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門川市長記者会見(2019年11月20日)

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2019年12月2日

市長記者会見(2019年11月20日)

「市民生活と調和した持続可能な観光都市」の実現に向けた今後の方向性について(中間取りまとめ)

 市民生活と調和を最重要視した持続可能な観光都市。すなわち,市民・観光客・事業者・未来 四方よしの持続可能な観光地マネジメントの実践につきまして御説明申し上げます。

 私は,いつも申し上げていますが,京都は観光のために作られた都市ではございません。寺院,神社,自然,景観,町家,食文化,あらゆる文化芸術も,今,観光の面で高く評価されていますが,それらは観光のためにできたものでなく,市民が大切にしてきた京都に伝わる暮らしの美学,生き方の哲学,そうしたものが,これ程の大都市にも拘わらず,脈々と伝わっており,これが観光的にも評価されているということです。もちろん,おもてなしの文化として観光を大事にしてきたまちでもありますが,基本は市民生活であります。その市民生活を徹底して大切にしていく。その基本をもとに新しい取り組みをしていく。今,市民ぐるみで取り組んできた京都観光,大きな前進をみております。同時に,新たな課題も生じております。この観光に関する課題は,国内外の都市でも起きていることですが,京都は課題解決先進都市として,市民ぐるみで全力を挙げて取り組んでいく。そのための政策の深化,さらには政策の転換も図っていく,そんな決意のもとにまとめました。

 この間,たとえば,観光消費額は,この5年間で約1.9倍となる1兆3000億円を達成。国際会議開催件数も5年間で約2倍となりました。この9月に日本で初めて開催された世界博物館大会ICOMは,市民の皆さんにも感動していただきました。さらに,来年4月には,国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)が,京都で開催されます。犯罪を無くしていく。さらに罪を犯した方が償いをされ,それを社会でしっかりと受け入れていく共生社会を作っていく。そんな会議が京都で開催され,世界の人々の幸せと平和に貢献していくことは,尊いことです。

 本市では,2008年,私が市長に就任した早々ですが,観光客5000万人を達成して以降,量を求めないで質を高めて,量は結果として確保するという方針に,観光施策の大胆な転換を図ってまいりました。質の面では,京都観光の満足度を維持・向上していこうとした結果,例えば,平成30年の京都観光総合調査における京都観光の満足度は,日本人観光客90.3%,外国人観光客97.6%という高い評価をいただいております。質の面ではいろいろありますが,日帰り観光より,宿泊観光。泊まってこそ京都という取り組みも一貫して進めております。その一方,近年の外国人観光客の急増等により,観光が市民生活にさまざまな影響を及ぼしているのも事実です。市民の皆様の暮らしを大事にしなければ,京都が京都でなくなる。市民の安心・安全,京都ならではの地域文化の継承を何よりも重視していかないといけない。こうした思いから,これまでの観光施策の成果を確認すると同時に,課題を今一度しっかりと全庁挙げて検証し,今後の施策に繋げていくため,本年5月に「市民生活と調和した持続可能な観光都市」推進プロジェクトチームを立ち上げました。私からは,プロジェクトチームに対し,市民の皆様をはじめ,有識者や観光関連事業者の皆様からの御意見をしっかり把握しながら,「できるものはすぐ実行する」,「できないと思っているものでも,あらゆる可能性を追求する」よう強く指示をし,様々な取組を進めてまいりました。そして,9月の記者会見では,地域や民間事業者の皆様と連携しての,秋の観光シーズンに向けた新たな対策を発表しました。

 『最先端のAIとビッグデータを活用した全国初の「観光快適度の見える化による分散化」』。また,マナーの啓発につきましては,『延べ8000社以上の観光事業者,18カ国の大使館・領事館,48社の海外メディア等へのマナー周知協力の要請』,これは京都商工会議所・京都市観光協会等と連携して行っています。さらに,『関西空港等におけるマナー啓発動画の放映』について,スピード感を持って展開して参りました。

 同時に,宿泊施設の質を高める取組も進めてまいりました。7月には,地域と調和し,地域に貢献する宿泊施設を支援する新たな制度を立ち上げております。また,オフィスや若い方々の住宅等の需要が高まる中,「地域と調和せず,地域の活性化や京都の文化の継承につながらない施設は控えていただきたい」との考えの下,9月から,経済界と連携して,関係業界に対し要請を行っております。さらに,市バスの混雑対策では,委託先を含む1,350名のほぼ全てのバス運転士に丁寧な聞き取りを行い,混雑の実態把握に取り組むとともに,市バスにおける取組の他,今秋,京都バスには,東山地域において通常とは異なる新たな運行ルートの設定による臨時運行,大原地域へは地下鉄と組み合わせた京都バスの臨時増便によるアクセス強化を実施いただくなど,秋の混雑対策に全力を挙げて取り組んでおり,お客様にも好評いただいております。

 これらの緊急的な取組に加えて,この度,同プロジェクトチームにおける検討結果を踏まえ,基本指針と具体的方策を取りまとめました。それでは別紙1の1ページを御覧ください。「一部の観光地・市バスの混雑,マナー問題等の発生」,「宿泊施設の急増」,「オフィス・研究所・住宅等の必要性の高まり」などの京都観光を取り巻く急速な環境変化に対して,市民の皆様の懸念が高まっております。市民の安心・安全,地域文化の継承を最重要視し,市民生活と観光の調和を図ることが,京都のまちづくり,また京都観光にとっても喫緊の課題であります。このため,四方よしの持続可能な観光地マネジメント,すなわち「市民」・「観光客」・「事業者」,そして「未来」,すべてにとって満足をもたらし,京都市民の暮らし,京都のまち,京都観光を発展させる。まさにSDGsの理念を踏まえた,観光地マネジメントを実践してまいります。

 この実現に向け,「混雑への対応」,「宿泊施設の急増に伴う課題への対応」,「観光客のマナー違反への対応」の3つを柱として取り組んでまいります。1つ目の柱が「混雑への対応」です。近年,SNSの普及等により「人が人を呼ぶ」「インスタ映え」現象が生じており,「清水・祇園」を訪れる日本人観光客の訪問率が平成25年の35%から平成30年には50%近くに増加するなど,特定の観光地で混雑が発生しております。しかし,一方で,山科や高雄では訪問率が減少し,大原では観光客がピーク時の3分の1になったとの声もお聞きするなど,誘客を望まれるエリアも数多くあるのが現状です。このように,地域ごとに状況が大きく異なることから,地域や交通機関の実情に応じた観光需要のきめ細かいマネジメントや分散化に,最先端のAIやICTなども活用しながら対応してまいります。また,市バスの混雑への対応も急務です。一部の路線や区間において,依然として車内混雑が発生していますが,全国的な運転手不足などによって,増車や増便による「輸送力の強化」はただちには困難な状態にあります。こうした中,混雑の緩和を図り,市民・観光客の皆様に安全で,快適に御利用いただくために,民間のバス事業者や鉄道事業者ともしっかり連携し,移動経路の分散化や乗降時間の短縮に取り組んでまいります。

 2つ目の柱が,「宿泊施設の急増に伴う課題への対応」です。宿泊施設は,平成28年から急増し,現在では,計画されている宿泊施設も含めると,基本的には施設数としては十分に足りています。一方で,北部山間地域の農家民宿など,地域固有の魅力を活かした施設や,地域文化の継承につながる施設は必ずしも十分ではありません。また,増加している施設の多くが京都駅周辺や市内中心部に集中しています。こうした中で,地域住民への配慮を欠く運営を行う違法・不適正な宿泊施設によるトラブルなども生じてきました。このため,昨年6月の国による住宅宿泊事業法,いわゆる「民泊」新法の施行に当たっては,緊急時には10分以内に駆け付けることを義務付けるなど,法律の限界ぎりぎりまで挑戦した全国一厳しいといわれる条例をはじめとする本市独自ルールを制定しました。46人の専任体制のもとに徹底した取組を行っており,無許可営業疑い施設として通報があった2,583件のうち99%に当たる2,564施設が,本市の指導等を受けて営業中止等に至り,調査・指導中の施設は19件に激減しました。窓口に寄せられる騒音等の苦情も大きく減っており,非常に高い効果をあげておりますが,トラブル等の根絶にまでは至っていません。また,4年前は宿泊施設不足が本市の最大の課題でしたが,今日の京都の最大の課題は,京都市の魅力と都市格が飛躍的に向上する中,市内で働く人が増加し,京都に進出したいというスタートアップ企業などのオフィス・研究所や住宅等の必要性が大きく高まっており,これに対応していくことが本市の課題となっております。このため,私は,市民の安心・安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入をお断りしたいと宣言します。今後,あらゆる政策の手段を用いて取り組んでまいります。参考までですが,泊ってこそ京都,宿泊観光は重要であります。日本人の京都への日帰り客が減少していると言われますが,日本人の宿泊観光を見ると,全国が平成27年から平成30年にかけて,7%減少している中で,京都は8%増加しております。一方で,日帰り観光は大きく減っている。京都の観光客数がピークであった平成27年から14%減少しておりますが,全国の国内延べ旅行者数もピーク時から13%減少し,同様の傾向にあり,むしろ,ただいま申し上げたとおり,京都は,日帰りは減っているけれども宿泊は増えている。京都の増減については,いくつかの要素があると思います。縦貫自動車道が開通し,広域観光,関西や中部等から車で来られる方が,京都市内ではなく「海の京都,森の京都,お茶の京都等」に行っていただいている。これは非常に良いことだと思います。「宿泊観光」が増えて「日帰り観光」の率が減っていくということは大事だと思っています。旅館業界の方が,一生懸命おもてなしについて取り組んでこられた成果だとも思っています。

 3つ目の柱が「観光客のマナー違反への対応」です。京都を訪れるおよそ4分の3の外国人観光客が,京都に初めてお越しになられる方です。日本の文化や習慣を御存知ないため,マナー違反に繋がっているケースもございます。「郷に入れば,郷に従え」と言われますが,京都の文化や習慣を御理解いただき,ルールを守っていただくことが,お互いに気持ちの良い滞在に必要と考えております。そのために,観光客,とりわけ外国人観光客に対して,京都の文化・習慣の情報を届け,しっかりとマナーを遵守いただけるよう,効果的な啓発に努めてまいります。また,同じ京都の中でも,祇園,伏見稲荷など,地域によって課題となっているマナー違反が異なっており,それぞれの地域で,区役所・支所と連携し,組織を立ち上げ,マナー対策を実行し,効果をあげていただいております。こうした地域の団体等が行う取組を,宿泊税を活用して一層支援してまいります。観光課題の解消に向けて,地域,事業者の皆様とも連携を図りながら全庁を挙げて取り組むとともに,市民生活の豊かさ・地域文化の継承に向け,市民の共感・参画の輪を広げていくことによって,持続可能で市民・観光客・事業者の満足度の高い国際文化観光都市の実現に繋げてまいります。

 続いて2ページから4ページまでに,それぞれの柱ごとの重点的な取組項目を記載しております。私からは新たに実施する事業を中心に御紹介させていただきます。まずは,「地域,交通機関等の実情に応じた観光需要のきめ細かいマネジメント・分散化」です。新たに「観光客のホームページ閲覧解析を通じた分散化」に取り組んでまいります。年間約2,500万件のアクセスがある京都観光オフィシャルサイト「京都観光ナビ」の閲覧状況を解析し,例えば,サイトの閲覧回数が多く,京都観光に詳しいと思われる方に,伏見稲荷以外の伏見や山科等の周辺地域や穴場スポットを紹介するなど,閲覧者のニーズに沿った分散化に資する情報や特典等を,京都大学に昨年度創設された観光MBAとの協働で検討・発信し,一層の分散化を図ってまいります。次に,「観光バス駐車場一元発信ツールの作成,ドライバーへの情報提供」を開始します。ICTを活用し,京都市内の観光バス駐車場の満空情報をリアルタイムで確認できるようにすることで,観光バス駐車場の効率的な運用を促し,路上混雑の解消に繋げます。続いて,「市バスにおける移動経路の分散化と乗降時間の短縮」です。一つは,分かりやすく効率的な乗車券制度となるよう,各種割引乗車券の抜本的見直しを行います。見直しに当たっては,「乗降時間の短縮」のため,新たにICカードでのポイント還元制度を導入します。地下鉄は,ICカード利用者が67.3%,市バスは37.3%です。その枠組みの中で,「移動経路の分散化」のため,市民を中心とした利用頻度の高い方に対する将来的なバス・バス無料乗継を視野に入れた検討を行います。もう一つは,乗降時間の短縮や車内のスムーズな移動が期待できる「前乗り後降り方式」について,現在,観光に便利な系統への導入を順次進めているところです。今後は,全84系統のうち,約7割を占める均一運賃区間を運行する62系統へ拡大したいと考えております。そのためには,約1000箇所のバス停の調査も必要です。この市バスにおける混雑対策の2点については,来年度に具体的な制度・計画案を策定する予定です。

 3ページを御覧ください。「宿泊施設の急増に伴う課題への対応」です。はじめに,先ほど申し上げましたように,市民の安心・安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入はお断りしたいと考えています。まず,宿泊施設と地域との調和を図るための手続等の充実を行います。宿泊施設の整備時に,より一層市民生活との調和を求めるための手続の充実を検討するとともに,安心・安全で利用しやすく,より質の高い施設にしていただくようあらゆる手段を総動員して取り組みます。

 次に,住宅宿泊事業法に基づく宿泊施設に引き続き,従前からの旅館業法に基づく施設においても,原則として,人を宿泊させる間,営業者等が駐在することを義務付け,例外的な小規模宿泊施設についても,10分800mの駆け付け要件を課しており,令和2年3月31日までの経過措置期間中に管理体制を確保することとしております。この規定を徹底するため,観光庁とも連携し,民泊仲介事業者に不適正な施設はインターネットサイトから削除するよう厳格に要請してまいります。簡易宿所が3,197件。その多くが,新たに厳格な対応が求められます。また,「地域と調和せず,地域活性化や文化の継承につながらない施設は控えていただきたい」旨を,経済団体と連携して関係業界に要請してきましたが,オフィスや研究開発拠点等のニーズに対し,本年中に,本市の「企業立地総合支援窓口」において民間事業者が有する不動産情報を提供する制度を開始します。そのほか,小学校跡地の活用の在り方を抜本的に見直し,原則,オフィスやスタートアップ拠点への活用を中心に検討してまいります。

 さらに,「観光と調和しながら安心して暮らし続けられる活力に満ちた都市の構築」に向け,地区計画や建築協定を活用した,住民主体のまちづくりを積極的にコーディネーターの派遣等により推進します。現時点で,建築協定で宿泊施設の規制等をしているのが15地域,地区計画自体は66地域ありますが,宿泊施設について踏み込んでいるところはありません。住民主体の取組として本市が支援していく体制を作っていきたいと考えております。併せて,不足するオフィス等や子育て世代のニーズに合った住宅の供給に向け,都市計画手法の活用をはじめ,空き家の流通促進,子育て・教育環境の充実など,あらゆる施策を総動員させて,安心して住み続けられる取組を推進してまいります。次に,「より質の高い宿泊観光への進化」を図るため,地域固有の歴史・文化・自然の魅力を活かした宿泊観光を目指し,北部山間地域等において,農家民宿等の新設・拡充を支援するなど,「グリーンツーリズム」を推進いたします。

 4ページを御覧ください。「“郷に入れば郷に従う”京都のマナー遵守に向けた効果的な啓発」です。現在,祇園町南側地区において,国との実証事業によるスマートフォン等へのマナー情報のプッシュ通知や,巡視員の配置による多言語での注意・啓発等を行っております。こうした実証事業の結果等を踏まえ,より効果的なマナー啓発を,他の地域にも展開してまいります。また,「宿泊税を活用した地域の取組への支援」として,各地域の実情に応じた対策をより強力に行っていくため,地域団体等で取り組むマナー啓発等に対する補助金を拡充してまいります。

 一方で,市民生活の豊かさを高め,地域文化を継承するとともに,市民の皆様に観光のもたらす効果をしっかりお知らせし,共感いただき参画につなげていくことも重要です。この間,宿泊施設に,支援学校を卒業した障害のある子供たちが,就職して料理人やパティシエとして活躍している事例もあります。市民生活と観光の調和を一層促進するため,市民・観光客・事業者の満足度を高める取組に対して,宿泊税を重点的に活用します。併せて,宿泊税の効果をしっかりと市民の皆様にお伝えできるよう発信を強化してまいります。また,これまで,京都観光総合調査では,観光客の満足度や,観光客数,観光消費額など,観光客や観光事業者により関わりの深い項目について調査を行ってまいりました。来年度からは観光に対する市民意識調査も実施してまいります。市民の皆様の観光に対する意識をしっかりと把握することで,より包括的な観光地マネジメントを行い,持続可能な観光都市の実現に繋げてまいります。なお,5ページ以降は,より詳細な現状分析や取組内容などをまとめております。会見後の記者レクにおきまして,担当者から詳細な説明をさせていただきます。

 本日発表した中間取りまとめにおいて,4項目,50事業を新たに充実・強化しております。今後は,プロジェクトチームにおいて,これらを中心とした対策に全力をあげて取り組んでまいります。また,来年度に策定を予定している京都市の次期観光振興計画にも反映させ,市民の安心・安全,地域文化の継承を最重視した市民生活と観光の調和,いつまでも京都の魅力が続くように,SDGsの視点も含めて取り組んでまいります。御存知のとおり,京都は市民ぐるみの取組により,SDGs先進度調査において全国1位に選ばれました。私は,持続可能な観光の実現に向けて,課題を明確にし,それに真摯に取り組むことがSDGsの観点からも,非常に重要であると考えております。海外旅行者数が増加する中,鎌倉などをはじめ,国内外の観光地において,様々な課題に直面しております。本市は,課題解決のモデルとなるような取組を進めてまいります。

 最後に,12月には,国連世界観光機関とユネスコが主催し,世界各国の観光と文化の大臣が集い,文化と観光とSDGsについて議論する「観光と文化をテーマとした国際会議」が,先進国で初めて,ここ京都で開催されます。世界各地で,観光に関する様々な課題が出てきている。文化と観光が注目されている京都において,持続可能な社会を作っていく。地域コミュニティを大事にする。地域固有の文化を大事にする。そして,孤立,貧困,環境破壊といったあらゆる社会的課題にしっかりと対応していく。そうしたことを議論したうえで,今回,取りまとめた市民の安心・安全,地域文化の継承を最重要視した「市民生活と観光との調和」,すなわち,市民・観光客・事業者・未来 四方よしの観光地マネジメントの考え方についても,同会議で予定している京都宣言にしっかりと盛り込み,世界に対して発信してまいります。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(宿泊施設の急増に伴う課題への対応について)

記者

 宿泊施設が増えることによる弊害についてどのように考えていますか。

市長 

 平成28年3月に約3万室であったものが,今年3月には約4万6000室に増え,なおも増え続けている状況です。したがって,宿泊施設は足りており,これ以上増え続けると,劣化や過当競争になる恐れがあります。

そのため,今後は「市民の安心安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参

入をお断りしたい」と覚悟を決めて宣言いたしました。あらゆる手法を駆使しまして,実効性ある対応を行っていきたいと考えております。

 

記者

あらゆる手法を駆使するということですが,条例による規制で宿泊施設の進出に歯止めをかけることについてどのようにお考えでしょうか。

市長

あらゆる手法を選択肢にして参りますが,実効性のあるものが必要になります。「地区計画」あるいは「建築協定」を活用するのが良いと考えていますが,今後,専門家を含めて具体的な手法を検討してまいります。なお,新たにできる宿泊施設については,より質の高い施設にしてもらうための手法について検討します。その結果として,カプセルホテルのような宿泊特化型の施設は規制の対象となるかもしれません。

記者

宿泊施設を規制する地区計画の成立要件について,住民全員の合意を得ることのハードルは高いと思いますが,どのようにお考えでしょうか。

市長

地区計画を策定するうえで,法的には全員合意は前提ではありません。徹底して地域で議論したうえで,意見がまとまり,それが京都市のまちづくりの方針と合致する場合は,地域が求める地区計画として認めていく必要があると思っております。

 

記者

既に計画されている宿泊施設の新設に関する許認可について,今回発表された方針に沿う形で見直しを検討するお考えはありますか。

市長

既に計画されている案件に,遡及して適用することはありません。地域住民との合意形成は,まちづくりの基本ですので,それを徹底的に追求することが大事だと思っております。今後も,担当部局において誠実に地域の住民の方々に寄り添いながら,対応していきたいと考えています。

 

記者

以前に,高級ホテルが足りないという発言をされていたが,今も足りないと考えていますか。

市長

私は,「高級ホテル」という言い方はしておりません。何をもって「高級」とするかにもよりますが,地域と調和し,地域の文化の発展に繋がっていくような宿泊施設が,京都市にも必要だということを発言しておりました。そういった意味で,いわゆる「高級ホテル」は,随分増えてきました。

例えば,農家民宿も,私はある意味で高級な宿泊施設だと考えております。

記者

オフィスの不足について,そもそも建物等の供給が少なければ,マッチングは難しいかと思いますが,何かお考えはあるのでしょうか。

市長

この10月から,「京都市の中心部」と「らくなん進都」で,宿泊施設は除き,オフィスビル等について,金融・税制支援が受けられる「立地適正化計画」制度が動き始めました。こうした取組を含め,オフィスビルの整備を全力で支えていきたいと考えています。

 

記者

 宿泊施設の「お断り」について,覚悟をもって宣言したということですが,2016年に発表された宿泊施設誘致方針から,今回大きな転換点を迎えているということでしょうか。

市長

 大転換点です。4年前,記者会見をしたときに,記者の皆様からは「オリンピックまでに,京都のまちで10000室増えるというのは可能なのか」という質問があったくらい,京都では,新たに宿泊施設を作るのは難しいというのが,一般的な感覚でありました。それが,急増いたしました。現実を踏まえた大転換であります。

 

(市バスの各種割引乗車券の抜本的見直しについて)

記者

市バスの各種割引乗車券の見直しの話がありましたが,収益の観点から,1日乗車券の値上げや廃止は検討されているのでしょうか。

市長

市バスは,市民の足でありますので,しっかり維持していかなければなりません。

本音を言うと,観光客の方には料金を多くいただいて,市民の方には安くするのがよいと思いますが,法的にそれはできません。そのため,ICカードで利用頻度を把握し,頻繁に利用する人は安く,あまり利用しない人には高く,という仕組みを実現できないかと考えています。

また,乗客が分散するよう,市バス間の乗継ぎ無料化を検討します。なお,これに伴う利用者の増加に伴う課題の対策についても,引き続き検討してまいります。

したがって,今直ちに1日乗車券を廃止することを考えているわけでありません。

 

(小学校跡地を活用したスタートアップ拠点について)

記者

宿泊施設の過剰な進出を抑える一方で,オフィス等が足りないというお話がありましたが,今後,企業のスタートアップ支援の拠点も必要だと考えていますか。

市長

オフィスやスタートアップ支援の拠点については,廃校となった小学校の跡地等を活用することを検討します。なお,跡地の活用に関する提案については,やはり宿泊施設の提案は多いですが,今後は,よほど市民の安心・安全と地域文化の継承を重視する提案でない限り,その実現は難しいと考えています。また,地域から宿泊施設にして欲しいという要望があり,それに基づいて手続きをしている案件については,当然そのまま進めます。

 

記者 

 小学校跡地を活用してスタートアップ拠点を作ることには,どういう魅力・メリットがあるのでしょうか?

市長

 事実として,市内中心部にオフィスを置きたいという希望があります。中心部の良い所をスタートアップの拠点にしていきたいと思います。例えば,校舎そのままで良いという人もいます。Kyoto Makers Garage(京都メーカーズガレージ)も非常に人気があります。しかし,長期的には,耐震性なども含めて検討しなければならない。京都に進出を目指す事業者と個別にしっかりと協議を進めると同時に,地元関係者と調整しているところです。

 

記者

消防署跡地をスタートアップ拠点に活用するという事例もありましたが,小学校跡地に限らず活用していくという方針ですか?

市長

 国内外から,注目されているのは大学や文化芸術との連携により新たな価値を創造できる環境です。こういった面で,この1,2年京都は国内外から脚光を浴びています。さらに,京都の企業がこういったことに関心を持たれて,新たなビジネスに踏み出そうとされています。これらを支援する場にしていきたいと思っています。

 

(日本人観光客の「京都離れ」について)

記者

 日本人宿泊者は増えていますが,一方で「京都離れ」の懸念もあります。その点について,どのようにお考えですか?

市長

 色んな関係者から意見を聞きました。混雑しているという声もあります。しかし,客観的な数字が大事です。我々は,客観的なデータを基に解析し,新たな取組を進めてまいります。併せて,体感・感性・感情も大事であると思います。「錦市場が大変や」とおっしゃる方がおられましたが,御自身は実際には行っておらず,ニュースで見ましたと。先日も,「花見小路が大変や,このままでは舞妓さんが倒されてしまう」と言われることもありましたが,これもテレビで見ましたと。私はきちっと対応しているので安心してくださいとお答えしました。このような声にしっかりと答え,正しい情報を発信していくことが大事です。京都市内で世界遺産が14,お寺や神社は2000を越え,観光名所はたくさんあります。その中で,混雑しているのは10箇所に満たないというのが観光専門家の御意見です。それをいかに分散させるか,また,正しい情報を発信するのかが大事です。

 そして,日本人宿泊者数は全国で減っているのに対し,京都は増えている。これには,極めて明るさを感じます。

 

報告案件以外に関する質疑

(京町家の継承について)

記者

 京町家の保全・継承について様々な課題もあるかと思いますが,市長はどのような点を大事にして保全・継承に取り組むべきとお考えですか?

市長

 京町家を保全・活用するためには非常にコストが掛かりますが,宿泊税を活用し,助成も拡充することができました。さらに,京町家に対する理解も深まっています。なんとしても,保全・活用していきたいです。また,届出せずに解体した場合にはペナルティをかけるという全国に例のない取組も進めています。こうしたことを総合的に進めていきたいと思います。

記者 

京都市としては,京町家の外観がそのままであれば,良いというお考えですか。

市長 

 京町家は,京都に伝わる暮らしの美学,生き方の哲学,そうしたものが凝縮されています。不動産ですが,文化的価値も含めて保全していきたいと基本的には考えております。ただ,来月の観光と文化の国際会議でも大きなテーマの一つですが,生活する人は時代の進化とともに利便性を追求される,旅人は非日常性を求められる。一方で,観光客がその地域の文化を大事にしようとおっしゃられる。矛盾しているみたいですが,京都のある呉服屋さんは,「戦後,最高の着物ブームである。若い男性が着物を着るというのは戦後ほとんどなかった。外国人が着だしてから,日本人も着るようになった。」とおっしゃっておられました。このように,観光というのは,地域固有の文化の価値を再認識するものです。その象徴が和食です。和食は外国で凄いブームですが,国内の料理学校で和食を学ぶ人は1割であります。世界では和食が評価されていますが,日本人は洋食を食べています。世界で評価されて,観光客も和食を評価し,日本人も再認識する。日本酒も似ています。したがって,京町家は,京都人が京都らしい生活をしなければ,保全する価値がないとは思いません。京都らしさを守りながら宿泊施設にする。あるいは,最近では,スタートアップの会社が京町家を使っていることもあります。京都に進出する企業が,あえて京町家で取り組んでおられます。畳の上に,コンピューターを置いて,世界と連携する。これは京都でしかできません。

 

(京都市長選の投票率について)

記者

 参院選,統一地方選と,なかなか投票率が上がらない状況ですが,京都市長選における投票率については,どのようにお考えですか。

市長

 市長選に限らず,この4月の統一地方選も含めて,日本中で低下し続けております。これは民主主義の危機だと考えております。選挙の重要性をしっかりと啓発して,投票率向上に努力していくことは極めて大事なことです。投票することが市民参加の象徴,根幹だと思います。投票率の低下には危機感を持っております。統一地方選では,あれだけの候補者が一生懸命訴えられて,投票率は40パーセントを切るという状況です。京都市として投票率の向上のため,全力を挙げたいと思っています。

 

(観光と文化をテーマとした国際会議について)

記者

 来月,観光と文化をテーマとした国際会議が開催されますが,何を最も発信したいとお考えですか?

市長

 今まで文化だけ,または観光だけの議論はたくさんありました。今回は,観光と文化を一体として考えるものです。カンボジア,オマーン,トルコで過去3回行われてきましたが,先進国での開催は初めてです。機能を強化した文化庁の全面的な移転,京都は世界に冠たる文化都市です。そして,観光でも高い評価をいただいており,さらに「誰一人取り残さない」SDGsの面でも高い評価をいただいています。また,2050年COs排出ゼロを高らかに宣言した京都議定書誕生の地でもあります。あらゆる社会的課題を解決していく。そのための文化と観光。その中には,全国,世界で起こっているオーバーツーリズムの問題もあります。世界の色んな方に聞きますと,一部の地域に集中しているから,オーバーツーリズムになるという悩みは共通しています。そういった点も踏まえて,しっかりと議論してまいります。観光は,平和をもたらす営みであると思います。世界の人々が交流する,そして,それぞれの課題を共有し,より良い世界にしていく。そのために,観光が果たす役割は極めて大きいです。同時に,その地域の文化が継承されないなど,様々なテーマもあります。貧困,格差,失業,孤立,紛争,気候変動,環境破壊,それらにしっかりと対応し,解決する。京都宣言に全部盛り込み,国内外へ発信してまいります。

 

(文化財の防火対策について)

記者

 京都には世界遺産がたくさんありますが,沖縄の首里城の火災を受けて,改めて御指示されたことはありますか?

市長

 首里城の火災について,本当にショックを受けています。今,首里城を支援するための募金活動も行っております。しっかりと心を繋いで,やっていきたいと思います。

消防局を先頭に,直ちに文化財の防災・防火総点検をしております。同時に,自衛消防隊,あるいは自衛消防組織がしっかりと機能しているかどうか。また,お寺などのろうそく,線香,工事中の電気設備などの点検についても,きめ細かく周知徹底しています。今回の周知に基づいた点検の際,分電盤が熱いことに気付き,雨漏りによる漏電だったという事例がありました。今回のことを,しっかりと教訓にして取り組んでまいります。

 

(JR西日本の働き方改革による終電の前倒しについて)

記者

 1か月ほど前に,JR西日本が働き方改革により終電の前倒しを実施されると発表しましたが,京都市は何かしら対応されますか。

市長 

 それぞれの組織における働き方改革が大事でありますので,私どももその実情を十分理解して,それに対応した働き方改革を進めていかなければならない。したがって多くの人がやむを得ないという意識を持っているのではないかと感じております。

 

(吉本興業との連携について)

記者

吉本興業の芸人によるツイッター広告について,市長はどのようにお考えですか。

市長

 京都映画祭を引き継いだ京都国際映画祭は非常に好評を得ており,他にも様々な連携をしております。SDGsの取組も先進的に行われております。したがって,色んな信頼関係のもとに取り組んでおりますが,今回のことはしっかりと教訓として活かしてまいりたいと思います。

記者会見資料

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京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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