スマートフォン表示用の情報をスキップ

門川市長年頭記者会見(2016年1月4日)

ページ番号192381

2023年4月12日

市長記者会見(2016年1月4日)

年頭の抱負

 新年明けましておめでとうございます。

 市民の皆さんと共に,市長就任後8年目のお正月を穏やかに迎えることができ,喜んでおります。

 年末年始,市民の皆さんが活躍されている様々な現場を訪ねさせていただきました。多くの方から,「京都のまちが元気になってきた」,「美しくなってきた」という評価をいただいています。ありがたいことであります。

 本日,市職員への年頭の訓示でも申し上げましたが,京都市が市民ぐるみで策定した「はばたけ未来へ 京プラン」の262の事業につきまして,そのほぼ全てに着手することができ,大きく,京都のまちづくりが進展していることを実感しています。

 とりわけ,人口減少社会の克服へ,あらゆる政策を融合して,もう一歩,二歩と,施策あるいは事業を深堀していきたいと考えています。同時に,より一層徹底して市民の皆さんの目線で,あるいは,京都の中小企業の目線で,京都の都市格の高まり,京都のまちの元気さをいかしきって未来へとつないでいきたいと決意を新たにしております。

 国が掲げる地方創生,「まち・ひと・しごとの創生」についても,京都市では,早くから,市民ぐるみで議論し,「こころの創生」を重視した「まち・ひと・しごと・こころ京都創生」総合戦略を策定することができました。多くの市民の皆さんが策定に関わっていることは,国においても高く評価していただいております。

 これを市民の皆さん,京都の中小企業の皆さんが「自分ごと」として,「みんなごと」として取り組むことができる環境をしっかりと支える京都市政並びに,京都市職員でなければなりません。京都市が進める政策を,その意図や理念も含めて,市民の皆さんにしっかりとお伝えすると同時に,市民の皆さんの思いが市政に伝わることを目指して,「伝える力」,「伝え合う力」を大きなテーマとして取り組んでまいりたいと考えております。

 私は,ピンチはチャンスということで,プラス思考で仕事をしていこうと訴えてきました。市長就任早々,厳しい財政状況や,リーマンショック等,様々な困難な状況において,行財政改革を断行して,職員3,000人を減らす中で,市職員のがんばりで,今,京都市政の仕事の執行力は極めて高まっているという評価をいただいております。長年の懸案が次々と解決に向けて動き出しています。

 しかし,行政のプロの方あるいは市政に関心の高い方については,そうしたことは理解していただいていますが,多くの市民の皆さんにそれを伝えきれているかというと,なかなか147万人の都市においては困難な面もあります。

 先日,ショックを受けましたが,「大阪はベンチャー企業の支援をしているのに,京都ではどうして支援がないのですか」と学生さんに御指摘いただきました。とんでもありません。京都市ではベンチャー企業の支援を20年前から取り組んでおり,ベンチャー企業支援の分野では,京都が全国の先頭を走っているという評価を受けています。堀場雅夫様をはじめ,多くの方と取り組んできたことをしっかりと伝え直して,市民の皆さん,中小企業の皆さんと一緒に,未来を拓いていくことが大事であると思います。

 また,一昨年,向島において,放火によって自治会の会長さんが亡くなられるという悲しい事件がありました。これを教訓として,条例を改正し,市民ぐるみで放火を減らし,火災による死者を減らすための取組を進めてきました。昨年の放火件数は,前年比19件減り39件になりました。そして,火災による死者は,一昨年17人だったのが6人になりました。これは51年ぶりの数値であります。市民力をいかせば,人の命を守ることができると思います。

 あらゆる取組に,市民力,地域力を結集して,こうした取組を推進していきたいと思っています。

「まち・ひと・こころが織り成す京都遺産」制度の創設について

 京都の文化遺産をテーマ毎にまとめ,地域性,歴史性,物語性を持った集合体として認定し,維持・継承・活用につなげる「まち・ひと・こころが織り成す京都遺産」制度について御報告します。

 京都には,1200年の悠久の歴史と素晴らしい自然の中で,宮廷や寺院神社,武家社会,また,町衆の暮らしの中で築かれてきた様々な有形・無形の文化遺産があります。

 本来,文化財は,単独で成立しているものではなく,周辺の自然や環境,社会,とりわけ人々の生き方,暮らしの美学などと密接に関わり合って,育まれてきたものであります。

 そこで,京都市では,文化遺産を個々に認定するのではなく,テーマ毎に関連する文化遺産を抽出して,地域性,歴史性,物語性を持った集合体として認定する制度,「まち・ひと・こころが織り成す京都遺産」制度を創設いたします。制度の名称は,市民の皆さんの意見をお聞きし,議論を重ねて決定いたしました。

 この制度は,新たな視点で京都の歴史や風土,文化遺産の成り立ち,京都が大事にしてきた人々の暮らしの美学,生き方の哲学,ものづくりをより分かりやすく,より深く捉えるもので,テーマを決めまして,そのテーマに関連する文化遺産を調査し,集合体として認定するものであります。

 これにより,多くの方々に,個々に見ているだけではわからなかった新たな魅力,歴史,文化,ものづくりの深みを理解していただくことによって,文化遺産の維持,継承,活用を推進する。そして,それを暮らしの中に活かしていく制度にしてまいりたいと考えています。

 別紙のイメージ図は,テーマ毎に文化遺産を集合体として認定する例を表したものであります。京都は文化遺産の宝庫であります。その中には,ユネスコに登録された文化遺産,文化財保護法・条例に基づく国宝や重要文化財,指定・登録文化財,そして,京都市が独自に創りました“京都を彩る建物や庭園”制度や“京都をつなぐ無形文化遺産”制度で選定した文化遺産がございます。認定する文化遺産の例として,2つのテーマを簡略化して記載しております。例えば,「西陣と北野の信仰・くらし・遊楽」では,織物生産で栄えました西陣地域,北野天満宮とその門前の茶屋に由来する上七軒などを集合体として捉えることができます。

 西陣は,平安時代より織物生産が行われてきた地域で,近世には西陣織と称される絹織物の生産地として繁栄してきました。一日千両が動いたとも言われ,昭和40年頃まで四条烏丸より銀行が多かった千両ヶ辻という場所もあります。

 織物は高度な分業制の下で生産されております。分業に伴う地域の結びつきや地域毎の特徴を示す織家建てなどの町家建築,独自の食文化が発達するなど西陣ならではの文化が生まれました。また,西陣織による今宮祭の祭具や町々の地蔵飾りなどにも織物のまち・西陣の贅が尽くされております。

 菅原道真を祀る北野天満宮は,広く西陣をはじめとする人々の信仰を集めまして,参拝客のための茶屋が京都で一番歴史のある上七軒の花街となりました。上七軒は,西陣の織物生産で生み出された富によって更に発展し,西陣織は花街の美を支えるとともに,能,狂言など,京都の伝統芸能や文化を支えてきました。こうした文化は,西陣織の芸術性を高め,伝承するとともに,上七軒を通じて全国に最新の流行を伝える場となったと言われております。こうした西陣・北野地域の文化遺産を一つに捉えて京都遺産として認定するということであります。

 また,「京の庭園文化」では,例えば,世界最高の庭だという評価も受けております,後水尾天皇行幸のために小堀遠州が趣向を凝らした「二条城二の丸庭園」や町家の庭,坪庭に至るまで,様々な庭園を,理念,哲学,作庭の技や借景などと共に一つの「庭園文化」として捉えていく。そして,作庭家が庭作りにかけた想いや庭を楽しむこころなど,1200年以上庭が作られ続けられ,活かされてきたものすべてを京都遺産として認定し,深い魅力を発信していくものであります。

 このように,京都遺産では,文化遺産相互の関わりから,歴史と文化,暮らしが織り成す奥深い物語を未来へと伝えることができると考えております。

 この制度の鍵となるテーマは,京都の地域社会,文化遺産を支える人や匠の技,その背景にある精神性などに基づくものでございます。

 芸術,文化,ものづくり,学問,宗教の中心地であり続ける京都には,様々なテーマが考えられます。今回市民の皆さんからテーマを募集しましたが,いずれも京都への愛着を感じるテーマを提案していただいています。テーマについては今後も随時募集してまいります。

 こうした御意見等を参考にいたしまして,有識者,公募により選ばれた市民等で構成される審査会でテーマの選定をしていただき,その後調査を経てテーマ毎に検討,審査を行い,「京都遺産」として認定します。認定した「京都遺産」は,あらゆる広報媒体を通じて国内外に発信するとともに地域の皆さん,伝統産業,伝統文化に携わる皆さんと一緒に地域ぐるみで活かし,地域の活性化につなげていきたいと思っています。

 さらに,京都遺産制度の趣旨をより多くの市民の方に知っていただく,お伝えするために,3月20日にシンポジウムを開催します。詳細については,改めてお知らせします。

 これまでと違う,新たな視点で文化遺産を捉える制度を創設することによりまして,京都の貴重な文化遺産を市民全体で大切に守り活かしていく機運を 醸成し,京都の活性化にも活かしていきたいと考えております。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(認定数の目標について)

記者

 認定することによって,助成や補助を行うのか。

市長

 例えば,先ほど例として申しました「西陣地域」を認定したとします。現在,京都市では,西陣織工業組合等々と様々な共同事業を実施しておりますが,そういった共同事業を充実させていくことを考えています。

 西陣織工業組合の渡邉理事長が,「年間5,000万円をかけて西陣織会館で開催している無料のきものショーは人気が出てきている。しかし,お客さんはショーを見て帰られるだけで購入はされない。結果的に西陣織の産地振興につながっていない。」とおっしゃっていました。また,最近では,北野天満宮の参拝客が増えておりますが,西陣地域には多くの料亭があるにもかかわらず,そういったお店への誘客にはつながっておりません。そういった状況を改善するために,補助金を出すのではなく,共同事業を実施することによって,西陣地域のより深い理解につなげていくことが重要だと考えております。

 昨日,イタリア最大の通信販売の会社の社長であるマルコ氏にお会いしましたが,「まちを歩けば着物を着ている人がたくさんおられるが,外国人からすると,どこに行って,どのように買えばいいのかがわからない。」とおっしゃっていました。例えば,西陣地域が京都遺産に認定されることで,外国人の購買につながるような共同事業が実施されれば,西陣の活性化につながります。そしてそれは,単に西陣織だけではなく,西陣地域が培ってきた文化の継承につながることになると思います。

(認定する文化遺産について)

記者

 挙げられた2つの例は,最初の審査にかけられるのか。

市長

 京都市としては,審査にかけたいと思っています。


(年間認定件数について)

記者

 年間の予定認定件数は。

市長

 気運の盛り上がりにもよりますが,少なくとも年間2件は認定したいと思っています。

 現在,西陣織や京友禅,清水焼等々の伝統産業から先端産業が生まれています。個々の企業がイノベーションを起こして,伝統産業から先端産業になっていることはよく知られており,京都のものづくり,またそれに依拠した精神文化の偉大さを実感するところであります。そうしたところも含めて京都遺産として認定していきたいと思っています。

報告案件以外に関する質疑

(テロ対策について)

記者

 年頭の抱負で,放火による死者数が減少したとのことだったが,昨年のパリのテロ以降,市民には放火よりも観光地がソフトターゲットとして狙われるのではないかといった心配があるのではないか。そういったテロなども含めた安心安全の取組は考えているか。

市長

 すでに京都府警と緊密な連携体制をつくり,一昨年7月に,市民にとっても観光客にとっても,安心安全なまちをつくるため,「世界一安心安全・おもてなしのまち京都 市民ぐるみ推進運動」の協定を結び,様々な取組を推進しております。その取組の中にはテロ対策も含まれており,万全の態勢で臨んでおります。

 協定締結後,伏見区と右京区をモデル行政区に位置付けて取組がスタートしましたが,その後,全市で気運が高まりまして,今年からは全行政区で進めることになりました。

 昨年の犯罪認知件数は,一昨年と比べ約2割減少しました。これは警察の専門性と市民力を活かした取組の成果であると思います。今後も市民の監視の目を強化し,それを警察,行政につなげていくことが重要であると思っています。 


(北陸新幹線について)

記者

 北陸新幹線の未着工区間について,新たに舞鶴市を通るルートも提案され,京都府が推していく姿勢を示している。舞鶴市を通る新たなルート案について市長のお考えは。

市長

 一つの案として魅力的だと思います。どのルートが最も適切であるかについては,京都全体,関西全体,また北陸3県の想い,更には日本全体の発展のために十分な議論のもとに決めていただきたいと思います。また,ルート決定については,オール京都で取り組んでいきたいと思っています。

記者

 以前,小浜ルートを評価していたが,小浜ルートと舞鶴ルートはどちらが優れていると思うか。

市長

 費用面や山陰線の関係など様々な課題がある中で,十分な議論が尽くされなければならないと思っていますので,現時点ではどのコースが最適だと申し上げることはできません。引き続きオール京都で議論してまいります。

記者

 舞鶴ルートはどういう点が魅力的なのか。

市長

 国土全体が調和するような発展,京都全体の発展のためという点において魅力的だと思います。


(東大路通拡幅事業について)

記者

 東大路通の歩道拡幅について,年末の委員会で現段階では着工しないという答弁だったが,市長としてはどうお考えか。

市長

 多くの地域の皆さんから,東大路通を歩きやすくしてほしいという要望がございます。四条通を教訓にしながら,例えば,清水寺から円山公園に行く際には,東大路通ではない道を通ることによって,文化・歴史を感じながら歩くことができるコースをつくるなど,東大路通に人を集中させない,あらゆる方策を考えてまいります。

 様々なコースをつくることによって,より京都の歴史,歩くまちの魅力を感じていただける。そのような取組を地域の皆さんと一緒に進めていきたいと思っております。

 なお,円山公園には,小川治兵衛による素晴らしい庭園がありますが,長く整備されておりませんでしたので,現在では面影が無くなっております。私も昔の写真を見せていただきましたが当時は大変綺麗な庭園でした。この庭園をオリンピックまでに,専門家による調査委員会のもと,唯一無料で見られる植治の庭にしたいと思っています。

記者

 現段階で着工しないと判断した理由は。

市長

 四条通と東大路通は道路としての性格が違います。また,東大路通を歩行者優先のまちにしてほしいという声もございますが,四条通の教訓もございますので,先ほど申しましたが,東大路通だけでなく,東大路通周辺の道路も観光資源として活かそうと考えております。また,部分的に改善できるところは改善してまいりますので,そうした総合的な取組がより良い選択だと判断いたしました。

記者

 担当課からは,歩道拡幅を諦めたわけではないと聞いている。来月の選挙で市長が再選されたとして,次期4年間で着工できるとお考えか。

市長

 その点については,マニフェストを発表するときにお答えさせていただきます。拡幅に関連してですが,京都市の道路は,堀川通と川端通がボトルネックになっていると思っています。堀川通は片側3車線ですが,JRの高架付近で2車線になっていますし,川端通は七条通から南に行くと2車線が1車線になっています。非常に難しい事業になりますが,片側2車線にして南北をつなぐことができれば,そのボトルネックが解消します。そうした取組を進めながら,拡幅の議論をしていくことになると思います。

 また,これは4年間でできるというものではありません。技術的な問題も含めて取り組まなければなりません。国道9号線の千代原口の立体交差事業においては,アンダーパスすることによって,年間を通じて渋滞がほとんどなくなりました。そうしたケースもありますので,知恵を絞っていかなければならないと思っています。


(文化庁移転について)

記者

 昨年末の推進協議会において,市長が一部地方の負担を確保しなければならないと発言があったが,財政的な負担を検討していくのか。

市長

 文化庁を移転する際の財政負担については,国の機関ですので,国が負担するのは当然であります。ただし,誘致する側として一定の負担は覚悟しなければならないと思っています。誘致に向けてオール京都で知恵を出していかなければなりません。

 文化庁の移転は,京都ひいては日本の文化にとって千載一遇のチャンスでありますので,しっかりとチャンスを活かさなければならないと思っていますし,気運は高まってきていると実感しております。

記者

 政府は一部移転を検討しているとの報道もあるが,市長としては一部移転を容認するのか。

市長

 オール京都で文化庁の全体移転を要望しており,要望し続けたいと思います。しかし,国会との窓口を東京に置くというのは当然の話だと思います。東京に文化庁の組織が一切ないというのは,現実的ではないとも思います。

記者

 場所については,京都府が新たに府警本部等を提案しているが,市所有地にこだわらないのか。

市長

 当然です。オール京都で提案し,最終的には国に選んでもらえば良いと思います。全国から,世界から京都へお越しいただく際に,京都駅の近くが良いだろうとオール京都で提案しましたが,国が候補地を選定する際に選択肢が増えるのは良いことだと思います。


(大阪府・市が目指す副首都構想について)

記者

 大阪府・市が目指す副首都構想に対して,京都市の受け止めは。京都市が進める文化庁移転等への影響は。

市長

 東京一極集中を是正していくとともに,我が国全体の発展,とりわけ,関西の発展を目指していくという意味において,表現の仕方等に違いがあっても,目標とするところに違いはないと思いますし,関西広域連合でも様々な取組を進めておりますが,広域連合全体での議論も,より一層深めていきたいと思っています。


(京都府警との連携のあり方について)

記者

 放火対策の話があったが,交通政策など,自治体として先進的なことをやろうとすると,警察との連携のあり方が問われてくる。市長として,京都府警との関係において,将来的にどのように関わっていきたいと考えているか。

市長

 この間,京都府警と京都市の連携は全国トップ水準になっていると思います。京都においては,京都市警察部長を警務部長が兼務するというものになっていましたが,現在は,専任ポストをいただき,本庁に京都市警察部長の部屋も設けさせていただきました。

 私が市長就任早々以降,月1回の本市局区長会に,京都市警察部長に出席いただき,その月の犯罪状況等を報告いただくとともに対策を練りあげていきました。その結果,生活保護の適正給付の推進や建設事業等の入札からの暴力団排除の徹底,公共交通優先のまちづくりにおいても,府警との連携を深めることができました。

 一番印象に残っているのは,49年ぶりに復活した祇園祭の後祭です。新しいお祭りを興すのと同じくらい大変な取組でして,府警との連携も更に深まり,非常に高い評価をいただきました。

 現在では,犯罪が大幅に減っております。この連携の深まりをより大事にしていきたいと考えています。

 なお,将来の制度についてですが,これは政令指定都市の市長会において,警察行政というより,基礎自治体への権限移譲の一つとして議論を行っています。

記者

 外国の例にあるように,特殊な汚職は連邦警察が,市民に身近な犯罪は市長の判断の下で警察に動いてもらうというようなあり方について,市長の考えは。

市長

 これについては,もっと国民的な議論をしていく必要があると考えています。


(民泊について)

記者

 昨年12月から実態調査を進めていると思うが,現在の進捗状況を教えて欲しい。

市長

 調査結果がまとまり次第,改めて正式に発表させてもらいますが,ネットで紹介されている,いわゆる民泊については,概ね1万人が宿泊できると推測しております。ただし,一部屋に何名が泊まるかによって変わります。その中には,正式な手続きをすれば,法令に適合する可能がある施設もあれば,法令に適合する可能性がないところもあります。

 京都の観光人気が高まり,京都に泊まりたいというニーズが高まっておりますが,これは一つのチャンスであります。これを京都の経済活性化,市民生活の豊かさに結び付けていく必要があります。同時に,京都市民の平穏な生活を維持するという,絶対譲れない視点もあります。

 いかにしてこれを両立させていくか。京都方式というものを考えていく必要があると思います。町家を宿泊施設として利用する際には,旅館業法に基づきカウンターを設ける必要がありましたが,4年前に京都市独自の条例を制定し,カウンターを不要とする制度を創設しました。防火,防犯,さらに衛生管理も整った町家の宿泊施設が非常に人気を得ております。そうした事例も参考にしながら,民泊の課題に取り組んでいきたいと思います。

 同時に,市街化調整区域の空いている建物の利活用も含めて,あらゆる政策を総動員し,安心安全で周辺住民にも御理解いただき,旅行者にほんまもののおもてなしができる制度を考えていきたいと思います。

記者

 将来的には,民泊を有効活用していくのか。

市長

 安心安全や衛生管理面が骨抜きになるような制度は相応しくないと思います。国の議論も見守りながら,最も相応しい制度を検討していきたいと考えております。


(迦陵園の資料流出について)

記者

 迦陵園の資料流出について,議員に公益通報を行った職員の行為と,公益通報者保護制度との兼ね合いについて市長の考えは。

市長

 詳細なスキームの説明は担当の方からしていると思いますが,今回の事案については,公益通報制度に直接関わるものではないと考えています。例えば,学校で先生が作る子どもの成績,行動等を記録した指導要録が外部に漏れるという事案があると,学校の信頼は損なわれます。今回の事案では,ある意味で,それ以上の困難な課題を抱えた方が任意で御相談に来られています。相談いただいた大切な個人情報が,職員によって外に持ち出される状況については,行政として看過できない問題です。保健福祉局においてしっかりと調査し,適切な措置をしたところであります。   

記者

 内部告発をする時は,外に出てはいけない資料が用いられるのは常である。本件についての公益通報と機密保持のバランスについて市長の考えは。議員に公益通報を行った職員は,京都市の公益通報窓口に通報をして,そのために,その前段階の手続きで処分を受けたという事実がある。

市長

 京都市では,議員に資料が流出した今回の事案は公益通報には当たらないという判断のもとに対応しています。持ち出した資料の名前を消すとか,そのような対応もありませんでした。個人情報が無神経に外に持ち出されるということはあってはならないと思います。

 また,公益通報の要件である緊急性等にもまったく該当しない事案であると思います。自分たちの要望が通らなければ,それを第三者に見せてよいのかということになります。私たちは,社会的な弱者である相談者の方の人権をしっかり守っていくことが大事であると考えています。

記者

 手に入れた資料をあのように扱った村山議員の議員としての資質をどのように考えるか。

市長

 私からはコメントしません。

記者

 公益通報に該当しない事案と言われたが,処分を受けた職員の方が議員に公益通報をしていたと認められるということか。

市長

 これは立場上言えません。公益通報を誰がしたかということも守られなければならない制度であります。

記者会見資料

このページに対してご意見をお聞かせください

このページは役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

お寄せいただいたご意見は、今後のホームページ運営の参考とします。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

フッターナビゲーション