市民安全課
ページ番号216570
2017年4月3日
◎一般住宅の防火診断の開始
当時は,一般住宅からの出火事案が非常に多かったことから,まず市民の警火心を高揚させる手段として一般住宅の防火診断のほか,防火モデル地区の設定,無火災地域の表彰制度の創設,防火改修の促進,町内自主防火組織(自主防災部の前身)の結成,防火委員(自主防災部長の前身)の選定などの諸施策も同時期に開始しました。
これまで一般住宅への防火診断は,月に1~2回特定の地域を指定し,消防職員が一斉に訪問するという方法をとっていましたが,この方法では,市民と消防職員との結びつきが弱く,市民の暮らしの中に警火心を深く浸透させることが難しいことから,昭和31年4月に「防火診断の責任分担制」を導入しました。
➤ 防火診断の実施方法
市内全世帯を各消防署の担当者に割り振り,担当者の責任のもと,年1回受持世帯を訪問するものでした。また,その指導方法は受持世帯ごとの簿冊を作成し,台所等の図面のほか,火気設備や電気設備等についてきめ細かく指導状況を記録し,その不備欠陥事項や防火改修の履歴を正確に把握できるようにしていました。この制度のねらいは,地域に専属の担当者を置くことで市民との関係を密接なものとし,担当者の一貫したきめの細かい防火指導を通じて火災予防の効果をあげようとするものでした。この制度は,防火診断だけでなく,防火座談会や消火実験会などの諸行事についても担当者が責任を持って計画的に実施し,市民と消防を結ぶパイプの役割を果たしてきたのです。
➤ 20年連続火災件数減少
戦後最高の火災件数を記録したことが市民と一体となった様々な火災予防対策への取組を本格化させ,防火診断のほか町有消火器の設置指導,防火委員の育成など市民に対する直接的な啓発活動を積極的に展開した結果,昭和31年から昭和50年まで20年連続火災減少という,世界に例を見ない偉業を達成することができました。
➤ 防災指導責任者と防災指導員
時代は,昭和から平成と変わり,消防を取り巻く環境や市民生活の様式も大きく変貌してきました。先人達が「無火災都市の実現」に向けて取り組んできた市民と一体となった指導手法は,現在も防災指導責任者,防災指導員という形で息づいています。防災指導責任者にあっては自主防災会の育成指導を,防災指導員にあっては自主防災部の育成指導と訪問防火指導を担当しています。それぞれ担当する地域の防火及び防災に関する指導を行い,自主防災活動を通じた防災行動力の向上を図っています。
◎ 訪問防火指導
防火診断は,平成7年度から「訪問防火指導」となり,実施方法も消防署長が管内の特性,火災の発生の状況,社会情勢の変化,季節等を踏まえた実施方針を樹立し,この実施方針に基づき,防災指導員が計画的に実施するようにしました。
訪問防火指導は,住宅等を訪問し,面談により,防火及び防災に関する啓発及び指導を行うことをいいます。これは住宅等の居住者に対し,防火及び防災に関する啓発や指導を行うとともに季節,出火傾向,社会情勢等を踏まえた適切な情報を提供し,居住者に自己チェックしてもらうことを目的としています。個々全ての住宅等を訪問し,個別指導する手法は,今も昔も変わりはありません。また,訪問防火指導を通じて居住者等から得られる地域事情の把握も災害対応のための重要な要素の一つでもあります。
◎ 防火安全指導
市内の火災発生状況をみると,火災による死者の多くが高齢者等であることを踏まえ,火災その他の災害発生時に迅速な行動がとれない高齢者や身体に障害のある方のうち,自力避難が困難な方を「在宅避難困難者」と位置付け,出火防止,焼死者防止を主眼とした防火安全対策を進めています。
在宅避難困難が居住されている世帯を訪問し,原則として面談により出火防止や人命に係る事項の点検を実施するとともに,その結果に基づき指導又は助言を行う防火安全指導を年1回以上実施しています。
近年は,きめ細やかな焼死者防止対策の取組事項として,75歳以上の独居世帯,75歳以上同士の同居世帯などを指導対象の中心として,暖房器具の適正な使用,喫煙管理,着衣着火防止など具体的な出火防止を指導の重点としています。
➤ 在宅避難困難者の防火安全対策
平成5年度当時の主な指導内容
・ 火気取扱設備等の正しい使用と喫煙管理の徹底
・ 簡易型火災警報器,火災速知器,消火器等の防災設備器具の設置と維持管理
・ 防炎ふとん等防炎寝具の普及
・ 被介助者に対する避難救出体制の確保と近隣者等との避難救出協力体制づくりの促進
・ 緊急通報システム(あんしんネット119)による通報体制づくりの促進
現在の主な指導内容
・ 火を使用する器具の正しい取扱い
・ 安全な喫煙管理
・ 避難の容易な場所での就寝
・ 住宅用防災機器の設置と維持管理
・ 被介助者に対する避難救出方法の指導
・ 近隣者等との避難救出協力体制づくり
➤ 新たな通報体制の確保
京都市Web119(平成20年度~)
聴覚に障害のある方が,外出中でも携帯電話のインターネット機能を利用して,消防指令センターへ通報できるシステム
緊急通報システムへ無線で連動する住宅用火災警報器(平成21年度~)
緊急通報システム利用者のうち,自力歩行できない方等を対象に,無線で連動する煙式住宅用火災警報器を寝室に設置
し,火災の煙を感知した場合,自動的に消防指令センターへ通報するシステム
➤ 高齢者等のための安心アドバイザー研修
高齢者宅等からの出火防止や焼死者防止を図るため,普段,高齢者等に接する機会が多いホームヘルパーや老人福祉委員等を対象に,「防火アドバイザー研修」(平成10年度~)を実施しています。平成26年度に名称を「高齢者等のための安心アドバイザー研修」に変更し,従前の「防火対策」,「防災対策」に「家庭内での救急事故防止対策」を加えた研修に変更しました。
京都市では,昭和56年度から自主防災組織の設置・育成事業を開始(当時は総務局が担当)し,昭和62年度からは消防局が担当しています。大地震や水災害など大規模災害発生時に,被害を防止・軽減するため,地域住民の皆さんによる組織的な防災活動を行っていただくよう,様々な取組を推進してきました。
➤ 平成5年度当時実施している主な事業,主な防火・防災活動
・ 自主防災組織標旗の交付
・ 自主防災組織活動助成金(3万円)交付
・ 防災器材購入補助金(自主防災会結成時に20万円)補助
・ 座談会,消火器実験会,映画会,訓練
➤ 現在実施している主な事業
平成7年に発生した阪神・淡路大震災,平成23年に発生した東日本大震災や台風による水災害を受け,新たな事業を
実施し,地域防災力の向上を図っています。
・ 自主防災組織標旗の交付
・ 自主防災組織活動助成金(平成8年度~5万円)交付
・ 自主防災用器材の緊急配備(平成8・9年度 1自主防災会当たり60万円)
・ 自主防災リーダー養成事業実施(平成10~24年度)
・ 自主防災上級研修実施(平成24~27年度)
・ 身近な地域の市民防災行動計画の策定支援(町内単位の防災計画)(平成12~25年度)
・ 防災行動マニュアルの策定支援(学区単位の防災計画)(平成27年度~)
➤ 平成5年度当時
消防学校に市民防災訓練センターが設置され,市民防災研修を開講していました。また,受講対象者の実態やニー
ズに即した研修コースを半日又は1日単位で実施していました。
【市民防災研修の内容】
防災講座,燃焼実験,消火器取扱訓練,煙中行動体験,救急処置訓練,地震体験,健康体力づくり,スプリンクラーの
放射,水上安全法,規律訓練 など
➤ 現在
平成7年9月1日,国道十条北東に京都市市民防災センターがオープンし,災害の疑似体験を通じて,防災に関する知
識及び技術の普及向上,防災意識の高揚を図っています。様々なイベントや講演会を実施しており,例年,10万人を超
える方が来館され,平成29年度は来館者200万人を突破する見込みです。
【体験プログラム】
映像体験,地震体験,消火訓練,総合訓練,強風体験,避難体験,都市型水害体験,応急手当体験,自由体験(消防
ヘリコプター,キッズファイヤーランド,通報訓練コーナーなど)
お問い合わせ先
京都市 消防局消防学校教育管理課
電話:075-682-0119
ファックス:075-671-1195