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市長定例記者会見(2022年6月15日)

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2023年4月12日

市長定例記者会見(2022年6月15日)

「京都駅東 SDGs・未来創造拠点 共創プロジェクト サウンディング型市場調査」について,京都市長が記者会見を実施しました。※発表内容は,令和4年6月15日時点の情報です。 

会見要旨(摘録)

市長

 本日は,「京都駅東 SDGs・未来創造拠点 共創プロジェクト」のサウンディング型市場調査の実施について,発表します。お手元のパンフレットのページに沿って御説明させていただきます。

 1ページ目でございます。

 京都市が「世界文化自由都市」を宣言し,文化を基軸とした都市経営を市民ぐるみで実践し,また,誰ひとり取り残さない「SDGs」への貢献を目指す,そんな取組を進めています。「優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市」,「将来にわたって魅力と活気にみちた持続可能なまち」の実現という高い理想を掲げ,あらゆる社会課題解決へ,市民ぐるみで努力してきました。

 その私たちのまち京都の玄関口,悠久の歴史と暮らしが今なお息づく京都駅の周辺エリア。そこに,明治13年に我が国で初めて創設された,輝かしい歴史を誇る,京都市立芸術大学(以下,京都芸大),美術工芸高校(旧銅駝美工)が,来年いよいよ移転・開校いたします。   

 多様な人々と文化・アートが出会い,集い,交流し,そして,新たな価値を創出・発信する。文化芸術と若者,多世代の交流,世界を視野に,さらにクリエイティブなまちづくりを進めていく。そして,様々な社会課題の解決へ,ソーシャル・イノベーションの拠点にもしていきたい。ワクワクするような新しいシンボルゾーンでございます。

 そして,機能強化した文化庁が全面的に移転します。来年3月27日に京都での業務を開始する旨を,先日岸田総理が京都にお越しになり,宣言されました。

 この絶好機,京都芸大に隣接する将来活用地において,SDGsの実現と「文化芸術都市・京都」の未来を共に,創っていく。新たに創造・発信する拠点を創出いたします。

 京都から文化で日本中を元気に,そして世界へと波及させるプロジェクトを始動させてまいります。

 オープンな形で市場ニーズを研究するため,本日からサウンディング型市場調査を実施いたします。

 サウディング型市場調査とは,民間活力導入の検討などを行う際に,事業発案や事業化の検討段階において,事業者との対話などを通じて,アイデアの収集や市場性の有無,さらに実現可能性の把握を行う取組でございます。


 パンフレット2ページをお開きください。

 新しい文化と社会のあり方を創造・発信する火床となる京都芸大,そして,テラスがコンセプトの開かれた大学です。同時に,十字路というコンセプトも示しておられます。

 キャンパスを南北に貫く芸大通を通り抜けた先に,約4,000㎡の将来活用地が立地しております。新幹線・JRからの視認性も抜群で,京都にお越しになる国内外の方々が最初に目にするシンボルゾーンといえます。


 パンフレット3ページに進みます。

 京都の強みを活かした「文化・アートと経済の好循環」を実現し,新たな価値を創造し続ける。そして,あらゆる社会課題の解決に繋げてまいります。また,理念の現実化と好循環の波及,さらに,その実践・源泉となるまちづくりを,皆さまと共に進めてまいりたい。

 昨年8月に策定した成長戦略,新たな価値を創造する「5つの都市デザイン」とチャレンジを掲げております。今回,皆さまの自由で創造的な発想との相乗効果を期待するものとして,キーワードを例示しております。

 成長戦略の試金石とも言える今回のチャレンジです。皆さまのアイデア・知恵を結集してスピード感を持って取り組むことにより,京都市も挑戦と失敗を恐れない創造的な組織へと更に変革し,あらゆる政策に好循環をもたらすと確信しております。


 パンフレット4ページを御覧ください。

 皆さまの知恵と活力で整備・運営していただく新たな拠点の実現を,本市が伴走・サポートするプロジェクトです。

 「京都芸大」の魅力との調和・機能の向上。例えば,卒業生等の若手芸術家の活動場所や文化・アート・音楽にまつわる関連施設。さらには,京都駅周辺の各エリアで新たな取組が始まっております。そのポテンシャルを最大限に活用してもらうことも期待しております。

 京都芸大の南,東九条地域にはチームラボがやってくる。あるいは,米国から体験型アートセンター「スーパーブルー」がやってくる。

 少し西に行き,梅小路周辺では,「食とアートとものづくり」世界一クリエイティブなまちづくりをしようと,民間主体とした中央卸売市場やJRの新しい駅周辺で取組が始まっております。芸大の北側,菊浜学区は任天堂発祥の地で,そこでもさまざまな取組が始まっております。

 京都市内あちこちで新たな取組が始まっておりますが,とりわけ,この京都駅周辺地域では,近年様々な取組が始まり,文化と経済の好循環,そして,日本全体はもとより,世界を視野に入れた様々な拠点になる地域だと考えております。


 今回の調査で,皆さまからの御提案を募集するものは2つでございます。

 1つは,企業等の皆さまから,ビジョンを実現するための「事業構想」。これを8月末まで募集し,構想のコンセプトや施設内容,京都市との協働など,御提案いただいた「実現したい事業のイメージ」を基に対話を重ねてまいります。

 2つめは,市民等の皆さまから,ビジョン実現に向けた「アイデア」です。これについては,7月14日までの1か月間募集したいと思います。御提案いただいたアイデアは,事業構想への反映や参画に繋がる機会としたいと考えていますので,企業等が参考にできるよう,市のホームページに随時掲載してまいります。

 調査の結果を踏まえ,今年度中に公募に着手します。そして,来年夏頃の事業者決定を目指します。

 京都駅周辺のまちづくりは,京都芸大の開校がいよいよ来年秋でございます。その前には,美術工芸高校が開校します。そして,チームラボによるアートミュージアムや,スーパーブルーの開業など,大阪・関西万博に向け,劇的に変わっていく地域でもあります。

 多くの創造的な御提案を期待しております。共にクリエイティブに未来を切り拓くプロジェクトの実現を目指して,京都市としても,全力を傾けてまいります。私からは以上でございます。


質疑応答(摘録)※発表案件分

(記者)

 土地の活用方法について,何かを建てることも,建てずに何かの場として活用することもできる。全くフリープランとしてアイデアを募集するということでしょうか。


(市長)

 コンセプトについては,京都芸大と連携し,京都芸大の機能を最大限生かす,あるいは芸大の果たす役割も向上させていくなど,京都芸大と関係のないものというわけにはいきません。京都芸大と連なって,国内外を視野に,あらゆる社会課題の解決へと創造的な御提案をいただきたいということです。


(記者)

 高さ規制などの条件もあるのでしょうか。


(市長)

 まず構想の提案ですので,あまり枠をはめると創造性がなくなりますので,条件は付けすぎず,どんどん提案していただきたい。公募の段階で,様々な提案の中の最も良いものと様々な条件を融合させながらやっていきます。サウンディング型市場調査は,今後この場所にどういう可能性があるかということのアイデアをもらい,対話していくものです。アイデアをいただいたら,今度,京都市がこの土地を,こういうコンセプトのもとに募集します,という公募を実施します。今回は,その前段ということです。


(記者)

 スケジュールとしては,今年度中にアイデアの募集を行い,そして,今年度中に集まったものをもとに来年の夏頃にその事業者を決めるということでしょうか。


(市長)

 市民の皆さんのアイデアは7月中旬(7月14日)まで募集します。事業者が参考にされますので,色んなお知恵をいただきたい。市民の皆さんならではのアイデアもあると思います。次に,同時並行で8月31日までに,事業者の構想の提案をいただき,9月14日まで対話を重ねます。それに基づき,京都市として提案募集の結果の概要を公表し,それをまとめて,来年の3月から5月頃に公募をさせていただきます。従って,提案募集の段階ではどんどんと様々なアイデアを出していただいて,その中のいいものを,公募するときに使わせていただきます。


(記者)

 それを選ぶのは市と京都芸大の関係者になるのでしょうか。


(市長)

 もちろん京都芸大の意見も聞きますが,選定は京都市で行います。


(記者)

 京都市が実際に募集した案から公募内容を決めるときの手法はどのようにお考えでしょうか。公表の場で何か話をしたりするのか,内部で決めて発表する予定なのでしょうか。


(市長)

 構想をお聞きする段階では,あまり条件を付けずに,どんどん幅広に様々な提案をいただく方がよいと。発想の転換を含めて,我々が気づかなかったこの場所の魅力や可能性,あるいは文化と経済の好循環についての世界の潮流とか,そういうことも含めて,あらゆる提案をいただき,それについては,提案いただいた事業者に確認のうえ,公開します。その上で,いいところをまとめて,来年の3月頃に事業者を公募するときには,資金計画なども含めて提案していただくことになります。


(記者)

 市側の負担を想定していないということは,今回提案する事業者は,自分たちでそれを行うことを前提に資金面も含めて考えてほしいということでしょうか。


(市長)

 そういうことです。


(記者)

 中長期のまちづくりを行う中で,財政的な問題というのもあると思うが,今回の,京都芸大に向けて再開発している市有地を民間に提供することを考えたのはいつぐらいのことで,どのような理由からでしょうか。


(市長)

 平成27年に策定した「京都市立芸術大学移転整備基本構想」では,C地区における具体的な施設配置について「将来的な土地活用の可能性も考慮し,今後検討を進める」としていました。その後,平成29年に策定した基本計画では,配置計画案において,京都芸大敷地内に「オープンスペース(将来活用地)」を設けました。そして,今般,当該市有地を民間事業者に活用いただく方向でサウンディング型市場調査を始めました。

 京都芸大に隣接する土地を,京都芸大と連携して,その機能を最大限に生かしながら,民間の発想で,文化・芸術と経済の好循環,様々な社会課題解決,そして,SDGsにも貢献していく。そうした取組を幅広い民間の英知を集めて実施していく。非常に創造的で挑戦的な取組だと考えております。

 京都芸大のコンセプトは,一つは,あらゆる文化芸術を通じて,様々な社会課題解決も含めて,新たな価値を創造する,そういう火床になっていこうと。また,開かれた大学,テラスとしての役割を果たしていこうということです。

 もう一つは十字路。これは,京都の南北と東海道線の東西という「地形・地物としての十字路」があります。また,京都では,千年を超えて文化やものづくりが継承され,それを通じて, 様々な社会課題を解決してきた歴史があります。そして,現代社会においても,千年先を見通しあらゆる社会的課題の解決に繋げていく。こういう時間軸の十字路でもあります。

 例えば,京都に生まれた島津製作所は,江戸時代は仏壇仏具を作って社会に貢献されていましたが,今,精密機器や医療機器で大きな役割を果たしておられます。京都の企業,ものづくりというのは,ずっと社会の課題とともにあったということもあります。これから新しい時代において,サイエンス,テクノロジー,そしてイノベーションにプラスしてアートがある。そういうアートと芸術と科学,ものづくりが融合していくことによって,様々な社会課題が解決できるということもありますので,そういうことに貢献する京都芸大でありたいというのが,火床であり,テラスであり,十字路である,その拠点としての役割も果たしていけると,このように考えております。


(記者)

 立地としては京都芸大に建設されるということだが,イメージとしては商業施設というよりも,文化交流施設のようなものを今は想定されているのでしょうか。


(市長)

 何をもって商業施設と,何をもって文化施設というか。あまりイメージ付けをするといけないのですが,例えば,芸術関係者が言うには,アート市場が全然日本には育っていないという観点があります。世界のアート市場に対する日本の市場規模は3.7%と推計されています。一方でアメリカが40%で,イギリスが20%を占めています。アート市場が育っていないから,芸術家の暮らしが厳しい。だから,例えば,芸術家の作品を見せて販売する施設にするとしたら,それは商業施設なのか文化施設なのか。今後,商業施設になっていくのか文化施設になっていくのか,あるいは,いろんなコミュニティの賑わいの施設になるのか。私は,そういった概念を超えたものになってくるのではないかなと思っています。


(記者)

 立地として京都駅の本当に近くだが,建物の見た目としても京都に来る人の目にも留まるような,そういうことを期待されているのでしょうか。


(市長)

 そうですね。例えば,新幹線に乗って京都に来られる方にとっては,トンネルを抜けると鴨川が出てきて,京都タワーが見えて,東寺が見えて,その手前に京都芸大が見えるという立地になります。その京都芸大を一番象徴するのは,鴨川から見える京都芸大の姿です。キャンパスと鴨川が繋がるようなデザイン,屋根が波を打つようなイメージは,設計者が一番大事にされています。将来活用地に建てる建物自体の設計,これにつきましても,京都芸大の建物との調和というのは大事にしていきたいと思っています。


(記者)

 2025年に大阪・関西万博があるが,基本的にはそれに開業が間に合うようなスケジュールで考えているのでしょうか。


(市長)

 万博は2025年,SDGsの達成というのは2030年と,いろんな目標の年はありますけども,できるだけ早くということであります。今,この場所は,京都芸大の工事現場として来年の10月ぐらいまでは使っている場所ですから,同時並行でやっていくことができるかというと,事業者の事業の規模などによって変わってくると思います。ですから,万博に間に合わせるということを決めてしまうのは,少ししんどいと思います。


(記者)

 今,京都駅周辺でいろいろ誘導されてまちづくりを進めておられる中で,一定,今回も大きい話だと思うが,これで大きい事業は,ある程度打ち止めなのか,それとも,まだこれからも何か続くのでしょうか。


(市長)

 民間の方がおっしゃるには,10年前,あそこに京都芸大が来るということは想定していなかったし,東南部エリアにチームラボやスーパーブルーが出店してくるというのも想定もしていなかったと。梅小路,中央市場は昔からあったが,そこが食とアートとものづくりの拠点になるということも想定していなかったいうことです。

 京都駅周辺は,昨今大きく変化してきております。この変化の起爆剤になるのが,京都芸大と,この京都駅東SDGs・未来創造拠点だと思います。これができることによって,また新たな価値を周辺に創出していく。これは狭い意味でのこの界隈だけではなく,京都は非常にコンパクトなまちですし,京都の大学や文化施設,産業施設が今どんどん転換していく時期でもあります。したがって,民間によって京都全体が大きく飛躍し,発展が続いていく,そんな大きなきっかけにしていきたいと思っております。


(記者)

 これから事業者はそのアイデアを資金計画も含めて出してこられると思いますが,提案してきた事業者が,基本的には実際に施工・運営していく事業者になっていくのでしょうか。



(市長)

 必ずしもサウディング型市場調査において構想をされた方が,施工・運営する事業者になるとは言い切れません。この調査を通じて,当初,構想・提案されたこと以外の事業へと広がっていく可能性もあると考えています。例えば,サウンディング調査では,Aという事業者,Bという事業者が,別々の構想で提案が出された。しかし,次に,正式な公募の段階では,AとBの2つの構想が融合,マッチングしたものとなる可能性もあるわけです。


(記者)

 市が事業者を決めていくのでしょうか。


(市長)

 私どもは,御提案内容を参考に次に公募を行うときのコンセプトを作ります。また,コンセプトは,あまり狭いものにする必要はないと思っています。

 そして,公募するときは,民間事業者が独自に対話を重ね,民間事業者同士で提案されます。その中で,どれを採択するかについて,京都市が第三者委員会を作って決めていきます。


(記者)

 最終的な運営者は,市が関わるとか第3セクターとかではなく,民間の事業者に運営をしていただくということでしょうか。


(市長)

 その通りです。


(記者)

 この市有地を貸す形で,土地の所有は市のままで,上を建ててもらって運営してもらうということででしょうか。


(市長)

 原則として,50年ないし60年の定期借地を考えております。ただし,提案によっては,売却を希望されるという場合に,それをすべて否定するわけではありません。ただ,私どもとしては,現時点で,余程の提案でない限りは,京都芸大とともに,地域とともに歩んでいく土地・施設ですので,定期借地がいいのではないかと思っていますが,絶対に売却しないというような,選択肢を狭めることはやめておこうと思っています。


(記者)

 来年の夏頃事業者を決定するということですが,実際に,事業として走り出すのはいつ頃でしょうか。


(市長)

 来年の夏頃に事業者を決定したら,この規模の事業ということを想定すると,普通は2~3年はかかると考えています。もちろん,事業者の考え方,事業規模等によって変わってくると思いますが。


(記者)

 早くて2,3年後にというお考えでしょうか。


(市長)

 まだ分かりません。これだけの場所ですので,事業規模にもよりますし,できるだけ最大のボリュームでと考えれば,もう少し時間はかかるかもしれません。周りに大きな大きな影響を与えていく事業ですので,スピード感も大事ですが,良い提案をいただいて,じっくりと考える必要もあります。京都市は,港も飛行場もありませんので,従って,京都駅が移動の中心地です。そこから歩いて6分のところに,4,000㎡の土地がある。これをみんなで考えて,最大限有効に使ってまいります。


(市長)※補足

 ボヘミアン指数という言葉が注目されております。人口10万人当たりの芸術家の人数です。京都市は,政令指定都市で一番多い。このボヘミアン指数が高いところが,クリエイティブな,イノベーティブなまちとなっていく。そして,多様性,寛容性,包摂性のあるまちづくりにつながる。そこに様々な新たな価値が創出されます。

 京都には芸術系大学が,たくさんありますが,卒業されてから活動する拠点がなかなか無い。あらゆる可能性を追求しながら,文字どおり,文化・芸術都市,そして,日本の文化の都,新たな発想で,人が集まり,価値を創造し,社会課題解決に挑戦する。そんな拠点にしてまいります。


(記者)

 京都市の市有地ということは,民間にお願いせず,京都市が使用するという判断もあったかと思います。この判断をされた背景には,京都市の財政難という要因もあるのでしょうか。


(市長)

 こういう取組を行政がやると,どうしても堅くなる。行政が税金でやるよりも,民間で競い合って,創造的な事業を行っていただく方がいいと思っています。京都で,文化・芸術を発展させてきたのは民間人であります。西陣織,京友禅,京焼,清水焼などなど,そういうところが若き芸術家を育ててこられた。例えば,京都画壇でも,大丸や高島屋が,芸術家の卵を育て,そして,大成させてこられた。従って,行政がそうしたイノベーションそのものを作っていくのは,前の時代のことではないかと思っています。


(記者)

 行政には無く,民間にある力とは,どういうものだと思われますか。


(市長)

 「想像力」と「連携力」だと考えています。また,それは世界を視野に入れたものです。例えば,チームラボが,市有地にやってくる。あるいは,メガギャラリー,スーパーブルーが,京都にやってくる。これは,京都市が作れといってできるものでありません。東九条という,かつては大変厳しい状況にあったところですが,そこを地域と一緒に改善し,拠点を作っていく。いかに民間の方々が活動される条件を作るかということが京都市の役目であり,「どうぞ,この土地をクリエイティブな発想でお使いください。」ということです。



(記者)

 文化と基軸としたまちづくりを,京都が大事にされていることは非常に理解できますが,一方で,市は財政難です。また,コロナ禍や原油高,物価上昇等で生活が痛んでいる方も多くおられます。更には,長引く格差社会の中で,文化・芸術を享受できる方は,一種の富裕層に限られるという見方もあります。こうした中で,今回のような取組を,市民の方々にどのようにして理解を得ていかれるのでしょうか。


(市長)

 それも一つの視点であり,否定はしませんが,「富裕層の方が演劇を見る,音楽を楽しむ」だけが文化・芸術ではありません。我々が言う文化は,「暮らしに息づく文化」でもあります。これは衣食住,コミュニティの中にあります。生活文化,そして,お互いさま,おかげさまの心で,多様性を認めあい,包摂性のある社会を作っていく,これが,文化庁が機能を強化して京都に移転してくる意味でもあります。

 今,ロシア・ウクライナ情勢は依然厳しい状況に置かれていますが,観光も含め,文化が平和維持装置になっていかなければならないと考えております。また,障害者アート,天才アート,こういう取組も大いに進めたいと思っています。最近は,高齢者の福祉施設で,絵を描いたりすることで,高齢者の方が非常に人間らしい生き方をされています。こういうことも含め,人生100年時代に,いかに文化・芸術が人間性を大事にしてくれるかということも感じております。みんなが楽しんで,生きがいを持って生きていく。そんな文化でありたいと思います。今回の募集要項にも,多様性を認めあうこと,マイノリティに対する理解,それらを明記しています。

 この他,京都の文化・芸術,様々なものづくりの歴史,人々の暮らしに触れ,世界のスタートアップされた方々が,多くの発想を得られているということもあります。

 このように,私どもは,「暮らしに息づく文化」を大事にしてまいりますので,御理解いただきたいと思っております。

質疑応答(摘録)※一般質疑分

(記者)

 学校でのマスク着用について,部活や体育では外すようにとの通知が出ているが,現場ではまだまだ外しづらいようです。マスク着用を言ってきた成果ですが,逆に外しづらい状況だと思います。熱中症の事案や,コミュニケーションを取れず思春期の発達への影響,授業中であれば黙っているので外すことができるのではないか,といった意見もあり,行政も恐る恐るという部分でもあると思うが,どうお考えでしょうか。


(市長)

 この間,週単位では感染者数が減り,ピーク時の1割まで減っています。多くの方々の御努力に敬意を表したいと思います。新しい国の方針が示され,私共もあらゆる機会に発信していますが,まちを歩いておりますと,ほとんどの方がマスクをされている状況です。まちを歩くとき距離が離れていればマスクを外してください,逆に電車,バス,タクシーに乗るときはマスクをしてください,と周知しても2年半にも渡るマスク生活により,誰がマスクを最初に外すのかと気にされる方もおられると思います。先日,病院経営者と話しましたが,子供の感染が多く,安全を考えてマスクを着用される方が多い傾向もあるようです。粘り強く適切なマスク着用をお伝えしていくとともに,教育委員会において,マスクを着用しなくて良い場面を例示していきたいと思います。


(記者)

 訪日外国人の受入れ再開について,自国ではマスク着用は緩和されているのに日本では日本の基準に合わせないといけないのか,といった意見があると思うが,おもてなしの観点からは,どのように思われますか。


(市長)

 6月7日に国から新たなガイドラインが発出されました。ガイドラインに沿って,訪日外国人の方にも適切にマスクを着用いただくよう,ガイド,旅行関係者,宿泊施設から周知していただいているところです。同時に,会話がなく外を歩いているとき,距離をしっかりと取っていただいているときは,マスクを必ずしも着用しなくてよい,ということを周知していくことが大事だと思います。


(記者)

 先日,市バス・地下鉄の一日あたりの乗客数がコロナ前と比較して25%だったというニュースや,広島県観光連盟と京都市観光協会との連携というニュースがあったが,観光需要を戻していくことについて,どう考えておられますでしょうか。


(市長)

 コロナ禍の2年半,市バス・地下鉄だけでなく,いかに観光が京都経済に大きな役割を果たしてきたか,多くの市民の方が認識したと思います。令和元年の入洛観光客の消費額は約1兆2,300億円であり,これは京都市民の年間消費支出額の55%に相当する規模です。関西全体では,民間施設の来客は8割戻った段階で京都は7割という状況でした。これはインバウンドを含め,人口の1割を占める学生が影響しているということだと思います。生産年齢人口90万人のうち学生が15万人で約16%,すべての対面授業が戻ってきているわけではなく,ハイブリッドで授業を実施されているところもあり,京都の強みである「大学のまち・学生のまち」という点が,市バス・地下鉄だけでなく,飲食店等に大きな痛手になっていると思います。

 観光ですが,国内客は随分戻っているように見えますが,実は,金曜,土曜は多いが平日は少なく,回復にはもう少し時間掛かる状況です。その中で期待されるのが,訪日外国人です。一日あたり2万人の入国上限ですが,コロナ前は多いときは一日9,10万人来られていたわけです。慎重に再開していくという国の方針であり,それ自体は正しいことであります。

 その中で我々は,一つは,コロナ以前の観光に戻すのではなく,観光先進都市から観光課題解決先進都市,社会課題解決先進都市としての観光を目指すために,これまで効果を上げてきた時期・時間・場所の集中を分散して,観光効果を市域全体に広げていく取組をビックデータやICTを使って徹底的にやっていきます。

 二つ目は,観光の質を高め,できるだけ予約して観光していただく,満足度の高い観光をしていただきます。三つ目は,一昨年11月に観光協会と一緒に「京都観光行動基準(京都観光モラル)」を作りました。

 それを今,観光事業者に先頭に立っていただいて周知いただいております。観光客には,それぞれの地域の暮らし方を大切にしてくださいというメッセージを,同時に京都市市民憲章で,市民は旅行者を温かく迎えましょう,おもてなしをしていきましょうというメッセージを発信し,新たな観光のスタートにしていきたいと思っています。

 また,昨年11月に,京都市,京都市観光協会と,25の観光関連団体が,新しい京都観光に向けた共同宣言も行っております。その効果をしっかり示していきたいと思っています。


(記者)

 児童館や学童クラブの職員でつくる「全国福祉保育労働組合京都地方本部」との団体交渉に応じないのは一部で不当労働行為に当たるとされた件について,本日,認定が不服ということで提訴する旨の議案が提出されたが,改めてお考えを伺いたい。


(市長)

 京都府労働委員会において,京都市の主張がかなり認められております。ただ,京都市が示している委託料の算定基準と同じものを使っていたら,その団体だけは交渉対象であるという点は,私も,相談している弁護士にも理解できないということで,裁判所の判断を仰ぎたいということで議案を出させていただきました。本市の判断は正しいと考えております。


(記者)

 先ほど,観光において三つの集中を避けていくということだったが,7月17日と24日の祇園祭山鉾巡行では,かなりの人出が予想されます。何か対策をお考えになっているのでしょうか。


(市長)

 お祭の日には人が密になります。例えば,伏見のお稲荷さんは,昔から人が集中していましたが,地元の方以外の観光客が来るということはなかった。祇園祭に限らず,お祭りの日には夜店などの賑わいを求めて多くの人が来られるわけですから,お祭りの日に密を避けるというのはなかなか難しいわけです。それゆえに,山鉾巡行はこの2年間自粛しておられたわけですが,これを感染防止と感染状況の収まり具合を見て,感染防止と京都の伝統を両立させていくため,山鉾巡行の関係者はワクチン接種,接種できない方は陰性証明,同時に,密を避ける取組を考えておられます。さらに,観光協会が設置する有料観覧席も席を減らし,間隔を空けるなど,現時点で取れる可能な限りの方策を取っていただいております。祇園祭は,疫病や自然災害の収まりを願ったお祭りであります。1,153年目のお祭りを,感染防止と両立させながら,やっていきたいと思っております。


(記者)

 先ほどおっしゃったように,コロナ後の観光が復活していけば,観光収入も見込めると思いますが,依然として市の財政は厳しい状況にあると思います。公債償還基金の取り崩しに頼らない体制を実現していくためにはどこに切り込んでいったら良いのか,具体的な目標などありましたら教えていただきたいです。


(市長)

 大きく二つあります。

 一つ目は,2年前に持続可能な財政の確立のための審議会において,京都市の財政状況を公開,フルオープンな場で議論に議論を重ね,昨年3月に答申をいただき,それに基づいて令和4年度予算を編成しました。大きく前進しております。令和7年度公債償還基金残高1,000億円以上を最低条件としましたが,すでに1,300億円を超えて確保できる状況となっております。方針は確定しておりますので,それを着実に実行することによって,持続可能な財政を実現できると確信しております。

 二つ目は,成長戦略であります。京都のあらゆる強み,ポテンシャル,これを市民の皆さん,経済界,大学,みんなで最大限生かしていくという点も,現時点で非常に好調な滑り出しになりつつあります。本日発表した京都市立芸術大学隣接地もその一つであります。すぐに財政に反映されるわけではありませんが,先ほど言いましたボヘミアン指数など,芸術を志す方が集まることが,寛容性,多様性のあるまちづくりに繋がり,そこにイノベーションやクリエイティブが集まってくるという考え方は世界で評価されています。そうしたことも含めて,幅広く着実に推進していく中で,10年後に,令和3年度から5年度の改革があったから元気な創造的な京都があると言われるように着実に腰を据えて計画を実行していくとともに,丁寧に御説明申し上げていきたいと思っております。


記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

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