平成29年2月号 ザ☆消防
ページ番号213282
2017年2月1日

平成14年に拝命し,早14年がたちました。今回は,今までの中で私にとって,心に残ったことを,そのときの経験(失敗)も合わせ,小ネタ集っぽく,いくつか紹介させていただきます。

消防士拝命し,消防署勤務になったときに先輩から言われたこの言葉「歩くのが一番」。
管内の地水利を把握するのは,バイクや自転車で動き回るよりも,自分の足で歩くのが一番詳しく分かる。
ということで,消防士拝命直後はその先輩に仕事終わりの当務明けに,毎回地水利探索の旅に歩きで連れて行ってもらいました。今でも地水利探検の旅は歩きで行っています。
休日に,先輩とスキー場に遊びに行ったとき,車で走行中に雪でスタックした車を発見。
先輩「見てもうたし助けに行くぞ!」
無事,スタックした車を救出後に先輩がボソッと。
先輩「困った人見たら助けてまうな,職業病やな」
っと,このとき,駆け出し消防士だった私は,消防士とはこうあるべき職業なのだと実感しました。
災害出動中の車両走行中の車両誘導の話です。
先輩1(隊員,現場誘導)「ほな,アレで行こう」
先輩2(運転員)「アレね,オッケー」
私「,,,,,,,,,,,(何のこっちゃ,,,,)」
この後,何も迷うことなく,無事に現場に到着しましたとさ。
帰隊後,「アレで分かれや!」と怒られました。
この場所であったら,こう行く,あの場所であったら,ああ行く,ということを共に考えシミュレーションしておくと,会話の中で「アレ」が誕生することがあります。全て「アレ」で通じるようになると楽なんですけどねー。
因みに,災害現場で「アレ持ってきて」バージョンも発生します。
私が運転員になりたての頃の話です。
出動指令が鳴り,災害発生場所まで聞いたところ,「よっしゃ,場所は完璧に分かった」と思い,急いで一番に車両へ乗り込みエンジンをかけました。
するとどうでしょう,何故か私以外の隊員が隣の車両に乗り込んでいます。
出動車両まで,指令はしっかり聞きましょう。
私が運転員になって数年がたった頃の話です
出動指令を聞き,対象物名まで把握しました。「確かあの対象物は7階やし,大型はしご車で出動やな。」と思い,大型はしご車へ乗り込みました。
後ろを見ると,ほかの隊員も乗り込み完了し,走り出そうとしていると出動指令では大型はしご車が呼ばれません。
慌てて確認すると,その対象物は5階建てで,出動指令は大型はしご車ではなく,屈折はしご車であったのです。
勘違いや思い込みで行動しないよう気を付けようと考えさせられました。
出動車両まで,指令はしっかり聞きましょう。

出動指令が出され,S原町に向かうべく左折しようとしたところ,隊長から「右折や!」と言われました。指令場所を確認するとS原町ではなく,T原町でした。
町名まではっきり聞き取れるよう,指令はしっかり聞きましょう。

火災時,出火建物の直前に水利部署できた場合,運転員は代用吸管を短いホースとして使うことで,ポンプの計器を見ながら,操作しながら,1人でも放水することができます。
私は,まだ1回しかやったことがありません。
火災出動中の出来事です。
水利不便地での火災で,停車位置の消火栓から,現場までの距離が遠く,ホースを20本近く延ばして火災現場前まで来ました。
無線で「放水始め」を送っても,なかなか水が来ません。
不安に思い,ホースを辿って戻ると,途中で軽トラックがホースを踏んでいるではありませんか!
「この軽トラ,どけてくれー!」と叫ぶと,近隣住民が家から慌てた様子もなく,普通に出てきました。
自分たちで延ばしてきたホースでも何が起こるか分かりません。
水が来なかったら,ホースラインを辿りましょう。

火災出動中の出来事です。
炎上火災で,直近消火栓から,ホースを4本延ばし,華麗に分岐金具を付け,その先にまた華麗に1本ホース延長,放水準備は華麗にできたものの,水は来ず,,,,
不安に思いホースを辿ってもどると,普通乗用車が華麗にホースを踏んで停車していました,,,
「この車は誰のやー!?どけてくれーー!!」すると現われた1人の女性。「お宅,どこの人?」と聞くと,黙って炎上中の家を指さしました。
その女性は帰宅途上に自宅が火事になっているのを見て,パニックに陥っていた模様で,消火用のホースの上に停車していました。
短い距離でも,自分たちで延ばしてきたホースに何が起こるか分かりません。
水が来なかったら,ホースラインを辿りましょう。
私が出動した中で一番簡単に終わった救助現場の出来事です。
出動したときの情報は,K川の河川敷に,山菜を取りに行った高齢女性が行方不明,警察が約8時間前から捜索しているが発見できていない,とのことでした。
捜索現場に到着すると,複数の警察官がバイクで走り回って捜索中でした。
隊長が「現場指揮本部に行って,活動方針を確認してくる。」と言って,車両を離れるところで,私はいきなり叫んでみました。「○○さーーーーん!」
「は~~い」
発見!!!!!
このように,現場到着後すぐに発見,救出した救助現場でした。
救出した高齢女性を家族の元へ連れていくと,女性の孫らしき女の子が「おばあちゃーん!」と泣き叫びながら駆け寄り,高齢女性と抱き合いました。
私たちにとっては,幸運にも容易な救助現場でしたが,助けを待つ要救助者,その家族にとっては,消防の活動は一つの希望であることを実感させられました。
私は,この一番簡単に終わった救助現場が忘れられません。
さて皆さん,このような小ネタ集に最後まで付き合っていただいてありがとうございます。
今回はこの辺にしておきます。また,機会があればよろしくお願いします。
これからも,誰かの希望となれるよう共に頑張っていきましょう!

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