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京都市消防局

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(P16)〈昭和30年代の取組〉文化財の防火

ページ番号193386

2023年7月26日

(P16)〈昭和30年代の取組〉文化財の防火


当時の状況

 昭和24年1月26日,奈良の法隆寺金堂が火災となり,世界最古の木造建築物の壁面に描かれた飛鳥芸術の神髄を伝える壁画が焼失してしまいました。

 また,翌年の昭和25年7月2日には,金閣寺が焼失するという京都消防にとって,極めてショックの大きい出来事が発生しました。

 これらの火災を契機に,京都市消防局として,文化財に対する防災対策を文化財施設関係者や市民の皆様と一緒に,充実強化していく道を進んでいくこととなります。

 京都市消防局では,翌年の昭和26年から,全国に先駆けて「文化財を火災から守る運動」を実施し,昭和30年には全国的に法隆寺の金堂が消失した1月26日を「文化財防火デー」と定めたことを踏まえ,以後,毎年1月23日から29日までの1週間を「文化財防火運動」期間と位置付け,様々な文化財防火に関する事業を展開し始めた時期でした。

文化財付近でのたき火,喫煙禁止区域の設定

 多くの文化財が所有されている社寺等は,一般的に人の出入りが比較的自由で,敷地も広大であることが多いことを踏まえ,昭和32年には,全国で初めて文化財周辺でのたき火及び喫煙を制限する制度が設けられました。

 これは,文化財及びその周辺の一定区域内で,火及び喫煙を禁止するものであり,屋外には駒形札,屋内には長方形の制札を設置し,市民のみならず観光客にまで協力を呼掛けました。

 当時市内35社寺73箇所の区域が指定されていました。

現在の文化財防火対策

 京都市内には,全国の国宝の約19%,重要文化財の約14%が所在しており,まさに文化財の宝庫と言えます。

 これら大切な文化財を守るため,自治体消防発足以来,文化財の防火対策を進めてきました。

 ここではその対策の一端を御紹介します。

1 文化財施設での取組

 文化財施設の関係者の皆様に,境内等の巡回点検,夜間の閉門,火気使用設備・器具の点検など,出火及び放火防止対策などの自主防火管理を実施するよう努めていただいています。

 また,万一に備え,初期消火,119番通報,文化財の搬出,避難誘導等の一連の活動を迅速確実に行うことができるよう自衛消防体制の充実をお願いしています。

 その他,社寺等の実態に応じて,総合的な防災施設の整備拡充,防災施設や通報体制の自動化,日常点検の実施等について御指導させていただいています。

2 文化財市民レスキュー体制

 文化財を火災から守るため,地域住民と文化財関係者が連携することにより,平常時の火災予防 や災害発生時の消火,通報,文化財の搬出等の初動活動がより迅速に実施できる「文化財市民レス キュ一体制」の育成指導等を行っています。

 現在では,市内238箇所(北区で8箇所)の社寺等において文化財市民レスキュー体制が構築されており,より確実な体制を築くため,文化財市民レスキューによる文化財の搬出訓練,放水訓練,災害図上訓練(DIG)を実施するとともに,自主的,自立的な活動を進めています。

3 文化財セーフティカード

 市内には,建造物はもとより仏像等の武術工芸品についても,国宝や重要文化財に指定されたものが数あります。

 文化財社寺において火災が発生した時,文化的価値のある仏像等の保管場所,構造及び搬出方法を素早く把握して搬出するため,仏像等の文化財区分,保管場所,構造,搬出人員などの情報を示した文化財セーフティーカード等を作成し,文化財社寺関係者と消防隊等で情報を共有します。

4 その他の取組

 祭りなど伝統行事等に際し,火災予防措置や自主警備の強化等について指導するとともに,大規模な伝統行事に対しては,消防警備計画を樹立し,万一に備えています。

 その他,様々な機会を捉えて,文化財の防火防災に関する知識及び技術の向上や文化財の防火意識の高揚を図っています。

北消防署の取組

 北消防署では,1月の文化財防火運動,7月の夏の文化財防火運動を中心に,文化財を火災から守る取組を行っています。

 (平成28年1月の文化財防火運動から)

1 文化財施設に対する防火指導(査察)の実施

  文化財施設において,施設関係者に加え,作業を請け負っている方も含めた防火管理体制を御指導したほか,放火火災の予防に関する事項を周知しました。

2 訓練を通じた災害対応体制の強化

 今宮神社,大本山大徳寺,賀茂別雷神社(上賀茂神社)において,設置されている防災施設等や文化財セーフティカードを活用するなどして,社寺関係者の皆様と連携した合同訓練を実施しました。

3 文化財レスキュー体制の育成指導

 文化財市民レスキュー隊に配備された器材の点検を実施し,適正な維持管理の方法を確認していただきました。 

4 文化財を親しむ会の開催

 文化財への愛護精神と防火・防災意識を高めていただくため,消防訓練の見学,文化財・防災施設の見学等を内容とする研修会「文化財に親しむ会」を実施し,区内の自主防災会の方や事業所の方など,約60名の方に御参加いただきました。

各合同訓練


今宮神社での合同訓練


大本山大徳寺での合同訓練


上賀茂神社での合同訓練

文化財に親しむ会(大本山大徳寺)


金毛閣の鑑賞


寺院の方からの説明


屋外消火栓の説明