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京都市消防局

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平成28年10月号 教養課通信

ページ番号206079

2016年10月3日


 平成27年9月8日開催の門川 大作 京都市長と山田 啓二 京都府知事による懇談会で,平成29年度から,京都市消防学校と京都府立消防学校が共同して京都市消防学校の施設を使用し,消防職員の教育を行うことが合意されました。

 平成28年度はその試行として,初任教育生の合同入校式と約1箇月間の合同教育を実施することが決定され,これを受けて京都市消防学校 教養課と京都府立消防学校では,来年度からの共同化に向けて様々な協議を重ねているところですが,この度,8月29日から9月21日まで,京都市消防学校で合同教育を実施しましたので,その結果についてお知らせします。

 京都市消防学校は,昭和23年3月7日の自治体消防発足と同時に設置されて以来,今年で68年が経過しました。一方,京都府立消防学校は,昭和51年9月1日に設置され,今年で40周年を迎えました。京都府立消防学校が設置されるまでは,府内には京都市にしか消防学校がなかったため,府内の消防本部で採用された職員も,京都市消防学校で京都市の消防職員と共に初任教育を受講していました。そのため,団塊の世代以前の先輩職員には,府内の消防本部に同期生がいて,相互に情報交換や連絡を取り合うなど,同期生のつながりでの消防本部間の連携も見られました。


 しかし,京都府立消防学校の設置に伴い,昭和51年4月に入校した第77期生を最後に,京都市以外の府内の消防職員の教育は京都府立消防学校で実施されることとなり,第78期生以降の京都市の消防職員には,府内の消防本部に同期生がいません。また,第77期生の中で最も若かった職員も,今年度末に定年退職を迎えるため,来年4月からは京都市の消防職員で府内の消防本部に同期生がいる職員は誰もいなくなります。

 このようななか,京都市消防学校の第152期初任教育生の39名(男性38名,女性1名)と京都府立消防学校の初任科第43期生の52名(男性51名,女性1名)が,初任教育の最終段階となる時期に合同教育を行うこととなりました。

 この合同教育と共に,試行として4月6日に実施した合同入校式の様子については,既に「Web京都消防」平成28年5月号のアルバムのページ(※)に掲載し,両校の初任教育生の緊張した面持ちと初々しい姿を紹介しました。合同入校式後,両校の初任教育生は,それぞれの消防学校で5箇月間にわたって消防士になるための基礎的な知識の習得や,消火,救助,救急といった現場活動に不可欠な基本的な技能と体力を身に着けるため,講義では専門用語や法令に格闘し,想像以上の厳しい訓練では気力と体力を振り絞って取り組んできました。合同教育では,この5箇月間の教育訓練で身に着けた知識や技能の習得状況を確認するとともに,更にもう一歩向上させるためのカリキュラムを組み,両校の教官が総力を挙げて指導を行いました。

 ※ 「Web京都消防」平成28年5月号のアルバムページ「京都市消防学校・京都府立消防学校 合同入校式」はこちら

 合同教育の主な内容としては,(1)事業所の査察(立入検査),消防用設備,火災原因調査といった火災予防業務の実習,(2)3通りの建物火災を想定した消火応用訓練,(3)初任教育の集大成となる総合訓練(学校長視閲訓練)の3つを中心に,京都市消防学校がある消防活動総合センターの各施設を有効に活用した実践的な教育訓練としました。

 まず,事業所の査察(立入検査)実習では,総合訓練棟4階に飲食店に模した部屋を作り,その飲食店を実際に立入検査して,防火管理上の不備や必要な指導内容などの査察結果をグループごとに発表しました。また,消防用設備の実習では,消防活動総合センター内に設置されている消防用設備の実物を使用しての研修のほか,「オートロック式マンションで火災報知器が鳴っている。」との119番通報により,消防隊として出動したときの活動要領について実習しました。さらに,火災原因調査の実習では,総合訓練棟の実火災訓練室内に生活感あふれる模擬の部屋を作り,その部屋を実際に燃やし,燃えた後の部屋で火災原因調査の要領を実習しました。

 そして,消火応用訓練では,木造2階建て住宅,2階建て共同住宅,中高層建物での火災を想定し,それぞれの建物構造に合った訓練施設を活用して,寮室(定員6名)を単位とした小隊ごとに,現場到着から実放水までの一連の活動要領を繰り返し訓練しました。

 これらの実習や訓練は,人数が多くて周囲で見ているだけで終わってしまったという者がないよう,91名を3班に分けて,班ごとに日替わりで実施内容を変えて指導し,一人一人が全ての実習と訓練をしっかりと行えるよう配慮しました。その結果,初任教育生にとって,合同教育までに習得してきたことを実習や訓練を通じて実際に体験し,理解を深めることができたのではないかと思います。




 合同教育の最終日には,初任教育で身に着けた訓練礼式の動作と消防,救助,救急の技術を両校の学校長に披露するため,91名全員で総合的な訓練を行いました。また,この訓練には,府内の消防本部の消防長のほか,初任教育生の御家族など,約300名の見学者も来場されました。訓練は,学校長による点検から始まり,停止間の各個訓練と停止間・行進間の小隊訓練,救助の基本訓練と応用訓練,消防の基本訓練と応用訓練を順に実施し,それぞれに息の合った訓練を披露した後,最後は全員で32口の筒先から一斉に放水を行い,訓練を締めくくりました。この訓練で合同教育のカリキュラムを終えた両校の初任教育生の顔は,6箇月間の初任教育の集大成として,そして合同教育の成果として精一杯やり遂げた清々しさと,厳しい訓練に耐えた互いの成長を称え合う笑顔にあふれていました。




 今回の合同教育を通じ,最初は遠慮し合い,まとまりのなかった両校の初任教育生も,同じ寮室で寝起きをし,同じ釜の飯を食べながら,共に学び,共に汗し,共に助け合い,共に夢を語り合う,そんな時間を一緒に過ごす間に,それぞれに期生の呼び名は違っても,自然と同期生としての一体感が生まれていきました。まさに,第77期生から40年のときを経て,京都市消防局と府内の消防本部との同期のつながりが再び築かれたのです。今後,緊急消防援助隊の京都府隊としての活動をはじめ,消防本部の枠を超えた活動をするときなど,この同期のつながりが大いに役立ち,京都府内の消防力の向上につながるものと考えます。

 来年度は,本格的に京都市消防学校と京都府立消防学校の共同化がスタートしますが,今回の合同教育や合同入校式の結果を踏まえて,更に効果的な消防職員教育が行えるよう,引き続き両校間で共同化に向けた協議と必要な整備を進めていきます。

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お問い合わせ先

京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195