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門川市長定例記者会見(2016年9月20日)

ページ番号205724

2016年10月25日

市長記者会見(2016年9月20日)

志村ふくみ氏の京都市名誉市民への内定について

 本日は,京都市名誉市民として染織家の志村ふくみ様を内定しましたので,御報告させていただきます。

 京都市では,昭和28年に,京都市名誉市民表彰条例を創設し,市民又は京都市に縁故が深い方で,公共の福祉を増進又は学術技芸の進展に寄与されるなど,大きな御活躍をされた方,又,広く社会の進歩発展に貢献し,市民の尊敬の的と仰がれる方を対象に,市会の同意を得たうえで,本市最高の栄誉として,表彰させていただいております。

 創設から60年を超える歴史の中で,被表彰者はわずか50名ということからも,名誉市民表彰がいかに重いものであるかということが,御理解いただけるかと思います。

 志村様は,昭和43年に右京区嵯峨野に工房を設立されて以来,半世紀近くにわたって,京都を拠点に創作活動を重ねてこられました。

 その御功績については,皆様御承知のとおりでありますが,天然染料を用いた,いわゆる草木染めで,色糸の美しさを追求され,自然の風合いを活かした鮮やかな着物に織り上げてこられました。とりわけ,繊細な濃淡のぼかしを取り入れるなどの独自の作風は,国内外で高い評価を受けておられます。

 さらに,普段着の着物として愛されてきた紬織を,「工芸」から「芸術」の域にまで昇華させ,独自の美の世界を創造してこられました。

 同時に,「植物の命をいただいて色にする」という想いを広く人々に伝えていこうと,活動されておられます。本市においても,平成25年に,岡崎に,染織の世界を学ぶ場として,Ars Shimura(アルスシムラ)を設立され,「自然と共生する心,自然への畏敬の念」を若い世代に伝えられるなど,後進の育成にも御尽力賜っております。

 また,随筆家としても御活躍され,染と織にまつわるエッセイ,「一色一生」,「語りかける花」などの著作で,大佛次郎賞(昭和58年)など数々の文学賞を受賞されています。

 志村様は,平成26年に稲盛財団の京都賞,その翌年には文化勲章を御受章になる等,既に数々の名誉ある賞に浴されております。

 京都市でも,染織工芸の振興に尽力されたとして,昭和61年に京都市文化功労者として表彰させていただいております。そこで,この度,本市最高の栄誉として,名誉市民の称号を贈呈させていただくことになりました。51人目ということになります。

 京都はもとより,我が国の伝統工芸,芸術文化の発展に大きく貢献してこられた志村様は,正に147万人の京都市民の尊敬の的として仰がれるに相応しい方であり,末永く,その御功績を称えてまいりたいと考えています。

 今後,市会の同意をいただいたうえで,10月15日開催の自治記念式典において表彰させていただくことになっております。

 私も,これまで何度となく志村ふくみ様に直接お会いし,趣深いお話を伺ったことがございます。

 志村様が作品の一つ一つに込められている「自然と共生する心,自然に対する畏敬の念」。本年3月に,京都国立近代美術館で開催された回顧展に伺った時も改めて実感しました。60年にも及ぶ志村様の足跡を辿りながら,京都で御活躍していただいていることに,ありがたいと実感いたしました。

 我が国に古くから伝わる思想に「草木国土悉皆成仏」という考え方があります。動物はもちろん,植物や足元の小石一つに至るまで,大切な命が宿っているという思想でありますが,それを大切にしていこうと考えられています。志村様は染料になる草木の命を敏感に感じられて,その見えない力を見事に表現されて,人々の生活の中に取り入れてくださっています。

 こうした素晴らしい取組を重ねておられる志村先生が,永年にわたって私たちのまち京都を拠点に,活躍され,創作活動に励んでこられました。私たち京都市民にとっても大きな喜びであり,誇りであります。

 今,我が国の伝統産業,伝統工芸が,厳しい状況にございます。その中で,志村様の志,また,その背景にある哲学,大変な御献身,御努力の積み重ねに,共々に学ばせていただきたいと考えています。

 私からは,以上です。

 

質疑応答

報告案件に関する質疑

記者 

 志村様の作品を見て,市長の感想は。

市長

 紬という日本で昔から使われてきたものを,芸術の域に昇華されたことを実感しました。同時に,志村様の御努力によって,自然の色を活かし,自然から命をいただきながら,それらが混ざることによって,新たな色が創出される。そんなことも改めて,実感しました。

 

記者

 志村様とお会いされた時の印象はどうか。

市長

 嵯峨野に住まわれ,伝統を活かして活動されておられます。京都の恵まれた自然,歴史についても語っておられましたし,徹底して,自然に対する畏敬の念をお持ちになり,その自然を活かさなければもったいない,自然を大事にしなければもったいないというお話しを,いつもいただいております。

 

記者

 10月15日の自治記念式典には,御本人は出席されるか。

市長

 是非とも,御本人にお越しいただきたいと考えています。決定しましたら,お話しさせていただきます。

 

報告案件以外に関する質疑

(京都市美術館のネーミングライツについて)

記者 

 京都市美術館再整備に係るネーミングライツの公募について,市会からは文化施設に企業名がつくことに反対の声もあがっているが,今後予定どおり進めていくのか。

市長

 京都市美術館は,京都で行われた昭和天皇の御大典を記念して,京都市民や京都経済界等の寄付を財源にしながら創設された美術館で,国内の大規模な公立美術館としては,上野に次ぐ2番目の歴史を誇っており,創設から今に至るまで,素晴らしい国内外の美術展が開催されてきました。また,市民美術館としても親しまれております。

 一方で,重要文化財に匹敵する建物は,老朽化やバリアフリーへの対応,温度・湿度の調整など様々な課題を抱えており,再整備は喫緊の課題であります。また,植物や水を使った現代アートなどを展示する環境が整っていないことや貸し館事業でほぼすべての日程が埋まり市独自の常設展が開催できないなど,施設が整っていないことで皆様に素晴らしい作品が御覧いただけない状態でもあります。来年からは,市民ぐるみで策定した再整備基本計画に基づき,3年間休館して再整備に取り組んでまいります。

 再整備に係る費用についてですが,京都市の厳しい財政状況に加えて,スポンサーの支援なしに成り立たないのが文化芸術であります。古くから世界においても,経済的に余裕のある方が,国民や市民のために,美術館の創設や美術展の開催に寄与されてきました。

 したがって,京都市美術館の再整備においては,ネーミングライツという形で,民間の御支援をお願いしたいと思います。ただし,歴史と伝統のある美術館ですので,「京都市」という名称を冒頭に冠してもらうことは明確にしております。そして,第三者による審査委員会を設置し,見識のある方に議論していただきます。京都市美術館の歴史と伝統,権威をしっかりと維持しながら,税金という市民負担をできるだけ軽減して,世界の文化の都にふさわしい美術館の再整備を実現させていきたいと思っています。

 

記者

 企業名が重要文化財化するという懸念もある。ネーミングライツの対象となる施設の範囲はどこまで広げるのか。

市長

 市会においても議論をいただいておりますので,市会からの御意見も大切にしていきたいと思います。

 京都市では,京都市の施設や公園など様々な市有財産についての活用方法の提案を随時募集しています。具体的な提案があれば,第三者による審査委員会を設置して,初めにいただいた提案に加えて,その他の意見も公募し,総合的に活用案を審査し採用する仕組みをつくっています。すでに公園などで採用されている例もございます。今後もスポーツ施設等につきまして,ネーミングライツ等の申し出がありましたら,その都度検討してまいります。

 厳しい財政状況の中でも,市民の皆様に文化やスポーツを楽しんでいただくためにネーミングライツを適切に活用してまいります。市庁舎や二条城にネーミングライツを導入することは一切考えておりません。

 

(文化庁移転について)

記者

 文部科学省側は,文化庁の京都への全面的な移転は2019年度以降になるという表現をしているが,市長の受け止めは。

市長

 文化庁の京都への全面的な移転については,閣議決定においても数年以内という表現がされていますので,1年,2年で実現できるというものではありません。数年以内という中で,同じ移転をするなら,オリンピック・パラリンピックはスポーツと同時に文化の祭典でもありますので,私どもはオール京都で,それまでに移転をと言っています。

 これまで,私どもは国に対して3点お願いをしてきました。1点目は地方創生待ったなし,文化の力で日本中を元気にしていこうというものです。文化庁の京都への全面的な移転には時間がかかるので,まずソフト面からできることを京都でやっていきましょうという趣旨です。この先行実施については,文部科学省やまち・ひと・しごと本部でも明確な考え方が示されて,その体制を組むための概算要求もされました。私たちも京都府や経済界と一丸となって取り組んでまいりたいと思っています。2点目は,文化庁の機能強化であり,これが極めて大事であると考えています。予算的にも,機能的にも拡充が必要であります。3点目は,京都のまち全体が文化庁のサテライトとしての機能を果たしていくということです。

 これら3点を国の方針として明確にしていただきました。そうしたことをしっかりと踏まえて,着実に取り組んでいくことが何より大事であると思っています。

 

記者

 先行移転される「地域文化創生本部(仮称)」について,文化庁,地元含めて30人が中心メンバーになるということだが,京都市からは何人ぐらいの職員を出すのか。また場所はどこになるのか。

市長

 国の文化庁移転協議会,そしてオール京都で議論し,決めていくことであります。現時点で京都市からは何人出しますと言える段階ではありませんが,京都府や経済界,大学等と相談しながら,京都市もしっかりと責任を果たしていきたいと思っています。

 また,場所についての具体的な検討は文化庁の方でされていますが,それについてもしっかり協議していきたいと思っています。場所を議論することも大事なのですが,京都のまち全体を文化庁のサテライトにすることも大事であると考えています。今,文化庁は東京の虎ノ門の文部科学省の一角にございますが,そこが常に芸術家が集まり,あるいは国内外の学生さんが集まり,芸術を語る場所になっているかというと,そうではありません。今回の実証実験でも,文化庁の職員の皆様に様々な場所へ出かけていただき,町衆の文化,あるいは国内外から来られる芸術家と交流を深めていただきましたが,こういうことこそが文化行政に活かされると思います。

 つまり,文化芸術を担う人のネットワークが広がっていくということが何よりも大事であり,京都の洛中であれば,そういうことが的確にできます。みんなが集えるネットワークの中心になれるかどうかが重要であると思います。 

 先日の岡崎での京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)は連日長蛇の列でありました。さらに,新たに整備されましたロームシアター京都,そして,平安神宮前の神宮道を公園化したところでのレッドカーペット,美術館の前でのプロジェクションマッピング等々,連日大賑わいで,芸術の都・京都を実感していただくことができたかなと思います。そうした市民の皆様の力,世界とつながる力も大事にして,文化庁の移転も含めて取り組んでまいりたいと思っています。

 

 

記者会見資料

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