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京都市消防局

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平成28年5月号 総務省消防庁が主催する「防災まちづくり大賞」消防庁長官賞を受賞 !!

ページ番号197205

2016年5月2日


 平成28年3月4日,洛和会ヘルスケアシステムの介護事業部において実施している防火・防災訓練の取組が,総務省消防庁主催の「防災まちづくり大賞消防庁長官賞を受賞しました。「防災まちづくり大賞」とは,地方公共団体や自主防災組織等による防災に関する幅広い視点からの効果的な取組について,消防庁が表彰しているもので,阪神・淡路大震災を契機に創設され,今回で20回目を迎えるものです。受賞を記念し,当ヘルスケアシステムとその取組内容について,皆様に紹介をさせていただきます。



 洛和会ヘルスケアシステム(以下「洛和会」という。)には,

◎   病院やクリニックなどの医療部門(丸太町病院,音羽病院,音羽記念病院,音羽リハビリテーション病院,東寺南病院等)

◎   健診センターや保育所・児童館などの健康・保育部門

◎   学校教育・研究所などの教育・研究部門及びその他関連事業部門

◎   介護部門(特別養護老人ホーム,介護グループホーム,デイセンター等)

があり,京都や滋賀,大阪,東京をカバーする「医療」「介護」「健康・保育」「教育・研究」の総合ネットワークで,総施設数は180箇所,職員数は約4,800人が在職しています。

 洛和会の防火・防災面については,洛和会で災害や事故が発生した場合,現場への医療者の派遣や患者の受入れ,他の地域への応援依頼などを行う「災害拠点病院」として音羽病院が指定されています。さらに,災害に備え,救命活動の拠点となる大規模災害救助用救急車を導入し,東日本大震災発生後には,緊急支援物資を届けるなどの活動も行っています。また,所有する数箇所の井戸を京都市災害時協力井戸に登録し,災害時の地域の生活用水の提供を行う体制も取っています。そして,地域や消防署,警察署などと連携し,総合防災訓練や学区防災訓練,さらには多数の負傷者を伴う大規模な交通事故等に備えて,消防署と合同で集団救急救助訓練も実施しています。

 その他の各施設でも,計画的に防火・防災訓練を実施しており,火災・地震等が発生した場合,設置されている設備を有効に使用した適切な活動ができるよう,常に体制を整えています。

 また,洛和会に在職する全ての職員が,採用時の研修で普通救命講習を,また,在職中は計画的に救命再講習を,業務として繰り返し受講し,「人工呼吸用ポケットマスク(職員全員に配布)」を,常時,携帯するなど,非常災害時等の必要な場で積極的に行動できるよう,日々,備えています。また,このような環境の中で,自主的に,応急手当指導員や応急手当普及員の資格を取得する職員も多く,京都市等で行われる京都三大祭りやスポーツ大会,地域のイベントなどに救護班として,京都マラソンでは救護班のほかに給水ボランティアとしてもランナーの安全を支えています。


 介護施設においては,火災・地震等による被害を軽減するため,年2回以上の訓練が義務付けられています。しかし,年2回の訓練だけで防火・防災能力を向上させることは困難です。

 そこで,洛和会では,年2回の訓練に加えて,最低2箇月に1回の自主的な訓練を実施しており,この自主的な訓練を手間が掛かりすぎないように効率的に実施するため,災害図上訓練(Disaster Imagination Game 以下「DIG」という。)を取り入れることにしました。

 「DIG」は,地域で大きな災害が起こったと想定して,大きな地図を広げて,地図の上に掛けた透明なビニールシートの上に危険な場所や,起こりそうな被害を書き込みながら,みんなで対応策を考えてみるというトレーニングです。

 しかし,通常の「DIG」は,グループホームやデイセンターには規模が大きすぎたり手間が掛かりすぎたりするため,簡単に短時間で繰り返し実施できるように,独自で改良を加えて「洛和ケアDIG(以下「RC-DIG」という。)を作成しました。


 通常の「DIG」を改良し,独自に作成した部分は次のとおりです。

○ 「RC-DIG」では,「情報プロットゲーム」と「図上イメージゲーム」との2つのゲームに分け,時間がない場合等には,途中で中断できるようにしました。

○ 「情報プロットゲーム」では,より簡単に実施できるよう,通常の「DIG」の準備品等で使用しにくいものや扱いにくいもの,手に入りにくいものは出来る限り省き,準備を簡単にしました。また,より短時間に実施できるよう,省けるパートは省略し,最短「30分程度」で行えるようにしました。

○ 「図上イメージゲーム」では,参加者を「ファシリテーター」「プレーヤー」「オーディエンス」に分け,「プレーヤー」でないその他の者も「オーディエンス」となり,ゲームの評価者として参加させ,全員参加を目指しました。

○ 通常の「DIG」では,後半で実施しているグループごとの検討内容の発表等を省き,それに代え,「防災点検表」を作成し,注意を要する点や改善すべき項目等を抽出し,その後の貴重な資料となるよう,成果物として残すこととしました。

○ 施設の防火管理者やフロアーリーダーを「ファシリテーター」とし,訓練想定を事前に準備させることにより,施設の防火管理者等の防火・防災能力の向上を図りました。

○ ゲーム感覚を高くするため,「図上イメージゲーム」において,「ファシレテーター」と「プレーヤー」との一問一答によりゲームを進めることとし,ゲームを「より楽しく」,そして,真剣に実施できるようにしました。

○ プレーヤーを交代させることにより,同じ想定で繰り返し実施できるようにしました。また,訓練実施後に気付いたことを次の訓練想定に取り入れて改良し,実施するPDCAサークルを確立・実施し,訓練自体の完成度を高くできるようにしました。

○ 通常の「DIG」では,防災力の把握に特に力が入れられていますが,この「RC-DIG」では,「図上イメージゲーム」の中で特定の役割になって考え,行動させるロールプレイと,前提条件や想定をモデル化した訓練想定により疑似体験させるシミュレートができ,自由にゲームを作ることを主眼に,参加者全員の防火・防災能力の向上を目指しました。

○ 介護施設等にて実施されている事例検討会(カンファレンス)時等においても,短い時間を利用して訓練を実施することができるようにしました。「より簡単に」「より短時間に」「より楽しく」繰り返し訓練を実施することができるようにしました。


 「RC-DIG」を実施した後に,各プレーヤーから次のような感想等が寄せられています。

○ ゲーム感覚で非常に楽しかった。

○ このような訓練であれば,また実施してみたいと思った。

○ 短い時間でこのような訓練ができることに驚いた。

○ 図面上でイメージができ,災害現場での活動に対する自信が付き,安心した。

○ 施設の利用者や設備等の状況が明確に把握でき,みんなで共通した認識を持つことができた。

○ このゲームであれば,時間があるときに繰り返し実施することができると思った。

○ 夜間に勤務しているときに,どのように対応するのかが分かった気がした。

○ 実際の訓練では自分が実施していることしか判らなかったが,図面上の訓練なので,全体の活動が理解できたのが新しい発見であった。



 現在,洛和会介護事業部関連施設に対し,同訓練を全施設で繰り返し実施するよう,取り組んでいるところです。今後は,この「RC-DIG」の手法を広く紹介し,介護施設はもちろんのこと,他の業種の小規模施設で実施していただければ,それぞれの小規模施設の防火・防災力は格段に向上していくものと確信しています。

 「RC-DIG」の手法については,5月16日から,洛和会ヘルスケアシステムのホームページに掲載予定ですので,皆様,是非,御覧ください。

 http://www.rakuwa.or.jp/care/rc-dig.html外部サイトへリンクします

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お問い合わせ先

京都市 消防局消防学校教育管理課

電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195