平成29年1月号 予防タイムズ・リターンズ
ページ番号212807
2017年1月8日

後輩: あけましておめでとうございます!本年もよろしくお願いいたします!!
先輩: こちらこそ。昨年は,君もよく頑張って,火災予防に関する知識や防火指導のスキル
を身に着けたね。今年も切磋琢磨して,更に技能を高めていこうじゃないか。
後輩: そのつもりです!元日には実家近くの神社に初詣に行って,健康祈願,交通安全,
恋愛成就……その他諸々に併せて,職務能力のアップもお願いしてきましたから,
大丈夫です!
先輩: おいおい,年始早々神頼みかよ。優先順位もビミョーだな。まあ,いい。初詣は欧米に
はあまりなじみのない日本特有の文化だ。このような伝統や慣習が,これからも長く続
けばいいと,私は思っているよ。
後輩: 同感です。年の初めにお参りすることで決意も新たになります。また,それだけでな
く,神社仏閣の建造物や御神体,御本尊を身近に感じて,「ああ,日本人でよかった
~」としみじみ感じる機会でもあります。
先輩: そうだな。神社仏閣をはじめ,京都市にはたくさんの文化財がある。その数は国宝建
造物だけでも42件,全国の実に2割に迫る国宝建造物が,京都市に集中している。ま
さに日本の文化首都だ。京都市で火災予防の仕事をしている私たちにとって,文化財
防火はとても重要な使命だな。


先輩: 京都市では,消防法施行令(以下「令」という。)別表第1(17)項に掲げるものはもち
ろん,それ以外の文化財についても独自に「京都市火災予防規程」に基づいて「特定
文化財対象物」として指定し,それらの対象物に対して防火指導を行っていることは
知っているね?
後輩: もちろんです。令別表第1(17)項対象物はいわゆる「指定建造物」※1だけですが,
京都市ではそれだけでなく,指定美術工芸品等※2や登録文化財※3が所在する防火
対象物,その他未指定,未登録の文化財についても必要なものは「特定文化財対象物」
として,防火指導を行っています。

先輩: 御名答。ひとまとめに「文化財」といっても,その規模や態様によって,いろいろあると
いうことだね。
後輩: はい。それぞれの実情に応じた,きめの細かい防火指導が必要だと感じています。
先輩: そのとおり。しかし一方で,多くの文化財社寺に共通する課題も見えてくるだろう?
後輩: そうなんです。多くの文化財社寺は敷地が広大で,多くの人が自由に出入りできま
す。さらに,そのほとんどが大規模木造建築物で,万一出火すると大火災につながり
やすいと言えます。しかしながら,文化財社寺の関係者は高齢の方も多く,そもそも
人数も少ないため,敷地の監視や非常時の初動活動が満足にできないのではないか
というのが,多くの文化財社寺に共通する課題と捉えています。
先輩: そうだな。それをカバーしようとするのが?
後輩: 文化財市民レスキュー体制です!

先輩: よし。今日は最後に「文化財市民レスキュー体制」について確認しておこう。
後輩: はい!文化財市民レスキュー体制とは,文化財社寺関係者と近隣住民等による,文
化財を守るための協力体制です。文化財保護法が制定されて50周年の節目であった
平成12年度に事業化されました。
先輩: うむ。消防署員が「文化財市民レスキュー体制」づくりを推進する社寺とは,どんな社
寺だったかな?
後輩: 当該社寺等の状況から判断して,
1 周辺地域住民等が,災害時における消火,通報及び文化財の搬出等の初動活動
を支援する必要があるもの
2 周辺地域住民等が,日常における防火管理を支援する必要があるもの
以上のうち,いずれかに該当するものに対し,指導を行います。

先輩: どんな指導をするんだい?
後輩: 文化財社寺等の関係者に対しては,
・ 周辺地域住民等との連携
・ 自衛消防隊と周辺地域住民等との連携
・ 土地,建物,防災施設等を活用した地域住民等への避難場所の提供その他の
支援
・ その他必要と認める事項
周辺地域住民等に対しては,
・ 文化財社寺等との連携
・ 文化財社寺等の防火管理の支援
・ その他必要と認める事項
について,指導します。
先輩: どのような活動をするんだい?
後輩: 具体的な活動や協力の内容は,文化財社寺の関係者や周辺地域住民等との間で話し合
いにより決めていきますが,大きく分けると,災害発生時の活動(119番通報,初期消
火,避難誘導,搬出活動等)と,平常時の活動(境内や周囲の巡回,伝統行事の際の
活動,連絡体制の確認,研修会や訓練の実施等)に分けることができます。
先輩: 消防署はどんな支援をするんだい?
後輩: 確立された文化財市民レスキュー体制に対し,活動に必要なレスキュー器材を,構
成員の召集のために用いるものを優先して選択していただき,配備しています。また,
署員の中からレスキュー担当者を指名し,レスキュー器材の取扱訓練をはじめ,定期
的かつ段階的な防火防災教育訓練を行い,その活動を支援します。
先輩: よし!十分だ。今年も文化財防火,頑張っていこうな!
お問い合わせ先
京都市 消防局消防学校教育管理課
電話:075-682-0119
ファックス:075-671-1195