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京都市消防局

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平成28年度 伏見消防署 署員意見発表会を開催!!

ページ番号212006

2017年12月27日

 12月9日【金】伏見消防署では,署員意見発表会を開催しました。

 各課・各部からの代表5名の職員がそれぞれの消防業務に関連する意見を発表しました。

 発表順に御紹介します。(原稿は要約して掲載しています。)

災害に備えるということ

伏見消防署  警防課  第三部 向島消防隊 京都市消防士長 柄本 真希


 

 「京都が大震災に見舞われた時,あなたはどう行動しますか?」地域の防災訓練で,私が参加者の皆さんに投げ掛けた言葉である。

 「自分の身は自ら守る,自らの町は自ら守る」という京都市地域防災計画の基本理念に基づき,実施される自主防災会での総合防災訓練は,住民の防災行動力を高める重要な機会である。

 防災訓練では,参加者の防災意識の高さを実感するが,各世帯の災害への備えが不十分であり,防災知識あるが,実践しない人が多いと,感じている。

 例えば,最近引っ越して来られた方,独居の高齢者の方,近隣との付き合いが少ない方は,防災に関する情報が伝わりにくい。また,大災害発生時は,すぐに行政による支援ができないこともあり,各世帯が最低限の災害への備えをしておかなければならないが,これらは,「分かってはいるが,実際にはできていない」と強く感じる。

 では,実行してもらうにはどうすればいいか。我々は,「訪問防火指導」という強力な武器がある。市民一人一人と面会し,地域とのつながりが希薄な世帯にも,直接,情報を伝え,呼び掛けることができる。

 例えば,訪問防火指導時に,地図を見せながら,自宅からの避難経路を確認したり,非常用持出袋の見本を持ってアドバイスすることで,より多くの方々の防災行動力を高めることができるのではないか。

 大災害発生時,行政だけで全ての市民を守ることはできない。まずは,自らの身は自ら守り,地域で助け合い,それを行政が支援する。この「自助・共助・公助」の考え方を一人でも多くの方に理解してもらうことが,地域の防災力を向上につながると考える。

 「こんにちは消防です。」訪問防火指導は,一人一人の顔を見て話をすることができる,我々に与えられた武器。私は,より多くの方に,災害に備えることの重要性について考えてもらえるよう,訪問防火指導に取り組んでいく所存である。

火災件数の減少を阻んでいるもの

伏見消防署  予防課  京都市消防士  降幡 亮泰


「なぜ,火災件数はゼロにならないのか?」 それは,知識が実生活にいかされず,対策として実行されていないからだと考える。

 「損失回避性」という言葉がある。「人は同額の利益よりも,損失に対し強い印象を抱く」といった意味であり,1万円を手に入れるよりも1万円を落とした時の方が強く印象に残るということである。

 知識として知っている対策が実行されないのは,この損失回避性が働いているのではないか。つまり,「起きるか分からない火災を防ぐ」という利益よりも,「面倒なことをやらずに済むこの状態を維持しよう」という心理が働いているということである。

 もし,この考えが市民にあるとすれば,私たち消防職員は,市民に火災をより身近に感じさせる指導を行うべきだと考える。

 例えば,実際に起こった火災について画像等により,悲惨さを強く印象付け,「全く同じ目に遭う可能性がある」という考えを持ってもらうことで,火災に対して当事者意識を持ってもらえるのではないか。

 その当事者意識が芽生えれば,火災による損害が身近なものとして感じられ,先立って述べた「今の状態を維持する」ことよりも「火災による損害」についての印象が上回り,具体的な火災予防策の実行に至るのではないかと考える。

 今,必要なのは,更に詳細な情報を広め,「自身が火災の当事者になる」ことを実感し,当事者意識を持ってもらうことである。多くの市民に当事者意識を持ってもらわない限り,今以上の火災減少は望めない。「当事者意識」を持つことは,火災に限らず,あらゆる災害に関する「回避しえた悲劇」の回避に繋がると考える。

  私は,強くリアリティを感じさせ,当事者意識を持たせる情報の提供こそが,更なる火災減少への推進力となると考える。

固定観念に縛られないで疑問を持つ

伏見消防署  警防課 第二部  京都市消防士 辰田 良樹


 「こうしなければならない」と画一的に物事を判断してしまっていることはないか?

 私たち消防職員は,どのような状況下でも守らなければならないこともあるが,状況に応じて臨機応変に対応しなければならないこともある。消防士になって2年半,経験が少ないからこそ,私は,素朴な疑問を感じる。

  皆さんは,山岳救助についてどのようなイメージがあるか。長距離における担架搬送,長時間に亘る捜索活動,日常とは違う環境等,様々な要因により厳しい過酷な現場活動を思い浮べると思う。

 その中でも一番辛いことは何か,私は真っ先に「暑さ」と答える。長袖長ズボンの活動服に感染防護衣を着て,無線,保安帽及び活動手袋を着装して現場に向かう。冬の寒い時期でも汗をかき,暑さを苦痛に感じる。真夏の猛暑では,なおさら辛い活動になり,現場に到着するまでに,大量の汗をかき,大幅に体力が削られる。

 最も大切なのは命である。要救助者の命はもちろん,自分自身の命,隊員の命である。命を救うことが仕事であり,使命である。

 山岳装備での活動は,この命を守るにあたってリスクになることがあると思う。暑い時期には,熱中症や脱水症状といったものを引き起こす要因になる。体力は確実に奪われ,捜索活動時の集中力不足による要救助者発見の遅れ,長距離搬送での体力低下に伴う不安定な担架搬送,これらは全て要救助者に直接関わってくる問題である。暑さに関しては気力,根性でどうにかなるものではないと医学的にも証明されている。

 山岳装備での活動には多くのリスクがある。リスクが増えれば増えるほど命の危険性が増す。固定概念にとらわれるのでなく,いかにリスクを減らし,安全に命を救えるかを考えるべきである。

 私は,このリスクを減らすためには,山岳装備の軽量化,服装の軽装化が必要だと考える。消防隊は,どのような状況下でも長袖の活動服に感染防護衣でなければいけない,この固定観念に私は素朴な疑問を感じている。

 これからも,よりよい現場活動につなげるために,疑問に感じたことは,率直に意見を述べていこうと思う。


訓練に対する個人の工夫

伏見消防署  警防課  第一部 第1消防隊   京都市消防士  日髙 敬介


 私が思い描く消防士の理想像は「どんな災害現場でも,的確に判断し,柔軟な発想を駆使してその災害現場における最善な活動ができる消防士」,いわゆるスーパー消防士である。その理想像に近付くためには,仕事に関する知識を高め,技術を習得して磨き上げ,経験を積むことが必要だと思っている。

 救助指令で出動,指令センターから「側溝内に人が転落」と受信。その日は運転員で,現場までの道を確認しながらも,資器材の選定や救出方法,要救助者の落ちている状況を思い描いて現場へ向かった。しかし,私が思い描いていた現場とは全く違う光景を目撃した。側溝といっても,路肩を流れているものでなく,横50㎝×縦40㎝の長方形,深さ120㎝ほどの雨水升に人が逆さまに落ち込んでおり,地上からは両足が僅かに出ている状況であった。その瞬間,頭が真っ白になった。隊長から「スリングと検知器,防水シートの準備!」と下命があり,防水シートは,市民からの目を塞ぐための要救助者への配慮,検知器は酸欠もしくは硫化水素の発生の恐れがあるための検知活動だと理解したが,スリングの用途が理解できないまま,現場へと搬送した。両足にスリングをひばり結びで手掛かりを作り,人力により救出。

 その後は,要救助者が心肺停止状態だったため,心肺蘇生を実施して救急車内収容,結果的に救出もスムーズにいき,要救助者への心肺蘇生も早く取り掛かれた。今回の現場は,私の精神状態や発想力を超えた現場であり,この現場を通じて改めて,訓練の必要性を痛切に感じた。

 常日頃から想定訓練を積み重ねて現場で活動できるように備え,訓練を通じて技術は少しずつ向上してきたように思っていた。しかし,災害現場は自分の想像や技術を遥かに超えていく。訓練の中でも,基礎訓練の必要さを実感した。

 私が高校生の時にしていた野球と同じことが言える。例えば基礎訓練,野球で言えばキャッチボールなどの基礎練習,地道な基礎練習を積み重ねていき,その集大成が練習試合や公式戦になる。

 私は,この現場経験を活かし,自分の精神状態や発想力を超えた現場でも,要救助者に優しい活動ができる消防士を目指し,基礎訓練を大切に自身の技術の底上げを図っていく所存である。

消防のチカラ ~先人達の恩恵を新しい力に変える~

伏見消防署 予防課   京都市消防士長   大西  祐真


 近年,大きな火災は少なくなっており,「最近の若手は大きな火災を経験したことがなく,現場経験が乏しい,将来が不安や。」というベテラン隊員からの話をよく耳にする。私は,この一言にいつも複雑な気持ちになる。

 火災の減少は,これまでのハード・ソフト両面からの火災予防の賜物である一方,消防士として必要な現場におけるプロとしての経験を得る機会を減少させている。しかし,現場経験が少ないという言い訳は通用しない。

 では,現場経験の少なさをカバーし,消防力を維持し続けるためにできることは何か。まず,訓練の充実は不可欠である。

 その一方で,昨今,訓練だけでは対応できない,経験したことのない多様化した災害が起こる。時代の流れとともに,消防の業務は火災を消すだけでなく,様々な災害に対応する「対応力」が必要となる。

 例えば,まだ2箇月ほどの経験しかない私が査察に行って,事業所の従業員の方から,自分が指摘したことに対し,逆に指摘で返されることがあり,自分の対応力の低さを実感する。このような予防業務でも,対応力を鍛える場面は多くある。

 そしてもう一つ,私は2年間の毎日勤務を通して,消防は現場における消防業務だけでなく,消防の多岐に渡る業務ことを知ることができた。これからの消防士に必要な力は,火災現場活動はもちろんのこと,予防・総務など様々な業務を適性に遂行する“チカラ”,すなわち,総合的にあらゆる業務に対応できる力,「総合力」であると考える。

時代は進み,やはり昔に比べると現場の経験を得る機会は減少している。火災の減少は,技術の進化と共に,消防の先人達が火災予防に取り組み,作り上げた結果「恩恵」である。今の若手職員に必要なことは,経験を得るための機会を待つだけでなく,自ら視野を広げ,消防の仕事は多岐に渡ることを理解し,やり方を変える必要があれば柔軟に対応する。「対応力」そして「総合力」が,これからの消防の“チカラ”となっていくと,私は考える。

表彰式

 署長以下7名の審査員が審査の結果,予防課の消防士長  大西 祐真が最優秀賞に選ばれました。

 最優秀賞に選ばれた,大西士長は,12月21日【水】消防局が開催する意見発表会に伏見消防署を代表して出場しました。


優秀賞   柄本士長


努力賞

日髙消防士,降幡消防士,辰田消防士



署長講評


 発表された皆さん,お疲れ様でした。審査会では,今の若い職員の発表態度やスピーチ力は素晴らしいというのが第一声であった。そして,発表者それぞれ,常日頃から問題意識を持って業務に取り組んでいただいているのが,今回の発表を通じてよく分かった。今,抱いている疑問や問題意識を大切に,改善に向けて努力し,変えるべきことは変えていただきたい。

 今回,大西消防士長が最優秀賞となったが,それぞれに良さがあり審査が難航した。大西消防士長の原稿は,発表者の中で,今の情勢に最もマッチングした内容であったことが最優秀賞となった理由である。ぜひ21日に開催される局での意見発表会で伏見消防署 の代表として頑張っていただきたい。

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