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門川市長記者会見(2010年9月9日)

ページ番号88489

2023年4月12日

新たな「京都市産業技術研究所」の開所について

 90年以上の永きにわたりまして,京都の産業の振興,発展を技術面から力強く支えてきた京都市の「工業技術センター」と「繊維技術センター」の得意技術の進展・融合を図り,両センターを組織的にも立地的にも統合した新しい「京都市産業技術研究所」を10月1日に開所いたします。愛称は,「京都ものづくり未来館」と名付けていただきました。

京都には,伝統産業の技術を巧みに活用して,世界のリーディングカンパニーに成長した企業が数多くあります。京セラ,村田製作所は陶磁器技術,京焼,清水焼であります。また,村田機械や川島織物セルコンは織物技術,さらに中小企業でありましてもオンリーワンのすばらしい企業がありますが,それらは,仏壇仏具,寝具,印刷,あるいはお酒,様々な伝統産業から発展しております。

千数百年の歴史に培われました「匠の技」と新しいものを創造していく力,新しいものを受け入れる進取の気風,京都が発展してきたこれらの強みを最大限に生かしまして,未来の京都の活力の源泉である「知恵産業」創出の新たな拠点とするべく,この度の整備を行いました。 

新たな研究所は,京都の重要な産業振興拠点であります,京都市の高度技術研究所(アステム)や京都府産業支援センターがあり,またベンチャー企業200社も集まっております「京都リサーチパーク」内に開設いたします。様々な機関と協力・連携致しまして,京都市域産業におけるイノベーションの創出につなげるための技術支援の強化や研究開発の重点化に戦略的に取り組んで参りたいと思います。

研究所の建物は,地下2階,地上7階,延べ床面積1万1,285平方メートルでございます。整備費用は,新たな建物を取得する経費や機器の購入費などで約46億9千万円でございます。厳しい財政状況のもとでございますが,選択と集中により新たな投資を行います。

 建物の特徴としては,まずは1階のエレベーターの扉ですが,当研究所が開発し,今注目されております見事な装飾を施された,耐久性に優れた漆塗りにしております。京都のすばらしい伝統技術とイノベーションを象徴するものではないかと思います。

また,技術交流機能等の強化を図るために,企業との共同研究室や100人規模の多目的ホールなどを設置しております。中小企業が独自では保有することが困難な高度精密分析機器や様々な設備を整備しまして,企業からの依頼検査や研究開発に活用していきたいと思っています。

更に,高効率の空調設備を導入するなど,環境にも十分配慮しております。

新たな研究所では,今回の統合により進展が望まれるナノテクロノジーやバイオテクノロジー,あるいはデザイン,環境適合,コンピュータ応用など7つの分野において,重点的に研究テーマを設定して取り組んで参ります。将来の新事業創出に繋がると確信致しております

例えば,電子部材等に使う新たな「めっき素材」の開発,あるいは植物由来の新素材を活用した高性能プラスチックの開発等に取り組んで参りたいと思います。

また,「技術移転・指導」,「研究開発」,「試験・分析」,「人材育成」を4つの重点柱と致しまして,新たに,研究所の60人もの人材とノウハウを活かして企業からの研究依頼を受けます「受託研究制度」や,研究成果を企業のニーズとマッチングさせ実用化に結び付ける「事業化公募制度」などの制度を設けて参ります。さらに,技術者や伝統産業後継者育成のための研修事業も充実させて参ります。

そして,11月には,伝統産業と先端産業の技術・技能の融合によりまして,新たな「京都ブランド」の創出を目指す「知恵産業融合センター」を開設致します。

 伝統産業の中には,新たな可能性を秘めた技術がありながら,新製品の開発等に活かしきれていないものがたくさんございます。

 知恵産業融合センターでは,こうした京都の伝統的な技術の強みを引き出し,先端技術と融合させることにより,新技術の開発や新産業の創出に繋げたいと思っております。

 今後も,産業技術研究所を中核とした企業への技術支援,研究開発を通じ,京都のものづくり文化の優れた伝統の継承,さらには新しい時代の感性豊かな先進産業技術の創造を図るとともに,これまでから進めてきた大学との連携,例えばナノテクについては,今までから京都大学を中心に連携しております。繊維関係については京都工芸繊維大学と連携をしております。バイオにつきましは府立大学と連携をしております。そうした連携をさらに充実し,拡充して参りたいと思っております。産学公がお互いに協力・刺激し合うことを通じまして,「ものづくり都市・京都」の更なる発展にまい進していく考えであります。

10月2日に開所式を行いますので,是非またご覧いただければありがたいと思います。

なお,これまでの工業技術センター,繊維技術センターの成果等につきましては,資料に掲載しております。技術相談は年間6千件,依頼試験分析は4150件とこのような実績を毎年挙げております。研修等にも力を入れております。

「紅葉街路樹」で京のまちなみ景観づくりについて

 次に,今年は暑くてまだまだ紅葉という時期ではございませんけれども,紅葉街路樹の取組みにつきまして御説明します。

京都のまちなみの景観を大切にしていきたいということで,「街路樹が色づいて,秋の京都の美しいまちなみや季節の移ろい,風情を楽しんでいただきたい」との思いから,紅葉前の秋口に一度軽く街路樹の剪定を行い,紅葉シーズンが終わってから本格的に剪定いたします京都市独自の二段階剪定を,昨年度から

試行実施してきました。秋の紅葉シーズンの到来に向けまして,今年度は対象エリアを大幅に拡大して実施する予定でございます。

紅葉した街路樹は,京都の美しい景観をひときわ際立たせる非常に大切なものでありますけれど,その大量の落ち葉は沿道住民の皆様に大変なご負担をかけております。安全上の課題もございます。従いまして,過去におきましては,紅葉の前に剪定しているという状況もございました。観光客や市民の皆様から「色づいた街路樹にも風情があるのにもったいない,残念だ。」というお声も多く頂戴してまいりました。

そこで,昨年度は落ち葉対策と紅葉の美しい景観を両立させていきたいということで,北山通や堀川通など6路線で,約19kmにわたりまして,1,300本を試験的に,二段階の剪定を試みました。

この結果,昨年度の対象エリアにおいては,以前は紅葉シーズンに紅葉が見られなかった,幹や枝だけになっていた街路樹が,こんもりと紅葉した姿となって,大変好評でした。同時に,落ち葉に対する苦情も半減いたしました。もちろん今後も沿道の方には,御理解・御協力を賜らなければなりません。

そこで今年度は,昨年度の実績を踏まえまして,概ね京都駅以北で千本通以東の約68㎞につきまして,4,700本の街路樹を二段階剪定に取り組んでいきたいと思っています。昨年度と比較して約3.5倍の規模でございます。

 今後は,昨年度と今年度の二箇年にわたる試行実施を踏まえまして,その効果,あるいは費用等を検証し,市民の皆様の御意見も賜りながら,京都市域全域を含めた検討を進めて参りたいと思っています。

 紅葉の時期が11月から12月と随分押してきておりますので,二段階剪定の後半の剪定につきましても,翌年に延ばすというような取組みも併せて行い,美しい京都のまちなみ景観を大切にしていきたい。多くの方々に感動していただきたいと思っています。

私からは以上でございます。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(知恵産業融合センターの事業内容について)

記者 知恵産業融合センターではどの様なことが行われるのか。

市長 コーディネーターによる研究開発支援と人材育成が要となります。

これまで,組織も場所も別だった繊維技術センターと工業技術センターが統合しますが,これは京都の産業振興の大きな強みになると思います。また,中小企業支援センターもこの4月にリサーチパークに移転しました。これらの様々な要素を,コーディネーターを置くことによって技術移転,技術融合へと繋げていく。あるいは,そうしたことに着目し,推進していける人材を育成していく。

様々な取組を商工会議所等とも連携しながら進めていきたいと思っています。

 これまでにも,伏見のお酒に使う新たな酵母を開発し,若い女性に人気のあるお酒が生まれたり,日本が誇る炭素繊維と西陣織の技術を融合して,名刺入れやバッグなどの素材として活用したりと,様々な新技術の開発に取り組んできました。知恵産業融合センターでは,これら同様,伝統技術と先端技術の融合による新産業,知恵産業の創出を進めたいと考えています。

(産業技術研究所での特許取得の目標について)

記者 特許取得に関して目標はあるか。

市長 必ずしも特許取得を目的にしていません。特許を取ると囲い込みになってしまいます。勿論必要なものは取りますが,できるだけ実際の産業に移管していくことを目標にしたいと思います。先程の新たな酵母の開発でも,酒造メーカーの皆さんにどんどん使っていただけるようにしています。新たな技術創造は目指しますが,それについて研究所が特許を取るということよりも,中小・零細企業の頑張りを支援していくことが,公の研究所の大きな仕事だと思います。

 

(繊維技術センターの跡地活用について)

記者 繊維技術センターの跡地活用はどのように考えているのか。

市長 同志社大学のキャンパス充実のために有償でお譲りします。

同志社大学では,平成21年に(神学部及び社会学部の1,2年次教育の今出川キャンパスへの移転を完了し)既に1,000名強の学生さんが京都に移ってきていただいています。構想では,平成25年に,文系学部を今出川キャンパスに統合させ,約7,000人の学生さんが京都に移ってこられます。

記者 幾らで譲渡するのか。

市長 公正な第三者によって評価された金額です。まもなく契約を交わしますが,現時点ではご容赦願いたいと思います。

(街路樹の二段階剪定に対する反響について)

記者 昨年,街路樹の二段階剪定を実施しての反響は。

市長 12月に国際会議場で国際会議があったのですが,外国の方が「京都のイチョウ並木の紅葉は綺麗ですね。」とおっしゃいました。しかも,密集した葉が紅葉するのではなく,適度に枝を揃えた形での紅葉が非常に美しいと高い評価をいただいています。

(街路樹の二段階剪定に係る経費について)

記者 二段階剪定には経費がいくらかかるのか。

市長 約2,300万円新たに経費がかかります。街路樹の整備や雑草の除去等で年間約4億円の予算を要しますが,その中で経費節減に努め,工夫していきたいと思います。

 この事業は全国的にも注目されていますので,上手くいけば「京都方式」として広まっていくのではないかと思います。

<その他質疑>

(関西広域連合について)

記者 関西広域連合の年内設立に向けて,政令市も加入して欲しいという意見について,どのようにお考えか。

市長 私自身,会議にも参加し,広域連合について大きな関心を持っており,成果を挙げていただきたいと思っております。しかし現時点において,共同事業としてなされようとしていることは,主に府県の事務であり,現時点において,政令指定都市が参加する具体的な効果というのはあまり見いだせないと思います。

一方で,連携というのは効果だけをみるものでもありません。将来を展望した取組が大事であります。議論の末に,オブザーバー参加という方式が,広域連合の協議の中から出てきました。政令指定都市4市はオブザーバーとして参加し,積極的な役割を果たそうと思っています。とりわけ京都にとっては観光等が大事ですので,オブザーバーという立場であっても観光等につきましては,京都市が大きな役割を果たしていきたいと思っています。

大阪市さんが,参加の方向を目指すということを,関西4市長の協議の場でおっしゃいました。4市全てが足並みを揃えなければならないというものではありませんので,私たちとしても賛同していこうと考えています。

京都市としては,推移を見守りながらオブザーバーとして積極的な役割を果たし,今後の展開を待とうと思っています。

(ナラ枯れ対策について)

記者 ナラ枯れ対策について,府知事と協議をされたと思うが,追加対策として何か考えておられるのか。

市長 カシナガ虫によるナラ枯れは,深刻な事態であります。直ちに京都府,林野庁と共同して対策を考えています。

 環境問題や,木の文化を大切にする,あるいは森のあり方などについては抜本的な対策が大事ですので,京都市の環境政策において進めているところです。

景観や安全・安心のため,また被害が広がるのを防ぐためにも,取り組まなければならない当面の問題として,京都府に呼びかけまして,既に8月20日にヘリコプターで視察し,今日(9月)9日までに状況を確認しております。先だっても,ヘリコプターでみてきましたけれども,1万5千本から2万本が非常に厳しい状況にあります。緊急の取組が必要ということで,既に1億円の松枯れ,ナラ枯れの予算を確保し,予算の効果的・効率的な執行を進めております。京都府に申し入れまして,府市協調でより一層取り組んでいこうとしています。

なお,これらの山はほとんどが私有林です。国有林については国の責任でやっていただけますが,私有林については,ナラ枯れの原因は森林病害虫に指定されていますから,それを所有者に切ってくださいということを要請し,それでも伐採されない場合に切ることができる法的な権限を持っているのは知事です。市長には,その権限がおりていません。

これについは,費用負担の問題もあります。同時に,総合特区を活用すれば所有者の同意を得ることなく京都市長の権限で伐採ができます。知事の権限は,「切りなさい」という通告もしくは要請を先に行い,それでも切らない場合は伐採し,そして防除することが出来ます。総合特区制度も活用しながら,京都の三山を何としても守っていかなければならない。

山紫水明の京都,または,錦秋の都といわれますけれども,シイやナラがどんどん茂るというのは基本的に京都の山らしくないわけです。この機会に錦秋の三山を復活し,そして守っていく取組について有識者と共に議論していきたいと思っております。急ぐ問題ですので,全力を挙げて取り組んで参ります。

(「総合特区制度」の検討状況について)

記者 「総合特区制度」の提案について締切が迫っているが,どんな状況か。

市長 現在,国と具体的な協議を進めております。国との協議が最後までまとまっていませんが,岡崎の総合特区,らくなん進都の総合特区,京都ならではの優れた大学や研究機関を活用して高度な研究者,技術者が交流し,研究開発できる拠点を整備する特区,などについて検討しています。
 さらには,観光を中心とした医療や,中国からの料理人が来て中華料理を勉強するためのビザは比較的取得しやすいのですが,今世界的に評価されている日本料理を,働きながら勉強するためのビザの取得は非常に厳しい。そうしたことが出来やすい,つまり,京都の伝統産業,あるいは食文化,あるいは地域力を最大限に活かせる特区制度の活用を国と協議しています。そうしたことを含め,21日に向けて,この国の成長戦略を京都において牽引していくための提案について,今しばらく詰めております。

 ビザを取得しやすい,あるいは企業から寄付していただく際に税制が優遇されるということも含めた高度人材交流についての特区を認めていただき,ノーベル賞級の学者が京都にどんどん来られて,寝食を共にし,肌で感じてもらいながら,京都の大学・研究機関,地場産業等を活用し,新たなイノベーションを起こしていければと思っています。

 また,今年で8回目になりますが,秋に開催するSTSという会議では,ノーベル賞クラスの学者あるいは各国の科学技術担当の大臣など700人位が京都国際会議場に集まり,科学技術テクノロジーについて議論を交わします。これは科学技術のダボス会議を目指そうということで開催してきたわけですけれども,おかげさまで定着してきました。

こうした実績がある京都ですので,日本の未来を展望したときに必要な人材の育成,そして国際交流,そして新たな人材イノベーションを起こしていける。そして,そうしたことが国の発展の要になりますので,今後も引き続き取り組んでいきたいと思っています。

(民主党代表選について)

記者 民主党の代表選挙について,小沢さん,菅さんの二人が立候補しているが,市長はどちらの方を支持するのか。この時期に選挙するのは良くないという批判の意見もあるが,ご所見は。

市長 どちらを支持するという表現は適切でないと思いますので,避けたいと思います。いずれにしてもこの厳しい社会経済状況のもとで,しっかりと国の針路を明確にする,国民のモチベーションを高める,そして世界戦略を打ち立てられることをぜひともお願いしたいと思います。私は,市長に就任して2年半ですけれども,この間総理大臣は4人代わりました。どなたを支持するというわけではありませんが,政権が安定しなければならないということを痛切に感じております。

また,政党が代表を選ぶのに正々堂々と議論をし,政策を論争し,国民の関心を高めて,オープンな選挙をすることは非常に大事ではありますが,先だって総理大臣が変わられたときに,こんな時期に本当にしなければならなかったのかなと,もう少し知恵があってもよかったのではないかなという感想は持っております。ひとつの政党の党首を選ぶことは大事なことですけれども,それが同時に国の総理を選ぶということです。日本のこうした制度は過渡期ではあろうかと思いますが,こうしたことについても議論する機会になればいいと思います。

(地域政党京都党ついて)

記者 前京都市会議員の村山祥栄さんが地域政党を立ち上げたが,どう見ているか。

市長 首長と議会というのは,適切な緊張関係が大切なことだと思いますし,いろいろな政治家が議論を重ねられて,それを表明して行動されることについて,市長としての発言は慎んだ方がいいと思っています。市民の方々が,どのようにご判断されるのかを見守っていきたいと思っています。
 なお,京都市では現在,それぞれの政党が,議会改革も含めて活発な議論をされておられます。私はそのことを信頼しているところであります。

(京都サンガホームスタジアム建設白紙について)

記者 京都サンガのスタジアムを京都市内で建設することは,完全に放棄したのか。市長のマニフェストの中で,スタジアム建設を推進するとしていたが,どうか。

市長 平成18年に,商工会議所と京都市と京都府の3者でつくる検討委員会が,西京極陸上競技場の全面改修が唯一実現可能な案であるとまとめられました。観客席と試合している所が非常に遠いので移動式にする,それをサッカーの試合をやりながら,2,3年かけて改修していくことが現実的な唯一の案であるということがまとまりました。私が選挙で立候補する時点では,それが3者の合意であり,そうしたことを踏まえて,私も京都府と,そして商工会議所と連携協力しながら努力していくということを表明していました。

ただ,その後におきまして,J1リーグ加盟クラブのホームスタジアムを全面改修する際には,代替施設がなければ改修ができないという意見がありまして,全面改修が一時凍結になりました。

また横大路運動公園についても,アクセスの問題がありましたが,昨年の淀駅の高架移転等に伴いまして,アクセスが非常に改善されたということで,横大路を再度検討しようということで3者合意しました。この間,横大路に焦点を当てた議論をしてきましたが,残念ながら経費負担について折り合いがつかなかったというのが実態であります。

山田知事が知事選挙において,サッカースタジアムについて積極的な方針を出され,一度仕切り直そうということで,先だって細見副市長,太田副知事,商工会議所,3者の話し合いで,西京極については断念する,横大路については費用の負担については合意できないが,雰囲気も含めた場所の選定について,3者が協力して引き続き取り組んでいこうということになりました。

京都市域が外されていると私は思っていませんし,山田知事も太田副知事も,京都市域も含めて府,市,商工会議所で研究していこうということですので,引き続き,府,市,商工会議所,サンガ共々に京都市域にサッカー場ができるように私共も努力していきたいと思っております。

記者 市内に建設することは,費用によっては断念するということか。

市長 そういうことではありません。政令指定都市の中に道府県立の本格的なスポーツ施設がないというのは京都市だけであります。全国の指定都市に必ず道府県立の総合体育施設があるのが普通であります。政令指定都市であれば,政令指定都市が作って,道府県立は政令指定都市の市域外に作るということではないわけです。政令指定都市である京都市が,財政状況が大変な状況にあること,サッカースタジアム建設のためには,何十億,何百億円が必要だということは,みなさんご承知のとおりだと思います。そして,京都府さんも財政が厳しい中ではありますが,京都市の厳しい状況を見ながら,京都市域も含めて,スタジアム建設を研究,検討しようと判断していただけるのではないかと私は思っています。

記者 市長の方針としては,市内に建設して欲しいのか。

市長 もちろん,そうです。それは,京都市民が147万人ですし,都市のアクセスも含めて,人口は京都市が中心になっている,だから新たにできるサッカー場の運営のために,また京都の宝である京都サンガを府民あげて応援していく,そのためにも京都市域にサッカー場ができるのが私は望ましいと思っておりますし,関係者にも要望していきたいと思っています。

 府民税は京都市民がその6割を超えて出していることも事実であります。建設について市域を外すということでは,京都市内の納税者もなんでやろうなと思われる。京都市は府民税を払わず,全部京都市が独立してやっているわけではありません。あくまで京都府の中の京都市であります。ただ,サッカースタジアム建設については,3者で,府市協調,経済界協調,オール京都で十分議論していく話だと思います。

(子宮頸がん予防ワクチンの公費助成について)

記者 子宮頸がん予防のワクチンについて京都府が助成制度を作るが,京都市では制度を創設するのか,またいつどんな制度を目指しているのか。

市長 子宮頸がんにつきましては,市民の命と健康に関わる非常に大切な問題であります。そして,こうしたワクチン接種等については,国に全国一律の整った制度を作るべきだということをよく申してきました。先だっての市会でもそのことについて議論があり,私共の考え方を表明しているところであります。その中で,ようやく国において来年度予算に向け概算要求されていることは,大きな前進であると思っています。そうした状況を受けまして山田知事が,補正予算で早ければ9月補正にでもそういう補助制度を作っていこうと表明されています。京都市域は,非常に大きいので,助成をどういう体制でやっていくのか,小さな市町村とは違ういろいろな課題がありますが,大切な問題でもありますので,京都市としても年度内に,来年度の国を待つことなく,実施できるようにこれから取り組んでいきたいと,今鋭意研究いたしております。

記者 全額助成するのか。

市長 市民の命と健康を守るために,優先順位を決め,様々な取組をバランスよく前進させていかなければなりません。たとえ3分の1の助成でも億近い金が新たに必要になります。受診率をどれだけ見るのかということもありますので,京都府の制度や来年度以降の国の制度も参考にしながら,研究しております。

(環境政策局職員逮捕について)

記者 不祥事について,以前私生活まで含めた指導が必要とおっしゃったが,具体的な策を打ち出す時期に来ていると思う。ご所見は。

市長 私自身,現場を回って,市民の奉仕者として全力で頑張っていこうということを話してまいりました。私は,本音で思いますが,まち美化事務所も含めて現場は大きく変わっています。職員の頑張る姿が市民の方々にも高く評価されてきている。それだけに今回のことは,本当に極めて残念であります。逮捕された職員は,日常の職務については何ら問題なく従事していたということでありました。前回の不祥事以後,きちんと研修にも参加し,頑張るということを表明していた職員がこんな問題を起こすと,私生活の面でも,資質の向上,自覚を1万5100人の職員に周知,徹底していくことが,本当に非常に難しい課題ということを実感しながら,より一層きめ細かく,丁寧に不退転の決意で取り組んでいく,これに尽きるかと思います。また,環境政策局においても原因等を分析しながら,二度とこうした問題を起こさない,そんな取組を,局長を先頭に頑張ってくれています。

記者 上下水道局の職員が通勤手当の不正請求で懲戒処分を受けたが,数年前に,親族が亡くなったとして不正に休んだ職員がいた。その時も一人が出てきて,その後全職員を調査したら,たくさん不正に休んだ職員が出てきたことがあった。議会からは通勤手当の不正請求が他にもあるのではないかとの声が上がっていたが,全職員を調査する予定はあるか。

市長 こういうことは極めて異例なことだと思っていますし,そうした体質は数年前と大きく変わっていますので,職員を信頼しながら,しかし不正については厳しく対処していく,そうした姿勢で取り組んでまいります。

記者会見資料(平成22年9月9日)

新たな「京都市産業技術研究所」の開所について-京都ものづくり未来館- 産業観光局産業技術研究所 電話311-3171

「京都市産業技術研究所」全景

 この度,90年以上の永きにわたり,京都の産業の振興,発展を技術面から支えてきた「工業技術センター」と「繊維技術センター」の得意技術の進展・融合を図り,両センターを組織的にも立地的にも統合した新しい「京都市産業技術研究所」を開所します。(これに伴い,両センターは廃止します。)

 新たな研究所は,京都の産業振興拠点の一つであり,産業支援機関が集積する「京都リサーチパーク」内に開所し,京都市域産業におけるイノベーションの創出につなげるための技術支援の強化や研究開発の重点化に戦略的に取り組むとともに,大学等との連携を一層進め,産学公連携のもと,未来の京都の活力の源泉となる「知恵産業」の創出を進めます。

内部の写真

1 概 要
 (1)名 称  京都市産業技術研究所(愛称「京都ものづくり未来館」)

 (2)所在地   〒600-8815 京都市下京区中堂寺粟田町91 
   京都リサーチパーク9号館南棟
   電 話:075-326-6100(代表)
    FAX:075-326-6200

 (3)開所日  平成22年10月1日(金曜日)

  ※ 開所記念式典 平成22年10月2日(土曜日)午前11時 京都市産業技術研究所 2階ホール

 (4)規 模  地下2階,地上7階  延べ床面積 11,285.72平方メートル(複合棟全体 23,970.98平方メートル)

   ※ 現在の施設 工業技術センター: 5,528平方メートル
              繊維技術センター: 6,826平方メートル 計:12,354平方メートル

(5)整備費用   約46億9千万円
          (建物取得:約41億円,機器購入:約2億円,機器移設他:3億9千万円)

(6)建物の特徴

  ア 京都の伝統技術を活用
   ・1階エレベーターの扉には研究所が開発した耐久性に優れた漆塗りと加飾の伝統技術を活用
  イ 窓口機能,技術交流機能,人材育成機能の強化
   ・吹抜けのエントランスを設け,明るく開放的な空間と幅広い受付カウンターの設置
   ・研究開発成果や京都の伝統工芸作品の展示スペースを設置
   ・100人が収容できる多目的ホールの設置
   ・共同研究室の設置
   ・技術者,伝統産業後継者育成のための研修室を5階に集約

  ウ 高度精密分析機器等の整備
   ・中小企業が独自で保有することが困難な機器等を整備し,企業からの検査依頼や研究開発に活用
  エ 環境への配慮
   ・高効率の熱吸収式温度調整機による空調設備の導入
   ・太陽光熱を補助熱源として使用
   ・空調室外機(ガスヒートポンプ)の一部に発電機能を搭載

(7)研究所の業務内容

  ア 製品の開発・製造技術の改善などに対する指導・相談業務

  イ 伝統産業から先端産業にわたる地元産業界の高度化・活性化のための研究開発

  ウ 企業等からの依頼による試験・分析業務

  エ 伝統産業や企業活動の担い手である技術者・後継者の人材育成

※ これまでの主な研究成果

【工業技術センター】
・吟醸酒製造用酵母(「京の華」,「京の琴」)による吟醸酒の商品化
・耐久性に優れた屋外用漆の開発
・半導体センサーを活用したタンパク質分析装置の開発,製品化
・鉛を含まない新しい楽焼色釉薬の実用化

【繊維技術センター】
・天然染料を使用した染色の工業化
・環境に優しい防縮加工技術による「水に濡れても縮まないきもの」の実用化
・型染のインクジェット方式,電子写真方式への転換支援
・高精細全幅文様が可能となる製織法の開発
※ 両センターでの技術相談件数等(平成21年度実績)
・技術相談   :6,137件(電話相談を含む)
・依頼試験・分析:4,154件
・技術研修受講者:  376人

2 新たな研究所での新規・充実事業
(1)研究開発
今回の統合により進展が望める以下の7分野において,新たな研究テーマに重点的に取り組む。
ア ナノテクロノジー
イ バイオテクノロジー
ウ 京都地域性活用分野
エ デザイン
オ 環境適合
カ 生活科学分野
キ コンピュータ応用
(2)受託研究制度の新設
企業からの依頼により,研究所の人材,ノウハウを活用して企業の研究課題を受託する制度を新設する。
(3)事業化公募制度の新設
研究所が開発した技術や研究成果を広く公表し,企業のニーズとマッチングさせ,企業の応募により実用化,事業化に結びつける制度を新設する。
(4)研修事業の充実
人材育成事業の充実を図るため,デザイン開発研修,機器活用セミナー等の研修を新たに開講する。
(5)知恵産業融合センターの創設
 伝統産業と先端産業を融合し,新たな「京都ブランド」の創出を目指す「知恵産業融合センター」を研究所内に創設する。
 センターには専門的なコーディネーターを配置し,伝統技術と先端技術を融合させ,事業化・商品化につなげるための案件の発掘,市場調査,研究開発支援を進めるとともに人材育成を行う。

3 これまでの経過
  大正 5年10月 染織試験場設立
  大正 9年 3月 工業試験場設立
  平成15年 4月 工業試験場と染織試験場を「京都市産業技術研究所」として組織統合それぞれ「工業技術センター」,「繊維技術センター」に改称
  平成16年 7月 京都市基本計画第2次推進プランにおいて,「産業技術研究所の立地的統合」が政策項目に掲げられる
  平成17年 8月 「京都市産業技術研究所整備基本構想策定委員会」を設置
  平成18年 4月 「京都市産業技術研究所整備基本構想」を策定
  平成19年10月 「京都市産業技術研究所整備基本計画」を策定
  平成21年 4月 「京都市産業技術研究所イノベーションプラン2009」を策定
         6月 KRP9号館を含む複合棟の工事着工
  平成22年 8月 建物竣工(26日)
        10月 新「京都市産業技術研究所」開所(1日)
        11月 「知恵産業融合センター」創設予定(1日)

【漆塗り及び加飾を施した1階エレベーター扉】
エレベータの表面

【漆塗り及び加飾を施した1階エレベーター扉】

「紅葉街路樹」で京のまちなみ景観づくり~ 紅葉景観を演出するエリアを大幅に拡大します! ~

 秋の街路樹の紅葉は,京のまちなみ景観を美しく彩ります。他方,その「落ち葉」は,沿道住民の皆様から清掃等についての苦情が多数寄せられます。

京都市では,これまでから紅葉前に葉を全部剪定する対策をとってきましたが,昨年度から一部エリアにおいて剪定時期を調整する「二段階剪定」の試行実施を開始しています。               この落ち葉を減らした「紅葉街路樹(こうようがいろじゅ)」は,楽しく歩けるまちなみ景観づくりの取組として,観光客だけでなく市民の皆様からも歓迎するお声を多数頂戴しました。そこで今年度は,将来の本格実施に向け,対象エリアを大幅に拡大して実施しますので,お知らせします。

                                        記
1 紅葉街路樹の取組(二段階剪定)

○ 1回目の剪定(夏期剪定) 【剪定時期 9月~10月】

秋口に街路樹の姿形を整えたうえ,半分程度の葉を落とす軽剪定を行う。

○    2回目の剪定(基本剪定) 【剪定時期 1月~2月(昨年度は12月)】

紅葉後に,葉をすべて落とし,樹木の骨格形成を目的とした剪定を行う。

2 対象エリア 

○    昨年度は,概ね御池通以北で鴨川以西の主要な観光地周辺が対象でしたが,今年度は,概ね京都駅以北で千本通以東の主要な観光地周辺が対象となります。

対象エリア

平成21年度

             平成22年度

堀川通(北大路通~中立売通)

西大路通(北大路通~丸太町通)

北山通(今宮通~加茂街道)

北大路通(西大路通~堀川通)

新丸太町通(双ケ岡~西大路通)

衣笠宇多野線(堂本印象美術館前)

烏丸通(北大路通~丸太町通)

上総通(紫明通以北)

千本通(今宮通~竹屋町通)

紫明通(堀川通~加茂街道)

河原町通(葵橋~七条通)

堀川通(中立売通~五条通)

白川通(宝ケ池通~丸太町通)

東大路通(北大路通~丸太町通)

川端通(今出川通~塩小路通)

下鴨本通(北山通~葵橋)

北山通(鴨川~白川通)

木屋町通(二条通~四条通)

西木屋町通(大黒橋~南車屋橋)

寺町通(丸太町通~二条通)

竹屋町通(美福通~堀川通)

二条通(寺町通~鴨川)

三条通(西小路通~西大路通)

京都神社参道(東大路通~ねねの道)

七条通(堀川通~烏丸通)

新丸太町通(嵐山~双ケ岡)

約19㎞,1,300本

           約68㎞,4,700本

※ 紅葉街路樹の対象樹木は,イチョウとトウカエデの二種類。
※ 京都市では,約4万9千本の高木と約86万本の低木を管理している。高木は,枯枝の落下防止,病害虫の防除,台風による倒木予防などのため,樹木の枝を切り,形を整え,風通しを良くする「剪定」を実施しており,イチョウとトウカエデについては,概ね2年に1回剪定している。

紅葉街路樹(二段階剪定)取組箇所図(略図)と写真

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お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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