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門川市長定例記者会見(2016年11月16日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2016年11月16日)

京都駅八条口駅前広場整備事業の完成について

 本日は私から,2年前から整備を行っておりました,「京都駅八条口駅前広場」が,12月15日にグランドオープンしますので,御報告いたします。

 京都市には,年間5,600万人を超える観光客がお越しになります。先日も,アメリカの権威ある旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」において,世界観光人気都市2位という栄誉ある評価をいただきました。京都市民はもとより,多くの世界の方々にも京都駅を御利用いただいております。京都市は,港も空港もない世界でも稀有な国際都市であり,京都駅が正に玄関口でございます。また,歩くまち京都,公共交通優先の取組を実施するうえでも京都駅は大きな役割を果たしております。

 京都駅の八条口は,昭和39年に東海道新幹線の開通した際に,大規模な整備が行われましたが,それ以後,半世紀を超えて同じ状態でした。そのため,タクシー乗降場は客待ちのタクシーで溢れ,駐車スペースに入れないタクシーが八条通を塞ぎ片側3車線あるにもかかわらず慢性的な渋滞を引き起こしておりました。

 京都市では,多くの関係事業者,地域の方々との丁寧な話し合いを経て,合意形成を行い,3つの基本方針を基に平成23年に「京都駅南口駅前広場整備計画」を策定しました。3つの基本方針,「歩くまち・京都の玄関口」,「京都の顔」,「まちの賑わいの創出」を基に,限られたスペースの有効活用を図りながら,公共交通の乗継利便性の向上や快適な歩行者空間の創出を目指し,平成26年11月に整備を開始いたしました。

 皆様の御理解のもと,整備期間中は無事故で順調に工事が進められました。12月のグランドオープンに先立ちまして,新たな京都駅八条口駅前広場の特徴と魅力を3点お伝えいたします。

 まず,1点目は,「公共交通の乗継利便性の飛躍的な向上」でございます。市バスや地下鉄,JR,民間バスなどが今まで以上に利用しやすくなりました。

 京都駅の中央,南北自由通路の南端に,京都を訪れる多くの方々をお迎えする場所,また,京都から出発される場所として,まちの玄関である「門」をイメージした拠点広場「みやこ夢てらす」を整備いたしました。

 これにより,路線バス乗降場や一般車送迎スペースへ,雨に濡れることなく直接アクセスできるようになりました。また,「路線バス乗り場」につきまして,以前は駅の東西に分散して分かりにくかったバス停を,駅正面に集約いたしました。特に,鉄道との乗り換えが多い市内路線バスを拠点広場から近い位置に配置し,公共交通の乗継ぎ利便性,わかりやすさが向上しました。

 2点目は,「快適な歩行者空間の創出」であります。

 以前は歩行者にとっては空間が狭く歩きづらい,車いすの方,身体的な条件のある方が非常に困っておられることもございましたが,今回の整備により,多くの方が同時に利用していただけるようになりました。広くゆったりと歩けるようになった歩道には,交差点や動線の分かれ目など,乗り継ぎにも配慮した誘導案内サインや施設案内サインを配置いたしました。

 また,拠点広場「みやこ夢てらす」の人々が集まる場所には,駅周辺の地図や路線バスのりば等を掲載した総合案内板を設置しております。特に,拠点広場「みやこ夢てらす」には,音声案内機能を付けた総合案内板を設置いたしました。

 次に「サンクンガーデン」です。大型観光バスの出入りする貸切バス乗降場のそばに,市民の方や修学旅行生などの利用者にくつろいでいただく空間として,大階段とこれまでに無かった上屋を整備しました。300人の方がバスを快適に待っていただけるスペースを確保いたしました。サンクンガーデンには,水飲み場やドライミスト設備も設置しています。

 最後の3点目は,「限られた空間の有効活用」でございます。

 整備前は,駅正面の大部分をタクシーの待機場やパーキングチケット駐車場が占めており,送迎のためのスペースがなく,送迎時の乗り降りは,自動車が行き来する八条通の路肩を利用しておりました。今回の整備により,八条通の車線数を6車線から4車線に削減し,パーキングチケット駐車場を廃止するなど施設の抜本的な配置の見直しにより,空間を確保し,障害のある方,一般車や送迎バスのための乗降スペースを,新たに駅正面東側に整備いたしました。この結果,便利で安全に乗り降りしていただけるようになりました。

 この送迎スペースは,人の乗り降りのための停車以外は駐停車禁止としております。しかし,駅への送迎のため,どうしても短時間駐車しなければならないという方のために,アバンティ地下の駐車場を30分間無料にするなどの取組も合わせて実施しております。また,警備員を配置するなどルールを徹底して,一般車送迎スペースを確保しております。多くの方々に適切に御利用いただいており,現在は整備前のように八条通に車両が溢れ出し交通渋滞を引き起こすといった事態は生じておりません。

 そのほか,整備前に,八条口の路上に溢れていたタクシーや観光バスの対策として,それぞれの乗降場を整備いたしました。タクシーは,乗り場と降り場を駅正面の東西に分離しまして,駅前広場内の通行を円滑にするとともに,タクシーをスムーズに乗り場に誘導するため,乗り場の西側にタクシー待機場を整備しました。

 また,乗り場から離れた場所に待機場所を設け,駅前の待機場の空き状況を確認しながら無線でタクシーを送り出していくショットガン方式を本年4月から導入しております。この対策により,八条通の渋滞が解消されています。

 また,貸切の観光バスの乗降場は,タクシーの経路と分離しまして,アバンティ前に整備しました。そして,整備前の2倍となる12台分に拡大しました。貸切の観光バスについては,タクシーと同様にショットガン方式を導入する予定で準備を進めております。

 このほか,駐輪場についても限られた空間を有効活用し,地下空間を利用した高い収容能力をもつ機械式地下駐輪場612台分を,京都府内で初めて採用いたしました。また,まちかど駐輪場と合わせて合計852台の駐輪場を整備しております。以上の整備を12月に完了し,12月15日にグランドオープンいたします。

 今回,ハードの整備は完了いたしますが,引き続き,皆様に適切な御利用をお願いすることについて,関係機関ともしっかりと連携を図りながら取り組んでまいります。

 東京オリンピック・パラリンピック,その翌年のアジアで初めて開催される関西ワールドマスターズゲームズなど,日本が,また京都が注目される時期が近づいてきております。市民の皆様はもとより観光客の皆様に快適に御利用いただけるよう利便性の向上に取り組んでまいります。

報告案件に関する質疑

(プレオープン時の課題への対応の成果と供用開始後の課題について)

記者 

 供用済み部分におけるソフト対策の成果は。また,全面供用開始後の中長期的な改善についてはどうお考えか。

市長 

 工事中は案内が不十分だったために,行き先がわかりにくいといったこともあり大変御迷惑をおかけしました。現在は,丁寧な案内を行っておりますので,そういったことはないと思います。

 また,送迎スペースを駐車スペースと勘違いされている方もいらっしゃいますので,ルールを周知徹底しております。さらに,アバンティ地下にある京都駅八条口駐車場を30分間無料で御利用いただけるようにいたしました。結果,休日の夕方は一時的に送迎スペースが埋まることもありますが,多くの市民の方にルールを御理解いただき,円滑に御利用いただいております。

 観光シーズンには,「タクシーが来ない」というお声もいただいておりましたが,専門家の方からは,整備によるものではないとの御意見もいただいており,タクシーの数が不足していることが原因になっていると考えております。今後も国内・国外から多くの旅行者がお越しになりますので,3つの集中を是正したいと考えております。1点目は「時期の集中」,2点目は「場所の集中」,3点目は「時間の集中」でございます。「観光シーズンの平準化」,「観光客の分散化」,「朝観光や夜観光の充実」などにより,3つの集中を是正し,持続可能な,満足度の高い観光都市を実現していくという王道の取組が大事だと思います。

 また,観光バスについては,収容台数を6台から12台に拡大しましたが,修学旅行の集中する時期は依然収容台数が不足すると考えておりますので,予約制の採用や誘導員の配置,ショットガン方式を導入してまいります。このようなソフト面の対策が重要だと思っております。

 将来的な課題としては,京都駅から公共交通を使って観光地へ誘導することだと思います。現在もJRや京阪と連携し,東福寺まで行っていただいているケースがございます。引き続き,鉄道事業者や観光事業者とともに,乗継ぎ利便性の向上に取り組んでまいります。

記者

 観光バスのショットガン方式は,乗降場の完成と同時に開始するのか。

市長

 バス事業者との調整もありますので少し時間がかかります。

記者

 待機場の場所は確定しているのか。

市長

 十条通の高速道路下にある鴨川西ランプです。

報告案件以外に関する質疑

(自転車保険の加入義務化について)

記者

 来年度に,自転車保険への加入を義務化する改正関連条例が施行される動きがあるが,改めて,条例化によって,どのようなまちを目指していきたいと考えるか。

市長

 京都駅にも800台を超える駐輪場を整備しました。「京都は自転車の似合うまち」という評価もいただき,自転車を利用される方,また,外国人観光客の皆様が自転車で観光地を回られるということも増えています。環境にも良いですし,好ましい傾向だと考えています。

 同時に,交通事故の視点からみますと,自動車の交通事故が大幅に減少していますが,自転車同士の事故は増加しております。自動車との関係におきまして,自転車は弱者であるという認識がありますが,自転車は乗り方によって,危険な乗り物であるということが,利用者に理解されていない面もあります。

 自転車の通行によって,お年寄りや体の不自由な方,さらには,子どもたちが非常に危険な目に合われることが多いですし,自動車との関係で交通事故の危険もあります。

 自転車の走行環境の整備と利用者のモラルの向上について,現在,取組を進めております。同時に,政令市では最初になるかと思いますが,自転車は,危険な乗り物であるということを認識していただき,加害者としての責任を果たしていただくために,保険の義務化について,審議会において,非常に中身の濃い議論をいただいています。実効性のある条例にしていきたいと思っています。

 京都のまちでは,保険をかけていない自転車は走らない,乗らないという考え方でもって,徹底した保険の義務化を進めていきたいと考えています。とりわけ,私が危惧していますのは,外国人観光客による自転車事故です。外国人観光客の方が関係する自転車事故が起きたとしても,外国人の観光客の皆様はすぐに帰国されます。そういうことで,被害者の救済がしっかりできるかどうか,心配な面もあります。

 したがいまして,レンタル自転車の事業者に,しっかりと説明を行い,保険に入っていただき,その保険がしっかりと機能する取組を重点的に進めていきたいと思っています。

 さらに,京都で自転車利用が多いのは,学生の皆様が多く利用されていることが言われていますが,大学等と連携して,自転車の利用者は,必ず保険に入るということを徹底してまいりたいと思います。もちろん,企業に対してもしっかりと要請して,条例化を進めていきたいと考えています。

 

(「民泊」について)

記者

 本日,大阪市で国家戦略特区制度を活用した「民泊」認定1号が出た。また,先日,門川市長による「民泊新法」に係る国への要望」が行われたが,改めて,市長の「民泊」に係る認識は。

市長

 先日,塩崎厚生労働大臣並びに田村観光庁長官と,お忙しい中,時間をとってお会いいただきました。さらに,京都選出の国会議員,石破元大臣に,要請活動を行ってまいりました。

 私は,いつも申しておりますが,地域住民と旅行者の安心・安全をしっかりと一致させること,そして,地域住民と旅行者の心の触れ合いが,おもてなしの最も大事なものであり,そこをしっかりと押さえた宿泊施設の拡充等の取組を進めていかなければならないと思います。

 京都では,4年前に,京都市独自の条例を作りまして,京町家を利用して宿泊施設にする際は,玄関帳場の設置条件を外すことを認めた結果,良質な簡易宿泊所が増えています。

 一方で,私は,家主不在型の集合住宅及びマンションでの「民泊」はふさわしくないと考えております。現に,多くの市民の皆様から,マンションの隣室が突然,「民泊」になり,夜中,子どもだけ家にいるときに非常に心配である。また,間違って呼び鈴を押される,あるいは,オートロックが機能しなくなったという悲痛な声もたくさんうかがっています。管理組合がしっかりと機能して,例えば,ワンフロア全てを「民泊」施設にするというような合意ができるなら別ですが,そうでない場合は,集合住宅というのは住宅を前提にした建物でありますので,好ましくないと考えております。それが,多くの市民の皆様の考えであります。

 国に対しては,「民泊新法」の制定に当たっては,地方自治体それぞれの理念,また,市民の皆様の声を踏まえて,各自治体の議会で議論し,独自の政策が執れるようにしていただきたいと考えております。

 なお,平成19年に制定されました日本観光の基本方針である「観光立国推進基本法」に,地域の特色をしっかりと踏まえて,地域の独自の文化を活かして,地域が活性化する観光振興でなければならない,また,国の政策はそれを踏まえて実施するということが明記されています。この基本方針を受けまして,地方独自のルールを議会とともに作るということが大事であると思っています。それらについて,厚生労働省,また,観光庁からも御理解ある見解を示していただいていると思っています。

 

(「民泊」の京都観光への影響について)

記者 

 先日の厚生労働大臣の記者会見でも,「民泊」をめぐる地域とのトラブルが将来の観光に影響を与えるという認識を示されていますが,改めて「民泊」がトラブル化することの京都観光への影響についてどのようにお考えですか。

市長

 パリのシャンゼリゼ通りなど観光の聖地のような場所で,小・中学生をはじめとする住民が減っています。例えば,10万円の家賃のアパート・マンションで子供を育てながら生活している方が,1日1万円で部屋を貸した方が大きな利益が出るので,更新時に継続を断られて,追い出されてその部屋が「民泊」になっていくといった現象が起こっています。パリのテロの犯人も「民泊」に泊まっていたというのが現実であります。ニューヨークでも1か月未満の「民泊」については規制していこうという動きが顕著になっております。京都においても賃貸住宅の更新を拒まれているという事象も出てきています。

 観光は確かに大事で,日本のこれからの文化の発信や経済を大きく担う事業にしていかなければなりません。しかし,それと同時に,市民生活の安心安全を前提とする必要があります。とりわけ,古くからの住民,子育て環境,ものづくり,文化芸術と観光が見事に調和しているのが京都の魅力であり,それをしっかりと主張して,京都の市民の安心安全も,観光都市としての発展も持続可能なものとするように,しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

 なお,旅館業者と不動産業者の意見が対立しているような傾向が若干あるのですが,そうではなしに,私たちは市民生活を守り,同時に観光事業を振興させていくという視点で進めていきたいと思っています。

 

(「民泊」に関する今後の方針について)

記者

 「民泊」について,この間,新たに要綱案を作られたり,要請活動を進めたりされていますが,新法が本格的に出来上がるまでにもう少し時間がありそうですが,今後の取組の方針についてはどのようにお考えですか。

市長

 日本中で「民泊」が大変な状況になってきていますが,東京都23区と大阪市と京都市だけで「民泊」全体の4分の3になります。大都市の課題であると思いますが,志を同じくする方々と連携して取り組んできたい。とりわけ関西広域連合においても,地方の主体性で物事を検討し,制度を作ることについては大賛成をいただいており,関西広域連合でも議論し,国へ要請していきたいと思っています。他の政令指定都市とも連携していきたいと思っています。

 先程述べた観光立国推進基本法は,これにより観光庁もできているわけですが,その基本理念として「観光立国の実現に関する施策は,地域における創意工夫を生かした主体的な取組を尊重しつつ,地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続可能な発展を通じて国内外からの観光旅行を促進することが,将来にわたる豊かな国民生活の実現のため特に重要であるという認識の下に施策を講じなければならない」と定められており,国が観光施策を講ずる場合,地域の住民が主体的に考えて,豊かな生活を実現することが基本であると明確にされています。「民泊新法」においても,これをおろそかにしてもらっては困ると言っていきたいと思います。

 一例ですが,北海道の人が大阪・京都に泊まれないので,和歌山にも随分人が来るようになったということを聞いております。我々の「宿泊施設拡充・誘致方針」でも,京都市内で宿泊施設をすべてまかなっていこうという考えには立っていません。今日も琵琶湖疏水の上り線を試行運転しましたが,京都に泊まれない場合,滋賀や亀岡,奈良に泊まるといった広域的な視点も非常に大事だと思っています。

記者会見資料

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