スマートフォン表示用の情報をスキップ

京都市消防局

言語選択を表示する

検索を表示する

スマートフォン表示用の情報をスキップ

現在位置:

平成28年10月号 予防タイムズ・リターンズ

ページ番号205732

2016年10月3日


先輩

 やっと涼しくなってきたな。

後輩

 秋ですね。観光シーズンですね。市内は観光客でいっぱいです。

先輩

 宿泊施設はどこも満員みたいだな。

後輩

 そう言えば,この前,宿泊施設の検査で消防用設備の不備が認められました。建物の所有者さんに是正指導したいのですが,誰か分からないんです。

先輩

 検査の立会いはなかったのか?

後輩

 建物の管理をしている方に立会いをしてもらいましたが,所有者の連絡先は言えない,また,所有者の了解がなければ不備事項の改修はできないと言っています。

先輩

 質問しても答えてもらえないのか?

後輩

 はい。回答をもらうための良い方法はないでしょうか?

先輩

 消防法第4条や第16条の5の規定に「資料提出命令権」や「報告徴収権」という権限について書いてあるのを知っているよね?

後輩

 聞いたことはありますが…。

先輩

 整理してみよう。

 下の条文の中で,赤字の部分がいつもの立入検査で君がやっていることだよね。青字の部分が資料提出命令や報告徴収のことだ。


後輩

 えっ!「資料提出命令」って違反処理じゃないですか。そこまですることはないんじゃないですか?

先輩

 おいおい,勘違いするなよ。確かに,資料提出命令も報告徴収も特定の者に義務を課すので,不利益処分であることは間違いない。でも,不利益処分イコール違反処理ではないよ。違反処理は,行政指導である警告の段階から始まるのだけれど,違反是正を促す意思表示のことを言うので,消防法第4条に規定する資料提出命令や報告徴収は違反処理ではないよ。

 建物の所有者は登記簿謄本を取れば分かるけれど,売買や相続をしても未登記や登記手続き中のものもあるよね。管理者が所有者についての質問に答えないのであれば,報告徴収をすればいいよ。報告徴収は,参考にする図書でも,立入検査権や質問権と同じで,特別に厳格さが要求されていないと解説されているので,予防行政上,十分に活用すべき権限と考えて,積極的に使って欲しいな。



後輩

 回答を断られたらどうしましょう?

先輩

 消防法第4条の資料提出命令や報告徴収は,京都市消防局違反処理規程事務処理要領第11条の規定により,資料提出命令書や報告徴収書という文書で伝えることになる。不服があるときの審査請求等について教示が書かれているので,相手方は真剣に考えてくれることが期待できるよ。

 また,拒否や虚偽報告等をすると罰則があるので,必要に応じて交付時に口頭で教示するという手もあるね。


後輩

 虚偽報告等に対する罰則があるというのは,確実な実効性が期待できますね。

 消防法施行令第21条の改正により,宿泊施設では,営業開始が平成27年3月31日以前のものは経過措置として平成30年3月31日までに,平成27年4月1日以降のものは即時に,面積にかかわらず自動火災報知設備を設置しなければならなくなっています。 市民からの通報や京都市民泊施設実態調査に基づいて民泊指導をしていますが,営業開始日を質問しても,嘘っぽい回答や民泊そのものをやっていないと言い張るときがあるので,こんなときは報告徴収を使えばいいですよね。

 ところで,資料提出及び報告徴収の違いがよくわからないんですが?

先輩

 既にある文書等を出させるのは「資料提出」,新たに文書を作って出してもらうような場合は「報告徴収」だと考えればいいよ。


後輩

 なるほど。営業開始日の書いてあるパンフレットの提出は「資料提出」,「何年何月何日から営業を始めています。」と一筆書いてもらうのが「報告徴収」ですね。

先輩

 そんなイメージで大丈夫だ。立入検査だけじゃなくて,下方吸引型の無煙ロースターを使っている焼肉屋で,ダクト火災が繰り返し発生しているようなときに,ダクトの清掃計画を報告徴収により出させるというのも,再出火防止対策として有効じゃないかな。 「予防対策を真剣に考えないとアカンぞ!」というアピールにもなるね。

後輩

 なるほど!資料提出命令と報告徴収は違反処理のためだけにあるんじゃないんですね。この2つを活用すれば,防火対象物の実態把握や予防対策を進める上で非常に有効であることが分かりました。

先輩

 有効だけど,どの程度の資料・報告を求めるかは警察比例の原則にのっとって,関係者に過大な負担を与えてはだめだ。例えば,具体的な火災危険がないにもかかわらず,建物全体の電気配線図を新たに作成させる等は過大な負担に当たるよね。

後輩

 分かりました。慎重な配慮も忘れず,積極的に使っていきます。




  • 目次

お問い合わせ先

京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195