化した方がいいんじゃないかと。だからその何割カットとかいって、主観的にそれぞれが返上するというよりは、相対的な水準も含めて、市長に関しては判断して欲しいけれど、本当に副市長はそれでいいのかどうかっていうのは、ちょっと別物であって、私は、今のような副市長のような、特別職の位置づけというのが、もうちょっと情勢、判断してもらった方がいいんじゃない。ちょっと市長と副市長では、私の中では、意味合いが違います。市会議員さんについては、コメントするのは控えるべきだと思います。

記者

 なので、先ほど、カットっていうところではなくて、今条例で、市長の金額とかが決まってる。そこをちゃんと議論して欲しいということっていう理解でいいわけでしょうか。

市長

 そうです。はい。

記者

ちょっと今のお話、今回の発表についてですね。発表について、すいません。新たな計画、新たな戦略です。新たな戦略のことをちょっとまた伺いたいんですけれども、これだから、次期総合計画ともまた違う、さっきの成長戦略とかっていうものですか。

市長

 総合計画という名の下で、基本政策も位置づけられてるということです。基本構想も。

記者

 同じという。

市長

 いや、総合計画という一般名称の中で、それを何て読むかっていうことで、おそらく前回も、総合計画審議会というところで、基本構想は議論されてるという風に私は認識しています。意味分かりますか。作るものが総合計画という名前のものは、私は作りたくないんですけど、総合計画審議会というものはあって、総称としてそういう自治体が作る計画ものについては、総合計画と呼ぶという一般的な習わしがあるので、総合計画といってますが、私自身は議論を、まず長期ビジョンとして議論しなきゃいけないのは、99年に作られた京都市の基本構想、それの後継版を作るということです。

記者

 そのあとは新たな戦略。

市長

 そうです。戦略というか、新たな総合計画というものの枠内で、どういう表現してたかな。そうです。ここの長期ビジョン、次期総合計画で最後のページですね。で、新たな戦略というのは、これはどちらかというと、さっきのポスト行財政改革計画のことを、下の方は言っていますね。ちょっと名前、名前のイメージが入ってるかもしれませんけどね。さっき聞いておられた、それって、何か成長戦略的なものを含むんですか、みたいな話は、この下の方。

記者

 分かりました。ありがとうございます。

一般質問

記者

 お盆の間で、南海トラフに少し心配が、世間は心配されましたが、一旦注意措置は解除されたものの、今後市としてはどのように対応されていくといいますか、どういった意識で取り組まれていきますでしょうか。

市長

 今回の注意情報についての振り返りというか、その評価というのは、しかるべき政府の方でなされると思うんです。ただ、やはり、我々は、災害がいつどこで起こってもおかしくない、不思議ではないという状況の中で、市民に備えを呼びかけるという意味においては、そういう注意情報が出て、それについて我々として市民に、職員に、注意喚起を求めるとともに、市民の皆さんにはそういうしっかり備えをしていただいた上で、日常の生活は送っていただきたいと。規制含めてですね。と申し上げたというのは、私どもとしては、その注意情報の受け止めとしては、そうあるべきだったと思っていることをやりました。ただ、いろいろ世の中で議論があるのは、こういう注意情報というものが、結果としてどういう受け止めがあったか。空振りを恐れないっていうことで、JRさんの対応を、JR東海さんの対応も含めて、ああいう対応が行われたということですね。

 それとか、他の台風の接近に基づいて、いろんなオンの時期については、対応が行われたということも含めて、こういう災害情報を社会全体としてどう受け止めて、どう備えて、危険回避の行動を取るということが適切であるのかというのは、おそらく社会全体で、今後議論されていくんじゃないでしょうか。我々としては、それはそれとして、しっかりその議論は受け止めた上で、しかしやはり備えというものは万全に市民に呼びかけるというのは、行政の在り方としては、そうあるべきだとは思っております。

記者

 何点かお聞きしたいんですが、まず、今月上旬に開催されました、北陸新幹線延伸に関する与党PTの件でお伺いします。今回、京都新駅、3案示されましたけれども、まずこのそれぞれの案について、市長のほうに、府のほうには一定御説明あったようですけれども、市長のほうとか市のほうに対して、何か正式に御説明があったのか。もしあった場合は、それぞれ受け止めについて、お伺いできますでしょうか。

市長

 与党PTからの御説明、あるいは機構とか国土交通省からの説明という意味においては、我々は直接はありません。府のほうから伝え聞いて、情報提供を受けております。

記者

 それについては、もう外に出ているものと同様だとは思うんですけれども、それについて、今市長のほうでどのように受け止めてらっしゃるかっていうのは、お聞きすることは。

市長

 何について。

記者

 それぞれの案について。とか、工期も含めて、金額等出てますけれども。

市長

 それは従来と変わりませんけれど、まずそもそも、伝え伺った情報というものだけで、判断するに足る十分な情報があるとは思えないですね。なんで、今求められてもいませんし、じゃあ京都府として、京都市としてこの案についてどう評価するのかという風に求められた情報提供があっただけで、我々がもしそういうものを求められたとしたら、これだけの情報では何とも申し上げられないということではないでしょうか。あとは、繰り返しですから、繰り返しでも言ったほうがいいですか。

記者

 従来どおりですか。

市長

 従来どおりですけど、先ほどから御質問の中に出てる状況の中で、今の行財政の状況から見ても、2年連続収支均衡予算は達成したけれど、今後の投資というものについて、有利子というか、ある程度利息が今後必要となるという中で、投資案件について、いろんな投資案件が、私は京都市は必ずしも従来、社会的な投資が十分行われてきたまちだと思ってないので、いろんな投資案件がこれからめじろ押しなんです。京都のまちの魅力とか、安全性を高めていくためには。そういう状況の中で、この北陸新幹線の延伸、小浜から京都への延伸というものが、示された事業費の中で、それをどんな負担割合とか、そういうのも分かりませんが、どれぐらいその延伸が京都市民にとって便益があり、京都市民にとってどれぐらいの財政的負担になるのか。これ示されてもいないので、架空の議論をしてもしようがないんですけど、一般論で言えば、従来型の地元負担、事業者負担、国の負担、いろんなことを考えていく中で、一定の負担を求められるとするならば、その財政的負担というのは、京都市民に対して、私が説得できるのかどうか。あるいは、今回ルートとともに、立坑の場所とかも明らかにされましたが、じゃあ工事をしてるときに、その工事排出土を運搬するときに、どの程度の交通渋滞があって、どれぐらい交通渋滞が続くのか。ここはちょっと立坑の位置とかも見えてきましたから、これはなかなか大変じゃないかなということがあります。

 それから、当然そこで、これはもう従来からその排出土をどこに処分するかといったときの環境、あるいは経済的な負担の在り方、それから前から申し上げてるように、今回、一応工法についての説明は、簡単な説明がありましたけど、本当にそれはルートとか駅の位置とか、深さとか工法とかで、水源、京都にとって貴重な水源を毀損するリスクがどの程度あるのかということについての、これは今申し上げた4点ぐらいありますが、それの非常に慎重な検討がなければいけなくて、現時点で私にそれについて見解を求められたとしても、非常に慎重な検討が必要であろうということ以上には申し上げられない、ということではないかと思います。

記者

 ありがとうございます。むしろ現時点で、正式な説明がないことに対して、例えば国に対して詳細な説明なり、そういう場を設けて欲しいというような要望をなさるということは、特にお考えはないでしょうか。

市長

 詳細な説明を求めるという立場にあるのかどうかが、まず分からないし、京都市がね。基本的に都道府県が窓口になってるように、この種の案件は聞きますし。それを、京都市におかれた都道府県との関係における、京都市の立場を超えて説明を求めたいと、ぜひともこれは説明、教えてほしいというふうに、私は思ってはおりません。

記者

 話が若干変わるんですけれども、市長の就任半年のお話の中でも一部出ましたけれども、五山の送り火とか、先般の祇園祭のことでもそうだったんですけれども、最近こういう神事みたいなもの、宗教的なものについて、ある意味ちょっと商業化というか、かなり観光に寄りすぎて、一般の方と、観光で来られてる方とのやっぱり溝みたいなものが深まってるような状況があるのではないかなと思うんですけれども。それに関して、改めて市長の方がこの送り火の中で、いろんな御意見をお聞きになられたということでしたので、どのような御意見があったかですとか、これについて、こういう状況について、今どのように受け止めてらっしゃるか、改めてお聞きできますでしょうか。

市長

 はい。直近のことですけど、五山の送り火、私も保存会の方々、各保存会の方々に激励をさせていただいたり、お山によっては上に上がらせていただいて、火床に護摩木を積むというところも、実際ちょっと、ちょっとだけ、お手伝いというよりは見学させていただいたりしながら、本当にこういう方々が、もう真夏の本当に暑い時期にもかかわらず、この伝統文化行事をですね、文化行事というとちょっと違うかもしれませんね。これは、やっぱりおしょらいさんを送るという、極めて宗教的な行事かもしれないけど、それはもう京都の伝統文化と一体となった行事を保存されてる方々の敬意に、本当に頭が下がる思いでありましたし、これは京都の伝統の力だと思いました。そういう意味で、私も送り火を市内の普通の建物から、送り火を見送らせていただきましたが、やはりちょっとヘリコプターは、気にはなりましたね。で、私に対して、そういう声もたくさんの方々から寄せられました。事実関係、まだ全部調べられてませんけれど、どうやらもう昨年もそういう議論があったらしくて、五山送り火連合会の方で、ある事業者に対して申入れもされていたようであります。

 ただ、その申入れは、結論から言うと、今回受け入れられていなかったようでありますし、私が知る限り、むしろ皆さん方に伺いたいんですが、あれはどうも報道ヘリではなかったというふうに私は伺っておりますし、複数機のヘリが飛行されていたという風に伺っておりますし、それについて、市民というか、送り火を拝んでおられた方々から、何件か御意見を、私自身直接にも、間接にも、間接でいうと、何件かではないですが、の御意見もいただいていて、私としてはやはり、この送り火という、五山の送り火という行事が、やはり京都の中である種の伝統行事でもありますし、それからその宗教的なお盆の御先祖様に対して、手を合わせるというような行事が、静ひつな環境の中で行われるというのは、京都にとって大切なことだと思うし、多くの観光客の方々もそれに、ほとんど全ての観光客と言ってもいいかもしれませんが、それに協力をされているというふうに思うわけです。そして、今でもやっぱりできるだけ消灯をして、暗い環境の中で、送り火を拝むということが、市民の協力も行われてる中で、そういう五山送り火連合会からの申入れについて、それがかなわなかったのは、少々残念だなと思っています。

 ただ、ちょっとそれ以上どういう経緯があったのかということは、私は現時点では承知しませんので、いろんな関係者の御意見も聞きながら、基本は従来は、五山の送り火連合会からの申入れと、ヘリコプターの運航事業者さんの関係だったという風に聞いておりますが、それが円満に、市民のいろんな方々の声もちゃんと受けて、円満に来年度以降、事態が改善することを、私としては現時点では願っております。それについて、じゃあ京都市はどうするのかというようなことについては、ちょっとまだ事実関係も明らかではないので、これ以上申し上げるのは差し控えたいとは思います。

記者

 あと、今の御説明の中であった、市長御自身にも、いろんな市民とか関係者からの声があったということだったんですけれども、それはヘリコプターが飛んでいることでは気が散るとか、行事として、神事としての性質が変えられてしまうというのを、何か懸念するような声だったんでしょうか。

市長

 はい。積極的な意見はありませんね。全て懸念。騒音に対する懸念であるとか、静ひつでない環境の中で、送り火を、送り火というか、おしょらいさんをお送りするっていうのはいかがなものなのかとか、もうちょっと言うと、これがもしもっと増えていけば、事故の可能性があるんではないかというような懸念もありました。その辺は、航空局の、航空管制の安全性の確保ということだとは思いますけれど。

 どちらかというと私に対する意見は、伝統行事というものを京都市は大切にするんであれば、これについて、京都市としても何らかの姿勢を明らかにするべきではないか、という御意見がネット上もありましたし、リアルで、実際そういうことを私に直接御意見をおっしゃる方もいらっしゃいました。

記者

 五山送り火連合会からの申入れというのは、ある程度ヘリコプターの運用を控えて欲しいとか、そういった申入れということですかね。

市長

 そういう申入れであったと承知しています。

記者

 北陸新幹線の延伸計画で、一点お尋ねです。府とのやり取りのことを教えていただきましたが、そもそも延伸計画において、どのルートにするかとか、駅の位置がどうとかいうことの決定に、法的に市が、京都市が、沿線自治体が参画するという枠組みがそもそもないということについて。

市長

 おそらくアセスメントという段階ではございます。

記者

 アセスメントはありますが、はい。でもそれも、知事の意見が明記。

市長

 知事に対する意見表明ですね。意見照会と、意見表明があると思います。ただ、現実の政治の場で、そのとおりになるかどうかは、分かりません。

記者

 はい。でも、制度的には担保されてない、保証されてないということについて、どんな風にお考えになっているか、教えてください。

市長

 私の立場は大体お分かりじゃないかと思うんですけど、じゃあ、担保して私たちの意見を積極的に聞いて欲しいという風に、私が思ってるかどうかというと、そういうふうに、私どもの意見を聞いてくださいという立場ではないと。説明してくださいという立場ではなくて、ただ、まさにそれが通って、駅を作るとか言われてる自治体ですから、当然我々は、実際の事業を実施する上においては、我々の意見は尊重されてしかるべきだと思っていますし、その意見の尊重というのは、担保されていると私は思っています。なので、それ以上超えて、いつの段階で情報提供して欲しい。私が急ぐんであれば、それはどんどん求めて、もう時間がないから早く相談してくださいと言うと思いますが、私、急いでるように思えないでしょ。ですからそれは、沿線とか駅も作る、そしてルートも通る自治体として、当然我々はこれらの意見を尊重されるべきであると思いますし、それについては厳しく慎重に、私どもは判断せざるを得ないし、それについては、しかるべき時間がないと判断できないとも思います。特に水源への影響などについては、これは、きちんとした科学的な検証が必要だと思っています。

記者

 よろしくお願いします。私も北陸新幹線のPTのことで、ちょっと一点伺いたいんですけれども、市長、先ほども地下水への影響については、慎重に見ていかないといけないということを、懸念されているっていうことをおっしゃっていましたけれども、PTの説明資料では、シールドトンネルの工法を使えば、地下水への影響はないと考えられるという記載があったんですけれども、そちらについては、ちょっと市長は現段階でどういうふうにお考えになっているかという、ちょっと受け止めを聞かせていただけますでしょうか。

市長

 拝読しました。確信がありません。そのことについて確信を持てないということです。あの説明だけでは。もっと科学的な、どういうルートを通って、この工法がどういうものであって、それは工事のタイミングにおける水源の毀損なのか、その後の水源に対する影響があるのかないのかということも含めて、現時点では確信が持てないということであります。

記者

 そのあたりの説明を国に求めていくとか、そういったお考えとかってありますでしょうか。

市長

 具体的に国が、あるいは機構が、事業を前に進めたいということでお話をされれば、当然それは真剣に時間をいただいて、慎重に議論をすることが必要だと思いますが、私は、事業の早期の着工ないし竣工を求めて、国にせっつく立場ではないので。それは意見照会があれば、どういうルートで、どういう工法で工事を行うかということについての詳細な情報と、それを受けての京都市としてのきちんとした環境影響評価、あるいは便益をどう測定するのか。あるいは財政面、その他の水源以外の環境面での負担、交通渋滞への影響というのを慎重に議論しなければ、簡単には結論は出ないと思います。っていうか、非常に慎重な議論の結果、一定の結論を得たとしたら、それは、我々としてしっかりと主張しなければいけない局面もあるかもしれません。

記者

 全く話題が変わるんですが、夏の甲子園で、京都国際がちょうどベスト4まできました。明日には準決勝が行われますけれども、何かエールがありましたら。

市長

 頑張って欲しいと思いますね。もう、それにつきます。我が母校と言うか、某知事の後輩の野球部も頑張ってくれましたし、それを上回る戦力で、京都代表が出てるわけですから、何としても、深紅の優勝旗を京都に持ち帰っていただきたいと思いますね、ここまで来たら。はい、応援をしております。

記者

 ごめんなさい。昨年度の一般会計の実質収支が過去最高の88億円になりました。で、先ほど半年の計のところで、収支均衡予算はぎりぎりの水準の黒字だと思っているとおっしゃられてます。けど、88億円、市民から見たら黒字で、何か還元してもらえるのかな、みたいなことを多分考えたりとかすると思うんですけど、この88億円の、改めて市長としての評価であったりとか、今後これをどうするのかみたいなことについて、見解を伺えればなと思います。

市長

 はい。過去債務もありますね。ですから、もしある程度余剰があるならば、過去債務への返済を積み増すということも考えなければ、いろいろな使い道の候補としてですよ。ですし、今後のことを考えていくと、明らかに金利の上昇とか、人件費の上昇。例えば、人事院勧告を受けての人事委員会勧告、これは遡及的に適用されますから、例えば今年度で言うともう人件費が膨らむということが、おそらく想像以上に膨らむということも見えてるわけでありますね。で、先ほど申し上げた、いろんな事業を部分的に、この令和6年度予算で、休止していた事業を復活させているものもあります。そういうものの負担、あるいは今年度負担とか考えてみると、実はその黒字幅というのは、実質的に本当にその黒字が維持されるのかという意味においては、本当にぎりぎりのところだと思います。昨年度の国民健康保険の繰出金というのも、ぎりぎりの段階になって、京都府から30億円あまりという繰出金の増加を求められていて、京都市は、それを基金を取り崩して対応するということで、そのタイミングがちょうど選挙のタイミングでしたから、まさかその国民健康保険料の引き上げというわけにはいかないという判断の中で、そういうことをやってきていて、そこも基金がもう底を尽いています。そういう意味では、表面上ぎりぎり収支均衡予算達成、収支均衡決算を達成できたというものの、実際のところの黒字幅っていうのはほとんどないんじゃないかなと、私の実感としては思っています。もうちょっと慎重にどう処理するかということは、検討しなければいけないと思っています。

記者

 すいません、長々。ちょっとこの機会に。まち柄という言葉を、今日も。

市長

 造語ですけどね。造語ですけど。

記者

 お国柄とか人柄とかいう言葉は一般的なんですけど、まち柄という言葉を原稿になかなか書けなくて、今まで困ってたんですけど。まち柄という言葉は、松井市長はいつぐらいから、自分の造語として使っておられたのでしょうか。

市長

 いや、割と就任直後から言ってると思いますけど。

記者

 その前は。

市長

 実は、国柄というのも、お国柄という言葉あるけど、私は割と国柄っていう言葉をかつてから使っていて、橋本龍太郎先生の行政改革のときから、国柄をどう見直すかっていう、それは、あのときは、ちょっと情緒的に国の形っていう言葉を使ったと思います。司馬遼太郎さんの言葉を引いたと思いますけど。そういう国としてどういう特徴を持った国なのか。どういう国家としての、国家とか国民としての個性をどう認識して、どういう国柄を目指すのかということを、私は従来から割と、国会議員とか役人時代から言っていて、それと同じように、京都市民というのは、京都市の特性、京都というまちの特性をどう捉えて、どういうまちとして、これから京都のまちは生きているのか。あるいは京都市民は、どういうまちの一員として、このまちに暮らしていくのか。このまちで仕事をしていくのかということを問い直したいという意味で、まち柄という、人柄と同じように、どういう人間、どういう人柄、あなたはどういう人柄ですか、どういう人柄の人間になりたいですかっていうのと同じような議論で、国柄、あるいはまち柄という言葉を使っているんですが、何が京都のまちに似つかわしいのか。歴史を振り返って。あるいは、でも似つかわしく、従来は似つかわしくなかったかもしれないけど、これからまち柄を、ちょっとこっちの方向に変えてみませんかということを、京都市民がお互いに意識し合って、京都というまちの成り立ちとか、まちとしてどういう価値を大切にするのかっていうことを、見詰め直すべきではないかなと、ちょうどそういう時期に至ってるんじゃないかなと。そういうタイミングで、市長の役割を担わせていただいてるのは、そこをもう一回市民に問いかけてみたい。

 だから、今の話も同じですよ。北陸新幹線を通す。そのことに、事業として価値を見いだして、ある程度の負担があったとしても、北陸新幹線を通そうという、そういうまちですか、という。北陸新幹線に国益的な便益があることは間違いないですよね。でもこのまちとして、そういう事業を呼び込んできて、そういう事業による便益を、多少負担があるとしても、まちとしてそれを受け入れる、それを推進するっていうまちですか。どんな投資というものが、このまちにふさわしい投資でしょうか。例えばどんな町並みを維持するような景観政策と、それから経済の両立が、このまちとしてふさわしいでしょうか。どんな観光客の呼び込み方がこのまちとしてふさわしいでしょうか、ということを、やっぱり私一人ではなくて、市職員あるいは市民の皆さんとお話をする中で、大きな合意形成をしていきたいという、そういう思いなんですよ。あんまり、書きにくいですね。

記者

 まち柄という言葉は、松井市長自身の造語ですか。

市長

 造語というか、どっかで誰かが先に使ってるかもしれませんけど、私はそういうまちの今後のキャラクター、キャラクターというか、まちの特性、こういうまちとして生きるということを、まちの、京都市民、あるいは京都市民以外のステークホルダー、ここで働いてる滋賀県民も大阪府民もたくさんいらっしゃいますよね。そういう方々が京都のまちで暮らしていたり、京都で仕事をしてる人たちが、京都ってこういうまちであってほしいよね、とか、ここはこうなったらもっとすてきなまちになるのに、というような、そのまちの将来像ですよね。将来像っていうのは、しかし過去と無縁には存在しないということじゃないでしょうかね。

記者

 分かりました。

記者

 すいません。また全く関係ない話なんですが、今年米不足が全国的に問題になってるんですが、京都市内の学校給食とかって、特に影響が出る可能性っていうのは、今後あたりとか、そういったお話って出ているんでしょうか。

市長

 すいません。ちょっと勉強不足で、確認しておきます。はい。影響はあるかもしれませんね。ちょっと確認します。すいません。ただ、農家にとっては、農家の皆さん方にとっては、もうずーっと米価が、米価っていうか、昔みたいな食管制度がないからあれですけど、やっぱりお米の価値というのが見直されるというのは、ある意味では、大切なことかもしれませんよね。作っても作っても生活できないということではなくて、あるいはお米というものをもう少し、その値打ちというのを我々が噛み締めるっていうことは、必要かもしれませんよね。もちろん、乱高下して、それが国民生活を圧迫するというようなことになれば、大きな問題かもしれませんけど。ちょっと、米作についての意識が、我々自身も、主食であったり、日本の社会の成り立ちとして、稲作というものがどんな意味合いがあったのかということについて、再認識する一つの機会にしなければいけないのではないかと、個人的には、最近思っているところですが、おっしゃった点は、大切なことなので、ちょっと確認しておきます。はい。

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