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門川市長記者会見(2014年7月30日)

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2014年7月30日

市長記者会見(2014年7月30日)

「トラベル・アンド・レジャー」授賞式への出席について

 本日予定しております報告の前に,1点,お知らせがございます。

 世界で最も影響力がある旅行雑誌と言われております,「トラベル・アンド・レジャー」の大規模な読者アンケートによりまして,京都が世界一人気のある観光都市に選ばれました。その授賞式が25日,ニューヨークで開催され,私は後祭のくじ改めの日で参加できませんでしたので,糟谷観光政策監,三重野担当部長が華やかなきもの姿で行ってまいりました。この度の受賞については,ニューヨーク,京都で大変盛り上がっております。世界一の観光都市としての誇りを感じるとともに,その責任の重さを感じています。

 また,京都が世界一の観光都市に選ばれたことのPR用にバナーを作製しました。これは,京都市が誇る産業技術研究所が独自で開発した,「ゼロエミッションデジタルナセンシステム」という,水を一切使わずに,写真から印刷ができる仕組みを採用しております。東京の京都館をはじめ,様々な場所で掲出し,市民の皆さんと喜び,責任を共有するとともに,更なる努力をしてまいりたいと思います。

 「トラベル・アンド・レジャー」では,19年間大規模なアンケートを取っておられ,京都は一昨年9位,昨年は5位,そして今回の1位と躍進しました。ニューヨークにおいて,どういった声があったかをお聞きしてきましたところ,「古いものと新しいものが絶妙に融け合っている街である」,「文化,美に関して,地球上でもっとも素晴らしい場所である。」,「地域に暮らす人々のおもてなしが素敵である。英語を話せなくても,英語を話せる誰かを探したり旅行者が行きたい場所まで案内してくれたり,何とか旅行者を助けようとしてくれる。」「京都は日本の他の都市に比べて独創的に歴史的な景色が多い。」「京都観光は,魔法にかかったような経験である。」「1200年の歴史がある類まれな都市。景色は素晴らしく,食事も絶妙で人々も大変素晴らしい。」といった評価をいただいております。

 この評価は,まち美化やおもてなしの取組,景観政策などに,市民の皆さん,文化芸術関係者,社寺,観光事業者,多くの方々とオール京都で取り組んできた一つ一つの積み重ねの成果であると思います。そういったことを大切にしながら2020年東京オリンピック・パラリンピックなどに照準を当て,地道な努力を重ねてまいりたいと思っております。景観行政や受入環境の充実・買い物環境の更なる改善など課題もたくさんあります。世界1位を維持していくことは並大抵の努力では足りないということを覚悟しなければなりません。

 京都の唯一無二の素晴らしさをしっかり押さてまいりたい。祇園祭が前祭と後祭に分かれ本来の姿に戻りました。そうしたことの実践によって更なる魅力を世界に発信し,また,お越しいただいた方がリピーターになられ,発信者になっていただくといった取組が必ず実現できると確信しております。今後とも市民ぐるみで努力してまいりたいと思います。

 

(観光政策監)

 表彰式では,参加された世界各国の方から祝福の言葉を受けました。また,73部門のおおとりで賞をいただくということで,すごい賞をいただいたと改めて実感しました。トラベル・アンド・レジャーの方からは,「1位をキープするためにも,どんどん京都の旬の情報を発信してほしい」という声も承っていますので,これからも京都の情報発信に取り組んでいきたいと思っています。

 

(市長)

 京都に来られる方,あるいは京都市の方の中には,京都が観光都市として世界一になったことをまだ知らないという方もおられます。京都が世界一になったということは,日本が世界一になったと言えると思います。また,日本人が気付いていないことを外国人から教えてもらうこともあります。今回,日本の歴史的な素晴らしさ,日本人の精神文化,暮らしの美学,生き方の哲学,こうしたものが評価されたと感じておりますので,日本が,失われた20年から脱却して,世界で信頼され,憧れる国づくりを進めようとしているときに大きな朗報だと思います。

 

平成25年度決算概況(速報値)

 それでは,平成25年度の決算概況につきまして御報告させていただきます。まだ作業の途中ではありますが,決算の大枠が固まりました。今後,決算の分析を行い,9月市会に歳入歳出決算を報告いたします。

 最初に,昨年度の決算のポイントについて概略を申し上げます。

 4点あります。まず,1点目ですが,全会計,一般会計ともに実質収支の黒字を維持・拡大できました。黒字額は,全会計で前年度比94億円増の270億円となりました。一般会計では,1億円増の20億円となりました。

 2点目は,市税等の徴収率が向上いたしました。

 市税徴収率は,24年度決算で過去最高となりましたが,25年度決算では更に0.2ポイント向上し,97.6%となりました。これに加えまして,介護保険料,国民健康保険料,市営住宅家賃の徴収率も過去最高を達成しました。

 3点目は,市バス,地下鉄両事業につきまして,お客さま目線に立った利便性向上の取組を更に推進する中で,収支を大きく改善しました。

 市バス事業は,累積資金の不足が,資金不足解消目前となる10億円にまで縮減することができました。地下鉄事業も現金収支の黒字を経営健全化計画を大きく上回る73億円まで拡大しました。

 経常赤字は,私が市長に就任する前に1日当たり4600万円でしたが危機感を持って取り組んだ結果,75%縮小して1100万円となりました。

 4点目は,全会計・一般会計とも,臨時財政対策債を除いた,本市が返済に責任を負う実質市債残高を着実に縮減しました。

 京プランにおいて,「生産年齢人口が減少する中,生産年齢人口1人当たりの実質市債残高を増加させない」という方針を打ち出しておりますが,それを堅持し,「平成22年度末から平成27年度末までの5年間で5%以上縮減」という目標を,2年前倒しで,3年間で達成することができました。

 このように,本市財政は着実に健全化しておりますが,本市財政を取り巻く現状は依然として厳しいため,今回の決算で気を緩めることなく,今一度,市役所と市民の皆さまが危機感を共有しなければならないと考えております。詳細は後ほど御説明申し上げます。

 続いて,ただ今申し上げた内容について,データを示しながら御説明いたします。

 まず,全会計の連結実質収支でございます。

 グラフに示しているとおり,本市の連結実質収支は,財政健全化法による指標の公表が開始された平成19年度以来,赤字が続いてまいりましたが,平成23年度で初めて黒字化を達成し,そして平成24年度はその黒字を拡大し,平成25年度決算では,一般会計の実質収支黒字に加えまして,公営企業もそれぞれ20億円前後の収支改善を果たし,全会計の連結実質収支の黒字を270億円程度まで拡大することができました

 次に,一般会計でございます。

 予算編成段階で,総人件費を11億円削減,また,事務事業の見直しで25億円削減など,徹底した行財政改革を推進しました。

 加えまして,市税徴収率が過去最高を更新して,97.6%となったことや,経費節減の徹底などにより,単年度収支は1億円の黒字を確保しました。

 これにより,実質収支は,平成24年度の19億円の黒字から,20億円の黒字になりました。平成20年度決算で,過去最大の歳入減で,過去最大の赤字になりましたが,以降黒字基調を維持しています。

 それでは,今回の決算に至った要因について簡潔に説明します。

 まずは,歳入の根幹を成す市税,地方交付税等の一般財源収入の状況であります。

 厳しい状況であります。近年の一般財源収入は,ピーク時である平成12年度の4205億円から約400億円減少し,3800億円前後で下げ止まったままになっており,大幅減を回復していない状況が続いております。

 このうち,平成25年度の市税収入につきましては,徴収率の向上もありまして,前年度から17億円の増となりましたが,依然として,リーマンショック前の水準である20年度の2,664億円を220億円下回っております。

 また,地方交付税と臨時財政対策債の合計である実質的な地方交付税は,平成16年度から平成18年度までに国が行った,いわゆる三位一体の改革の影響により,平成15年度の1307億円をピークに減少が続き,平成20年度には801億円まで大幅に落ち込みました。その後,1000億円台まで回復したものの,平成25年度決算は1052億円とピーク時と比べ255億円の減になっております。

 一方,三位一体改革では,地方交付税を減らして税財源を地方に移譲するということでしたが,市税収入は,平成15年度との比較では102億円の増に留まっており,地方交付税の減は,市税収入の増を大きく上回っています。

 次に,市税等の徴収率ですが,これは全庁を挙げて取り組んでおります。特に区長を先頭に区役所が本庁と連携を強めて一丸となって取り組み大きく前進しております。平成24年度に続いて,過去最高を更新し,前年度から0.2ポイント向上の,97.6%となりました。

 この増収効果は約5億円となり,一般会計の黒字の確保に大きく寄与しています。現在は,指定都市の中でもトップ水準に達しております。かつて,平成6年度は91.9%と政令指定都市最下位の時代もありました。前市長の時代に努力を重ね,そして今も努力が続いております。平成6年と平成25年度の差は,5.7ポイントで,税収額に換算すると143億円になります。行財政改革を徹底するとともに,公平性の確保,財源確保の視点から取り組んできましたが,これも財政健全化に大きな効果をもたらし,福祉や教育の充実等に寄与していると考えております。

 次に,財政健全化のため,全職員の協力を得ながら努力を行ってきた職員数・人件費の削減についてでございます。

 職員数については,平成19年度から平成26年度までの7年間で,2,783人を削減しました。その結果,平成26年度の職員数は,13,370人となっております。これはピーク時(昭和55年度の20,095人)の3分の2の体制となっております。京プラン実施計画では,平成23年度から平成27年度までの4年間で700人の削減を目標としており,この4年間の目標に対して,3年間で既に675人の削減となっております。

 今後も様々な行政課題があります。観光振興,文化芸術,景観政策に重点的に人員を配置します。ケースワーカー等もこの数年間で100人近く増員しております。そうしたことを進めながら,「民間にできることは民間に」を基本に業務委託の推進など,少ない人数で効果的な仕事ができるメリハリのある職員体制を築いていきます。

 なお,職員数の削減や給与制度の見直しなどによりまして,平成26年度当初における一般会計の人件費は,平成19年度決算と比較すると190億円の減となっております。その削減された分が福祉経費等に充填されています。

 次に,市バス,地下鉄についてです。

 本市が全庁を挙げて推進しております「歩くまち京都」,公共交通優先のまちづくりに,市民や事業者の皆様の大変な御理解をいただいております。車の渋滞が減ってきましたので,観光の面でも大きな効果を挙げております。市民の御理解のもと,増収増客に向けた交通局の懸命な努力とそれを全庁一丸となって支える取組によって良い循環ができております。

 まず,市バスについてですが,観光系統の増便や便利で分かりやすいダイヤの充実等に取り組んだ効果により,平成25年度の1日当たりの旅客数は,前年度から約4300人増の32万6000人となりました。過去4年間で1日当たり約1万5000人,の増客となっております。

 また,支出面におきましては,人件費の削減等,コスト削減に努めてきた結果,経常損益は27億円の黒字となりました。平成12年度が52億円,平成14年度は50億円の赤字でした。民間バスも含めたバス事業は全国的に危機的な経営状態にあります。赤字を克服したという事例で多く見られるのが赤字路線の廃止であります。しかし,京都市は市バス74系統のうち,黒字路線は23系統で,赤字路線は51系統であります。その赤字路線の系統をしっかりと維持し,更に利便性を向上させる。そのような取組の中で黒字転換を図りました。また,今年3月からは大きく増車し,市民の皆さんや観光客の足として役割を果たしていこうという取組も進めております。全国のバス事業が非常に厳しい状況の中で,京都が新たなモデルを示しております。巨額の累積資金不足が残り10億円まで解消されましたが,さらに積極的な経営を交通局で考えてまいります。

 次に,地下鉄についてですが,夜間時間帯の増便等,利便性向上の取組の浸透及び同志社大学の今出川キャンパスの充実も大きな結果を出してくれました。平成25年度の乗客数は,前年度から約9000人増の34万8000人となりました。過去4年間では,約2万2000人の増となっています。駅ナカビジネスも非常に順調でございます。そして,人件費等のコスト削減に努めた結果,一般会計からの任意補助金を経営健全化計画から9億円削減いたしましたが,それでもなお計画を上回る収支改善を達成しました。また,経常損益の赤字は1日当たり1100万円まで縮小しました。

 現金収支の黒字を拡大していくことが一番大事であります。地下鉄5万人増客プロジェクトに全力を挙げて取り組んでまいります。

 現在,4200億円の企業債残高があります。まだまだ全国一厳しいと言っても過言ではありません。市民の皆さまに便利な地下鉄を積極的に御利用いただき,交通局においても,利用者の目線に立ったサービス向上の徹底やコスト削減に努めてまいります。

 次に,上下水道事業でございます。収入を大きく左右する水需要は,節水型社会の進展により減少傾向が続いております。そこで,長期的な展望のもと,昨年10月検針分から,水道料金はプラス9.6%,下水道使用料はマイナス3.0%,合わせまして3.7%の料金改定をいたしました。その結果,水道料金は増収,下水道使用料は減収となりました。

 一方,支出においては,職員給与費や支払利息の削減に努めた結果,水道事業は20億円,下水道事業は40億円の黒字を確保することができました。

 水道事業につきましては,料金改定や経費節減により確保できた利益は,計画どおり老朽化した水道管の更新をスピードアップするための財源として活用いたします。

 水需要の減少が続く厳しい経営環境ではありますが,今後も,中期経営プランに基づきまして,更なる経営の効率化・財政基盤の強化を図るとともに,プランに掲げる事業を着実に推進し,引き続き,安心・安全で市民の皆さんに信頼される上下水道事業を推進してまいります。

 次に,本市が実質的に返済に責任を負う市債残高でございます。

 私は就任以来,「子や孫の世代にこれ以上借金を増やしてはならない」という信念に基づきまして,国が返済に責任を負う臨時財政対策債を除く実質市債残高について,先ほど申しました計画に基づき明確な目標を定めまして,ブレることなく縮減に取り組んできました。15歳以上65歳未満の生産年齢人口の減少が始まっております。人口全体はほぼ横ばいを維持しているわけですが,生産年齢人口の減少は始まっております。「生産年齢人口1人当たりの市債残高を増やさない」,この方針を堅持するということであります。削減目標を,「平成27年度までの5年間で5%,全会計で1000億円以上,一般会計で500億円以上縮減する」と設定したわけですが,平成25年度決算までの縮減実績は,全会計で1080億円,一般会計で558億円となり,5年間の縮減目標を2年前倒しで,3年間で達成することができました。

 概略は以上でございます。本市財政は着実に財政健全化の道を歩んでおりますが,決して安心できる状況ではございません。本市財政の厳しい状況を3点に絞って申し上げたいと思います。

 まず,1点目は,ぜい弱な財政基盤が挙げられます。本市の市民1人当たりの市税収入は,政令指定都市の中でも少なく,大阪市と比較しますと,その差額は一人当たり約7万円,京都市の人口147万人分に換算すると年間1,073億円も少ないという現実があります。

 これは,景観等を大切にし,高さ規制の強化等,京都ならでの都市の特性を大事にしている結果と考えられます。決して,小さな東京にならない,このことが,我々が50年後100年後の京都の未来に責任を持つことだと確信しております。

 また,様々な要因によって,市税収入が少ないという状況があります。今後,経済成長による法人所得の増を期待していますが,一方で,政府においては,法人住民税の一部国税化(地方交付税原資化)や法人実効税率の引下げの方針が示されております。法人所得が増えてもそれに見合った本市の税収が増加するのか楽観視できない状況です。

 2点目は,地方交付税等の確保が必要であるという点です。本市は市税収入が少ないために,国からの地方交付税と臨時財政対策債に多くを依存しています。これも都市が置かれている性格です。

 しかし,交付税と臨財債の合計は,ピーク時の平成15年度から,255億円の減と,税収を大きく上回る一方的な削減です。加えまして,臨時財政対策債が占める割合が非常に増加してきています。平成25年度は45%とほぼ半分になりました。一方で,地方交付税は減少の一途です。国が,地方交付税と臨財債の割合を決める訳ですが,京都市債は非常に人気があり,比較的低い利息で借りられるということもあって,他市町村に比べて本市に多く臨財債を回しています。これが非常に問題であると思います。

 今後も,政府において国・地方を通じた赤字国債・地方債の縮減が目標とされる中で,地方交付税等が見直しの対象となってきます。地方交付税等は税収が増えると,その一定割合が減少する仕組みになっていますが,それを超えて地方交付税が削減されることに危機感を持っています。

 このため,増大する行政経費に応じ必要額の確保,さらに法定率の引上げによる臨時財政対策債の廃止,大都市特有の財政需要を反映する算定方法を国に対して引き続き求めてまいります。

 地方都市僻地等については,その特性に応じた様々な算定根拠の見直しを,京都のような大都市でもその特性に応じた対応をしてほしいと思います。これらについて,引き続き,国に要望していきます。

 3点目は,社会福祉関連経費の増加傾向です。

 20年のスパンで見ていきますと,市税と一般財源収入がピーク時から大幅に減少し,近年は下げ止まったままという状況です。一方で,社会福祉関連経費は一貫して増加し,20年前の2倍以上になっています。平成5年に1,059億円だったのが2,414億円。市税収入はピーク時の2,719億円と比べて200億円減少しています。地方交付税と市税収入を含めた一般財源収入も4205億円のピーク時から400億円下がったままです。

 現在,予算編成の作業に入っていますが,まずは,国に対して改善を要望していくことが大事だと考えています。同時に,ピーク時の3分の2の職員数で仕事をしていますが,厳しい財政状況で,更なる人件費の削減に取り組まなければなりません。また,聖域なき事業の見直しを実施し,増加する社会福祉関連経費等に振り向けていきます。そして,公債償還基金の取崩しなどの「特別の財源対策」に依存しない財政運営を進めていきます。

 とりわけ人口減少社会や高齢者の増加等を迎え,きめ細かい福祉,子育て環境改善のための保育所等の整備充実,あるいは教育環境の充実等が重要であります。

 縮み思考にならないで,都市の成長戦略「はばたけ!未来へ京プラン」をしっかりと進めていきます。人口減少社会を見据えて,「子育て環境日本一」の取組をさらに充実させ,経済の活性化・安定した雇用の創出,交流人口の増加も見据えた観光・MICEの推進,あるいは,大学のまち・学生のまちの推進,また,個性と活力あふれるまちづくり,駅周辺の用途の見直し,スマートシティ,コンパクトシティの実現,そして,魅力あるところに人は集まるということで,都市の品格と魅力の向上といった,現在,全力で全庁をあげて進めている施策を一つ一つ「深化」させ,さらに,政策を「融合」させて,国の政策を京都の施策に取り込んで,「スピード感」をもって推進してまいります。

 なお,成長戦略,特に,子育て環境の改善等につきまして,今,「子ども子育て会議」を開催し,京都はもとより,全国の代表からなるメンバーで全国で最も水準の高い侃侃諤々(かんかんがくがく)の深みのある議論を進めていただいています。実行性のある取組を行うため,熱い議論を深めていきたいと思っています。

 京都市の財政は健全化しています。しかし,危機的な状況は変わりません。今後も,行財政改革を更に進めるとともに,攻めの都市経営により,京都市の魅力の向上に努めたいと思います。

 私からは以上です。

質疑応答

報告案件に関する質疑

<25年度決算概況(実質市債残高の縮減について)>

記者 

 実質市債残高の縮減目標を2年前倒しで達成できた要因は。具体的にどのような取組を進めたか。

市長 

 市長就任早々に,有識者による諮問会議を立ち上げて,侃侃諤々(かんかんがくがく)の議論をいただきました。まず,京都市の抜本的な財政状況について,生産年齢人口の減少に合わせて,それ以上の借金を減らすということを計画の中心に据えました。例えば,市バス,地下鉄の経営健全化もその手段の一つです。計画では,選択と集中を徹底し,公共事業も見直してきました。一方で,不況対策等で,国の有利な財源を確保でき,必要な事業に対して,総合的に活用することができたことも実質市債残高の縮減につながったと考えています。また,地下鉄の財政健全化計画に基づき,京都市が設定した目標数値よりも地下鉄の決算が順調に推移したことで市債発行残高の縮減につなげることができたと考えています。この他,縮減につながった多くの要素がありますので,後程,補足して説明いたします。

  

<25年度決算概況(財政健全化に関する取組について)>

記者

 京都市としての健全化は進んでいるものの,課題もあるということですが,課題解決に向けた今後の取組について,特に重視することは何か。

市長

 この度,トラベル・アンド・レジャー人気都市ランキングで京都市が世界の人気ナンバー1の都市になったように,観光客が大幅に増加していますが,京都市の税収は増えていません。一年中観光客でにぎわう京都市ですが,市民一人当たりの税収は,大阪市と比べて 7万円少ないという話を東京ですると驚かれます。京都の文化力,歴史力,地域力は世界一だと自負していますが,それが,京都市民の収入増と税収の増加に結びついていません。例えば,伝統文化と伝統産業の振興を積極的に行い,文化と経済を観光に視点を置いてつなぐことによって,京都の魅力を,経済の活性化,同時に安定した雇用の創出,市民所得を向上させることで,税収の向上につなげていきたいと思います。京都市における去年の観光支出は7,000億円でしたが,これを2020年に1兆円を目指したいと思います。人数を追いかけるのではなく,質を高めて,そして,京都市民の暮らしの向上につなげることが大事です。

 もう一つは,徹底して,景観を守り,都市の魅力を向上させます。京都の景観を頑固に守っていきます。同時に活力ある京都のまちづくりも実現させます。京都を観光したいけど,ほとんど宿泊施設が取れないという状況があります。あるいは,京都で,多くの研究機関や新しい会社ができていますが,工場,研究機能は他都市に持っていかざるをえないという現実があります。しっかりと景観や資源を守り,同時に活力ある京都のまちをつくっていくために,去年から駅周辺の用途の見直しと,容積率の緩和に関する取組を行っています。高さ制限の31メートルは変えませんが,京都の活力を維持するための政策は大事だと思っています。さらに,若い人が京都に住み,結婚し,そして,子どもを安心して育てられる子育て環境等を徹底して,充実,強化していきます。

 これ一本ということではなく,あらゆる政策を推進していますが,こうした取組は,1年,2年では効果があがりません。例えば,国際会議の誘致も短くて3年,長くて5年はかかります。また,今,様々なホテルが京都市に進出を始めていますが,これも本市が,4年前に作った観光計画で,世界に冠たる宿泊施設を誘致するということを明確にして,4年経ってできてきたということです。まちづくりは,即,成果につながるものではありませんが,パフォーマンスではなく,着実に進めていきたいと思います。

報告案件以外の質疑

<空き家比率について(全国平均を下回ったことの受け止め方及び条例に基づく行政代執行の有無)> 

記者 

 昨日,総務省が全国の空き家の比率を発表した。前回数値(平成20年度)から比べ,全国では空き家率は上昇し,京都市は減少しているため,空き家の増加率が全国平均を下回った。5年前は,京都市が全国平均を上回っていたが,今回の結果をどのように受け止めているか。また,条例は,行政代執行も含めたものとなっているが,代執行までいくような事例はあるのか。

市長

 全国比較のことが話題になっていますが,私は,あまり全国の比較は問題ではないと思っています。京都の魅力を高めていくため,また,京都の未来を築いていくために「空き家対策」,「密集市街地対策」,「細街路対策」,これらを総合的に進めていくことが極めて重要であると考えております。そのため,就任後ただちにプロジェクトを立ち上げ,京都大学をはじめ,多くの大学の先生方,また,国土交通省の協力も得て,現行制度では最大限,限界に挑戦する全国のトップ水準の条例を制定しました。他都市の建物の安全管理を重視した条例に比べ,空き家を「資産」として着目し,それを活かしていこう,そのための具体的な政策を推進していこう,という意味を持つことからも,京都市の条例,施策は全国の最高水準であると考えております。

 条例を制定してからこの間,京都ならではの地域力を活かし,不動産事業者や建築士等々の民間事業者,専門家の知恵も借りながら様々な取組を進めてきました。今回,少し比率が減少し,改善傾向が見えてきたというのも,その成果の表れだと思っています。

 条例についてですが,いくら指導しても危険なまま放置されている家については,勧告,公表,それでも放置が続く場合は,代執行する,こういう仕組みをより明確にいたしました。

 現在指導している中で,解体される,改善される,という動きが出てきています。代執行が目的ではありませんが,それでも改善されないもの,あるいは,所有者が分からない物件については,行政代執行も辞さない,という姿勢で進めております。

 改めて,状況については,公表していきたいと思っています。

 

<リニア京都駅誘致について(奈良ルートに対する考え方及び具体策)>

記者

 7月18日,大阪でリニア推進協議会が設立され,大阪の自治体や経済界が奈良ルートを支持する姿勢を見せたことを,どのように受け止めているか。また,京都駅構想を実現する具体策はあるか。

市長

 私どもは,日本の未来のために,東京一極集中を打破し,日本全体が均衡のとれた発展をしていくために,従前から3点要望してきました。

 1つは,東京・大阪までの同時開業であります。もう1点は,関西国際空港までの延伸,そのことによって首都圏も完全24時間運営の空港を1兆円足らずで持つことができ,観光振興という大きな役割を果たします。3点目は,法令に基づき最も日本の未来のためにふさわしい経路を取るべきであるということです。

 また,同時開業については,京都が最も早くから申してきたと自負しているわけですが,同時開業の気運が盛り上がってきたことについては,率直に評価したいと思っております。

 先だってまでは,東京・名古屋が開業してから18年後の開業ということは決まったことのように思われていました。しかし,この間「オール関西」で取り組んできた,また,関西全体の危機感もあり,大きく盛り上がったことについては評価したいと思っております。

 同時に,関空までというのが薄くなってきました。関西国際空港までの延伸は大変重要です。日本全体のことを考えましたら,関空までつなぐ,さらに,法令に基づいて,経済効果等を検証する。これは,国費を投入してでもするべきだと思っております。全国新幹線鉄道整備法,並びに同法施行令に経済効果等について検証すべきだということは明確に記載されています。時速250㎞の新幹線で検証されたことを踏襲することはあり得ない話ですから,我々は道理に基づいた主張をしており,これが正しい道だと確信しております。

 同時開業は非常に大事なことであります。それと同時に関空までの延伸,経路について最も効果的なものを法令に基づいて検証する,このことについては,関西広域連合の井戸会長もおっしゃられたところであります。

   

記者

 経済効果等を考えた場合,最適な経路が,京都駅ルートだということか。

市長

 もちろんそうであります。単純な経済効果もありますし,50年後に半分の自治体が消滅しているかもしれないという人口減少社会の問題もあります。そういう時に,鉄道駅があるまちが生き残り,そこから水平連携し,日本の国が均衡ある持続的な発展を目指す。これは既存のストックを活かすという意味で最高の方策だと思います。

 一刻も早く東京と大阪だけを直線で結ぶというのではなく,東海道本線も,山陰本線も,湖西線も,北陸本線も,近鉄も,市営地下鉄も,すべての鉄道駅が結集する,京都駅にアクセスすることが西日本全体の発展のために寄与すると確信しております。

<祇園祭について(評価及び来年以降)>

記者

 祇園祭について,後祭が49年ぶりに復活し,巡行が無事終わったが,今年の祇園祭をどのように評価しているか。また,来年以降をどのように考えているか。

市長

 祇園祭後祭が終わり,1週間が経ちましたが,未だに会う人,会う人が「良かったですね」と声を掛けてくださります。

 ポイントは,3つほどあると思います。1つは,祇園祭は1箇月間続く祭りですが,これまで,気分的には17日で終わってしまう。これが,24日まで続き,今もにぎわいを維持しています。祭りが本来の姿に戻ったといえるでしょう。

 もう1点は,私が嬉しかったことですが,宵山で車いすの方がおられたこと,あるいは,久々におばあちゃんと宵山を見に行けた若い方がおられたということです。去年までの宵山では考えられなかったという声を聴いています。私もそのことは実感しました。また,これまで,お寺が屏風祭をやられていることを,露店でいっぱいだったためほとんど気がつきませんでしたが,今回,じっくりと見させていただくことができました。

 「粽が売れないのではないか」と心配されていましたが,1日,2日で売り切れるところもあり,関係者の方々の中でも否定的な意見は1つもなく,良かったという意見を聞いております。

 3点目は,市バス・地下鉄のお客様が,この10年間で過去最高だったということです。17日の人出が,去年と比べて少なかったような発表もありますが,市バス・地下鉄のお客様は5%伸びているわけであります。後祭はそれにプラスであります。そういう意味で,宿泊された方も含めて非常に経済効果もあったのではないでしょうか。

 将来に向かってですが,より魅力を発信すれば,もっと注目されるのではないか,さらに,天神祭とつながっていくのではないかと考えております。半世紀前は,24日の後祭の後,天神祭に行く,ということがあったようです。京都の花灯路と神戸のルミナリエがつながっているように,このあたりは観光事業者等とも連携していきたいと考えております。

 そういったことで,色々と懸念されたこともありましたが,祭りを本来の姿に戻す,そういうブレない姿勢を基に結果として想定以上の効果を上げたと多くの方が確信されたと思います。

 NHK,KBSの放送も非常に素晴らしかったです。

 また,祭りを本来の姿に戻すことは,日本人,京都人が大事にしてきた生き方も大事にしていこうということにつながります。「ごみゼロ大作戦」,あるいは「リユース食器」の取組が進みました。これも様々な異論がございました。例えば,道の真ん中にリユース食器の回収拠点を作ると,このことが祭り気分を冷めさすのではないか,ということもありましたが,連日1,000人ものボランティアに出ていただき,京都市職員も200名以上を動員し,取り組んだ結果,ゴミを減らすことができました。

記者会見資料

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電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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