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門川市長 退任記者会見(2024年2月22日)

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2023年4月12日

記者会見の様子

市民の皆さまへの感謝の言葉と、市政の歩みの振り返り。

門川市長が退任記者会見を実施しました。

記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

https://youtu.be/2txrfb0FjXY外部サイトへリンクします


冒頭発言

(門川市長)

 本日はありがとうございます。私にとって、市長として結びの記者会見となります。4期16年もの長きにわたり、京都市政に一人ひとりを徹底的に大事にする京都のまちづくりが前進したとご評価いただいていますが、すべて市民の皆様のご理解・ご支援の賜物であり、改めてすべての市民の皆様に心から感謝申し上げます。また、報道関係の皆様、本当に、長年ありがとうございました。御礼申し上げます。

 京都の最大の宝・魅力は、「地域力」、「文化力」、そして「伝統と革新の力」そのことを日々実感しながら、「現地現場主義」を貫き、市民の皆様と議論を交わし、そこからエネルギーや叡智をいただき、職員とともに汗をかいて市政を進めてきました。

 市長就任直後は、リーマンショック、そして地方公共団体財政健全化法が制定され、連結決算型の財政指標が定められました。京都市は300億を超える赤字からのスタートでした。地下鉄は一日4,600万円の赤字でした。市長に就任してから知り、愕然としたことを覚えています。そんな中での、改革に次ぐ改革のスタートでもありました。いかに財政が厳しくと  も、京都が誇る全国トップ水準の福祉や教育、子育て支援、安心・安全、文化を基軸とした都市経営、さらに景観などはしっかり前進させるということを公言して、取り組んでまいりました。

 職員の理解の下に、今日まで4,100人を超える職員を削減し、より効率的な行政運営を行い、年間人件費330億円減らすなど、行財政改革を進めながら、福祉、教育、子育て支援、安心・安全、文化を基軸とした都市経営等に邁進してまいりました。その効果は歴然としており、例えば京都市の保育・学童クラブ、医療的ケア児も含めて待機児童ゼロです。10年以上連続してゼロを達成しているのは、全国の大都市で唯一であり、保育の質も高く評価されています。京都市立小・中学校の学力、例えば小学校は、コロナ禍を挟んで連続して、全国の大都市で一番です。中学校も全国トップ水準。これも、文部科学省が毎年発表されていますが、私学は外しておられます。京都は私学教育発祥の地で、小学校で1割、中学校は2割を超えて私学に行かれる。それを外して一番ということです。全国の政令市でもっとも進学率が高い京都ですが、それを外しても一番というのは、どれくらい京都が教育の推進を頑張ってきていただいたか。これは、学校の成果だけではございません。京都ならではの開かれた学校づくり、学校運営協議会を作り、そして保護者が、地域が、教職員と一緒に子どものために何が出来るかの取組の積み重ねと、子どもの頑張りの成果だと思っております。

 そして、京都議定書誕生の地としての環境先進都市、あるいは誰一人取り残さないSDGs先進都市、さらに景観政策。桝本前市長から引き継ぎ、しっかりとそれを実行していくと同時に、人口減少に歯止めをかけようと、この間、景観の骨格を大事にしながら、若い人が働く場、若い人が住みやすい、比較的購入しやすい住居の創出、これもこの1~2年、一気呵成に取り組んできました。結果がすぐに出るものではございませんが、今年この1年で、南区で例えば、新たに950戸のマンションが創出されるなどの結果も出つつございます。

 安心・安全の問題も、能登半島で大変な被災者が出て、お見舞い申し上げますとともに、2月21日時点で1,388人の職員を次々と派遣しておりますが、京都における安心安全も、東日本大震災等を教訓に取り組み、民間住宅の耐震化率を、3年前に90%達成し、さらに加速する取組が進んでいます。これも、行政主導ではなく、民間の耐震ネットワーク、大工さん、左官屋さん、不動産屋さんと一緒に、区役所も含めて、一軒一軒、お年寄り、またひとり暮らしの方の自宅を尋ねるという、京都ならではの地域力を活かして取り組んだ結果です。しかし、これもより一層進化しなくてはならない。松井孝治新市長の公約にも既に昨年末発表されていますが、掲げられているところであります。

 先だって、経済センターに行ってまいりました。商工会議所含め4つの経済団体、プラス50の経済団体が同じ経済センターの中で活躍されている。いかに連携がとりやすいかを実感しました。50もの事務所のうち、10箇所くらい訪ねましたが、後から「私のところに寄ってもらえなかった」というメールや電話がきて、いささか困りましたが、いかに連携が進んでいるか。同時にスタートアップ・エコシステムの拠点にもなっております。これからますます大きな役割を果たしてもらえるものと当時の商工会議所立石名誉会頭の要請に基づき、京都市所有の一番良い土地を提供させていただき、様々な課題を克服して、創設できた喜びをかみしめさせていただきました。

 さて、4期目の最大のテーマは財政の収支均衡、持続可能な財政の確立でした。地方交付税が全国で最も厳しく減らされた地方の時代、地方に財源を移そう、地方交付税を減らそう、そういう動きに対して、聞いたときは「良いことだ」と思いましたが、京都のような都市にとっては逆で、東京都のような豊かな人が住んでいる、利益が出る、会社がどんどん活躍しているような都市は豊かになる、そんな改革でした。京都は大都市と言われていますが、74%は森です。その中、1000年続く集落のほとんどが限界集落です。2900の橋があります。大阪の3~4倍の橋があります。そして人口の約1割に相当する学生さん。これは、偉大な京都の宝であります。しかし、税金を納めない層が1割超えておられる。そういう都市特性がかつての地方交付税では丁寧に配慮されていましたが、簡素な分かりやすい地方交付税制度ということで、結論から言うと、46~47%の600億円を超えて減額されました。これに対して、全国から猛然とした取組が出来なかったことが、痛恨の極みであります。大都市集中なので、全国的な取組になかなかなり得なかったということもございます。そんな中で、地方交付税制度の責任にして将来世代への負担の先送りにしてはならないということで、収支均衡をどうしても達成しなくてはならないという使命感のもとに4期目を挑戦させていただいたと言っても過言ではございません。そのことを、公約にも明記し、従前の延長でない「挑戦と改革」を掲げ、審議いただき、そしてフルオープンな場で議会でも議論を深めていただき、そして改革計画をつくり、ありがたいことに10年以上かかると言われていた収支均衡を2年で達成することができ、昨年度決算は過去最高の黒字となりました。

 大きく2点あります。市民の皆様のご理解・ご支援のもとに、あらゆる京都独自の政策を、全国トップ水準という理念を持続可能なものにするために、ひとつひとつ丁寧な見直しをさせていただき、さらに人件費の削減を大胆に実行しました。

 もう1つは、財政が厳しいときでも決して縮み思考にならず、先行投資の取り組みを進めてまいりました。それらが、コロナ禍を超えてこの1~2年大きく効果をあげ、市税収入は過去最高を更新する、いい意味で想定を超える増収となりました。そうしたことを含めて、市民の皆様のご理解・ご支援の賜物であり、感謝いたします。

 同時にこれからが大事であります。超高齢化社会、そして人口減少社会に果敢に挑戦するため、京都のあらゆる魅力・ポテンシャルを最大に活かし、より足腰の強い財政にしていかなくてはならない。この間、一気呵成に様々な取組を進めてまいりましたが、これからが大事であります。その点については松井孝治新市長が、公約で明確な方針を示しておられます。松井孝治新市長、地域を大事に、一人ひとりを大切に、同時に世界の冠たる文化首都・京都を作っていく。そんな京都にとって、これほどふさわしい市長はおられないほどの人物、識見、そして政策、さらに国との強い絆、府市協調をしっかりとした、新たな京都づくりに挑戦していただけるものと確信しています。

 私は、これから一市民として、大好きな京都のまちづくりに、新たに勉強をし直し、地域から貢献してまいりたいと考えております。結びになりますが、改めて長きにわたって、京都のまちづくり、京都市政にご理解・ご支援賜りましたすべての皆様に心から感謝申し上げ、挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

 最近、2つの色紙をいただきました。1つは、「白糸の もつれた部分を解くことは ただ一筋の まことなりけり」もつれた糸を解く、これはまことである、ということが書かれた色紙です。これはよく、父が「政治の世界では、快刀乱麻を立つことが評価される。しかし、乱麻は快刀で断ち切れば、傷つく人がたくさんいる。もつれは解いて、解いて、解かなければならない。」と、何度も私に言い聞かせてくれました。奇しくも、同じ趣旨だと感じました。

 もう1つは、私が長く交流している方の書歌です。無欲速という論語らしいです。「速やかならんことを欲するなかれ」。政治は急いで成績をあげようと焦ってはならない。こういうことをおっしゃっていました。昨年度暮れに、改めて書いて持ってきてくれました。なかなか、難しいことです。コロナ禍でも危機管理でも、すぐに結果を出さなければならないことが多いです。同時に、千年を超える悠久の歴史のまち京都では、やはり歴史と伝統を活かしながら、市民力をいかに活かしながら、コンセンサスを得ながら、まちづくりを着実に進めていく。今、すぐに出す結果だけを追求してはならないと、改めて教訓として自らに言い聞かせながら取り組んできた16年でもありました。これらの評価については、後世の方々にお任せしたいと思います。ありがとうございました。

質疑応答(摘録)

記者

 4期16年間、お疲れ様でした。初めに、今回、一連の記者会見でお話されていましたが、率直に今のお気持ちを聞かせていただけますか。 

市長

 リーマンショックから始まり、財政難、その克服への取組、そこにコロナ禍と困難な市政運営でもございました。しかし、現地・現場主義を貫き、市民の皆さんの熱い熱いお気持ち、積極的、創造的な提案、そして、一緒に汗をかこうと、こんな意欲、願い、これに応えてくれる職員と一緒に汗をかき、荊の道という人もおられましたけれども、感謝と感動の日々であったと、今、振り返って感謝の言葉しかございません。ありがとうございました。

記者

 4期16年の中で、少し選びづらいと思いますが、一番印象に残っている事業があれば教えていただけますか。

市長

 あえて言えば、幾つもあるのですが、1つは、京都ならではの福祉や教育、子育て支援、文化、これを大切にしながら、いかに財政の収支均衡、持続可能なものにするか、将来世代に負担の先送りをしないか、覚悟を決めて取り組ませていただきました。その議論の中で、財政担当の職員といろいろ語り合っている時に、御理解を得るためのあらゆる努力は丁寧にしていきたい。しかし、自分が退任する時に罵声を浴びせられるかもしれない、それも覚悟して進めなければならない、こう覚悟して話す職員がおりました。その職員は今、里に帰って闘病中で、回復を祈るばかりでありますが、そうした職員に励まされながら取り組み、そして、その議論をしたのがもう3年、4年前であります。今、その当時から画期的に財政が改善しました。それも含めて感謝の気持ちでいっぱいであります。もう1つは、文化庁の全面的な京都への移転でございます。機能を強化しての移転であります。長年の京都の悲願でございました。しかも京都の中でもこんな議論がありました。文化財の保存・活用、あるいは伝統的文化、古典、これは圧倒的に京都だろう。しかし、現代アートから舞台芸術などなど、これは圧倒的に東京、首都圏だ。これを全面的でなければならない、こういうことを主張し続けると、結果として省庁の移転というのはできないかもしれない。もう少し現実的な要望にすべきではないか、こういう議論が一定の説得力を持った時もありました。しかし、もう御案内のとおり、世界の人が京都に来て、舞台芸術の方が能、狂言から学んでおられる。現代アートの方々が伊藤若冲から学んでおられる。これがあるのですね。現代アートは東京、古典は京都、文化芸術ってそういう分け方ができるのでしょうか。これはヴィラ九条山、ヴィラ鴨川といった、ドイツ政府が世界に3カ所しかない、フランス政府が世界に4カ所しかない芸術家を育てる拠点を京都に置いておられるということだけでも分かるだろうということでした。オール京都で意思統一ができ、そして、政府の英断をいただいた。これは感謝しかございません。しかし、これはスタートでございます。京都が文化の都として文化で日本中を元気にする、地方創生、これ自体が今までの文化行政と違うのですね。今までの文化行政は、地方創生のことをテーマに入れていない。従って、文部科学省設置法が改正されて、文化庁に文化で日本中を元気にする、こういう役割も持たせての京都への移転、さらに文化でより世界から尊敬され、憧れられ、世界の平和に貢献する、そんな役割も与えられての京都への移転であります。その意義を、まずは京都の皆さんと共有し、より強力に進めていこうと。この方針を打ち出しておられるのが松井孝治さんだと思いますので、しっかりとバトンを繋ぎたいと思っております。

記者

 ありがとうございます。最後に、市民の方からの御支援と理解があってということをお話しされましたが、改めてその市民の方々にメッセージをいただけますか。

市長

 16年の長きにわたって本当に京都のまちづくりに共に汗をかいていただきました。困難な課題もたくさんございました。目標を共有し、そして、共に汗して京都ならでは市民の皆さんの英知を、エネルギーを発揮していただいて、着実にまちづくりが前進しました。特に、文化庁の京都移転と軌を一にして、崇仁地域に芸大、美工が移転し、崇仁はもとより京都のあちこちで文化と地域、さらに経済が融合する取組が大きく前進してきました。もちろん、これらの結果は5年、10年、20年後に輝いていくと思いますが、そうしたことも含めて、市民の皆さんの御理解の賜物であります。さらに福祉や教育、子育て支援、安心安全、また、景観、さらに環境、そうしたことも市民力を生かして大きく前進させていただいたことに、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

記者

 ありがとうございました。

記者

 4期16年、お疲れさまでした。今、率直に現在のお気持ちとして、ほっとされているのか、あるいは少し寂しい気持ちなのか、お聞かせください。

市長

 本音で、よくここまで歩んで来れたなと。コロナ禍と財政危機をいかに克服するか、4期目はそこからのスタートでした。こうして皆さんに、これまでの歩みを御報告させていただきながら、よくここまで市民の皆さんが御理解、御支援いただき進んで来られたと感謝の気持ちでいっぱいあります。

記者

 今、16年間の成果を御説明いただきましたが、1つ、やり残したことをあえて上げるならば何でしょうか。

市長

 4期目前半のほとんどが、コロナ禍から市民の皆さんの命と健康、暮らしを守る、そのことに全てをかけたと言っても過言ではありません。その中で成長戦略、あの財政再建計画の中に、歳出削減、人件費削減等も入っていますが、大きく大きく京都のポテンシャルを生かした成長戦略ということを掲げております。それを水面下では進めてきましたが、表に出して実行していくのは、4期目の3年目の後半からになりました。加速させて取り組んできましたが、人口減少に歯止めをかけるという取組などについては、松井市長にしっかりとバトンを渡していきたいと思っています。

記者

 コロナがなければ、もう少し進められていたということですか。

市長

 はい。それは例えば、今年の前半で新規の企業立地がかなり進んでいるなどなど、これがもう1年、2年、3年前倒しだったらという気持ちはあります。しかし、政治家は結果が大事ですので、コロナ禍の実質3年、これが大きくスタートダッシュが遅れたと思います。同時に、コロナ禍から学んだことも多かったと思います。

記者

 御自身の築かれた市政の土台は、今後の京都市の未来へどうつながっていくことを期待されているか、未来を担う世代に対してのメッセージも含めてお願いします。

市長

 私は、京都市民の、また京都の学生さんの、さらには日本の最大の強みだといえる、文化を大事にしていく。こういうことによって、京都市の未来は明るいと確信しております。モノからコトへということを言われて久しいですが、ポストコロナの時代に文化(が大事)であるということが世界中で、とりわけ日本でも言われています。例えば、京都市立芸術大学の学生さんは(卒業後、)創作活動に専念される方が多いので、あまり就職ということではないですが、就職される方はいろんな企業に就職される。今まで就職されたところでないところに就職される。それぞれの企業で生産性を高める、企業を強化する、効率化していくことに全精力を費やしていたのが、例えば今までのものづくりだった。これが今、デザイン、遊び心、面白さ、こういうようなことが評価される。でも、そういうデザインを学んだ人間というのは企業の中にあまりおられない。これに成功したものづくりが世界で飛躍しているということがあります。もっと言えば、スタートアップなどでも、京都に来て、暮らして、京都の禅寺で思索を練って、そして世界ナンバーワン、オンリーワンの企業を誕生させているという例は多くあるわけです。従って、例えば京都市立芸術大学は崇仁に移転しました。そして、今、進めていますのは、スタートアップと言うとサイエンス、テクノロジー、イノベーションだけではないだろうと。サイエンスとカルチャー、これが融合しながら、あらゆる社会課題解決のスタートアップになっていくのだと。これは、芸術大学関係者と京都の関係者と議論してつくってきたのですが、世界の潮流になろうとしているということでしたので、そうしたことにしっかりと照準を当てていった時に、京都の未来は明るいと思います。現に日本中の大学生の数は横ばいですが、京都市はこの間、学生数は15万人を超えました。留学生もこの間、2倍近くになり、世界中の人が京都で学びたいとなってきている。これを生かし切れていないということも事実です。これを生かし切った時に、京都の未来は明るい。そのために、今、いろんな規制緩和や支援策をこの2年間やってきましたが、さらに進めていかねばならないと思っています。

記者

 退任後は何をされるのかお聞かせください。

市長

 退任後、いわゆる役所の役職等には就かないで、一市民としてもう一度勉強し直し、世のため、人のためにお役に立ちたいと思っております。私の生まれた家、育てていただいた家は小さな金光教の教会でした。父は10年前に亡くなっておりますが、誠実に世のため、人のためにと御奉仕してきました。その心が今、私の中に彷彿としてきております。今の時代、何ができるのかということは厳しいものもありますが、人の悩み、困りごと、しっかりとそれに向き合って、聴いて、そして祈りながら共に答えを出していく、こういうことを父はしていたと、そんな姿が彷彿としてきます。私自身、何ができるかわかりませんが、もう一度修行したいと思っております。

記者

 任期満了は24日になると思いますが、本日2月22日が最後の登庁という認識でよろしいでしょうか。

市長

 はい、そうですね。あと、23日、24日も様々な公務があります。例えば、24日は私の尊敬する故・中島貞夫監督のお別れの会をするということで私も発起人の一人にならせてもらっていますので、慎んで参加させていただき、お礼を申し上げたいなと思っています。

記者

 門川市長が就任された2008年にリーマンショックがあり、当時の日経平均は7,000円程度でしたが、本日、過去最高を更新し、39,000円に迫る勢いとなりました。過去最高を更新したことと、京都市の経済状況について改めてどのように思われますか。

市長

 この間、京都の経済人を含め様々な人と交流をさせていただきました。株価も含めて(経済が)活性化してきたことは、非常に好感を持っています。ただ、現実の市民生活を見ますと、京都は中小企業のまちですが、中小企業で働く方々の実質賃金が伸びていない。そうした実情を踏まえると、国の政策も含めて、また、経済界の投資の在り方も含めて、中小企業が元気になり、そこに働く人の生活が豊かにならなければ、全体として日本の経済は向上しないと思います。政府においても、そうした方針を今、議論されているところです。経済界全体で、とりわけ中小企業は、京都はもとより日本の宝であります。中小企業が元気になり、中小企業に働く人が豊かになる、そんな政策が何よりも今、求められていると感じます。

記者

 京都市長を4期16年務められて、改めてどのようなところが京都の魅力であるとお考えでしょうか。

市長

 市民の皆さん、とりわけリーダーの皆さん、また今後リーダーになられるであろう方々の、広い意味での教養が高い、奉仕の精神がすごい、このことを実感します。例えば、民生児童委員は全国75歳定年ですので、(定足数の)約8割しか大都市では任命できていないという状況ですが、京都市はほぼ100%であります。世のため、人のためにお役に立ちたいという方がたくさんまだいていただいている。ただ、これが次の世代に引き継がれるのかどうか、厳しい指摘もあります。一方で、学生さんたちが地域に出ていって、様々なミーティングに参加しようという動きもしっかりとございます。京都市職員においても、例えばファシリテーター養成所に参加し、自分の直接の仕事ではないけれども、市民力を生かして、市民力と行政の力をマッチングさせる役に立ちたいと考える人材が、この間200人ぐらい育ちました。また、「クエスチョン」のような取組を企業にやっていただく、そこでネットワークが生まれる、このような都市は他にないのではないでしょうか。企業が、先義後利の精神で、それを実行されようとしている。従って、企業も市民も市役所で働く人間も、また、地域で様々な奉仕をされている高齢の方も含めて、世のため、人のためにという力が、京都のすばらしさであると思います。これを生かす仕組みをどう作っていくのか。私は市長就任直後に100人委員会を作り、それを各区役所で行うものにしました。また、例えば中小企業未来力会議、そこから地域企業未来力会議、あるいは自分ごとのまちづくりの提案制度ということで、幅広く進めてきました。例えば、ソーシャルイノベーション研究所、これも日本で最初にできました。そうしたものを、もう少し連携を強化して、見える化をしていく。こうした時に、化学反応、化学変化が起こるのではないかと、改めて実感しています。

記者

 中央と地方の関係を踏まえ、地方自治を担われたお1人として、これからのまちづくりの在り方について、どのような点を大事にしていくべきでしょうか。また、今後地方が輝いていくために、どういったことが必要とお考えでしょうか。

市長

 地方交付税制度については、地方独自の財源であるとされている。これを、例えば臨時財政対策債というような形にして、国が財政危機の中でありますが、制度の抜本改正ではなく、その部分修正でやってこられて、臨時財政対策債による大都市の負担が非常に大きくなっています。また、地方交付税の基準財政需要額の算定に、都市特性を国は十分に見ないという実情があります。例えば、観光でごみを処理するために、京都市は8億円使っていますが、地方交付税で見られているのは1,500万円です。その理由は、入湯税を根拠にしたからであります。個々の要望をしてきましたが、改善への道筋については、少しは前進するかというところであります。それから、もう1つは、地方がどれだけ英知を集めて主体的に考えて改革していくかが大事だと思います。そして、それが地域の豊かさにつながっていくか、交流循環を作っていくか。これは、様々な見方がありますが、私の市長就任時に、政令指定都市と京都市の市民1人当たりの税収差は、約1万7,000円でした。今、政令指定都市も少し増えましたが、約4,000円の差になってきました。これはこの間、丁寧な努力で、京都の魅力を生かしながら取り組んできた結果であり、これはさらに評価されてくると思います。従って、中央に対して地方という言い方がありますが、東京も一地方です。首都圏だけが豊かな地方になっている。ここを何とかしなければ、日本中が駄目になっていく。首都圏以外の多くの都市で人口が減っているのではないでしょうか。また、東北でも仙台だけが元気であるということになっている。まだ、関西は、神戸も大阪も頑張っています。これが本当に首都圏一極集中を打破するような取組を強力に進めていく、その1つが文化庁の移転だったと思います。結局、文化庁の移転だけにとどまらない取組が大事なのではないかと思います。よく京都で学会があります。その時に外国から来られる方が、日本はすばらしいとおっしゃる、韓国から来られた方がおっしゃっていました。韓国はソウル以外でノーベル賞が出るということはこれからも考えられないのではないか。ノーベル賞が出るとしたらソウルからだろうと。対して、日本は東京以上の京都がある。ノーベル賞で言えば、東北もある、九州もある、このような国は、アジアではあまりないのではないか。だからこそ、日本は可能性があるのだとおっしゃっていました。この可能性を、東京一極集中というのが潰していく。そして、それぞれの地域がその力を発揮できないようになったら、日本の未来はないと。そういう意味では、文化庁の京都移転をしっかりと評価し、文化で日本中を元気にする、文化でより世界から尊敬される日本にしていく、こういう取組がより大事だと思います。

記者

 市長が、記者会見で不出馬を公表したのは、市債説明会があった直後だったように記憶しております。なぜあのタイミングで出馬しないと決められたのか、また、なぜ財政再建、財政均衡を実現して過去最高の黒字を実現したにもかかわらず出馬しなかったのか、この2点を教えていただけますでしょうか。

市長

 私は、市長というポストは一人の人間が長く務めるのは基本的に良くないと思っております。

 従って、3期で退任するのは、私の市長就任以来の1つの目標でございました。一番苦労をかけた家内にも、そのことは明言しておりました。しかし、4期目に出る時には、家内に謝り倒して4期目、どうしても収支均衡、このためにもう1回出させてほしいと頭を下げました。その途端のコロナ禍でした。しかし、おかげさまで市民の皆さん、医療や福祉関係者の皆さん、府市協調、国との連携等々でコロナ禍を乗り越え、そして10年以上かかると言われた財政収支均衡も見通しが立った昨年の春でございます。まだまだやれやれというお声もたくさんございました。もっと言えば、あのコロナ禍の猛暑の中、来る日も来る日も現場を走り回っている、市長をもう1期やるような意欲満々だと、このようなことをおっしゃる方がマスコミの関係者も含めておられましたので、これは早く不出馬を表明しなければならないと。もう1つは、私が出馬する気満々と思われれば、選挙に出て欲しい人が出る決断をされない。こういうことも含めまして、いつがいいかと思っていましたら、私の優秀な秘書が「ちょうど半年前の24日がいいのではないですか」と、「ああ、それええな」と、こういうことで決めました。当初の予定どおりであります。ただ、こういう意見もありました。トップリーダーが、政治家が半年も前に退任表明をすれば、組織は危ないという一般論がありますが、ありがたいことに退任表明してから、さらに公約を可能な限り実現するために、コロナ禍の2年半から3年できていなかったことを一気呵成にやっていこうということで、よりエンジンをかけていただいて今日の日を迎えられました。市役所の職員に、また、チーム市役所に感謝しております。

記者

 市長はずっと着物で公務されてきて、着物市長としても親しまれましたが、松井新市長には着物は着てほしいと思われますか。また、先日、会談された時に松井氏が、あまりたくさん持っていないというお話をされていましたが、その点はどのように感じていらっしゃいますか。

市長

 松井市長こそ着物が似合う歌舞伎役者みたいな雰囲気ではないかなと。私より着物が似合われると思います。ただ、正直言いまして、毎日毎日に着物を着ることにこだわる必要はないと思います。時、場所を選んで、着物を着られるのではないかと思っております。

退庁式

多くの市民や職員に見送られ、市役所を後にする門川市長

退庁式の様子は、下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

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音声文字おこし(一部抜粋)

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