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門川市長定例記者会見(2016年5月26日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2016年5月26日)

ロックフェラー財団「100のレジリエント・シティ」について

 本日,予定しておりました報告の前に,大変うれしいニュースが届きましたので,お知らせさせていただきます。

 世界最大規模の慈善事業団体でありますロックフェラー財団が世界中の都市を対象に募集し,京都市も応募しておりました「100のレジリエント・シティ」プロジェクトに,本市が選ばれました。

 「レジリエント・シティ」について少し説明申し上げますと,直訳すると,「弾力がある,回復が早い」といった意味でございます。このプロジェクトは,地震などの災害,あらゆる混乱等が起こった場合でも,それらに耐え,可能な限り早急に復旧し,より強靭になることを目指す都市を「レジリエント・シティ」と定義しておられます。

 この「100のレジリエント・シティ」プロジェクトは,ロックフェラー財団が設立100周年を記念して創設され,2013年から3年間で,自然災害をはじめ,あらゆる危機,脅威に立ち向かおうとする100の都市を全世界から公募して選定するものでございます。

 実は,京都大学の前総長で,現在,理化学研究所理事長をされている松本紘先生から,京都の危機管理等は世界標準で行い,世界トップ水準を目指すことで,京都市民と世界からお越しになる観光客や留学生の安心安全が確保できる。そして持続可能な都市として成長し,さらにそのことを世界にしっかりとアピールしていくことが大事であり,ガラパゴスでは駄目だという趣旨の強いおすすめがございました。

 これには,大変な労力が必要となります。また,応募して落ちてしまうと大変な逆アピールにもなります。しかし,京都が様々な社会や時代の変遷を経ても成長する都市であり続けるため,あえて申し込むことにいたしました。

 選定した100都市に対しては,ロックフェラー財団が,総額1億ドルの財政支援や,技術的な支援,選定都市相互の情報交換の場等を提供されることになっています。また,そのことにより,世界中に「レジリエント・シティ」を普及させることを目指しておられます。本市は3年目,最終年度である2015年のプロジェクトに応募しました。

 昨日,選定結果が発表され,今回の募集だけでも,世界80を超える国,325都市から応募があり,約10倍の競争率のもと,37の都市が選定されました。京都市も世界100都市のネットワークの中に入り,世界の専門機関としっかりと連携いたします。そして,世界標準の危機管理により脅威に対処するとともに,世界水準を目指して,都市として存続していくための取組をさらに強化してまいります。

 プロジェクトへの応募は,昨年11月より,ロックフェラー財団からの多岐にわたる質問に回答するというかたちで手続きが進められてまいりました。内部で侃々諤々の議論を積み上げ,例えば花折断層を震源とする直下型地震への備え,局地的な豪雨対策,土砂災害等の自然災害への対応などについて,本市の課題について一つ一つ丁寧に説明いたしました。また,市民生活に将来大きな影響を与える人口減少社会において,福祉等を維持向上していけるかという問題に対しても明確にお答えしてきました。

 ロックフェラー財団との質問と回答は35回に及び,やはり国際標準ということで,すべて英語によるものでございました。本年3月18日早朝には,私自身もロックフェラー財団によるインターネットでのインタビューをお受けしましたが,これは通訳についていただきました。

 例えば,サイバー攻撃の問題。あるいは選ばれた都市の中にはパリやボストン等も入っておりますが,テロの問題。あらゆる地域において,市民の安心安全を確保し,直ちに立ち直っていくことが求められております。そうした中で,私どもは京都が誇る「市民・地域の力」,「大学・学生の力」,「経済界の力」という,3つの力をしっかり活かして,より強靭な京都を築いてきたこと。そして東日本大震災以降,様々な  130の対策を進行させていることなどをお示ししてきました。

 今後とも覚悟を決めて,世界の京都,京都市があらゆる危機にしっかりと対応していけることを世界にも発信し,その取組を進化させていきたいという決意を新たにしております。

「京都市移住サポートセンター『住むなら京都(みやこ)』」の開設,及び北部山間地域への移住促進について

 続きまして,地域の多様な魅力と個性を活かした,市民・地域の皆様との連携した移住支援について御報告いたします。

 京都市では,全国に先駆けまして,昨年9月に「まち・ひと・しごと・こころ京都創生」総合戦略を策定し,人口減少の歯止めと,その大きな要因の一つでございます東京一極集中の是正を目指した取組を市民ぐるみで進めています。

 また,豊かな森林,清らかな水源に抱かれた,すばらしい北部山間地域は千年を超える京都のまち,都を維持してきた地域であり,京都の宝でございます。それらをしっかりと将来へ引き継いでいくことは,京都市民全員の大きな使命であり,京都市政の大きな課題であります。

 このため,昨年度には,市民団体等と本市で構成するプロジェクト「京都・移住応援チーム」を結成し,本市への移住を希望される方に,地域の多様な魅力と個性を情報発信するなど,移住促進に取り組んできました。

 この度,こうした移住促進を本格化し,移住の相談対応をはじめとした総合的な移住支援を行うため,「チーム京都」など市民ぐるみで取り組んできていただいた方たちと一緒になって,「京都市移住サポートセンター『住むなら京都(みやこ)』」を開設・運営いたします。

 また,今年度を「北部山間地域移住促進元年」と位置付けまして,高齢化,人口減少に悩む全国の過疎地域に勇気を与える山間地域への移住促進策を実施してまいります。

 はじめに,取組の背景である京都市の人口の状況について,御説明いたします。2ページを御覧ください。京都市では,京都創生懇談会の提言に基づく「京都創生策」や,「はばたけ未来へ!京プラン」などによって様々な取組を先進的に進めてまいりました。

 その結果,昭和43年から44年間転出超過が続いてきましたが,平成23年に転入超過に転じて以降,転入超過数が毎年増加し,人口は,平成27年国勢調査速報で,147万4,570人と,前回調査時と比べて555人の増となっています。

 しかし,全市を長いスパンで見ますと,上京区,中京区,下京区といった都心部で人口が減少しています。中京区は最近増えていると言われていますが,約17万人(昭和30年)から約9万人(平成7年)余りに減り,ようやく11万人(平成27年)に戻ったという状況です。上京区と下京区も同様であります。また,山間部においても京北地域など人口が減少しています。

 さらに,他地域との転入転出の状況を見ると,京都市から東京圏,大阪府,滋賀県,京都府南部への転出超過の状況にございます。

 5年前から流れが変わっておりますが,現在の転入超過が続いたとしても,中長期的には人口減少し,平成27年の147万人から,平成72年には111万人になると見込まれ,今後,出生率の向上はもとより,転入超過の維持・向上も極めて大事な目標となります。

 次に,移住サポートセンターの特徴を2点申し上げます。

 1点目です。京都市では,先ほど申し上げましたように,市民グループの皆様が,先進的な取組を進められておりますが,この市民グループの皆様との連携を図ってまいりました。

 例えば,「京都移住計画」は,京都への移住経験者により結成された市民グループで,この京都移住計画の取組が全国から注目を浴び,北海道から沖縄まで,各地に同様の取組が波及しています。

 私もいろんなミーティングに行きますが,移住計画のメンバーの方から,「京都市での活動経験を活かして,綾部や舞鶴などで活動を始めました,ごめんなさい」と言われます。私は,誤らなくていいですよとお伝えします。それは,東京一極集中に対する新しい流れを全国各地で起こし,京都がその渦元になりたいと考えているからです。京都で経験したことを全国で実践していただきたいと考えています。

 京都の大学関係者,学長さんと懇談会を行ったときも,ある学長さんがこんな話をされました。「東京の大学に行ったら,ふるさとに戻ってこないことも多いが,京都の大学で学べば,ふるさとに戻ってくる。そういう取組を強化していきたい」と。

 京都市も,若者が地元を出て,戻ってこないという,全国が抱える悩みを共有しておりますが,全国と一緒になって,全国の地方創生をリードする役割を果たしていきたいと思っております。

 4ページを御覧ください。様々な市民グループ・地域・関係団体・事業者等の皆様との連携の下,人口減少問題を「ひとごと」ではなく,「自分ごと」,「みんなごと」として,行政主導ではなく,市民ぐるみで行う,徹底した,市民目線・移住者目線の支援が,この取組の最大の特徴となっております。

 次に2点目です。休日も対応できるフリーダイヤルによる移住相談窓口と,東京事務所内にも相談窓口を開設することで,利用しやすい環境を整えます。

 また,移住実現から「移住後のフォロー」まで,移住者に寄り添った,おもてなしの心あふれるサポートを実施してまいります。

 センターの主な取組について具体的に説明させていただきます。5ページを御覧ください。

 まず,5月30日月曜日から総合相談窓口をオープンいたします。京都の窓口は,フリーダイヤル「0120-453-385 ようこそ,みやこ」になっております。9時から17時の間,相談をお受けいたします。

 7月からは体制を強化しまして,土曜日,日曜日の相談も始めます。また,東京事務所内は,平日の9時から17時に相談をお受けします。

 次に6ページを御覧ください。「総合相談窓口における相談対応」でございます。歴史都市,文化芸術都市,さらに,自然豊かな山間地域など,本市には多彩な都市特性があります。「移住希望者が思い描く様々なライフスタイルの御希望に応えられる」という,京都ならではのアピールポイントでございます。

 こうした都市特性を踏まえまして,市内中心地域から山間地域での暮らしまで,多様な移住相談にきめ細かく応えられるよう,様々な御希望を丁寧にお聴きし,就職,住宅,子育て,教育などのそれぞれの分野を横断し,市民グループ等と連携し,その知識・ノウハウを活かして,移住の実現に向けた最適な道筋を御案内・御紹介いたします。

 続きまして,7ページを御覧ください。高齢化や人口減少が進み,一層厳しい状況にある北部山間地域において,移住を強力に推進するための取組を進めてまいります。

 まず,最初は,北部山間移住相談コーナーの開設であります。京都市移住サポートセンター「住むなら京都」に寄せられる田舎暮らしに魅力を感じておられる方からの相談への対応や北部山間地域の紹介,現地案内等の拠点となる「北部山間移住相談コーナー」を7月に京北出張所内に開設いたします。

 次に,地域の取組支援としまして,各自治振興会等が地域において主体的に実施される移住相談や現地案内,田舎暮らし体験イベント等の活動に対してきめ細かく助成してまいります。6月に対象団体に,制度周知をいたしまして7月から申請受付を開始します。

 また,北部山間地域への移住を検討されている方が,豊かな自然や伝統文化,温かい地域コミュニティ等,田舎暮らしの魅力を体験できる住宅を整備いたします。京北地域の空き家2軒を本市が改修しまして,8月からの活用を目指します。

 体験住宅で実際に生活することで地域との関わり等を深めていただいて,住まいや仕事探しに繋げていきたいと考えております。

 さらに,移住者の定着支援として,各自治振興会等が移住者の定着を図るために実施する地元農産物の提供等のおもてなし,心のつながりを応援する取組を京都市として助成します。また,子育て世帯の移住を支援するため,子どもがおられる世帯向けの助成額を増額します。6月に対象団体に制度周知いたしまして,7月から申請受付を開始します。

 結びになりますが,「北部山間かがやき隊員」の配置についてです。国の「地域おこし協力隊」制度等を活用し,都市部から北部山間地域に移住し,地域の活性化に取り組む「北部山間かがやき隊員」を3名採用し,京北地域等に配置いたします。7月の配置に向けて5月31日火曜日から募集を開始します。

 多様な取組を,地域の皆様,また,先進的に進めておられるチームの皆様と進めていきまして,東京圏から地方へという人の流れを作っていく。同時に,その流れが京都だけでなく,全国の過疎地域等を励ます,そのモデルとなる取組を目指してまいりたいと考えております。

地下鉄・市バスのお客様数について(平成27年度)

 次に,平成27年度の地下鉄・市バスのお客様数でございます。

 地下鉄は,私が市長に就任した時には,1日4,600万円の赤字でございました。市バスは,平成14年度は,単年度50億円の赤字でございました。赤字路線でも市民の足をしっかり守る。また,サービスを充実しながら増客も図り,経営を健全化していくため,あらゆる取組を集中的に進めてまいりました。

 まず,地下鉄ですが,1日当たりのお客様数が,東西線開業以来過去最高の伸びとなる,対前年度比1万3千人増の37万2千人となりました。経営健全化計画に掲げた目標,「1日当たり5万人増客」,「10年間で37万5千人」まで,7年間で残り3千人というところまできました。

 また,市バスについては,1日当たりのお客様数が,対前年度比1万2千人増の35万3千人と,2年連続で1万人を超える大幅な伸びとなりました。その結果,地下鉄・市バス両事業のお客様数の合計が,初めて70万人を超えました。

 地下鉄では,計画策定から7年間で,4万5千人の増客を実現することができましたが,そのうち,約4割に上る1万7千人は,通勤・通学の定期券を御利用の皆様であります。

 また,市バスにつきましても,過去7年間の4万2千人の増客のうち,定期券の御利用が1万5千人増と,22%もの高い伸びを示しております。

 これまで,歩くまち京都・公共交通優先の取組を進めてまいりました。こうした取組を市民の皆様に御理解いただき,マイカー通勤から地下鉄・市バスに転換していただいていることの表れだと思っております。皆様に感謝申し上げます。

 次に,前年度からお客様が増加した主な要因でございますが,歩くまち京都,公共交通優先の取組がベースにはなりますが,特徴的なことといたしまして,地下鉄では,まず,岡崎地域の魅力向上が挙げられます。動物園の全面リニューアルやロームシアター京都のリニューアルオープン,神宮道の公園化,地域の回遊性を高める市バス「京都岡崎ループ」の運行開始,総合案内・情報発信拠点「岡崎・市電コンシェルジュ」のオープンなど様々な取組を進めてまいりました。岡崎地域の魅力は大いに高まり,いつも人で賑わっている状態が続いてきております。その結果,地下鉄東山駅の御利用が12%,蹴上駅の御利用が10%,対前年度比でそれぞれ増加いたしました。

 山ノ内浄水場跡地を活用した取組についても,全国に例のない,大学等が活用できる地域となりました。また,地域においても,モビリティマネジメントの取組を進めていただいており,京都学園大学太秦キャンパスの開校も含めて太秦天神川駅のお客様が9%増加しました。

 そのほか,毎年人気の「京の七夕」や嵐山・東山の花灯路,「京都肉祭」やフィレンツェ市との姉妹都市提携50周年を記念した「京都メルカート」をはじめとするイベントを市民の皆様と一緒に各地で開催してきました。これらも大きな増客の要因であります。

 市バスでは,一昨年には,24両の増車,昨年3月には更に6両を増車し,ダイヤを充実させてまいりました。特に,北区の西賀茂北部エリア,伏見区の久我・久我の杜・羽束師エリアにおいて,新たな路線の開設や増便により,不便な地域を改善していく取組も進めております。大きな数字ではございませんが,着実な増客,市バスに対する信頼の向上につながっており,地域の皆様が増便後も,「市バスをどんどん利用して,どんどん便利にしよう」と地域の住民の皆様に呼び掛けていただいています。ありがたいことでありますし,行政任せではなく,住民と京都市,交通局が一体となってまちづくりを行うモデルになっております。京都市と市民の皆様,交通局が一丸となって,大切な都市のインフラである公共交通の市バス・地下鉄の更なるサービスの向上に取り組むことで,地域の活性化につなげてまいります。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(地下鉄・市バスについて)

記者

 好調な営業実績だがあえて挙げるとすればどういった点が課題になるか。

市長

 地下鉄は,未だに経常損益では赤字であります。したがって,自立的な運営ができるように,更なる増客を図る必要があります。

 1日5万人増客の目標が達成間近になっております。7年前の計画策定時には,外部監査の公認会計士の方から,「絵空事」との厳しい指摘をいただきました。それを関係者が一体となり,市民の皆様の御理解のもとに,歯を食いしばってここまでやってきたことは偉大なことであります。また,地下鉄5万人増客チームが作ったマスコットキャラクター「太秦萌」が本になりました。役所の作ったキャラクターが市場で評価される,そんな新しい取組が進んでおります。こうした取組に自信を持ち,一般会計等からの支援を得ない,自立的な経営にしていかなければなりません。

 また,市バスについてですが,全国の民間事業者を含めたバス事業は危機的な状況にあり,全国各地で路線が減少しております。そのような状況の中で,あえて市民目線,お客様目線に立った路線やダイヤの充実を図り,経営改善を実現してきました。引き続き,先ほど述べた久我,羽束師地域のような交通が不便な地域において,市民の皆様と一緒になって,モビリティマネジメントの視点に立った,よりきめ細やかな取組を進めてまいりたいと思っております。

 

(目標達成の前倒しについて)

記者

 5万人の目標を前倒しで達成できそうか。

市長

 今年度中に達成できると思います。10年計画が7年目に達成できるということで,多くの御理解,御支援いただいた市民の皆様に厚く御礼申し上げます。また,目標の達成はあくまでも新たなスタートだと思っておりますので,皆様と新しい目標をつくり,更なる努力をしてまいります。

 

記者

 新しい目標のイメージや数字は。

市長

 必ずしも,数字を掲げるということではなく,持続可能な経営を実現することが大事であると思いますので,そういった視点で議論を深めたいと思います。

 

(経営健全化団体からの脱却について)

記者

 経営健全化団体からの脱却についてはいつ頃判断するのか。

市長

 現在,議会の議決を得て,一般会計から助成金を地下鉄事業に投入している状況です。経営健全化基準の指標として「資金不足比率が20%を下回る」という基準がありますが,今のままでは,「今年は20%を下回った」,「今年は上回った」という不安定なことにもなりかねない状態ですので,安定した状態になるまでは,経営健全化団体脱却の宣言を急ぐ必要はないと思っています。

 なお,一般会計から投入する金額は当初の予定よりも減額されており,任意の助成金も大幅に減額しております。また,烏丸線などでは建設から 30年が経過し,新たな設備投資が必要な時期になってきており,国に対して補助要請も行っております。そうした状況をしっかりと見極めて,安心・安全で便利な地下鉄を持続可能な経営にするため,今の結果だけを見ず,長期的な展望で取組を進めてまいります。

 

(運賃について)

記者

 運賃の値上げは考えているか。

市長

 10年計画策定時に,「前期での5%値上げ」が議会で承認され,国の認可を受けておりますが,これまで耐え続け,値上げを行わずにやってきましたので,消費税を除き,「値上げしない」ことを貫いていきたいと思います。

 

(増客の要因について)

記者

 地下鉄の増加というのは,烏丸線より東西線の増客が押し上げたのか?

市長

 烏丸線も順調に増えていますが,今回は東西線の増客が大きく寄与しました。おかげさまで東西線の沿線がじわじわと活性化していることを感じます。これからは,例えばまちなかの空き家対策等の地道な取組を進めていかないといけないと感じでおります。天神川の北側の土地はようやく動き出そうとしていますが,一つの施設ができるということも大事ですけれども,全体として歩くまち京都や地域の活性化を進めていくことが増客の土壌になるという風に感じています。

 

(移住サポートセンターについて)

記者

 移住の定着支援の助成の拡充ですが,これは新たに移住した人を対象にするのではなく,今いる人が対象になるのですか?

市長

 新たに移住した人並びに移住後3年未満の方が対象です。

 

記者

 北部山間地域へ移住された方への定着を図る助成制度について,子育て世帯への一人当たり10万円という助成は,年間予算で,どの程度になるか?

市長

 年間100万円程度を想定しています。この間,東京での説明会や民間の方々の京都での様々な相談実績を踏まえて,どのようなことが必要かということを侃侃諤々議論しながらきめ細かく設定をしました。

 

(レジリエント・シティについて)

市長

 冒頭の「レジリエント・シティ」ですけれども,正直言いまして庁内でもそこまでやることはないのではないかということや,申請すること自体にリスクがあるのではないかということもありましたので,選定されて喜ぶと同時に,ほっとしているのが本音です。予想もしないようなサイバー攻撃等があった時に,世界の方々の,専門家の支援も得ながら立ち直っていくためには,常に緊張感を持って対応しておくということが非常に大事ですので,モデルになるような取組を進化させていきたいと思っています。

報告案件以外に関する質疑

(京町家について)

記者

 昨年12月に,町家を取り壊す前に所有者と市が相談することなどを定めた条例制定の要望書が提出されているが,市長としてのお考えは。

市長

 京都の町の風情を守っていくと,私の公約にもその趣旨を掲げています。優良な京町家というのは将来,文化財に指定していくべき,それぐらいの値打ちのあるものだと思っています。杉本家住宅が,一昨年,町家,民家としては初めて国の重要文化財になりました。20年あまり前に,京都市が独自に文化財指定したものであります。その当時国では,お寺・神社の文化財指定はありましたけれども,庶民の住んでいる家の文化財指定というのは皆無とは言いませんけれど,ほとんどありませんでした。

 この間,市民が残したい庭園・住宅の制度を立ち上げ,認定したものを国の登録にしていこうという取組も進めております。そうした中で,法的な規制は私権を徹底して尊重している日本の法制度のもとでは難しいですが,町家を解体される時に,その噂を知った本市職員が駆けつけ,購入された方に「なんとか町家を残して欲しい」と要請するということが現にあります。これを事前に届け出るという制度を作り,そして届けられた時点で町家の価値をみんなで共有して,潰してマンションや駐車場にするのではなく,その価値を活かして,例えば優良なおもてなしのゲストハウスや料理屋さんにするといった使い方があろうかと思います。これは今問題となっている違法な民泊ではありません。

 こういう取組を進めていきたいということで早急に検討委員会を立ち上げ,有識者や市民の代表と侃侃諤々の意見交換をし,できるだけ早く条例化をしていきたいと思っています。

 

記者

 できるだけ早くというのはどれくらいのイメージか。

市長

 空き家対策条例は2,3年かかりました。この町家の課題は待ったなしでありますので,可能な限り早くやっていきたいと思います。まだ委員会の立ち上げもできていませんので,ここでいつまでということを決めてしまったら,審議していただく方々に失礼になりますが,スピード感を持って取り組んでいきたいと思っています。

 

(民泊について)

記者

 先日,政府の規制改革会議において,民泊における規制緩和の方針が出されたが,京都市としてこの動きをどのように考えているか。

市長

 京都市は,今,世界に冠たる観光都市としての御評価をいただいております。これは,市民生活と観光との調和あるいは融合,そして,それらを基盤としたおもてなしが,御評価をいただいてきた結果ではないかと思います。

 今,外国人観光客が急増していますが,この原則を曲げてはならないと思います。観光客の皆様の安心,安全と同時に,宿泊施設の周辺住民の方々の安心,安全の調和が何よりも大事であります。

 実態の把握なくして,新たな施策なしの考えのもと,少し時間がかかりましたけど,半年かけて,徹底した調査を行いました。調査している間に,2,700であった施設数が,3,000を超えるというような状況でありました。京都市における民泊の全容,又,地域住民の方々の悩み事等も把握することができました。今,それをまとめまして,そして,京都市としての考え方を整理して,これもまとまった段階で,パブリック・コメントにかけることで,市民意見をお聞きしまして,新しい方針を出していきたいと思います。夏を目途に,国の状況等も見極めていかなければなりませんが,京都市は京都市の考え方をしっかりと守っていきたいと思います。

 京都市では,昭和53年に,世界文化自由都市宣言を行い,世界の国の方々が,人種,社会体制,宗教,あらゆる違いを超えて,平和のうちに京都に自由に集い,そして,新たな文化を創造していくことを都市の理想としています。同時に,このインバウンドを市民生活の豊かさ,伝統産業や伝統文化,経済の活性化に結び付けていきたいと考えています。

 そのようなことで,どんどんと世界の方々が京都に来ていただくことが大事なことですので,優良な宿泊施設を増やしていく取組を加速していきたいと思います。

   

記者

 今回の規制改革会議の方針通りにはならないと理解して良いか。

市長

 政府の方針をそのまま京都市で実施していくことではございません。国においても,地方分権時代における国と地方の関係を踏まえた上で方針を出されると確信しております。この方針以外に,全国の自治体は,民泊に係る取組を行ってはならないということにはならないと考えております。

 

記者

 当初6月を目途に「宿泊施設拡充・誘致方針」を策定するとあったが,昨日の代表質問では夏を目途にと説明された。6月以降に伸びたということか。

市長

 基本的な方針等は,既に皆様におわかりいただいているとおり,どんどんと打ち出していきます。近く,民泊等の困りごとの専用窓口も作ります。

 一方で,新たに,例えば,ホストがいる民泊の場合に,私は住宅地域であっても,ホストがいて,そこに,海外から来られる方,留学生が宿泊されるということは認めていっても良いと思っています。この点について,それでは,どの程度の基準にするのかと,よりきめ細かい基準又はコンセンサスが必要であると思います。したがいまして,少し時間をかけて,丁寧な手続きを踏んでいきたいと考えています。

 

(リニア中央新幹線について)

記者

 リニア中央新幹線の大阪への延伸時期が最大で8年前倒しすることで,京都市が進める誘致に係る取組にどのような影響があるか。

市長

 私共は,オール京都で,大阪までの同時開業,関西国際空港までの延伸,さらに,京都駅ルートの3点を要望し続けてまいりました。

 現在,同時開業とまではいかないですが,大阪までの延伸時期が最大8年間前倒しされる案を軸に検討されています。我々の要望の中の1つの項目の前進としては,評価したいと思っています。しかし,8年前倒しでも10年遅れます。

 また,今回の北陸新幹線のコースについても議論が進められていますが,40年前の議論では,小浜から大阪までまっすぐ行って,そのどこかで停まるという程度でありました。今回,議論されている3つのルートとも京都駅を通ることが前提にされています。どのルートを通って京都駅に来るのか,京都駅からどのルートを通って大阪に行くのか。こういう検討になっています。これは,この40年間の変化だと思っています。もっと言いますと,昭和34年に,東海道新幹線が昭和39年のオリンピックに向けて着工されました。その時に,計画では京都駅が入っていませんでした。これでは大変だということで,当時の京都市民の皆様が市会と一緒に,市役所ももちろん力になって,京都駅ルートが東海道新幹線に必要だということで,働き掛けを行った結果,今の東海道新幹線京都駅があって,「そうだ 京都,行こう。」があるわけです。

 また,当時,新幹線京都駅は新京都駅にはなりませんでした。大阪も神戸も新大阪駅あるいは新神戸駅になりました。大阪駅に乗り入れることができなかったということであります。しかし,京都では,市民の皆様があらゆる努力をされた結果,新幹線京都駅が在来線の京都駅に隣接して作られました。今から考えると当然でしょう,と言われるかもしれませんが,50年前では当然ではありませんでした。

 そういうことを踏まえまして,私共は,引き続き,全線同時開業,関西国際空港まで延伸,そして,京都駅ルート,これをオール京都で要望していきたいと思っています。

 

(民泊について)

記者

 民泊110番について,改めてその目的と実施方法は。

市長

 今も相談を受け付けています。とりわけ,この4月1日から保健福祉局並びに産業観光局に専任の課長,担当係長を増員して設置しました。市民の皆様からの様々な苦情も,また,手続きを踏み,改修すれば適法になる民泊施設もございます。その手続きを紹介するということも地道に行っております。これは,都市計画局と保健福祉局,さらに産業観光局で連携してやっていかなければならないことですので,まず,ワンストップで窓口を作り,その後,必要な手続き等にスムーズに移行していただきます。

 また,東山,上京,中京,下京,さらに南区においても民泊についての相談が増えております。そうしたことを一元的に行い,そして,的確に対応していきます。市民の皆様が不安を抱かれないように,同時に,皆様の要望をしっかりまとめまして,施工業者や事業主にきちっと話し合いの窓口を作っていく役割も果たしていきたいと思っています。

記者会見資料

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