門川市長記者会見(2019年9月18日)
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2023年4月12日
市長記者会見(2019年9月18日)
中西進氏,今井政之氏,長尾真氏京都市名誉市民への内定について
本日は,私から2点御報告いたします。初めに,国文学者の中西進(なかにし すすむ)様,陶芸家の今井政之(いまい まさゆき)様,情報工学者の長尾真(ながお まこと)様の3氏を市会の議決をいただいたうえで,京都市名誉市民の称号をお贈りし,表彰させていただくことを内定しましたので,御報告します。
本年,平成の御代が幕を閉じ,令和の時代が始まりました。この時代の区切りにあたり,昭和から平成にかけて多大な御功績を残され,現在も第一線で偉大な御活躍中の,京都市に非常に御縁の深い3氏に名誉市民の称号をお贈りします。
お一人目は国文学者の中西進先生。令和の元号の出典元ともなった万葉集の成立過程を論じた業績は「中西万葉学」とも評され,「現代国文学界の象徴的存在」と謳われています。先生は「万葉集の中に息づく平和への祈りを実現するのが『令和』の時代の役割だ」と仰っています。感銘いたしました。永い歴史と伝統を継承しながら,揺らぐことなく「平安」を希求し続けてきた京都。その京都で,永年にわたって研究活動に励んでこられたことは,世界文化自由都市・京都の実現,さらには,その先の世界恒久平和の実現に向けて,大きな力となっています。また,国際日本文化研究センター教授をはじめ,数多くの要職を歴任されるとともに,本市においても京都市立芸術大学学長として将来構想を策定し,大学の発展に尽していただきました。京都市景観・まちづくりセンター理事長,京都市中央図書館長及び京都市右京中央図書館長にも御就任いただくなど,文化を基軸とした京都のまちづくりに大きく貢献いただいております。
お二人目は陶芸家の今井政之先生。先生は製作が困難とされる「面象嵌(めんぞうがん)」の技法を確立されるなど,永年にわたり新しい手法への挑戦と研究を重ねてこられました。そして,自然の躍動感を焼き物に宿らせるその高い技術力と芸術性は世界中から高く評価されており,京都のみならず我が国を代表する陶芸家として御活躍中です。また,日本藝術院会員,日展常務理事をはじめとした要職を歴任され,本市においても,京都市芸術文化協会顧問を務めていただくなど,文化芸術の発展及び後進の育成に大きく貢献いただいております。昨年5月に,政之(まさゆき)先生・眞正(まきまさ)先生・完眞(さだまさ)先生の親子三代の陶展へお招きいただき,素晴らしい作品の数々を拝見して感動しました。中でも真正面に飾られ存在感が際立ち,思わず目を奪われた政之先生の大作を御寄贈いただけることになり,第一応接室に展示させていただきました。国内外からの賓客の皆様に,日本文化の粋を極めた作品を堪能していただいております。
三人目は情報工学者の長尾真先生。「本当は,未来から来た人なのではないか」。先生は,世界中の研究者からそう言われているようです。1960年代からコンピューターによる言語翻訳を手がけ,画像や言語処理について数々の先駆的な研究で世界を牽引し,今日の高度情報化社会の実現に大きく貢献されています。今では当たり前になりつつある人工知能や顔認識技術の向上にも,この頃から携わっておられます。また,京都大学総長をはじめ,数々の要職を歴任されるとともに,本市においても,京都市スーパーテクノシティ構想推進戦略会議メンバー,大学のまち・京都推進懇談会座長,これが大学コンソーシアム等に繋がっています。そして,京都市音楽芸術文化振興財団理事長として,産業・教育・文化と幅広い分野における本市のまちづくりにも大きく貢献いただいております。先月,将来の音楽芸術文化の担い手を育成するため,我が国で唯一の自治体直営オーケストラとして創立された京都市交響楽団と,来年に創立140周年を迎える公立では日本で最も古い伝統を有する芸術大学の京都市立芸術大学との連携協定締結にも御尽力をいただきました。感謝しております。
京都はもとより我が国の文化人類学,芸術文化,科学技術の発展に大きく寄与されたお三方は,京都市民の尊敬の的と仰がれるに相応しく,後世にまでその御功績を称えてまいりたいと考えています。今後,9月の市会に議案として提案し,御同意いただいたうえで,10月15日開催の自治記念式典において表彰させていただく予定です。
「市民生活と調和した持続可能な観光都市」の実現に向けて今秋から開始する新たな取組について
次に,「市民生活と調和した持続可能な観光都市」の実現に向けて,この秋から開始する新たな取組について御報告いたします。いつも申し上げていますが,京都は観光都市ではございません。今,観光で高い評価を受けている,寺院,神社,自然,景観,食文化,文化芸術には,京都に伝わる暮らしの美学,生き方の哲学が凝集されている。それを一番大事にしなければ,観光も持続可能なものになりません。
したがって,市民生活が根本であり,市民生活を大事にしなければ観光も持続可能なまちづくりもありえないと考えております。したがって,市民生活と観光との調和というのをより一層重視していかないといけない。こうした中,これまでの観光施策の成果と課題をしっかりと検証し,今後の施策に繋げていくため,本年5月に「市民生活と調和した持続可能な観光都市」推進プロジェクトチームを立ち上げました。
7月の記者会見では,秋ごろを目途に,中長期にわたる取組について,中間的な方向性を取りまとめることを申し上げました。同時に,緊急対応が必要な項目,「違法・不適正な民泊施設への対策と宿泊施設の質の向上」,「観光地の混雑対策」,「市バスの混雑対策」,「観光客のマナー対策」について,スピード感を持って取組を強化することを申し上げました。
宿泊観光の効果を市民生活の豊かさに一層つなげるため,記者会見の8日後には「地域協働・貢献型 宿泊施設促進制度」を創設し,地域団体等との協働によるまちづくりや地域貢献等に取り組んでいる質の高い宿泊施設の拡大に努めているところです。
今回は,秋の観光シーズンを控え,地域や民間事業者の皆様と連携し,新たに取り組む対策を,取りまとめました。大きく3点ございます。
1点目は「観光地の混雑対策」です。昨年,日本初の取組として,紅葉時期の嵐山地域において,観光客の位置情報を活用して観光需要を予測し,それを観光快適度として見える化することで,観光客の分散化を図る実証事業を行ったところ,「訪問時間の分散化」や「多様なエリアへの誘客」等の成果が得られました。
今般,実証事業の成果を踏まえ,観光客の時期,時間,場所の更なる分散化を図り,市域全体の活性化につなげるため,京都観光オフィシャルサイト「京都観光ナビ」において,観光快適度の見える化の取組を本格的に実施します。本日から公開する京都市全域のページでは,6箇月先までの日ごとの観光快適度の予測を5段階で表示するとともに,観光客で賑わう時期でもゆっくりと観光できる山科や大原,高雄,京北,西京,お稲荷さん以外の伏見などのエリアを紹介し,時期と場所の分散化を促進します。さらに,春と秋の観光シーズンには,「祗園・清水エリア」,「嵯峨・嵐山エリア」,「伏見エリア」の3つのエリア内における複数の観光スポットの時間帯別観光快適度の予測を表示するとともに,快適な観光ルート情報を公開し,時間の分散化・エリア内の回遊を促進してまいります。
観光快適度は,スマートフォンの位置情報や天気などのビックデータをもとに,AIによって予測します。さらに,利用者へのアンケート結果を予測に反映させることで,精度を高めてまいります。ゆっくりと静かな京都を堪能いただくため,京都へお越しいただく前から,この機能を活用していただき,最適な観光計画を立ててもらいたいと考えております。
2点目は「市バスの混雑対策」です。市バスの混雑対策については,御利用の多い系統における「輸送力の強化」,「市バスから地下鉄への利用促進」,「手ぶら観光の促進」の3つの視点を柱に取り組んでいます。
このうち「市バスから地下鉄への利用促進」につきましては,JR西日本とも連携し,これまでも様々な取組を実施してまいりました。更なる取組として,JR西日本が訪日外国人向けに発売している企画乗車券「関西エリアパス」に,新たに地下鉄と京阪電車の一日券を組み込み,来月1日から発売いたします。これにより,京都駅と観光地の間を市バスで移動されているお客様を地下鉄,JR,京阪電車へ誘導し,市バスの混雑緩和の促進を図るとともに,市内中心部の混雑を避けた観光を楽しんでいただけます。例えば,京都駅で降りて岡崎に行かれるのではなく,山科まで行っていただいてから地下鉄で岡崎に行っていただく。あるいは,京都駅から金閣寺に行かれる場合は,地下鉄で北大路駅まで行っていただく,もしくはJRで円町駅まで行っていただき,そこから金閣寺に行っていただく。その方がバスの運行もスムーズで時間も短く行けます。また,日本へお越しになる前から最適な観光ルートを計画していただくため,世界14都市に設けている京都市海外情報発信・収集拠点や外国人観光客向けオフィシャルサイト等を活用して地下鉄,JR及び京阪電車を利用したモデルコース等を発信してまいります。
この他,今後,より効果的な取組を講じていくためには,市バス車内の混雑が発生する時期や時間帯,区間など実態を把握する必要があると考え,バス運転士1,300名から聞き取り調査を実施しているところです。これらの調査結果を踏まえ,まもなく迎える秋の観光シーズンにおいても,可能な限りの対策を実施してまいります。
3点目は「観光客のマナー対策」です。マナー問題の解決は,市民と観光客の双方にとって,より良いまちづくりに繋がるものであり,市民生活と観光との調和には,欠かすことができません。マナー問題については,その地域の習慣を知らないということが,要因の一つといえます。そのため,観光客の皆様に京都の生活習慣やマナーを知っていただくため,次の3点を新たに実施し,マナー問題の解決に向けた取組を強化します。
1つ目は,初めてオール京都で行う旅行業協会等への協力要請です。京都への旅行を企画され,観光客と接する機会が多い事業者やガイドの皆様におかれましては,直接,観光客へ必要なマナーを御説明いただきたい。そこで,日本旅行業協会,全国旅行業協会などの事業者に対して,観光庁とも連携し,京都市長,京都市観光協会会長,京都商工会議所会頭の連名で,マナー啓発に係る協力要請を行います。行政だけでは限界があります。マナー問題の解決に向けた取組を強化するため,事業者の皆様のより積極的な御協力をお願いしたいと考えております。
2つ目は,宿泊施設や飲食店等においてマナー啓発に御活用いただく啓発ステッカーの作成・配布です。ゴミのポイ捨て禁止や撮影禁止,飲食禁止など,10種類程度の項目について,ピクトグラムを活用したマナー啓発ツール『ENJOY RESPECT KYOTO(エンジョイ リスペクト キョウト)ステッカー』を作成します。言葉が分からなくても,直感的に内容が伝わるステッカーを配布し,マナー啓発の強化に努めてまいります。なお,作成したステッカーは,宿泊施設や飲食店等の事業者の皆様をはじめ,どなたでも御活用いただけます。
3つ目は,マナー啓発動画の作成です。観光客の皆様に守っていただきたいマナーを紹介するもので,本市の観光客向けオフィシャルサイトや関西国際空港,ギオンコーナー,御協力いただける宿泊施設等での上映を予定しております。私も動画に出演し,観光客の皆様へメッセージを発信し,しっかりと京都の想いをお伝えしたいと思います。
地元の皆様のお声は切実であります。観光客の迷惑行為をなくし,住む人も訪れる人も気持ちよく共存できるよう,全力を尽くしてまいります。今回の取組の効果や地域の皆様の意向等を踏まえ,引き続き,市民生活と観光の調和を最優先に,観光を地域経済の振興と活性化につなげる観点に立ちながら,効果的な混雑対策やマナー対策等の取組を着実に進めてまいります。
冒頭にも申し上げましたが,市民生活と観光の調和に関する課題の解決に向けて,中長期に渡る取組については,客観的・専門的なデータを把握し,有識者や事業者,市民の皆様の御意見を聞いた上で,11月頃に中間的な方向性を取りまとめます。
なお,本市で対応可能なものにつきましては,全力を挙げて取り組んでまいりますが,国の制度改正が必要なものについては,しっかりと国へ要望してまいります。引き続き,地域の特性や,地域の皆様の意向に応じ,適切に観光地の管理を図りながら,市民生活と観光との調和に全力をあげて取り組みます。
そして,12月12日から,我が国で初めて,国連世界観光機関とユネスコが主催し,世界各国の観光と文化の大臣が集う「観光と文化をテーマとした国際会議」が開催されます。観光×文化ということで,SDGs,持続可能な観光・まちづくりといったことをテーマにして,オーバーツーリズムの問題も含めて,京都宣言を発信していきたいと思っています。
この会議は,カンボジア,オマーン,トルコといった観光に力を入れておられる発展途上国などで開催されてきました。先進国といわれる国,都市での開催は今回が初めてです。観光について,精神的な取組をしてきた京都,また今日的な課題も含め,「誰一人取り残さない」持続可能なまちづくり,そして世界の人々の幸せと平和に貢献できる観光,そうしたことをしっかり議論する場が京都に与えられました。しっかりと京都宣言という形で世界に創造的に発信し,モデル的な存在に京都がなっていけるよう全力を挙げて取り組んでまいります。
今後とも,住んでいる方も訪れた方も,双方にとってより良いまちづくりを推進し,「持続可能で満足度の高い国際文化観光都市」を実現してまいります。
質疑応答
報告案件に関する質疑
(名誉市民の内定について)
市長
中西氏は新元号「令和」を考案したと言われていますが,今回の名誉市民の内定について関係はあるのでしょうか?
記者今回の名誉市民の内定と直接関係はありません。中西先生の今日までの万葉集の研究,京都市立芸術大学学長,あるいは図書館長など,幅広い御活躍によるものです。私も何度かお話しさせていただくことがありましたが,非常に幅広い教養をお持ちで,かつ楽しい方です。
(「市民生活と調和した持続可能な観光都市」の実現に向けて今秋から開始する新たな取組について)
記者
昨年,嵐山で観光需要の予測に初めて取り組まれましたが,その効果についてどのようにお考えですか?
市長
サイトを御覧になった方のうち,混雑を気にすると回答された方の約8割の方が「サイトが参考になった」と評価しました。また,混雑する時間をずらして訪問した方は約5割でした。さらに,サイトを御覧になった方のうち,20年前に比べて観光客が減っている奥嵯峨エリア等,観光客の集中が見られないスポットに来られた方の約4割がサイトをきっかけに訪問されたという結果も出ています。非常に効果を実感しています。より精度を高めていけば,さらに素晴らしいものになっていくと思っています。
記者
国の制度改正が必要なものについては要望していくとのことですが,具体的に想定されているものはありますか?
市長
住宅宿泊事業法が施行されて1年が経ちました。しかし,未だに仲介サイトに手続きを経ていない住宅が登録されています。京都市は46人の専任体制で,かつて2,556件あった違法と思われる民泊の99%を営業中止等させました。それでも未だ24件あります。仕組みの改革が必要と考えております。
また,旅館業法は許可制ですが,住宅宿泊事業は届出制です。花脊や久多で農家民宿をやられる場合でも許可制です。しかし,住宅宿泊事業は届出制で,手数料もかかりません。私は許可制,更新制にすべきであると,制度発足の前から言っています。引き続き,他の都市とも協調しながら,国に制度の改革を求めていきたいと考えております。
記者
12月の観光と文化をテーマとした国際会議で,京都宣言を発表するとのことですが,具体的にどういうことを盛り込んでいくのでしょうか?
市長
世界の文化大臣,観光大臣にお越しいただき,日本の観光庁,文化庁と共に議論します。UNWTOとUNESCOの調整に非常に時間を要し,2週間ほど前にようやく開催時期が決まりました。京都宣言は,中身の濃いものにしたいと思っています。観光の前に文化がある,文化と観光とSDGs。それぞれの地域固有の文化,地域住民,コミュニティ全てが持続可能である。こういったことをしっかりと押さえる必要があります。
また,文化による交流をすることで,それぞれの地域の文化の偉大さに気付き,寛容な精神を持つことができる。そうしたものが育ち,新たな文化も創造されていき,そのことが,「誰一人取り残さない」持続可能な地域づくり,世界づくりに貢献する。こうした理念をしっかりと明確にした宣言にしたいと思います。
今,世界中で貧困,格差,紛争,環境破壊等,様々な課題があります。それらに対して,観光と文化という視点で挑戦してまいります。そして,それぞれの地域の知恵を生かして,その地域の市民が豊かになり,地域が発展していくような宣言にしたいです。
記者
「京都は観光都市ではない」という言葉に込められている市長の想いをお聞かせください。
市長
「京都は観光都市ではない」。これは,我々が大事にすべき基本を端的に申し上げております。京都は観光も大事にしてきたまちです。明治維新で都市存亡の危機の時,洛中は6割が焼けていましたが,西本願寺は門徒の皆さんが必死になって火を消し止めたため消失を免れました。そして,明治4年,その西本願寺で我が国初めての博覧会が開催されました。翌年,続けて開催した際の余興で出来たのが「都をどり」です。都市存亡の大変な時に観光に力を入れてきました。
また,来年,観光MICE推進室は90年を迎えます。おそらく全国の自治体で最も先に観光課を作りました。さらには,戦後,今から60年以上前に制定された京都市市民憲章のひとつに「旅行者をあたたかくむかえましょう」とあります。
また,世界文化自由都市宣言の基本理念は,世界中の人々があらゆる人種,宗教,社会体制を越えて京都にお越しいただき,多様性を大事にするまちということです。観光と目的は同じ。したがって質の高い観光を目指してきたというのは間違いではありません。
記者
今回の取組により,観光客の方がより観光しやすく,またより京都のことを幅広く知っていただける機会になると思いますが,市長から京都に来られる方々へメッセージをいただけますか。
市長
例えば,外国人観光客の方が祇園で舞妓さんの写真を撮っておられて,「写真を撮らないで」とお願いすると,「なぜだめなのか,私たちは美しい,素晴らしいと思って写真を撮っています」と仰られます。なぜ撮ってはいけないのかがわかっていないのです。十数年前,嵐山の周辺に急激に外国人が増えた時期がありました。お寺,神社のお札を黙って持ち出したり,トイレの水を飲んだり,土足厳禁の場所に土足で上がるなどの問題がありました。その際に,地域の人たちとどのような被害があり,なぜそのような行動をとるのかを聞き取りしました。そうすると,「日本では道を歩いているだけでティッシュをもらえます,日本ではどこでもきれいな水が飲めます,土足で上がってはいけないとはどこにも書いていません。」と仰られます。我々が当然だと思っていることが意外と知ってもらえていないのです。これらのマナーについて徹底して周知・啓発をはじめると,急激に問題が収まっていきました。この文化の違い,生活習慣の違いが摩擦となっています。したがって,我々がしっかりと説明責任を果たし,京都のルール,マナーを守っていただけるよう,相手に伝わる手法で徹底して伝えていくことで,訪ねる方と生活する方双方の満足度が高まり,良い関係ができると思います。
おかげさまで,昨年の外国人観光客1,600人以上を対象とした調査で,京都の観光の満足度は 97.6%と極めて高い評価をいただいており,国内の人も90.3%と9割を超えています。みなさんで創ってきた京都の都市格,観光地としてのブランド力,これらを,市民,事業者そして観光客のみんなで大事にし,向上していかなければなりません。我々もあらゆる努力をしてまいりますので,お越しの皆様にも宜しくお願いしたいと思います。
報告案件以外に関する質疑
(京都造形芸術大学の名称変更について)
記者
京都造形芸術大学の名称変更について,尾池学長から「市長は中立の立場であるべきだ」との御発言がありましたが,市長の受け止めは?
市長
京都造形芸術大学,京都市立芸術大学,また京都には多くの芸術系大学が存在しています。それぞれが立派な建学の精神のもとに発展してこられました。とりわけ,造形芸術大学の30年の歩みは素晴らしいと思います。そして,多くの尊敬する,敬愛する先生方がおられますし,私自身,造形芸術大学で話をさせていただくことも度々あり,また,様々な造形芸術大学の発展のため,京都市も御支援申し上げてきたこともあります。
この問題についてはしっかりと解決し,共々に文化芸術都市・京都,大学のまち,学生のまち京都を推進していきたいと思っています。同時に,大学の名前を新たに変更される際に,卒業生や志願者,多くの市民,国民が混乱しないような名称にするということは,当然の原則だと考えております。そのことをもって,私どもも再考をお願いしておりますし,独立行政法人として京都市立芸術大学が名称変更について申し入れをしてもだめだということで訴訟を起こされております。司法の場でこれから議論が進むと思っておりますが,その訴訟そのものは,独立している大学法人の主体的な判断による取組ですが,設置者として京都市は京都市立芸術大学と共にあります。
(消費税増税について)
記者
10月から消費税が上がるが,経済等への影響については,どうお考えでしょうか?
市長
京都市と京都府,国とも連携しながら,万全の対策を今日まで講じてまいりました。いよいよ大事な時期だと思っています。国において軽減税率,あるいは非課税世帯,子育て世帯へのプレミアム商品券,それらについては,京都に大いに関係しておりますので,今全力で実務を進めているところであります。さらに,京都市独自に商店街,伝統産業の需要を喚起する取組も進めております。また,京都市と京都府で一体となって融資の体制も進めております。
この間,事業者の準備状況の把握等をしていますが,「準備が少し遅れている」,「あるいは軽減税率の部分が複雑である」といったお声もいただいていますので,私どもとしても全力を挙げて課題解決に向けて取り組んでいるところです。
また,景気動向,米中摩擦等々もあり,国において判断されています。京都市としても,10月以降あらゆる状況を把握しながら,中小企業,零細企業,地域企業への支援が緊急に必要である場合は,必要な対策を府市協調で取り組んでまいります。同時に,国にも要望し,状況を把握しながら万全な体制で対処していきます。
(地球温暖化対策について)
記者
2050年までにCO2排出実質ゼロに向けて,条例の見直しをされるかと思いますが,その条例の中に中長期的な目標を明文化されるのか,また京都府との足並みはどのようにお考えですか。
市長
京都市として環境審議会に諮問させていただきました。条例の明文化については,審議会の答申を待ちたいと思います。
私どもは「京都議定書」誕生の地,さらにパリ協定実行のための「IPCC京都ガイドライン」が採択された京都として,未来に対する責任があります。例えば,この20年で人口は横ばい,観光客が増えているのに関わらずごみを半減させ,約26%のエネルギー消費量を削減してきました。こうした全国に誇るべき市民ぐるみの実績もあります。しかし,2050年までにCO2排出を正味ゼロにするためには,この延長線上でできるものではありません。今年の猛暑も含めて環境問題が異常であるということをみんなが肌で感じる昨今です。2050年に世界の気温上昇を1.5℃以下に抑えるためにCO2排出を実質ゼロにするという目標,それなくして人類の未来はありません。このことを押さえて,今をどう考えるか,こうした決断が必要だと思います。
私は保育園,幼稚園等に度々行くことがあり,先日は100歳の方のお祝いにも行きました。今の子どもたちは100歳まで生きるわけです。100年後の地球がどうなっているのか,また我々が未来の子どもたち,また次の世代の子どもたちに対してどう責任をもって行動していくのかを明確にする必要があると思います。京都府ともできるだけ足並みを合わせていきたいと思っています。
記者会見資料
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