市長記者会見(2024年6月17日)
ページ番号329048
2025年2月5日
「京都市特別顧問の任用」及び「世界遺産 元離宮二条城本丸御殿の公開」について、京都市長が記者会見を実施しました。
※発表内容は、令和6年6月17日時点の情報です。
ピックアップ動画
記者会見動画
(発表案件1)京都市特別顧問の任用について
皆さん、こんにちは。お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
今日は、いま広報課長からお話がありましたように発表案件が2つございますので、その1つごとにお話を切って御質問を受けたいと思っております。
最初に、お手元の資料、発表案件の1つ目でございますが、京都市特別顧問の任用について、御説明申し上げたいと思います。
先般の市長総括でもお話を申し上げましたが、7月1日から5名の方々に京都市特別顧問として任用し、重要政策の推進に御協力いただくことにいたしました。
資料1ページ目を御覧ください。今回特別顧問を設置した目的でございますが、私が目指す「突き抜ける世界都市京都の実現」に向けては、市役所外の専門的な知見を有する方々と積極的に協働し、私自身もそうですが、市役所全体が政策に磨きをかけていくことがとても重要だと考えています。本市ではこれまでも、例えば企業誘致・DX推進など民間企業で御活動いただいている方々に成長戦略推進アドバイザーとして御協力いただき、専門的かつ先進的な知見を生かしてまいりました。また、私が市長に就任して以降、第一線で活躍しておられる外部の方々と職員との対話の機会も大きく増加するなど、職員が多様な知見を取り入れて課題解決に取り組む機運が広がりつつございます。こうした取組に加えて、これからの都市経営や重要政策の推進等について御助言をいただくため、私がこれまでの自分の人生の中で関わらせていただいた中で、各分野において特に卓越した見識をお持ちと私が考える方々に特別顧問として御協力いただき、本市の特色と魅力を生かしたまちづくりをより一層進めたいと考えております。同時に職員の中長期的な育成や組織風土の改革にもつなげてまいりたいと考えております。
続いて、2ページ目を御覧ください。特別顧問として御協力いただく方々を御紹介させていただきます。本市の重要政策を推進する上で、私自身がこれまで関わらせていただき、その取組やお考え方に共感した各分野の第一人者の方々の中から5名にお願いいたしました。5名の方、それぞれが幅広い御見識、そして人格も含めて私が信頼する方々でございますが、主に御担当いただく分野について表記させていただいております。
内閣官房参与を現にお務めで、元首相補佐官・首相秘書官として御活躍いただいた今井尚哉様には、文化首都を支える強い経済の復活という観点から、主に経済産業分野を御担当いただきたいと思っております。
次に、元内閣官房内閣人事局人事政策統括官の植田浩様には、本市の財政・人事制度など、地方行政の幅広い分野を御担当いただきたいと考えております。
その次、京都大学 人と社会の未来研究院教授の内田由紀子様には、心身とも良好で満たされた状態であるという意味、ウェルビーイングの観点から本市の政策全般について御助言をいただきたいと考えております。
その次、元文部科学大臣補佐官の鈴木寛様には、主に教育や公共政策の分野において御助言をいただきたいと考えております。
最後に、劇作家・演出家の平田オリザ様には、魅力のある文化首都・京都の実現に向けて、主に文化芸術分野あるいは包摂社会の在り方について御担当いただくことにいたしております。
任命者の略歴等については、3ページ以降に付しておりますので御覧いただければと思います。
なお、ここで特記する方が2人いらっしゃいまして、これまで専門委員として市政に御協力いただいている山極寿一先生、そして今は京都コンサートホール館長をお務めの鷲田清一先生。このお2人は特に私が尊敬申し上げる方でありまして、現に、いま京都市の職をお務めいただいてますので新たに特別顧問という発令はいたしませんけれど、文化を軸としたまちづくりや、生物多様性などの専門分野にとどまらず、市政の幅広い分野において御助言いただきたいと思っております。
さらに、冒頭申し上げました成長戦略推進アドバイザーの方々も、非常に若くて先進的なお考えをお持ちなので、この方々にも御協力をいただいて何とか市民の皆さんが「突き抜ける世界都市京都」ということで、市政に非常に期待を持てる。そして、わくわくするまち京都の実現に向けて、いろんなアドバイスをいただいていきたいと思っております。
私から、最初の発表案件1に関しては以上でございます。発表案件1に関する質疑応答
記者
成長戦略推進アドバイザーの件ですが、アドバイザーとの違いというのはどこにあるのかということと、それぞれ5分野において御助言いただくということですが、この5分野はそれぞれどういうことが課題になっているのか、どういう解決を目指していくのか教えていただけますでしょうか。
市長
今までの成長戦略推進アドバイザーは、本当に現場の市政の実務者も含めて、非常にディスカッションの分野から、オンラインやいろんな形、対面・オンライン含めて非常に刺激をいただいておりました。これをもっともっと私自身もアドバイザーの方々に交流する機会は増やしていきたいと思いますが、今回の5人の方々は、もうちょっとシニアな方々が多いですし、おっしゃっているのは若干分野的にかぶっているところもあるんじゃないかというところはありますが、それはちょっとレイヤーが違うところで、大所高所からアドバイスをいただきたいと思っています。
そして経済産業について申しますと、やはり中央とのパイプといいますか、より日本全体で見たときの産業政策的な視点で、京都のことはやはり市役所が本来情報は持ってますから、むしろ全日本的に、あるいは世界の中での日本ということで見て、これからの産業政策の在り方について非常に見識のある方について、経済産業について、より大所高所から、そしてスケールの違うアドバイスをいただきたいと思っております。
それから文化芸術、これは、私は京都というまちは、それこそ「文化首都をつくる」と。この標語が首都文化について首都とか地方都市とかいうことはないので、私が言いたいことは、やはり文化庁も来られたし、文化の日本というか世界の中核をつくるという意味において、例えば平田オリザさんはヨーロッパでも大変御活躍ですし、日本国内はもとよりヨーロッパ、海外の視点も含めて、どういう文化都市をつくっていくのか。あるいは本当に包摂性のあるまちをどうつくっていくのかということについて、いろんな御経験もありますし、アドバイスをいただきたいと思います。
教育という意味では、これは、鈴木寛さんは、まさにコミュニティスクールの生みの親のお一人ですし、それから彼は実は教育だけではなくて、文化面あるいは医療であるとか、今日はたまたま滋賀県のあるスポーツ大学の次期学長と私お会いしたのですが、鈴木寛さんなども含めてスポーツ振興ということもしっかりやっていきたいと。いろんな各面において、広く言えば文化でありますが、あるいは文化や教育ということでありますが、これは非常に日本のオピニオンリーダーのお一人だと思っております。
植田浩さんは、これはやはり地方行財政に通じて、私も長年お人柄もよく存じ上げていて、他の府県で副知事をお務めになられた御経験もあります。それから、出来上がったばかりの内閣人事局で人事政策統括官もお務めで、これから本当に地に足がついて、なおかつある程度理想像を求めていく中で、地方行財政、人事や財務も含めて通じておられますし、京都府も若い頃に地方課長とか財政課長をなさっていますので、これからの府市連携などについても、いろんなアドバイスをいただけるのではないかと思っております。
内田先生は、これはもうウェルビーイングという概念自体の日本のトップランナーでありますし、これは京都のまちが、例えば職員のウェルビーイングということも考えなければいけないです、私の立場で言うと。それから京都のまち自体の在り方として、やはり人間性というものを生かしながら、このまちが、いかに市民の皆さんにとって、あるいはここのまちで活躍する人々にとって、働きがいのある、そして人間性のあふれたまちであるかということについて、各論から大所高所のビジョンづくりまで含めて、いろんなアドバイスをいただきたいと考えております。
全体を通じて、内田先生は、私は比較的お付き合いは短いのですが、これはもう日本の第一人者で、そのほか4名の方々は私長年お付き合いをしていて、その政策的な実績はもちろんですが、御人格とか私との信頼関係も含めて、非常に私が信頼する人物、内田先生も含めて、この5人の方々はお話しする中で、その各分野におけるオピニオンリーダーであることはもとより、人格的にも非常に私が信頼する方々なので、特に私としては個人的には市長としてのアドバイザーという役割は果たしていただきたいし、ただ最初に申し上げたように、市長だけのアドバイザーではなくて、これはほかの京都市政にも通じて言えることですが、それは私のアドバイザーというのは、ほかの副市長や、あるいは理事者、さらにいえば、なかなかこの5人の方々は、そういう普通の一般の職員まで日常的にアドバイスいただけるかというと御多忙さから見て難しいかもしれませんが、ただ私が個人的にこの方々と内密に相談して物事をやるというよりは、私がいろんなアドバイスを受けるときには幹部職員に同席いただくとか、ものによっては一般の職員の方々にもその見解を聞いていただくような機会を通じて、この京都市市役所全体の将来の人材育成とか将来のまちづくりのビジョンの形成に寄与していただきたいと思っているところであります。
長くなりまして申し訳ありません。
記者
この5人の方、内田先生はお付き合いが短いということですけども、それぞれの方と、どういう経緯で知り合われたのでしょうか。
市長
今井さんとは、私が新入生というか社会人の1年生のときから存じ上げている関係で、通商産業省で机を並べたことも何回かあります。要するに何年間か隣の席で。僕が通商産業省から官邸に出向するときも彼が送り出してくれましたし、いろんな意味で本当に長い付き合いです。民主党政権のときも実はあまり有名ではありませんが、民主党政権のときも実は彼は、あのときは仙石官房長官であったり、仙石さんは官房長官になったり下野したりいろいろありましたが、いつも今井さんは民主党政権でもフェアに民主党政権について支えてくれた。当時は資源エネルギー庁の次長でいらっしゃいましたけど、そういう意味では私が政治家になってからも与党・野党関係なくアドバイスをしていただいた方ですし、植田さんとはもう官庁訪問のときからのお付き合いです。だから入省する前からのお付き合いです。
鈴木寛さんは、彼が入省して、通産省でいうと先輩と後輩の関係でしたけど、これも長い。ほぼ参議院議員としても同じタイミングで参議院に出て、同じ時期参議院議員を務めて、その後たまたまですけど慶応義塾大学で教員としてもずっと長年10年近く同僚として仕事をしてきました。
平田オリザさんとも20年来のお付き合いで、政治家時代も私の勉強会にも来ていただいたことがありますし、この間ずっと、それこそ鳩山内閣においては内閣官房参与もお務めいただきました。私が総理のスピーチを書くときに一緒にスピーチライターで、そういうスピーチとかコミュニケーションの在り方全体を議論した戦友、いろいろ御迷惑もかけましたけども、今でも、あえて御本人は肩書として大学の学長の肩書は出しておられません。公立大学ですから、あくまでも劇作家・演出家という肩書になってはいますけど、今も私は彼がやっている豊岡にある兵庫県立大学法人の芸術文化観光専門職大学を何度もお訪ねをしておりますし、豊岡演劇祭も第1回からずっと連続して行っていて、そのまちづくりに対する思いとか社会の在り方についての思いについて、もう20年来いろいろ共感するところは多い方々です。
記者
それぞれ任期はどのようになってますでしょうか。
市長
基本的に1年で、別に1年の時限というよりは1年更新の職員ですので、制度的には特別職非常勤公務員ということになりますので1年更新です。
記者
実務的なところですけれども、給与体系等はどうなっているのでしょうか。
市長
給与は恐らく、こういう特別職の臨時職員の上限しか出せないので、1日来てもらった日に確か2万円とか2万2,000円とか、それぐらいをお支払いするぐらいなので、席も設けません。そこは大切なことで、要するに日勤で来ていただいたときに謝金をお支払いすると。謝金という表現がいいのかどうか分かりませんが、そういう形でお支払いするということで、定額の給与をお支払いするという前提ではいません。ただ制度的には、恐らくそれはある程度繰り返されれば、ある上限の金額とか上限のキャップはあると思いますが、いわゆる謝金程度の御礼しかできませんし、席を設けるというものではありません。
記者
内田さんは、お付き合いが短いということでしたが、あえて内田さんも加えられて5人にされた理由と、あとウェルビーイングという概念を、市長はどんなふうに捉えておられるか教えてください。
市長
内田さんは、いろんな方々が、もうこの方の話は聞けという御推薦が多方面からあって、市役所に来ていただいて、お話を1時間半ぐらいさせていただきましたし、御住所もいただきまして、やはりこの分野で京都にお住まいで、京都で子育てもされている方ですし、京都大学のもちろん先生ですし、それからやはりいろんな意味でソフトな女性の視点もお持ちですので、ただ別に男女という比率で選んだわけでも何でもなくて、ただ内田先生の感性が、非常に私としてはこれからの京都市のビジョン描きについても、あるいはいろいろな市政運営に当たっても、このウェルビーイングという視点自身がまだまだ新しい視点なので、それを何とか京都市政に織り込みたいということで、お付き合いは浅いけれども、この方をまず思いついたというふうに言うべきかもしれません。要は、先ほど申し上げましたが、やはり心身ともに良好で満たされた思いで仕事をするということは、例えば市役所の職員、私たまたま昨日、某放送局の番組に出させていただきましたが、やはり市役所の職員が市民の皆さんのいろんな要望を受け答えするときに、市役所の職員自身がまず心身とも良好な気持ちで市政運営をするということはすごく大事だと思います。だから非常に日常的なことでいうと、市役所の組織・文化というものをこれからさらに前向きに発展させていくためにもアドバイスをいただきたいし、それから私自身が思ったのは、これからの京都のまち柄をどう描くかという、いわゆる総合計画の計画策定にこれから着手するときに、京都というまちはどういう、やはり人々が住みやすい、そして働きやすい、働きがいのある、そういうまちをつくっていくというのは、やはり基本の基だと思っています。そのときにじゃあどんなまちにしていくのか、これは非常に総合的な視点ですが、その幅広い観点で豊富な御知見をお持ちですし、私どもにプレゼンテーションしていただいたときも非常にそれをエビデンスベースでどういうまちづくりが本当に人々の幸福感を高めていくのかということについて理路整然とお話をいただいたので、これはもうこの方しかいない。少なくとも私が思いつく限り、この方しかいないなと思って、これからのまちづくりにおいても、それから市役所のこれからの組織風土をさらに健全に発展させていくためにもアドバイスいただきたいと思って任用させていただきました。
記者
5人の方の顔ぶれを見ると、5人中3人の方が官僚出身の方で、若干バックグラウンドが似ている方が多い特徴がありますけれども、どういった意図を持ってこの5人の方を選んだのか、人選に幅を持たせるために意識されたことなどありましたら伺いたいです。
市長
正直言いますと、すずかん(鈴木寛)さんは官僚という、私のキャリアもそうですけども、私は確かに官僚出身と言われますけれど、だけど私は官僚もやり政治家もやり大学の教員もやり、すずかん(鈴木寛)さんもそうです。だから官僚出身というよりも、彼自身の思いとか、これまでやってこられた教育や文化・スポーツ、あるいは医療について、幅広い識見というのは、彼は官僚という枠ではないと思います。一番官僚という意味で、その経験を生かしたいと思うのは植田さんで、これは官僚というのも、霞が関の官僚という意味じゃなくて、彼がいかに地方行財政に通じているか。あるいは地方自治体経営に関わってこられたか。私が存上げている限りでいうと京都府・千葉県・大阪府、それぞれでやはり京都府でいうと、京都市ももちろん市には住んでおられたし、京都府庁にお勤めでしたけど、地方課長などをされていて他の自治体のこともよくお分かりです。京都府域の中における市町村のこともお分かりですし、だからこれはいわゆる霞が関の官僚ということよりは、行政経験を持っていて、地方行政にも、そして霞が関の動向にもお詳しい、他の地方の動向にもお詳しいという意味で、なかなか植田さんのような方はおいでではないと思います。直前には駐ルーマニア大使もお務めで、国際的な視点もお持ちということもあります。
今井さんは、これも今井尚哉さんを普通の官僚出身というふうに見る人はもういなくて、これは本当に日本の権力の中枢、政治の中核にいらっしゃって、いろんな修羅場、これはもう内政だけではなくて外交内政、いろんな修羅場を乗り越えられてこられた方で、私とは本当に通産省における、ある種の戦友のようなお付き合いもさせていただいた方ですので、純粋に官僚出身でどうこうというような人脈関係で登用した方は一人もいらっしゃいません。御承知のように今日もお並びですけれど、京都市には霞が関から委任をさせていただいている副市長もおいでですし、副市長以外の幹部にも霞が関からおいでいただいているので、霞が関というパイプということであれば、それは、私はそこをしっかり、その知見を我々がしっかり酌み取らせていただくというのがまず本義であって、この方々に出身のバックグラウンドで、もともと出身省庁との関係とかいうようなことを期待しているわけではなくて、あくまでも、その人格・見識というものに期待しているということであります。
(発表案件2)世界遺産 元離宮二条城本丸御殿の公開について
(松井市長)
続きまして、発表案件の2つ目に移らせていただきます。
世界遺産「元離宮二条城本丸御殿の公開」について申し上げます。
年間200万人近い入城者数を誇る元離宮二条城ですが、その二条城が世界文化遺産に「古都京都の文化財」と指定されてから、ちょうど30年になる今年ですが、本丸御殿の公開が始まり、さらなる魅力を体感いただけます。本日はその内容について発表いたします。
まず、保存修理を終えた本丸御殿をいよいよ今年9月から18年ぶりに公開させていただきます。そして市民の皆様には公開に先立って内覧会を開催させていただきます。
以降、本丸御殿の見どころを御紹介申し上げます。
本丸御殿は、江戸時代から近代の宮廷文化を伝える貴重な建物です。現在の本丸御殿は明治天皇の命によって桂宮家の御殿の主要部分を移築したもので、江戸時代の宮家の御殿で、これほどの規模を残しているものは他にはなくて、重要文化財に指定されております。大正天皇や昭和天皇が皇太子時代に宿泊所として使用されていた建物でもございます。本丸御殿は阪神淡路大震災の際に建物にゆがみが生じたため公開を中止し、平成29年度から約15億7,000万円をかけて耐震補強や障壁画の修理等の保存修理工事を行い、昨年度工事が完了いたしました。御殿内には耐震補強の鉄骨柱や構造壁を設置しております。また障壁画や照明の修理を行っております。
見どころの1つ目は、宮家にふさわしい格式ある空間です。格天井や金箔張りの御書院・一之間のほか、桂離宮に通じる卍くずしのデザインの欄間など、桂宮家としてのつながりを感じさせるものになってございます。
本丸御殿の一番の見どころは、237面あります障壁画の原画であります。狩野永岳をはじめとした江戸時代後期に京都で活躍した様々な流派の絵師によって描かれた障壁画は本当に美しく、私も先月末に実物を拝見させていただきましたが、歴史的価値を感じさせるものであります。版木を使って模様を刷った唐紙や、近代の宮廷文化を伝えるシャンデリアも魅力の一つであります。
ここで、歴代天皇のエピソードを御紹介しますと、明治天皇は本丸御殿からの眺望を非常にお喜びになられ、本丸庭園の作庭を指示されました。大正天皇は皇太子時代に、約10回も滞在され、新婚旅行でも宿泊されています。昭和天皇も、やはり皇太子時代に約10回滞在され、二条城周辺に飛ばされた飛行機を庭園から御覧になられました。これら当時の様子を想像しながら御覧いただくと、より一層本丸御殿の魅力・歴史的な価値というのを体感いただけるのではないかと思います。
本丸御殿は9月1日から公開を開始いたします。ゆったりとスムーズに観覧していただくため、事前予約・時間指定制で15人程度ずつの少人数観覧になってございます。チケットはWEBチケットを二条城のホームページより購入していただきます。観覧料金は一般1,000円、中高生300円、小学生200円という料金設定をしております。京都市民の皆様には、市民限定の年間パスポートを、これまでの金額に据え置いて本丸御殿も御覧いただけるようになっております。観覧ルートは玄関から入り、ガイダンスルームで本丸御殿の魅力を伝える映像を御覧いただき、御書院・御常御殿・台所及び雁之間の順に御覧いただきます。非公開のエリアも含めた公式ガイドツアーやMICEの利用等についても検討中であり、一般観覧の状況を踏まえて適切な方法で実施してまいります。
9月の公開に先立ちまして、京都市民の皆様を対象といたしました内覧会を開催したいと思います。開催期間は8月8日から22日の15日間で、入城料本丸御殿と二之丸御殿の観覧料ともに無料とさせていただきます。申込みは6月18日から開始いたしましたので、ぜひ多くの方々にお申し込みいただきたいと思っております。
二条城は徳川家康による築城、大政奉還の舞台等の武家文化の歴史だけではなくて、今回の本丸御殿に代表されるように、皇室の別邸であった離宮時代、大正天皇の即位の大典等、様々な歴史や背景を持った貴重な文化施設でございます。将軍の御殿であった二之丸御殿が観覧のメインでしたが、優美で繊細な宮家住宅である本丸御殿を公開できるようになったことで、これまでよりもさらに深く広く二条城の多彩な魅力を感じていただけるのではないかと考えております。
今後も文化財の保存と活用の調和の取れた公開を目指すとともに、京都の文化の魅力を全国そして世界へと発信していきたいと考えております。
私からは以上です。発表案件2に関する質疑応答
質疑なし
一般質問
記者
北陸新幹線の与党整備委員会がまもなく開かれるということで、政府は小浜ルートで決めているわけですけども、一部米原ルートがいいんじゃないかという声もあがっていまして、ルートをどうするかという話も出ています。こういった状況を市長がどう見られてるかということと、非常に課題のある事業だと思います。地下水の問題とか土砂もです。この辺り、どういうふうに政府に相対していかれますか。
市長
はい。先般、市会の代表質疑でも、そして市長総括でも、この質疑が出まして、そのお答えは皆さん御承知だと思いますが、基本的にそれと変わらないのですが、今まさに機構が環境影響評価手続を進められていまして、どんな案が出てきたとしても、その案に対して市長として、現在そして未来の京都市民への責任を果たしていかなければいけないと思っておりますので、市会でも申し上げてきましたけれど、市民の暮らしや生業というものにどういう影響があるか。それから財政的な負担、環境的な負担、もうちょっと環境をかみ砕いて言えば、それは財政とも関わることでありますが、いわゆる例えば工事中の建設発生土というものをどういうふうに処理して、どこで受け入れていくのかと。それにはもちろん費用もかかりますし、それから工事は相当の期間に及ぶと思います。その相当の期間に及ぶ工事期間中、それが京都市内の交通にどのような影響があるのかということも考えなければいけないと思います。
それからやはり環境の中の第一は水源でありまして、どのような工法・ルートをたどるかによって、京都の豊かな文化を支えてきた水源に対してどんな影響を与えるのか。今申し上げた財政もそうです。ほかの京都の関連の施設でも、やはり残念ながら今までの計画をしていたけれど、資材や人件費の高騰によって、その事業者の方が辞退されるような案件も最近も出てきています。この規模の違う、マグニチュードの違う事業ですから、それが本当に財政的な負担が今後どうなっていくのか。しかも相当ロングスパンな話です。ですからそこもしっかり見通して、今まで申し上げてきた負担のことばかり申し上げましたが、もちろんそれは一つの国策としてのプロジェクトですから、大きな、それこそ安全保障面での効果も含めて大きなもちろん効果もあるわけで、その効果と負担というものをしっかり京都市長として、市役所の職員ともしっかり分析して、それが市民に対してきちっと説明できるというものでなければ、私は、それは前には進めていけないと思っています。
ですから当然のことながら、今いろいろ与党のPTなどで、どういう議論がされているのかについて私が今あれこれ言う立場にはありません。それはもう私が前に市会でも申し上げましたが、私が市長に就任するはるか前に議論があって、それこそ平成28年の12月に一定の成案を見て、そこからの議論が進んでいるわけですから、そこに私が立場を戻して議論をするということは、それは私の立場上できない話でありますが、今申し上げたように、どういう案が出てきたとしても私の軸は一つであって、その国策的なことも含めて、便益というものは京都市にとっての便益はどのようなものなのか。京都市にとっての負荷とか課題というのがどういうものなのかということをしっかり精査をし、それは私の属人的な知見だけではなくて、市役所の専門的なスタッフはもちろん、有識者の先生方の御意見も聞かなければ分からない点があるとしたら、そういう問題についてもしっかり精査をしなければ私は答えを出すことはできないと思います。ですから、今そのルートについていろいろ国政や北陸の地域において、いろいろ議論があることについて、今私がここで逐一それについてコメントはいたしませんけれど、案が出てきましたら、それに対してしっかり精査をするのが私の責任だと思っております。
記者
話変わりまして、京都市が観光バスの路上滞留に対する市民の情報を募っておられますが、これに対して監視社会につながるんじゃないかとか、観光客と市民の分断につながるんじゃないかという懸念の声がありますが、そういった声について市長の考えをお願いします。
市長
今おっしゃった懸念は、ちゃんと重く受け止めなければいけないと思います。私が思っていることは、むしろ、その分断を生まないように。観光客に対して、市民の方々がその観光バスの滞留含めて非常に市民生活が圧迫されていると。前からそういう声があるわけで、これは前からそれについてちゃんと巡回して、しっかり我々として懸念を伝えるということについてはやってきたところですが、それについてやはりどうしても、これは観光事業者・運送事業者にもいろいろ話をしていますが、必ずしもそういう協会に加盟されてない方、事業者もいらっしゃいます。ですから我々のいろんな巡回活動が追いついてないというところがありますので、市民の皆さんに情報提供していただければ、私どもとして、市独自の立場でそれについて注意喚起をしていきたいという思いであります。
ですから何か個人情報を管理して、時々それは警察と連携するんじゃないかというような懸念もあるようですが、それは一切ありません。むしろ市独自として、ちゃんと情報提供いただいて、それをきめ細かく今の路上滞留という問題の改善につなげていきたいという思いでありますので、我々として監視するとか、その情報を別組織に提供するというようなことを考えずに、市独自の取組として、むしろ市民のいろんな不満というものを解消して受け止めて、観光事業者の方に適切に情報提供し適切化していただく、改善していただくというための取組というのが私の認識であります。
記者
再確認ですが、府警とかにその情報を提供したり、そういうのは考えておられないということでしょうか。
市長
現時点でそういうことは考えておりません。
記者
代表質問の中で、市バスの均一区間の運賃改定を回避すると述べられましたが、具体的に回避の期間はいつまでになるのでしょうか。
市長
それは難しいところです。今の市民の方々も非常に、地域の足のことですから、なかなか今私どもとしては、できるだけ当面の間は回避したいということですが、この間市会でも御議論いただきましたが、公共交通というのは市営交通だけで構成しているわけではなくて、民間のバス会社さんも重要な一翼を担っていただいておりまして、今回路線維持のためのある種の補助を創設しましたが、なかなか路線維持のための最低限のことをお願いするための財政的な出動をしていますけど、これを全部値上げ回避するほどの、財政投入するだけの財政力がないのが正直なところであります。そういう状況の中で、やはり燃料費が高騰している、人件費も高騰している、いろんな資材・車両整備の価格も高騰している中で、なかなかそれを我々が吸収するというところまで行かないということで、今回西京区を中心とする均一区間以外で先導的な値上げもあったわけですし、我々もそれは国土交通省の通達の精神に準じて、それに対して追随したわけでありますが、そういう状況がある中で、本当にいつまでこの値上げを回避できるかというのは、私の今の気持ちとしては、できるだけ回避したいが、しかしかといって、じゃあそのことで関連する民間事業者まで含めて、どこまでこれがもつのかというところは自信がないし、それから国からの助成金も、今回も坂越副市長が先頭に立って、またいろんな市会の先生方にも国への働きかけをしていただいて何とか確保しましたが、じゃあ来年度以降の財政状況の中で、それが確保できるのかということになってくると、正直言って今簡単に見通せる状況じゃない。ということで、当面は、私は少なくとも均一運賃区間については、値上げは回避し続けたいと思いますが、それがいつまで続けられるかは正直なところ今の社会情勢・経済情勢の中で確たるお約束はできないという状況であります。あまりお答えにならなくて申し訳ないですけど。
記者
市長の公約の中で、均一区間の値上げはしませんという話があると同時に、いつまで値上げを回避できるか、回避したいけど社会情勢許さないということになってますけど、市長の公約の中、つまり1期の中で、難しいからといって値上げに踏み切るという可能性も残っているというか、それも選択肢の中にあるということでしょうか。
市長
私は今の時点で、できる限りそれは少なくとも京都市が主導的に価格について判断できる限りにおいては、できるだけ公約に誠実でありたいというふうに思っております。ただ、今の社会経済状況の中で本当にそれはじゃあ任期の4年間それが続けられるかと言われてみれば、それはできるだけ努力をしたいという以上に答えられないのが私の現時点での思いでございます。
記者
先日コロナのコールセンター業務等で関係した2名が京都府警のほうに逮捕されましたけれども、市長もコメントを出されておりましたが、改めてそちらの受け止めと、今後行政として業務委託する上でチェック機能をどういったところを果たしていくことが必要とお考えか、お聞かせください。
市長
もうコメントしたとおりで、これは厳粛に受け止めてますし、厳正に対応しなければいけないと思っております。全体として、ほとんど多くの市役所の職員、関連した職員も含めて、市政には誠実に対応しておりますが、一部こういう事態が出ているというのは本当に残念ですし、しっかりと引き締めるところは引き締めて対応していくのが市長の仕事と思っております。
記者
来月には祇園祭も控えておりまして、市長として、くじ改めですとか、そういったところで初めて臨む機会になるかなと思いますので、そちらはどのような思いで望まれるのかなという部分と、一方で、プレミアム観覧席等で様々な声が今聞かれているところですけれども、市長としてのお考えみたいなところをお聞かせください。
市長
はい。祇園祭というのは本当に、特に私は町なかで生まれ育った人間ですので、これはもう京都全体の祭りであると同時に神事でもあり、そしてそれは神事を取り巻くいろんな山鉾保存会の方とか鉾町の方々とかが市民一体としてつくり上げているお祭りなので、私も市長としてその役割の一旦を担わせていただくのはとても光栄なことだし、わくわくしております。
今回プレミアム観覧席について、野村宮司様からああいう御意見をいただいたということは、これは謙虚に受け止めなければいけないと思います。一義的には観光協会の問題でありますが、それは私のほうからも、やはりこれはそれこそオール京都でつくっている取組なので、コミュニケーションにおいてちょっとおろそかな部分があったのではないかという話はさせていただいて、それは観光協会としても、そこのコミュニケーションのところもやや不備があったということを認めて、先週金曜日に宮司様とも会長や専務さんが会われて、そして京都市も幹部職員が宮司さんともお話をさせていただいて、そしてしっかり今後のそのプレミアム観覧席の在り方、あるいはお祭りというものをどういうふうに、もちろんこれは神事でもあると同時に、その周辺の市民が、あるいは氏子あるいは山鉾保存会、いろんな方々が一緒につくり上げてるに当たって、しっかりやっぱりコミュニケーションを密にして、みんなでお祭りをつくって、それこそ日本を代表して世界に誇る京都のお祭りなので盛り上げていかなければいけないというふうに思っております。これからもそこは、関係者はみんなコミュニケーションを密にしてますし、しっかりとその観覧席におけるいろんなその席で飲食などをどういうものを許すのか許さないのか、そこら辺も含めてきちんと協議をして、皆さんが納得いただけるような形で運営していきたいと思っております。
配布資料
記者配布資料
京都市特別顧問の任用について(PDF形式, 1.65MB)
世界遺産 元離宮二条城本丸御殿の公開について(PDF形式, 3.23MB)
【参考】(別添)世界遺産 元離宮二条城本丸御殿の公開について(PDF形式, 241.66KB)
- PDFファイルの閲覧には Adobe Reader が必要です。同ソフトがインストールされていない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Reader をダウンロード(無償)してください。
お問い合わせ先
総合企画局市長公室広報担当(TEL:075-222-3094)
行財政局人事部人事課(TEL:075-222-3232)
文化市民局元離宮二条城事務所(TEL:075-841-0096)