平成28年8月号 予防タイムズ・リターンズ
ページ番号202844
2016年8月1日
後輩
う~ん。
先輩
どうしたんだ? 体調が悪いのか?
後輩
違うんです。熊本地震の被害状況を記録した写真を見ているのですが,京都市から熊本に派遣された隊員の活動を想像すると,なんだか身震いが・・・。僕も同じようにできるのか,不安になって・・・。
先輩
そうだな。熊本地震でも東日本大震災でもそうだが,地震という圧倒的な自然の驚異を前にしても,消防隊員は人命を救助するため活動しなければならない。消防は訓練や知識習得など,普段からの備えが大事ということが実感できる活動だったな。
普段からの備えが大事といえば,予防課の仕事もまさに同じことがいえるが,何かわかるか?
後輩
事業所に対する指導ですか?
先輩
そのとおり。事業所で起こる火災等の被害が少しでも軽減できるように,消防は普段から査察等の機会を捉えて指導をしているな。
後輩
はい。
先輩
では,ここでひとつ問題。今回のような大きな地震が発生したときに,事業所が行うべき対策について,消防はあることを指導している。わかるかな?
後輩
うーん。防火・防災管理者への指導や自衛消防組織に対する指導でしょうか?
先輩
なかなか良い筋だな。今の2つ以外にも,一定規模以上の事業所に対しては,帰宅困難者対策についての指導を行っているんだ。
後輩
帰宅困難者ですか? 平成23年の東日本大震災のときに,都心で交通機関が麻痺して,通勤者や通学者が自宅に帰れなくなってしまった問題ですよね?
先輩
そうだ。東日本大震災では,首都圏の鉄道等の交通機関が麻痺して帰宅できずに公道に留まったり,他の交通機関に殺到したりしたので交通渋滞も発生し,その結果,災害対応のための緊急車両が通行できない問題が発生した。京都市は観光都市で,1年を通して多くの観光客が訪れる。京都市内で大規模な災害が発生した場合,当然,市内の観光客や通勤者,通学者が帰宅困難者となってしまうことが想定されるな。
後輩
うわぁー。京都市は観光客が多くて大混乱しそうですね。
先輩
そうだな。京都市では,最悪の事態として観光客13万人,通勤者18万人,通学者6万人の約37万人を想定して対策をとっているんだよ。
後輩
これだけ人が多いと,しっかり対策をとっていないと大変なことになりますね。どんな対策をとっているんですか?
先輩
京都市では,東日本大震災を受けて,平成24年度に京都駅周辺の混乱を防ぐことを目的とする「ターミナル対策(京都駅周辺)協議会」,観光客の一斉行動を抑制し,二次被害を防ぐことを目的とする「観光地対策協議会」,そして,市内事業所の通勤・通学者の一斉帰宅を抑制することを目的とする「事業所対策協議会」という3つの協議会を立ち上げて,それぞれの視点から帰宅困難者対策を検討することとしたんだ。
後輩
なるほど。交通機関,観光客,通勤・通学者,それぞれの混乱を抑制するということですね。
先輩
そうだ。京都駅周辺の混乱を防ぐ対策として,駅周辺の大規模災害に備えた避難誘導手法の検討,駅周辺にある事業所間の連携を図っている。
また,観光客に対しては,一斉に交通機関に集中することを防ぐために,安全な避難誘導手法の検討,緊急避難場所や一時滞在施設の確保,帰宅困難となった場合の食料品備蓄の充実などの取組を行っているんだ。
後輩
むむむ・・・難しいですね。
先輩
いきなり難しすぎたかな?
それでは,事業所帰宅困難者対策について説明しよう。さっきも話したとおり,京都市内の通勤・通学者は24万人いるとされている。24万人が一斉に帰宅を開始すると,観光客の帰宅と合流し,大きな混乱が起こることが考えられるな? そこで,一定規模以上の大規模事業所の従業員に対して,3日間を目途に帰宅を制限すれば観光客が段階的に市内を離れることができ,少しでも混乱を抑制できるということなんだ。
後輩
なるほど。大規模な事業所ってどんな事業所ですか?
先輩
防災管理者を定めないといけない規模の事業所のことだよ。ただし,官公庁や病院,防災関係機関などは除くんだ。
先輩
このような多数の人が出入りする大規模事業所は,地震等の大災害発生時にしっかりと対応できる防災管理に係る計画を作っているんだが,ここに事業所の帰宅困難者対策の考え方を盛り込んだものなんだ。
後輩
ほうほう,なるほど。大規模事業所の従業員が,少しの期間だけ交通機関を使った帰宅をせず,事業所に留まっていられるように,事前にしっかり計画を立てておく必要があるんですね。でも,よく考えると3日間分の食糧も必要になりますね。
先輩
おっ,なかなかするどいな。どのような計画を作ったらいいのか,どの程度食料を備蓄しておくといいのか,各事業所に対して統一した対策方法を示す必要があることから,平成25年度に事業所対策協議会で検討し,基本指針を策定したんだ。
後輩
なるほど,基本指針の内容は,京都市消防局のホームページからも確認できるんですね,勉強しておかないと。
それでは,このような大規模事業所では,策定された基本指針に基づいて対策をとっているということですね。
先輩
そうだな。大規模事業所は,災害の事前対策として「帰宅困難者対応計画の策定」,「策定した計画の消防計画の反映」,「計画に基づいた訓練」,「従業員用の食料品等の備蓄」を実施することとしているんだ。現在では,協議会に参加した事業所の多くが対応計画を策定しているよ。ただし,食料品備蓄は備蓄スペースを確保できず,必要分を備蓄しにくいという課題があるので,もっと充実できるよう検討しているところなんだ。
後輩
なるほど,大災害が発生すると大規模な事業所はとても大変ですよね。少しでも被害が軽減できるように,日頃から事業所に対してきめ細やかな指導をする必要がありますね。
先輩
なかなか予防課員らしくなってきたな。
後輩
食料品備蓄の話をしていたらお腹が空いてきました。先輩,お昼御飯にしましょうよ。
先輩
おっ,もう昼だな。よし,食料品備蓄の話が出たことだから,前の防災訓練で配布されたアルファ化米を炊こうか。
後輩
・・・。
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京都市 消防局消防学校教育管理課
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