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門川市長記者会見(2013年11月15日)

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2023年4月12日

「世界遺産・二条城MICEプラン」事業の実施について

 私から3点御報告させていただきます。

 まずは,二条城を舞台に国際会議等のレセプションや展示会などが実施できる「世界遺産・二条城MICEプラン」事業の実施についてであります。
 世界遺産として,また国宝として,日本そして京都の魅力を国内外に発信し続けている二条城。二条城ができて,江戸時代が始まり大政奉還の舞台となり,江戸時代が終わる。あるいは3代将軍家光公が,後水尾天皇の行幸をお迎えになるなど様々な日本の歴史の舞台であり,海外からのお客様をはじめ様々な方をお迎えする最高の場所です。昭和14年に京都市が宮内庁から譲り受けました。
 二の丸御殿からこの庭園を眺めた風景は410年前となんら変わらない,奥深い,ほんものの京都の魅力を感じていただける,素晴らしい場所でございます。この二条城で,国際会議などで京都を訪れるお客様をお迎えできればという御要望をこれまでから,国内外の学会の関係者,あるいは企業の方々から頂戴していました。
 京都市では,悠久の歴史と文化を背景に,平成22年3月に日本の自治体で初めて,国際会議等を誘致するMICE戦略として「京都市MICE戦略」を策定しました。そして,「観光部」を「観光MICE推進室」に改めて,いち早くMICE戦略を推進しております。おかげさまで昨年京都市域における国際会議の開催状況は,件数,総参加者数,さらに海外からの参加者数共に過去最高となりました。成果は着実に表れています。また,国際会議の参加者以外にも,御家族がたくさんお越しになるということで,様々な面で大いに役立っております。
 この6月に京都市は,我が国を代表する国際MICE都市として,国の「グローバルMICE戦略都市」として選定されたところです。
 世界に目をやりますと,ベルサイユ宮殿がMICE会場として利用されております。世界的にも歴史的,文化的資産を活用していくというニーズが高まってきております。そこで,この二条城の格式,歴史的,文化的価値をしっかりと守りながら,この大いなる可能性を秘めた二条城の活用に向け,観光MICEの振興と文化財の保護を融合により,二条城においてMICE利用を希望される団体や企業を誘致し,一般のお客様に影響のないエリアや時間帯において,国際会議,研修,展示会,イベント等のMICE会場として御利用いただく事業をスタートさせることと致しました。
 様々な団体,企業等に,重要文化財である二の丸御殿台所や清流園をMICE会場として御利用いただきたいと思います。
 事業の実施にあたっては,「コーディネーター」を公募し,複数の事業者を認定する予定です。 
 「コーディネーター」については,旅行業,ホテル業,イベントの企画・運営業の事業者を対象としております。
 京都ブランド・都市格の向上,経済波及効果など,社会的,経済的な面でも大いに役立つと考えております。京都の都市の活力を支え,向上させていく観光,国際会議等のMICEの振興,これと二条城の保存・活用を,しっかりと融合して取り組んでいきたいと思います。

京都市域におけるバス均一運賃区間の拡大について

 次は,嵯峨・嵐山地域における市バスの均一運賃区間の拡大についてでございます。

 嵯峨・嵐山地域においては,台風18号により大きな被害を受け,国内外の方々に大変御心配をおかけしました。多くの方々から激励,支援をいただき,おかげさまで,すっかり美しくなり,元気になっております。
 さて,バスの京都市内における運輸は,市バスが85%,民間バスが残りの15%を担っており,市バスと民間バス,更に鉄道が連携した交通ネットワークを構成しております。
 市バスの運賃については,市内中心部を220円の均一運賃としており,周辺部は,競合する民間バスの経営に配慮しまして,民間バスが設定しておられる運賃に市バスが合わせるという形で,距離に応じた運賃としております。
 また,市バスが1日乗り放題になる「市バス専用一日乗車券カード」が大変人気で,昨年は418万人の方に御利用いただきました。一昨年は372万人,10年前は276万人でしたので,大幅な増加であります。
 しかし,市バス専用一日乗車券カードが使用できるのは,市内中心部の均一運賃区間だけですので,嵯峨・嵐山地域は使えませんでした。このことについて,利用者の方々,あるいは観光関係の事業者の方々から,「京都を代表する観光名所である嵯峨嵐山でも市バス専用一日乗車券カードで乗れるようにしてほしい」という声をいただいてきました。ホテルや旅館が,サービスとして市バス専用一日乗車券カードを渡されているところもあるようです。
 そこで,交通局が,徹底したお客様目線で前向きに取り組み,京都バス株式会社さんと積極的な協議を重ねてきました。おかげさまで,京都バス株式会社さんの大英断を得まして,嵯峨・嵐山地域における均一運賃区間の拡大が実現することになりました。京都バス株式会社さんの御英断に心から敬意を表したいと思います。
 市バス事業は,昨年,お客様が,対前年度比で7000人増え,目標とした32万人を達成することができました。そして,計画よりも3年前倒しで経営健全化団体から脱却することができました。こうした経営改善の成果を背景にいたしまして,更にお客様第一の攻めの経営を行っていこうということで,市民の皆様,観光客の皆様により一層市バスを御利用いただけるように取組を進めております。
 先般発表いたしました来年3月に実施する,市バスの新運転計画では,市電を廃止した1978年以降35年ぶりの大幅な増車により,路線やダイヤの充実を図ります。
 この度の均一運賃区間拡大も攻めの経営の1つでございます。実施日は,市バス新運転計画実施と同日の,来年3月22日を予定しております。
 均一運賃区間拡大の効果は,大きく分けて次の3点でございます。
 1点目は,市バス専用一日乗車券カード,市バス通勤フリー定期券の市内中心フリーが,嵯峨・嵐山地域でも新たに御利用いただけます。
 2点目は,嵯峨・嵐山地域において,今は市バス,京都バスともに,御利用区間に応じて190円から270円の運賃を設定しておりますが,これを一律220円にしますので料金が上がる区間もございます。例えば,大覚寺から松尾大社に行くときは190円が220円になります。このような場合もありますが,大覚寺から京都駅に行かれる方が非常に多く,その場合は,250円が220円になりますので,多くの利用者の方々が,その効果を実感していただけると考えております。
 3点目は,これまで京都バスでは御利用になれなかった,市バス専用一日乗車券カードが嵯峨・嵐山地域だけでなく,市内の均一運賃区間全域で御利用いただけるようになり,市民の皆様,観光客の皆様に非常に喜んでいただけると思います。
 なお,市バス専用一日乗車券カードの価格は据え置くことといたしました。以前は700円でしたが,平成12年に大胆に500円まで値下げしまして,非常に好評で利用者が増えています。これに伴い,市バスの市内中心部の運賃は220円ですが,1乗車当たりの運賃単価は年々低下しており,平成24年度の実績は,157円60銭になっています。多くの方々に市バス専用一日乗車券カードを御利用いただいている関係で,そういった非常に厳しい状況ではありますが,攻めの経営の1つとして,市バス専用一日乗車券カードの価格は維持していきたいと思っています。

「京都市の空き家の活用,適正管理等に関する条例」の制定に向けて

 最後に,空き家対策でございます。京都市空き家の活用,適正管理等に関する条例を次の11月市会に提案することといたしました。
 私たちのまち京都は,平安建都以来1200年以上にわたり,都市の営みを継承し,京都独自のまちなみやコミュニティ等,住まいやまちの文化を形成してきた輝かしい歴史がございます。この歴史は,人と人がつながり,支え合いながら,自然を生かし,良い物を見極め,大切に守り,手入れをしながら,積み重ねてきたものであり,このまちに暮らす人々の手でこうした住まいやまちの文化を次の世代にしっかりと受け継いでいくことが,極めて大事であります。
 しかしながら,近年住み手のおられなくなった空き家が増加し,これらが十分に手入れされないまま放置されることにより,地域の生活環境の悪化はもとより,まちの活力の低下,ひいては引き継いできた住まいやまちの文化が喪失されていくことが危惧される状況にあります。
 活力を失っては京都が京都でなくなってしまいます。まちの活力を維持する,さらに発展させる。京都のまちの再生なくして,京都の未来の展望はない。そう言っても過言ではありません。
 このような思いから,この間,地域のまちづくり活動を通じて,空き家の活用や流通に取り組む地域連携型空き家流通促進事業を展開してきました。また,全国でも例のない様々な制度の導入や地域との協働のもと,細街路対策,密集市街地の再生にも取り組んでおり,こうした関連施策とも融合を図りながら,総合的に取組を進めてきたところです。
 こうした取組を更に進めなければならない,進化させなければならないということで,今年7月に策定しました『総合的な空き家対策の取組方針』では,次の3つを柱として対策に取り組むこととしております。一つ目は空き家をまちの資源として捉え,活用,流通を促進する。2つ目は地域の安心,安全のために管理が不十分な空き家,周辺に迷惑をかけている空き家に対しては,毅然とした態度で臨んでいく。3つ目は京都が誇る地域力を活かして,地域の方々との連携のもと取組を進めていく。以上の3つを柱として,空き家の所有者だけでなく,地域,事業者,さらには大学,NPO等との連携を図りながら総合的に取り組んでいくことを,空き家対策を進めるうえでの基本的な考え方としております。
 そこで,こうした取組を来年度から,より本格化させるために11月市会に条例を提案することといたしました。放置され,地域で様々な問題を起こしている空き家が徐々に増えてきており,平成20年度の国の調査では,京都市の空き家率は14.1%,全国平均13.1%を上回っております。空き家をどうするかは個々の所有者の意向に左右されるため,大変難しい問題ではありますが,空き家の発見,空き家の活用のためには,行政だけではなく,地域の協力を得ながら,それぞれが責任を持って取り組まなければなりません。市役所も全庁体制で取り組んでまいります。そして,事業者や市民の皆さんにも責任や役割を果たしていただきます。条例では,こうしたことをまとめました。
 全国で空き家に関する条例がいくつもございますが,ほとんどが適正な維持管理のみを目的にしています。それを本市の条例では,一歩,二歩踏み込みまして,空き家の発生の予防,空き家の活用等を含め,総合的に対策を推進するとしており,全国でも稀有な条例になるものと考えております。
 条例制定後,取組を具体的に進めるための来年度の予算措置や体制につきましては,条例審議の中での御意見も踏まえ,検討していきたいと思っています。京都の都市格の向上,経済の活性化につながるとの確信のもと,市民の皆さんと一丸となって,一歩,二歩踏み込んだ取組を進めてまいります。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(二条城MICEプランについて)

記者
 二条城は京都を代表する施設であり,期待も高いが,外国人観光客の誘致に与えるインパクトは,どの程度と考えるか。また,MICE会場等の活用として考えている施設は他にあるのか。
市長
 先日,民間の方々と一緒に高台寺を活用し,MICE戦略等のプレゼンテーションや,園遊会のようなものをしました。また,今年11回目を迎えましたSTSフォーラムは,科学技術のダボス会議にしようと,これまで回数を重ねてまいりましたが,およそ千人の方にお越しいただくものになりました。今年は,地元主催のレセプションを大覚寺で行い,喜んでいただきました。
 そうした国際会議に参加された方に,二条城を見ていただくと,二条城でレセプションをやりたいとおっしゃっていただきます。二条城の素晴らしい文化財と周辺の雰囲気,そこで交わされる会話というのが,大きな意味があると考えています。
 なお,京都市がMICEの会場となる場所を増やすことで,民間の経営を圧迫することにも配慮しなければならない面はあるかと思いますので,両方がパイを増やしていく取組を進めていきたいと思います。
 二条城の次に,MICE会場にできるとすれば,規模は少し小さいですが,京都市が管理する無鄰菴を考えていければと思っております。

記者
 使用中に文化財が壊れた場合は,どのように対処されるのか。
市長
 文化財の保護には万全を期します。そのうえで,万が一ということもございますので,それは原因者が負担することになります。また,コーディネーターに,保険をかけていただくことを予定しています。

記者
 会場となる場所の使用料についてはどのようになるか。また,コーディネーターの決定後,貸出を開始するのか。
市長
 条例で公共財産の目的外使用について基準がありますので,それを適用します。例えば清流園全体であれば,約1万3千平米ですので一日100万円程度,御殿台所も50万円くらいになります。
 また,コーディネーターの説明会を月末に行い,コーディネーターが決まってから,使用者の募集をすることになります。コーディネーターには,積極的な情報発信,MICEの誘致も,役割の一つとして位置付けていきたいと思っています。例えば,二条城の清流園や二の丸御殿台所で,「こういった音楽会ができますよ」,「こういうレセプションができますよ」等,コーディネーターから国際会議の主催者等に対して,主体的に提案し,誘致していただくような取組をお願いしたいと思っております。
 私が市長就任当初の話ですが,それまで環境に配慮した車を発売していなかったヨーロッパの自動車メーカーが,環境に配慮した車の展示会を,京都議定書誕生の地,京都の二条城でやりたいということを,間接的に伺いました。京都で行うことで,そのメーカーがいかに環境に配慮しているか,世界にアピールできるということでした。しかし,その当時,展示会等を受ける仕組みがなかったため,立ち消えになってしまいました。今回のような仕組みができることで,今後はそのような場合にも使っていただけます。単に重要文化財,国宝,世界遺産であるということを超えて,「京都の二条城」で発表することの意味があるかと思います。以前,ヨーロッパのあるメーカーが,金閣寺で創立90年の記録展を実施されました。歴史と伝統,ブランドをイメージし,それを高めるのに京都というまち,二条城が使われたらいいのではないかと思っております。

記者
 これまで文化庁などから制約を受けていた部分があったが,今回のような事業の仕組みを作ることで,具体的な利用の拡大ができたということか。
市長
 そうですね。世界遺産は大事にしていかなくてはなりません。しかし,東寺では音楽会や南区のふれあいまつりを実施されているように,文化財はしっかりと保存すると同時に,多くの人に親しんでいただくことで,その価値をしっかりと認識していただき,みんなで守っていくことが大事ではないかと思います。日本の文化財というのは,ほとんどが木・紙・土でできているので,いずれ朽ちていきます。それを維持していくということは,創建時と同じ材料があること,その技術が伝わっていること,そして何よりもその哲学が維持されていることが大事だと言われています。そのためにも,遺跡のような保存の仕方ではなく,みんなが価値を認識して,生かして,保存していく。それが最も大事だと認識しております。

記者
 使用料収入は年間でどのくらい見込まれているのか。
市長
 使用料を稼ぐためにやるものではありませんので,年間で一千万円程度入ればいいのではないかと考えています。利用いただく際に,一日城主や募金等の情報を発信していければとは思っております。

記者
 どういう利用法が考えられるのか。
市長
 レセプションの希望が多く,コンサートの開催や,御殿台所では展示会も行えると思います。
 二条城の入城者数は,12年前までは年間約100万人でしたが,最近では様々な取組を行い,約150万人の方にお越しいただいています。例えば,二の丸御殿台所で展示会をやることによって,相乗効果も期待できると思います。

記者
 会場としてはどこを使用するのか。例えば,大政奉還の舞台となった御殿大広間を使うなどは可能なのか。
市長
 会場は清流園,二の丸御殿台所,二の丸御殿台所前庭,二の丸御殿御殿中庭,緑の園,桜の園,香雲亭,和楽庵,東南隅櫓前庭を予定しています。二の丸御殿大広間は,重要文化財の障壁画などもあり,会場として貸切で使用いただくことは非常に難しいかと思います。二の丸御殿は,台所以外は通常一般に御覧いただいているところですから,貸切にはできません。文化財の保護の観点からも,ここに物をいっぱい持ち込んでということは無理と思っていただきたい。

記者
 二条城をレセプションなどの会場として使用する場合,来賓のための駐車場を用意しなければならないなどの問題があると思うがどう考えているか。
市長
 STSフォーラムは,1000人規模の参加者が来られるほど成長しており,各国の科学技術大臣等も多数出席されています。今年は総理大臣も初めて出席されました。
 その大規模なフォーラムのレセプションが,大覚寺で開催できるわけですから,二条城においても問題ないと思っています。

(京都市域におけるバス均一運賃区間の拡大について)

記者
 台風18号で被害にあった嵯峨・嵐山地域において,春の観光シーズンを前に今回の取組を行うということは,観光客増につなげたいという意図があるかと思われるがどうか。
市長
 住まわれている方や観光客の方にとって,嵯峨・嵐山地域は,京都の中心市街地と一体であると言っても過言ではないと思います。
 台風18号で嵯峨・嵐山が大きく注目されたことを意識しての発表ではありませんが,良い時期に実施することができてよかったと思います。
 また,市バス専用一日乗車券カードが,なぜ嵯峨・嵐山地域で使えないのかということを外国人の方に説明するのが難しかったこともあり,これが解消されるということは画期的なことであります。
 これまでから,バスも鉄道も含めて,民間との連携,結節を大事にしていくということで話をしてきました。信頼関係が醸成された中で,京都バス株式会社さんが御英断いただいたことは非常に嬉しいことだと,そして,春の観光シーズンに間に合ってよかったと思っています。
 均一運賃区間の拡大は,嵯峨・嵐山の観光だけでなく,周辺地域も含めて全市的な観光振興に役立つと思っております。

(「京都市空き家条例の活用,適正管理等に関する条例」の制定について)

記者
 全国で空き家対策に関する条例化が進んでいるが,いかに実効性のある内容にするかが問われている。予算化に向けて,実効性のある内容にするためには,どのような手立てが必要だと思うか。
市長
 次の市会で提出する条例案については,現時点で自治体が条例化できることはすべて盛り込んだと言っても過言ではありません。
 単なる空き家対策だけではなく,前の道路が狭いために空き家が改修できない,あるいは建て替えられないといった問題に対応するため,細街路対策や密集市街地対策も含めて総合的に取り組んできました。条例にはこうしたことも規定しており,したがいまして,自治体の限界に挑戦する条例になっていると思います。
 条例を制定してもなお取り組むことができない部分については,議員立法で法律を作ろうという動きが出てきました。先だって,国土交通省の幹部の方々と意見交換をする場がありましたが,京都市の空き家対策検討委員会の資料を全部いただいたとおっしゃっていました。京都市での議論が原点となり,国の中で,法律制定に向けて大きく動いています。京都は最も歴史的な都市であると同時に,課題が多い都市であります。そこに挑戦していこうという議論を,行政や専門家,不動産関係者,市民が一緒になって,進めてきました。
 さらに,空き家条例を制定して終わりではありません。例えば,インセンティブや税金の問題等についても議論していきます。同時に,国に法律の改正等についても要望していきたいと思います。
 危険な空き家については,勧告する,公表する,命令する,過料を科すなど,ぎりぎりのところまで条例でやると同時に,インセンティブを働かせるため,空き家対策における助成制度についても,来年度予算で最大限の努力をしたいと思います。
 山を削り,田畑を埋めて,市街地を広げていくというのが高度経済成長期,人口増加の時代でした。これからは,スマートシティ,コンパクトシティ,今あるものを最大限に生かすという時代であり,京都の強みを生かせる時代になってきました。京都の強みを生かすことに英知を結集したいと思います。

<その他の質疑>

(京都府知事選挙について)

記者
 昨日,府市長会及び府町村会が山田京都府知事に対して,立候補の要請をされたが,府市協調を掲げている市長として,山田知事を評価されている点は。また,出馬の表明が遅れていることについて,市長のお考えは。
市長
 基礎自治体がこぞって山田知事に出馬を要請されました。要請文にもありましたが,基礎自治体の政策としっかりと融合した政策を進めることが地方分権時代において一番大事なことであり,山田知事もそのことを大事にしているとおっしゃいました。
 様々な課題がありますが,市町村と連携を更に強化して,京都府が地方分権時代のモデルをつくるということを,一緒に進めていきたいと思っています。
 また,山田知事は,全国知事会の会長もされ,国とのやりとりに奔走されるなど,今一番大事な時期でもありますので,慌てなくていいと思っておられるのではないでしょうか。

(京都市の林業振興について)

記者
 9月に「京都市公共建築物等における木材利用基本方針」を策定したが,京都市の林業活性化策はこれまでの方針だけで十分とお考えか。また,今後どうしていくのか。
市長
 3点あると思います。1点は,需用の拡大,これが何としても大事であります。役所だけでの需要の拡大には限界がありますが,まず役所が率先垂範してやっていこうというのが9月に策定した方針であります。そして,役所がモデルを示して民間にお願いしていく。例えば民間でも,既に2,000㎡以上の建物を建てる場合には,京都産の木材を使っていただくということを環境問題の視点から京都市独自に義務付けもしており,そうしたことをより促進していかなければならないと思っています。もう1点は,流通の問題であります。木材のストックヤードなどが難しく,役所でストックヤードを作ってはどうかということがありましたが,調べてみると,結構民間のストックヤードがありました。それをどうネットワーク化させ,流通の活性化につなげるのかが2つ目であります。3点目は,これは一番大事な課題ですが,林業で働く人の次世代への継承です。京都市域の約75%が森林であります。全国では約70%が森林であります。この森林を守らなければ,日本の自然や国土が保全されなくなるので,総合的な取組を進める必要があります。その第一歩が,役所で率先して,みやこ杣木を使っていこうということであります。それからクリーンエネルギーです。この間オープンした技術の橋渡し拠点である京都市成長産業創造センターも京北のペレットを空調に利用したり,太陽光発電設備を備えたりしています。そうしたあらゆる政策を総動員していきたいと思っております。

(小栗栖排水機場浸水被害について)

記者
 第三者委員会が開催されたが,どのような背景からこの問題が起きたと考えているか。今後どのように対応していくのか。
市長
 第三者委員会でスピード感を持って結論を出していただきました。排水機場のポンプが正常に機能していたら,被害は起きていませんでした。民間会社に委託していたとはいえ,京都市の責任であることは事実であります。第三者委員会の見解を踏まえまして,今チームを発足させて,全力で被害の実態把握と補償交渉の話を進めているところです。そして,それに基づきまして,概算になると思いますが,11月市会に補償のための予算を提案し,年内を目途に可能な限り,仮払いのような形ででも補償金を支払いたいと思います。
 50万を超える補償については,市会の議決が必要ですので,最終的には2月市会になると思います。今,全力を挙げてプロジェクトチームのメンバーが誠実に一件,一件,被害物件の把握,損害額の査定を行っております。

記者
 被害を受けられた方にどのような気持ちか。
市長
 民間会社に委託していたとはいえ,京都市の責任は重大だと思っていますし,一日も早く正常な生活に戻っていただけるように,誠意を持って対処していきたいと思っています。また,このことを教訓にいたしまして,排水機管理の在り方,委託の在り方ついてもしっかりと検証して未来に活かしていきたいと思います。

記者
 11月市会に補償額の概算を要求するということだが,規模はどれくらいになりそうか。委託会社に対してこれからどのように対応するのか。
市長
 一つ一つの被害額を丁寧に積み上げていきますので,11月市会の議案発送までお待ちいただきたいと思います。委託会社が委託契約どおりの仕事,責務をしていなかったために起こった事故であります。したがって,委託会社に対して求償していきます。

(キャロライン・ケネディ駐日大使について)

記者
 駐日大使にキャロライン・ケネディさんが就任されることについて,どう感じるか。市長自身は接点はあるのか。
市長
 素晴らしい方が駐日大使に御就任されて喜んでおります。大使は京都に非常に関心をお持ちであると聞いております。総領事を通じて,早く京都にお越しいただきたいとお伝えしております。私自身は,接点はありません。

(NPOの京都府補助金の不正受給について)

記者
 山科区の老人クラブが府の補助金を不正に受給していた事件があったが,京都市の対策は。
市長
 貴重な市民の税金ですから,使われ方は厳正でなければなりません。京都市は補助金が少ないのに支出報告が厳しすぎるという御指摘が逆に多いですが,市民の方々の創造的な活動をしっかりと応援していくため,あまりにも手続きが煩雑であるのも避けなければなりません。手続きが簡素であることと,使途がしっかりとチェックできる体制の両立が大事だと思っています。

(市医制度について)

記者
 市医への謝礼について返還を命じる判決が出たが,市長の考えと今後の対応は。
市長
 判決では,市医の役割とそれに対する報酬の対価性について認めていただいております。にもかかわらず,給与の条例主義があるから,非常勤職員であるからだめだという判決が出ました。弁護士とも相談しましたが,控訴して争いたいと思います。

記者
 裁判所にどういうことを認めてもらいたいか。
市長
 専門性のある方に委託しているわけであり,市長の任命に基づく職員ではないということを御理解いただきたいと思っています。京都地裁の判決は,市の非常勤職員であるから,条例で給与を支払うべきであるというものです。そこが一番争点でした。市医の役割とそれに対する報酬の対価性は認めているにもかかわらず,市の非常勤職員だから,条例で給与を定めるべきであり,返還しなさいという判決は理解ができませんので,市医は市の職員ではないということをしっかりと主張していきたいと思っています。

記者会見資料(平成25年11月15日)

「世界遺産・二条城MICEプラン」事業の実施について

京都市域におけるバス均一運賃区間の拡大について

「京都市の空き家の活用,適正管理等に関する条例」の制定に向けて

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京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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