平成28年6月号 予防タイムズ・リターンズ
ページ番号199457
2016年6月1日

後輩
先輩!もうすぐ危険物安全週間ですね。
おっ!今年の京都市消防局の危険物安全週間のポスターのモデルは,京都フローラじゃないですか。
先輩
そうだ。昨年から京都市消防局は危険物安全週間のポスターを独自に作製していて,昨年はサッカーJ2の京都サンガF.C.,今年は女子プロ野球リーグ2連覇中の京都フローラがモデルとなっているんだ。ちなみに,京都市の危険物安全週間の推進標語は「危険物災害ゼロへ 京のまち」だ。
後輩
昨年の京都サンガもかっこよかったんですが,京都フローラも華があっていいですね。


先輩
君は「危険物」とよく口にしているが,そもそも危険物と言うものは何か知っているかな?
後輩
任せてください!危険物と言うと,文字どおり危険な物なので,ガソリンや軽油,アルコール・・・それから,プロパンガス,都市ガス,花火などの火薬も危険ですよね。
先輩
そうだな。一般的に危険物と言われるものには,高圧ガス,毒劇物,核燃料物質等,種々あるんだが,消防法上の「危険物」とは,同法第2条第7項で規定しているものを言うんだ。
後輩
そ,そうなんですか。では,消防法上の危険物というのはどのようなものなのですか?
先輩
それはだな,物質自身が発火又は引火しやすい危険性を有している物品のほか,他の物質と混在することによって燃焼を促進させる物品が含まれ,性状によって第1類~第6類に分けられているんだ。具体的には,ガソリンや軽油,ナトリウム,過酸化水素,粉末の粒度によっては鉄粉も含まれるんだ。ちなみに,消防法上の危険物は固体又は液体で,気体のものは含まれないんだ。
後輩
では,プロパンガスや都市ガスは消防法では規制されないんですか?
先輩
そうだ。それらは,液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律などの他法令により,規制されるんだ。
後輩
そうだったんですね。


後輩
危険物って,消防法ではどのように規制されているのですか?
先輩
消防法では,指定数量(危険性を勘案して政令で定める数量のこと)以上の危険物の貯蔵又は取扱いは,一般的に禁止しているんだ。
しかし,指定数量以上の危険物を貯蔵し,又は取り扱う場合には,事前に市町村長等(京都市では京都市長)から許可を受けた施設において,政令で定める技術上の基準に従って行うことで,認められるんだ。そして,この許可を受け,完成検査済証を交付された施設を,危険物施設や許可施設と言っていることが多いんだ。
後輩
やはり,厳しい規制が課されているんですね。
先輩
そうだ。危険物の貯蔵及び取扱いに厳しい規制が設けられているのは,ガソリンや軽油に代表されるように,危険物が社会生活の向上に大きく貢献している反面,ひと度,その取扱いを誤れば,福知山市の花火大会で起こった事故のように,火災,爆発等の災害を引き起こす潜在的な危険性を有しているからなんだ。
だから,危険物規制の目的は,社会生活に欠かすことのできない危険物の安全な貯蔵,取扱いを確保することであり,危険物に起因する火災等の災害から,公共の安全を確保することなんだ。
後輩
危険物の規制を担う消防は責任重大ですね。

後輩
危険物施設では,指定数量以上の危険物を貯蔵,取扱いができることはわかりました。では,危険物施設にはどのような種類があるのですか?
先輩
危険物施設は,大きく分けて製造所,貯蔵所,取扱所の3つに区分されるんだ。製造所は危険物を製造する施設,貯蔵所は危険物を貯蔵する施設,取扱所は危険物を取り扱う施設を言うのだが,詳しくは別の機会に説明しよう。
後輩
わかりました。


先輩
危険物規制の目的でも少し触れたが,指定数量以上の危険物を貯蔵し,又は取り扱う危険物施設を設置する場合やこれらの危険物施設の位置,構造若しくは設備を変更する場合には,あらかじめ,市町村長等の許可を受けなければならないんだ。この許可により,一般的に禁止されている指定数量以上の危険物の貯蔵又は取扱いの禁止を解除することになり,既に設置されている危険物施設を変更したりできるんだ。
後輩
では,市町村長の許可を受ければ,もう,危険物施設として使用してもよいのですね。
先輩
いやいや,そうではないんだ。ここでの許可は,設置や変更することを許可することであって,実際に使用するのには完成検査が必要となってくるんだ。

後輩
完成検査ですか?
先輩
許可を受けた後,当該施設が完成したときには,市町村長等が行う完成検査を受けて,完成検査の結果,その施設が法令に定める基準に適合しており,完成検査済証が交付された後でなければ,危険物施設として使用できないんだ。
後輩
検査を受けるだけではだめなんですか?
先輩
運転免許証も免許証を交付されないと車が運転できないのと同じで,完成検査を受けた後に完成検査済証の受領後に初めて施設を使用することができるんだ。
後輩
なるほど。そういえばそうですね。

後輩
危険物施設で新たに危険物を取り扱う機器を増設したり,施設自体を改修したりする場合,法令基準に適合しない部分が出てくるので,その工事期間中は,当然,危険物施設を使用することはできませんよね。
先輩
いや,そうではないんだ。既に完成検査を受け,使用している危険物施設の一部で変更工事を行う場合,変更工事に係る部分以外の部分を使用することについて,市町村長等の承認を受けたときは変更工事に係る完成検査を受ける前においても,当該,承認を受けた部分を仮に使用することができるんだ。


後輩
東日本大震災等の被災地で,ガソリン,軽油及び灯油等の燃料が不足したため,一時的にドラム缶や地下タンクから手動ポンプ等を用いて給油等をしていたことを,最近,知りました。今までの話を聞いていると,それらの行為は市町村長等の許可を得ていないのであれば,法令違反に該当するのではないのですか?
先輩
そうだな。でも,一時的な貯蔵,取扱いに対しても,危険物施設が必要になると事業者の負担が大きすぎるだろ? こういうことに対して,危険物仮貯蔵・仮取扱いという制度があるんだ。それは,危険物施設以外の場所で,一時的に指定数量以上の危険物を貯蔵し,あるいは取り扱いたいときに,所轄消防長又は消防署長に承認申請をし,承認を受けた場合に限り,指定数量以上の危険物を10日以内の期間,仮に貯蔵し,又は取り扱うことができるんだ。
後輩
そうだったんですね。
先輩
災害時とはいえ,危険物を指定数量以上取り扱うので,貯蔵及び取扱方法及び安全対策などの必要な指導を行わないといけないな。
後輩
わかりました。
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