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京都市消防局

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平成29年1月号 ザ☆消防

ページ番号212802

2017年1月8日


 今から12年前,A消防出張所に勤務していたときのことです。

 その年のクリスマスの正午前,高層火災の出動指令が入りました。指令場所は,私の勤務する消防出張所から約1キロメートルにある15階建ての共同住宅でした。

 そのとき,副隊長は外勤中で隊長以下4名の出動となりました。

 出動途上,消防指令センターから「出火室は6階,窓から煙が噴出中,高齢者2名の世帯で逃げ遅れの模様。専用10回線受信」との情報が入りました。

 現場到着時,6階中央付近の換気扇から,黒煙が噴出しているのを確認し,隊長の指示の下,連結送水管を使用するため,連結送水管の送水口に近い防火水槽に水利部署しました。逃げ遅れ情報があったことから,隊長と先輩隊員の2名が先行し,私は先輩運転員と防火水槽に吸管を投入した後,連結送水管に送水するためホースバックでホースを延長しました。連結送水管の送水口は,ホース1本の距離で,ホースバックなら1往復で,複どう2線のホースラインができると判断しましたが,送水口付近には,大量の自転車が隙間なく駐車されていたことから,ホースが足りませんでした。考える暇もなく,一刻も早く送水し放水活動をしなくては,逃げ遅れの救出ができないと判断し,ホース2本の延長に切り替え,送水を行いました。

 その後,私は,車両に戻り,管そうと分岐管,ホースバックを持ち6階に向かいました。階段を駆け上がり5階の階段付近で高齢男性が,救急隊の応急処置を受けていました。救急隊によれば,この男性は消防隊により出火室から救出された高齢男性であり,同居の奥さんは外出中であることが確認されたとのことでした。

 私は,6階に到着後,出火室の玄関前で先行した隊長と先輩隊員に管そうを手渡し,分岐管とホースを持ち5階の放水口に向かい,送水の準備を行いました。隊長の「水を送ってくれ」の声で送水を開始し,6階に戻ると放水が開始されていました。

 6階の出火室内は自分の手も見えない濃煙でした。放水のため,隊長と私が面体を着装し,玄関から3メートルほど進むと廊下が直角に曲ったところに突き当り,ここでホースの長さがいっぱいになりました。このままでは室内の状況もわからず有効な放水もできないので,ホースを1本足し,隣室からベランダ側に進入し,背面からの放水活動に切り替えることとなりました。出火室ベランダ側の窓からは炎が噴き出しており,上階への延焼危険がありましたが,後着隊による延焼防止活動により,延焼を防ぎ鎮火に至りました。

 この火災での反省点は,まず,連結送水管への送水は複どう2線にするべきであったことと,火点への進入時のホースラインの長さは,余裕がないと役に立たないということ,資機材の搬送は効率よく手分けして行うということでした。まだまだほかにもありますが,消防隊であれば出来て当然のことばかりです。

 幸いにして,負傷された高齢男性は,重症の気道熱傷で2カ月入院されましたが,元気に退院され,火災のあった共同住宅では,自転車置き場が拡張され玄関前の駐輪がなくなりました。

 鎮火後,指揮隊長から・・・「お前の顔色見たら,大変な活動やったんがよう分るわ」と言われました。きっと,体力不足でひどい顔になってたようです。消防はやっぱり体力がないと役に立たないと改めて実感しました。(反省) 


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